元スレ八幡「初詣?」小町「うん!」
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51 = 34 :
小町「ああ。だから告白されるの嫌がってたんだね」
八幡「身近な人物からじゃ後々しこりも残りそうだしな」
小町「でもひどいよね! その依頼のせいでお兄ちゃんが余計な苦労や悪評を背負うことになってさ!」
八幡「いや、実際あれはもっと上手くやれてたんじゃないかと思う。あんな方法を取ってしまった俺が悪いんだ」
小町「でも! 雪乃さんや結衣さんは!」
八幡「落ち着けって。もうそのことは過ぎたことだしいいんだよ」
小町「良くないよ…………だってそういうのが積み重なって今の状況になっちゃってるんでしょ?」
八幡「あー……まあ。だけどとりあえず今はいいから」
小町「うん…………でも本当に海老名さんはどうしたいんだろうね? 望み通りお兄ちゃんが奉仕部に残ったとして何かメリットがあるの?」
八幡「自分達のグループが微妙になってて、他のグループにはそうなってほしくない…………みたいなことは言ってたけどな」
小町「ふうん…………ま、あんまりそのことを考えても仕方ないか。で、お兄ちゃんの今の気持ちはどうなの?」
52 :
八幡「わかんねえ。だからこうやって小町に話を聞いてもらってるわけだが…………」
小町「うん。相談してって言っといてなんだけど、こればっかりはお兄ちゃんが自分で結論出さないといけないことだし……ごめんね」
八幡「いや、話聞いてもらえるだけでもだいぶ違うから。ありがとな小町」
小町「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな」
八幡(腕を伸ばして頭を撫でてやると、小町は嬉しそうに笑った)
八幡「ま、もう少し時間はあるしな。ゆっくり考えてみるさ。何ならあいつらともうちょい話をしといたほうがいいかもしれんし」
小町「うん。でもお兄ちゃん、これだけは覚えておいて」
八幡「なんだ?」
小町「小町はいつだって、お兄ちゃんの味方だからね!」
八幡「…………ああ。ありがとう」
53 = 52 :
八幡(一晩経ったが結局結論は出ないままだ。うーむ…………おっと、いかん。下駄箱に着いたんだから上靴に履き替えないと)
姫菜「おはよーヒキタニくん。難しい顔してどうしたの?」
八幡「っ……! ああ、海老名さんか、おはよう」
姫菜「あ、ごめん突然声掛けて。びっくりした?」
八幡「あー大丈夫」
八幡(声を掛けられること自体がほとんどないからな。確かに驚きはした。というか海老名さんからこんなふうに挨拶してくるのって初めてじゃね?)
八幡「それじゃ、また」
姫菜「え、何で? 教室まで一緒に行こうよ」
八幡「えっ?」
姫菜「えっ?」
54 = 52 :
八幡(結局なし崩し的に海老名さんと教室に向かうことになった。なんつーか、距離感がよくわからんぞ…………)
姫菜「そういえばついに2012年になったね」
八幡(唐突に変なことを言ってくる海老名さん。いや、ネタはわかってしまうけどさ)
八幡「でもまさかの三部作か…………見に行くけどさ」
姫菜「あ、まだ見てないんだ。良かったら一緒に見に行く?」
八幡「…………前向きに考えとく」
姫菜「あはは、遠まわしの否定の言葉じゃないそれ」
八幡(というか思わせぶりなセリフはやめてほしい。勘違いしちゃうよ? いやまあリア充グループなら男女でも仲良く映画くらい見に行くのかもしれないけどさ)
姫菜「聞いたとこによるとメメラギが熱いらしいからねー。萌えるシーンが多々あるとか」
八幡「やめろ。俺はノーマルにロリショットに萌えに行くんだから」
姫菜「あっはっは…………うん、やっぱりヒキタニくんはいいね」
八幡「は? 何がだよ」
姫菜「私のこういう面を見ても引かずに普通に会話をしてくれる。会話に付き合ってくれる」
八幡(いや、多少は引いてるからね。メメラギとか俺は受け入れないからね)
55 :
今作ではまだメメラギで萌えるシーンはありませんでした
56 = 52 :
八幡「まあ引かれることに関したら俺の方がベテランだからな」
