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元スレ女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」
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騎士(見てはいけない見てはいけない見てはいけない見てはいけない…)
姫「何言ってるの?」
騎士「い、いえ、何でも」
騎士「…この浴室に入ったのは初めてですが…とても広いのですね」
姫「騎士はいつもどんなところで?」
騎士「まず浴槽はありません」
騎士「バケツ一杯の湯が支給され、布で身体を拭くだけです。 外では川の水を」
姫「うそっ…それで疲れがとれるの?」
騎士「汗や汚れを落とすことだけが目的なので。 それにゆっくりしている時間もありません」
姫「…大変なんだ」
騎士「こんなものです、兵なんて」
姫「何言ってるの?」
騎士「い、いえ、何でも」
騎士「…この浴室に入ったのは初めてですが…とても広いのですね」
姫「騎士はいつもどんなところで?」
騎士「まず浴槽はありません」
騎士「バケツ一杯の湯が支給され、布で身体を拭くだけです。 外では川の水を」
姫「うそっ…それで疲れがとれるの?」
騎士「汗や汚れを落とすことだけが目的なので。 それにゆっくりしている時間もありません」
姫「…大変なんだ」
騎士「こんなものです、兵なんて」
姫「…ところで、なんで服を着ているの? お風呂なのに」
騎士「今日は飽くまで侍女の代りです」
姫「……傷を見せたくないから?」
騎士「え」
姫「捲った腕も傷だらけ。 …痛くないの?」
騎士「塞がってしまえば」
姫「…傷ついてまで、守らなきゃいけないの?」
騎士「己の命を懸けてでも」
姫「……騎士が私の為に死ぬのなんて、嫌です」
騎士「姫は優しいのですね」
騎士「…さ、そろそろ上がりましょう。 逆上せてしまいます」
騎士(なにより姫の白い身体は私には眩しすぎる)
騎士「今日は飽くまで侍女の代りです」
姫「……傷を見せたくないから?」
騎士「え」
姫「捲った腕も傷だらけ。 …痛くないの?」
騎士「塞がってしまえば」
姫「…傷ついてまで、守らなきゃいけないの?」
騎士「己の命を懸けてでも」
姫「……騎士が私の為に死ぬのなんて、嫌です」
騎士「姫は優しいのですね」
騎士「…さ、そろそろ上がりましょう。 逆上せてしまいます」
騎士(なにより姫の白い身体は私には眩しすぎる)
パチン パチン
姫「…鎧着ちゃうの?」
騎士「はい」
姫「えー…」
騎士「勤務中ですから、……」
姫「…? ねぇ、何か聴こえない?」
騎士「確かに。 歌、でしょうか。 広間の方から…」
姫「行こ!」
騎士「姫! …あぁ、もう」
姫「…鎧着ちゃうの?」
騎士「はい」
姫「えー…」
騎士「勤務中ですから、……」
姫「…? ねぇ、何か聴こえない?」
騎士「確かに。 歌、でしょうか。 広間の方から…」
姫「行こ!」
騎士「姫! …あぁ、もう」
王妃「―― ―――…」
姫「お母様」
王妃「あら、姫。 …それと騎士、と言いましたか」
騎士「……」 スッ
姫「歌声が聴こえたものですから」
王妃「そう…ごめんなさいね、うるさかったかしら?」
姫「いえ、そんなことは。 とても美しい歌声で…魅かれてしまいました」
王妃「ふふ、貴女の声も澄んでいて、とても美しくてよ」
王妃「歌の稽古では頑張っていらしたものね」
姫「ありがとうございます」
姫「お母様、また歌、歌って下さいませんか?」
王妃「ええ、もちろんです」
騎士「心にも響きわたる、美しい歌声でしたね」
姫「ええ。 私もお母様のようになりたい」
騎士「ふふ、姫なら必ずなれますよ」
姫「ありがとう」
騎士「…あの詩は、王妃様が作られたものでしょうか」
姫「そう。 お母様は作詞の才にも優れているの」
騎士「……でも」
騎士「…悲しい詩ですね」
姫「…そう」
――
兵士A「おおおお!!」
ガキィンッッ
兵士A「うわっ」
騎士「踏み込みが甘い! 次!」
姫「騎士ー! 頑張ってー!」
騎士「!? 姫…うおあっ!」
ガシャッ
兵士B「あ、すみません」
騎士「いや、よそ見した私が悪い……」
兵士A「おおおお!!」
ガキィンッッ
兵士A「うわっ」
騎士「踏み込みが甘い! 次!」
