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    元スレぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」

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    452 = 1 :

    休憩します!

    453 :

    茨木「……ふむ。そろそろ出番だな」

    マシュ「えっ」

    茨木「おねえちゃーーーん! 怖いよー! 助けてー!」ビェェェンッ!

    マシュ「えっ」

    テロリストEX「……」

    テロリストEX「動くんじゃねぇ! コイツがどうなってもいいのか!」グイッ

    茨木「きゃあっ」

    マシュ(きゃあ!?)ガビーンッ!

    エリザ「えっ。茨木?」

    テロリストEX「くくく……お前が何者なのかは知らんが、コイツと知り合いらしいな」

    テロリストEX「指一本でも動かしてみろ! コイツの脳天に風穴を開けてストロー刺されたくなかったらな!」

    茨木「お姉ちゃああああん……助けてぇぇぇ……お願い、動かないでえええ」グスグス

    エリザ「……」

    マシュ「……」

    BB(……)

    BB(こんなもの)

    マシュ(これは……なんという……)

    454 = 1 :

    マシュ&BB(まともに取り合う価値のない三文芝居です)

    マシュ(確かに大した演技力ですが、茨木さんのことをよく知っている私たちからしたら普通にバレバレです)

    BB(というかお姉ちゃんって……お姉ちゃんって……ぷぷぷ)

    BB(まあおそらく『他の関係のない誰かが人質になる前に自分が』とか考えた末の行動でしょうから間違ってはいませんが)

    BB(それにしてもアレ……本当笑っちゃうくらい演技力が無駄に高ァ……あははっ!)

    マシュ(笑っちゃダメですよ……)

    BB(ま、解説する気も失せますが、茨木さんが普段絶対取らないような言動で動かないで、と言っているのなら)

    BB(真意はまったくの逆。実際のところ『どんどん動け。躊躇うな』って言ってるも同義です)

    BB(エリザさんもそこに気付くはず)

    エリザ「え、えと……」アタフタ

    マシュ「……」

    マシュ(あ、あれ? 気付いてないような?)

    BB(は? そんなバカな。流石に彼女も気付くはず……?)

    エリザ「あ、あの。あわわ……どうしよう。どうしたらいいのかしら」オロオロ

    マシュ「……!?」

    BB(気付いてねぇーーーッ!)ガビーンッ!

    マシュ(そういえば彼女、おふざけがあんまり通じない人でしたーーーッ!)

    455 = 1 :

    ああ、ダメだアルトリアガチャで爆死した傷が癒えてないので精神がガタガタ……続きはしばらく後……

    456 :

    そんな時は落ち着いてガチャを回せば精神も回復するぞ

    458 = 1 :

    悪魔に魂を売り渡し、どうにか白い槍王と手を取ることができた。
    そして復活できた……財布がわかりやすく軽くなった……私は……満足、だ……

    460 = 1 :

    茨木「うええええん、お姉ちゃああああ……あ、あれ?」

    茨木「あ、あの……やっぱりちょっとは動いてもいいかなーって……?」アタフタ

    マシュ(茨木さんも予想外すぎて素に戻りかけてる!)

    エリザ「この卑怯者! 大体、こんなことをして何が目的よ!」

    テロリストい「我々の目的は――」

    エリザ「うおりゃああああああッ!」ブンッ

    テロリストい「ぎゃあああああああ! ふ、太ももがーーーッ!」ブシュウウウ!

    エリザ「……あなたたちの主張はよくわかったわ。やっぱり生粋のクソ野郎どもじゃない」ギリィッ

    マシュ(まだ一ッ言たりとも喋ってませんでしたが!?)ガビーンッ!

    BB(そして卑怯者と罵ってる割には普通に動いてるんですよね。これ茨木さんを抱き込んでるヤツ以外は普通に攻撃するノリですよ)

    テロリストEX「な、なんだコイツは!?」ガーンッ!

    マシュ(私が聞きたいくらいです……!)

    461 = 1 :

    エリザ「茨木! 何をしているの! 目を覚ましなさい!」

    エリザ「あなたなら一瞬でそこのクソ野郎を灰にできるでしょう!?」

    エリザ「ていうか狂スロットが扱ってない限りは頭蓋骨で銃弾を弾けるじゃないアンタ!」

    エリザ「ほーら! がんばれ! がんばれ! 負けるな! 応援ソング唄うから!」フレーフレー!

    茨木「たかが人間がそんなことするかァッ!」ガァ!

    エリザ「何言ってんの人間じゃないでしょアンタ!」

    テロリストEX「ん? ん? ええ……?」

    BB(まずいですね。段々と演技が剥がれてバレかけてますよ)

    マシュ「ちょ、エリザさんそこまでに……!」バッ

    BB(あ、ダメ! この緊迫状況でそんな迂闊に動いたら――!)


    バァンッ!


    エリザ「……」

    茨木「……あ?」

    茨木(銃声……? 吾の後ろから?)

    茨木(いや……それよりなんだ、エリザのあの顔は。感情がゴッソリ抜け落ちたような……)

    茨木(……)

    茨木「魔酒?」

    462 = 1 :

    テロリストろ「動くな、と言ったはずだ。ほら友達の片方がこんなふうに死んじゃうから」

    茨木「……」

    茨木(ああ、そうか。拘束されている間、吾と喋っていたものな。これで関係がバレない方がおかしい、か)

    エリザ「……」

    エリザ「茨木。もういいわ。おふざけはおしまい」

    茨木「あいわかった」

    茨木「……そもそも人命を念頭において行動するなど七面倒くさかったのだ」

    テロリストEX「何を言って……」



    ボォゥッ!



