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元スレ【新ジャンル】「台詞系SS総合スレ」( ^ω^)
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スタスタ……
ヒキ(そういえば自分の声聞いたのなんて四年ぶりだ……)
ヒキ(こんなにしわがれていたっけ……?)
ヒキ「……あー、あー」
ヒキ(声の出し方はまだ忘れていなかったんだ……)
ヒキ(いや……そんなことより……)
ヒキ(真っ直ぐ歩けない……)
ヒキ(こんなにふらふらするものだっけ……)
ヒキ「わ……」
ヒキ(電柱にぶつかりそうになるなんてどんだけ……)
ヒキ(……)
ヒキ(青空が……)
ヒキ(……怖い)
ヒキ(雨の日に出歩けばよかった……)
ヒキ(そうすれば傘で顔を隠せるし、人通りだって少なくなるし……)
ヒキ(……でも、それじゃあ駄目なんだ)
ヒキ(……今日。今日じゃないと……)
ヒキ(……)
ヒキ(……)
ヒキ(……街中はいやだ)
「――ハハ、それでよ――でさ」
「えー、マジで? ちょーうけるー」
「あいつちょーキモかったもんな」
「――ハハッ」
「――ギャハハ……」
ヒキ(……街中はいやだ)
「いらっしゃいませー」
ヒキ(……いい匂い。花屋なんてなんて何年ぶりだろ?)
ヒキ(五……いや六年ぐらい、かな)
ヒキ(それより……えーと、どの花がいいんだっけ?)
ヒキ(……)
ヒキ(……店員の視線が痛い……)
「どうかされましたか?」
ヒキ「っ……。い、いえ別に……」
ヒキ(声が裏返った……。恥ずかしい……)
「どの花をお探しでしょうか?」
ヒキ「え……あ……その」
「はい?」
ヒキ「いや……えっと……」
「はあ」
ヒキ「……ご、ごめんなさい……っ」ダッ
「あ」
「……なんだったのかしら?」
タッタッタ……
ヒキ(もういやだ……)
ヒキ(帰りたい……)
ヒキ(帰ってネットがしたい……)
店員『何さっきの客。マジキモイ』
ヒキ(いやだ……)
ヒキ(死にたい)
ヒキ(死にたい。死にたい、死にたい、死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい)
※
「いらっしゃいませー」
ウィーン
DQN(チッ……スーパーなんてダサいところ、久々に来たぜ)
DQN(ああウゼェ。さっきのも気にくわねえし。万引きでもしちまうか?)
DQN(それもめんどくせーな)
「ゼリー二点で二百十円です」
DQN「……」チャリン
「三百円お預かりいたします」
DQN(……)
DQN(……ウゼェ)
※
ヒキ(あ、アヒルが泳いでる……)
ヒキ(テレビを通さない本物なんて久しぶりに見た……)
ヒキ(……)
ヒキ(……僕はなにやってるんだろう)
ヒキ(こんな公園の隅っこのベンチに縮こまって……)
ヒキ(目的地までの道順も分からず……)
ヒキ(かといって帰るわけにもいかないし……)
ヒキ(まずい、泣きたくなってきた……)
ヒキ「……っ」
ヒキ(泣くな……。泣くな、僕)
ヒキ(やっと落ち着いた……)
ヒキ(……それより、道が分からないのは……どうしよう……)
ヒキ(……人に聞く?)
ヒキ(……無理! 絶対無理!)
ヒキ(じゃあ、書店に行って地図を買う?)
ヒキ(……さっきの二の舞……)
ヒキ(こんなことになるんだったら、あらかじめパソで調べてプリントアウトしとくんだった……)
ヒキ「……はぁ」
DQN「おい」
ヒキ「ひゃい……!?」
DQN「おー、やっぱりさっきのじゃねえか。元気してた?」
ヒキ「……え、えと」
DQN「お前、卑怯だよな。第三者に助けを求めるなんてよ」
ヒキ「そ、それは……」
DQN「まあ、そんなことはどうでもいいんだよ。俺今よ、財布が寂しいことになっちゃてんの」
ヒキ「そ、それが何か……?」
DQN「だーかーらー、ちょっとばかしカンパしてくれって言ってんだよゴミ」
ヒキ(で……ですよねー……)
DQN「こんな公園の隅っこじゃさっきみたいに助けははいんねーぞ」
ヒキ「っ……」
DQN「観念して財布出せよ、財布」
ヒキ(どうしようどうしよう……)
ヒキ(周りには……誰もいない……。万事休す……)
DQN「オラッ、早く出せよ」ドン
ヒキ「痛……っ」
ヒキ(……)
ヒキ(……)
ヒキ「……分かり、ました」
DQN「おー、やっと飲み込めたか馬鹿。さっさと出せよ」
ヒキ「で、でも条件があります……っ」
DQN「あン? アホかお前。この状況分かって――」
ヒキ「○○総合病院っ!」
DQN「うお……!」
ヒキ「……○○総合病院までの、道を教えて、下さい……」
DQN「……」
DQN「病院?」
ヒキ「は、はい」
DQN「お前病気持ちかなんかなのか?」
ヒキ「ぼ、僕じゃありません……。母さんが……」
DQN「お袋が?」
ヒキ「入院、してるんです」
DQN(……!)