姫「騎士ー! 頑張ってー!」
騎士「!? 姫…うおあっ!」
ガシャッ
兵士B「あ、すみません」
騎士「いや、よそ見した私が悪い……」
騎士「…姫! 何故ここに」
姫「抜け出してきたの」
騎士「訓練場は危険だから近づいてはいけないと前言ったでしょう」
姫「いいじゃない、離れていれば安全でしょう?」
騎士「問題はそこでなく……はぁ」
騎士「…私は姫を送り届けるから…各自励むように」
兵たち「はっ」
姫「抜け出してきたの」
騎士「訓練場は危険だから近づいてはいけないと前言ったでしょう」
姫「いいじゃない、離れていれば安全でしょう?」
騎士「問題はそこでなく……はぁ」
騎士「…私は姫を送り届けるから…各自励むように」
兵たち「はっ」
姫「騎士のけち」 むすっ
騎士「離れていても危険なのですよ、剣や槍だけでなく
別の隊では弓も扱っていて、いつ飛んでくるやも分かりません」
姫「それは前聞きましたー」
騎士「だったら守って下さらないと。 怪我をされては大変です」
姫「訓練で怪我する人なんていっぱい居るじゃない」
騎士「我々騎士や兵士はそれで良いのです」
騎士「…さ、姫も稽古に戻ってください」
姫「もう。 じゃ、また後でね」
騎士「もう抜け出してはいけませんよ」
騎士「離れていても危険なのですよ、剣や槍だけでなく
別の隊では弓も扱っていて、いつ飛んでくるやも分かりません」
姫「それは前聞きましたー」
騎士「だったら守って下さらないと。 怪我をされては大変です」
姫「訓練で怪我する人なんていっぱい居るじゃない」
騎士「我々騎士や兵士はそれで良いのです」
騎士「…さ、姫も稽古に戻ってください」
姫「もう。 じゃ、また後でね」
騎士「もう抜け出してはいけませんよ」
姫「あ、騎士。 おかえりなさい」
騎士「刺繍ですか?」
姫「そ! 一人でタピストリー作るのは初めてだけど…お母様に差し上げようと思って」
騎士「王妃様もお喜びになりますよ」
姫「いつ完成するかわからないけどね」
姫「お母様には内緒よ?」
騎士「もちろんです」
姫「…肩、凝ってきちゃった。 散歩に行きましょう」
騎士「はい」
医師「お」
騎士「む」
姫「ええと、騎士専属のお医者さん」
医師「いや専属ってわけではないんですがね。 お散歩ですか?」
姫「そう。 今日は天気がいいから」
医師「美しい花々、姫様にお似合いですよ」
姫「騎士にも言ってあげて」
医師「と仰ってるが」
騎士「いらん」
騎士「む」
姫「ええと、騎士専属のお医者さん」
医師「いや専属ってわけではないんですがね。 お散歩ですか?」
姫「そう。 今日は天気がいいから」
医師「美しい花々、姫様にお似合いですよ」
姫「騎士にも言ってあげて」
医師「と仰ってるが」
騎士「いらん」
姫「もう。 騎士だって女なんだから…」
医師「何を言っても無駄ですよ、このアマゾネスには」
騎士「アマゾネスと呼ぶなと前から言っているだろうヤブ医者めが」
医師「んだとコラ」
騎士「だいたい何故貴様が植物園に居るのだ、花なぞ貴様に似合わんぞ」
医師「俺は奥の薬草に用があんだよ」
医師「では姫様。 ごゆっくり」
姫「はい。 …クスクス」
騎士「? なにを笑って…」
姫「仲いいなぁ、って」
騎士「…御冗談を」
医師「何を言っても無駄ですよ、このアマゾネスには」
騎士「アマゾネスと呼ぶなと前から言っているだろうヤブ医者めが」
医師「んだとコラ」
騎士「だいたい何故貴様が植物園に居るのだ、花なぞ貴様に似合わんぞ」
医師「俺は奥の薬草に用があんだよ」
医師「では姫様。 ごゆっくり」
姫「はい。 …クスクス」
騎士「? なにを笑って…」
姫「仲いいなぁ、って」
騎士「…御冗談を」
姫「騎士の髪にはこの色の花が似合いそう」
騎士「はは、鎧姿の私に花など似合いませんよ」
姫「だったら脱ぎなさいっ」
騎士「わ、やめてください」
キャッキャウフフ ワーワー
医師「……」
医師「仲良いねぇ…」 ボソ
騎士「はは、鎧姿の私に花など似合いませんよ」
姫「だったら脱ぎなさいっ」
騎士「わ、やめてください」
キャッキャウフフ ワーワー
医師「……」
医師「仲良いねぇ…」 ボソ
騎士「姫、お休みの時間です」
姫「はーい」
姫「…ねぇ騎士。 アマゾネスって?」
騎士「……」 ピクッ
騎士(くそあのヤブ医者め余計な事を言いおって!)
