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元スレ永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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永琳「かの都は都の外を”穢れた地”と蔑み、その為都人が出国する事は許されざる事でした」
永琳「して、その唯一の例外は――――”流刑”」
永琳「都で禁を破りし者を罰する時に限り、初めて都の外に出る事を許されるのです」
薬売り「ほほぉ……手厳しい国ですな」
永琳「罪に穢れた罪人は、同じ穢れた地に追いやってしまえ――――かの都の基本的な考え方です」
永琳「自分たちだって……穢れている癖に……」ボソ
薬売り「なるほどなるほど……して、何の罪をおやらかしになったので?」
うどんげ「……は?」
薬売り「だってそうでしょう? 都から逃れる為、自ら流刑に処されようってにゃ、そりゃもう大変な――――」
うどんげ「あんたねぇ! ほんといい加減にしなさいよ!」
うどんげ「お師匠様がそんな事するわけないでしょ! そもそもこれから逃げようって時に、なんで新たに罪を犯さないといけないの!」
薬売り「ああ……それもそうですね」
永琳「うどんげ……」
うどんげ「お師匠様は何も罪なんて犯していない……お師匠様ただ……そう!」
【庇】
うどんげ「――――単に全力でバックレたってだけよ!」ビシ
永琳「う、うどんげ?」
薬売り「十分……罪に値すると思うのですが」
チーン
永琳「よいのです。以下に形容した所で私は罪人。この真は永遠に消えることはない」
うどんげ「嗚呼、お師匠様、そんな自らを卑下なさらずに……」
うどんげ「ていうかお前! 余計な口挟んで変なイメージつけんな!」
うどんげ「あんたの聞き方だと、まるでお師匠様が大罪人みたいじゃない! ちょっとは聞き方考えろ! バカ!」
薬売り「で、なんでまた、故郷をお捨てになられたので……?」
うどんげ(無視かい――――!)ガーン
永琳「私が故郷を捨てた理由……それは……」
薬売り「それは?」
【望】
永琳「そう……望まれたからです」
薬売り「……誰が?」
(ここにはかく久しく遊び聞こえて ならひ奉れり
いみじからむ心地もせず 悲しくのみある
されどおのが心ならず まかりなむとする)
永琳「姫様が……そう望まれたからです」
薬売り(姫……だと……?)
【出奔之姫君】
こんなの読んでたらモノノ怪また見たくなるじゃあないか!
一旦乙
一旦乙
読んでいると化猫(AYAKASHI版の方)を思い出す
場面場面で画像があるのも嬉しい
場面場面で画像があるのも嬉しい
薬売り「これは所謂……城で言う、大広間と言う奴ですかな」
永琳「ええ。そしてこの襖一枚を隔てた奥に、姫様が……」
薬売り「ほほぉ……」
【――隔――】
うどんげ「あんた、マジついてるわね。普段は絶対に会えない御方なのよ?」
うどんげ「基本客人に姿を見せないし。ていうか、そもそも存在すら知られてないからね」
薬売り「いやはや、まさに恐悦至極の極み……」
うどんげ「つーわけで、頼むから姫様にまで無礼な口聞かないでよね」
薬売り「無礼を働くと……どうなるんです?」
うどんげ「そうね……まぁ……月の裏側までぶっ飛ばされるのは確定かな」
薬売り「月の裏側……ですか」
うどんげ「そ。少なく見積もってもね」
薬売り「それはそれは、手厳しい事で……」
永琳「――――静粛に」
うどんげ「ほら来た! 頼むから、ちゃんとしてよ!」
薬売り「はい……はい」
【永遠亭――――之・真】
永琳「姫様……八意永琳。鈴仙・優曇華院・イナバ。両名共に謁見承りたく、御前に馳せ参じました」
うどんげ「ははぁ~」
薬売り「……」ボー
永琳「此度の謁見は、先刻申し上げました”薬売りの男”の挨拶に御座います」
薬売り「あ……もう報告はしてたんですか」
うどんげ「コラ! 頭下げろっつーに!」ムンズ
永琳「薬売りの男曰く、この永遠亭に”モノノ怪”なる怪異が憑りついているとの事」
