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    元スレ女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」

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    みんなの評価 : ★★
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    51 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:01:36.57 ID:mqJGcSzUO (+19,+29,-2)
    百合は守備範囲外なので帰りますね
    52 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:01:42.94 ID:BCauc7DtO (+24,+29,-18)
    俺の脳内では騎士がセイバー再生されてる
    53 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:01:59.49 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-136)
    騎士(見てはいけない見てはいけない見てはいけない見てはいけない…)

    「何言ってるの?」

    騎士「い、いえ、何でも」

    騎士「…この浴室に入ったのは初めてですが…とても広いのですね」

    「騎士はいつもどんなところで?」

    騎士「まず浴槽はありません」

    騎士「バケツ一杯の湯が支給され、布で身体を拭くだけです。 外では川の水を」

    「うそっ…それで疲れがとれるの?」

    騎士「汗や汚れを落とすことだけが目的なので。 それにゆっくりしている時間もありません」

    「…大変なんだ」

    騎士「こんなものです、兵なんて」
    54 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:02:50.78 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-127)
    「…ところで、なんで服を着ているの? お風呂なのに」

    騎士「今日は飽くまで侍女の代りです」

    「……傷を見せたくないから?」

    騎士「え」

    「捲った腕も傷だらけ。 …痛くないの?」

    騎士「塞がってしまえば」

    「…傷ついてまで、守らなきゃいけないの?」

    騎士「己の命を懸けてでも」

    「……騎士が私の為に死ぬのなんて、嫌です」

    騎士「姫は優しいのですね」

    騎士「…さ、そろそろ上がりましょう。 逆上せてしまいます」

    騎士(なにより姫の白い身体は私には眩しすぎる)
    55 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:03:19.10 ID:tZHTkXxL0 (+21,+26,-1)
    百合は射程範囲なので支援します
    56 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:04:13.63 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-96)
     パチン パチン

    「…鎧着ちゃうの?」

    騎士「はい」

    「えー…」

    騎士「勤務中ですから、……」

    「…? ねぇ、何か聴こえない?」

    騎士「確かに。 歌、でしょうか。 広間の方から…」

    「行こ!」

    騎士「姫! …あぁ、もう」
    57 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:05:34.05 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-193)

    王妃「―― ―――…」

    「お母様」

    王妃「あら、姫。 …それと騎士、と言いましたか」

    騎士「……」 スッ

    「歌声が聴こえたものですから」

    王妃「そう…ごめんなさいね、うるさかったかしら?」

    「いえ、そんなことは。 とても美しい歌声で…魅かれてしまいました」

    王妃「ふふ、貴女の声も澄んでいて、とても美しくてよ」

    王妃「歌の稽古では頑張っていらしたものね」

    「ありがとうございます」

    「お母様、また歌、歌って下さいませんか?」

    王妃「ええ、もちろんです」
    58 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:06:40.44 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-98)

    騎士「心にも響きわたる、美しい歌声でしたね」

    「ええ。 私もお母様のようになりたい」

    騎士「ふふ、姫なら必ずなれますよ」

    「ありがとう」

    騎士「…あの詩は、王妃様が作られたものでしょうか」

    「そう。 お母様は作詞の才にも優れているの」

    騎士「……でも」

    騎士「…悲しい詩ですね」

    「…そう」
    59 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:07:33.79 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-104)
    ――

    兵士A「おおおお!!」

     ガキィンッッ

    兵士A「うわっ」

    騎士「踏み込みが甘い! 次!」

    「騎士ー! 頑張ってー!」

    騎士「!? 姫…うおあっ!」

     ガシャッ

    兵士B「あ、すみません」

    騎士「いや、よそ見した私が悪い……」
    60 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:08:28.92 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-85)
    騎士「…姫! 何故ここに」

    「抜け出してきたの」

    騎士「訓練場は危険だから近づいてはいけないと前言ったでしょう」

    「いいじゃない、離れていれば安全でしょう?」

    騎士「問題はそこでなく……はぁ」

    騎士「…私は姫を送り届けるから…各自励むように」

    兵たち「はっ」
    61 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:09:15.51 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-144)
    「騎士のけち」 むすっ

