元スレぐだ男「おうち帰る」 マシュ「は?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
201 = 1 :
ぐだ男「……ナンバープレート確認! これだな!」
ガチャリンコ
ぐだ男「乗ったぞBB!」
BB『体験用の車だから、営業中は当然鍵がかかってないと思いましたとも!』
BB『ハッキング開始!』
BB『完了!』
ぐだ男「速ッ!」
BB『あとはマシュさんに乗り移った私ゲフンゲフン、じゃなくて紛れもなく私が操作します!』
ぐだ男「……」
ぐだ男「……は? 今、なんて?」
BB『質問は受け付けなーーーい!』
ギュイイイイインッ!
ぐだ男「いげっ」
ジャック「うわ、酷い運転」
BB『最後のガラスをぶち破れーーー!』
ガシャーーーンッ!
ぐだ男「余罪がどんどん増えて行ってる気がするーーー!」ガビーンッ!
202 = 1 :
BB『一晩の間、絶対安全に過ごせる隠れ家を用意しましょう』
BB『一晩もあれば、後は私があなたたちの罪を綺麗さっぱり痕跡すら残さず消してあげますよ』
BB『カースド・キューピッド・クレンザーです』
ぐだ男「それそんな宝具だったっけ?」
BB『ま、いいじゃないですか。どうでも』
ぐだ男「まったく……」
ジャック「おかあさん。この先、多分検問所だけどどうするの?」
ぐだ男「……おい。加速してないか?」
BB『え? そうじゃないと検問所をぶち破れないでしょう? 当たりまえじゃないですか』
ぐだ男「ジャックー。衝撃がかかるだろうからシートベルトしめておこうなー」カチャカチャ
ジャック「はーい!」カチャカチャ
203 = 1 :
ガシャァァァンッ!
警察官A「ぎゃあああああああ!」
警察官B「イ゛ェアアアアアア!」
警察官C「ひでえぶすっ」
ジャック「あははははははっ! 人がゴミのようだー!」
ぐだ男「あはははははは。もう何も見たくねぇー」
BB『全員死んでませんよ?』
ぐだ男「多分俺の心がそろそろ壊死する」
ぐだ男「……まあ、一段落したな。お母さんに今日は帰れないってメール打っても?」
BB『問題ありません』
ぐだ男「はあ……ある意味好都合だけどさ」ポチポチ
ジャック「二人きりだね、おかあさん」
ぐだ男「お? おう」
BB『いや私もいますけど』
ジャック「黙って? 解体されたい?」ニコニコ
BB『……はーいはい』
204 = 1 :
BB(……ちっ。状況が状況だったとは言え、ハメられた感が満載ですね)
BB(辿り着く隠れ家は当然センパイの家ではなく、ジャックさんと二人きりで夜を明かす)
BB(近くに彼を助けるサーヴァントも当然いない。令呪で呼ぼうにも、呼ぼうとしたその時点で瞬殺できる俊敏の持ち主ですしねぇ)
BB(彼女の道徳心と常識の枷を一度でも解いてしまったらお終いですよ、センパイ)
ぐだ男「あー、腹減った」
ジャック「……」
ジャック「おなか……?」
BB(……)
BB(きっと! 大丈夫! 多分!)
205 = 1 :
カルデア
BB「さてと。東京の方の私に後は任せるとして、こっちはこっちで視聴を続行しないと!」
BB「あ。もう投票終わって……あーあー見逃しちゃいましたよ」
BB「まあいいや。今からでも楽しくなりそうですし」
ブツンッ
ダヴィンチのアナウンス『えー。緊急連絡。緊急連絡』
ダヴィンチ『エジソンとテスラの大喧嘩の結果、カルデアのほぼ全電力系統にサージが発生』
ダヴィンチ『ごめんねー! 電源を落としちゃいけない重要機関以外の電力供給はストップさせてもらうよーん!』
BB「あんっの電気バカコンビ共ーーーッ!」ガビーンッ
電力が復旧した後、学園の方のゴタゴタはほとんど片付いていた。ただ当然BBには過程がわからなくなったが。
その後、BBの仕返しによってエジソンとテスラは『君の名は』状態になり、二人は自殺寸前まで精神が摩耗しました。めでたしめでたし。
206 = 1 :
今日のところはここまで!
207 :
赤の章(現代悪童旅情 東京~BBちゃん危機一髪~)と黒の章(虚構殺人遊戯 才囚学園~巌窟王の学級日誌~)でスレ分けしようかな……まあどっちにしても時系列同じだからスレ分けしたところで多少はリンクさせるけど……
まあいいや。ひとまず再開します! あと十分くらいで!
