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    元スレ許嫁「……聞いていない?」

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    601 = 1 :


    ……

    教室

    委員長「あ、ちょっといいかな?」

    「はい、喜んでー。どした?」

    委員長「うんあのね。文化祭に必要なもの、どこが一番安く売っているかなって調べたいんだ」

    「どれどれ。……結構品数多いな」

    委員長「そうなの。たくさんあるし学校の外だから、休日にやる必要があるんだけどね、それで――」

    「俺に? 別に構わないが、何で俺……あ、そっか。バイトで、たまに早くあがるから。こういうところで挽回していかないとってワケね」

    委員長「特に誰も気にしていないんだけどね。部活で上がらないといけない人もいるし。だから、できないんだったら無理しなくてもいいんだけど……」

    「いやいや。大丈夫。やるよ。仕事回してくれて、ありがとな」

    委員長「あ、ううん。こっちこそだよ。休みの日にお願いして、ごめんね」

    602 = 1 :


    委員長「それでね、あの。こ、これって1人でやるのは大変だと思うの」

    「ん? そうだな。他に誰かいたほうがいいかな」

    委員長「そ、そうだよね。もしね、良かったらね――」ボソボソ

    「あっそうか、バイトでたまに早く上がってるヤツがもう1人いるね」

    委員長「え?」

    「オーケー。提案してみよう」

    委員長「え、あ、あの」

    603 = 1 :


    許嫁「どうして私が?」

    (言うと思った)

    許嫁「せっかくの休日まであなたと顔を合わせたくはないんだけれど?」

    (何を。いっつも合わせてるだろうに)

    許嫁「ま、でもクラスのためなら仕方ない――」

    委員長「だ、だったら! 私が行こうかな!」

    許嫁「えっ?」

    「委員長が?」

    604 = 1 :


    委員長「う、うん! 良いよ、私行くよ」

    「いや、でも悪いよ。委員長、普段から色んな仕事頑張ってるのに、休日まで頑張らせるなんて」

    委員長「全然大丈夫! それに、私、休日にすること何もないから。だったら、何か用事が入ってたほうが嬉しいよ」

    委員長「……それとも、私とじゃ気が進まないかな?」

    「いや。そんなことはないが」

    委員長「よ、良かった。じゃあ決まりだ!」

    許嫁「……」

    「そういえば、委員長とは去年も一緒に文化祭の買出し行ったな」

    委員長「あ。覚えててくれたんだ? そうだね。今年もだね!」

    「去年も去年で色々バタバタしたよな」

    委員長「そうだね。なかなか思ってた通りに行かなくて、大変だった」

    「去年も委員長だったもんな委員長って」

    委員長「な、何だよーその言い方ー」

    許嫁「……」

    605 :

    委員長がんばれ
    超がんばれ

    606 :

    >委員長「な、何だよーその言い方ー」

    かわいい

    607 = 1 :


    「で、お前はどうするんだ?」

    許嫁「え?」

    「来る?」

    許嫁「……私は」

    「ん?」

    許嫁「……。言ったでしょ。休日にまであなたと顔合わせたくないって」

    委員長「……」

    (……?)

    「どうした、何か、」

    許嫁「他に用がないなら失礼するわね」ツカツカ

    (何だ?)

    608 = 1 :

    今日は以上です
    不徳のいたすところです……

    609 = 605 :

    大量更新、乙であったな

    611 :

    おつ

    さらっと公然わいせつって出てくる店長はもしかして…

    612 :

    おつおつ

    613 :

    転校生はヘイト集めるライバル嫌な奴だと思ってたら
    家族のためにお菓子作りとか…
    天然イケメン良い奴じゃん

    614 :

    おつ

    >>611
    法すれすれの変態行為を見極めようとしていたんだろうな

    615 :

    変態行為を極める?