永琳「してその怪異、薬売りの男曰く、払うには我らの真と理が必須と申すのです」
うどんげ「そういやさ……そのあんたが見たってモノノ怪、どんな奴なの……?」ヒソ
薬売り「何と言いますか、こう……”無数の目ン玉”を生やしてましたね」
うどんげ「うぇえ~気色悪ぅ~、さっさと済ませてさっさと払ってよね」ヒソ
薬売り「そう簡単に……済めばいいですがね」
【前置】
永琳「――――以上の事から、姫様の御提言が不可欠との判断を下しました」
永琳「故に御目通りの御容認……どうぞ、お願い申し奉ります」
うどんげ「たてまつりまする~」
薬売り「……」ボー
永琳「 」
【刻】
薬売り「……」
【刻】
永琳「……」
【刻】
うどんげ「……」
チーン
薬売り「返事がありませんな」
うどんげ「うそ~ん」
うどんげ「あっれ~、もうおねむの時間だっけ?」
永琳「姫様……?」
薬売り「……」
――――永遠亭の真なる主が御座す姫君之間。
その優雅美麗さは、「如何なる大名の間にも劣らず」と、後に薬売りは申しておった。
しかし何故か。点在する色とりどりの色彩に似つかわず、その間には畳を擦る音すらも聞こえて来ぬではないか。
よもや、主はすでに床に付いているのか。
はたまた、催しがてら厠にでも向かいなすったか。
姫君の忠実なる従者が、その疑問を払拭せんと襖に手を伸ばすのは、まっこと月並みな必然であろうて。
薬売り「…………ん」
【鈴】
薬売り「――――ハッ!」
姫君を知らぬ薬売りに、姫君の高貴さを夢想することは叶わず。
それが同様に、モノノ怪を知らぬ永遠亭の従者は、モノノ怪の起こす怪異を推し量れぬとは明快な道理。
故に……致し方なき事であったのだ。
モノノ怪は――――”すでに眼前に御座していた”などと。
薬売り「ぐっ………………!」
うどんげ「おぉぉぇぇぇええ――――ッ!? ななな、何よこれェーーーーーッ!?」
【心慌意乱】
薬売り「すでに……”中に入っていた”とは…………!」
うどんげ「かかか、感心してる場合じゃないでしょォォォォ!? は、早く何とかしなさいよォォォォ!」
薬売り「御意……!」
その場はまさに、阿鼻叫喚の場となり申した。
大しけの海辺の如く暴れまわる闇が、雅な姫の間を漆黒に染め上げていく
ガタつく襖、響く鈴、震える剣、こだまする金切り声。
優雅なる色彩に負けず劣らず響き渡るこの騒乱は……
すなわちモノノ怪の”念”の強さを意味しているとは、この場では唯一、薬売りだけが存じる所であった。
薬売り「――――ハッ!」
薬売りの放つ破邪の札が、間の隅々まで張り巡らされる。
ペタリ、ペタリ、またペタリと――――
これまた迅雷の如き速度で行き渡る札によって、モノノ怪を寄せ付けぬ結界が生まれ出る。
してこの結界、此度のモノノ怪にどれほどまでに通用するのか。
それは当の薬売りにも見当がつかぬままであったが……
薬売り「ぐぅ…………!」
しかし得てして意外や意外。
モノノ怪らしきこの闇は――――結界の創造と同時に、存外素直に消えていったと言う。
【応変】
薬売り「皆々様……ご無事で?」
うどんげ「はぁ……はぁ……もう……心の臓が跳び出るかと思ったわよ……」
薬売り「まだ安心しちゃいけやせんぜ……モノノ怪は”まだいる”」
うどんげ「――――うっそぉッ!?」
して、何とかその場凌ぎには成功した薬売りであったが、未だ予断許さぬ状況に、皆は生きた心地がしないと言う物。
他の者は突拍子もない出来事が故、最後まで気づけぬままであったが……唯一薬売りだけは気づき申した。
それは先刻見た、モノノ怪の形と思しき”無数の目玉”である。
薬売りにはその目玉の群れが、暴れまわる闇の中に埋もれる様を、己が目でしかと捉える事ができたのである。
うどんげ「ど、どど、どこ!? 外!? そこ!? ここ!?」
薬売り「落ち着け……今探す……」
して、それらを経た薬売りは、とあるひとつの仮説を得た――――。
ふふ、実は身共も、それに関してはよぅく存じておるのだ。
人の目玉を模したモノノ怪。
怪しげな曰く付きの竹林。
故郷から逃げ出した高貴なる身分の者。
これらは……そう!