    騎士「離れていても危険なのですよ、剣や槍だけでなく
        別の隊では弓も扱っていて、いつ飛んでくるやも分かりません」

    「それは前聞きましたー」

    騎士「だったら守って下さらないと。 怪我をされては大変です」

    「訓練で怪我する人なんていっぱい居るじゃない」

    騎士「我々騎士や兵士はそれで良いのです」

    騎士「…さ、姫も稽古に戻ってください」

    「もう。 じゃ、また後でね」

    騎士「もう抜け出してはいけませんよ」
    62 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:10:55.69 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-113)

    「あ、騎士。 おかえりなさい」

    騎士「刺繍ですか?」

    「そ! 一人でタピストリー作るのは初めてだけど…お母様に差し上げようと思って」

    騎士「王妃様もお喜びになりますよ」

    「いつ完成するかわからないけどね」

    「お母様には内緒よ?」

    騎士「もちろんです」

    「…肩、凝ってきちゃった。 散歩に行きましょう」

    騎士「はい」
    63 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:11:49.77 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-103)
    医師「お」

    騎士「む」

    「ええと、騎士専属のお医者さん」

    医師「いや専属ってわけではないんですがね。 お散歩ですか?」

    「そう。 今日は天気がいいから」

    医師「美しい花々、姫様にお似合いですよ」

    「騎士にも言ってあげて」

    医師「と仰ってるが」

    騎士「いらん」
    64 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:12:34.42 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-130)
    「もう。 騎士だって女なんだから…」

    医師「何を言っても無駄ですよ、このアマゾネスには」

    騎士「アマゾネスと呼ぶなと前から言っているだろうヤブ医者めが」

    医師「んだとコラ」

    騎士「だいたい何故貴様が植物園に居るのだ、花なぞ貴様に似合わんぞ」

    医師「俺は奥の薬草に用があんだよ」

    医師「では姫様。 ごゆっくり」

    「はい。 …クスクス」

    騎士「? なにを笑って…」

    「仲いいなぁ、って」

    騎士「…御冗談を」
    65 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:13:20.84 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-107)
    「騎士の髪にはこの色の花が似合いそう」

    騎士「はは、鎧姿の私に花など似合いませんよ」

    「だったら脱ぎなさいっ」

    騎士「わ、やめてください」

     キャッキャウフフ ワーワー


    医師「……」

    医師「仲良いねぇ…」 ボソ
    66 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:14:05.05 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-54)
    騎士「姫、お休みの時間です」

    「はーい」


    「…ねぇ騎士。 アマゾネスって?」

    騎士「……」 ピクッ

    騎士(くそあのヤブ医者め余計な事を言いおって!)

    騎士「えー…と、…聞きたいですか?」

    「とても」
    67 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:14:55.30 ID:A6/+0sS7O (+24,+29,-1)
    寂しそうだから一声かけてやるよ。












    じゃあな
    68 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:15:00.73 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-163)
    騎士「…アマゾネスと言うのは古代の神話に出てくる、女戦士の一族です」

    「女戦士」

    騎士「そう。 彼女らは戦いの邪魔になるため、乳房を切除していたと言われています」

    「む、む、胸を…。 でも、戦いのため、なんて。 騎士もそういう所はあるんじゃない?」

    騎士「…私は切除まではできませんでしたよ、邪魔だとは思いますが。
        胸は脂肪のため、思ってた以上に傷も塞がりにくいので…もうやろうとも思いません」

    「…えっ」

    騎士「え、あ……ま、まぁ、10年程前の事です。 話を戻しましょう」
    69 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:15:36.24 ID:4NDSi5d40 (-24,-9,+0)
    支援
    70 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:15:43.55 ID:B9zbSXE00 (+30,+30,-132)
    騎士「くっ……」

    魔物「くはは、兜を外してみれば、まさか貴様が女だったとはな」

    騎士「黙れ」

    魔物「女の貴様が! 私に敵うとでも思っているのか!!」

    騎士「ええい、黙れ!!」

     ビリビリビリ

    魔物「グヘヘヘヘ、貴様の体を覆うものはもう何もない」

    騎士「あァ!!」

     クンクン

    魔物「あ゛……」

    魔物「女であることを捨てたってそこくらい洗うだろjk・・・ガクッ」

    騎士「失礼な!!!」
    71 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:15:47.47 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-142)
    騎士「何より…彼女らは自らが女であることを誇りに思っています」

