しぇん

　一方その頃トイレでは、双はいろんな意味ですっきりしたあとドアに耳を当てて彼らの会話を傍受していた。

双「アレって一体なんなんだろう……。まあ電動こけし説は私の妄想だからいいとして……現実的に考えると……。
　　　……そういえば男君ってどれくらいここで働くつもりなんだろう。数ヶ月くらいかなあ。
　　　…………、三か月分の給料のプレゼントって確かプロポーズのメタファーかなんかだったよね……。もしや……」

　勝手に期待に胸（とちんこ）を膨らませる双であった。



男「実は……、アレってのは……」

友「うんうん」

男「っていうか双にだけっていうか俺も使うんだけどさ」



双「やっぱり男君も、ってことは結婚指輪的なものか何か……！？　きゃー！　私の指輪物語は始まったばかりだぜ」



男「新しいコタツ。ぶっちゃけお前とか妹とか遊びに来たとき狭くてかなわんだろ」

友「うん。そうだね」

男「しかも布団もペンペンだし」

友「恋人に家具プレゼントするって無骨だな」

男「そうかね」

友「多分」

その発想はなかった
でもそんな男がステキ

男「でかいのを買ってみんなでぬくぬく」

友「俺もカンパしよう」

男「いやいい。労働することに意味がある」

友「SOUAKA」



双「大きいの買うって聞こえたけど……、なんか大きい宝石的なものが付いたものでもくれるのかしらん。
　　あんまり豪勢なのはいらないけどなあ……」



友「結構大き目のを買おうぜ。いま俺んちにあるくらいの。あれなら四人でもゆったり」



双「ええーっ！？　四人でゆったり出来る指輪ってもう指輪じゃなくね！？？
　　いや、もしかしたら指にはめるものとは限らないかもしれない……。
　　ゆび四本分の穴に収まるもの………、ちんこ？」



男「いいね。お前んちにあるの結構あったかいし」

友「うん」



双「あったかいって……、暖めて使うオナホ？　そんなのあるのかな？
　　ってかおそろいのオナホってどうよ……。でもなんかわくわくしてきた」

友「っていうか、俺も使っていいんだよね、コタツ」

男「うん、当然」

友「中で妹とエロい事しちゃうぜふひひひひ」

男「自重しろよいいかげん」


双「ちょｗｗｗｗｗｗｗｗ友君もつかうの？ｗｗｗｗｗｗｗｗ私たちのエンゲージオナホをｗｗｗｗ。
　　ってか妹ちゃんにエロいことって一体……、
　　はっ！　まさか妹ちゃんをふたなり化してオナホで……」


