元スレ魔王「ああ勇者、なぜあなたは勇者なの!?」

みんなの評価 : ★★★
1 :
魔王「私は魔王、あなたは勇者……」
魔王「この2つの存在は決して結ばれることが許されない、悲しき運命……」
魔王「おお、神よ! なぜこのような試練を私たちに与えたのか!?」
魔王「……神は私たちを見捨てたのか」
魔王「いえッ!! そうではないわ!!」
魔王「きっとこの試練を乗り越えた先には、宝石よりも輝かしい未来が待ってるの!!」
魔王「だから私はこの運命に屈しない!」
魔王「種族や身分の差なんて関係ない!」
魔王「そう……愛さえあればッ!!!」
勇者「うるさい少し黙れ」
2 :
うるさい少し黙れ
3 :
そうだな、黙ってろ
4 :
黙って続きを書けやコラ
5 :
遊戯王の冥王ハデスだったかのイメージで再生された
6 = 1 :
魔王「……あなたも不安なのね。分かるわ」
魔王「私だってそう。目の前に立ちはだかる壁の余りの険しさに今にも屈しそう……」
魔王「だけど、それじゃ駄目なの!!」
魔王「それじゃ運命にも抗えない!!」
魔王「2人が結ばれるには、双方の力が必要なの!」
魔王「私だけじゃダメ……、あなたの力も必要なの」
魔王「だから、私の手を取って! そして一緒に歩みましょう!!」
魔王「私たちならきっとできるわ!!」
勇者「……誰か助けて」
7 = 1 :
側近「あらあら、なんだか楽しそうですね」
勇者「なっ! 新手か!?」
側近「あ、これはこれは、勇者の方ですか?」
側近「そんなに身構えなくても、襲ったりなんかしませんよ」
勇者「……」
側近「ほらほら、私武器なんて持ってないですよ」
勇者「……まあいい」
勇者「ちょうどいい所にきた」
勇者「……こいつ、何?」
8 :
期待してるぞ
9 = 1 :
側近「何って、魔王様ですよ?」
勇者「いや、ないだろ」
側近「どうして?」
勇者「いや、だって女だし、なんか意味不明なこと喚いてるし」
側近「でも魔王様ですよ」
勇者「……イメージしてたのと違う」
側近「それでも間違いなく魔王様です」
勇者「……」
10 = 1 :
魔王「ちょっと側近! いきなり現われて、なに勇者と仲よさげに話してるの!?」
側近「あらあら、なんだか賑やかだったから私も仲間に入れてほしかったんですが」
魔王「邪魔よ邪魔!」
側近「うぅ、それは残念です」
魔王「ほら、早く出てって!」
側近「……それじゃ、失礼します」
魔王「全く……、感動的な遭遇シーンが台無しじゃない」
魔王「まあいいわ」
魔王「さあ、さっきの続きよ!」
勇者「待ってぇ! こいつと二人っきりにしないで!」
11 :
魔王がなのはさんで脳内変換された
12 = 1 :
勇者「……行ってしまった」
魔王「えっと……どこまで言ったかな」
勇者「……あのさぁ、ちょっといい?」
魔王「待って! 今セリフ思い出すから」
勇者「さっきから、お前何言ってんの?」
魔王「……へ?」
勇者「いや、へ、じゃなくて」
勇者「運命とか愛とか、訳わかんないこと言ってるけどさ」
勇者「俺はお前を倒しに来たんだ」
勇者「ごちゃごちゃ言ってないで、早く戦おうぜ」
魔王「……そう。やはり、それが運命なのね」
13 = 1 :
勇者「いくぞッ!!」
勇者は剣を振り上げて魔王に斬りかかった!
しかし魔王は避けた!
魔王「えい!」
魔王はビンタを繰り出した!
勇者の剣が真っ二つに折れた!
勇者「……はい?」
魔王の攻撃!
勇者の頬に往復ビンタを食らわせた!
勇者「ブブブブブブブブブブブブブブブブブブッ!!!」
勇者は意識をもうろうとさせている
ついに勇者はその場に倒れてしまった!
魔王は勇者にとどめを刺そうと腕を振り上げた!
