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    元スレキョン「俺。未来から来たって言ったら笑う?」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - 神スレ + - キョン金田 + - シリアス + - ドラえもん + - ハルヒ + - 反転 + - 涼宮ハルヒの微笑 + - 涼宮ハルヒの憂鬱 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    301 = 35 :

    パン!




    やけにあっけない破裂音が鼓膜に響く



    二秒ほどの静寂


    「…え?」
    呟いたのは俺じゃない。多分ハルヒだ



    気がつくと俺は三脚を蹴り倒し走っていた



    朝比奈さんの元へ


    「朝比奈さん!!!!」

    302 :

    しえん

    303 = 35 :

    倒れた

    朝比奈さんが倒れたのだ。演技でもなんでもない。

    天井からの後光に包まれたハルヒの右腕がゆっくりと上がり、引き金に指を掛ける


    朝比奈さんの背に狙いを定め…………引き金を


    《引いた》

    ハルヒが引き金を引いた

    その瞬間だった

    何かが朝比奈さんの体を通り抜け。言葉にならない悲鳴をあげた朝比奈さんは、バネのように体がのけぞり。
    そのまま前方に倒れてしまった。

    304 = 35 :

    俺はフラッシュバックした映像を脳裏に感じながら朝比奈さんを抱き起こす

    「朝比奈さん!朝比奈さん!!」


    「な、な、なんで…だ、だって…オモチャでしょ…コ…レ」

    「ハルヒ!いいからすぐ古泉に連絡しろ!!」

    「だって…」

    ハルヒは目の前に広がる血の海を茫然と眺めるだけだった

    「クソ!一体どうなってんだ!朝比奈さん!返事をして下さい!朝比奈さん!」

    「キ…キョ…ンくん」

    「!」

    良かった!意識がある!

    306 = 153 :

    ここで追いつくとかもうね…

    しえ

    307 :

    このキョンアホすぎワロタ

    308 = 148 :

    「大丈夫ですか!?朝比奈さん!しっかりして下さい!すぐに助けを呼びますから!」

    「わ…わた…し…どうなっちゃっ…たんです…か…?」

    「銃が!ハルヒの銃が…クソ!」


    朝比奈さんから目を離し、急いでハルヒを視界に捉える

    「いや…嘘…いゃ…いやぁぁぁぁぁ!」

    ハルヒは銃を見つめながら床にへたり込み。ガタガタと震えて泣き叫んでいる
    始めてみるハルヒのそんな姿に俺はビックリした気もするが、そんなこと今は関係ない!俺が!俺がなんとかしなければ朝比奈さんが!

    309 = 148 :

    「馬鹿野郎!!ハルヒ!お前はSOS団団長だろ!しっかりしろ!!」

    「あ…ぁ…でも……でも…みくるちゃんが…うっう…う」

    クソ!今のハルヒに何を言っても駄目だ!頼む!誰か!誰か!!!


    「涼宮さん!」

    聞き慣れた声が背後から勢いよく飛びだした。

    古泉だった。傍らに長門もいる

    「古泉ぃ!直ぐに病院と救急車の手配をしろ!」
    古泉はすぐに状況を判断したのか、わかりました!と持っていた袋をかなぐり捨て急いで携帯を開く

    「長門!朝比奈さんの傷口を塞いでくれ!この際、火で炙ってふさぐなりでも構わない!」

    310 = 148 :

    すみません朝比奈さん!でもあなたに、あなたに死なれる訳にはいかないんです!

    長門はこくりと頷き、ジャンプ一つ一瞬で俺の隣に来ると、俺が必死で抑えている傷口にソッと手をかざす。
    ハルヒの目の前だがもうそんなこと知らん!

    見る見る内に朝比奈さんの傷口はレーザーの様な光線で塞がれていった。
    朝比奈さんが苦痛にうぅっと歯を食いしばる

    「な……なに…よ…どう…なってるのよ…」
    しゃくりあげながらハルヒは真っ赤にした目を見開いている

    311 = 106 :

    わっふるわふーる

    313 :

    ハッハ

    314 = 148 :

    「完了した。しかし私に治癒能力は搭載されていない。搭載されているのは自己修復能力のみ。よって直ちに治療が必要」

    「あぁ!古泉!どうだ!?」

    「後三分ほどで到着します!一番近い病院には五分ほど!」

    よし!それなら何とかなるかもしれない!
    古泉にハルヒを任せ。朝比奈さんを抱え、長門を連れて工場の外まで走る。
    クソ!
    そうだった!


    行く手にあるのは、昨日朝比奈さんがスカートを破いた場所。今の朝比奈さんを抱えながら通るのは無理だ!

