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    元スレ永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」

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    351 :

    乙ですよ
    生存報告さえ時々あればいつでもok

    352 :


    【定時報告】

    355 :

    すげえ…

    待ってます

    357 :

    これ全部1から描いてるのか・・・?
    大変だろうに別にそこまでやらんでも

    358 :


    【定時報告】

    361 :

    わぁい

    362 :

    相変わらず謎の画力だな

    363 :

    絵描けないからホント尊敬する

    364 :

    【御知らせ】
    来月に再開します
    詳しい日程はまだ未定ですが、さすがに11月を超える事はないと思います(と思いたい
    というわけで、決まり次第また言いに来ます
    そろそろいい加減にします。はい。いや、マジで

    365 :



    ぶっちゃけ絵が大変なんじゃないか?w
    文字だけでも全然いいのよ

    366 :

    何枚描いてんだ?

    367 :

    作者のこだわりを読者が止めるのは無粋よ
    思う存分つくりこんでええんやで

    369 :

    【御知らせ】
    来週再開します

    370 :

    やったぜ

    371 :

    ずいぶんかかったな

    373 :

    てす
    http://imgur.com/lTl5YjE

    374 = 373 :

    こうか

    375 :

    見える

    376 = 373 :

    >>375
    あざす

    377 :




    ――――問題は、まだ誰も見ていない物を見る事ではない


        誰もが見ているのに


        誰もが考えなかった事を考える事である――――
      


    378 = 377 :



    【ギイ】


     草木も眠る丑三つ時。
     家々から明かりが消え、人々は寝静まり、安らかな吐息に包まれる時間。
     それらを生むが、すなわち、闇――――
     夜と名付けられた闇は、一時の休息を齎すと同時に、とある目覚めを呼び覚ますのだ。


    【ギイ】


     人々はその闇夜に目覚める存在を、妖と名付けた。
    「人が寝静まる頃に目を覚ますのだから、やはりそれは、人ならざる存在なのだ」。
     実に人間本位な理屈である。
     だがその理屈は、あながち間違いではない。


    【ギイ】


     妖は、往々にして怪を成す。
     程度の差は万別なれど、人の理から大きく外れた妖の理は、やはり人からすれば奇怪そのものなのだ。
     いつしか人々は、その怪を書物と言う形で残すようになった。
     妖の存在を認め、妖の存在を受け入れたのだ。


     だがそれでも人々は、最後まで認める事はなかった。
     「妖は常に我らと共にある」。
     しかしながら、いくら歩み寄ろうとも――――”決して相容れぬ存在である”と。



    「…………おっ」



     草木も眠る丑三つ時。
     この世ならざる存在が跋扈し始める、妖の刻。
     しかしその妖ですら眠りにつく、真なる静寂の刻がある。


     その名も――――【寅】の刻。
     この世の何もかもがいなくなる刻。
     全ての存在を食らうが如き刻。
     偶然か必然か、寅を冠するその名は、まさにおあつらえ向きであろう。








    379 = 377 :



    「…………」


     そんな、誰しもがいなくなるはずの、無常の刻の最中……
     その場にはただ一つだけ、足音を擦りながら潜む、一つの影があった。



    「…………ははぁん」


     影は、かのような夜更けにも関わらず、明かりもつけぬままに歩を進めておった。
     その様はまさに忍び足。
     音を立てまいと必死に忍びつつも、やはり少しばかり漏れる足音は隠せない。



    「なんか……意外な形してるわね」


    「まぁ……いっか」



     ギィ……ギィ……闇に鳴る小さな音。
     してその音を鳴らす、小さな影の正体とは――――




    (いただき…………まーす…………)




    380 = 377 :




    「…………う”ッ!」



    【詰】




    「う”っ…………ん”っ…………ぐぅ…………ッ!」




    【積】




    「う”…………」




    【摘】

     


    「…………んんんんま”ッ! 何これ!?」



    「――――超”旨い”んですけど!」




    【舌鼓】


    381 = 377 :



    「ちょ、ほんとうまい! ヤバイヤバイ、マジ止まんないって!」


    「こんな事なら皿持ってこればよかったわ――――”みんなにも”ちょっと分けてあげたいくらいよ!」


     口いっぱいに広がる旨味は、影本人も想定外だったのであろう。
     予期せぬ舌鼓に、最初の警戒も何のその。乱雑に鷲掴みにしたあげく、一心不乱に食し始めたのだ。
     ガツガツ、ボリボリ、ゴリゴリ……静寂であるはずの刻に食の音がなる。
     さながら腹をすかせた猛獣のように、食にありつくその姿は、まさに寅の如くである。 


    「さすがお師匠様だわ……まさか、”食べれる薬”だったなんて」


    「なんて、なんて画期的なアイデアなの!」


     影は、人知れず感動していた。
     伸ばす手が止まらぬ程に旨い薬。
     しかもその効能が、自身が長年追い求めていた”薬”だったとあらば、その感動はさらに倍増である。
     