騎士「えー…と、…聞きたいですか?」
姫「とても」
姫「はーい」
姫「…ねぇ騎士。 アマゾネスって?」
騎士「……」 ピクッ
騎士(くそあのヤブ医者め余計な事を言いおって!)
騎士「えー…と、…聞きたいですか?」
姫「とても」
騎士「…アマゾネスと言うのは古代の神話に出てくる、女戦士の一族です」
姫「女戦士」
騎士「そう。 彼女らは戦いの邪魔になるため、乳房を切除していたと言われています」
姫「む、む、胸を…。 でも、戦いのため、なんて。 騎士もそういう所はあるんじゃない?」
騎士「…私は切除まではできませんでしたよ、邪魔だとは思いますが。
胸は脂肪のため、思ってた以上に傷も塞がりにくいので…もうやろうとも思いません」
姫「…えっ」
騎士「え、あ……ま、まぁ、10年程前の事です。 話を戻しましょう」
姫「女戦士」
騎士「そう。 彼女らは戦いの邪魔になるため、乳房を切除していたと言われています」
姫「む、む、胸を…。 でも、戦いのため、なんて。 騎士もそういう所はあるんじゃない?」
騎士「…私は切除まではできませんでしたよ、邪魔だとは思いますが。
胸は脂肪のため、思ってた以上に傷も塞がりにくいので…もうやろうとも思いません」
姫「…えっ」
騎士「え、あ……ま、まぁ、10年程前の事です。 話を戻しましょう」
騎士「くっ……」
魔物「くはは、兜を外してみれば、まさか貴様が女だったとはな」
騎士「黙れ」
魔物「女の貴様が! 私に敵うとでも思っているのか!!」
騎士「ええい、黙れ!!」
ビリビリビリ
魔物「グヘヘヘヘ、貴様の体を覆うものはもう何もない」
騎士「あァ!!」
クンクン
魔物「あ゛……」
魔物「女であることを捨てたってそこくらい洗うだろjk・・・ガクッ」
騎士「失礼な!!!」
魔物「くはは、兜を外してみれば、まさか貴様が女だったとはな」
騎士「黙れ」
魔物「女の貴様が! 私に敵うとでも思っているのか!!」
騎士「ええい、黙れ!!」
ビリビリビリ
魔物「グヘヘヘヘ、貴様の体を覆うものはもう何もない」
騎士「あァ!!」
クンクン
魔物「あ゛……」
魔物「女であることを捨てたってそこくらい洗うだろjk・・・ガクッ」
騎士「失礼な!!!」
騎士「何より…彼女らは自らが女であることを誇りに思っています」
騎士「生まれた子が男であった場合、その場で殺害したという説もあります」
姫「…騎士は違うの?」
騎士「私は騎士として女であることに劣等感すら抱いています」
騎士「戦場においても女だからと甘く見られ手を抜かれ…」
騎士「幼少のころから思っていました、何故自分は女になってしまったのかと」
姫「男に生まれたかったんだ」
騎士「まぁ」
姫「…でも、騎士が男だったら…嫌だな」 ボソ
騎士「? 何か?」
姫「何でもありません。 おやすみー」
騎士「生まれた子が男であった場合、その場で殺害したという説もあります」
姫「…騎士は違うの?」
騎士「私は騎士として女であることに劣等感すら抱いています」
騎士「戦場においても女だからと甘く見られ手を抜かれ…」
騎士「幼少のころから思っていました、何故自分は女になってしまったのかと」
姫「男に生まれたかったんだ」
騎士「まぁ」
姫「…でも、騎士が男だったら…嫌だな」 ボソ
騎士「? 何か?」
姫「何でもありません。 おやすみー」
騎士「…じゃ、夜の番は任せるぞ」
兵士C「はい」
兵士D「あ、隊長! 医師殿が来とります」
騎士「なっ」
医師「よ」
騎士「……チッ」
医師「んな嫌そうな顔すんなよ」 ヘラヘラ
騎士「貴様の顔を見ただけで反吐が出るわ」