    テロリストEX「え、あ、なに……景色が歪んで……」

    茨木「おーおー。よく燃えよるわ。完璧に火だるまになっておる」

    エリザ「じゃ、これを復讐の狼煙として始めましょうか」

    テロリストEX「……あ、ひ、い、ぎ、あぎゃあああああああああ!?」ボオオオオオ!

    エリザ「……マシュが傷つくの、結構トラウマものなのよ。特にあの終局特異点を経てからはね」

    エリザ「あなたたちは私の逆鱗に触れた」

    茨木「食う価値もない。死ね」

    テロリストは「な、な、な……!?」ガタガタ

    テロリストは(バカな……俺たちは夢でも見ているのか……?)

    テロリストは(人の四肢が簡単に切り落とされたり、人体がキャンプファイアーみたいに燃えあがったり……!?)

    463 = 1 :

    マシュ(……頭が、グラグラします)

    BB(まー。ギリギリのところで致命傷を逸らしたとはいえ、銃弾が頭のすぐ傍を通れば脳震盪くらい起こしますって)

    BB(私に感謝してくださいよ。監視カメラのお陰で視野角が広がってた私が、直前で肉体の主導権を奪った結果ですので)

    BB(肩から大袈裟に血が出てますが、この程度なら問題ありませんし)

    マシュ(……ん? 熱い、んですけど。何か起こってます?)

    BB(……)

    BB(いえ? 不自然なことは何も?)

    464 = 1 :

    テロリストろ「ああああああ! あああ、あああああ!」ガクガク

    エリザ「黙らせたかったから下顎を取ってあげたのだけど……ふふっ。いい表情で泣くわねぇ」

    エリザ「じゃ、特別扱いはこれでお終い。あとは足を刈るからゆっくり死んでね?」ザシュッ

    茨木「……お前はいい。お前もいい」クンクン

    「あ、あ、あ……!?」ガタガタ

    おばちゃん「お、お願い! この子だけは……この子だけは……!」ガタガタ

    茨木「お前もお前も違う。だからいい」

    サラリーマン的な男「や、やめてくれ……頼む、殺さないで……!」ガタガタ

    茨木「あ、お前はダメだ」ガッ

    サラリーマン的な男「ひ、い、やめっ……やめろ! 離せ!」

    茨木「誤魔化せると思ったか? 火薬臭いぞ。しかも、ほら。人質を縛るロープを自前で解けるように刃物も渡されてるな?」

    茨木「つまり死ね」ゴオッ!

    サラリーマン的な男「ひ、あ、熱……ああああああああああああああ!」ボォォォォ!



    マシュ(……凄い熱いです……)モゾッ

    テロリストは「はっ……!?」

    テロリストは(あ、あの子……死んでない? 生きてる?)

    テロリストは(よ、よかった! これで俺たちが裁かれる理由はなくなる! 早く教えてあげないと)ダッ

    エリザ「……」

    エリザ「近づくな」

    テロリストは(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないィィィ……!)

    エリザ「マシュに近づくなっつってんのよ、下郎」

    465 = 1 :

    グサァッ! ビシャッ


    マシュ(……なにか温かいものが顔にかかったような……)

    マシュ(ん。やっと周りが見えてきました)

    マシュ「……エリザ、さん……?」

    エリザ「あ。マシュー! よかったー! ねえ、血がいっぱい出てるわよ! 大丈夫!?」

    エリザ「ううん、大丈夫なわけないわよね! 痛いわよね! ごめんなさい、私が茨木の演技を見抜けなかったから」エグエグ

    マシュ「え、そ、そんな……私の方こそ、うっかり動いてしまって……」

    マシュ「……」

    マシュ「……!?」

    エリザ「もう大丈夫よ。マシュ。あなたを傷つける人間は、今から全部いなくしてあげるから」

    エリザ「私たちが処理するから。ね?」

    マシュ「な……な……!?」

    マシュ(人が焼け焦げたもの。人が千切れたもの。人が、人が、人が……)

    マシュ(血だらけで、灰だらけ。見渡す限り地獄のような惨劇しか見えない)

    マシュ(人質は全員無事。でも、みんなエリザさんや茨木さんのことを心底怯え切った目で見ている)

    マシュ(……人質の中に紛れ込んだテログループの人を、狩ったんだ……! 酷い方法で!)