208 :
ダンガンロンパは蛇足でしょ
209 = 1 :
マシュBB『はい到着ーーー! ここがあなたたちの隠れ家ですよー!』
ジャック「わーい! ついたー! 最悪の運転からやっと解放されるー!」
ぐだ男「繊細さの欠片もない運転だったな……!」
マシュBB『えへっ』
ぐだ男「ところでさっきから気になっていたんだが……」
ぐだ男「なんか声がマシュになってないか? BB」
マシュBB『……』
ぐだ男「……いや、気のせいか? 喋り方は完全にBBだもんな……」
BB(よかったー、電話越しで)
210 = 1 :
ぐだ男「で。ここが隠れ家、ね」
マシュBB『御覧の通りの廃ビルです。潰れる前はパチンコ屋だったそうですよ』
マシュBB『明日の夕方までは絶対に人っ子一人来ません。安心して休んでください!』
ぐだ男「食事はどうしたらいい?」
マシュBB『生活必需品はおおよそ中に取り揃えておいたので、中から一切でなくとも問題ないですよ!』
ぐだ男「……身から出た錆なんだからお前にこんなことを言うのは、本当、かなーり癪なんだが」
マシュBB『なんです?』
ぐだ男「マジでごめん。もうちょいソフトに事件を解決してたら、こんなことには……」
マシュBB『よしてくださいな。共犯者からの謝罪なんて聞きたくありません』
ぐだ男「……」
マシュBB『じゃ、そういうことで。あ、そうだセンパイ』
マシュBB『コンドームはあえて設置しておきませんでした! 褒めて!』
ぐだ男「ぶっ殺すぞッ!」
211 = 1 :
ぐだ男(……さて。電話を切った今気付いたが、BBは『外に出るな』とは言わなかったな)
ぐだ男(アイツが言ったのは、この隠れ家の安全性と利便性のみだ)
ぐだ男(理由はわかる。多分、アイツはジャックのことを警戒してんだろうなぁ)
ぐだ男(いざってときは逃げても構わない、か……余計な気を回してるな。ファッション系ラスボスめ)
ジャック「おかあさーーーん! なんでかわからないけど、中に高橋留美子作品が大量に揃ってるーーー!」
ぐだ男「余計な気を回しすぎだアイツは! 本当にッ!」
ジャック「見ないの?」
ぐだ男「見るよッ!」
212 = 1 :
ホテル
マシュBB「……別に今日も、昨日までみたいに観光しててもよかったんですよ?」
マシュBB「私だけでカメラのセットアップはできますし?」
デオン「それなんだが、無計画にじゃんけんでマスターに同行するサーヴァントを決めていた弊害が出てな」
エリザ「今日はジャックの計画していた観光プランを実行する予定だったんだけど、ほら、ね?」
マシュBB「ああ。その点をまったく考慮せずに送り込んだから手持無沙汰、と」
マシュBB「アホしかいないんですか、ここは」フゥ
茨木「ふん。バグの化身に言われたくはないな」
マシュBB「そういえば、昨日と一昨日の旅行計画は誰と誰のものなんですか?」
エリザ「昨日が私」
デオン「浅草が私だな」
茨木「明日は吾が計画した『すいーつびゅっふぇ蹂躙計画』よ。池袋にあるらしいからな?」ニヤァ
マシュBB「あ、それ私も興味ありますね。連れてってくれます?」
茨木「……汝を仲間外れにすると、魔酒も自動的に仲間外れになってしまうからな」
茨木「仕方あるまい」チッ
マシュBB「ありがとうございまーす!」ッシャァ!