    「だめよあたし、耐えるのよ。これ以上はきっと、もう……」


    「一つだけ! 後一つだけ…………やっぱ無理!」



     誰もがいなくなる寅の刻。
     妖すらも眠る闇夜に、ただ一つ、身を震わしながら食にありつく影が一つ。

     しかし影は、舌鼓にかまけすっかり忘れておった――――
     いくら旨かろうと、所詮薬は薬。
     薬を服用する事は、決して「食べる」とは言わない事を。





    (ダメですよ……そんなにがっついちゃぁ……)



    「――――ッ!?」





     そんな当たり前の忠告が、影の耳に届いた――――その時。





    (薬は……用法、用量がキチンと決められているのですから……)





     「あんぎゃあ――――……」
     静寂は、絶叫にかき消された。

    382 = 377 :



    薬売り「おや……」


    【反転】


    てゐ「あ、あひゃ、あひゃあ……」


    【半天】


    薬売り「大丈夫……ですか?」


     次の瞬間、その場に影はいなくなった。
     影は盛大にひっくり返った後、その勢いで持って、偶然にも近くの明かりを灯したのだ。
     そして影は露と消え、代わりに現れたるは――――奇怪にも頭と足が逆さになった、「妖兎」の姿であった。


    てゐ「おば、おば、おばおばちんどん屋ァッ! い、一体どっから湧いて来てんのよ!?」

    薬売り「そちらこそ……あっしは最初から、ここにおりましたが?」

     
     そして、ついに姿を現したる妖兎は、起き上がると同時に溢れんばかりに言葉を放つ――――ありったけの「文句」を載せて。
     まぁ正直、「またか」と言った所である。
     薬売りに文句を垂れる者は、何も妖兎に限った話ではないのだ。
     

    薬売り「いえね、足音が聞こえましたので、”明かりがついたら”声をかけようと思ったのですが……」

    薬売り「姉弟子様が、いつまで経っても、明かりをつけないもので……」

    薬売り「故に、声をかける機会を……失ってしまった次第で……」


     薬売りの悪い癖だ。こやつはいつも、本当に唐突に現れよる。
     このやりとりはもう幾度となく見せられた事やら……もはや思い起こすのも億劫である。
     と言うわけで、夜更けが織りなす雅な静寂は……この相も変わらずな薬売りのせいで、文字通り台無しとなったのだ。


    薬売り「むしろ、こちらの方がお尋ねしたい――――”何故に明かりをつけないので?”」


     今回の弁明は曰く、「声をかける機会がわからなかったから」と言う事らしい。
     ただでさえ暗い亭の中。さらにはその中で、明かりもつけずに忍び足を擦っているとあらば、まぁそうなる気持ちもわからんでもない。


    てゐ「何故もなにも……あんたさぁ、空気読めないって言われない?」

    薬売り「空気……ですか?」


     にしても……こいつに限っては、やはり”わざと”だったと、身共は断じよう。
     だって、そうであろう?
     いくら暗がりとはいえ、そこで誰が、何をしているかなど……薬売りだけはハッキリとわかっていたはずではないか。


    てゐ「ったくもう……まじで……心の臓が飛び出るかと思ったわよ……」

    薬売り「床が、汚れてしまいましたな」

    てゐ「おかげさまでね。口ン中おもっきし吹き出しちゃったわよ、このアホンダラが」

    薬売り「ご心配なく……後ほど、雑巾を御貸ししますので」

    てゐ「――――お前が拭けよ!?」


     まぁ……薬売りの倫理感など、所詮はこの程度である。
     そういうわけで、だ。
     床に散らばった吐しゃ物は「誰が拭くのか」など、そんな事はどうでもよいのだ。
     肝心なのは――――この妖兎が”何を吐いたのか”にかかっているのである。



    【零】

    383 = 377 :



    てゐ「……で、いつ戻って来たの?」

    薬売り「つい先ほど……ちょうど、寅の刻を過ぎた頃合いでしょうか」

    てゐ「あっそ。じゃあ……”先にうどんげと会ってきた”わけね」

    薬売り「ええ……まぁ……」


     そう、この目前における、至要たる事実は決して忘れてはならない。
     この妖兎・てゐは此度の騒動に置ける唯一の生き残り。
     モノノ怪の神隠しを逃れし唯一の存在であり、なおかつこの消失劇を”他人事”のようにふるまい続けたあの態度は、決して忘れてはならない事実なのである。