身共もかつて遭遇した、あの”海坊主”のモノノ怪と、すべからく酷似しているではないか!
薬売り(真は――――姫君か!?)
だがしかし、残念な事に今回はまた別なようで……。
いや別に、そうであれと願っていたわけではござらんぞ?
ただその方が、身共も存じている分、語りやすしと思うただけで……。
永琳「姫様……!」
永琳「…………姫様?」
うどんげ「ハッ! そうだ――――お師匠様、無事!?」
薬売り「いや……待て」
まぁとかくだな、モノノ怪の真は姫君ではなかったという事だ。
……何故って。そこはお主、当然であろう?
永琳「姫…………様…………」
永琳「姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様
姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様
姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様
姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様
姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様
姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様姫様!!!!!」
薬売り(先を……越されたか……)
姫君は――――すでに”モノノ怪に連れ去られた後”だったのだから。
【つづく】
【八意永琳】
【鈴仙・優曇華院・イナバ】
【因幡てゐ】
【蓬莱山輝夜】×
海坊主というより鵺か化猫に似てるな。主要人物が段々いなくなっていくのは
あー、すっかり忘れてたわ
アヤカシが化け猫でモノノケが座敷わらし、のっぺらぼう、海坊主、鵺、化け猫か
全部で五個だと思ってたが六つだったのか
アヤカシが化け猫でモノノケが座敷わらし、のっぺらぼう、海坊主、鵺、化け猫か
全部で五個だと思ってたが六つだったのか
――――陰陽渦巻く竹林の座。
陰は陽を染め隠し、陽は陰を照らし出す。
同時に二つが御座せしど、相反せし二つは決して混ざることなし。
消し合う運命が陰と陽。果たして盤上、残るはどちら――――
【永遠亭】――――三の幕
永琳「――――姫様!? どこです!? 姫様!?」
薬売り「モノノ怪に……連れ去られた」
永琳「ああああああ嘘よ姫様! 姫様がそう易々と連れ去られるわけが……!」
薬売り「信じ難きは心模様は心得て候。しかし事はすでに過ぎ去った」
薬売り「消え失せし姫君を求め彷徨うよりも、今は真を追及するのが優先かと……」
永琳「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼――――!!」
薬売り(主君を奪われ心乱されたか……)
【御乱心】
薬売り「モノノ怪が近くにいると言う事は、姫君もまだ近くにいると言う事」
薬売り「ひょっとしたら、まだ助けられるかもしれやせん」
永琳「姫様は……まだ近くに……」
薬売り「――――食われてなければ、ね」
永琳「アアアアアアアア!!」
うどんげ「……」ピキ
【遺憾】
薬売り「姫君を謀ったと言う事は、やはりモノノ怪と姫君は何らかの縁で結ばれている道理」
薬売り「しかし肝心の姫君はもういない……ですので、あなたが代わりに聞かせてもらえませんか」
薬売り「姫君の持つ因果……怨み、恐れ、またはそれに準ずるもの」
薬売り「かの都から逃げる事を選んだ過去……言い換えれば、目を背け逃れようとした罪」
永琳「ぐ…………ぐ…………!」
【問詰】
薬売り「貴方なら……知っているんじゃないですか」
薬売り「姫君の忠実な僕である……貴方なら」
永琳「姫様は…………姫様に…………!」
【捲立】
薬売り「さあ……さあ……!」
ピ キ
薬売り「!――――うろうそくたいがね、せかきお」
薬売り「?にな……」
【逆】
薬売り(これは……)
うどんげ「お前さぁ……ほんと、いい加減にしとけって」
薬売り(何を……された……?)