双「なんというおちんちんワールド……。男くん兄妹総受け……、否、男くん総受けの予感……！！」


男「ってか双おそくね？」

友「そだな」


双「あ、まずい。怪しまれてる。とりあえず出よう」



がちゃ

双「ただいま……」

男「あ」

双「？」

男「鼻血拭けよ」

双「ごめんね……、ちょっと盗み聞きしちゃった」

男「……しかたないよ」

双「それにしてもおそろいのアレかあ……。私たちらしいっていえば私たちらしい」

男「？　まあおそろいっちゃあおそろいだが。（友宅のと）」

双「いやー、式でお互いハメあったりするのかなあ……、公衆の面前で」

男「？　何言ってるのか今ひとつわからんけど、公衆の面前ってなんだよ。普通ああいうのは居間にでもおいとくもんだろ」

双「まあそれもそうだね。さすがにそれはないか。神父さんもびっくりだよ」

男「シンプソン？」

双「まあいいや。楽しみにしてるよ！」

男「お、おう………」


友「なんかひどい勘違いをされてる気がする」

男「勘違いどころではない気がする」

友「ところでお前メイド服とか着ないの？」

男「アホか。そんな喫茶店じゃねーよ」

友「おさわりは？」

男「！」　ささっ

友「ジョークだってば」

双「ふひひｗｗｗｗｗｗ」

男「お前らそういうジョークが本気に見えて怖いんだよ。ほら、用が済んだなら帰れ！」


そんなこんなで店を追い出された二人だった。


双「ふー。安心した」

友「なにが」

双「えっちな仕事してたらどうしようかと」

友「おまえの妄想力が逞しすぎてあこがれるわ」

俺もコタツ欲しいなー

双「それに……、うふふふ」

友「怖いなその笑い」

双「大丈夫、友くんにも貸すから。妹ちゃんにしくよろ！」

友「は？　なにを」

双「こんなところで私みたいな清純派少女に言わせるわけ？　変態。
　　あ、でもおそろいのアレっていう時点で私らのほうが変態か」

友「？？？」

双「そうか、あんた私がアレだってことを知らない設定だったからおそろいっていってもわかんないか」

友「は？　おそろいって別に二つ買うわけじゃないぞ」

双「うんうん分かってる。どうせ買うものが買うものだったから、私に内緒にしてただけなんでしょう？」

友「？？？？？？？」



　数日後。


双「家具屋にデート誘われた……。デート場所に選ぶ？　常考」

友「お前ちゃんと整理して考えろよ」

双「生理……？　まさか男君は家具屋で店員からかくれてたんすの中で……、そういうプレイもありかもね」

友「？」

　そんなわけで当日。

男「うーん、このこたつもなかなかよさげ」

双「おとこくん、おとこくん」

男「？」

双「このたんすよくない？」

男「お前はなにを言って……」　ぐいっ


男「なんだよ！　急にたんすの中に押し込んだりして……、うわ、ぬ、脱がすなよっ、お、おま……あ、アッー！！！」





店員「あれ？　男女の二人組みがたんすの中に入ったと思ったら女の二人組が出てきた……。なんというイリュージョン」




コタツが欲しい編　終わり

乙

書くの遅いぜ俺！　ひゃっほー！　眠いので寝ます！　よんでくれたひとありがとう！　エロが少なくてアレだったごめんなさい！！
もっとエロいの書きたかったけどなんだかなあああああ。



そろそろ本編のちゃんとした続きみたいな話かくかも。一周年とかで。
伏線（っても奇病とかくらいしかないけどさ）投げっぱなしだし。
当時めんどくさくて書けなかった、本来の最終話みたいなのかきたい。

>>637
俺もだ。

乙！
双がたまにシリアスになる路線は終わった？忘れてただけ？

いつの間にか始まってらｗｗｗｗｗｗｗｗ
何でもいいからたくさん読みたいぜうん

もしかしなくても>>1って新ジャンル｢脳姦｣書いてた？

前スレ一周年＋２日＆現スレ一周年おつつ

同じこと考えてるやつがいるとは

もう一年か

このまま妹の処女膜も破ってしまいたいところ

バレンタインネタｺﾈｰ

ちんこチョコと聞いて飛んできました

今週末
多分金曜夜
やろうと思います

遂に闘病編か…
予定空けて待ってるぜ！

やっとktkr

スタンド「ワーク・テイカー」

はっじまっるよー

　双と男くんがあれやこれやと初めて、
　というか要するにこのスレが始まって
　一年が経ったのだったのだった。


男「いってきまーす」

母「いてらっしゃい」

父「子供たちはそろそろ登校の時間か」

母「息子も来年の今頃は受験で……」

父「……？　来年の今頃て……スレ開始時は高二って設定じゃなかったか？
　　だとすると今年受験なんじゃ…………」

母「あれ？　そうでしたっけ。まあいいのよ」

父「だがしかし……」

母「うふふふ、お父さん、大丈夫ですか？」

父「いや、か、母さん……？」

母「うふふ、うふふふふふふふ」

　要するに時系列を纏めると、スレ開始時は高一冬で、
　今はそれから丁度一年くらい経った高二冬、というわけなのであった。
　俺はぶっちゃけ今まで高一だったか高二だったか曖昧だったけど、
　とりあえず高二ってことにしとくよ！
　妹は中二女子。