姫菜「ふふっ、何それ。でも以前のヒキタニくんて私と話すときももう少し挙動不審だったよね」
八幡「他人と会話すること自体に慣れてねえからな。今だって噛んだりとかはしてないけど結構緊張してんだぜ」
姫菜「それは恋愛的な意味で?」
八幡「…………んなわけねえって」
姫菜「なーんだ、残念」
八幡「え?」
姫菜「あ、優美子だ。じゃ、ヒキタニくん、待たね」
八幡「え、あ、ああ」
八幡(海老名さんは廊下にいた三浦を見つけるとそっちに駆け寄っていった。俺はそれを見届けて教室に入る)
八幡(教室には葉山が戸部達と談笑していた。しかしそこに女子の姿はない)
八幡(なるほど。雰囲気はそれほど変わってないから言われなければ気付かれないだろうが、やはり三浦達が近くにいないのは不自然だな)
八幡(といっても俺に何かできるわけでもない。俺は自分の席に着き、HRが始まるまで机に突っ伏していた)
57 :
乙乙~
59 = 52 :
八幡(昼休み。いつもの場所。コンビニメシ。ぼっち。うん、落ち着く)
隼人「やあ、比企谷」
八幡(…………だってのに突然現れてなんなんだこいつは)
隼人「あれ? おーい比企谷」
八幡(無視無視)
隼人「ふむ…………なあ、比企谷」
八幡「……………………」
隼人「実は俺、同性愛者なんだ」
八幡「ぶふっ! はあっ!?」
八幡(思わず噴き出してしまい、葉山の顔を見る。しかしその表情はしてやったり、というものだった)
八幡「…………気を引くにしてももうちょっと何かあるだろ」
隼人「ははは、効果は抜群だったようだな。隣いいかい?」
八幡「海老名さんに見られたらまたいらんことを妄想されるぞ」
隼人「おや、それは君がやめさせたんだろ? 姫菜から聞いてるよ」
八幡「…………話くらいはしてんのか」
隼人「優美子のいないタイミングでだけどね。よっと」
八幡(結局俺の許可もないうちに葉山は隣に腰掛けてくる)
60 = 52 :
八幡「で、何の用だよ。親睦を深めようってわけでもあるまいに」
隼人「おや、駄目なのかい?」
八幡「そんな関係でもねえだろ俺達は」
隼人「これからそうなりたいと思うのはいけないことか?」
八幡「…………お前、本当にホモだったのか? だから三浦の告白も」
隼人「ははは、残念ながらノーマルさ。優美子を断ったのもちゃんと理由がある」
八幡「まあどうでもいいが……さっさと用件を言え。お前が俺を普通に呼ぶなんて何か企んでんだろ」
隼人「人聞きが悪いな。まあ君にとっては鬱陶しいことかもしれない」
八幡(葉山は笑っていた表情を突然引き締めた。そして少し身構える俺にそのまま頭を下げる)
隼人「比企谷、すまなかった」
八幡「………………何のことだよ」
隼人「一言では言い切れないほどの、色々なことさ」
八幡「心当たりがない」
隼人「あっても比企谷ならそう言うと思ってた。それに俺がこうするのを嫌がるだろうことも」
八幡「人の嫌がることをするなよ」
隼人「あいにく人の嫌がることを進んでしなさいと教わったものでね」
八幡「意味違うだろうが」
隼人「ははは」
八幡(そこでようやく葉山は顔を上げた。まったく、こんなところを誰かに見られたらまた変な噂が立つぞ)
61 = 52 :
隼人「ま、ケジメみたいなものさ。自分勝手ですまないが」
八幡「本当にな。俺の関わらないとこでやってくれよ」
隼人「そうもいかないさ。それにもうひとつ」
八幡「あん?」
隼人「比企谷、ありがとう」
八幡「………………」
隼人「くくっ。礼を言われるのも慣れてないみたいだな」
八幡「うるせえ。そもそも言われるようなことなんかしてないから呆然としただけだ」
隼人「二つとも俺の本心だよ。謝罪も礼も」
八幡「…………勝手にしろ」
隼人「ああ、勝手にするさ。本当ならもっと誠意を持ってちゃんとすべきなんだろうが、それは比企谷にとっても迷惑だろうから止めておくよ」
八幡「すでに迷惑だ」
隼人「はは、このくらいは受け入れてくれ。それじゃ、邪魔したな。また」
八幡「…………おう」
八幡(葉山は立ち上がり、手を振ってその場を去っていった)
八幡「………………」
八幡(…………あいつ、『また』って言ったか?)