    てゐ「で…………うどんげは」

    薬売り「行きましたよ……一足先に、ね」

    てゐ「……あっそ」


     薬売りは慎重を期すかのように口数を減らした。
     それはやはり妖兎が、この期に及んでまだ態度を変えぬ事に一因する。
     その証拠に……薬売りの返答に対する妖兎の様相は、やはり顔色一つ変えぬままであった。
     悲しむでもなく喜ぶでもなく……同胞の兎が”どこに行った”のかなど、おのずと想像がつきそうな物なのに。


    てゐ「あいつもバカよね。逃げるつもりで飛び出して、逆に取っ捕まってりゃ世話ないわ」

    薬売り「見ておられたのですか……?」

    てゐ「ハハ、違う違う――――想像よ」

    てゐ「あいつがなんで逃げ出そうして、どんな決意で逃げて、んでどこで転んでほえ面下げたか……なんて」

    てゐ「ほんともう、手に取るようにわかるわけ」


     そして薬売りは確信するに至る。
     やはりこの妖兎は、”全てを知っている”。
     先ほど玉兎が見せた、玉兎の中だけにある闇。
     してその闇に解を示す、真と理と――――


    薬売り「してその心は……」

    てゐ「そんなの簡単な話よ」

    てゐ「あいつ――――”バカだから”」

    薬売り「…………」



     さらにはそれのみならず――――永琳、妹紅、姫君。
     彼女らが如何様な理を持ち、そして何ゆえにモノノ怪に狙われるに至ったか。


     妖兎は全てを知っている。
     故に深入りを避けた。
     それは――――”モノノ怪の獲物に自分が入ってない”と、密やかに確信していたから。
     もはやそうとしか考えられないのだ。



    【確信】

    384 = 377 :



    てゐ「だってあいつ、まじバカじゃん? ”この薬”の事だってそう……」

    てゐ「そもそも……誰も……蓬莱の薬だなんて……」

    てゐ「一ッ言も! 言ってなかったのにさぁ!」


    (――――蓬莱の薬は、絶対に知られてはいけなかったのに!)


    薬売り「確かに、貴方様は「知られてはいけない薬」の事など、一言も漏らしていなかった……」

    てゐ「なのに勝手に勘違いして、襲い掛かってきて、発狂ついでに全部ゲロってんの」

    てゐ「言ってはいけないはずの秘密を、自分から……しかもみんなに聞こえるくらいの大声でね」


     そう言う妖兎の語りは、やや恨み節のようにも見受けられた。
     それはやはり、先刻の玉兎との痴話喧嘩が起因であろう。
     あの時は、薬売りを尻目に随分と派手な弾幕が飛び交っていたが……その原因が”玉兎の勘違い”であったとあらば、そりゃまぁ腹正しいであろう。
     喧嘩両成敗とはよく言うがな。あの場に限っては、妖兎は一方的な被害者であったと言えようて。


    てゐ「正直まだヒリヒリするんわ。あのバカ、マジで弾幕ぶっ放してきやがったかんね」

    薬売り「災難……でしたな」

    てゐ「ほんとほんと、とんだ災厄兎よね」

    てゐ「月の兎だかなんだかしんないけど、新参者の分際で無駄に偉そうだし」

    てゐ「拾ってやったのに感謝しないし。アホの癖にやたら賢ぶるし……」


    薬売り「……」


    てゐ「勘違いを認めないし、謝らないし、詰めたら発狂しだしてめんどくせえし」

    てゐ「ていうかそもそも、なんでタメ口なのこいつって話だし?」


     よほど溜まる物があったのか、妖兎はよい機会だと言わんばかりに、あらゆる愚痴を綴り続けた。
     妖兎の玉兎に対する悪態は個人的な不満でありながら、そこまで的外れでもなかったのは流石である。

     そんな妖兎からすれば、玉兎の失敗に終わった脱走は「ざまぁ見晒せ」と言った所であろう。
     相手の失態をあざ笑う趣向は、この妖兎の大好物である事を薬売りは知っている。
     しかし薬売りは、煽り建てる妖兎の口調から――――”一筋の本音”を感じ取った。



    てゐ「あんなバカでアホでトラブルばっか起こす問題兎…………”外に出しちゃダメ”」

    てゐ「そう、思わない?」



     悪態と嘲りの末に、導き出された結論――――
     それは此度のモノノ怪騒動と、同じであったのだ。



    【籠の中】


    385 = 377 :



    薬売り「とどのつまり……貴方もまた、最初から知っていたのですね」

    薬売り「あのうどんげの中に御座す――――もう一つの影の事を」


    【物問】


    てゐ「知ってるも何も、見るだけでわかるっつーの」

    てゐ「あいつをここへ運んだのは、他でもないあたしよ? この竹林のど真ん中でぶっ倒れてた、見知らぬ謎の長身兎」

    てゐ「しかもしかもいざ亭へと運んでみれば、なんとお師匠様のお知り合いだって言うじゃない」

    てゐ「んなの……どー考えても”ワケアリ”なの、丸出しじゃん?」


     妖兎は語る。
     あの竹林で行き倒れた玉兎を最初に発見したのは、他でもない自分である事を。
     次いで語る。
     身なり、経緯、生活態度、その他諸々……
     同じ兎と括られる事が多い二羽の間で、あまりにも相違点が多すぎる事を。