    625 :

    先輩可愛い
    もっと出番増えないかな…

    627 :

    まだ焦る時間じゃない

    628 :


    ファミレス

    許嫁『……』

    (ったく。何だ、黙りこくって)

    (さっきからずっとこの調子だ)

    (仕事は真面目にしてるみたいだが……)

    許嫁『……』

    (怒ってる、のか? それとも……)

    「……わからん」

    (普段はずけずけ言ってくるくせに)

    629 = 1 :


    店長「……どしたの?」

    「何がです?」

    後輩「空気がへびぃじゃありません?」

    「そう思う?」

    後輩「ええ。まるで、全員願いで生き返ったと思ってたらツーノ長老の村の人だけが見当たらなくて、原因はその場にいたと気がついたときみたいな」

    「不思議な例え方をするね。いつも通りだよ? ……俺はな」

    後輩「……そーですかね?」

    「? 俺は別に普通だろ?」

    後輩「ふっふっふー」

    「何じゃあ、その意味深な笑みは」

    630 = 1 :


    後輩「先輩って分かりやすいようでいて分かりにくいようでいて、意外と分かりやすいのです」

    「分かりにくいセリフだ」

    後輩「一見無愛想ですが――」

    「え、そんな風に見える?」

    後輩「実は他の人のこと、とても気にかけてるのです。お世話をするのが好きなのです」

    「い、いや。そんなことはないぞ。俺は極悪非道唯我独尊傲慢無礼な人間として有名だ」

    「皆で頼んだからあげにも有無を言わさずレモンをかけてやるぜ、へへへ」

    店長「やることがちっちゃいなあ」

    631 = 1 :


    (だいたい今日だって、これは気にかけるというより気に障るってヤツだな)

    (何なんだ、急によそよそしい態度取り始めて……)

    (……ん?)

    許嫁『……』

    (こっちを伺っているような……)

    許嫁『……』フイッ

    (あ、露骨に顔背けやがった……あんにゃろう)

    後輩「……先輩いつも通りですか?」

    「む」

    後輩「ふふふ。先輩優しいですもんね」

    「……少し買いかぶりすぎだよ。そのうち値崩れ起こしても知らないぞ」

    後輩「実を言うと、初めはそこまで高くなかったですけどね?」

    「なぬ!」

    632 = 1 :


    後輩「覚えてますか? 私の受験のときのこと」

    「そりゃもちろん」

    後輩「あのときはまだ、先輩のことよく知らなかったですし。スッゲー怖そうな人、だなんてちょと思ってたんですけど」

    (……あの頃はな)

    後輩「この店に受験票忘れて泣きそうだったんです。電話したら、すぐに届けてくれる、って。その怖そうな人が」

    店長「僕も驚いたよ。君のことはクールな子なんだな、って思ってたから。即店を飛び出てった」

    「いや。あれは代わり映えのしないファミレスの仕事に飽いて、これ幸いと出て行っただけで……」

    後輩「息を切らせたまま励ましてくれたこと、私は忘れません。あのとき先輩価はストップ高を記録したのです」

    「……優しいって訳じゃないよ。きっと、誰にでもそうしたとは思わないし」

    後輩「……! そ、それはつまり、私は特別な扱いであるってことでいいんですか?」

    「え? あ、あーっと」

    店長「わ、私は? 私が困ってるときには君は助けてくれるのかな!?」ワクワク

    「は?」

    633 = 1 :


    許嫁「取り込み中のところ、悪いのだけれど」

    「!」

    許嫁「……お会計、来られるわ。私は、お皿を下げてるから……」

    後輩「あ! お、お客様! ありがとうございます!」タタタ

    許嫁「お願いするわね」

    (店長いつの間にか消えてる……)

    「悪い、気がつかなかったよ」

    許嫁「そ……」スタスタ

    「む」

    (……普段だったら嫌味の一つも言いそうなものだが)

    許嫁「……」スタスタ

    (ったく。何だって言うんだよ)

    634 = 1 :

    また明日です

    635 :

    明日って言った?今明日って

    636 :

    乙乙

    637 :

    またギリギリの2ヶ月後になったりして

    638 :

    もう続きが読めるのならなんだっていいさ

    640 :




    「ただいまー」

    (さて。帰宅はしてるみたいだが)

    「……」

    (一人で考えても答えが出ないな)

    (話、聞いてみるか)

    641 = 1 :


    許嫁の部屋

    「おーい。元気ィ?」コンコン

    『……』

    (無視かい)

    「ちょいと話があるんだけども、出てきてくれないか」コンコン

    『……』

    「よし、沈黙は肯定と見なして入ることにする! そうしよう!」

    許嫁『……、何かしら」ガラガラ

    642 = 1 :