213 = 1 :
マシュBB「お、映った映った……!」
デオン「む? ここは廃ビルか? なんでこんなところに」
マシュBB「色々あったんですよねー」
エリザ「そういえばBB。さっき子イヌと電話してたみたいだけど」
マシュBB「説明はしますけど、今は……よし。カメラの自動操縦AIは正常に機能中」
マシュBB「あとはセンパイにバレない限りはオールタイム監視です」
茨木「BBは頭がいいな。何故そんなに残念なのか不思議なレベルの頭の良さよ」
マシュBB「褒めるフリして貶すのやめてくれません?」
エリザ「……なんかもうマシュの姿をしたBBに慣れてきちゃったわ」
デオン「む。しまった。私もだ。もう違和感がない」
茨木「早めに解決しないと取り返しがつかなくなるかもな……?」
214 = 1 :
ジャック「……」
ジャック「鉄砕牙って初期と終盤で明らかに太さが違うよね」
ぐだ男「読むの早いな!?」ガビーンッ
ジャック「おかあさーん。お腹空いたー」
ぐだ男「はいはい。じゃあ何か作ろうか」
ぐだ男「……」
ぐだ男「インスタントしかねぇな。BBのヤツ、ツメが甘いぞ」
ジャック「お湯はあるよ? 電気通ってるから、ポットもあるし」
ぐだ男「うーん。味気ないけど……仕方ないか」
215 = 1 :
マシュBB「サーヴァントに食事は必要ないってもうわかってるはずなのになぁ」
エリザ「だって、本当にお腹が空いた気がするんだもの。要求くらいするわ」
デオン「……彼女の場合は本当にお腹が空いているのか疑問だけどな」
デオン「単純に甘えているだけかもしれない」
茨木「『甘えているフリ』をしているだけ、とも言えるな」
茨木「……吾はその気になれば全力でマスターに甘えることができるが、アレは違うだろう」
エリザ「そういうのやめましょう。気が滅入ってくるから」
茨木「くは。すまぬな」
マシュBB「……」
BB(なんかみんな思い思いの方向にぶっ飛んでる割には仲いいんですよねー)
マシュ(特異点で背中を預ける生活を続けていれば、さもありなんです)
BB(私も仲良くしたいなー!)キラキラキラ
マシュ(……ある意味でもう馴染めているような……いえ、なんでもないです)
216 = 1 :
マシュBB「……あ。忘れてた。そういえばこの状態だと……」
茨木「どうした?」
マシュBB「いえ。二つの人格を独立させた状態で一つの脳にぶち込んでいる状態だと、ちょっと困ったことがあって」
デオン「なんだ。こちらの問題か。いいだろう、もう消えていいぞ」
マシュBB「スイーツビュッフェ行くまで消えません!」
マシュBB「いえ、そんな大した問題じゃないんですよ。ただ『睡眠が必要になる』って副作用があるだけで」
茨木「……別に寝てもよいが」
マシュBB「寝方を忘れました」
エリザ「AI特有の悩みね」
マシュBB「ジャックさんの荷物ってどこです? 彼女には違法ラインの強力な睡眠剤を渡しておいたんですが」
マシュBB「今日はそれ使って寝ます」
デオン「それなんだが、BB。どうしてジャックにだけ色々と危険な玩具を渡したんだ?」
マシュBB「このメンバーの暴走を止めてくれるサーヴァントとして私が送り込んだ子ですからねー」
エリザ「えっ。聞いてないんだけど」
デオン(荷物の中に天然痘ウイルスがあったのは、そのせいか……)
エリザ「まあいいわ。ジャックの荷物はここよ」
マシュBB「さぁて、それじゃあ睡眠薬を拝借してっと……」ガサゴソ
マシュBB「……」
マシュBB「あれ? ない」
デオン「は?」
マシュBB「おかしいですね。ちゃんとここに入れておいたはずなんですが」
茨木「ここにないのなら、ジャックが持っているのではないか?」
エリザ「ああ、アレじゃない? 今、ジャックが子イヌの飲み物に砕いて混ぜた粉末」
マシュBB「ああ、アレですね」
デオン「あ。マスターが寝た」
全員「……」
全員「ジャアアアアアアアアアック!?」ガビーンッ!
217 = 1 :
休憩します!
218 :
まあそうなるわな悪属性だし
219 = 1 :
ジャック「……さーてとっ。今から色々やっちゃうよ!」
ジャック「マシュと契約しているせいで防毒の加護があるからどうだろうなって思ってたけど……」
ジャック「問題なさそうだね。うーん、薬の類は通るのかな? わかんないや」
ジャック「じゃあさっそく」
prrrrrr!
