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元スレ魔王「ああ勇者、なぜあなたは勇者なの!?」
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どうもお待たせしました。本物です。嘘じゃないよ!
もっと早く帰れると思ったのに、近所でお祭りやってて道が混んでたんだよ
書きだめは皆無だからリアルタイムで書いていくよ
投下速度はかなり遅いと思うけど、どうかご勘弁を……
もっと早く帰れると思ったのに、近所でお祭りやってて道が混んでたんだよ
書きだめは皆無だからリアルタイムで書いていくよ
投下速度はかなり遅いと思うけど、どうかご勘弁を……
<数日後>
魔王「あ、勇者!」
勇者「ん?」
魔王「あ、いけない! そうよ、私は今、勇者に近づくことができないんだわ!」
魔王「……目の前にいるのに、話しかけることすらできないなんて。胸が……痛い」
魔王「だけど駄目よ、魔王。ここは耐えるのよ! じゃないと勇者の活躍が徒労に終わってしまうわ!」
魔王「……ああ、私は何て哀れな子羊」
魔王「神よ。この惨めな娘に、慈悲深い救いの手を差し伸べんことを、切に願います!」
勇者「……いや、別に話しかけるくらいいいだろ」
側近「日に10回はアレを繰り返してますね」
勇者「……まあ、見ていて飽きないからいいけど」
側近「なんか壊れたおもちゃみたいにコミカルですね」
魔王「あ、勇者!」
勇者「ん?」
魔王「あ、いけない! そうよ、私は今、勇者に近づくことができないんだわ!」
魔王「……目の前にいるのに、話しかけることすらできないなんて。胸が……痛い」
魔王「だけど駄目よ、魔王。ここは耐えるのよ! じゃないと勇者の活躍が徒労に終わってしまうわ!」
魔王「……ああ、私は何て哀れな子羊」
魔王「神よ。この惨めな娘に、慈悲深い救いの手を差し伸べんことを、切に願います!」
勇者「……いや、別に話しかけるくらいいいだろ」
側近「日に10回はアレを繰り返してますね」
勇者「……まあ、見ていて飽きないからいいけど」
側近「なんか壊れたおもちゃみたいにコミカルですね」
側近「そういえば、勇者さん。あれからどうですか?」
勇者「なにが?」
側近「いや、嫌がらせの方ですよ」
勇者「……あまり言いたくないな」
側近「……そんなにひどいんですか?」
勇者「……聞きたいか?」
側近「うーん。……怖いもの見たさに、ちょっとだけ聞きたいような」
勇者「……この前、廊下を一人で歩いてたんだ。そして曲がり角に差し掛かったその時、突然顔面に使用済みの――」
側近「あー、もういいです。なんか生理的に無理そうです」
勇者「……だろうな」
勇者「なにが?」
側近「いや、嫌がらせの方ですよ」
勇者「……あまり言いたくないな」
側近「……そんなにひどいんですか?」
勇者「……聞きたいか?」
側近「うーん。……怖いもの見たさに、ちょっとだけ聞きたいような」
勇者「……この前、廊下を一人で歩いてたんだ。そして曲がり角に差し掛かったその時、突然顔面に使用済みの――」
側近「あー、もういいです。なんか生理的に無理そうです」
勇者「……だろうな」
勇者「……それで、近衛兵の方は?」
側近「あ、それなんですけどね」
側近「嫌がらせが全くなくなったわけではないんですが、かなり沈静化はしたみたいなんですよ」
勇者「ははは……、それはなによりだ。体を張った甲斐があったというもんだ」
側近「あの子、態度には全く出さないですけど、それでも心の中では勇者さんに感謝してるんですよ」
勇者「出来れば、分かりやすく態度に出してほしいんだけどな」
勇者「だってアイツ、俺が話しかけても、悪態つくか、『……ふん』しか言わねえんだもんな」