男「もうすぐ期末テストだなあ。陰鬱だ」

猫たち「うなー」

男「……あ」



友「おっはー（意訳：おはようございます）」

男「……あ、おはよ」

友「どうしたボーっとして」

男「いや、さっき黒猫に道を横切られた。
　　えーっと、なんだっけ。不吉なんだっけこれ」

友「アメリカでは凶兆だがヨーロッパでは寧ろ吉兆らしいな」

男「いやでも……」

友「ん？」

男「なんか悪い予感がするなあ」

友「虫の知らせって奴か。腹ん中に寄生虫でも憑いたんじゃねえの」

　そして学校に辿り付いた一行であった。

先生「はいはい自習自習」


DQN「ドンジャラやろうぜドンジャラｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

優等生「なんで麻雀じゃないんだ……」

DQN「優等生は黙ってろよ！！」

ジャラジャラ

保「ロン。[たぬき]全員集合」

DQN「保健係TUEEEEEEEE」

保「いいから２万出せよ」


男「保健係のキャラおかしくね？」

友「しらなかったのか？
　　あいつの兄は実は大学在学中に一年休学を取って日本中を旅し
　　そして”ポンジャン放浪息子”って紀行記を出版するほどのポン雀士で……」

雀「呼んだ？」

友「呼んで無い」


保「あ、」

　ぽろり

友「なんだその擬音は。おっｐ……乳房でもこぼしたか？」

双「なぜ言い直した」

保「牌をこぼしたんだけど……。あ、あった。男くんの机の下だ。
　　ごめんちょっと取るよ」

男「ん、ああ、俺がとるよ」

保「大丈夫大丈夫、私が取る」

　保健係はそういって身を屈め、男の足元に落ちている牌に手を伸ばすが。

保「！！」　びっくら

男「？」

保「なななな、なんでもないっ！　わたし何も見て無いから、ね」

男「！？」

保「（えらいもんみてもーた……）」ぼそっ

男「ちょ……、何……」

先生「誰だ教室で麻雀やってるのは」　ガラッ

保健係「ドンジャラです」

先生「あ、なんだ。それなら良し」


男「一体なんだってんだ……」

友「どうした？」

男「いや……えっと……なんでもない」

始まってたぁぁぁぁぁ！ 何で今日飲み会なんだよﾁｸｼｮｳ

　その後男君は保険係に問い詰めてみたものの、
　保険係は「べ、べつになんでもないよ……！」というだけで話にならなかったという。


　で、昼休み。
　男くんは双を連れ出し中庭で二人っきりで飯をついばむのだった。

双「で、男くんあの時なんであんなに焦ってたの？」

男「実は……保健係がしゃがんだとき、俺の位置からだけど……
　　あいつ、お前のスカートの中身を見て……驚いたんじゃ………？」

双「ま…………まじか…………」

男「保健係は口が柔らかいからなあ……」

双「……？」

男「？」

双「やわらかい……？」

男「……あ、べ、別に俺があいつとキスしたとかそーゆーんじゃなくって、
　　なんていうか、えーっと、口が固い、の対比表現っていうか……」

双「……………」

男「……」

双「まあいいや。本当に何かあったなら後々またスレに書かれるでしょうし」

男「と、とりあえずっ！　保健係の事はおいといて」

双「……………ごめんね」

男「？」

双「え、あ、ああ、えーっと、な、なんでもないっ！
　　うーん、どうしよう。
　　っていうか私がふたなりって事、友くんも妹ちゃんも知らないし……。
　　もし皆に知れ渡っちゃったら、私への接し方とか変わらないかな……？
　　そうなるとイヤだなあなんか」

男「お前への接し方が変わらなくても俺への接し方は絶対に変わるだろうね……。
　　『えー、お前ちんこついた女と付きあってるのかよー！　掘られた？ｗｗｗｗｗｗ』
　　……って成りそう」