ぐだ男「う、ぐ……電話……!?」
ジャック「あ、やっぱり効き目薄かった」
ジャック「ひょいっと」
スパッ
ジャック「携帯の処理終了。これで今度こそグッスリだよ、おかあさん!」
ぐだ男「ぐー」スヤァ
220 = 1 :
エリザ「今から賭けの内容変更していい?」
マシュBB「いやぁー。もうノーモアベットでしょう」
茨木「呑気だな」
マシュBB「……あっ、痛っ! やめっ……!」
デオン「ん?」
マシュ「先輩ーーーッ! 起きて! お願い起きてーーー!」
エリザ「あ。やっと肉体の主導権戻ったわね」
デオン「おかえりマシュ」
マシュ「ただいまです! そんなこと言ってる場合じゃないですけど!」
茨木「……ま、大丈夫であろうよ」
マシュ「えっ?」
茨木「仲間だぞ。信じてみせよ」
マシュ「……」
エリザ「いや丸め込まれちゃダメよ。茨木の言ってることは典型的な詭弁だから」
エリザ「世の中には信じちゃいけない仲間もいるでしょうに」
221 = 1 :
ジャック「何しよっかな。何しよっかな」
ジャック「……」
ジャック「そういえば茨木、おかあさんのこと食べてたけど……」
ジャック「そんなにおいしかったのかな?」
サクッ
ジャック「うーん……あんまりパッとしないなぁ。私たちの趣味じゃないや」ペロペロ
ぐだ男「ジャック……!」
ジャック「……」
ジャック「やっぱり効き目薄いね? あんまり効いてないでしょ」
ぐだ男「お、前っ……」
ジャック「なぁに、おかあさん。なんでも聞くよ?」
ジャック「……聞くだけ、だけど」
ぐだ男「別に睡眠薬なんてなくっても……俺は抵抗なんかしないぞ……!」
ジャック「……」
ぐだ男「怖がってるのか? いつもはこんな小細工、使わないのに……」
222 = 1 :
ジャック「……」
ジャック「忘れてたんだけどさ。私たちって、殺人鬼だったんだよね」
ジャック「おかしいよね。公園でアイツを切り刻むまでは、本当に普通の女の子の気分だったんだよ」
ジャック「普通の人が誕生日や自分の名前を忘れないのと同じくらい、私たちは私たちのことを殺人鬼だってことを覚えてるのにさ」
ジャック「だからまあ、ショックだったなぁ。助けた相手に、あんな目で見られるなんてさ」
ぐだ男「あれは仕方なかっただろ」
ジャック「……でも理不尽だよ」
ぐだ男「……」
ぐだ男(まあ、確かに。そう言われると、ぐうの音も出ない)
ぐだ男(別にバケモノに産まれてきたくって産まれたわけじゃないしな)
223 = 1 :
ジャック「……ねえ。抵抗しないって、どこまでのことを言ってるの?」
ぐだ男「……」
ジャック「茨木みたいに全身噛み傷だらけにする程度なら大丈夫? デオンみたいに父親母親を邪魔者扱いされて排除されるのもOK?」
ジャック「腹を裂かれても、悲鳴を上げないでいてくれる?」ギャランッ
ぐだ男「痛いのはイヤだよ。当然だろ」
ジャック「そっか」
ぐだ男「……でも、そんなことする必要は特にないだろ」
ジャック「……そう?」
ぐだ男「別にさ、そんなことしたくって睡眠薬入れたわけじゃないもんな」
ジャック「……」
ぐだ男「ジャック……おいで」
ジャック「……ッ!」
ヒュッ!
224 = 1 :
ぐだ男「……ああ、もう。世話を焼かせる……」
ぐだ男「抱き着きたいのなら初めからそう言えって」
ジャック「……ううっ……うえっ……!」
ぐだ男「ほら。体が怠くって、お前の頭を撫でるのにすら一苦労だ。どうしてくれるんだよ」
ジャック「だって……! 昼間に拒絶されたの、本当に……!」
ぐだ男「よくあることだ。これからも何回もある」
ぐだ男「でも大丈夫だ。お前のこと受け入れてくれるヤツなんて、俺含めて他にいくらでもいる」
ぐだ男「……俺は大丈夫だから。薬なんていらなかったんだよ」
ジャック「ごめんなさいっ……! おかあさん、ごめんなさいいっ……」
ぐだ男「……」
ぐだ男「あ、まずい。もう意識が……」
ぐだ男「ジャック……俺は……俺のことを慕ってくれるお前のことを……」
ぐだ男「……」
ジャック「……うう、うええ……!」
ジャック「うえええええええええん……!」
225 = 1 :
マシュBB「……」
マシュBB「ムカつきますね。本当に死んだみたいな顔で寝てますよ」
エリザ「いつの間にか肉体の主導権奪い返しているアンタの方がムカつくわよ」
デオン「マシュー。遠慮はいらないよー。どんどん肉体の主導権を勝ち取っていくんだぞー」ニコニコ
茨木「……ま、吾を従えるマスターが、こんなところで死ぬ道理もあるまいよ」
茨木「信じていたぞ?」
エリザ「ポンコツ首魁のくせして、たまにガチのカリスマ見せるわよね。アンタって」
茨木「たまにではない! 常に出ているから汝が気付いていないだけよ!」
マシュBB「ま、これで峠は過ぎましたかね。後に残っているのは……」
マシュBB「……残って、いるのは……?」
エリザ「……」ニヤァ
マシュBB「……」
マシュBB「あっ」
デオン「気付いたか。まだ峠は残ってるぞ」
226 = 1 :
続きは明日ー!