うどんげ「何度も言ってるだろ……さっきから、何度も……」
薬売り(こいつの……仕業か……)
うどんげ「いい加減……口の効き方覚えろよ!」
薬売り「かすで……ざわしのたなあ」
心乱されし八意永琳に呼応するかの如く、薬売りの声までもが、突如としてあべこべに乱れもうした。
してそのまっこと奇怪な所業は、未だ姿見せぬモノノ怪ではなく、眼前の鈴仙なる人兎の仕業と言うではないか。
人兎の面妖なる妖術をその身に受け、やはり薬売りは確信したと言う。
「この永遠亭には、底なしに蠢く、いと大きなる因果ありけり」。
モノノ怪の気配がとおに去ったその後も、人兎の眼だけが、げに朱く照り申しておった……
とか、なんとか。
【――――暫し後】
薬売り「あ・あ・あ」
薬売り「い・ろ・は・に・ほ・へ・と・ち・り・ぬ・る・を」
薬売り「ふむ……どうやら、戻ったようですな」
うどんげ「――――いい薬になったでしょ。アンタみたいな無礼者には、特に」
薬売り「ええ……そりゃあもう……」
【鈴仙・優曇華院・イナバ――――之・真】
うどんげ「あたしの能力は【狂気を操る程度の能力】。万物に宿る全て波長を狂わせ、乱す」
うどんげ「音、光、熱、さらには人の五感すらも……この目に映る物なら、なんでもね」
薬売り「面白い妖術をお持ちですね……なるほど、”乱す力”ですか」
薬売り「では先刻のアレは、あっしの喉を乱した……という事ですかな」
うどんげ「あー、うん、まぁ……そうね」
薬売り「おや、やけに暗い面持ちですな」
薬売り「素晴らしい術をお持ちなのに……むしろ何故に、今まで隠しておられたので?」
うどんげ「いや、隠してたってわけでもないけど、だってさぁ……」
薬売り「”薬師と真逆の力”――――だからですか?」
うどんげ「あんた……ハッキリ言いすぎよ」
【図星】
うどんげ「薬師の弟子が人を狂わせる術師だなんて、笑い話にもなんないでしょ」
薬売り「そうですね……その素晴らしい力のおかげで、モノノ怪を取り逃がすハメになってしまいましたし」ハァ
うどんげ「このガキャマジ……下手に出ればまたそんな口を……」ピキピキ
薬売り「事実を申したまでですが、何か」キリ
うどんげ「ていうかそもそも! あんたがズケズケと物申しまくるから使うハメになったんでしょうが!」
うどんげ「お師匠様の様子見たでしょ!? 姫様がいなくなったばっかりなのよ!?」
薬売り「確かに、お師匠様らしからぬ乱心具合でしたな」
うどんげ「言っとくけど、さっきのアレはあたしじゃないわよ。お師匠様の素の心境」
うどんげ「人が乱れる様を見て……あんな尋問紛いなマネがよくできたわね!?」
薬売り「モノノ怪が……近くにいたもので……」
【溜息】
うどんげ「なんか……あんたアレね」
うどんげ「本質的に、アレなのね」
薬売り「アレとは?」
うどんげ「うーん、こう、何といったらいいか……」
うどんげ「育ちのせいなのか、持って生まれた性なのか……」
薬売り「なんなりと申し付けてくださいよ、姉弟子様」
うどんげ「そうその言い方! 発音! イントネーション!」
うどんげ「すっごいイラつくわ! めっちゃくちゃバカにされてる感じ!」
うどんげ「そろそろ何とかなんないの!? その……その!」
うどんげ「アレな感じなアレ!」
薬売り「はぁ……」
【御説教】
うどんげ「音にはね、波長ってもんあるのよ。ゆらゆらと揺らぐ、波のようなね」
うどんげ「この波長の具合が音に様々な変化を与える。高か低か、長か短か、大か小か――――」
うどんげ「そして波長はもう一つの変化を持つ。それが何かわかる?」
薬売り「さぁねぇ……あっしは雅楽奏者じゃありやせんので」
うどんげ「”感情”よ。音の波長は感情にも変化を与える」