    朝比奈さんを抱え走りながら俺は叫ぶ

    「ながとぉ!頼む!」

    317 = 148 :

    俺が言い終わるか終わらないかのうちに、長門は門に飛びかかり。何やら腕を一瞬で何度も十字に振った。
    刹那、門がガラガラと崩れ落ちる
    でかした長門!

    俺達が外に出るのと、法定速度を明らかに無視した救急車が到着するのはちょうど同時だった。
    ドリフトをして止まった救急車なんて映画でも見たことないぞ

    バン!と後ろのドアが開き、中から救急士と思われる人間が現れ、朝比奈さんを担架に乗せながら、付き添いの方は早く乗って下さい!と早口でまくしたてる

    「長門は古泉と一緒にハルヒのそばに頼む!ありがとな!」

    またこくりと頷き「問題ない」それだけ言った長門は、出発した救急車の遥か後ろで見えなくなるまでコッチを見ていた

    318 = 148 :

    救急車は尋常じゃないスピードで雄叫びをあげながら、前方車両をかき分けかき分け進んでいく。
    出血をホントに止めてよかったのだろうか?内部出血でさらに危なくなったんじゃないだろな?朝比奈さんの手を強く握りながら俺は自分の判断にミスが無いことを祈る。

    不意に朝比奈さんがゆっくり口を開いた。ホントに開いただけで声にはなっていない。

    「大丈夫です朝比奈さん。必ず助けます!」

    「………す…」

    「え?」

    何か伝えようとしている?俺は朝比奈さんの口元に耳をよせた

    319 = 148 :

    「す……涼……宮さ……んを…………せめない…で下さ…い」

    朝比奈さんはそれだけ言ってニッコリ笑ったかと思うと、また気を失ってしまった

    「朝比奈さん…」

    握る手の力を強めながら俺は後悔する。なんであそこでスタートと言っちまったんだ!嫌な予感はしていた筈だった。それに…
    俺はハッとしてポケットの中の機械を開いた。

    一瞬。
    死んで詫びようとさえ考えた

    全部俺のせいだ…

    今朝、後悔したばかりじゃねぇか。楽観視しすぎだってよ!この糞ボケ野郎!
    メールの文面は以下の通りだった





    ハルヒ
    止めろ
    撮影
    銃撃

    320 :

    追いついたか…ぐっぱっぱーで別れま支援

    321 = 148 :

    あの時。
    あの時コイツはまた俺達を助けようとしてメールを送ってくれた。なのに。なのに俺は…


    高校生。いや、中学生以上からそんな事をした記憶はなかった。
    何もかも解った気になって何事にも無感動。典型的な現代っ子。しかし。

    しかし気づくと俺はボロボロ泣いていた。みっともないったらありゃしない
    涙が止めどなく溢れる。朝比奈さんが死んでしまうかもしれないから?ハルヒにそれをさせてしまったから?
    それも確かにある。だけど。だけど何より自分の情けなさ、馬鹿さ加減が何より悔しくて。

    322 = 148 :

    俺は何にも分かってなかった
    ヒントはいくつもあったじゃねぇか…

    本物を使いたがっていたハルヒ

    それに昨日、古泉が言った能力の余波の観測。
    ハルヒはあの時、俺が買ってきた物にケチをつけていた。茹で玉子の方がよかったと。
    もし、ハルヒがそれを本当に望んでいたなら、オプションも何もかもひっくるめて思い通りになっているはずだった。

    ハルヒの力が働いたのはそこじゃあない。
    確かに世界改変や時間の切り取りよりは小さな。ごく小さな作用だったかもしれない。
    だが…
    だが、それは俺達にとって大きすぎる変化だった

    324 = 148 :

    運転席から到着しましたと声が聞こえ。先程とは違い、救急車はこれでもかと丁寧に停車する。俺がこの前泊まった病院だった。外には既に看護士達が待機しており、瞬く間に朝比奈さんを手術室に連れ去っていった。
    俺は握っていた手を離し。閉まる手術室の扉を、向こうの景色が見えなくなっても見つめていた。

    ポン
    と扉の上のランプが点灯した瞬間、俺は膝から崩れ落ちた。自分が軟体生物なんじゃないかと疑いたいほど体に力がはいらん。

    325 = 35 :

    同時にハルヒの方が気になり。まるで死にかけた何かのように這いつくばってソファまでたどり着いた俺は、電話帳にある古泉の名前を押す。


    「ハァ……ハァ…もしもし!?すみません!涼宮さんは長門さんに…長門さんに預けました!おそらく長門さんの家へ!」
    ツーコールで出た電話の向こうの相手は明らかに走っている最中で肩で息をしている。