兵士C「はい」
兵士D「あ、隊長! 医師殿が来とります」
騎士「なっ」
医師「よ」
騎士「……チッ」
医師「んな嫌そうな顔すんなよ」 ヘラヘラ
騎士「貴様の顔を見ただけで反吐が出るわ」
騎士「…で、何の用だ」
医師「いや用は無いんだが…チェスしながら酒でもどうだ」
騎士「ここは医務室だが」
医師「細かいこと気にすんな、俺の部屋は本で足の踏み場もない」
騎士「そんなだから女が寄って来んのだ」
医師「うるせ」
騎士「賭け金は」
医師「無し」
騎士「根性無しめが」
医師「…姫様、お前にべったりじゃないか」
騎士「うむ、まぁ」
医師「満更でもなさそうだな。 まぁ愛しの姫様だし…」
騎士「……」
医師「…否定しない…だと…」
医師「おいおい女同士か、俺は認めんぞ!」
騎士「何でそうなる、それに貴様になど認められんでも良い」
騎士「それに姫は優しいお方だ。 私でなくともあのように接して下さる」
騎士「うむ、まぁ」
医師「満更でもなさそうだな。 まぁ愛しの姫様だし…」
騎士「……」
医師「…否定しない…だと…」
医師「おいおい女同士か、俺は認めんぞ!」
騎士「何でそうなる、それに貴様になど認められんでも良い」
騎士「それに姫は優しいお方だ。 私でなくともあのように接して下さる」
騎士「…だいたい姫は王妃様を愛しておられる」
医師「家族愛と普通恋愛は方向が違うだろ」
騎士「そうなのか?」
医師「いや知らんが」
騎士「…私がどれだけ姫を愛していようと、王妃様には適いはしない」
騎士「とにかく…姫さえ守られさえすればよい、それが私の使命だ。 チェック」
医師「あ!? えー、あー…」
騎士「誘っておいて負けるとは、情けない」
医師「家族愛と普通恋愛は方向が違うだろ」
騎士「そうなのか?」
医師「いや知らんが」
騎士「…私がどれだけ姫を愛していようと、王妃様には適いはしない」
騎士「とにかく…姫さえ守られさえすればよい、それが私の使命だ。 チェック」
医師「あ!? えー、あー…」
騎士「誘っておいて負けるとは、情けない」
医師「……賭けなくて良かった」
騎士「医者なら結構貰えるだろう、けちな奴だな」
医師「医師長なら貰えるだろうが、俺らは騎士様にゃ及ばんよ」
騎士「…金など貯まっていくだけなんだがな」
医師「ならくれよ」
騎士「私が死んだらくれてやってもいいぞ」
医師「この腐れアマゾネスが戦死しますように!」
騎士「このヤブ医者が感染症に罹りますように」
騎士「医者なら結構貰えるだろう、けちな奴だな」
医師「医師長なら貰えるだろうが、俺らは騎士様にゃ及ばんよ」
騎士「…金など貯まっていくだけなんだがな」
医師「ならくれよ」
騎士「私が死んだらくれてやってもいいぞ」
医師「この腐れアマゾネスが戦死しますように!」
騎士「このヤブ医者が感染症に罹りますように」
――
騎士「姫、此処に居てください」
騎士「お前たち、絶対に姫から離れるな。
いざとなったら姫を連れて逃げろ、そこの壁、抜けられるようになっている」
兵士A「はっ」
姫「騎士は?」
騎士「私は通路の魔物共を――」
魔物「ギイイィィィィィーッッ!!」
騎士「!」
騎士「姫、此処に居てください」
騎士「お前たち、絶対に姫から離れるな。
いざとなったら姫を連れて逃げろ、そこの壁、抜けられるようになっている」
兵士A「はっ」
姫「騎士は?」
騎士「私は通路の魔物共を――」
魔物「ギイイィィィィィーッッ!!」
騎士「!」
ガリッ グチュッ
魔物「ギッ………」 どさ
騎士(此処は隠し部屋のはず、何故ばれた…?)