魔王「……」
魔王「……できない」
魔王「やっぱり私には、勇者を殺すことなんてできないわッ!!」
魔王「ああ、神よ! なぜあなたは私にこのような仕打ちを!? お怨み申し上げます!」
勇者「……ぅぅ」
14 = 1 :
勇者「……あれ? ここは?」
側近「あ、気がつきました?」
勇者「あ、あんたは……」
側近「ここは医務室ですよ」
側近「魔王様にコテンパンにされたあなたを、私がここまで運んできたんですよ」
勇者「あ、ありがとう――」
勇者「って違う! 魔王にやられて、挙句魔物の手施しを受けただと!?」
勇者「何たる屈辱……」
15 = 1 :
側近「そんなにつんけんしなくてもいいんじゃないですか?」
勇者「う、うるさいっ!」
側近「魔物とか勇者とかどうでもいいですよ、そんなの」
勇者「どうでもいいだと!」
側近「そんな焼きたてのパンみたいな顔で怒鳴っても怖くないですよ」
勇者「は? パン?」
側近「魔王様のビンタで腫れあがって、今のあなた、すごく面白い顔になってます」
勇者「なっ!?」
16 = 4 :
さるよけ
17 = 1 :
側近「ほら、氷のうで冷やしますからじっとしていてください」
勇者「いや、いい!!」
側近「よくないです。そんな顔で出歩かれては笑い袋でなくても抱腹絶倒ものです」
勇者「勝手に笑えばいいだろ!」
勇者「魔物なんかにどう思われたって関係ない!」
側近「人間にもトロールと間違われて、出会いがしらに逃げられるかもしれませんよ」
勇者「ねえよ!!」
側近「とにかく、怪我人はじっとしていてください」
側近「じゃないと、力づくで大人しくしてもらいますよ?」
勇者「う……」
側近「私自らが介抱してるんです。むしろ幸せ者ですよ、あなた」
勇者「……頼んでねえよ」
18 = 1 :
勇者「……ところで魔王は?」
側近「魔王様ならお外で遊んでますよ」
側近「本当はこの部屋であなたの御世話をしたかったみたいですけど、私が追い出しました」
側近「医務室で騒がしくされたら困りますから」
勇者「……そうかい」
勇者「んで、あいつは一体何なんだ?」
側近「ん?」
19 = 1 :
勇者「言ってることがさっぱりだった」
勇者「間違いなく初対面のはずなのに、なぜか愛がどうとか言ってたし」
勇者「電波入ってるんじゃねえか?」
側近「まさかぁ、そこまでいきませんよ」
側近「他の娘よりちょっとだけメルヘンチックなだけですよ」
勇者「メルヘン、てかメンヘルだろ……」
側近「……あんまり魔王様のこと悪く言いますと、このメスでズタズタに切り裂いちゃいますよ?」
勇者「こわっ!!」
側近「やだ、勇者さんったら! 冗談ですよ、冗談」
勇者「そ、そっか、冗談か……ははは」
側近「……ふふふ」
勇者「……」
20 = 1 :
側近「大分腫れが引いてきましたね」
側近「さすが勇者をやってるだけあって回復が早いです」
勇者「まあな」
勇者「さて、と。じゃあ、俺は帰るよ」
側近「は?」
勇者「え?」
側近「……ただで帰すと思ってるんですか? この私がこれだけ甲斐甲斐しくあなたの御世話をしたのに」
勇者「……なんか魂胆があったのか」
側近「無かったらこんな真似しません」
勇者「……金ならないぞ」
側近「いらないですよ、人間のお金なんて」
21 = 1 :
側近「なにも取って食ったりはしませんよ」
勇者「……」
側近「ただしばらくここに滞在して、魔王様の遊び相手になってほしいなぁ、なんて」
勇者「はぁ?」
側近「ほら。魔王様、勇者さんのこと気に入ってるみたいですし」
勇者「いやだ」
側近「あんな美少女と戯れる機会なんてめったとないですよ。羨ましいぞ、このこのぉ!」
勇者「嫌だって言ってんだろ!!」
22 = 1 :
勇者「だいたいなんで俺があいつの遊び相手にならないといけないんだよ」
勇者「お前らが相手になってやれよ」
側近「そうしたいのは山々なんですけど、それじゃ駄目なんですよ」
勇者「どうして?」
側近「その相手が、勇者であることに意味があるんです」
勇者「……どういうことだ?」
側近「話せば長くなるんですけど――」
勇者「手短に話せ」
側近「やだ、せっかちさん」
勇者「うるさいバカ早く話せ」
24 = 1 :
側近「まずは魔王様の生い立ちから話さないと駄目ですね」
勇者「……長くなりそうだな」
側近「できるだけ簡単に説明します」