側近「まあ、長い目で見守ってあげてください」
側近「粘り強く攻略し続ければ、いずれはデレも来ますから」
勇者「……あまり想像したくないな。近衛兵のデレ」
側近「あ、それなんですけどね」
側近「嫌がらせが全くなくなったわけではないんですが、かなり沈静化はしたみたいなんですよ」
勇者「ははは……、それはなによりだ。体を張った甲斐があったというもんだ」
側近「あの子、態度には全く出さないですけど、それでも心の中では勇者さんに感謝してるんですよ」
勇者「出来れば、分かりやすく態度に出してほしいんだけどな」
勇者「だってアイツ、俺が話しかけても、悪態つくか、『……ふん』しか言わねえんだもんな」
側近「まあ、長い目で見守ってあげてください」
側近「粘り強く攻略し続ければ、いずれはデレも来ますから」
勇者「……あまり想像したくないな。近衛兵のデレ」
側近「あら、結構可愛いですよ。近衛兵のデレは」
勇者「……えー」
側近「……私が仕事や恋愛や恋愛や恋愛のことで悩んでいるとき」
側近「頬を赤らめ、そっぽを向きながら、ぶっきら棒ながらも優しい言葉をかけてくれるんですよ」
側近「わが弟ながら、キュンって来ちゃいます」
勇者「残念ながら俺には来ない」
側近「実際に見てみれば来ると思いますよ」
勇者「俺が近衛兵に、キュンっと来たら、キモいだろ……」
側近「二人の周囲に薔薇が舞うのが目に浮かびますね」
勇者「安心しろ。舞わないから」
側近「そうですか。ちょっと見てみたかったような気が――」
勇者「オイッ! 弟を変な世界の住人にしようとするな!」
勇者「……えー」
側近「……私が仕事や恋愛や恋愛や恋愛のことで悩んでいるとき」
側近「頬を赤らめ、そっぽを向きながら、ぶっきら棒ながらも優しい言葉をかけてくれるんですよ」
側近「わが弟ながら、キュンって来ちゃいます」
勇者「残念ながら俺には来ない」
側近「実際に見てみれば来ると思いますよ」
勇者「俺が近衛兵に、キュンっと来たら、キモいだろ……」
側近「二人の周囲に薔薇が舞うのが目に浮かびますね」
勇者「安心しろ。舞わないから」
側近「そうですか。ちょっと見てみたかったような気が――」
勇者「オイッ! 弟を変な世界の住人にしようとするな!」
側近「まあ、冗談はさておき……。勇者さんには近衛兵と仲良くしてもらいたいんですよ」
側近「この城内に友人と呼べそうなのは、近衛兵にとって勇者さんしかいませんから」
勇者「……壁を作ってるのはむこうだけどな」
側近「大丈夫ですよ。あの手のキャラは一度壁を越えてしまえばなし崩しに攻略できますから」
勇者「あの手のキャラって……何の話だよ」
側近「フラグはすでに立ってます」
勇者「だから何の話だよ! フラグってなんだよ!」
側近「人間関係の変化をを簡略的に説明できる、便利な言葉です」
勇者「……まあいい」
勇者「とりあえず、なんとかやってみるさ」
側近「お願いしますね」
勇者「……なんだかんだで、お前は結構ブラコンだよな」
側近「褒め言葉として受け取っておきますね」
側近「この城内に友人と呼べそうなのは、近衛兵にとって勇者さんしかいませんから」
勇者「……壁を作ってるのはむこうだけどな」
側近「大丈夫ですよ。あの手のキャラは一度壁を越えてしまえばなし崩しに攻略できますから」
勇者「あの手のキャラって……何の話だよ」
側近「フラグはすでに立ってます」
勇者「だから何の話だよ! フラグってなんだよ!」
側近「人間関係の変化をを簡略的に説明できる、便利な言葉です」
勇者「……まあいい」
勇者「とりあえず、なんとかやってみるさ」
側近「お願いしますね」
勇者「……なんだかんだで、お前は結構ブラコンだよな」
側近「褒め言葉として受け取っておきますね」