騎士「…姫を任せたぞ」
兵士A「はっ」
姫「騎士っ」
兵士B「姫様ご安心を、我らが必ずお守りします」
姫「騎士が…」
兵士A「あの方はお強い、大丈夫です」
魔物「ギッ………」 どさ
騎士(此処は隠し部屋のはず、何故ばれた…?)
騎士「…姫を任せたぞ」
兵士A「はっ」
姫「騎士っ」
兵士B「姫様ご安心を、我らが必ずお守りします」
姫「騎士が…」
兵士A「あの方はお強い、大丈夫です」
騎士「貴様等、目的はなんだ?」
魔物「ヒヒッ…コロサレルト ワカッテ ダレガ オシエr」
ドスッ
魔物「 」
騎士(……雑魚ばかりではないか、外塁は何をやっている)
騎士(…ま、空を飛ぶ相手に外で挑むのも難しいか)
兵士「騎士殿! 魔物共が撤退したそうです」
騎士「ん、そうか。 報告ご苦労」
兵士「…一人でこれ全部相手にしたのですか」
騎士「この狭く低い天井の通路では魔物の方が不利だからな」
騎士「…返り血を浴びすぎたな、洗っておくか。 代わりに姫を迎えに行ってくれ」
兵士「はっ」
魔物「ヒヒッ…コロサレルト ワカッテ ダレガ オシエr」
ドスッ
魔物「 」
騎士(……雑魚ばかりではないか、外塁は何をやっている)
騎士(…ま、空を飛ぶ相手に外で挑むのも難しいか)
兵士「騎士殿! 魔物共が撤退したそうです」
騎士「ん、そうか。 報告ご苦労」
兵士「…一人でこれ全部相手にしたのですか」
騎士「この狭く低い天井の通路では魔物の方が不利だからな」
騎士「…返り血を浴びすぎたな、洗っておくか。 代わりに姫を迎えに行ってくれ」
兵士「はっ」
がばっ
姫「お母様っ!」
王妃「ああ、良かった、生きてたの……」
姫「お母様も、無事で、良かった…!」
騎士「…損害は」
兵士「我が隊は死亡ゼロ、負傷3名」
兵士「全体では死亡4名、負傷42名です」
騎士「そうか、分かった」
騎士「…前の襲撃よりは減ったか」
騎士(隠し部屋…そこに繋がる地下通路の入り口すら、見つけるのは容易ではない)
騎士(城でも知らぬ者がいるほどだ)
騎士(匂いで追うにしても、それを紛らわす香が城の至る所で焚かれている)
騎士「……」
姫「騎士? どうしたの、難しい顔をして」
騎士「いえ、何も」
姫「部屋に戻りましょ」
騎士「はい」
騎士(城でも知らぬ者がいるほどだ)
騎士(匂いで追うにしても、それを紛らわす香が城の至る所で焚かれている)
騎士「……」
姫「騎士? どうしたの、難しい顔をして」
騎士「いえ、何も」
姫「部屋に戻りましょ」
騎士「はい」
騎士「…荒らされてしまいましたね。 タピストリーは大丈夫でしたか?」
姫「うん、平気」
姫「それより…騎士、怪我しなかった?」
騎士「ええ、全く」
姫「そう…良かった。 また私の為に騎士が傷つくなんて嫌だもの」
騎士「ありがとうございます。 …見苦しいものをお見せしてしまいました」
姫「気にしないで。 …もう、たくさん見てきたから」
騎士「……」
姫「…前もそう。 魔物が来て、城を守るために殺して、殺されて」
姫「私を守る為にも、私が攫われて助ける為にも……」
姫「目の前でたくさんの人が傷つき、死んでいった」
騎士「姫…」
姫「うん、平気」
姫「それより…騎士、怪我しなかった?」
騎士「ええ、全く」
姫「そう…良かった。 また私の為に騎士が傷つくなんて嫌だもの」
騎士「ありがとうございます。 …見苦しいものをお見せしてしまいました」
姫「気にしないで。 …もう、たくさん見てきたから」
騎士「……」
姫「…前もそう。 魔物が来て、城を守るために殺して、殺されて」
姫「私を守る為にも、私が攫われて助ける為にも……」
姫「目の前でたくさんの人が傷つき、死んでいった」
騎士「姫…」
姫「私のせいで…たくさんの人が死んでいるの」
姫「…そんなの、もう嫌」
姫「私なんて、居ない方が、いいんじゃないのかと、思う……」