うどんげ「心静まる心地よい音に、底から昂る激しい音」
うどんげ「そしてその真逆の、不快感を与える音もね」
薬売り「音にも感情がある……と?」
うどんげ「ううん、音はあくまで音にすぎない。変わるのは、発する者と受け取る者の二つ」
うどんげ「人の感情にも影響を与える音の波長……その中で、相手に何かを伝える為に与えられた揺らぎ」
薬売り(それはまさに)
うどんげ「これを”声”って言うのよ」
【声音】
薬売り「これはまた……奇怪な事を。その言い分だと、人以外も喋ると言う事になりますが」
うどんげ「ええ喋るわよ。聞こえないだけ」
うどんげ「長い時の中で失ってしまったか、または耳を塞いで聞こえないふりをしているだけか」
うどんげ「けど、ちゃん声に耳を傾けさえすれば……」
薬売り「じゃあ、教えていただきましょうかね。例えば……この辺り一帯でサアサアと鳴る竹の一本一本」
薬売り「こいつは一体……誰に、何と言っているんですかね」
うどんげ「聞きたい?」
薬売り「……是非」
うどんげ「ん……」
【聞耳】
【擦音】
【竹之声】
うどんげ「――――”薄気味悪いちんどん屋、早く帰れバカ”」
うどんげ「だってさ」
薬売り「こいつぁ……手厳しい」
チーン
うどんげ「よーするに! もっと言葉の使い方を考えろっつってんの!」
うどんげ「同じ言葉でも使い方次第で意味変わるって事。わかった!?」
薬売り「はい……はい」
うどんげ「はーあ、こんなのその辺の童でも知ってるってーのに」
うどんげ「一体どんなしつけを受けてきたのかしら。ったく、これだから穢れた人間は」
うどんげ「ハーヤダヤダ。育ちの悪い奴って、これだから嫌い」ヤレヤレ
薬売り「……おや?」
永琳「――――人の事が言えた立場ですか、鈴仙」
うどんげ「お、お師匠様!」
永琳「私から見れば……貴方だって、十分に口汚い部類と存じておりますが?」
うどんげ「だ、だってあれはいつもてゐが!」
永琳「それに、貴方の力は心身乱せし魔性の力。”許可なく使うな”と、あれほど強く言いつけておいたのに」
うどんげ「バ、バレてたっ!」ガーン
【洞観】
永琳「――――先刻は大変お見苦しい所をお見せしました、薬売りさん」
薬売り「こちらこそ、いささか無作法が過ぎたようで……お体御障りないですか? お師匠様」
永琳「もう大丈夫です……さぁ、こちらへ。奥の間で、お話しましょう」
永琳「あなたの言う真……あなたに知らせたい、この”世界の理を”」
薬売り「ほぉ……言うに事欠いて、世界の理と来ましたか」
永琳「そして鈴仙。ついでにあなたにも話があります」
永琳「夜通しかけた、なが~いお話が、ね」ジロ
うどんげ「う、うう……」
薬売り「……」
【凝視】
うどんげ「な、なによ……」
【失笑】
薬売り「…………プッ」
うどんげ「――――あに笑ってんだちんどん屋ゴルァ!」
【――――鈴仙!】
乙
うどんげ、紺珠出てから大分キャラ付けが変わったよね
前まではえーりんとニートから振り回される常識人枠だったのに
うどんげ、紺珠出てから大分キャラ付けが変わったよね
前まではえーりんとニートから振り回される常識人枠だったのに
【対面】
永琳「”幻想郷”……と言う名をご存じで?」
薬売り「はて、幻想郷……初耳ですね」
永琳「この永遠亭を有する迷いの竹林……の、さらに外」
永琳「人里・森林・城・御屋敷、村、山、川、等々――――これらを含む全てを、ここでは幻想郷と呼ぶのです」
薬売り「そのような地が……いやはやお恥ずかしい。地理学にはとんと無頓着な物で……」
永琳「そしてこの幻想郷は、とある大きな理に覆われております」
永琳「それは他の地では決してありえぬ、世の理から外れしもう一つの理……」
薬売り「ほぉ、してそれは……」
