元スレ八幡「面倒くさくなったので人間関係を安価に託すことにする」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
651 = 1 :
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
自分で安価対象に入れておいて悪いんだけどあんまりあの人と関わらせないでくれる?
死んじゃうから。 比喩とかではなく死んじゃうから
夜はどうしようか?
>>453
653 :
偽ビッチに声が聴きたくなったと電話
654 = 1 :
一回、二回、三回。 無機質な呼び出し音が耳元でなる。
冷静に言ってみたが、俺の心はすでにパンク寸前だ。
これから言わなければならないセリフの事もあるが、そもそも俺からすれば女の子に電話するというだけで大事件なのだ。
四回、五回、六回。 音は続く。
しかし、なかなか電話に出ないな。 由比ヶ浜程のビッチであれば一回目の呼び出し音で出てもおかしくないと思ったのだが。
まあ、こちらとしては落ち着く時間ができる分ありがたい。
不意に呼び出し音が途切れる。 一瞬できた無音の瞬間にまた心臓が大きく跳ねた。
『も、もしもし? ヒッキー?』
「あ、ああ。 急に電話して悪いな」
『いや、いいよ。 すごいビックリしたけど』
「そうか?」
『そりゃそうだよ! ヒッキーから電話なんて珍しいどころの話じゃないし!』
「まあ、普段なら何か急ぎの要件が無いと絶対にしないからな」
『だよね! え、じゃあ今日は何か急ぎの用事かなにか?』
何気ない発言が、結果的に俺の首を絞めることになってしまった。
心の準備をする暇もない。 だが、あのセリフをいうのであればこのタイミングの他ないだろう。
ここを逃せば、例のセリフは不自然の塊となり由比ヶ浜にあらぬことを感じさせてしまう。
落ち着け、あくまで冷静に何事もないかのように。 彼女にスルーされるように意識しろ。
電話口で伝わらないように、深く息をつく。
「いや、別にそれはないんだが。 ただ声が聞きたかっただけだ」
『ふーん、そっか』
『……とは、ならない!!!! ヒッキーいまなんて???!!!!』
まあそうなるよね。 あそこで俺があのセリフを言ってスルーしたならば、由比ヶ浜には日本語が通じないということだ。
「いや、別になんでもないが」
『なんでもなくないよ!! ヒッキー今なんていったの?」
「いや、だからなんでもないって」
『でも!! ……はあ、まあいいや』
そうだ、とっととあきらめろ。 今の俺は小町を人質にでもとられない限り口を割らないぞ。
『私も、ヒッキーの声聞きたかったし』
「は?」
『どうしたの?』
「いや、お前今……」
『……なんでもないよ』
「……そ、そうか。」
『うん。 ……お返し、だし』
いたずらっぽくつぶやいた由比ヶ浜は、それから他愛もない話をマシンガンのように放ち続けた。
俺と言えば彼女が放った言葉が頭の中をグルグルと回って由比ヶ浜の話が耳に入らなかったのだが、どうせクソくだらない話だろうからまあいいだろう。
声が聞きたかった、か。 とてもいいセリフだと、思いません?
655 = 1 :
一日が終了しました
【本日の結果】
雪乃 ±0
結衣 ±1
一色 ±0
陽乃 +1
平塚 ±0
小町 +1
川崎 ±0
相模 ±0
折本 ±0
城廻 ±2(前日、本日分)
【総計】
雪乃 +1
結衣 +1 (積極的)
一色 -1 (八幡の弱み あらぬ噂)
陽乃 +2
平塚 +1 (八幡の貞操観念に疑問)
小町 +2
川崎 +1 (結衣への嫉妬心)
相模 0 (THE勘違い)
折本 0
城廻 +4 (師匠)
656 = 1 :
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
おはよう 昨日は俺の休日らしからぬ行動範囲だった
この休日もアクティブに行こう。 俺らしくない発言だが、これも会長に漂白されちゃったからかな
>>658
657 :
小町の寝顔を見る
658 :
陽乃と一日お泊りデート
659 = 1 :
ふざけるな。
もう一度言うぞ、ふざけるな。
(※今日一日陽乃と行動することになりました)
(※安価が陽乃に限定、又はすべての安価に陽乃が干渉します)
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5日目 休日
感情を無にして、陽乃さんに電話を掛ける。
無にしてというか、無になってしまうんだよ。 なぜなら俺は今日死ぬんだからな。
『はーい、もしもーし。 比企谷君最近よく電話してくるねー』
「どうも」
『で? 今日は何の用なのかな?』