騎士「そんな事を言ってはなりません」
姫「だって、だって…っ」 ぽろぽろ
騎士「私には…この国には、貴女が必要なのです。
どうか、どうかその様な悲しい事、言わないでください」
姫「う、ぅ、あぁぁぁ……っ」 ぎゅうう
騎士「……姫」 ぎゅ
姫「…そんなの、もう嫌」
姫「私なんて、居ない方が、いいんじゃないのかと、思う……」
騎士「そんな事を言ってはなりません」
姫「だって、だって…っ」 ぽろぽろ
騎士「私には…この国には、貴女が必要なのです。
どうか、どうかその様な悲しい事、言わないでください」
姫「う、ぅ、あぁぁぁ……っ」 ぎゅうう
騎士「……姫」 ぎゅ
姫「…スー…スー…」
騎士「……」
騎士(……まだまだ子供だな)
騎士(……かく言う私も、慰めることすらできない…駄目なやつだ、まったく)
兵士C「隊長」
騎士「…む、もう時間か」
兵士C「いえ…ですがお疲れでしょう。 少し早いですが、交代しましょう」
騎士「悪いな。 …就寝中に襲撃があってお前たちも…」
兵士D「兵舎への襲撃はありませんでしたよ。 気にせんでください」
騎士「? …そう、か。 では、頼んだ」
姫「騎士、おはよう」
騎士「おはようございます」
姫「えっと、その…昨日は、ごめんなさい」
騎士「? 何を謝る事が」
姫「弱音を吐いてしまって。 ごめん」
騎士「…彼らは皆、姫を、国を守るために死んでいったのです
悔いなどありません。 むしろ誇りに思っていることでしょう」
騎士「姫は優しいお方です。 謝る事などないのです」
姫「…うん」
姫「でも…騎士は、死なないでね」 ぎゅ
騎士「……ふふ」 ぎゅ
騎士「姫は抱擁がお好きですね」
姫「そう。 お母様が毎日やってくれたの」
姫「優しくて、安心感があって、温かくて。 とても好き」
姫「だから騎士、鎧を脱いで。 固くて冷たい」
騎士「勤務時間中脱げるのはマントと兜までです」
姫「けち」
兵士A「いやぁ朝からお熱いですなぁ」
兵士B「全くだ」
姫「そう。 お母様が毎日やってくれたの」
姫「優しくて、安心感があって、温かくて。 とても好き」
姫「だから騎士、鎧を脱いで。 固くて冷たい」
騎士「勤務時間中脱げるのはマントと兜までです」
姫「けち」
兵士A「いやぁ朝からお熱いですなぁ」
兵士B「全くだ」
――
姫「今日は騎士、お休みなの?」
兵士A「はい、上からの休暇です」
姫「…あぁ、順番に休んでいく奴ね。 騎士もお出かけするのかな」
兵士A「いえ、兵舎の方で休んでいるかと」
姫「そうなの?」
兵士B「買い物とかをする人ではないんでね、隊長は」
姫「へー。 でも家に帰ったりとかは」
兵士A「それも無いでしょう。 隊長も孤児院の出で帰るべき家もありませんし、
頂いた土地などにもほとんど手を出されていないようなので」
姫「へー…」
姫「…ね、騎士の部屋に行ってみたい」
兵士AB「「…はい?」
姫「今日は騎士、お休みなの?」
兵士A「はい、上からの休暇です」
姫「…あぁ、順番に休んでいく奴ね。 騎士もお出かけするのかな」
兵士A「いえ、兵舎の方で休んでいるかと」
姫「そうなの?」
兵士B「買い物とかをする人ではないんでね、隊長は」
姫「へー。 でも家に帰ったりとかは」
兵士A「それも無いでしょう。 隊長も孤児院の出で帰るべき家もありませんし、
頂いた土地などにもほとんど手を出されていないようなので」
姫「へー…」
姫「…ね、騎士の部屋に行ってみたい」
兵士AB「「…はい?」
兵士A「いやいや、いくら姫様でもいけませんって」
姫「騎士の部屋はここ?」
兵士B「そうですが…いけませんよ、入っては」
姫「騎士、いるかな」
兵士A「話を聞いてください!」
騎士「何だ人が寝ている時に騒々しい!」 ガチャッ
兵士AB「「!!」」
姫「あ、騎士。 おはよう」
騎士「!!? 姫!? 何故、え、今はミサの時間では、あ、今日は休みの日…」