62 :
今北
面白い
63 = 57 :
乙乙~
64 :
八幡(さて、放課後になったわけだが…………やっぱり奉仕部行かなきゃ駄目だよなあ)
八幡(いろいろ決心したはずなのに怖じ気づいたり面倒くさくなっている俺がいるわけで)
八幡「まあ行くしかないんだけど」
八幡(俺は教室を出て部室に向かう)
65 = 64 :
八幡(雪ノ下がいる部室に俺が来て、しばらくして由比ヶ浜がやってくる)
八幡(いつもと同じような感じで、昨日よりはいくらか空気が軽い)
八幡(今なら自然に話し掛けられるかもしれない。そう思いながらも生まれ持った孤高の精神がそれを妨げる。いやまあただのぼっちのコミュ障なだけだが)
八幡(しかしそれは雪ノ下も由比ヶ浜も似たような感じらしく、チラチラと周囲の様子を窺っているのが容易にわかった)
八幡(この膠着状態をどうすればいいか、と考えていると、唐突にドアがノックされる)
姫菜「はろはろー」
八幡(雪ノ下が返事をする前に開いたドアから入ってきたのは海老名さんだった)
結衣「あれ、姫菜どしたの?」
姫菜「うん。ちょっと依頼があってね。いいかな雪ノ下さん?」
雪乃「え、ええ。でも今の私達に何かできることなのかしら?」
姫菜「うん。簡単なことだよ。一時間くらいで終わるかな」
結衣「え、なになに?」
姫菜「ちょっとヒキタニくんを貸して欲しいんだよね」
八幡「え、俺?」
姫菜「そう。ヒキタニくん、私と校内デートしよ!」
66 = 64 :
結衣「ちょ、ちょっと待ってよ姫菜! 何を言ってるの!?」
雪乃「…………ごめんなさい海老名さん、どうも耳の調子が悪いみたいなのよ。もう一度言ってもらえるかしら?」
姫菜「だから、少しの間ヒキタニくんとお話したいんだよ。いいかな?」
雪乃「ここでは話せないことなのかしら?」
姫菜「んー、そういうわけでもないけど。でもヒキタニくんがどうだかはわからないからさ」
八幡(え、なに、まさか俺の悪口大会とかでもすんの?)
結衣「で、でも一応部活中なわけだし、部員がいなくなるのはあんまり良くないんじゃないかなーって」
姫菜「あーそっか。それじゃやめとこうかな」
八幡(いやいや、誰とは言いませんが友達と約束あるからって部活に出ない人がここにいませんでしたかね? 由比ヶ浜さんとか結衣さんとかガハマさんとか)
姫菜「じゃ、お邪魔しました~」
八幡(海老名さんは手を振って部室を出て行った。何だったんだいったい…………あの様子だと大したことではないようだが)
結衣「ね、ねえヒッキー、姫菜は何の用で来たのかな?」
八幡「知らねえよ。その話を聞く前に追い返しといて何を言ってんだ…………」
結衣「そ、それはそうなんだけど」
八幡(なんだか毒気も緊張も抜けてしまった。もういいや、本でも読もう。俺はカバンから読みかけの小説を取り出して栞の挟んであるページを開く)
67 = 64 :
八幡(結局ろくな進展もなしにその日の部活は終了した。鍵を返却しにいく雪ノ下とそれに付き合う由比ヶ浜に一言だけの別れの挨拶をし、昇降口に向かう)
八幡(靴に履き替えて自転車置き場に行くと、近くのベンチからこっちに向かってくる影があった)
八幡「…………海老名さん」
姫菜「や、奇遇だね」
八幡「いやいや、こんな偶然ねえから」
姫菜「あはは、そうだね。ヒキタニくんこのあと暇?」
68 = 64 :
八幡「暇かって聞かれたら暇と答えるしかないな。予備校も今日はないし」
姫菜「そういえばサキサキと一緒の予備校なんだっけ。サキサキってどんな感じなの?」
八幡「いや、別に話したりするわけじゃないから…………というか俺に何か用なのか?」
姫菜「あ、うん。さっきも言ったけどちょっとヒキタニくんとお話したくてね」
八幡「聞きたいことでもあるのか?」
姫菜「まあ色々と。もう部活終わったならいいよね?」
八幡「…………まさかそのためにわざわざ待ってたのかよ?」
姫菜「え、うん」
八幡(あっけらかんと頷く海老名さん。何なんだいったい。本当に海老名さんの真意が読めない)
八幡(このまま考えるよりは本人から聞き出した方が早いだろう。俺は海老名さんに付き合うことにする)
八幡「わかったよ。一時間くらいだっけ? 長くなるならどっか行くか?」
姫菜「そうだね。それとついでにお願いがあるんだけど」
八幡「何だ?」
姫菜「私、男子と自転車の二人乗りってしたことないんだ。後ろ、乗せてくれないかな?」
69 :
乙かな?