    てゐ「むしろ、わかんない方が不思議って感じ」

    薬売り「見るだけで……ですか」


     そして最終的に結論付けた。
     単なる性格の違いと片づけるには、どうにも理屈が合わない。
     よって「こいつには何かある――――」そう察するのは自然な成り行きであると。
     してその察しは、結果として大正解であったのだ。


    てゐ「ついでに言っとくけど、あんたが”うどんげに何をしたか”も想像つくわよ」 

    薬売り「ほぉ…………してその心は」

    てゐ「気持ちよかったでしょ? あいつ、かしこぶってるけど基本バカだし」


    てゐ「――――”獲物が狙い通りに罠にかかる姿”なんて、愉快痛快もいい所よね」


    薬売り「…………」


     このように、妖兎はやたらと”察する力”に長けていた。
     それは月とは違う、地上の兎であるが故なのか。
     はたまた出生など関係なく、この妖兎だけが持つ特技であるのか……
     とかくいかような経緯であろうと、そこは臆病で非力な兎。
     食われる立場の多い兎からすれば、それは紛れもない「長所」と言っても差し支えないであろう。

    386 = 377 :



    てゐ「最初は新参者の癖に生意気だから懲らしめてやろうって、ただのそれだけだったんだけど」

    てゐ「おもしろいくらい引っかかるから、なんかもう、いつの間にか病みつきになるくらいハマっちゃって……」

    薬売り「向こうからすれば、災難そのものでしょうな……」

    てゐ「そんなのお互い様よ。だから、あんたの気持ちも、よーくわかる」

    てゐ「高飛車で偉そうで思わせぶりな素振りしてる奴を……”一発引っかけたくなる”その気持ち」

    薬売り「…………」


     しかし薬売りにとっては、その長所は壁でしかなかった。
     妖兎のやけに鋭い「察し」の前に、薬売りの企みは、明らかに発覚していたのである。


    (――――だったのかも知れません……ねぇ?)


     そう……先刻、薬売りは確かに、玉兎を”ハメ”たのだ。
     言葉巧みに理を聞き出した挙句、果てにその理が、不要とわかるや否や――――まるで、紙屑を屑籠に入れるように。
     

    てゐ「おあつらえ向きじゃない。残り物には福があるってね」

    てゐ「てなわけで……続きしよっか。ちんどん屋」

    薬売り「続き……?」


     同じ兎がそんな目にあわされたとあらば、ただでさえ臆病な兎の猜疑心を揺り起こすのは必須。
     そしてそんな悪行をしでかした薬売りの人となりは、こうしてすでに発覚し終えている。
     しかも不幸な事に――――よりにもよって”最後に残した一羽に”である。


    てゐ「ほら、余計なチャチャ入って中断してた……」



    てゐ「――――【弾幕勝負】の続きをよ」



    薬売り「…………」


     薬売りは、妖兎の問いかけに応ずることなく、そっと瞼を閉じた。
     それは心を落ち着けんが為。
     強いては妖兎の嘲りに、心乱され隙を見せぬ為である。



    てゐ「ゲロさせてみなさいよ。ほら――――”うどんげの時みたいに”さ」



     薬売りにとってはまさに、ここが正念場であった。
     モノノ怪へ至る各々の理。その最後の一つが、こうして明らかなる対峙の姿勢を見せている。
     さもあらば、この妖兎を攻略せぬ限り、モノノ怪へと辿り着けぬが同義である。


     避けて通るはもはや不可能なこの状況――――
     仮に如何なる不足があろうとて。
     よもや、しくじる事など、許されるはずがなかったのだ。



    【夜明けの番人】

    387 = 377 :



    てゐ「何よ、何今更ビビってんのよ」

    てゐ「あんときゃノリノリで刀突き立てて来たじゃない――――”あたしをモノノ怪と思って”さ」


     薬売りは、しばしの間押し黙った。
     口を閉じ、眼を閉じ、座を保ったまま、妖兎の煽りに堪えておった。

     まぁ……迷っておったのだろうな。
     「この圧倒的に不利な状況を、以下にして乗り切らんか」。
     まさに難題を突き付けられた、貴公子さながらである。


    てゐ「何を迷う? 単純な話じゃない」

    てゐ「あたしとの弾幕勝負に勝てたら、全部吐いてあげるつってんの」


     しきりに弾幕勝負にこだわる妖兎の姿勢。
     薬売りにとっては慣れぬ文化であろうが、この幻想郷ではこれが当たり前なのだ。

     弾幕勝負――――弾幕で決着をつけ、弾幕で持って白黒をハッキリさせる、弱肉強食の如き絶対の掟。
     妖らしい、実に野蛮な掟である。だが必要な掟であるのもこれまた事実。