DQN「……何だってまた」
ヒキ「……」
ヒキ「……僕は」
ヒキ「僕は……母さんを殺しかけたんです」
<数分後>
DQN「歩くのおせーな、きびきびついて来いよ」
ヒキ「ひい……ひい……」
ヒキ「……あの、何処に向かってるんですか?」
DQN「決まってんだろ、○○総合病院だよ」
ヒキ「……え?」
DQN「……」
ヒキ「どうして……」
DQN「……行き先が、同じなんだよ」
ヒキ「ま、まだお金払ってませんよね……?」
DQN「取られたいのか?」
ヒキ「! い、いえ!」
DQN「そんなことはどうでもいいんだよ」
DQN「それよかさっきの話は本当なんだろうな?」
DQN「お前がお袋殺すところだった、ってのはよ」
ヒキ「…………はい」
>>273
早速フラグって言葉使っとるww
早速フラグって言葉使っとるww
ヒキ「ちょっと話が長くなります……」
DQN「前置きはいいからさっさと話せよ馬鹿」
ヒキ「す、すみません。」
ヒキ「……僕はその……引きこもりなんです」
DQN「見りゃ分かるよ阿呆」
ヒキ「……」
ヒキ「……僕の家は普通よりちょっとだけ裕福でしたから、僕が引きこもったときもそんなに問題はありませんでした。」
ヒキ「……もっとも、最初の頃は何度も何度も引きこもりを止めるよう説得されましたが」
DQN「そりゃ、普通はな」
ヒキ「僕は止められなかった。引きこもっている方が表面上は楽に生きられたから……」
ヒキ「一年を過ぎた頃、事態が変わりました。父さんがリストラに遭ったんです」
DQN「はは、そりゃ大変だ」
ヒキ「……すぐに再就職先は見つかりました。でも、収入はガクンと落ちた」
ヒキ「母さんも働きに出るようになりました。そのときには僕の家の生活レベルはかなり低いところまで下がってましたね」
DQN「お前は?」
ヒキ「…………相変わらず、です」
DQN「ははっ、ひっでぇな」
ヒキ「母さんは毎日遅くまで働いて帰ってきました。」
ヒキ「いつも大丈夫、大丈夫と言っていましたが、僕は母さんの手ががさがさに荒れてしまったのを知っています……。顔色もいつも悪か
った……。何より前よりもずっとやつれた……」
DQN「それでもお前は相変わらず引きこもっていたと」
ヒキ「…………」
ヒキ「……僕は人間に向いていないんです。きっと……」
ヒキ「……そんな母さんが倒れるのも時間の問題でした」
ヒキ「一週間前、リビングで大きな物音がしました。僕はなんだろうと思いましたが、パソコンにかじりついたままでした」
ヒキ「でも、やっぱり気になって行ってみると――」
DQN「お袋が倒れていたと」
ヒキ「僕は慌てました。あちこちぶつかって、ゴミ箱を蹴倒しました。でもどうすればいいかわからなくて……。暫く呆然とした後――」
ヒキ「…………部屋に戻ってパソコンに没頭しました」
DQN「……」
ヒキ「……」
DQN「……最低だな、お前」
ヒキ「……自分でも、そう思います」
ヒキ「でも僕は何もできなかった」
DQN「救急車でも何でも呼べよ」
ヒキ「…………怖かったんです」
DQN「ああ?」
ヒキ「電話をして人と話すのが……」
DQN「……」
ヒキ「みっともなくガタガタ震えながらネットサーフィンをしてました」
ヒキ「幸いすぐに父さんが帰ってきて、母さんは病院に運ばれました」
DQN「親父には何か言われなかったのかよ」
ヒキ「……何も」
ヒキ「それが逆に辛かった……」
DQN「自業自得だけどな」
ヒキ「はい…………」
DQN「なるほど。確かにお袋、殺されかけたな」
ヒキ「……」
DQN「じゃあ何で見舞いになんか行くんだよ、合わせる顔がねえじゃんか」