永琳「――――人と、妖との共存です」
薬売り(なんと……)
永琳「浮世で疎まれ、払われ、魑魅魍魎と恐れられる人ならざる者どもが、巡り巡って辿り着く最果て」
永琳「それがこの幻想郷。居場所をなくした妖の、最後の居場所なのです」
薬売り「なるほど……どーりで、どこもかしこもアヤカシだらけと思いましたよ」チラ
うどんげ「あんたが一番怪しいのよ。このちんどん屋ファッションが」
薬売り「居場所をなくした者が最後に行き着く先……なるほど、逃亡の身にとってはこれほど都合のいい場所はない」
永琳「――――だと、思っていました。つい最近まで」
【想定外】
薬売り「何故、ご存じなので」
永琳「先刻、あの奥御殿での貴方とうどんげの会話……”無数の目玉”と言う言葉で気が付きました」
うどんげ「聞こえてた……のね」
永琳「この者は――――人呼んで”スキマ妖怪”」
永琳「して近しい者は、敬意を込めて彼女を【八雲紫】と呼ぶのです」
薬売り「スキマ妖怪……八雲紫……?」
【紫】
永琳「彼女がスキマを開く時、そこには無数の眼が現れると言います……まさに、この絵のように」
薬売り「瞼……みたいですな」
永琳「スキマ妖怪とは、その名の通り、この世の全てのスキマを司る妖怪」
永琳「そしてスキマとは、言い換えれば万物の境界線そのもの」
永琳「物と物。事象と事象。さらにはその対象は、夢や幻と言った精神的境にまで及ぶと言われております」
薬売り「夢と現実の境界・夢現(ゆめうつつ)……」
【境】
永琳「して、その全てを司るこの妖怪であれば……そう」
永琳「この幻想郷は――――”彼女が創造りし世界”だったのです」
薬売り(人と……妖の……境……)
【八雲紫――――之・真】
永琳「人と妖の境界を曖昧にした世界の創造……そんな神の如き芸当ができるのは、この八雲紫以外にありえないのです」
永琳「少なくとも、創立に深く関わっているのは間違いないでしょう」
薬売り「なるほど……確かに、形は合致する」
薬売り「しかしまだ”真”が見えない。仮に、モノノ怪の正体がその八雲紫だったとして……」
薬売り「何故、姫君を狙う? よもや今更、不法入居などと訴えるつもりでもあるまいし」
うどんげ「薬売り……声」トントン
薬売り「っと失敬。少し口が過ぎたようで」
永琳「……」
薬売り「申し訳ありませんね。あっしはどうやら、含みを持たせる言い方が癖になってしまっているようで」
薬売り「他意はありませんので、あしからず……」
うどんげ「……」
薬売り「しかし――――腑に落ちぬのもまた事実。逃亡の果てに行き着いた身であるはずのあなたが、何故にそこまで”スキマ”の詳細を得るに至ったのか」
ポン
薬売り「貴方はその八雲紫を”彼女”と呼んだ。性差の曖昧な八百万の神に等しき存在を、どうして彼女と断言できましょう」
薬売り「それも――――”近しい者の呼び方”まで知る、程に」
うどんげ「全然……反省してないじゃない……」ハァ
ポポン
薬売り「お聞かせ……願いますかな」
薬売り「因果の隙間は、姫君とあなた、一体どちらに繋がっているのか……」
ポポポン
永琳「……」
(――――両方、です)
チーン
【亥】
薬売り「お体……差し支えないですか」
てゐ「全ッ然。あたしを誰だと思ってるの?」
てゐ「こんな程度で床に伏せるほど、この因幡てゐ様はヤワじゃ(ry」
薬売り「じゃあもう看病はいらないですね」
てゐ「ああああああ痛いいいいいいい傷口が開くううううう痛いいいいいい!!」ジタバタ
薬売り「やれ……やれ……」
ゴーン
てゐ「うううう~~~特に頭のこの辺がすっごく痛いぃ~~~」
薬売り「患部は肩じゃありませんでしたか……」