いいぞ~
70 :
乙
まさかの海老名さん、期待
72 :
八幡「…………それは」
姫菜「ダメ?」
八幡「と、友達に噂されたりすると恥ずかしいし」
姫菜「あはは! それヒキタニくんがヒロインになるじゃない! 大丈夫だって、もう薄暗いから遠くからじゃわからないし。そもそもヒキタニくんて友達あんまりいないじゃない」
八幡「まあいないけどさ…………ていうか海老名さんはいいのかよ、俺なんかで」
姫菜「おっけおっけ。レッツゴー」
八幡(俺は抵抗を諦めてサドルに、海老名さんは荷台に座る)
八幡「と、とりあえず、え、駅前のサイゼで、いいか?」
姫菜「うん。てかどうしてそんな緊張してるの?」
八幡「いや……女子と二人乗りなんて俺も初めてだから…………」
姫菜「あれ、妹さんをよく乗せてるって結衣から聞いてるけど」
八幡「妹を異性としてカウントはしねえよ」
姫菜「へえ。じゃ、私は異性として意識してくれてるのかな?」
八幡「当たり前だろ……海老名さん腐ってるけど性格も外見もいいし」
姫菜「ふふ、ありがとう。ヒキタニくんのそういう正直なところ、私好きだよ。じゃ、行こう」
八幡「え、お、おう」
八幡(あれ? 普通なら経験上キモいとかストーカーとか言われて引かれるはずなんだが)
73 = 72 :
八幡(俺はペダルを漕ぎ出した。海老名さんが俺の腰に腕を巻き付けてくる)
八幡(あれ? 女子と二人乗りで下校なんて、俺いつからリア充になったんだっけ?)
八幡(ライトを点灯させて気持ちゆっくり目に自転車を漕ぎ、校門を出る。そこを曲がったところで雪ノ下と由比ヶ浜に出くわす)
雪乃「えっ」
結衣「あっ!」
八幡(あー、面倒くさいな…………よし、突っ切ろう)
雪乃「比企谷くん!」
結衣「ヒッキー!」
八幡(呼び止めようとする二人を無視し、俺は自転車のスピードを落とさずに二人の脇を通過していった)
74 :
いいぞいいぞ
75 = 72 :
姫菜「ヒキタニくん、さっきから制服の中でスマホが震えてるよ」
八幡「どうせ由比ヶ浜からだろ。今出るわけにもいかねえし」
八幡(自転車に乗っている間の会話はそれくらいで、あとは二人とも無言だった。まあ単純に危ないしな)
八幡(サイゼに到着すると海老名さんが降り、俺は自転車を駐輪場に停める)
姫菜「ヒキタニくんご飯どうする? ここで食べてく?」
八幡「いや、うちで用意されてると思うから軽くつまむだけにしとく」
姫菜「それじゃ私もそうしようかな。家に連絡しとかないと」
八幡「あ、俺も」
八幡(そう言ってスマホを取り出すと、また着信があった。案の定由比ヶ浜だ)
八幡「…………なあ海老名さん、席取っとくからこの電話出てくれねえか?」
姫菜「あ、うん、いいよ。ヒキタニくんだとムキになっちゃうもんね結衣は」
八幡(俺は海老名さんにスマホを渡し、店内に入る)
76 :
彼女でもないのにこの執着心よ
77 :
まあ積極的なのは良いことだろ
しかも両方友達だし気持ちは分からんでもない。
78 = 72 :
八幡(まだ夕飯には早いためか客は少なく、広い席に案内された。しばらく待っていると海老名さんがやってくる)
姫菜「お待たせー。よっと」
八幡「いやいやいやいや、何で隣に座るんだよ」
姫菜「あ、ごめんごめん。間違えた」
八幡「嘘をつけ嘘を。あと間違えたなら早く離れてくれよ。色々勘違いしちゃうだろ」
姫菜「してくれてもいいのに。なんてね」
八幡「なっ…………」
八幡(海老名さんは笑いながら対面に座り直す。マジで惑わすのはやめてほしい…………)
姫菜「とりあえずドリンクバーと…………」
八幡「あ、もう注文しといたから。待ってるから取ってきていいぜ」
姫菜「おおー、ヒキタニくんデキる男じゃない。それじゃ先に行ってくるね。あと、はいこれ」
八幡(俺が差し出されたスマホを受け取ると海老名さんはドリンクバーを取りに行った。今のうちに小町にメールしとこう)