ヒキ「……その通りです」
ヒキ「でも……。僕は母さんに会いたい……」
ヒキ「会って、ちゃんと謝りたい……!」
ヒキ「それが僕にできるたった一つの償いだから……」
DQN「そういうもんかねえ」
DQN「――ついたぞ」
ヒキ「わあ……」
ヒキ「大きい……」
DQN「当たり前だ馬鹿」
ヒキ「白い……」
DQN「見りゃ分かるだろ阿呆」
ヒキ「……病院なんて久々にみたから……」
DQN「この引きこもりが……」
> ヒキ「…………部屋に戻ってパソコンに没頭しました」
どうしてそうなったw
どうしてそうなったw
<病院内>
ヒキ「君は誰のお見舞いに来たんですか?」
DQN「……ちげーよ」
ヒキ「……でも、君は病人には見えないよ」
DQN「……」
DQN「……」
DQN「……お袋だよ」
ヒキ「君も、お母さんの?」
DQN「……ああ」
ヒキ「お母さん、何かの病気なの?」
DQN「……まあな」
ヒキ「……早く良くなるといいですね」
DQN「思わねーよそんなこと」
ヒキ「……え?」
DQN「あのクソババアはよ、もう二年も入院してやがんだ」
DQN「だが体調が回復して欲しいなんて思ったこともないね」
ヒキ「……それはまたなんで」
DQN「あいつはな、幼児虐待者なんだよ」
ヒキ「え?」
DQN「俺が幼稚園ぐらいのときかな。俺の親父が死んだんだ」
ヒキ「……ご病気?」
DQN「事故だよ。ふらふら道路に出たちっせえ俺をかばって、な」
ヒキ「……」
DQN「保険は下りたんだ、幸いな。親父、何でか知らんけど生命保険に入ってたらしくてな。だからとりあえず生活に困ることはなかった」
DQN「けどよ、あのクソババア、何をトチ狂ったか育児放棄しやがった」
DQN「それだけじゃねえぜ。俺のせいで親父が死んだって恨んでるらしくてな、俺に暴力を振るいやがった」
DQN「叩くのなんて序の口だ。それによ、叩くって手でじゃねえぜ。フライパンだよフライパン」
ヒキ「…………よく死ななかったね」
DQN「所詮女の腕だからな。それに人間、案外丈夫なもんだぜ」
DQN「あとコンロの火で手をあぶられたりよ。はさみで切りつけるのが一番好きだったみてえだけどな」
ヒキ「その顔の傷……」
DQN「おう。これは一際深くてな、ばっさりいったぜ。あん時は流石にやりすぎたって思ったのか、手当てしてもらったけどな」
ヒキ「酷いね……」
DQN「それでも俺は今、ぴんぴんしてるぜ。あのクソババアなんかに負けるかっつーの」
DQN「だから俺はお前らみたいなびくびくした奴が嫌いなんだよ。情けねえ、虐待された俺はこんなにしっかりしてるってのによ!」
ヒキ「なんか……ごめん」
DQN「お決まりに俺はぐれて、家には一ヶ月に数えるくれえしか帰らなくなったよ。で、ある日帰ったらお袋が居ねえんだ。その次も居ねえ」
DQN「ぶっ倒れて入院したって聞いたのはその数週間後だ」
ヒキ「えーと……ご愁傷さま」
DQN「全然。むしろやったと思ったね。家は俺だけのものになった。まさにパラダイスだ」
DQN「二年間ずっとそんな調子でよ、昨日家でのんびりしていたら電話がきやがった」
DQN「あのクソババア危篤だそうだ」
ヒキ「……」
DQN「それでよ、あいつうわごとで何て言ったと思う?」
DQN「俺に会いてえ、だってよ」
DQN「ふざけんな、って思ったね」
DQN「散々俺を痛めつけやがって俺に会いたい?」
DQN「アホか!」
ヒキ「っ……」
「病院内はお静かにお願いしまーす」
ヒキ「ご、ごめんなさい……」
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