    騎士「生まれた子が男であった場合、その場で殺害したという説もあります」

    「…騎士は違うの?」

    騎士「私は騎士として女であることに劣等感すら抱いています」

    騎士「戦場においても女だからと甘く見られ手を抜かれ…」

    騎士「幼少のころから思っていました、何故自分は女になってしまったのかと」

    「男に生まれたかったんだ」

    騎士「まぁ」

    「…でも、騎士が男だったら…嫌だな」 ボソ

    騎士「? 何か?」

    「何でもありません。 おやすみー」
    72 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:16:30.68 ID:PsFliNhd0 (+17,+29,-2)
    鬱とかはいやよ
    73 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:16:58.43 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-80)
    騎士「…じゃ、夜の番は任せるぞ」

    兵士C「はい」

    兵士D「あ、隊長! 医師殿が来とります」

    騎士「なっ」

    医師「よ」

    騎士「……チッ」

    医師「んな嫌そうな顔すんなよ」 ヘラヘラ

    騎士「貴様の顔を見ただけで反吐が出るわ」
    74 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:17:44.24 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-128)

    騎士「…で、何の用だ」

    医師「いや用は無いんだが…チェスしながら酒でもどうだ」

    騎士「ここは医務室だが」

    医師「細かいこと気にすんな、俺の部屋は本で足の踏み場もない」

    騎士「そんなだから女が寄って来んのだ」

    医師「うるせ」

    騎士「賭け金は」

    医師「無し」

    騎士「根性無しめが」
    75 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:18:26.64 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-83)
    医師「…姫様、お前にべったりじゃないか」

    騎士「うむ、まぁ」

    医師「満更でもなさそうだな。 まぁ愛しの姫様だし…」

    騎士「……」

    医師「…否定しない…だと…」

    医師「おいおい女同士か、俺は認めんぞ!」

    騎士「何でそうなる、それに貴様になど認められんでも良い」

    騎士「それに姫は優しいお方だ。 私でなくともあのように接して下さる」
    76 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:18:59.09 ID:lor6qYsX0 (+16,+28,+0)
    俺は構わん
    77 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:20:33.64 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-129)
    騎士「…だいたい姫は王妃様を愛しておられる」

    医師「家族愛と普通恋愛は方向が違うだろ」

    騎士「そうなのか?」

    医師「いや知らんが」

    騎士「…私がどれだけ姫を愛していようと、王妃様には適いはしない」

    騎士「とにかく…姫さえ守られさえすればよい、それが私の使命だ。 チェック」

    医師「あ!? えー、あー…」

    騎士「誘っておいて負けるとは、情けない」
    78 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:21:14.48 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-124)
    医師「……賭けなくて良かった」

    騎士「医者なら結構貰えるだろう、けちな奴だな」

    医師「医師長なら貰えるだろうが、俺らは騎士様にゃ及ばんよ」

    騎士「…金など貯まっていくだけなんだがな」

    医師「ならくれよ」

    騎士「私が死んだらくれてやってもいいぞ」

    医師「この腐れアマゾネスが戦死しますように!」

    騎士「このヤブ医者が感染症に罹りますように」
    79 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:21:25.27 ID:clV0Y5MoO (-21,-9,+0)
    支援
    80 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:22:38.68 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-94)
    ――

    騎士「姫、此処に居てください」

    騎士「お前たち、絶対に姫から離れるな。
        いざとなったら姫を連れて逃げろ、そこの壁、抜けられるようになっている」

    兵士A「はっ」

    「騎士は?」

    騎士「私は通路の魔物共を――」

    魔物「ギイイィィィィィーッッ!!」

    騎士「!」
    81 : 気に入りません - 2009/10/02(金) 21:23:04.77 ID:zW1U05PkO (+11,+26,+0)
    面白いのです
    82 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:23:20.17 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-93)
     ガリッ グチュッ

    魔物「ギッ………」 どさ

    騎士(此処は隠し部屋のはず、何故ばれた…?)