    「ど、どうしたんだ古泉!」

    古泉のいつもと違う異常な口調に俺は脊椎動物へと戻される。
    問いかけに古泉は息も絶え絶え答えた
    「ハァ…ハァ…機関から……機関から非常事態宣言が!」

    古泉の慌てぶりは尋常じゃない。皮肉にもその言葉からは、今までで一番俺に古泉の人間味がある感情を感じさせた

    327 = 35 :

    非常事態宣言?それは国家が出すやつじゃあ…まさか…

    「閉鎖空間か!?」

    古泉は大声で話し続けた

    「ハァ……ハァ…はい!…かつて…かつて例をみない莫大な規模で発生しています!それも複数同時に!」

    それは日本の中にだけじゃなく。アメリカ、中国、ロシア。世界の至る所で。そういう意味でだった。


    不意に受話器からは風の雑音が消え。古泉の声だけが耳に響いた

    329 = 35 :

    「頼みます…」

    「?」


    「世界を…世界を頼みました」



    それだけいってプツリと糸が切れた
    「おい!古泉!古泉!!」
    クソ!次から次ぎへと!


    朝比奈さんはとりあえず、医者に任せるしかない。
    俺は病院のロビーを飛び出し駅までの道を走り抜ける。いつの間にか小雨が降ってやがる。早朝散歩した時とはうって変わり、俺の目にこの前と同じ景色はない。縦横無尽に建ち並ぶビルや看板は掠れ、線となり俺の後ろへ飛んでゆく

    「キミ!」

    右から恐らく俺を呼び止める声がした。誰だこんな時によ!

    「はぁ…はぁ………あ、あなたは…」

    それはワゴンが突っ込んできた日のサラリーマンだった。今はスーツではなく何かの制服を着ていたので一瞬分からなかったが確かにそうだ

    331 = 35 :

    サラリーマンに送ってもらいなんとか早く長門の家に着けた。
    車の中、サラリーマンの話しによると日本だけで10個以上の閉鎖空間が発生しているらしい。それも莫大な大きさの。更にその中で次々と神人が現れ閉鎖空間を拡大していってるとの事。
    あなたを無事送り届けたらすぐに私も一樹達の加勢にいきますとバックミラー越しに俺をみつめるサラリーマンの顔は、どこか死を覚悟しているような表情だった気がした。
    「俺のせいで…すみません」

    それしか言えない自分が嫌いになりそうだ。まぁ元々好きって訳でもないがな…

    332 = 35 :


    「あなたが謝る必要はありません」

    地震が起こって謝る人がいますか?
    そうサラリーマンは励ましの言葉をかけてくれ続けて言う
    「私達が閉鎖空間をせき止められるのはこのままのスピードなら、恐らく半日間程度でしょう。」
    その間になんとかハルヒの気持ちを鎮める方法を…か。
    神は一週間で地球を創ったらしい。でも壊す時は一瞬てか?ふざけんな

    降り際にサラリーマンは一言
    「世界と…世界と私の息子を救ってください」
    いって俺に敬礼をした。挨拶程度にする敬礼ではなく。
    背筋を伸ばし、まるで将軍相手でもあるかの様な本物の敬礼だった。

    334 = 35 :

    もう俺には荷が重すぎるなんて言ってられんな。
    ペコリと会釈で返し長門のマンションの前に立ち。見上げる。この中にハルヒが…
    セキュリティードアは俺を待ち構えていたかのように開いた。

    全く…やれやれ





    「入って」
    出迎えた制服姿の長門の後ろではハルヒが机に突っ伏して泣いていた。

    335 = 35 :


    「う…うっ…ひっく…」

    ハルヒからは完全にいつもの力強さは消え失せ俺が入って来たことにさえ気が付いていない様子だった。
    なんて声をかけたらいいんだ…
    俺には全く分からない。ただ名前を呼んでやることしか

    「ハルヒ…」


    「………キョ…ン?」

    目を腫らしたハルヒが俺に視線を預け、すがりつく。
    「うぅ…ど…ひっく…どうし…よう………!み…み…くるちゃ…んが」

    うわぁーん

    泣き声を文字にするならコレが一番相応しいだろう。
    ハルヒを知ってる奴なら、想像の真反対。いつもの対角にあるであろうハルヒの表情。

    とにかく。とにかくハルヒを安心させなければ古泉達が危ない。
    さらには古泉達がいなくなれば世界は灰色に包まれ…その先は神のみぞ知るってか

    336 = 35 :