「陽乃さん、お泊りデートしましょう!」
『……は?』
「お泊りデートです!」
人というものは、窮地に追い込まれると開き直れるものなのだ。
『い、いたずら電話なのかな~?』
「違います、正真正銘俺ですよ、比企谷八幡です。 HAHAHA!」
『……な、何か辛いことでもあったの?』
『もしくは何か企んでる?』
今まで聞いたことのない、陽乃さんの戸惑った声。 まさかこんな形で魔王の牙城を少し崩せることになるとは。
だが残念、俺は何も辛いことなどなかったし何かを企んでいるということもないのだ。
いくら陽乃さんといえど、ここ最近の俺の行動がほぼ全て安価スレに委ねられているということは見抜けないようだな。
「いえ、別にそういうわけでもないんですよ。 お泊りデートをしたいだけです」
『……そっかー』
いっそここで、陽乃さんに安価スレのことを看破されればどれだけ楽だろうか。
何かを企んでいると思いこまれて、電話を切られてしまえばはたしてそれはどんな天国か。
だが、相手は雪ノ下陽乃だ。 俺の行動にどのような真意が隠されているかを見抜けなくとも。
『よし! じゃあ今から集合ね! お姉さん楽しみだなー!』
面白がって、乗ってくるに決まっている。
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今日も、昨日と同じく鬱陶しい程の快晴だった。
晴れ女なんだな、陽乃だけに。
「やっほー! 比企谷君、こっちこっち!」
彼女が人ごみの中でも目立つだとかそういった能書きはもうなしにしよう。 なぜなら昨日もやったからな。
よく考えるとなんで休日に2日連続で陽乃さんと会わなきゃならんのだ……。
「どうも。 急に呼び出してしまってすいません」
「ほんとだよ! 内容も内容だったしね」
「……すいません」
「ま、一応聞いておくよ。 なんで急に私とお泊りデートなんてする気になったのかな?」
「……気の迷い、ですよ」
「……ま、口を割るわけないか。 こればっかりはお姉ちゃんにもわからないや」
あまりそこを詮索してほしくないのだ。 この人におれが安価スレを立てたことを知られたならば何をされるかわからない。
できることならば、この話はとっとと諦めてほしい。
「まあいいか! よーしじゃあ今日一日のデートの時間だね! レッツゴー!」
「……」
諦めてくれたら諦めてくれたで、そこからまた地獄の時間が始まるだけだったようだが。
660 = 1 :
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
僕の命日が決まりました。 今までどうもありがとう。
こうなったらやけくそなのでお昼の安価も下さい。
ここまできたらとことんこの強化外骨格と闘おうと思うので彼女に関する安価を求ム。
>>661
661 :
陽乃の上に事故を装い覆い被さる→胸もみもみ→どかない
663 = 1 :
もしかしたら生き延びられるかもしれないという、一縷の望みが消え去ったね。
みんな今までありがとう。 なんだかんだいって、楽しかったぜ。
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「さーて、会って早速だけど時間も時間だしおなか減ったねー」
「そうですね」
「何か食べたいなー。 こういうときは、デートに誘った側がエスコートするのが基本だよ、比企谷君」
「なにが基本なんですか、そんなの何も考えてないですよ」
「えー、それはちょっとダメだなー。 デートするときの基本として、エスコートする姿勢を持ってなきゃ! おぼえておくこと!」
「……でもですね、こんなに綺麗で完璧な女性を前にするとー、緊張してエスコートなんてできないですヨ」
「きゃっ! 信じられないぐらい棒読みなのは気になるけどそのセリフはときめいちゃう!」
言葉に嘘はないと言えど、心にも無いことを言ったからな。 そりゃ棒読みにもなるさ。
陽乃さんはキャピキャピ言いながら体を寄せてくる。 チャンスはここか。 駅前から少し歩いた人通りの少ない場所とはいえ、恥ずかしすぎる。
「ちょっと、近い、近いですって」
「えー、いいじゃんデートなんだし。 実は比企谷くんだっていやじゃないんでしょー?」
「嫌とか嫌じゃないとかじゃないですよ、恥ずかしいんで離れてください」
陽乃さんを振り払う「振り」をする。 今の目的は、陽乃さんを俺の体から離すことではない。
「おおっと」
「え、わわっ」
この人ならおそらく心配ないが、万が一に備えて怪我の無いよう優しく倒れこみ陽乃さんに覆いかぶさった。
そう、本当の目的はこの体勢に持ち込むことだ。 なんかラッキースケベというより格闘技でテイクダウンを取った気分なんですけど。