近衛「……姉さん」
勇者「うっわ! ビックリした! お前、いきなり出てくんなよ」
側近「あら近衛兵。何か用?」
近衛「……また、魔王様の叔父上様がいらっしゃってる」
側近「あら、なら早くいかないと。待たせちゃまずいわ」
近衛「うん。急いだ方が良いよ」
側近「そうするわ。呼びに来てくれてありがとう」
側近「じゃあ、後は二人でゆっくり歓談でもしててちょうだい」
近衛「……え?」
側近「じゃあねぇ」
近衛「あ、……行ってしまった」
勇者「……じゃあ、歓談でもしてようか」
近衛「……誰がするか、阿呆」
勇者「うっわ! ビックリした! お前、いきなり出てくんなよ」
側近「あら近衛兵。何か用?」
近衛「……また、魔王様の叔父上様がいらっしゃってる」
側近「あら、なら早くいかないと。待たせちゃまずいわ」
近衛「うん。急いだ方が良いよ」
側近「そうするわ。呼びに来てくれてありがとう」
側近「じゃあ、後は二人でゆっくり歓談でもしててちょうだい」
近衛「……え?」
側近「じゃあねぇ」
近衛「あ、……行ってしまった」
勇者「……じゃあ、歓談でもしてようか」
近衛「……誰がするか、阿呆」
勇者「つれないな」
近衛「……ふん」
勇者「……っぷ」
近衛「……どうして笑うんだよ?」
勇者「くくく、わ、わりぃ。いやな、さっき側近と丁度話してたんだよ」
勇者「お前は俺と話す時、すぐに『……ふん』て言うってさ」
近衛「……」
勇者「むくれんなよ。笑って悪かったって」
近衛「……本当に腹の立つ奴だ」
近衛「……ふん」
勇者「……っぷ」
近衛「……どうして笑うんだよ?」
勇者「くくく、わ、わりぃ。いやな、さっき側近と丁度話してたんだよ」
勇者「お前は俺と話す時、すぐに『……ふん』て言うってさ」
近衛「……」
勇者「むくれんなよ。笑って悪かったって」
近衛「……本当に腹の立つ奴だ」
勇者「そういえば、この前も魔王の叔父さんが来たよな」
勇者「確かその時も側近が、大事な話をするって席を外したと思うけど」
近衛「……叔父上様は、国軍の総司令官だ」
近衛「そして姉さんは魔王様の代わりに、国政を担当している」
近衛「だから、今日も政のことでいらっしゃったのだろ」
勇者「……まあ、魔王に政治の話は無理だもんな」
勇者「というか、そもそも叔父さんは魔王のこと、嫌ってるんだっけ?」
近衛「……ああ」
勇者「確かその時も側近が、大事な話をするって席を外したと思うけど」
近衛「……叔父上様は、国軍の総司令官だ」
近衛「そして姉さんは魔王様の代わりに、国政を担当している」
近衛「だから、今日も政のことでいらっしゃったのだろ」
勇者「……まあ、魔王に政治の話は無理だもんな」
勇者「というか、そもそも叔父さんは魔王のこと、嫌ってるんだっけ?」
近衛「……ああ」
近衛「だから僕は……叔父上様のことが、少し苦手だ」
勇者「まあ、しょうがないだろ。見るからに真面目そうな人だし」
勇者「お気楽に過ごしてる魔王のことが、許せないんじゃねえのか?」
近衛「……だとしても、やっぱり僕は好きになれそうにない」
勇者「ああそっか。お前、魔王のこと好きだもんな」
近衛「なっ!」
勇者「あ、やっぱり当たり?」
近衛「……」
勇者「なんかお前の言動を見てて、何となくそうなのかなぁと思ってたけど……、そうか」
近衛「……ふん」
勇者「……っぷ」
近衛「ッ!?」
勇者「まあ、しょうがないだろ。見るからに真面目そうな人だし」
勇者「お気楽に過ごしてる魔王のことが、許せないんじゃねえのか?」
近衛「……だとしても、やっぱり僕は好きになれそうにない」
勇者「ああそっか。お前、魔王のこと好きだもんな」
近衛「なっ!」
勇者「あ、やっぱり当たり?」
近衛「……」