側近「魔王様は箱入り娘でしてね、お父様、つまり先代の魔王様からそれはもう大切に育てられました」
側近「外は危険だと城外に出ることがほとんど許されなくて、魔王様はこのお城の中でずっと過ごしていたんです」
側近「そんな生い立ちの持ち主だから、魔王様は立派な日陰少女へと成長してしまいました」
勇者「……日陰少女の割にむちゃくちゃハイテンションだったぞ?」
側近「昔はもっと大人しくて、かわいらしい深窓の令嬢だったんです」
側近「しかし、ある時を境に魔王様は変わってしまった……」
側近「そう! 人間界で流通している本にハマり込んでしまったあの日を境にッ!!」
勇者「……へぇ」
25 :
しぇん
26 = 1 :
側近「城内で引きこもっていた魔王様にとって、書物は唯一の娯楽……」
側近「ちょっとした機会に偶然目にした、人間界で流行の娯楽小説やおとぎ話に魔王様はのめりこんでしまったのです!!」
側近「貪るようにそれらの書物を読み漁る魔王様……」
側近「読み重ねるにつれて空想の世界にどっぷり浸かっていき――ついにッ!!」
側近「魔王様はそれらの世界を自分に重ね、脳内設定を作り出してしまった!!」
勇者「……それがあの訳の分からないセリフの数々の正体か」
側近「イエス。ユーはとってもクールね」
勇者「いや、なにいきなり口調変えてんの?」
側近「そう、魔王という自分の立場と、悲劇や恋愛小説に登場するヒロインを重ねてしまった」
側近「『私は魔王……勇者とは決して結ばれない運命。だけど私は運命に負けないッ!!』といった具合に」
勇者「……」
27 = 1 :
勇者「……それで俺にその悲劇のヒロインごっこに付き合えってか?」
側近「オー、ユーはベリーサッシいいね」
勇者「だからお前はさっきから何なんだよ」
勇者「……なんで俺がそんなことしなきゃならないんだよ」
勇者「そんな危ない奴の相手できるか」
勇者「つーか、お前ら魔王のことを止めてやれよ。そんなアブノーマルな魔王、いやだろ」
側近「私は昔の魔王様より今の魔王様の方が好きですよ」
側近「だって見てて楽しいですし」
勇者「巻き込まれる俺は全然楽しくねえよ!!」
29 = 1 :
勇者「そもそも俺は魔王を退治しに来てるんだぞ」
側近「……ボロ負けしたくせに」
勇者「うっ……」
勇者「つ、次こそは勝ってみせる」
側近「威勢がいいのはいいですけど、その次がありますかね?」
勇者「は?」
側近「言ったでしょ? ただで帰す気はないと」
勇者「お、脅しかよ!? そんなもんに屈したりはしないぞ!!」
側近「この私と戦うと? 剣も無いのに」
勇者「剣がなくたってやってやる!」
側近「……」
勇者「いくぞッ!!!」
勇者「……あれ?」
30 = 1 :
側近「……ようやく効いてきましたか」
勇者「か、体が、うごかな……」
側近「勇者さんが気を失っている隙に遅効性の麻酔を打っておきました」
勇者「はぁッ!?」
側近「さぁて、改めて聞きますよ? しばらくここに残って魔王様と一緒にいてくれません?」
勇者「ふざけるなッ! 俺は勇者だ、そんなことできるか!!」
側近「おやおや、まだ自分の立場が理解できていないようですね」
側近「あなたに用意されている選択肢は『イエス』か『デス』ですよ?」
勇者「うぅ……」
側近「ちなみに後者を選んだ場合、ガチムチのエリミネーターをぎっしり詰め込んだ部屋に放りこみます」
側近「さぞかし楽しいショーが繰り広げられるんでしょうね」
勇者「や、やめてくれぇッ!!!」
31 = 1 :
側近「さぁ、あなたの気持ちは……どっち!!」
勇者「分かったよ! ちょっとの間、ここにいればいいんだろ!!」
側近「ええ、その通りです」
側近「きっとそっちを選んでくれると信じてましたよ」
勇者「……脅迫しておいて何言ってるんだよ」
側近「キョーハク? オー、ムズカシイことばネ。ぜんぜんわかりまセーン」
勇者「そのキャラさっきからうぜぇ……」
側近「さて、そうと決まれば勇者さんにはこれをプレゼントしましょう」
勇者「ん? なにこれ、ブレスレット?」
側近「勇者さんが勝手に逃げないように、この城から離れると爆発する仕掛けになってます」
勇者「はぁ!?」
側近「手首と泣き別れしなくなかったら大人しくしててくださいね?」
勇者「……悪魔め」
32 = 1 :