    466 = 1 :

    マシュ「なんで、こんな酷いことを……!」

    エリザ「……」

    エリザ「なんで? マシュに酷いことしたからよ? 当然じゃない?」

    マシュ「当然じゃないです! やられたからやり返すなんていうのは子供の理屈です! 明らかに、これは……!」

    エリザ「別にいいじゃない。あれ確実に世界にいらない類の人種だし」

    マシュ「それを決めることができる人間なんていません! エリザさん!」

    エリザ「……本気で言ってる?」

    マシュ「え?」

    エリザ「ねえ。忘れたの? この世界を救ったのは私たち。主にあなたとマスターよ?」

    エリザ「なら、この現代の人間の命は全部あなたたちのものだとは思わない?」

    マシュ「……」

    マシュ「何を、言って……!」

    エリザ「人の命は同じ重さを持っている、って点に関しては納得してあげてもいいわ」

    エリザ「でも人の命の価値には明確に差があるの。私にとっては、私とマスターとマシュの命が一番重いわ」

    マシュ「――!」

    エリザ「だから、剪定するの。私の大事なあなたちを守るため。ガーデニングでも害虫駆除は基本でしょ?」ニコニコ

    467 = 1 :

    マシュ「……ダメ、です。そんなの……やめて……お願い、止まってください……!」

    マシュ「私は、大事な友人のあなたたちに、こんなことしてほしくないんです!」

    エリザ「あ、そう? ごめんなさい。でもやめないわ」

    エリザ「だってあなた、最初から私がこういう英霊だって知ってたでしょ?」

    エリザ「それでも仲良くなってくれたんでしょ?」

    マシュ「……」

    エリザ「どれだけヤンチャしても、怒ったあとは仲直りできる。そういうあなただから私は悪を成せるの」

    エリザ「……ていうかむしろマシュの方が私たちの友情を舐めてるわね」

    エリザ「こんな軽めの拷問程度で収まる怒りじゃないのよ。だって、本当にあなたが大事なんだもの」

    マシュ「……!」

    エリザ「さ。続けましょう! 出てきなさいよ! まだ遠くまで行ってないことはわかってる!」

    エリザ「全員を一人ずつ一人ずつ炙り出して、絶対的な苦痛を与えてやるわ!」

    エリザ「私たちの怒りを思い知れ。私たちを舐めたことを後悔しなさい。私たちのことを未来永劫忘れるな!」

    エリザ「私は……私は……!」






    ぐだ「……令呪を持って我がサーヴァントに命ず」

    エリザ「え?」

    ぐだ「落ち着け、エリザベート・バートリー」キィンッ!

    エリザ「……ッ!」

    マシュ「せ……!」

    BB(……センパイ)

    468 = 1 :

    夕飯の時間なので休憩!

    469 :

    エリー、デオン、ジャック、BB、茨木


    マスター!令呪足りません!

    470 :

    エリザ以外は話せばなんとかなりそうじゃん
    それより人質の記憶をどうにかして消さないと

    471 :

    キスでもすれば止まるんじゃね(すっとぼけ)

    472 = 469 :

    記憶の方は悪鯖達が気迫全開で脅せば消せるでしょ(人格が無事とは言ってない)

    473 :

    魔術協会「事後処理が…」

    474 :

    エリザ「……子イヌ。なんでここに」

    ぐだ「まー。来るだろ。来ないと思ってたお前の神経にビックリ仰天だ」

    ぐだ「……随分と派手にやったなバケモン。可愛くっても所詮は血に飢える殺人鬼か?」

    エリザ「……」

    ぐだ「茨木。お前もだ。わざわざ見た目が酷くなるような処理しやがって」

    茨木「不満か?」

    ぐだ「当然だろ。というか聞くまでもないことだ」

    ぐだ「で。BB。俺がもうちょっと早くここに辿り着いていれば、この惨劇ももうちょっとマシになってたと思うが……」

    ぐだ「……やっぱりコレだな。お前が俺に見せたかったものって」

    マシュBB「おや。おやおやおや。何故そう思うんです? なにか根拠でも?」ニヤニヤ

    ぐだ「ついさっきここに来たエリザは置いといて、だ」

    ぐだ「ずっとお前と一緒にいたはずの茨木が、俺がここに来た瞬間に意外そうな顔をした」

    ぐだ「つまり、お前は俺に対して人質の状況を事細かに報告してたのに対して、茨木に対しては全然情報を渡してなかったということだ」

    ぐだ「確かに正規品の銃がこんな形で流れたのは予想外だったんだろうが」

    ぐだ「……途中からそれを利用した悪だくみをし始めたんだろ?」

    マシュBB「すべて推測ですよぉ」ニヤニヤ

    ぐだ「ニヤニヤ笑いを浮かべながらの台詞だとは思えないな」

    ぐだ「……まあ流石にマシュは俺がここに来ることは知ってただろうけどさ」

    ぐだ「なあマシュ、それとなくはぐらかされてたからわかんなかっただろ? 茨木の方に情報が流れてないことに気づきもしなかった」

    マシュ「……あ、ああっ! そういえば!」

    マシュ「BBさんと当たりまえみたいに喋っていたから、茨木さんも当然聞こえているものだと思っていましたが……」

    マシュ「聞こえるわけありません! だって意思疎通はすべて脳内で行ってたんですから!」

    マシュBB「ああっれー。そういえば茨木さんに情報行ってませんでしたねー」ニヤニヤ

    マシュBB「いやー。うっかりうっかり。そういえば口にしてませんでしたね。実はセンパイ、私が呼んだんですよ」ニヤニヤ

    茨木「この女……」

    475 = 1 :