227 :
ぐだ子じゃないしエリちゃんなら大丈夫やろ(慢心)
228 :
虚構殺人遊戯 才囚学園
巌窟王「……理解に苦しむな。またやるのか。マジックショー」
夢野「マジカルショーじゃ! ……とかお主に言ってもなんか虚しいが……」
夢野「細かいことはよいか。今度は屋外で、この大量の風船を使ったショーをするんじゃ!」
巌窟王「アンジーはどうした? 今回は手伝っていないのか」
東条「捕まえようとしたのだけど、断られてしまったの。何か用事があったようね」
巌窟王「ふむ。今日は妙に落ち着かない様子だったからな。ヤツもヤツで何か考えているのだろう」
巌窟王「まあいい。我が仮初のマスターの理念に従い、お前たちが望むのなら手を貸してやらないこともないが?」
夢野「お主本当にアンジーのことが大好きじゃのう」
巌窟王「俺が? クハハ、まさか!」
巌窟王「俺のマスターは過去現在未来にただ一人。あれとはお互いの利害の一致に伴った薄っぺらな関係しかない」
巌窟王「この関係に抱く想いも、同様に薄っぺらなものだとも」
巌窟王「大体アレは共に歩むにしては幼過ぎる。雛鳥のように後ろをヨチヨチ歩きでついてくる程度が関の山だろうよ」
東条「その割には甘やかしているように見えるけど」
巌窟王「サーヴァントだからな!」ギンッ!
229 = 1 :
百田「まあ、確かにアンジーに対して特別扱いはしてねぇだろうな」
百田「テメェは俺たちのことみんなが大好きなんだもんな! わかってるぜ!」ニカッ
巌窟王「……気持ちの悪いことを言うな」
夢野「百田。お主どこから湧いて出てきた」
百田「終一を探してたら派手な風船が大量に見えたからよ。ちょっと寄ってみただけだ」
夢野「ついでじゃ。百田も手伝うがよい。風船がもっと大量に必要だから……って、あ!」
フワッ
夢野「あー。一個無駄にしてしまったわい」
巌窟王「クハハ! 任せろ! あの程度の高さ、造作もない!」
ドンッ!
東条「……跳んだわね」
夢野「あ、キャッチした」
百田「おお。無駄に一回転して校舎の屋根に着地したな」
230 = 1 :
巌窟王「クハハハハハ! どうだ!」
百田「無駄にテンション上げてるなー」
夢野「造作もないって自分で言ってたのにのう」
東条「巌窟王さん。そこ結構な急斜面になってるから、気を付けて降りてね」
巌窟王「任せろ! 昇ったのだから降りることなぞ更に容易い――」
巌窟王「む?」
巌窟王(裏庭に誰かいるな……あれはアンジーと最原か?)
巌窟王(一体何をして……)
アンジー「終一ー! アンジーのお婿さんになってー!」キラキラキラ
最原「ええっ!?」
巌窟王「!?!?」ガビーンッ!
ズルゥッ
百田「足を滑らせたーーーッ!?」ガーンッ!
夢野「言わんこっちゃない!」
231 = 1 :
巌窟王(バカな……あの子供のように俺の後ろを付いて回っていた夜長アンジーが……!?)
巌窟王(俺はいつかカルデアに帰る。きっとその後、アンジーは幸せな一生を過ごすのだろう)
巌窟王(美術に生き、誰かと出会い、誰かと別れ、誰かと添い遂げ、誰かを見送り誰かに見送られる……)
巌窟王(そんななんでもない、しかし掛け替えのない一生を過ごすのだ……そう思っていた。だが……)
巌窟王(この落下するような浮遊感……俺はショックを受けている?)ヒューッ
百田「うおおおおお! 巌窟王が屋根から落ちたーーーッ!」
ベシャッ
東条「あ、よかった。土の部分に落ちたから、多分死んではいないわ」
夢野「巌窟王ーーーッ!」ダッ
232 = 1 :
巌窟王(まさか……こんなに早いとは。神への信仰がなければ、あるいは俺がいなければ何もできない、あの童女が……)
アンジーの幻影『神様ー! 追いかけっこしよー!』
アンジーの幻影2『神様ー! 新しい絵を描きたいなー!』
アンジーの幻影3『神様ー! もうちょっと髪を洗う手つきを優しくしないとハゲちゃうよー!』
東条「大丈夫? 気分はどう?」
巌窟王「気分……だと……?」
巌窟王「……」
巌窟王「胸が張り裂けそうで苦しい」
東条「緊張性気胸になっている恐れがあるわね。処置を開始するわ」
夢野「ヒンッ!! 死ぬな巌窟王!」
巌窟王(相手はあの最原か……俺と舌戦を繰り広げ、勝ってみせたあの探偵……)
巌窟王(……)
巌窟王「認めない……まだ不十分だぞ探偵め……!」
東条「百田くん。そこにあるレンガを取ってくれるかしら?」
百田「お? これか」ヒョイッ
巌窟王「クハハハハハッ! 俺はまだ、認めないぞ!」ギンッ
巌窟王「ここから先に進みたければ俺を倒してから――!」
東条「麻酔!」
ガンッ
巌窟王「」ガクリ
東条「あなたには治療が必要よ」
百田「それ本当に麻酔か?」
夢野「巌窟王ーーーッ!」ガビーンッ!