双「掘られてんじゃん」

男「反論できないのがやだ。変態におもわれそう」

双「変態じゃん」

男「もしくはお前の女装子説が流れて俺はBL展開を営んでる疑惑を……」

双「ホモじゃん」

男「反論できｎ……って違うわ！」

双「じゃあバイか」

男「違うってば……」

　一方そのころ。

保「じ……じつは……、私見てしまったのです」

友「はあ」

保「男くんの足が……足が……」

友「へえ」

保「つ…………、つるっつる……！」


　友は考えた。
　男くんの女装癖を保健係に打ち明けるべきかと。
　因みに保健係は男くんの所謂「女の子っぽいところ」なんて
　微塵も知らないのであった。

保「ま、まさかあの男くんが……」

友「実はあいつは……」

　そう、友は必死になって考えたのだ。
　必死になりすぎて知らず知らずのうちに空回りしていることも知らず必死になりすぎて空回りしていた。

友「ほら、最近は男性でも剃ったり……」

保「なーんだ、そうかー。私はてっきり男君が女装趣味があってそれでとか……」

友「おいおい、足つるつるなだけでそう判断するのはどうかと思うぞ」

保「だよね。あははははは」

友「あはははは」

保「あははははは」

双「あ、そうだ。明日土曜日だしさ、どっか遊びにいこうよ」

男「別にいいけど……話が急展開だな」

双「いや、今ふと思った事を言ってみただけ。
　　またさ、皆と釣りだとか行かない？　一年ぶりにさ」

男「今になって冷静に考えると、あの流れって超展開。
　　つーか今更ぶっちゃけるとスレタイからして無理があったんだよ。
　　まさか立つとは思って無かったんだと思うんだよ」

双「で、どうする？　メタ視点増えるのは末期症状の一つだし」

男「どうするって……。いや、何処行くかとか何するかとか決めてないのか」

双「もろちん、じゃなかった。もちろん。
　　……そうだ！　遊園地行こうよ遊園地。スペイン村とかさー」

男「なんでよりによってスペイン村なんだよ。
　　長島スパーランドとか鈴鹿サーキットとかじゃねえのかよ」

双「別にどこでもいいけどさ。まあ、どこでもいいから遊ぼうよ」

男「いいけど……、もうすぐ期末テストじゃん。勉強しなよ。てかしようよ」

双「大丈夫大丈夫、私普段からあんまり勉強してないから」

男「あれ……？　そうだっけ。結構『よくできる子』のイメージがあった。
　　国語とかいつも良い点取ってるじゃん」

双「……………うん」

男「？」

双「あ、いや、えっと……、
　　男くんって以外と私の事知らないんだなあって思って」

男「……ごめｎ」

双「いいのいいの。別に気にしないでよ！」

この男を見て脚の毛をそってみたのは俺だけじゃないはず

　きーんこーんかーんこーん

双「あ、予鈴鳴った。んじゃあ私ちょっと先行くねっ！　用事あるから」

　すたたたたたたたっ

　双はトイレに駆け込むと一番奥の個室に入り、
　扉に背をもたれかけ、右足でレバーを折るように蹴り、水を流した。
　水音に隠れるかのように、静かに俯いてなんかいろいろ頭ん中で呟いたりした。

　どうしてだろう。彼が自分の事を意外と知っていなかったのはどうしてだろう。自分はこんなにも彼の事を知っているのに。しぐさ、性格、優しいところ、触れちゃいけないところ、性癖、普段聞く事の出来ない声、性感帯、そういった事を知っているつもりだし、もっと知りたいし。

　双はそんな事を思い侍らすうちに、エロいことやなんやらも思いだしてしまい、
　不覚にも勃起した。
　それが自分にとって酷く悔しく、自分がふたなりであることを呪った。
　そんな自分が恥ずかしくて、なんだか男くんに申し訳ないような気もして、
　気だるく溜息を吐くと、もういちど水を流した。