79 = 72 :
八幡(海老名さんと入れ替わりで俺もドリンクバーに行って飲み物を用意する。席に戻って一口飲んで喉を潤した)
姫菜「そうそう。結衣には『同性にはしにくい相談があるの』って言っといたから」
八幡「ああ。適当に口裏合わせとく…………で?」
姫菜「ん?」
八幡「いや、結局海老名さんの用件と目的は何なのかなと」
姫菜「ああ……ないよ」
八幡「え?」
姫菜「あえて言うならヒキタニくんとお喋りしたかったから、かな」
八幡「…………俺なんかと話してもつまらないだけだろ」
姫菜「そんなことないよー。結構的確なツッコミがきたりするしちょっとディープな話もできるし」
八幡「でも『はや×はち』は勘弁な」
姫菜「あはは、そういうとこだよ。ヒキタニくんキョドったりしなければいい話し相手だもん」
81 :
「キョドりさえしなければ」うん。俺には無理だったな。流石八幡さん。
83 = 72 :
八幡「あいにくちょっと予想外の事を言われるとすぐに吃るぞ」
姫菜「それはそれで面白いからいいの」
八幡「人をオモチャみたいに言いやがって…………」
姫菜「ごめんごめん。怒らないで」
八幡「否定はしないのかよちくしょう」
八幡(まあ実際のところ海老名さんは話しやすい方だと思う。最たる理由は『恋愛をする気はない』みたいなことを言っていたからだろう。勘違いしないですむからな)
八幡(しばらくは益体もない世間話をしていたが、二回目のドリンクバーお代わりをしたところで俺は切り出す)
八幡「で、何で俺を誘ったんだ?」
姫菜「えー、何回も言ってるじゃない。ヒキタニくんと話してみたかったからだって」
八幡「だからそれの理由だよ。女子が俺と1対1で話したくなる理由なんか俺には思い付かないぞ。しかもこんな時期に」
八幡(クラス替え直後や知り合った直後というならまだわからないでもない。もしくは何かイベントがあったりとかだったら)
姫菜「んー…………」
八幡(海老名さんは何やら考え込んでいる。表情を見る限り、わからないのではなくどう言えばいいか思案している感じだ)
84 = 72 :
姫菜「じゃあ三択です。私がヒキタニくんと話してみたかった理由は次のうちどーれだ」
八幡(海老名さんは悪戯っぽく笑いながら指を一本立てる)
姫菜「いち。ヒキタニくんには恩があるからそれを返す方法を窺っているため」
八幡(うん、ありそうだな。だけど修学旅行の件にしては少し遅い気もする。保留で)
八幡(続いて海老名さんは二本の指を立てた)
姫菜「に。隼人くん達とのグループがなくなりそうなため、新しい居場所を探してて結衣のいる奉仕部に目をつけた。それの下調べのため」
八幡(時期だけで考えるなら納得いく。が、わざわざ奉仕部を選択するだろうか。それだと三浦を見捨てているし、そりの合わない雪ノ下のいる奉仕部に誘うとも思えない)
八幡(そして海老名さんは三本目の指を立てる)
姫菜「さん。私はヒキタニくんのことが恋愛感情とはいかないまでも気になり始めました」
八幡(実質二択か…………それっぽいこと言ってたし一番が正解な気がするな)
姫菜「ちなみに答え合わせはしないよ。どう思うかはヒキタニくんに任せとくね」
八幡「じゃあ三番ってことにしとくわ。モテる男はつらいぜ」
姫菜「あはは、うん、そうだね」
85 :
面白い
このまま海老名さんルートでいってくれ
86 :
むしろ海老名さんルート以外考えられんだろ
87 :
全部か
88 :
すごい勝手な印象で申し訳ないんだけどサキサキの人っぽい
90 :
>>88
え、違うの?むしろそうとばかり思って読んでた
海老名さん好きって言ってたし
まあ前作で色々言われてたしここは最後まで内緒にしてほしいところ
91 :
作者の予想とかする奴ちねばいいのに
92 :
そうなのか?どこで判断できた?