233 = 1 :
ぐだ男「父ちゃんかお前はッ!」ガバァッ
ぐだ男「……夢か……どんな夢だったか忘れたけど……」
ぐだ男「ん。ここは……ああそうか。逃走中だったな」
ジャック「……すー……」スヤァ
ぐだ男「……」
ぐだ男「……後でBBに電話するか。心配されてたみたいだしな」
ぐだ男「次は誰と一緒になるんかなー」
ぐだ男「……」
ぐだ男「エリザだったら今度こそ死ぬかもな……」
234 :
岩窟王とぐだ男の黄泉路に手招かれコンビww
235 :
東条さんに婦長が憑依してる…
236 = 1 :
近場の商店街
ぐだ男「だー! やっと見つかった! 公衆電話!」
ジャック「ごめんね。うるさかったから、つい斬っちゃった」
ぐだ男「物理的に斬ることないだろ! 何も!」
ぐだ男「えーと、小銭小銭……」
ジリリリリリリンッ
ジャック「……公衆電話が鳴り始めたけど?」
ぐだ男「ご丁寧にどうも」
ガチャリ
マシュBB『おっはー! 大丈夫ですか。生きてますか。死は救いだと思いますかー?』
ぐだ男「ああ。お前のお陰でなんとかな。もう外を歩いてても大丈夫か?」
マシュBB『大丈夫ですよ。もうあなたたちの罪は綺麗さっぱりなかったことになりました』
マシュBB『ひとまず、どこかでタクシーを拾ってホテルまで来てくださいな』
マシュBB『料金は旅行サーヴァントたちが立て替えますので』
ぐだ男「了解。ジャックを返しに行くよ」
ぐだ男「……で。次に俺と同行するサーヴァントって」
マシュBB『……聞きたいです?』
ぐだ男「……その態度で既に答えたも同然だよ……!」
237 = 1 :
休憩します!
238 = 1 :
ホテル
マシュBB「センパイ! よかった! 無事だったんですね!」
ぐだ男「おお、マシュ! 心配かけるようなことは何も起きなかった……ぞ?」
ぐだ男「……」
ぐだ男「……?」
デオン(凄いな。この短時間でもう違和感を覚えてるぞ)
エリザ(面白いから黙ってましょう)プププ
マシュBB「センパイに何かあったらと思うと……私……私……!」
マシュBB「センパーイ!」ダッ
ガシッ
マシュBB「……抱き着こうとしたんですけど、どうして抵抗するんですか?」ギリギリ
ぐだ男「い、いや。なんでだろう。悪寒が酷いっていうか……」ギリギリ
マシュBB「センパーイ。後輩からの好意は素直に受け取るべきですよー?」ニコォ
ぐだ男「……」
ぐだ男「BBじゃねぇかコイツ!」ガビーンッ
茨木「おお。凄いな。バレないように最低限の演技はしていたのに、もう気付いたか」
ぐだ男「マシュの表情でBBの笑い方すんのやめろ! 死ぬほど気持ち悪い!」
マシュBB「オブラートに包むとかできないんですかね?」
239 = 1 :
かくかくしかじかBBかわいい
ぐだ男「お前なー……マシュに迷惑だからそういうのやめろって……」
マシュBB「えへっ?」
茨木(凄いな。マスターに関する監視についての話題には一切触れずに、旅行サーヴァントのサポートのために来たという口実で誤魔化したぞ)
デオン(伊達にラスボスじゃないんだなぁ)
エリザ(真相を抱えたまま泥を被って肝心なところを隠すのは大得意なヤツだからね)
マシュBB「別にいいじゃないですかー。マシュさんにも一応許可取ってますしー」グリグリ
ぐだ男「事後承諾だろ、その話だと。どう考えても。脇腹のあたり指でグリグリすんのやめろ」
マシュBB「セーンパーイ! 許してくださいよー! 私だって頑張ってるんですよー!」ガシッ
ぐだ男「腰のあたりに纏わりつくのやめろ! 鬱陶しい!」
マシュBB「ほらほらー! 色々と押し付けてあげますからー!」グイグイ
マシュBB「あ、でも心まで好きにできるとは思わないでくださいね! 既に私、好きな人いますので!」
ぐだ男「もう何回も聞いてるからわかってるよ!」
エリザ「……」
エリザ「あれやばいんじゃない?」
デオン「何が?」
エリザ「だってマシュの人格は眠ってるわけじゃないんでしょ?」
茨木「あっ」
マシュBB「……あれ? なんか体温が不自然に上がってきました。あれぇ?」カァァ
デオン「BB! 今すぐマスターから離れろ! マシュの人格の方が限界に近づいてる!」
マシュBB「げっ! さっきから妙に静かだと思ったら!」ガビーンッ!