男「あれ……双は？」

友「一緒じゃなかったのか？　もう授業はじまるっていうのに」

保「……（////）」

男「なんでこいつ俺みるだけで顔赤らめるの。
　　なんだ、卑猥な何かか。卑猥じゃなかったら性犯罪者か何かか」

保「（女装子なんだしあながちまちがってもないとおもう）」



双「あぶねあぶね。ぎりぎりせーふ」

保「あ、おそいよー。もう始業チャイム鳴っちゃったよ」

双「先生は？」

保「まだきてない。助かったね」


友「……なんかあったの？」

男「いや、……こんど土曜日ていうか明日、ひま？」

友「妹が暇なら俺も暇」

男「どういう理屈だそれは」

友「あ、先生きた。席着けよ」

風呂であったのだったのだった。

　んで、結局なんにも決まらないのだった。放課後。

双「ねえねえ、今日も私の家くる？」

男「うんいいよ」

友「お前らよくやるね。そのうち腰椎砕け散るぞ」

男「想像してるほどやってるわけじゃないさ」

友「まったくない訳じゃないのか」

男「へへん」


　実際はなんか最近双があんまり体力的にやる気が起きなくて、
（でも男君を犯る気だけはあるので）男君総受け状態だったりするのだった。

　まあ要するに男君が自分からアレしたりコレしたり動いたりしてるわけなのであった。
　双はそれがうれしくて（というかそういうのが興奮するので）たまに仮病ったりするのだった。

男が奉仕と聞いて

男「おじゃましまーす」

双「おじゃまされます。
　　……ごめんね、なんか急で」

男「今に始まったことじゃないだろ。どうしたんだ今日は」

双「いや、なんか……あ、ま、まあいいや！
　　お茶でも淹れるよ。えっと…………」

男「……なんかお前今日変だな」

双「そ、そうかな？」

男「保健係の事、心配？」

双「そういうわけじゃないけど……ね。いろいろあるのよ。おんなのこには」

男「…………、お医者さんになんか言われた？」

双「なんだ……、その設定まだ覚えてたんだ」

男「忘れるもんか」

双「忘れてよ。忘れて欲しい。
　　せめて、少なくとも私と居るときくらい、終りのこと考えないで欲しい」

男「……正直難しいね」

双「嬉しいよ、私は。私の事覚えててくれるのは。私がいなくなった後も」

男「ふたなりと付きあってたなんて一生忘れられないてば」

双「……ありがとう」

男「…………やっぱりなんかあったのか？」

双「ううん、何も。どうして？」

男「終りの事考えるなって言ったくせに、自分で『いなくなった後』なんて言っちゃってる」

双「ぁ……それは……、」

男「何も無いなら、一体どうしたんだよ」

双「だ、だから別になんにもないよ……。
　　そう、そうだよ！　あれだアレ。保健係のアレが気になってさ……
　　なんていうか、ボーっとしてた節があったりなかったり」

男「…………嘘つき。言ってる事が矛盾してる」

双「…………そうだったかもしれないね」

男「…………」　ふてー。

双「…………あからさまに不貞腐れるのね。オノマトペまで出てるよ」

男「ふてくされてない」

双「……そう」

男「言ってくれてもいいのに」

双「心配してくれるのは嬉しいよ」

男「心配されるような内容なのか」

双「…………」

男「……いいよ。言わなくて。本当は最初から期待してなかった」

双「サディスト」

男「どの口が言うか」

双「切実な話題で詰め寄らないでって事」

男「でもやっぱり知りたいことは知りたいさ」

双「そう……ありがとう。でも時と場合を選んでほしいな」

男「ごめん」

双「謝るのがかわいい。不貞腐れるのもかわいかった」

男「……そうか」

双「詫びにちんこ舐めてよ」

男「……やだよ」

一方そのころ

妹「うんわかったー」


妹「父母ー！　ふぼーー！」

父「まとめて呼ぶなっての」

妹「さっき兄ちゃんから電話があって、今日はなんか遅くなるだって。
　　バカップルしねばいいのに。爆死すればいいのに。
　　性別すら判断できなくなるくらい爆散すればいいのに」

父「やけに荒れてるな」

妹「ぶっちゃけ私って恋愛に関して扱いひどいとおもうわけよ。
　　まあスレがスレだし私が主人公ばりに活躍するのも変な話だけど、
　　ここはパー速だから別にその流れも有る意味容認されるだろうし。
　　……そんでもって去年のバレンタイン番外編では妙な目に合うし、
　　今年は何か私のストーリーに進展があるかと思いきや
　　SS投下すらされなかったし。書き手にやる気がまずなかったし」