勇者「なんかお前の言動を見てて、何となくそうなのかなぁと思ってたけど……、そうか」
近衛「……ふん」
勇者「……っぷ」
近衛「ッ!?」
近衛「……」
勇者「ちょっと、無言で去るなよ!」
近衛「……お前と違って僕は忙しいんだ」
勇者「……そりゃ、俺は暇してるけどさ」
近衛「……くくく。なんだ、お前本当にヒモ状態じゃないか」
勇者「ひ、ヒモって言うな!」
近衛「ははは! ヒモにヒモと言って何が悪い」
勇者「……ひっでー」
近衛「ふん、じゃあな」
近衛「……あ、その前に一応ひとつ、教えておいてやる」
近衛「……お前は叔父上様のこと、いいように捉えているみたいだが――」
勇者「いや、別にいいようには捉えてないぞ。ただ、真面目そうだなぁって言っただけだ」
近衛「……あの人は色々と噂の絶えない人だから、気をつけた方がいい」
勇者「は? どういうこと?」
近衛「……じゃあな」
勇者「ちょっと、無言で去るなよ!」
近衛「……お前と違って僕は忙しいんだ」
勇者「……そりゃ、俺は暇してるけどさ」
近衛「……くくく。なんだ、お前本当にヒモ状態じゃないか」
勇者「ひ、ヒモって言うな!」
近衛「ははは! ヒモにヒモと言って何が悪い」
勇者「……ひっでー」
近衛「ふん、じゃあな」
近衛「……あ、その前に一応ひとつ、教えておいてやる」
近衛「……お前は叔父上様のこと、いいように捉えているみたいだが――」
勇者「いや、別にいいようには捉えてないぞ。ただ、真面目そうだなぁって言っただけだ」
近衛「……あの人は色々と噂の絶えない人だから、気をつけた方がいい」
勇者「は? どういうこと?」
近衛「……じゃあな」
勇者「……行っちゃったよ」
勇者「……にしても俺って、本当に何のためにここにいるんだろ」
勇者「魔王の相手しろって言われてここに留まることになったのに」
勇者「今では、それすら満足にこなせてないような……」
勇者「……」
勇者「……俺もなにか、城内の仕事、手伝おうかな」
勇者「といっても、掃除も料理も出来ないしな……」
勇者「剣くらいしか能が無いけど、兵に志願なんてしようものなら四面楚歌……」
勇者「いやちょっと待て。俺は勇者だぞ……。魔王の軍門に下ってどうする」
勇者「いや、すでに下ってるような気がしないでも……」
勇者「…………」
勇者「……にしても俺って、本当に何のためにここにいるんだろ」
勇者「魔王の相手しろって言われてここに留まることになったのに」
勇者「今では、それすら満足にこなせてないような……」
勇者「……」
勇者「……俺もなにか、城内の仕事、手伝おうかな」
勇者「といっても、掃除も料理も出来ないしな……」
勇者「剣くらいしか能が無いけど、兵に志願なんてしようものなら四面楚歌……」
勇者「いやちょっと待て。俺は勇者だぞ……。魔王の軍門に下ってどうする」
勇者「いや、すでに下ってるような気がしないでも……」
勇者「…………」
勇者「……ん? うっわぁぁぁ! ちょ、あっぶねぇ!」
魔物「……っちぃ」
勇者「て、テメェら! なに投げつけてきてんだゴルァ!!」
魔物「逃げるぞ」
勇者「おいコラ、逃げんな!」
勇者「……ったく。あいつら、一体何を投げてき――って」
勇者「……うわぁ。これって……」
勇者「……」
勇者「俺、もうくじけちゃいそっ♪」
勇者「……」
勇者「……なんか俺、色々と末期な気がする」
魔物「……っちぃ」
勇者「て、テメェら! なに投げつけてきてんだゴルァ!!」
魔物「逃げるぞ」
勇者「おいコラ、逃げんな!」
勇者「……ったく。あいつら、一体何を投げてき――って」
勇者「……うわぁ。これって……」
勇者「……」
勇者「俺、もうくじけちゃいそっ♪」
勇者「……」
勇者「……なんか俺、色々と末期な気がする」
魔王「……ああ、なんて可哀そうな勇者」