    「ハルヒ。朝比奈さんなら俺が病院に送り届けた。だから…だからきっと大丈夫だ」

    ここで、絶対と言ってやれないのがダメだな…俺は…

    「そ…うっ…そんなの…ひっく…わ…分からないじゃ…ない…うっ…ア…アンタ…じ…自分…の体みて…うっ…見てみなさい…よ…ひっく…」

    「え?」

    かなり聞き取りづらい嗚咽混じりの言葉をようやく理解した俺は自分の体を見回す。

    338 = 35 :

    「うっ!」

    口を抑えた。抑えなければ吐いていたかもしれない。気持ち悪かったからじゃない。不安でたまらなくなったからだ。
    心のどこかにあった、《朝比奈さんが死ぬわけない》その根拠の欠片もない希望を打ち砕かれたようで。


    俺の胸から下はどす黒い赤に染まっていた。乾ききっていない箇所箇所はまだ真紅に。道理ですれ違う人すれ違う人に凝視される訳だ


    「…これ…全部…血なのか?」

    知ってた筈だった。気づいてない振りをしていた。でも解らされた。気づかされた。

    339 :

    340 = 35 :

    思いだした。
    ついさっきまで必死に必死に状況を処理してた。
    そのおかげで考えないで済んでいた。
    でもハルヒを前にして俺の心が僅かに緩んだ。もう誤魔化せない。
    俺はハルヒを見てなぜか安心したんだ。
    朝比奈さんでも長門でもない。ハルヒにだけ向けられた感情が俺の中には確かにあった。
    と、同時に緩んだ栓から闇色の思いが溢れ出す。

    341 = 148 :

    気が付くと俺も泣いていた。今度は自分が情けないからなんて格好つけた理由でなんかじゃない。ただただ不安で不安で。そんな俺を見てハルヒの不安も更に加速して泣き声の大きさも比例した

    「長門…長門ぉ…頼む…なんとか…なんとかしてくれぇ!」

    我ながらみっともない。もし上から今の自分を見下ろせたならばどれだけ恥ずかしいだろう。でもそんなの関係ない

    「長門…お前しかもう頼れないんだ…」

    こんな状況でハルヒのストレスがなくなる訳がない。従って閉鎖空間の拡大は決して止まらない。もう何もかも詰んでるんだよ。
    長門…お前はいつだって俺達のジョーカーだったよな?頼む…頼むから!これで最後でも構わない…だから…だから頼む!最後の頼みだ!

    342 = 35 :

    俺の必死の訴えを真正面からぶつけられた、その小柄な少女は一度静かに目を閉じて考える素振りを見せたかと思うと。再びゆっくり目を開き
    「私にはどうにもならない」
    一言
    それだけ。でも充分。俺を絶望に突き落とすのはそれで充分だった。

    「う、嘘だろ長門…お前なら…お前なら…」

    長門の両肩を揺さぶり懇願した。が、返ってきたのは

    344 :

    345 = 148 :

    「私の役目は涼宮ハルヒ及び、その鍵となりうるあなた二人の観察。よってあなた達二人に害がないと判断した場合。
    例えこの惑星に置けるあなた達以外の知的生命体が全滅したとしても関与は不可能。尚、その場合私の消滅が含まれるものの場合も以下同文。やりたい、したくないの問題ではない。私には不可能」

    そんな…そんな事あるかよ
    俺達だけが世界から消える。
    その方がまだマシだった。
    このままじゃ…このままじゃ


    世界だけが俺達を残して消える

    346 :

    しぇん

    347 = 106 :

    キョンよ。お前は強くあれ

    348 = 35 :

    母が消える
    父も消える
    妹も消える

      朝比奈さんも
            長門も
                 古泉も
     谷口も    国木田も
         鶴屋さんも

    学校のみんなが
    街のみんなが
    日本中、世界中全ての人が
    消える
    あの灰色の世界に押しのけられて全部消えてしまう

    349 = 148 :

    ふざけんな…
    ふざけんじゃねぇ…
    ダメだ
    ダメなんだよ
    どんなに想像しようとしても。どんなに考えても。ダメなんだよ
    誰か一人でも欠けた世界なんて想像できないんだよ!
    俺は…俺は……俺はお前達が好きなんだ!!

    「ハルヒィ!!」

    「な…何…?」
    俺の大声にハルヒはビクつき少しだけ自分を取り戻す

    「お前に話がある」

    もう言うしかない
    全てを
    包み隠さず今まであった全てを
    そしてハルヒに願ってもらうしかない。元の世界に戻してくれと。


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