側近「私はちょっとお仕事があるのでしばらくいなくなりますけど、この部屋でじっとしててくださいね」
側近「といっても麻酔が切れるまで動けないでしょうけど」
側近「それじゃ、失礼しますね」
勇者「……」
勇者「……なんでこんなことになってるんだよ」
勇者「俺はこんなことをしに遠路はるばる旅をしてきたんじゃないぞ」
勇者「……はぁ」
魔王「ああ、ため息なんてついて! そこまで自分の運命を卑下にすることないわ!!」
勇者「おわ!!?」
33 = 1 :
勇者「……お前、いつからいた」
魔王「側近が部屋から出て行ったのを見計らってこっそり入ったの」
勇者「……」
魔王「ああ、勇者! どうしたのその格好! どうして地べたに寝そべっているの!?」
勇者「お前の側近に薬を盛られて体が麻痺して動けないんだよ」
魔王「まあ、なんて可哀想なの! わかったわ、私に任せて!」
勇者「え、あ……」
魔王「……えっとぉ、どこにあったかしら。医務室なんてめったに来ないからどこにしまってあるか分からないわ」
34 = 1 :
魔王「……あった!」
魔王「ほら、これを食べて!」
勇者「ちょ、それ……ふがふがッ!!」
魔王「確かこれで麻痺を治せるはずよ」
勇者「……ぷはぁ! 違う! これは毒消し草だから治らねえよ!」
魔王「え?」
勇者「麻痺が治せるのはまんげつ草だ!」
35 = 1 :
魔王「……えっとぉ、これ?」
勇者「そうそれ」
魔王「そうだったのね。知らなかったわ。どれも同じだと思ってた」
勇者「んなわけねえだろ……」
魔王「じゃあ、アーンして」
勇者「は?」
魔王「アーン」
勇者「……いやいや」
魔王「アーーーーン」
勇者「…………」
魔王「もう、仕方ないわね」
勇者「ちょ、無理やり詰め込――ふがふがぁッ!!」
36 = 1 :
魔王「うふふ。そんなにはしゃいじゃって」
勇者「はしゃいでねえよ! 窒息させる気か!!」
魔王「あはは! ごめんね」
魔王「ふぅ、なんだか幸せね。幸せすぎるくらい……」
魔王「こんな幸せが……いつまでも続けばいいのに」
勇者「いや、なにいきなりしんみりし出してるの? 展開すっ飛ばしすぎだろ」
魔王「……大丈夫、きっといつまでもこの幸福な気持ちのままいられるわ」
勇者「人の話聞けよ」
魔王「私たちがお互いのことをずっと好きでいられればきっと――」
勇者「おーいおーい」
側近「……魔王様。なにをしているのですか?」
38 = 1 :
側近「何やら騒がしいので来てみれば……。少しはしゃぎすぎですよ」
魔王「来たわね、お邪魔虫」
側近「お邪魔虫って……」
魔王「私と勇者を遠ざけようとして、いったいどういうつもりよ!」
側近「別に遠ざけようとは――」
魔王「うるさいうるさいうるさーい!!」
側近「ああもう、やかましいですね」
側近「あんまりわがままが過ぎるとおやつ抜きにしますよ」
魔王「えッ!? オニぃ、アクマぁ!!」
側近「ああはいはい。早く医務室から出て行ってください。ここは騒ぐ場所じゃないですよ」
魔王「バーカバーカ! 側近のバーカ!!」
39 = 1 :
側近「はぁ……あの子はもう」
勇者「……」
側近「まあ、あの通りまだまだ子供ですから色々手を焼かすと思いますけど、仲よくしてあげてくださいね」
勇者「……無理。会話が成立しないし」
側近「無理でもやってもらいます」
勇者「なんでだよ。そもそも俺がここに留まらなきゃいけない理由が分かんねえし」
勇者「ごっこ遊びがしたきゃ、他にも代わりがいるだろ」
側近「だめですよ。あの子、勇者との恋愛ごっこにご執心みたいですし」
勇者「だからってさぁ――」
側近「それにあなたにここに留まってもらわないと、あの子勝手に外に勇者探しに行ってしまって、私たちが大変なんです」
勇者「……父親はどうしたんだよ。外に出してもらえないんじゃなかったのかよ」
側近「先代の魔王様は今の魔王様に魔王の位を譲った後、魔王様のことを私に任せて地獄の湯巡り旅行に行ってしまいました」
側近「おそらくあと何十年かは帰ってこないかと」
勇者「……いい御身分だな、おい」
40 = 1 :
勇者「……つまり魔王のためというよりお前のために残れと言ってるのか?」
側近「まさか。もちろん魔王様がお喜びになるからですよ」
側近「でも、あなたに残ってもらった方が私も楽で助かるって話です」
勇者「……父親にばれたら怒られるだろ」