    てゐ「でも、万が一あんたが負けたら…………」


    てゐ「負けたら……負けようものならば…………」



     此度の対峙も、まさにその範疇であろう。
     弾幕至上主義の幻想郷の理。
     それはこの地に足を踏み入れた以上、何者であろうと、一切の関係がないのである。



    てゐ「…………ごめん、あたしが勝ったらどうするか、そこ考えてなかったわ」



    【度忘れ】

    388 = 377 :



    薬売り「…………」

    てゐ「ごめんごめん、ごめんって! そうよね、これじゃあ決闘が成立しないわよね!」

    てゐ「だからぁ~…………えっとぉ…………」

    薬売り「…………」


     そしてその掟は、以下の契りで終結する。
     「――――弾幕勝負は、勝者が敗者のスペルカードを奪い取る事ができる」。
     もう一度言うが、これは幻想郷そのものの理である。
     よって、妖兎の提案は至極真っ当。妖兎はあくまで、この世の理に従っただけにすぎない。



    【幻想郷――――之・理】



     故に、薬売りに拒否する権利などあるはずがなかったのだ。
     如何に不利であろうと、受け入れる以外に術はなかった。



    てゐ「――――わかった! じゃあ、こうしましょ!」



     その結果が、齎した物は――――



    てゐ「あたしが勝ったら――――”退魔の剣を貰う”」


    てゐ「どう? これで対等な条件じゃない?」


    薬売り(こいつ…………)



     薬売りの勝機を、さらに狭めた。



    【籠の中の鳥】


    389 = 377 :



    てゐ「そりゃそーでしょ。あんたの持ち物でスペカに相当する物って、ソレしかないじゃない」

    てゐ「モノノ怪を斬る事ができる唯一の剣……だっけ? 唯一無比の価値だからこそ、勝ちの証に相応しい」

    てゐ「違う?」


     妖兎の謀りは留まる事を知らず、確実に薬売りを追いつめつつあった。
     一見すると平等な賭けの提案であるが、当然その腹に平等の二文字などありはしない。

     地の不利。弾幕の不利。理の不利。能力の不利――――
     あらゆる状況が、すべからく妖兎の味方をしている事実。
     「妖兎の提案が、確かな勝算に基づいている」。
     如何に夜更けであろうとも、そんな露骨な打算に気づかぬ程、未だ薬売りは呆けていなかったのだ。


    薬売り「一つ、お聞きしたい……」

    てゐ「あ? 何よ」

    薬売り「この退魔の剣を指定すると言う事は……万一あっしが負ければ、もはやあっしにモノノ怪に対抗する術がなくなると同義」

    薬売り「そして、術がなくなる事で……”得をするのは一体誰か”」

    てゐ「まどっろこしいなぁ。一体何が言いたいわけ?」

    薬売り「貴方はやはり、モノノ怪の正体に気づいている……そして”全てを知った上でモノノ怪を庇おう”としている」

    薬売り「あっしに斬らせない為に……退魔の剣を奪い、モノノ怪すらも永遠の一部にする為に」


     うむ……身共も薄々感じていたが、やはり薬売りもその結論に達したか。
     これまでの妖兎の態度から察するに、妖兎も”モノノ怪側”であったと断じざるを得ないのだ。
     それが如何様な理か、推し量る術はない。
     しかしやはり、妖兎の今迄の軌跡を振り返るに……”モノノ怪に組していたから”と考えれば、全ての合点が通ってしまう。

     
    てゐ「何……探り入れてんの?」

    薬売り「いえ、滅相もない……しかしそう感ずる程に、貴方の行動は不振に塗れていたのもまた事実」

    薬売り「差し支えなければ……理に触れぬ範囲で結構ですので、お教え願えませんか?」

    薬売り「貴方の行動が……”一体何に沿った行動であったのか”を」


     それは、今の薬売りにできる、精一杯の足掻きであった。
     かつて数多の「真と理」を白日に晒してきた薬売りが、今や懇願する事でしか知る術がないのだ。
     こうなれば、よもや……妖兎が上手い事、口を滑らす事を願うばかりである。


    ――――しかし




    てゐ「ちんどん屋さぁ……”シュレディンガーの猫”って知ってる?」


    薬売り「猫……?」



     かのようなか細い稀など、往々にして起こるはずもなく――――
     妖兎の口から、またも新たな謎が生まれたのだ。



    【理論】

    390 = 377 :

    夜中また来る

    391 :



    てゐ「あのね、とある猫を箱の中に入れて、一緒に50%の確率で毒になる餌を入れたのね」

    てゐ「その状態で丸一日くらいほったらかしにしました。さて、では箱の中の猫は生きてるでしょうか、死んでいるでしょうか……って奴なんだけど」

    てゐ「聞いたことない?」


     妖兎は薬売りの問いかけに、問いで返すと言う手段を取った。
     しかもその問は何ら関係のない問い。話題逸らしもいい所である。
     ううむ、やはりそこは謀り上手な妖兎。そう簡単に、尻尾は掴ませてくれないか……


     ……で、結局その「すれてんがーの猫」とやらは生きているのか? 死んでいるのか?