騎士「え、と、とりあえず廊下で話すのも何ですから、汚くて狭いですが中へ」
姫「ふふ、お邪魔します。 …本当に狭いのね」
騎士「まぁ、寝るためだけの部屋ですから」
兵士B「俺ら下っ端は同じ広さを4人で使ってるんですがね」
騎士「ところで兵士Aは何をやっているんだ、上官に目を合わせんとは失礼な」
兵士A「隊長お願いですから服を着てください目のやり場に困ります」
騎士「着てるじゃないか」
兵士A「タンクトップを服とは言いません下着です!」
姫(兵士Aさんってシャイなんだ)
兵士B(童貞乙)
姫「ふふ、お邪魔します。 …本当に狭いのね」
騎士「まぁ、寝るためだけの部屋ですから」
兵士B「俺ら下っ端は同じ広さを4人で使ってるんですがね」
騎士「ところで兵士Aは何をやっているんだ、上官に目を合わせんとは失礼な」
兵士A「隊長お願いですから服を着てください目のやり場に困ります」
騎士「着てるじゃないか」
兵士A「タンクトップを服とは言いません下着です!」
姫(兵士Aさんってシャイなんだ)
兵士B(童貞乙)
姫「騎士、寝てたの? 寝癖が」
騎士「恥ずかしながら… 休みだからと昨夜少々酒が過ぎたようで」
騎士「ところで、何故ここに?」
姫「うん? 騎士に会いたかったの」
騎士「なっ…!」
兵士A(ああ、あんなに顔を赤くして)
姫「それと、」
ぎゅっ
騎士「くぁwせdrftgyふじこlp;@」
騎士「な、なっ!?」
騎士「恥ずかしながら… 休みだからと昨夜少々酒が過ぎたようで」
騎士「ところで、何故ここに?」
姫「うん? 騎士に会いたかったの」
騎士「なっ…!」
兵士A(ああ、あんなに顔を赤くして)
姫「それと、」
ぎゅっ
騎士「くぁwせdrftgyふじこlp;@」
騎士「な、なっ!?」
姫「ほら、前勤務中は鎧を脱げないって言っていたでしょう? だから」
姫「騎士、すごく温かい」 ぎゅぅぅ
騎士(うおおおおおひひひ姫の体温ががが伝わって伝わって伝わっttうおおおお)
騎士(あああ、なんと美しく良い匂いの髪か、抱き抱えて口付けてしまいたい)
騎士(って何を考えているのだ! 私は姫に仕える騎士、そんなことが許されるはずがない!)
騎士(落ち着け! 落ち着け!! 素数を数えろ!!)
兵士A(あんなに取り乱される隊長も珍しい…)
姫「でもやっぱり、堅い。 筋肉かな」
騎士「はぁ、まぁ、鍛えていますから…」
姫「ここは柔らかいけど」 ぷに
騎士「わ、へ、変なところ突かないで下さい!」
兵士AB((うおォン))
姫「騎士、すごく温かい」 ぎゅぅぅ
騎士(うおおおおおひひひ姫の体温ががが伝わって伝わって伝わっttうおおおお)
騎士(あああ、なんと美しく良い匂いの髪か、抱き抱えて口付けてしまいたい)
騎士(って何を考えているのだ! 私は姫に仕える騎士、そんなことが許されるはずがない!)
騎士(落ち着け! 落ち着け!! 素数を数えろ!!)
兵士A(あんなに取り乱される隊長も珍しい…)
姫「でもやっぱり、堅い。 筋肉かな」
騎士「はぁ、まぁ、鍛えていますから…」
姫「ここは柔らかいけど」 ぷに
騎士「わ、へ、変なところ突かないで下さい!」
兵士AB((うおォン))
姫「それでね、お母様がね――」
姫「そしたらお母様が――」
姫「お母様はいつも――」
騎士「ははは」
騎士「……」
騎士(今夜もまた酒を飲み過ぎそうだな…)
姫「それで、お父様が――」
カァーン カァーン カァーン カァーン カァーン カァーン!
姫兵士AB「「!!」」
騎士「鐘の音…魔物が現れたか!」
騎士「6回ということは南西、此処とは逆方向
魔物が来る前に姫を最近避難地へ、装備し次第私も行く」
兵士AB「「はっ!」」
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