ぐだ男「……」
ぐだ男「そうだ! お前今、マシュじゃん! やばい、無邪気にじゃれすぎた!」
エリザ(BBと普段からそんなことやってんの?)
デオン(酔狂だなぁ)
240 = 1 :
マシュBB「今クールダウン中です。いやー、参った参った。初心な女の子とボディをシェアするのって大変ですね」
エリザ「はっ! 純情さで言えばあなただって」
マシュBB「スミス&ウェッソーーーン! あの竜娘を黙らせてよー!」
マシュBB「もーう、BBちゃんはしょうがないなー!(裏声)」
マシュBB「はい! M500---!(裏声)」チャリラチャッチャチャーン
エリザ「えっ」
マシュBB「ファイア」カチッ
ドバァァァァンッ!
エリザ「ぎゃああああああ! 危ねぇーーーッ!」ガビーンッ
茨木「これを扱っていたのが狂スロットであれば間違いなくサーヴァントでも死んでいただろうなぁ」
ぐだ男「日本で当たり前みたいにリボルバーをぶっ放すなーーーッ!」
241 = 1 :
ぐだ男「……で。大体予測はできているが、今日俺に同行するサーヴァントって……」
マシュBB「アレです」
デオン「アレだ」
茨木「アレよ」
ぐだ男「……」
エリザ「満を持して登場した……そう! 私よ!」
ぐだ男「ですよね……」
マシュBB「ご安心を。一応、彼女からは『槍以外の拷問器具や武器』は取り上げてますので」
ぐだ男「槍があればチェイテ城呼べるんだから関係ないだろ……」
マシュBB「……気休めには充分でしょう?」
エリザ「ふふっ。妙な心配はしなくても大丈夫よ子イヌ」
エリザ「今日はしないわ。今日はね」
ぐだ男「……今日は、か……」
242 = 1 :
ジャック「おかあさーん!」タッタッタッ
ぐだ男「お。ジャック。どうかしたか?」
デオン「む。そういえばさっきから姿が見えなくなっていたな。どこに行ってたんだ?」
ジャック「荷物漁ってたー!」
茨木「あの愉快な玩具群を……?」
ジャック「これあげるー!」
ぐだ男「……これ何?」
ジャック「GPS-! 行方不明になっても安心! すぐ見つけてあげるね!」ニコニコ
ぐだ男「あ、ありがとう……」
ぐだ男(行方不明になるような目に遭うのか……)
エリザ「別れの挨拶は済んだかしら。じゃあ、行くわよ!」
243 = 1 :
休憩します!
244 = 1 :
マシュBB「……さぁて。ここからは私たちVSエリザさんの知恵比べになりますね」
デオン「そしてエリザはその知恵比べにすぐ飽きて即行でいつも通りの悪行に戻るだろうな」
茨木「容易に予測できすぎる……」
ジャック「大丈夫大丈夫。早速最初の知恵比べには勝ってるから」
マシュBB「……荷物を漁ってきただけじゃなかったんですか?」
ジャック「そんなに大したことはしてないけど、荷物の内容の確認はしてきた」
ジャック「あのね? デオンのときに使われたチャフを覚えてる?」
デオン「ああ。ちゃんと纏めてペットボトルに詰めてジャックに返したヤツだろう?」
ジャック「で、それを更に私たちが改めて散布装置にぶち込んでみようかな……」
ジャック「ってところで考え直して、改造したの」
マシュBB「え? 改造?」
ジャック「あのね? あれってピンを外してから数秒で起爆するようになってたけど、ピンを抜いた途端に起爆するようにしたんだよ」
ジャック「で、中身も変えた。今アレの中に入っているのは、デオンに対する天然痘みたいなエリザへの対抗策だよ」
マシュBB「……えっ? アンデルセンさんに作ってもらったアレ?」
ジャック「アレ」
245 = 1 :
エリザ(ふっふっふ……まさか連中は思ってもないでしょうね)
エリザ(私がチャフをジャックの荷物の中からこっそり持ち出してきたなんて!)
※バレてます。
エリザ(今は自動操縦状態になっているドローンが私たちを見張っている状態だけど)
エリザ(さて、ここでチャフをバラまいたら果たしてどうなるかしら?)
エリザ(ドローンは使用不可。その間に私は子イヌを連れてどこかへ蒸発)
エリザ(さぞ驚くことでしょうねぇ! 間抜け面を拝めないのが残念だわぁ!)