魔王「だけど非力な私は、貴方の何の力にもなってあげられないの」
魔王「ああ、勇者。愛しの勇者……」
勇者「……いや、なに柱の陰からハンカチ片手にこっそり覗き込んでボソボソ呟いてるの?」
魔王「こんなハンカチーフ一枚では、瀑布の如く溢れだす私の涙を受けきれないわ」
魔王「やがてこの城も、私から漏れ出る悲哀の高波に飲まれ、水没してしまうのだわ」
魔王「そして皆溺れてしまうのよ。夢も、希望も、有象無象が今の私の前ではわずかな慰みにもならない」
魔王「悲しみを絞り尽くした私は、きっと無残に干からびてしまうのね……」
魔王「こんな私を、どうか許して頂戴」
魔王「ああ、勇者。愛しの勇者……」
勇者「……こいつも相当末期だな」
魔王「だけど非力な私は、貴方の何の力にもなってあげられないの」
魔王「ああ、勇者。愛しの勇者……」
勇者「……いや、なに柱の陰からハンカチ片手にこっそり覗き込んでボソボソ呟いてるの?」
魔王「こんなハンカチーフ一枚では、瀑布の如く溢れだす私の涙を受けきれないわ」
魔王「やがてこの城も、私から漏れ出る悲哀の高波に飲まれ、水没してしまうのだわ」
魔王「そして皆溺れてしまうのよ。夢も、希望も、有象無象が今の私の前ではわずかな慰みにもならない」
魔王「悲しみを絞り尽くした私は、きっと無残に干からびてしまうのね……」
魔王「こんな私を、どうか許して頂戴」
魔王「ああ、勇者。愛しの勇者……」
勇者「……こいつも相当末期だな」
勇者「……なあ魔王」
魔王「駄目よ、勇者! 私たちは今、お互いに言の葉を交わすことが許されない関係にあるのよ」
魔王「そう、例えるなら、人間界の神話に登場する、黄泉比良坂でのイザナギのイザナミのよう……」
魔王「私が『今日より私は、日ごとに1000の悲しみに包まれるわ』と言うと、貴方はこう言うの」
魔王「『ならば俺は、毎朝枕元で、お前に1500の愛を囁いてやる』ってね。キャーーー!」
勇者「勝手に改ざんするな! というか、何言ってるのかさっぱりわからん! 支離滅裂すぎる!」
勇者「……そんなことはどうでもいいんだよ」
勇者「どうせ暇なんだろ。ちょっと付き合えよ」
魔王「で、でも……」
勇者「いや、だからなにも全く接触しちゃいけないってわけじゃないって」
魔王「……そう」
魔王「……だったら!」
勇者「ッ!?」
魔王「駄目よ、勇者! 私たちは今、お互いに言の葉を交わすことが許されない関係にあるのよ」
魔王「そう、例えるなら、人間界の神話に登場する、黄泉比良坂でのイザナギのイザナミのよう……」
魔王「私が『今日より私は、日ごとに1000の悲しみに包まれるわ』と言うと、貴方はこう言うの」
魔王「『ならば俺は、毎朝枕元で、お前に1500の愛を囁いてやる』ってね。キャーーー!」
勇者「勝手に改ざんするな! というか、何言ってるのかさっぱりわからん! 支離滅裂すぎる!」
勇者「……そんなことはどうでもいいんだよ」
勇者「どうせ暇なんだろ。ちょっと付き合えよ」
魔王「で、でも……」
勇者「いや、だからなにも全く接触しちゃいけないってわけじゃないって」
魔王「……そう」
魔王「……だったら!」
勇者「ッ!?」
魔王「むぎゅー」
勇者「ちょっと、抱きつくなッ!!」
魔王「充電中」
勇者「お前は電気で動いているのか!」
魔王「しばらく勇者とスキンシップ取ってなかったから、ガス欠気味なのぉ」
勇者「動力源を統一しろ! ハイブリッドかよお前!」
魔王「……はうー」
勇者「……間の抜けた声出すなよ」
魔王「あったかぁい」
勇者「……あっそ」
勇者「ちょっと、抱きつくなッ!!」
魔王「充電中」
勇者「お前は電気で動いているのか!」
魔王「しばらく勇者とスキンシップ取ってなかったから、ガス欠気味なのぉ」