    薬売り「……その時の状況によりますな」

    てゐ「お、なんか新解釈」


    薬売り「50%の確率で毒になるならば、運がよければ毒にならずにすむ可能性もある」

    薬売り「それ以前にそもそも猫は腹をすかしておらず、一日程度なら餌を口につけないかもしれない」

    薬売り「それにその箱の中に入れたと言う状況……その箱がどのような箱だったのかで話は変わる」

    てゐ「おお、なんかドンドン深い話に」


    薬売り「箱の中は快適な小屋だったのか、はたまた粗雑なただの物入れだったのか……」

    薬売り「そして猫は、飼い猫だったのか野良猫だったのか」

    薬売り「言い換えれば、”飼い主”に入れられたのか、”見知らぬ人間”に入れられたのか」

    てゐ「ははーん、なるほどなるほど……」


    薬売り「猫は箱に入れられる事をどう感じていたのか。それによって、結果は随分と左右されましょう」

    てゐ「で……つまり?」



    薬売り「――――”開けてみるまでわからない”。これが答えとなりましょう」


     な……なんだその答えは!  
     「開けてみるまでわからない」って……そんなもの、誰だってそう答えるわ!
     新たな頓知だと思い少し考えてしまったではないか……ったく。
     妖兎も妖兎だ。素直に話を逸らせばよかろうに、よりにもよってこんな思わせぶりな台詞を吐くなどと……


    てゐ「あー、結局そうなるわけ……」



     ……ん? 思わせぶり?

    392 = 391 :



    てゐ「これはね、実はちゃんとした答えがあって」

    てゐ「開けてみるまでわからないってのは正しいんだけど……この問に関して”だけ”で言えば、残念ながらハズレなのね」

    薬売り「して……その心は」


    てゐ「正解は――――生きてもいるし、死んでもいる状態」


    てゐ「つまり、”生死が同時に起こっている状態”が答え……ってわけ」


    薬売り「……えっ」


     ……はぁ? こやつは一体何を言っているのだ。
     生死が同時に起こるだと? おいおいバカを言うな。
     毒を食らわば猫は死ぬし、食わねば無事生き残る。
     答えがどちらかこそ開けてみるまでわからぬが、結果はどちらか”片方しかない”のは明白ではないか。


    薬売り「受け売り……ですか?」

    てゐ「鋭いわねちんどん屋。そーよ、これはお師匠様から聞いた、ただの丸暗記」

    てゐ「”りょーしがくりきろんに基づくしそー実験”って奴らしいわ。正直、あたしもちんぷんかんぷんなんだけどね」

    薬売り「それがモノノ怪と……何の関係が……」

    てゐ「その話は、いつぞや、うどんげといた時に聞いた話だった」

    てゐ「うどんげはわかったフリしてウンウンうなづいてたけど、その実全然わかっていなかった」

    てゐ「だからちょっと突っ込まれたらアッと言う間にボロを出して……って、そこは関係ないわね」


     ぬぬ……これが月の英知の片鱗か……
     何が何やらさっぱりわからぬが、永琳直々の教授ならば、それは確かなる一つの論理なのだろう。
     むぅ……修験ではなく、学者にでもなるべきだったかのぅ。
     さすれば今頃、身共も賢者と讃え呼ばれておったやもしれぬのに。


    てゐ「でも……あたしは何となく、こう……理屈じゃなく、感覚でわかった」

    てゐ「なんとかかんとか論とか、小難しい事は一切わかんないけど……でも”確率”の事を言ってるんだってのは、すぐに理解できたの」

    薬売り「確率……?」


    【学論】


    てゐ「こう見えて、昔から”確率計算”だけは得意でね。ま、使う機会のない特技なんだけど」

    てゐ「でもその分、何かに例える事が出来る」

    薬売り「差し支えなければ……お教え願えませんか」

    てゐ「そうね……あんたっぽく言うと……」



    【――――確率之・理】



    てゐ「と、言った所かしら」

    393 = 391 :