てゐ「素人ねちんどん屋。傷口からばい菌が入って、新たな病気が感染する事だってあったりするのよ」
薬売り「そりゃそうですが、にしてもそんな急には膿みませんよ」
薬売り「それに、消毒はちゃんと済ませてますし」
てゐ「ああああ頭が痛いいいいい割れるうううううもうダメだああああああ!!」
薬売り「はい、はい……わかりましたよ」
【仮病】
薬売り「何を、させたいんですかね」
てゐ「この屋敷のどこかに頭に効く薬があったと思うから、それ持ってきて」
薬売り「わざわざ取りに行かなくとも、あっしが直々にこの場で頭痛薬を調合してさしあげ――――」ガサゴソ
てゐ「くぉらやめい! そんなもんいるかァ!」
薬売り「何故……?」
てゐ「バカね。あたしが言ってるのはお師匠様が直々に作った置き薬の事言ってるの」
てゐ「八意印の特別薬よ。なんでも万病に効き、なんでも治すとかなんとか……」
薬売り「万能薬……ですか」
てゐ「そんな薬があると知っちゃあそりゃあんた、普通の薬なんて飲む気になれないってなもんよ」
てゐ「特にあんたみたいな、ヤブ臭いちんどん屋の作る薬なんて、さ」
薬売り「……」ジー
てゐ「なによ。なんか文句ある?」
薬売り「いえ……ただ……」
薬売り「少しショック……という次第で」
チーン
永琳(かの都にはかつて、大規模な争いが起こった経緯があります)
永琳(それはまだ私達がかの都にいた頃の話……何の前触れもなく、ソレは突然やってきた)
【歩】
永琳(当時の記録には、地上の妖怪が突如として、大挙に押し寄せてきたとあります)
永琳(その首謀者が、当時まだ名の無かった八雲紫)
永琳(先の争いは、八雲紫がかの都をわが手に収めんと起こした、侵略戦争だったのです)
【歩】
永琳(八雲紫は非常に危険な妖怪です。飽くなき野心はまるで留まる事を知らず、思うがままにこの世界の理を弄ぶ)
永琳(そして、その欲望は未だ衰えてはおらず……この幻想郷だってそう)
【歩】
永琳(当時は、辛くも撃退にこそ成功しましたが……首謀者の八雲紫までを討ち取るまでは叶いませんでした)
永琳(してその八雲紫が生きてる以上、侵略を諦めたとは到底思えません)
永琳(この幻想郷の創設だって、よもや、再侵攻の為の前準備なのではとすら思えます)
【歩】
永琳(スキマは着実に広がり続けています。今この瞬間も……着々と……まるで病魔の如く)
永琳(してその病魔が、隙間を縫って、この永遠亭にまで辿り着いたとしたら……)
永琳(かつて欲したかの都の姫君が、よもや自分の庭にいるなどと、あの八雲紫が知ろう物ならば……)
ピ タ
薬売り「逃げ込んだ先が、よりにもよって、かつての宿敵の箱庭であったとは……ねえ」
薬売り「はてさて、運がいいのやら……悪いのやら」
【姫君之間・再】
薬売り「珠・鉢・衣・貝・枝……ほほぉ、これはこれは、貴重な品ばかりだ」
薬売り「逃亡の最中の唯一の娯楽でしょうか……意外にも、姫君には収集家としての側面があった」
薬売り「と、言う事でよろしいですかな」
うどんげ「――――その前に、とりあえず謝ろっか」
【御免】
うどんげ「姫様の部屋に勝手に入るとか……あんた、世が世なら打ち首獄門よ」
薬売り「いいじゃありませんか。ここには、優秀なあなたがいる……こうして即座に駆けつける、地獄耳の宿直兎がね」
うどんげ「ふん、おだてようたってその手には乗らないっての」ピコピコ
薬売り「耳、立ってますよ」
チーン
うどんげ「で、何しに来たの? 金目の物でも探しに来た?」
薬売り「探し物は探し物ですが……金目の物ではなく、薬を探しに来たんですよ」
うどんげ「薬を探しに来たって、あんたがその薬売りでしょうが」
薬売り「いえね、なんでも、ここには”八意の秘薬”があるそうで……」
うどんげ(…………!)