勇者「動力源を統一しろ! ハイブリッドかよお前!」
魔王「……はうー」
勇者「……間の抜けた声出すなよ」
魔王「あったかぁい」
勇者「……あっそ」
魔王「……充電あんど給油完了」
勇者「ならとっとと離れろ」
魔王「……うん」
勇者「……ゴホン」
勇者「……まあ、なんだ。最近、あまり一緒にいなかったし――」
魔王「勇者は私と一緒に遊びたいのね!」
勇者「……そう言われると、なんだか気後れするんだが」
勇者「……ぶっちゃけさ、俺ってお前と遊ぶ以外に、何をしろとも言われてないんだよな」
勇者「だからさ、正直何もすることないし、ぶらぶらして過ごしてるだけだと、なんだか自分の立場が――」
魔王「勇者はヒモだものね!」
勇者「お前にまで言われたッ!?」
勇者「ならとっとと離れろ」
魔王「……うん」
勇者「……ゴホン」
勇者「……まあ、なんだ。最近、あまり一緒にいなかったし――」
魔王「勇者は私と一緒に遊びたいのね!」
勇者「……そう言われると、なんだか気後れするんだが」
勇者「……ぶっちゃけさ、俺ってお前と遊ぶ以外に、何をしろとも言われてないんだよな」
勇者「だからさ、正直何もすることないし、ぶらぶらして過ごしてるだけだと、なんだか自分の立場が――」
魔王「勇者はヒモだものね!」
勇者「お前にまで言われたッ!?」
勇者「……やばい。なんか知らんけど、すっげーショックだ」
勇者「……というか、お前、ちゃんと知ってたんだな。ヒモの意味」
魔王「側近が教えてくれたの」
勇者「アイツ、余計なことを……」
魔王「ねえねえ、それで何をして遊ぼっか?」
勇者「何って……何だろ?」
魔王「今日は勇者の好きな遊びでいいわよ」
勇者「……じゃあ、宝探し、とか?」
魔王「宝探し?」
勇者「ここも一応魔王城なわけだろ? ならそれなりのお宝も眠ってるんじゃないのか?」
魔王「宝物庫になら金、銀、ダイヤ、ルビー、色々入ってるけど?」
勇者「……そういう生々しいのはロマンが無いなぁ」
勇者「……というか、お前、ちゃんと知ってたんだな。ヒモの意味」
魔王「側近が教えてくれたの」
勇者「アイツ、余計なことを……」
魔王「ねえねえ、それで何をして遊ぼっか?」
勇者「何って……何だろ?」
魔王「今日は勇者の好きな遊びでいいわよ」
勇者「……じゃあ、宝探し、とか?」
魔王「宝探し?」
勇者「ここも一応魔王城なわけだろ? ならそれなりのお宝も眠ってるんじゃないのか?」
魔王「宝物庫になら金、銀、ダイヤ、ルビー、色々入ってるけど?」
勇者「……そういう生々しいのはロマンが無いなぁ」
勇者「もっとこう、幻の剣とか、伝説の宝玉とか、そういう類の物は無いのか?」
魔王「さあ……。側近なら知ってるかもしれないけど」
魔王「……でも探せばきっとどこかにあるわ!」
勇者「まあ、探す過程を楽しんでこその宝探しだしな」
魔王「なら、早速探しましょ!」
魔王「魔王権限でどこでも好きな場所を探すことを許可するわ」
魔王「城内の宝をひとつ残らず、根こそぎ見つけ出しましょ!」
勇者「……いや、なにもそこまで徹底的にやろうとは言ってないけど」
魔王「さあ……。側近なら知ってるかもしれないけど」
魔王「……でも探せばきっとどこかにあるわ!」
勇者「まあ、探す過程を楽しんでこその宝探しだしな」
魔王「なら、早速探しましょ!」
魔王「魔王権限でどこでも好きな場所を探すことを許可するわ」
魔王「城内の宝をひとつ残らず、根こそぎ見つけ出しましょ!」
勇者「……いや、なにもそこまで徹底的にやろうとは言ってないけど」
勇者「んで、どこか、そういうものが眠ってそうな部屋って無いのか?」
魔王「……無いこともないと思うわ」
勇者「へぇ。で、どこなの?」
魔王「お父様の隠し部屋よ」
勇者「……いきなりすごい所出してきたな」