    エリザ「目的は何? 私たちの醜態を子イヌに見せること?」

    マシュBB「……」

    マシュBB「超ビックリ! 頭の悪いエリザさんの回答がなんと大正解!」

    マシュBB「あははっ! 最初は完全に善意だったんですけど、なんか無警戒で前のめりすぎるセンパイを見てる内にイライラしてきちゃって!」

    マシュBB「なので上手い感じに立ち回りました。彼の夢を覚ますために」

    エリザ「……なに? コイツが私たちにどんな夢見てたっていうの?」

    マシュBB「信用できる。信頼できる。自分の言うことをわかってくれる。きっと相互理解できる、みたいな」

    マシュBB「そういう甘っちょろい願望全部ぶち壊そうと思ったんですよ」

    マシュBB「だぁってー。本当に彼、このままじゃいつか死んでしまいますもの? この程度の気遣いは普通にしますってぇー!」ニヤニヤ

    エリザ「なるほど。あなたのやりたいことはわかったわ。地獄に堕ちなさい」

    マシュBB「私は死にましぇぇーーーんっ! みんなのことを! 愛しているからーーー!」ビェェェン!

    マシュBB「……で? で? センパイ、どうです? この惨状!」

    マシュBB「みぃーんな、あなたの大好きなサーヴァントたちがやったことですよ! キチンと目を逸らさず受け止めてくださいよぉ」

    マシュBB「吐き気がするでしょ? 怖いでしょ? それが普通なので別に全然かまわないのですが!」ニヤニヤ

    マシュBB「ああ、そうそう。もしもカルデアを辞めたくなったら私にご相談を! 後腐れなくカルデアから除籍させてあげますので――」

    ぐだ「まずは口を閉じろ。マシュの顔でBBの表情をされると本当に気持ち悪い」

    ぐだ「……何度も言わせないでくれ」

    マシュBB「……ふふふ」

    476 = 1 :

    ぐだ「お前の大迷惑な企みはよぉーっくわかった」

    ぐだ「……そうか。なるほど。確かにこれは目を逸らしたくなるレベルだな」

    ぐだ「俺の方にこの刃が向けられる可能性も、まあ確かにあるだろうさ」

    ぐだ「……」

    ぐだ「まあまだ先だろうけど」

    マシュBB「……え」

    ぐだ「気付いてないのか? どちらかというと、ハメられたのはお前の方だぞ」

    ぐだ「勝ったつもりになってペラペラ喋りやがって。油断しすぎだギーク」

    エリザ「……ぷぷぷー! ああ、なるほど。ハメる側になると面白いわね、本当!」

    マシュBB「えっ。えっ?」

    茨木「なあ。BB。気付いてなかったのか?」






    茨木「吾ら、誰も殺してないぞ。まだ誰も」

    マシュBB「……」

    マシュBB「なんだってぇーーー!?」ガビーンッ!

    477 = 1 :

    マシュBB「ば、バカな……いや、えっ!? 待って! 死んでない!?」

    マシュBB「最初に茨木さんが火だるまにしたヤツは」

    茨木「燃えたのは表面だけだぞ。すぐ病院に担ぎ込めば助かる」

    マシュBB「エリザさんが散々バラバラにしたヤツは!?」

    エリザ「ん? まだ死なないわよ。残り数十年の命を一生病院のベッドの上で過ごすことにはなるだろうけど」

    マシュBB「その他もろもろ! まさか、全員!? いやいや一人くらいは――!」

    ぐだ「何度も言わせるなBB。誰も死んでない。なんなら今からお前が確認しろ」

    ぐだ「確かにエリザのキレっぷりは本物だったし、このまま行けば本当に死んでたかもしれんが……」

    ぐだ「決定的に脳天を叩き潰されたり、心臓をエグられたヤツが一人もいない」

    ぐだ「全部手遅れだと思って自分の企みを駄々流しにしたお前だけが、この空間で唯一のバカだ」

    マシュBB「」

    ぐだ「……まあお前の一番の敗因は……」

    ぐだ(俺の遅れを五分ちょっとくらいに設定したことだろうな)

    ぐだ(本当ならもっと遅れさせることもできただろう)

    ぐだ(だがそれはできなかった。コイツ自身の『遅れさせると被害が広がり過ぎるかも』という良心が邪魔したから)

    ぐだ(……意地悪なくせに不必要に優しいところが最悪の欠点で、お前の最高なところだよ)

    ぐだ「……修正されたら困るから言わないけど」

    マシュBB「そ、そんなぁーーー!」ガビーンッ!

    478 = 1 :

    マシュBB「……バカ、な……エリザさん、茨木さん……!」

    マシュBB「なんで口を挟まなかったんですか? もっと早い段階で『誰も殺してない』とセンパイに弁明していれば……!」

    茨木「自分がここまで醜態を晒すこともなかった、か?」

    エリザ「さっき茨木のやったことの焼き直しだったから、二度目は間違えないわよ」

    マシュBB「え?」

    エリザ「信頼できる誰かが普段は絶対に言わないことを言ったときは、演技してるんでしょ?」

    茨木「マスターはエリザのことを『バケモン』と呼んだ。どんな状況に陥ろうが、マスターはこんなことは言わないのだ」

    エリザ「まー。事実ではあるんだけど、結構心が抉られる一言だから」

    エリザ「……優しいマスターがこんなことを言うのなら、何かあると思って黙ってるわよ。私も」

    ぐだ「状況が状況だったとは言え、ごめんな」

    エリザ「いいのよ。だってあなたは私のことを信じてくれるんでしょう?」

    エリザ「……それなりに応えて当然じゃない」

    マシュBB「……ば、か、な……!?」ガタガタ

    479 = 1 :

    マシュ(……BBさん。何故こんなマネを。一歩間違えたら本当に死人が出てたんですよ?)