側近「ばれなきゃいいんですよ、ばれなきゃ」
側近「魔王様のあの妄想癖もじきに治るかもしれませんし、それまでの辛抱です」
勇者「……治るか?」
側近「……さあ?」
勇者「……はぁ」
41 = 1 :
側近「麻痺ももう治ったみたいですし、そろそろ医務室から出ますか」
側近「いつまでもここにいたら、また魔王様が来て騒ぎかねませんし」
勇者「……出て俺はどうすればいいの?」
側近「どうしたいですか? ディナーを用意しましょうか?」
勇者「いや食欲ないから、それはいい」
勇者「それより今日はいろいろあったからもうくたくたなんだが……」
側近「そうですか。ならまだちょっと早いですけどお休みになりますか?」
勇者「そうしたいが、俺はどこで寝れば?」
魔王「私の部屋で寝ればいいわ」
勇者「うわっ!!」
側近「魔王様ッ! いつの間に!?」
42 = 1 :
魔王「私のベッドってとっても広いの! 2人で寝ても全然へっちゃらなのよ!」
側近「だめです! そんなハレンチなッ!!」
魔王「何がハレンチなの?」
側近「え……それは……」
魔王「ねえ、勇者。いいでしょ?」
魔王「一緒にベッドに入って一晩中お話しましょ? そしてお互いに愛の言葉をささやき合うの」
側近「魔王様ッ!!」
魔王「うるさいうるさいうるさーい!!」
魔王「あなたは私の側近でしょ? ならどうして私の邪魔ばかりするの?」
側近「嫁入り前なのに、魔王様の身にもしものことがあったら先代様に申し訳が立ちません!!」
魔王「もしものことって何よ?」
側近「だから、それはぁ……」
魔王「側近のことなんて放って置いていきましょ、勇者?」
勇者「嫌だよ!!」
43 = 1 :
魔王「どうして?」
勇者「どうしても何も、お前には恥じらいがないのか!!」
魔王「どうして恥じらう必要があるの?」
魔王「将来を誓い合った二人はベッドで愛し合うって本に書いてあったわよ」
魔王「これが普通なんでしょ?」
勇者「……」
側近「……すみません勇者さん。魔王様はどうも世間知らずな所がありまして」
勇者「……つまり俺らの想像してることとあいつの言ってることは違う、と?」
側近「ええ。言葉通り甘ったるい言葉を掛け合って一晩過ごしたいだけで、具体的な行為とかはその……ゴニョ」
勇者「……」
魔王「二人で内緒話なんてしないでよ!! なに話してるのよ!!」
44 = 1 :
勇者「とにかく、俺はお前となんて一緒に寝ないからな」
魔王「どうしてよ!」
勇者「どうしてもだ! 大体勇者と魔王が一緒に寝るとかありえないだろ」
魔王「だからその運命を――」
勇者「ああ分かった分かった。お前にこんなこと訊いた俺がバカだったよ」
魔王「何よそれ!!」
勇者「……とりあえず俺の部屋、どこでもいいから適当に用意してくれる?」
側近「分かりました。すぐに手配いたします」
魔王「なによなによなによぉッ!! 二人のバーカ!!」
45 = 37 :
支援をば
46 = 1 :
側近「――じゃあとりあえずここが勇者さんの部屋ということでいいですか?」
勇者「ああ」
側近「他の部屋に移りたかったら、言ってくれればすぐに替えますので」
勇者「あいよ」
側近「それじゃ、おやすみなさいませ」
勇者「おやすみぃ」
魔王「おやすみなさい、側近」
47 :
劣化断る
48 = 1 :
側近「ちょい待ち! 魔王様の部屋は違うでしょ?」
魔王「私もこの部屋でねーるーのー!!」
側近「いい加減にしないと魔王様が押し入れの奥に隠してる秘蔵本、処分しますよ」
魔王「ど、どうしてあなたが知ってるのよ!?」
側近「魔王様の部屋の掃除を誰がやってると思ってるんですか……」
魔王「うわ~ん、もう掃除なんてしなくてもいい!!」
側近「整理整頓もろくにできないくせに何言ってるんですか」
49 = 1 :
側近「じゃあ部屋でじっとしていてくださいよ」
魔王「……」
側近「間違っても勇者さんの部屋に忍び込もうなんて思わないように」
魔王「……ふん」
側近「お返事は?」
魔王「……ウス」
側近「なんですかその返事は……」
魔王「……」
側近「はぁ……まったく頼みますよ」
側近「おやすみなさい」
50 = 37 :
さるよけ支援
みんなの評価 : ★★★
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