    騎士「…姫を任せたぞ」

    兵士A「はっ」

    「騎士っ」

    兵士B「姫様ご安心を、我らが必ずお守りします」

    「騎士が…」

    兵士A「あの方はお強い、大丈夫です」
    83 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:23:26.15 ID:NK35i8Jx0 (+10,+25,-12)
    しえんぬ
    84 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:24:11.57 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-131)
    騎士「貴様等、目的はなんだ?」

    魔物「ヒヒッ…コロサレルト ワカッテ ダレガ オシエr」

     ドスッ

    魔物「 」

    騎士(……雑魚ばかりではないか、外塁は何をやっている)

    騎士(…ま、空を飛ぶ相手に外で挑むのも難しいか)

    兵士「騎士殿! 魔物共が撤退したそうです」

    騎士「ん、そうか。 報告ご苦労」

    兵士「…一人でこれ全部相手にしたのですか」

    騎士「この狭く低い天井の通路では魔物の方が不利だからな」

    騎士「…返り血を浴びすぎたな、洗っておくか。 代わりに姫を迎えに行ってくれ」

    兵士「はっ」
    85 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:25:02.28 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-122)

    がばっ

    「お母様っ!」

    王妃「ああ、良かった、生きてたの……」

    「お母様も、無事で、良かった…!」


    騎士「…損害は」

    兵士「我が隊は死亡ゼロ、負傷3名」

    兵士「全体では死亡4名、負傷42名です」

    騎士「そうか、分かった」

    騎士「…前の襲撃よりは減ったか」
    86 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:26:50.74 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-87)
    騎士(隠し部屋…そこに繋がる地下通路の入り口すら、見つけるのは容易ではない)

    騎士(城でも知らぬ者がいるほどだ)

    騎士(匂いで追うにしても、それを紛らわす香が城の至る所で焚かれている)

    騎士「……」

    「騎士? どうしたの、難しい顔をして」

    騎士「いえ、何も」

    「部屋に戻りましょ」

    騎士「はい」
    87 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:27:37.18 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-156)
    騎士「…荒らされてしまいましたね。 タピストリーは大丈夫でしたか?」

    「うん、平気」

    「それより…騎士、怪我しなかった?」

    騎士「ええ、全く」

    「そう…良かった。 また私の為に騎士が傷つくなんて嫌だもの」

    騎士「ありがとうございます。 …見苦しいものをお見せしてしまいました」

    「気にしないで。 …もう、たくさん見てきたから」

    騎士「……」

    「…前もそう。 魔物が来て、城を守るために殺して、殺されて」

    「私を守る為にも、私が攫われて助ける為にも……」

    「目の前でたくさんの人が傷つき、死んでいった」

    騎士「姫…」
    88 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:29:54.36 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-136)
    「私のせいで…たくさんの人が死んでいるの」

    「…そんなの、もう嫌」

    「私なんて、居ない方が、いいんじゃないのかと、思う……」

    騎士「そんな事を言ってはなりません」

    「だって、だって…っ」 ぽろぽろ

    騎士「私には…この国には、貴女が必要なのです。
        どうか、どうかその様な悲しい事、言わないでください」

    「う、ぅ、あぁぁぁ……っ」 ぎゅうう

    騎士「……姫」 ぎゅ
    89 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:30:54.31 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-112)

    「…スー…スー…」

    騎士「……」

    騎士(……まだまだ子供だな)

    騎士(……かく言う私も、慰めることすらできない…駄目なやつだ、まったく)

    兵士C「隊長」

    騎士「…む、もう時間か」

    兵士C「いえ…ですがお疲れでしょう。 少し早いですが、交代しましょう」

    騎士「悪いな。 …就寝中に襲撃があってお前たちも…」

    兵士D「兵舎への襲撃はありませんでしたよ。 気にせんでください」

    騎士「? …そう、か。 では、頼んだ」
    90 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:32:07.12 ID:E6DFSGboO (-21,-9,+0)
    支援
    91 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:32:17.48 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-115)

    「騎士、おはよう」

    騎士「おはようございます」

    「えっと、その…昨日は、ごめんなさい」

    騎士「? 何を謝る事が」

    「弱音を吐いてしまって。 ごめん」

    騎士「…彼らは皆、姫を、国を守るために死んでいったのです
        悔いなどありません。 むしろ誇りに思っていることでしょう」

    騎士「姫は優しいお方です。 謝る事などないのです」

    「…うん」

    「でも…騎士は、死なないでね」 ぎゅ

    騎士「……ふふ」 ぎゅ
    92 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:33:09.60 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-163)
    騎士「姫は抱擁がお好きですね」

    「そう。 お母様が毎日やってくれたの」

    「優しくて、安心感があって、温かくて。 とても好き」

    「だから騎士、鎧を脱いで。 固くて冷たい」

    騎士「勤務時間中脱げるのはマントと兜までです」

    「けち」


    兵士A「いやぁ朝からお熱いですなぁ」

    兵士B「全くだ」
    93 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:35:20.11 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-183)
    ――