    BB(それは……それは……!)

    BB(……)

    マシュ(まさか、さっきまで言ってたこと、本気で言ってたんですか?)

    マシュ(先輩は故郷に残った方がいいって)

    BB(当然じゃないですか! エリザさんもジャックさんも茨木さんも、デオンさんですら!)

    BB(センパイから奪うことしかしてなかったんですよ! 彼の安全を思えば引きはがした方がいいに決まっているでしょう!)

    マシュ(そんなものは単なる善意の押し付けです!)

    BB(願望を押し付けているあなたと何が違うんですかッ!)

    マシュ(それは……!)

    BB(……失礼。あまりにも感情的になりすぎました)

    BB(ちっ。人間に絆されましたか)

    BB(また私は……人間に……!)

    480 = 1 :

    ぐだ「……なあBB。俺はお前のことも信じてるぞ」

    マシュBB「……!」

    ぐだ「ただ、善意から生まれた行動だったとしても迷惑なら突っぱねるし」

    ぐだ「悪意から生まれた行動だったとしても有用なら乗っかるだけだ」

    ぐだ「……お前自身の人格に関しては修正させる気も起こらない」

    マシュBB「……」

    ぐだ「ただ誰かを犠牲にして俺を助ける計画ならやめてくれ」

    ぐだ「どうしても必要になったと感じたとしても事前に俺に相談してくれ」

    マシュBB「許容できませんか? いつか絶対にそういう状況に陥るとしても?」

    ぐだ「……『誰かを犠牲にして助かる計画』は、一度やったらクセになりそうで怖いんだよ」

    ぐだ「クセになって、繰り返して、その先に待ち受けているものは多分……」

    ぐだ「……お前自身が滅ぶ未来だ」

    マシュBB「傲慢ですね。あなたのために私が身を捧げることなんてありませんよ」

    ぐだ「本当に?」

    マシュBB「……いえ、絶対とは言えませんが……!」

    マシュBB「……くだらない。未来の予測なんてものを不自由な人間が語らないでください」

    マシュBB「もうこの舞台に意味はなくなりました。私も本気で協力しますので、全部制圧しきっちゃいましょう」

    ぐだ「おう」

    BB(確かにセンパイは、あのセンパイに似ています。多少はね)

    BB(だからと言って、私があなたのために身を捧げるなんてことがあるわけが……)

    BB(……)

    BB(……マシュさん? もしかして笑ってます?)

    マシュ(……ずっとあなたのことを、何を考えているのかわからない変な人だと思っていましたが)

    マシュ(そこまで変な人じゃありませんでした。実はずっと理解できる人なのかも)

    BB(……ふん)

    481 = 1 :

    ぐだ「と、言っても、すぐに制圧できると思うぞ」

    ぐだ「ちょっと待ってろ」グイグイ


    ベシャッ


    トルフォ「」チーン

    マシュ「何故か血塗れのアストルフォさんが出てきたーーーッ!?」ガビーンッ!

    BB(あ、いやこれケチャップですね。さっきセンパイが食堂から持ってきた)

    ぐだ「流石に自分の身を犠牲にする狂信的テロリストがそんな数集まるとは思えない」

    ぐだ「何人かは裏金目的の打算的な連中だろう」

    ぐだ「と、いうわけで……エリザ。この通りに叫んでくれ」ゴニョゴニョゴニョ

    エリザ「ん? んん……」

    エリザ「あー! あー! 薄汚いテログループのみんなー! この通り、あなたたちの目的だった政治家は既に死んでいるわー!」

    エリザ「これから先、何をどうしようが絶対に、あなたたちの要求は通らないってこと!」

    エリザ「もう意地を張る理由もなくなったでしょう! 私たちは逃げる連中を相手にするほど暇じゃないし……」

    エリザ「さっき『なんかの事故で空いた穴』が北の方にあるから、そこから通って逃げていく分には何もしないわー!」

    エリザ「……あと、三十秒くらいで蹂躙を再開するから、死にたいのなら残ってもいいけど?」

    コソコソッ

    エリザ「……あ。本当。気配がいくつか消えていったわね」

    茨木「まあ逃げる道中で、キレた狂信者タイプの人間が仲間割れを引き起こすであろうが……」

    茨木「流石にそれを止める義理はあるまい? 吾らが守るのはマスターの理念のみ」

    ぐだ「うん。流石にそこまでは強要しないよ」

    ぐだ「じゃ、やるか。魔術はできるだけ無しな」

    エリザ「りょうかーい」

    茨木「あー。不満だ。吾の出番が少なかったぞ、結局」

    BB(……)

    482 = 1 :

    休憩します!

    483 :

    クライマックス推理終わったな

    484 :

    なんて言うか人類悪は人類愛って言うのがなんとなく分かるような気がする…

    485 = 1 :

    二時間後

    マシュBB「制圧、完全終了。もはやあらゆる敵勢力は撃退されたか放逐できたと考えていいでしょう」

    マシュBB「エクストラミッションクリア。お疲れ様でした」

    エリザ「ふあーあ……あー、眠い。疲れちゃったー」

    茨木「まあ朝っぱらからこんなことやっていれば、さもありなんと言ったところか」

    ジャック「結局、死人は誰も出なかったね」

    ぐだ「……」

    ぐだ「ん? 何か忘れてるような?」



    ドカァァァァンッ!