    「何だ、居たのか? 居なかったら勝手に入ろうと思ってたのに」

    許嫁「……そう」

    (やっぱり反応が悪いな)

    許嫁「何かしら、話は?」

    「あー……。いや。その、どうしたんだ、今日は?」

    許嫁「……突然、何の話?」

    「ちょっと様子が変だったからさ」

    許嫁「そう?」

    「体調でも悪いのか?」

    許嫁「いいえ。そんなことはないわ」

    643 :


    (まあ、体調が悪いようには見えないな)

    許嫁「私は何も問題ない。話はそれだけかしら?」

    「……」

    許嫁「何か言いたそうね」

    「それは、そっちのことじゃないのか?」

    許嫁「え?」

    「言いにくいことでもあるのか?」

    許嫁「あなたに対して? 何言ってるのかしら? そんなもの、何もないわ」

    「本当に?」

    許嫁「……ないわよ。しつこいわね」ボソ

    (何だか今日はいつもに増して言葉にトゲがある……俺の気のせいだろうか)

    644 = 1 :


    「分かった。じゃあ何もないならそれでいい」

    「だけどさ、だったらその態度やめろよな」

    許嫁「態度?」

    「ああ。その、俺を――……」

    許嫁「……? 何かしら?」

    (おいおい、俺は今何を言おうとした?)

    (俺を避けるような態度?)

    (俺は避けられたくないと思ってるのか? こいつに……)

    「……」

    645 = 1 :


    (俺もよく分からなくなってきた……俺はこいつに何を求めているのか)

    (それに)

    (何で自分が……こんなに不愉快な気持ちになってるのか)

    (……思いがけず)

    646 = 1 :


    「……」

    許嫁「何よ。言いかけて途中で」

    「いや、なんていうか……いつものお前らしくないって思う」

    許嫁「……私らしくない、ですって? 何よ、私らしいって」

    許嫁「あなたが私の何を知っているって言うの?」

    「それは……」

    許嫁「もしかして、あなた。私が何を考えてるのかわかってるつもり?」

    「……わかんねーよ。わかんねーから聞いてんだろ?」

    許嫁「聞けば何でも答えてくれるとでも思ってるの?!」

    「そういう訳じゃ……」

    許嫁「私だって! 私だってよく……こんな、自分がこんなに――」

    (こんなに……何だ?)

    許嫁「……っ」

    「……?」

    許嫁「……だいたい。あなたこそ、何のつもりなのかしら?」

    「え?」

    許嫁「どういう立場で、無神経に踏み込んでくるの?」

    (無神経に踏み込んで……)

    647 = 1 :


    「立場って。その、俺たちは曲がりなりにも、これまで一緒に暮らしてきたんだから――」

    許嫁「私とあなたは仕方ない事情でこういう状況になっただけでしょう」

    「それはそうだが……」

    許嫁「なのに、何なの? あなた」

    許嫁「随分と人のことに立ち入るような真似して」

    「いや、俺はそんな……」

    許嫁「何なのかしら、偉そうに」

    「お前ね……」

    許嫁「そう、そうなのね。分かったわ」

    「?」

    許嫁「あなた……もしかして、」


    許嫁「『家族ごっこ』でもしたいのかしら?」

    648 = 1 :


    「え……」

    「……?」

    (今、なんて言った……?)

    許嫁「少し一緒の時間を過ごしたくらいで」

    許嫁「私と特別な関係にでもなったと勘違いしたのかしら?」

    (家族、ごっこ……?)

    649 = 1 :


    (家族ごっこ……なんて。俺は、そんな……)

    許嫁「残念ね。私にとって、あなたなんて、どうでも――」

    「……本気で」

    許嫁「っ」

    「本気で、そう……思ったのか?」

    許嫁「!?」

    「――」

    650 = 1 :


    許嫁「な、何よ? そんな顔をして」

    許嫁「何かしら。何よ。何か、本当のこと言われて、気に障ったのかしら?」

    「……」

    許嫁「何? どうしたの? 何か、反論あれば言いなさいよ」

    許嫁「違う? 私たちは結局お互い我慢するだけの関係だった」

    許嫁「それだけ、それ以上の関係でもなかった。違うの!?」


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