【驚】
薬売り「この屋敷のどこかにあると言いますから、取ってこいと言われたんでさぁ」
薬売り「とは言う物の、あっしはこの屋敷の事はたいして詳しくない。迷い迷って、気が付けばこの姫の間に――――」
薬売り「……どうしました?」
【殺気】
うどんげ「誰に……頼まれた」
薬売り「そう急かなくとも、ちゃんと言いますから……とりあえず」
薬売り「その”単筒を模した指”を収めていただけませんかね」
うどんげ「誰が……”あの薬”の事を漏らした……!」
薬売り「おっかなくて……また声があべこべになってしまいそうだ」
【禁秘之薬】
薬売り「曰く――――その秘薬に比べれば、あっしの薬なんてその辺の藪とたいして変わらない。だそうで」
うどんげ「あのバカウサギ! よりにもよってあの薬の事を漏らすなんて……!」
薬売り「と、言う事は……あるんですね?」
薬売り「あらゆる病に効くという……八意の秘薬とやらが」
うどんげ「ぐ…………」
薬売り「話して……いただけませんかね」
薬売り「それが、モノノ怪の因果と縁……かもしれませんから」
うどんげ「う……」
【黙秘】
うどんげ「ぐ…………!」
【焦燥】
(グゥー……)
うどんげ「……わかった。ついてきて」
【出掛】
――――かごめ かごめ かごのなかの とりは
薬売り「どこまで……行くんです?」
うどんげ「黙ってついてきなさい。知りたいんでしょ」
――――いついつ であう
薬売り「もうすっかり永遠亭が見えなくなりましたが……まだ進むんです?」
うどんげ「うっさい! ズべこべ言うな!」
――――よあけのばんにん
薬売り「どこまで行こうと、竹・竹・竹……迷いの竹林とはよく言ったものです」
薬売り「こんな代わり映えのない景色じゃ……なるほど、盗人風情では到底辿り着けない」
薬売り「そしてかのスキマ妖怪であろうと……ここは、境が多すぎる」
――――つると かめが すべった
うどんげ「 」ピタ
薬売り「おや、どうしました?」
うどんげ「これもって」ドン
――――うしろのしょうねん
薬売り「……籠?」
――――だぁれ?
【籠目】
うどんげ「いやね、すっかり忘れてたのよ――――”夕飯の支度”」
うどんげ「ドタバタしてたしさ。そういやまだ、なーんも食べてなかったなって」
薬売り「山菜、菜の花、木の実、筍、茸、なるほど……食糧調達でしたか」
薬売り「にしてもこれは……少々獲りすぎかと」
【大・豊・作】
うどんげ「効率化と言って頂戴。ただでさえ忘れてたんだから、弾幕バラいてパパーッと獲らないと」
薬売り「今のが……弾幕ですか」
うどんげ「つか、ほんとはあんたがやんきゃいけない事なのよ? 新入りの癖に、てんで仕事しないじゃない」
薬売り「まだまだ、未熟者です故……」
【夜風】
うどんげ「働かざる者食うべからず。よーく覚えておきなさい。薬も食料も、ただで得られはしないのよ」
薬売り「真も……ですか」
うどんげ「お師匠様の秘薬がその最たる例ね。あれは、大金詰もうが屋敷を荒らしまわろうが、簡単に手に入るもんじゃないから」
うどんげ「だから、いくら探したって無駄よ。昨日今日来たばかりのあんたには、絶対見つけられないんだから」
薬売り「別になかったらなかったで構いませんがね。あっしが求めるのは、薬そのものではなく、薬の真」
薬売り「曰く如何なる手段を用いようと手に入る事の叶わぬ、八意の秘薬。それは何か」
薬売り「そろそろ……お聞かせ願いますかな」
【追風】
うどんげ「あの薬は……”蓬莱の薬”ってーのよ」
【蓬莱の薬――――之・真】
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