    デオン「私だ! 私のことを忘れないでくれ!」

    ぐだ「あ! デオン! やっと瓦礫から脱出できたのか!」

    デオン「ああ! 本当に! 本当に苦労したけどね!」

    デオン「『あ、この崩壊の仕方だと下手を打てばさらに下に落ちるなー』って思いながら命懸けのパズルゲーさ!」

    マシュBB「デオンさん、もう全部終わっちゃいましたよ。無駄な努力ご苦労さま――」

    デオン「死ねええええええええッッ!」ブンッ

    ガシッ

    ジャック「ストップストップー。はいどうどうー」

    デオン「離せー! 離せー! もうコイツは絶対に生かしておけない! ぶった斬ってやるぅーーー!」ビエエエン!

    エリザ「コイツ斬ったところで本体はノーダメージだし、マシュが傷つくだけよ!」

    デオン「うわああああああ……!」エグエグ

    ぐだ「あー……やっぱり一日たりとも平和な休日なんてなかったなー……」

    486 = 1 :

    ぐだ「じゃ、後のことはアストルフォとBBに任せて……」

    ぐだ「俺たちはさっさと逃げるぞ」

    デオン「BBはともかくとして、アストルフォが何かの役に立つのか?」

    ぐだ「信じられないかもしれないがヤツはいまや政治家だ。手柄は全部アイツのものになる手筈になってる」

    マシュBB「人質のみなさんの目撃証言はすべて心神耗弱による妄言として処理されます。魔術の秘匿はキッチリと」

    エリザ「そんなガバガバな情報処理で大丈夫なの?」

    マシュBB「まー、なんとかしますよ。ていうかアストルフォさんの力が予想以上に大きくて、隠蔽作業は想定以上に楽になるかと」

    ぐだ「アイツ、俺たちより危険だぞ。権力持ったアホの子って」

    デオン「……深く考えるのはよそう」

    ジャック「そだね」

    487 = 1 :

    デオン「そういえば、なんだが。私たちが倒したヤツらの中にはすぐにでも治療が必要なヤツが何人かいたはずだ」

    デオン「そいつらはどうしたんだ? 放置?」

    エリザ「比較的に無事な人質の人に頼んで外に運び出してもらったわ。随分と前にね」

    ジャック「そんなことよりさー。飛行機が欠航だらけだけど、どうやって私たちカルデアに帰るの?」

    マシュBB「……」

    マシュBB「よし。飛行機盗みましょう。それで一気にカルデアまで帰りましょう」

    エリザ「ええーーー!? イヤよそんなコソ泥みたいなマネー!」

    ぐだ「普通のコソ泥は飛行機盗んだりしねーよ。後でちゃんと返す計画もキッチリ立てとけよ、BB」

    マシュBB「それはもちろん!」

    ぐだ「……」

    ぐだ「いや。もう、いいや。BB。頼みがある」

    マシュBB「ん?」







    ぐだ「俺もその飛行機に乗せて行ってくれ」

    マシュ「……え」

    ぐだ「ちょうどいいや。この際、一緒に帰ろう」

    マシュ「……」

    マシュBB「いいんですか? あと一日、休みが残ってますけど」

    ぐだ「いい。もう充分楽しんださ」

    デオン「……マスター……」

    488 = 1 :

    トルフォ「帰っちゃうの?」ドロォッ!

    ぐだ「おぎゃ!?」ガビーンッ!

    トルフォ「残念だなー。キミとはもうちょっと話したかったんだけど」

    デオン「……何故コイツはケチャップ塗れなんだ?」

    ぐだ「色々と事情があって……ていうかもう拭いてもいいんだよ! ビックリするわ!」

    トルフォ「あのさー。本当に手柄は全部ボクが貰っちゃっていいの?」

    トルフォ「魔術の秘匿的な問題で、まあ確かにサーヴァントのことに関しては隠さないとだけど」

    トルフォ「せめてキミだけは代表として勲章くらいは受け取っておくべきじゃない?」

    ぐだ「……俺たちは正義の味方じゃない」

    ぐだ「いやまあ、正義の味方そのものとか、正義の味方志望とかは俺たちの仲間にはいるけどさ」

    ぐだ「俺たちは人理の礎、カルデアだ。人類史を守ることが使命であって、人類のゴタゴタに関わるのは専門外なんだよ」

    ぐだ「だから別にいいんだ」

    トルフォ「ふぅん。そっか……」

    トルフォ「……楽しかったよ、カルデアのマスター。キミのことは忘れない」

    ぐだ「うん」

    489 = 1 :

    ぐだ「じゃ、BB。帰るぞ」

    マシュ「本当にこれでいいのですか、マスター」

    マシュ「せっかくの故郷への帰還だったのに。そのほとんどの時間を私たちのために潰してしまっていたのに」

    ぐだ「……」ワッシワッシ

    マシュ「わ! 頭を急に撫でないでください! わ、わ……!」

    ぐだ「いいんだよ。カルデアだって俺の故郷だ」

    ぐだ「……っと、そうだ。アストルフォ、最後の頼みなんだが」

    ポイッ

    ぐだ「それ、俺のお母さんに返しておいてくれ。住所はまあ、後でBBに電話させて教えるからさ」

    トルフォ「はいはーい」

    マシュ(……カルデアも故郷、か)