エリザ(さあ! 早速コレを使って……)
エリザ「……」
エリザ「こ、子イヌ。ちょっと聞きたいことが……」
ぐだ男「なに?」
エリザ「これ、ピンってどこにあるんだと思う?」
ぐだ男「……え。これチャフじゃん。なんで持ってるの」
エリザ「え、ええと……」
ぐだ男「使っちゃダメだぞ」
エリザ「……」
エリザ「……はい……」シュン
246 = 1 :
ホテル内
どっかの学士『ああんの、どこに出しても恥ずかしいド低級サーヴァントがああああああ!』
マシュBB「という声がどこからか聞こえてくる程度には予想以上におバカでしたね」
ジャック「……せっかくの『人間化アンプル』が……」
茨木「人間化?」
デオン「……まさか、アンデルセンに作ってもらった品物というのは……」
マシュBB「人外を条件付きで人間へと変える宝具……だったんですが」
マシュBB「ほら。人魚姫は声を代償に人間へと変わっていたでしょう? それと同じものがあの中に入っていたんです」
デオン「普通なら声が出せなくなるというのは紛れもなく副作用、デメリットなんだろうが……」
茨木「エリザに対してのみは『竜の力が使えなくなる』のと『声が出せなくなる』のとで、メリットしか存在せんな」
マシュBB「作らせるのめっちゃ苦労したんですよー! サンクトペテルブルクにカンヅメにさせたりして!」
マシュBB「そう! デオンくんちゃんさんも大好きな、あのサンクトペテルブルクにぶち込んだりして!」
デオン「マシュに感謝しろ。特に感謝しろ。さもなくばこの場でお前の首を斬り落していた」
ジャック「落ち着きなよー」
247 = 1 :
エリザ「あっ! そうだ! カラオケ! カラオケというものに行ってみたいわ!」
エリザ「私、日本に来たら絶対にコレだけはやっておきたいと思っていたもの!」
ぐだ男(絶対言うと思った!)ガビーンッ
ぐだ男(さて、ここでエリザをカラオケに連れて行ったとしよう。被害人数は如何ほどになるだろうか)
ぐだ男(ソニックブレスがカラオケの個室内で留まるわけもなく、おそらく防音装置を突き破って隣の部屋の人間も死亡)
ぐだ男(更にはわけのわからない共振作用が起き、建物そのものにダメージが行く)
ぐだ男(大地震か終末が来たかのように揺れる建物。エリザの声のダメージが比較的少ない離れた距離にいた者も逃げ遅れ……)
ぐだ男(最終的な被害者は三桁を下らないだろう!)シャキーンッ!
ぐだ男(ということを彼女に素直に言ったところで)
エリザ『いくらなんでもそこまで大きな声は出ないわよ!』
ぐだ男(という『自分自身が音痴である』という点を完全無視した反論で強引に連れていかれてしまうだろう)
ぐだ男(考えろ……! 被害者が一人たりとも出ない、誰もが幸せになる結末を夢想するんだ……!)
ぐだ男(何か……何かないか……!)
エミヤ『――ついて来れるか』
ぐだ男(エミヤ……! 俺に力を貸してくれ……!)
248 = 1 :
ぐだ男(今打てる最善の手がある! それは!)
ぐだ男「その前にさ。俺、昨日は家に帰ってなかったんだ」
ぐだ男「お母さんのところに帰って安心させたいんだけど」
エリザ「あ、そうね。家族は大事だわ」
エリザ「いいでしょう。まずは先にそっちね!」
ぐだ男(先延ばし! ひとまずコレで時間を稼ぐ!)
ぐだ男(考えろ……逆転の一手をその間に考えるんだ……!)
249 = 1 :
池袋
マシュBB「うーん。エリザさんがピンを抜いて散布装置を起爆させてくれれば全部丸く収まったのですが」
ジャック「おかしいね。頭脳戦って知能での殴り合いのはずなのにね」
デオン「相手のバカさ加減を計算に入れていなかったせいで逆にこちらがドツボに嵌まるとは」
茨木「実はわざとやっているのではないか?」モヒモヒ
マシュBB「エリザさんですからねー。どちらとも言えるはずです」
マシュBB「……」
マシュBB「さっきからなんか視線を感じるのですが」
デオン「茨木を見ているのだろう。体格にしてはありえないほど食べているからな」
茨木「む? 食べ放題のすいーつびゅっふぇなのだろう? 食べて当たりまえなのではないか?」
ジャック「ひとまずこの場にいる全員の目玉を抉れば視線は気にならなくなるよ?」
マシュBB「ナイスアイディーア!」グッ
デオン「やめろ」
250 = 1 :
夕飯食べます!
みんなの評価 : ○
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