父「単に話が思い付かなかっただけだろう。
　　それよかあいつが相手方の親に迷惑掛けてないか心配だ」

母「あら、お父さんご存知なかったの？」

父「ん？　何の事だい母さん」

母「あの子が付きあってるっていう女の子、一人暮らしなんですって」

父「ほう。下宿生かなんかだったりするのか」

母「そうじゃなくって、小さい頃は母子家庭だったらしいけれど、
　　母親を病気で亡くしてから云々……」

父「ふむ、そうだったのか」

母「でも良くはわからないけれど父親の事で、親戚と仲が悪いとか悪くないとか。
　　母親の葬儀の時も……」

父「詳しいな」

母「昔あの子が幼稚園児だったころ、何度か園でお会いしたことがあるのよ。
　　若くて良い人だったけれど……、確かにあまり元気な人ではなかったわ。
　　すでにあのときには随分病気が進んでたらしいですし」

男「飯、つくるよ」

双「悪いね、手伝うよ」


とんとんとんとん

ぐつぐつぐつぐつ

ざくざくざくざく


男「明日どうする？」

双「別になんでもいいよ」

男「まだ行った事のない所に行こう」

双「うん」

男「それで、そこでまだやった事のない事をやろう」

双「……うんっ」

男「でさ、まだ見た事ないもの見てさ、食べた事ないもの食べてさ、」

双「馬鹿な中学生が好きそうな台詞」

男「……俺もそう思うよ」

双「私ね、ときどき悩むの。
　　男くんとの間にもし子供が出来たら。
　　その子が大きくなるまで、少なくとも今の私達くらいになるまで
　　私が生きて居ない可能性は大きい。
　　それって本当にその子の為になるのかな。
　　私のエゴっていうか……、
　　母さんが私みたいな子を生んだみたいに全く同じ遺伝子を持った子を
　　生むんじゃなくて、男くんとの間に、普通の男性との間に普通の子を作って、
　　……、でもそういうのってある意味私の母さんへの仕返しみたいなエゴで……
　　私が母さんに押し付けられたエゴを切り捨てる為に、
　　自分の子供にそういうのを押し付けていいのかな……って。
　　むしろ、私はこのまま静かに一人で死ぬべきだったんじゃないかなって……」

　男は黙り込んでいた。
　本当は「巻き込んでからいうなよ」とか言いたかったのかも知れない。
　だが双には彼が、言葉選びに諦めたようにも見えていた。

双「母さんは、悩んだ末に答えが出せず、私にそれを託したんだと思う。
　　…………ごめんね。私が君に告白したのも、そういうのがあったからかも。
　　母さんみたいになりたくないってさ……」

　その時双は、はっと気付いた。
　また妙な空気にしてしまった事を少しばかり後悔した。
　男くんが妙な事を言って、当然そこには悪気なんてないんだろうけれど、
　私がまた変な落ち込み方してしまうのは嫌だな。
　だから、彼が口を開く前に、と考えた。
　この際台詞なんてなんだっていい。


双「君の人生、ちょっとばかし奪ってごめんね」

男「大事なとこだけ奪い去りやがって。……豆腐切ってくれ」

双「角に頭ぶつけていい？」

男「好きにしてろよ」

　ふっと、力が抜けるようにまな板に向けて倒れる双。

　ぐちょ。

男「……ほんとにやるなよ。豆腐どうすんだよ」

双「えへへ。……心配してくれた？」

男「どんな心配すりゃあいいんだ」

双「もし私がさ、さっきから悪性の腫瘍による激痛に耐えながら立っててさ、
　　それで今痛みに堪えきれず倒れてしまったんだけど、
　　君を心配させないために笑顔で誤魔化した…………、としたら？
　　………………。
　　………やだ、そんな顔しないでよ。そういう例え話よ、例え話。
　　もしもの話……、ね？」