    BB(嬉しいです? 彼の過去を上書きして)

    BB(第一の故郷を蔑ろにさせて)

    マシュ(……BBさん。私たちはもっとポジティブに物事を考えてもいいと思うのです)

    マシュ(自分たちよりもっと大切なものがあるはずだ。そっちを優先させた方がきっと彼のためになる)

    マシュ(そう考えるのはわかります。でも私たちだって、彼のことを大事に思って、思われて……)

    マシュ(……きっとそれでいいんです)

    BB(……まだ全部を納得できたわけではありませんが)

    BB(もっとポジティブに、ですか)

    BB(……そうですね。きっと、多少はズルくなってもいいでしょう)

    BB(あなたも、私も)

    490 = 1 :

    トルフォ「……ふー。行っちゃった。もうちょっと強欲でも合格ラインを突破してたのは変わらなかったのにさー」

    トルフォ「よし。国に帰ったらあの裏金を右から左に動かして、こっそりカルデアを支援しよう!」

    トルフォ「こういうときのために用意した裏金だしねー! ふんふーん!」


    裏金は普通に実在してた。
    そしてこの裏金のお陰で資金不足は多少改善された。めでたしめでたし

    491 = 1 :

    マシュBB「どうせ盗むんならデカい飛行機の方がいいでしょう! というわけで、これ一機全部貸し切りますよ!」

    ぐだ「ジャンボすぎる!」ガビーンッ!

    ジャック「ビジネス! ビジネス席座っても大丈夫!?」キラキラキラ

    エリザ「きゃっほーーーう! 一番乗りよー!」

    デオン「……」ソワソワ

    茨木「別に一緒になってはしゃいでも構わんと思うが。どうせこの場にいるヤツらは汝の本性知っておるしな?」

    デオン「む、むう……! しかし……」

    ぐだ「行こう。デオン」

    デオン「……」

    デオン「ああ! そうだな! 後でマリー様には言わないでくれよ!」

    デオン「無駄に席を倒して思いっきり寝転ぶぞーーー!」ダッ

    マシュBB「それでは、全員が乗り込み次第すぐにでも出発しますよー! 時間ないですしー!」

    492 = 1 :

    マシュBB「……自動操縦装置をハッキング。その他、管制システムの方も乗っ取り成功」

    マシュBB「行けます。それでは、快適な空の旅をお楽しみください」

    ジャック「……CAとかがいないから食べ物の調達は全部自分たちでやんないと、だね」

    エリザ「ビジネス席に座っても従業員がいないのなら寒々しいわね……」

    デオン「席の間隔! 席の間隔が広いぞ! 凄い席を倒せる!」キラキラキラ

    茨木「デオンを見習え二人とも。涙が出てきそうなレベルの喜びようだぞ」

    ぐだ「……」

    ぐだ(……次に帰れるのはいつになるかな)

    ぐだ(ま、いつでもいいか。故郷が二つあるっていうのはきっと、幸せなことだしな)




    キィィィィン……!

    493 = 1 :

    ザザッ……ザザザザッ……!



    ぐだ「……んん……ハッ! 夢か!」

    ぐだ「……ん? どんな夢見てたっけな。なんか南国風で黄色い服着た褐色の女の子が出てきたような気がするけど……」

    ぐだ「静かだなー。みんなこの飛行機のあっちゃこっちゃをまだ探索してんのかなー」

    ぐだ「……BBはコクピットかな?」スクッ


    スタスタスタ

    494 = 1 :

    コクピット

    マシュBB「……特に異常はなし、と」

    マシュBB「時差含めた計算をすると、向こうに着くときには昼でしょうか」

    マシュBB「時差ボケ緩和のために寝ておくべきでしょうか」


    ガチャリンコ


    ぐだ「……よう。ここにいたか」

    マシュBB「あ、センパイ。どうかしましたか?」

    ぐだ「いや、特に何か用があるってわけじゃないんだが……」

    ぐだ「……」

    マシュBB「……」

    ぐだ「俺は幸せだぞ。マシュや、アイツらと一緒に人理を修復できて」

    マシュBB「なんだ。釘を刺しにきたんですか。わざわざご苦労さまです」

    ぐだ「茶化すなって」

    BB(余計なことをするなって言われるのかな。まあ慣れっこですけど)

    BB(……ぶっちゃけわかってましたしね)

    ぐだ「ありがとな」

    マシュBB「?」

    ぐだ「この旅行の全部、楽しかったよ。お前のお陰でさ」

    ぐだ「まあアレだ。俺の幸せの中にはさ。マシュやアイツらと人理を修復できた分ももちろんあるが」

    ぐだ「お前と出会えたことも含まれてるってことだ」

    マシュBB「――!」

    ぐだ「そこら辺忘れるなよ。お前がどれだけ意地悪かは知っているが、それでもさ……」

    ぐだ「感謝はしてる。心の底からな」

    マシュBB「……」

    495 = 1 :