勇者「さすがにそれは勝手に入ったらまずいだろ」
魔王「平気よ。バレなきゃいいのよ」
勇者「おいおい、大丈夫なのかよ……」
魔王「大丈夫だって。心配しないで」
魔王「……無いこともないと思うわ」
勇者「へぇ。で、どこなの?」
魔王「お父様の隠し部屋よ」
勇者「……いきなりすごい所出してきたな」
勇者「さすがにそれは勝手に入ったらまずいだろ」
魔王「平気よ。バレなきゃいいのよ」
勇者「おいおい、大丈夫なのかよ……」
魔王「大丈夫だって。心配しないで」
魔王「……ここがお父様の部屋よ」
勇者「……広いな」
魔王「それはそうよ。元魔王なんだから」
勇者「ふぅん」
魔王「隠し部屋への入口はここよ」
勇者「……いや、ここよって言われたって、どこよ?」
魔王「勇者、知らないの? どこに入口があるか分からないから、隠し部屋って言うのよ」
勇者「……お前も知らないのか」
勇者「……広いな」
魔王「それはそうよ。元魔王なんだから」
勇者「ふぅん」
魔王「隠し部屋への入口はここよ」
勇者「……いや、ここよって言われたって、どこよ?」
魔王「勇者、知らないの? どこに入口があるか分からないから、隠し部屋って言うのよ」
勇者「……お前も知らないのか」
魔王「……確かに私にも分からないけど、ここに入口があるのは確かなの」
勇者「何でそう言い切れるんだよ」
魔王「だって私、見たもの! お父様がこの部屋に入ってそのままどこかに姿を消したのを」
勇者「……だから隠し部屋があると?」
魔王「だってそう考えるのが普通でしょ?」
勇者「まあ、そうかもしれんが」
魔王「きっとどこかに、扉を開けるスイッチがあるのよ!」
魔王「どこかなどこかな~!」
勇者「おいおい! 荒らすなって」
魔王「あっ!」
勇者「え、見つけたのか!?」
魔王「……ベッドの下から、女の人が裸になってる絵がいっぱいの本が出てきた」
勇者「……それは見なかったことにして、そっと奥に押し込んでおいてやれ」
勇者「何でそう言い切れるんだよ」
魔王「だって私、見たもの! お父様がこの部屋に入ってそのままどこかに姿を消したのを」
勇者「……だから隠し部屋があると?」
魔王「だってそう考えるのが普通でしょ?」
勇者「まあ、そうかもしれんが」
魔王「きっとどこかに、扉を開けるスイッチがあるのよ!」
魔王「どこかなどこかな~!」
勇者「おいおい! 荒らすなって」
魔王「あっ!」
勇者「え、見つけたのか!?」
魔王「……ベッドの下から、女の人が裸になってる絵がいっぱいの本が出てきた」
勇者「……それは見なかったことにして、そっと奥に押し込んでおいてやれ」
魔王「……うぅ、無い無い無ーい!」
勇者「……やっぱり隠し部屋なんて無いんじゃないのか?」
魔王「そんなこと無いと思うんだけどなぁ……」
勇者「と言っても、どこにもないじゃん」
魔王「……まったくお父様ったら、どうしてこう分かりにくくするの?」
勇者「……そりゃ、隠し部屋だからじゃねえのかぁ。あるのかどうかは知らんけどさ」
魔王「もうだんだん腹が立ってきた。絶対に見つけ出してやるんだからぁ!」
側近「……魔王様、何を騒いでいるんです?」
勇者「……やっぱり隠し部屋なんて無いんじゃないのか?」
魔王「そんなこと無いと思うんだけどなぁ……」
勇者「と言っても、どこにもないじゃん」
魔王「……まったくお父様ったら、どうしてこう分かりにくくするの?」
勇者「……そりゃ、隠し部屋だからじゃねえのかぁ。あるのかどうかは知らんけどさ」
魔王「もうだんだん腹が立ってきた。絶対に見つけ出してやるんだからぁ!」
側近「……魔王様、何を騒いでいるんです?」
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