    てゐ「確率は、不確かなようでとある理に沿って動いている」

    てゐ「そしてその理は、人には決して理解できない理」

    てゐ「理解できないけど、確かに存在する理。全てが異なる独自の理」

    てゐ「なのにその理は、時として現実世界に影響を及ぼす」

    薬売り「それは……」

    てゐ「これって……あんたの言う”モノノ怪と同じ”じゃない?」


     まったく、何を小難しい事を言い出すのだと思ったが……「理解できずとも問題ない」とわかれば一安心だ。
     すれてんがーの猫とやらは、要は例え話。
     確率が持つ独自の法則が、モノノ怪の生態と酷似すると、妖兎はそう言いたかっただけに過ぎないのだ。
     

    てゐ「お師匠様は、この確率が起こす矛盾を、こういう風におっしゃったわ」


    てゐ「――――”確率は観測される事で初めて一つに集約される”」


    薬売り(観測……)

    てゐ「これがその、りょーしなんとか論の結論らしいわ……まぁ、そっちはさっぱりわかんないけど」


    【理屈】


    てゐ「でも……最初にその剣の抜き方を聞いた時、あたしはピーンと閃いた」

    てゐ「退魔の剣が【形と真と理】を必要とするのは――――このシュレディンガーの猫と同じなんだって」


     しかしながらその例えは、実に興味を引く話であった。
     箱の中の猫云々は存ぜぬが、確率の話ならば身共もわかる。
     要は、「丁半博打」の事を言っているのだろう?
     ふふ、懐かしいのぅ……身共も若かりし頃、夜な夜な街に繰り出しては博打に明け暮れたものよ。


    てゐ「退魔の剣を抜く事は、猫の入った箱を開けるのと同じ事……見えない世界にいるモノノ怪を、観測することで一つの結果に表す事と同じ」

    てゐ「だから斬る事ができる……いや、”斬ると表現”する事ができる」


     そういえば、この薬売りは博打を嗜むのかのう。
     なさそうだな……なんとなくこいつは、そう言った運否天賦とは無縁な気がするよの。
     ま、元々が薬売りである故な。こやつは理に沿ってのみ動く「お堅い」人種と言えよう。

     だからこそ、疑問に思うはずだ。
     薬売りが持つ退魔の剣。と、その所以。
     何故に剣は、形と真と理を求め、何故にモノノ怪を斬る事ができるのか。


     
    薬売り「この剣が……観測を……?」


     ひょっとしたら、妖兎の説は図星だったのかもしれん。
     今だからこそ言うが、身共もほとほと不思議に思っていたのでな……
     あんな摩訶不思議な刀、一体どこで手に入れたのやら――――そして如何様にして、抜き方を知ったのか。


    394 = 391 :



    てゐ「あんたの言う通り、結果は開けてみるまでわからない」

    てゐ「でも言い換えれば、開けてみるまで”確率は無数に存在している事になる”」

    てゐ「だから、生きてもいるし、死んでもいる状態……そんな矛盾が、確率の世界では往々にして起こる」


    【確率解釈】


    てゐ「その剣は、そんな矛盾を紐解くことができる。矛盾を観測することで、一つの事象に表す事ができる」

    薬売り「この剣が…………確率を…………?」

    てゐ「だから、退魔の”見”。もしかしたらそれ……刃はついてなかったりして?」

    薬売り「…………」


     ひょっとして……知らなかったのか?
     おいおい頼むぞ薬売り。自分の得物を昨日今日会ったばかりの兎に看破されたとあっては、今迄斬られたモノノ怪達が化けて出よるわ。

     妖兎の仮説は、今の所筋が通っておる。
     というか、たった一晩でよくぞまぁ……そこまで推察できた物よ。
     身共も全てを知るわけではないがの。
     身共の知る範囲の中では、今の所妖兎の説は、見事なまでに的中しておるのだ。


    てゐ「その剣に顏みたいなのついてんのも、ひょっとしたらそういう事なのかもね」

    薬売り「考えた事も……ありませんでしたね」

    てゐ「アホ、薬売りなんだから自分の商売道具くらい知っときなさいよ」

    薬売り「肝に銘じて……おきましょう……」

    てゐ「まっ、でも――――”剣がなくても薬は売れる”わよね?」

    薬売り(くっ…………)


     妖兎が剣を引き合いに出したのは、やはり謀りの範疇であった。
     得意な確率論とやらで結論を導き出し、その果てに「剣の取得が絶対条件である」と結論付けたのだ。
     そうなれば、いよいよ持って窮地である。
     かつて数多の真と理を紐解いてきた薬売りが、よもや……
     ”自分が解き明かされる側になろうとは”、一体誰が想像できたであろう。 



    395 = 391 :



    てゐ「わかる? 今のあんたから見たあたしは――――”モノノ怪でありモノノ怪でない”」

    てゐ「仮にあたしがモノノ怪なら……退魔の剣を奪う事は、あんたから身を守る事と同じ」

    てゐ「逆にあたしがモノノ怪じゃなかったなら……あたしはその剣を手にする事で、モノノ怪から自力で身を守る事ができる」


    薬売り(その所以は……おそらく……)


    てゐ「何故ならば、モノノ怪の理に最も近いのはこのあたし」

    てゐ「どちらの確率も観測できるのは、最後に残ったこの因幡てゐしかいない」



    【丁半】



    てゐ「その剣を抜くのは――――あたしこそが相応しい!」



    薬売り(自らの手で退魔の剣を抜こうと言うのか――――!)