    「今日は騎士、お休みなの?」

    兵士A「はい、上からの休暇です」

    「…あぁ、順番に休んでいく奴ね。 騎士もお出かけするのかな」

    兵士A「いえ、兵舎の方で休んでいるかと」

    「そうなの?」

    兵士B「買い物とかをする人ではないんでね、隊長は」

    「へー。 でも家に帰ったりとかは」

    兵士A「それも無いでしょう。 隊長も孤児院の出で帰るべき家もありませんし、
         頂いた土地などにもほとんど手を出されていないようなので」

    「へー…」

    「…ね、騎士の部屋に行ってみたい」

    兵士AB「「…はい?」
    94 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:36:03.75 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-120)

    兵士A「いやいや、いくら姫様でもいけませんって」

    「騎士の部屋はここ?」

    兵士B「そうですが…いけませんよ、入っては」

    「騎士、いるかな」

    兵士A「話を聞いてください!」

    騎士「何だ人が寝ている時に騒々しい!」 ガチャッ

    兵士AB「「!!」」

    「あ、騎士。 おはよう」

    騎士「!!? 姫!? 何故、え、今はミサの時間では、あ、今日は休みの日…」
    95 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:37:09.65 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-199)
    騎士「え、と、とりあえず廊下で話すのも何ですから、汚くて狭いですが中へ」

    「ふふ、お邪魔します。 …本当に狭いのね」

    騎士「まぁ、寝るためだけの部屋ですから」

    兵士B「俺ら下っ端は同じ広さを4人で使ってるんですがね」

    騎士「ところで兵士Aは何をやっているんだ、上官に目を合わせんとは失礼な」

    兵士A「隊長お願いですから服を着てください目のやり場に困ります」

    騎士「着てるじゃないか」

    兵士A「タンクトップを服とは言いません下着です!」

    (兵士Aさんってシャイなんだ)

    兵士B(童貞乙)
    96 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:38:21.44 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-131)
    「騎士、寝てたの? 寝癖が」

    騎士「恥ずかしながら… 休みだからと昨夜少々酒が過ぎたようで」

    騎士「ところで、何故ここに?」

    「うん? 騎士に会いたかったの」

    騎士「なっ…!」

    兵士A(ああ、あんなに顔を赤くして)

    「それと、」

     ぎゅっ

    騎士「くぁwせdrftgyふじこlp;@」

    騎士「な、なっ!?」
    97 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:39:23.67 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-186)
    「ほら、前勤務中は鎧を脱げないって言っていたでしょう? だから」

    「騎士、すごく温かい」 ぎゅぅぅ

    騎士(うおおおおおひひひ姫の体温ががが伝わって伝わって伝わっttうおおおお)

    騎士(あああ、なんと美しく良い匂いの髪か、抱き抱えて口付けてしまいたい)

    騎士(って何を考えているのだ! 私は姫に仕える騎士、そんなことが許されるはずがない!)

    騎士(落ち着け! 落ち着け!! 素数を数えろ!!)

    兵士A(あんなに取り乱される隊長も珍しい…)

    「でもやっぱり、堅い。 筋肉かな」

    騎士「はぁ、まぁ、鍛えていますから…」

    「ここは柔らかいけど」 ぷに

    騎士「わ、へ、変なところ突かないで下さい!」

    兵士AB((うおォン))
    98 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:40:01.55 ID:vwVmNTtZO (-23,-11,-1)
    百合支援
    99 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:40:21.57 ID:PsFliNhd0 (+22,+29,+0)
    人間火力発電所自重
    100 : 以下、名無しにか - 2009/10/02(金) 21:41:21.85 ID:jPmLl0LF0 (+95,+30,-137)

    「それでね、お母様がね――」

    「そしたらお母様が――」

    「お母様はいつも――」

    騎士「ははは」

    騎士「……」

    騎士(今夜もまた酒を飲み過ぎそうだな…)

    「それで、お父様が――」

     カァーン カァーン カァーン カァーン カァーン カァーン!

    姫兵士AB「「!!」」

    騎士「鐘の音…魔物が現れたか!」

    騎士「6回ということは南西、此処とは逆方向
        魔物が来る前に姫を最近避難地へ、装備し次第私も行く」

    兵士AB「「はっ!」」
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