    マシュBB「……カルデアも故郷、と言いましたね?」

    ぐだ「おう」

    マシュBB「……いいんですか、それで。あそこには意地悪で小悪魔な私もいるんですよ」

    マシュBB「訂正なんて認めませんよ。私、調子に乗っちゃいますよ?」

    ぐだ「あんまり調子に乗られるのは困るが……」

    ぐだ「あそこが俺の故郷って言葉を訂正する気はないよ」

    ぐだ「お前も俺の大事な仲間だ。BB」

    マシュBB「ふ、ふふ……ふふふふふふ……!」

    マシュBB「……あ、ダメ。ちょっと……笑いすぎて涙が……」

    マシュBB「ふふふふふ……!」

    マシュBB「……う、う……っ!」

    ぐだ「……」

    ぐだ(単純な話だったんじゃないのか)

    ぐだ(コイツは俺に死なれたり、俺に捨てられたりするのが怖かったんじゃないか)

    ぐだ(いや……あるいは、俺が俺のサーヴァントたちに愛想をつかす瞬間を見たくなかったんじゃないか)

    ぐだ(だからそうなる前に自分から捨てられてしまえばいいって考えたんじゃないのか)

    ぐだ(嫌われる前に嫌われてしまおう、みたいな心理自体はありがちだ。誰にだってある)

    ぐだ(殺される前に自分で死を選ぶ人間のように、理由がすべて自分にあるのなら、まだ納得できるから)

    ぐだ(納得できる事柄である限りは、自分を慰めることは容易だから)

    496 = 1 :

    ぐだ(……コイツの好きな人っていうのが俺だったらよかったのになぁ)

    ぐだ(それなら迷わずに抱き寄せて、もっと強引に大丈夫だって言えたのに)

    ぐだ(……ない物ねだりだな。俺はもうこれ以上は何もできん)

    ぐだ「……外出てる。笑い終わったら呼べよ、BB」

    マシュBB「待って」

    ぐだ「……?」

    マシュBB「……その……」


    ギュッ


    マシュBB「……服の裾を掴むくらいなら、構わないですよね?」

    ぐだ「好きにしろ。そのくらいならお安い御用だ」

    マシュBB「もうちょっと傍にいてください。この程度なら……まだ私たちはただの友人ですから」

    ぐだ「そうだな。俺じゃどうあってもお前の特別になれん」

    マシュBB「……それでも好きですよ。私の一番好きな人の次に。ある程度は、ね」

    ぐだ(あー、くそ。何が悲しくて『他に好きな人がいますので宣言』を間近で聞かなければならないんだ)

    BB(……ちょっと元気出てきました。センパイのその複雑そうな、不器用な対応を見てると本当に……)

    マシュ(愛しいですか?)

    BB(……)

    BB(まさか、ですよ)

    497 = 1 :

    休憩します!

    498 = 1 :

    数時間後 カルデア

    BB「さぁて。後は……」

    BB「……巌窟王さん、どうやって呼び戻そう」

    イシュタル「未だに脱出の糸口が見つからないものね」

    ナーサリー「ただ誰一人として未だに欠けていないのは凄いと思うのだわ。そこら辺だけは褒めていいと思うの」

    BB「んんー? いや待って。外の世界の真実をやっとのこと見つけたみたいよ?」

    イシュタル「あー? でもコレって……アレよね。ピカッと光って記憶をアレするアレ……」

    BB「……っと。そろそろですね。席外しまーす!」

    イシュタル「はいはーい! こっちはこっちで任せといてー!」

    499 = 1 :

    同時刻 飛行機内

    ぐだ「カルデアの上空に辿り着いたのはいいが、滑走路なんてモンはあそこにはないぞ」

    エリザ「どうやって降りる気? パラシュート?」

    マシュBB「え? いや、どうって……決まってるじゃないですか」

    マシュBB「普通に飛び降りますよ。生身で」

    ぐだ「え」

    マシュBB「それじゃあ、ドアを開けまーす。気圧差で外にすべて吹っ飛ぶのでご注意くださーい!」

    マシュBB「これにて、旅行は終了です! お疲れさまでした」ニカッ

    ぐだ「ま、待て。冗談だよな? 冗談だと言ってくれ」

    デオン「マスター。大変言いにくいことだが、コイツは狂ったことこそ素面で言う」

    ジャック「大体嘘は吐いてないよね。こういうとき」



    ポチッ

    ビュオオオオオオオッ!


    ぐだ「ぎゃああああああああ……」ヒューッ

    茨木「魔酒は任せろ。エリザはマスターを」

    エリザ「了解。任せなさい」バサッ

    デオン「じゃ、私は一足先に落ちていくよ。後は任せた」

    500 = 1 :

    ぐだ「あああああああ……あぐっ!」ガシッ

    エリザ「大丈夫ー? このまま滑空してカルデアに降りていくわよー」

    ぐだ「……おお。ありがとうエリザ」

    ぐだ「……今日は晴れてるなー。珍しい」

    エリザ「いつもはパッとしない曇り空か、さもなくば吹雪ですものね」

    エリザ「綺麗だわ」

    ぐだ「ああ」

    ぐだ「……そういえばマシュは?」

    エリザ「茨木がどうにかしてるわ。鬼種の魔って魔力放出みたいなことできるんでしょ?」

    ぐだ「マシュの身が心配だなぁ……」


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