     この妖兎……小さき成りで、とんだ食わせ物であった。
     かのような童さながらの姿から、如何様な怪奇極まる論理が飛びでよう等と、一体誰が予見できたであろうか。
     薬売りがしくじる姿を見るのは愉快ではあるがな。
     しかし、事はあまりにも……本当に、後一歩の所なのに。


    396 = 391 :



    てゐ「まさにシュレディンガーの猫ならぬ、シュレディンガーの兎?」

    てゐ「箱の 中の 兎は いついつでやる――――ってか?」


     他の者にかまけ、不振とわかりつつ放置してしまったせいか。
     月の話に魅せられ、地上の兎に目を向けなかったせいか。
     薬売りは妖兎の煽り言葉を前に、実しやかに噛み締めておった――――この妖兎は”最後に回すべきではなかった”。

     タガの外れた妖兎は、もはや誰にも止める事が出来ぬ。
     何故ならば、妖兎を諫める唯一の存在……”八意永琳”。
     彼女はもう、とおの昔にいなくなってしまったのだから。


    てゐ「――――さぁてちんどん屋ァ! おしゃべりタイムはもう終わり!」

    てゐ「あたしってば、決闘の前にベラベラおしゃべりすんの、あんま好きくないのよね!」


     あわよくばを狙った薬売りの儚い企みは、こうして露も残らず消え失せた。
     これから決闘をする者同士、交わすべきは言葉でないのは明白である。

     ベラリ――――次の瞬間、妖兎は意気揚々と一枚の札を取り出した。
     その札こそが、この幻想郷に置ける決闘の合図。
     その名も「すぺるかうど」。
     妖兎の持つこの特有の符が、もはや待てぬと言わんばかりに今、薬売りの眼前に突き付けられていたのだ。


    397 = 391 :



    てゐ「【カード宣言】――――これからあたしは、この符であんたに弾幕を仕掛ける!」


    てゐ「――――一つ! 妖怪が異変を起こし易くする為!」


    てゐ「――――一つ! 人間が異変を解決し易くする為!」


     妖兎が数える掟は、薬売りに対する秒読みと同義であった。
     この秒読みが始まってしまえば、もう誰にも止める事はできない。
     再三に渡って繰り返すが、これはあくまで幻想郷そのものの理。
     よって始めると宣言した以上、勝敗を決することでしか、もはや逃れる道理はないのだ。



    てゐ「――――一つ! 完全な実力主義を否定する為!」


    薬売り「致し方…………ありませぬな…………」



     薬売りはポツリと諦めの言葉を吐いた後、懐に入れた退魔の剣に、そっと手を伸ばした。
     それは弾幕勝負に乗る事の表れ。
     妖兎が声高らかに告げる最後の理念が伝え終われば、次の瞬間、あの無数に飛び交う「弾幕」が、薬売り目がけて一斉に飛び込んで来るのである。

     それらを空手で捌ききれるはずもなく、薬売りもまた、弾幕で対応するしかなかった。
     札か、天秤か、はたまたイチかバチか――――”退魔の剣が抜ける事”に賭けるのか。
     如何様に対処するのかは、これから薬売り自身が決める事である。



    てゐ「――――一つ! 美しさと思念に勝る物は無し!」


    薬売り(くる…………!)



    【来光】

    398 = 391 :



    ――――幻想郷に置ける弾幕を用いた決闘法。通称「弾幕ごっこ」
     至る所で当たり前のように起きるこの決闘法であるが、此度の決闘は、ちと特殊であった。
     それは、対峙する片方が”幻想郷の住人ではない”と言う事。
     郷に入っては郷に従えと言わんばかりに、半ば強引に決闘へと引きずり込まれた、哀れな一人の対峙者である。



    てゐ「さあ――――行くわよ!」



    薬売り「…………!」



     そんな事情など知った事かと、幻想郷は、掟を容赦なく新参者に押し付けた。
     妖兎・てゐ――――この者の宣言によって、夜更けの晩に、一つの決闘が幕を開いたのだ。




    (――――)




     そして決闘は、幕を開くと同時に――――




    (………………えっ)





    薬売り「――――参りました」





    (ええええええええ~~~~~~~~ッ!?)




    ――――無事、閉幕を迎えた。



    【投了】

    399 = 391 :

    本日は此処迄

    400 :

    う、うぉ~・・・続きが気になり過ぎる。


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