まさかここからサキサキルートに・・・
93 :
多分二人乗りのところでそうおもったんだろうけど
聞いてどうなるってものでもないし聞くなら終わった後やね
94 :
姫菜「ところでヒキタニくん、奉仕部はどうするの?」
八幡(海老名さんはいきなりストレートに聞いてきた。いや、むしろここまで話題にしなかったのが不自然かもしれないが)
八幡「正直まだ決めかねてる。優柔不断だと自分でも思うが」
姫菜「ううん。慎重になるのも無理ないかなとは思うけど…………でもさ、ヒキタニくんちょっと深刻に考え過ぎてないかな?」
八幡「え?」
姫菜「土下座までしちゃった私が言うのも何だけど、もうちょっと軽く考えていいと思うよ」
八幡「軽くって…………」
姫菜「だってさ、どの選択をしても取り返しつかないってわけじゃないんでしょ? 辞めないで残ったら今後辞められないってわけでもないし、辞めたあとに心残りがあったらまた入部すればいいじゃない」
八幡「…………」
姫菜「結衣や雪ノ下さんとの関係がその事で変わったとしても、今のままずるずる行くよりはマシじゃないかな」
八幡「あー…………」
八幡(正直海老名さんの言うことは少々的が外れている。俺にとってはそこまで単純な事じゃない)
八幡(が、それでも一つ思い付いたことがある)
95 = 94 :
姫菜「お、顔つきが変わった? 私の適当な言葉が何かのヒントになってくれたら嬉しいな」
八幡「適当なのかよ…………」
八幡(海老名さんはくすくすと笑う。くっ、可愛い! さすがトップカーストに属するだけのことはある)
八幡(正直海老名さんとの会話は楽しい。だけどそろそろ遅い時間だ。年頃の女子を連れ回すのも良くない)
八幡「そろそろ帰るか。結構な時間だぜ」
姫菜「あれ、本当だ。ヒキタニくんと話すのが楽しかったから気が付かなかったよ」
八幡「そんなお世辞言ったって何にも出ねえぞ」
姫菜「と言いつつそのこっそり伝票を掴む手は何かな? ヒキタニくんに奢ってもらう理由はないよ」
八幡「…………理由ならある」
姫菜「え?」
八幡「女子と二人でファミレスに来て奢らなかったら小町に怒られる。つまり海老名さんのためじゃない、自分のためだ」
姫菜「あはは、さすがのシスコンだね。じゃ、ゴチになっとく。このお礼は別の形で返すから」
96 = 94 :
八幡(俺は支払いを済ませ、店を出た。外はもうすっかり暗くなっていた)
姫菜「んーっ、ヒキタニくんとのお喋り楽しかった。次回も楽しみにしてるよ」
八幡「次回あんのかよ…………」
姫菜「もちろん。あ、学校とかじゃダメだよ。邪魔されないとこがいいからね」
八幡(それはまた二人でってことなんだろうか)
姫菜「じゃ、また明日ね」
八幡「あっ、え、海老名さん」
姫菜「ん? 何?」
八幡(思わず呼び止めてしまった。だけど、次の言葉がなかなか出てこない)
八幡(ここでこれを言わないとやはり小町に怒られると思い、なんとかセリフを絞り出す)
八幡「も、もう、暗いし、俺なんかで、良ければ、お、送っていこうか?」
姫菜「え……」
八幡(予想外だったか海老名さんがぽかんとする。や、やっぱり言わなければ良かったか)
八幡「す、すまん、調子に乗った。だけど、その、悪気や下心はないんだ。えっと…………」
姫菜「あ、ううん。ちょっとびっくりしただけだから。じゃ、お願いしちゃっていい?」
八幡「お、おう、任せろ。だけど俺が不審者として疑われた時は助けてくれよ」
八幡(俺がそう言うと海老名さんは吹き出した。腹を抱えて笑っている)
姫菜「あー、おっかしぃ……こんなに笑ったの久し振りかも」
97 = 94 :
八幡(暗い中の二人乗りは危険だろうと判断し、俺は自転車を押して海老名さんと並んで歩く)
姫菜「いやー、しかしヒキタニくんとこうやって二人で歩くことがあるなんて思わなかったな」
八幡「それは俺もだな」
八幡(今まで海老名さんとはそんなに接点がなかったし。いや、今でもあるかと言えば疑問は残るのだが)
八幡(アニメやラノベの話を女子とするという貴重な経験をし、そのうち大きな交差点に差し掛かる)
姫菜「あ、ここまででいいよ。この信号渡ったらもうすぐそこだから」
八幡「そっか。そんじゃ俺はこっちだな」
姫菜「うん、ばいばい。また明日ね」
八幡「ああ、また」
八幡(俺達は手を振り合いながら別れた。少し寒さに身をすくめながら俺は自転車を漕ぐ)
八幡「また明日、か…………」
99 :
普通に青春してるな
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