そしてもう一つの目的、陽乃さんの胸を触ることだが、それについては問題ない。 倒れこむ時点ですでに触れている。
こんなことを簡単にやってのけられるようになったあたり、俺も強くなったなあ……。
「いてて、すいません、大丈夫ですか」
心にもない言葉その弐である。 こちらとしては最初からこうなることを予見していたわけで、痛いことなどまったくもってないのだ。
無理に倒したこと、おっぱいを触っていること。 普通の女性であればブチ切れてもおかしくない状況だ。
しかし俺の下にいる彼女はどこをどうとっても普通の女性とは言えない。 さて、どんな表情をしているのかなとばかりに陽乃さんの顔をうかがう。
「び、びっくりするなあ、もう」
はっきり言おう。 俺の中で、時が止まった。
倒れこんだ陽乃さんの、すこし驚いたような顔が首をもたげた瞬間に目に入ってしまった。
それは今まで見てきた陽乃さんのどの表情でもない。
悪に染まった彼女が垣間見せた、黒さも恐怖も感じない普通の女性としての顔だった。
「あ……えっと……」
「もー、比企谷くんったら大胆なんだから。 わたしは大丈夫だよ、早く立って」
「それとも……もっと触りたいのかな?」
陽乃さんに覆いかぶさって動かないという安価は達成している。
だが、本当のところは動けないんだ。 今はもう仮面に隠されてしまった陽乃さんの表情に脳が対処しきれていない。
「比企谷くんは元気だねー、でも時と場所がちょっとミステイクかな」
動けないままでいる俺の腕を陽乃さんが優しくつかんだと思うと、俺の腕がどんどんとねじれていく。
痛みを感じるころには、すでに俺は彼女の上からどかされていてわけのわからん体勢になっていた。
なにこれ手品? 腕が取れそうなんですけど?
「はい、早く立たないと肩が外れちゃうよ。 そうだなー、このセクハラの代償はどうやって払ってもらおうかな」
「い、痛い痛い痛い痛い!」
「……でもまあ、倒れ際に私をかばってくれたところは、ポイント高かったよ。 お昼ご飯ぐらいで勘弁してあげちゃうっ」
その後解放された俺は、結局ダメだしを喰らいまくりながらも陽乃さんをエスコートして昼食を済ませた。
腕の痛みで十分代償は払えていたと思うんだけどなあ……。
664 = 1 :
中途半端なところで申し訳ない、今回はここまでにする。
馬鹿みたいな時間帯だったこと、かなり間が開いてしまったことに関しては心の底から謝罪したい。 この通り!
なるべく間を開けないように頑張るよ、今日の昼ぐらいにもう一度やってくるかもしれないけどやってこないかもしれない
666 :
うわお、復活してる
嬉しい
668 :
はるのんかわいい
669 :
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
やはりこの人と一緒にいるとろくなことが無い
さすがに肩が外れたと思ったね シリアス漫画なら俺は片腕を失っているレベル
肝心のお泊りパートだ、今日の夜はどうするか決めて行こう
俺の命が消えてしまわないように頼む
>>671
671 :
売る用にはるのんの下着を何枚か盗んでおく
672 :
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夜 ホテル
「いやー暑かったね今日は。 ちょっと汗かいちゃったし、シャワーでも浴びてからご飯食べに行こうか」
「う、うす……」
「じゃ、先にシャワー浴びてくるね!」
「う、ういっす……」
さすが陽乃さん、とでも言うべきだろうか。
俺は今、今日が無ければ人生で一度も泊まることがなかったと言い切れるようなホテルの一室にいる。
言っておくが、ラブなホテルじゃないぞ。 そっちはもしかしたらこれから使うことがあるかもしれないだろ。
それにしても……なんだかなあ。
くだらない安価スレがこんな結果に繋がるものかね。 言いたくはないが絶世の美女と、ホテルで二人きりなんて。
部屋を見渡す。 どことなく部屋は薄暗さに包まれており、シックな雰囲気を感じさせる。
大人びている、といった陳腐な言葉でしか説明できないのは、きっとまだ俺が子供だからなんだろう。
陽乃さんがシャワーへ行ってから、物語の中にしか存在しないと思っていたような部屋に俺は独りきりだ。
独りきり、か。 ふむ。 パンツを盗むなら今だな。
「さーて、パンツはどこかな」
そう呟いて、そそくさとバスルームへ向かう。
こんなに簡単に動けるのはきっと、今日一日でいろいろなことを経験しすぎて感覚が麻痺してしまっているのだ。
良いほうに解釈すれば、経験によって俺は強くなった……成長なのさ。 多分違うけど。
バスルームに入ると、シャワーの音が聞こえてくる。
こんな高級そうなホテルだからとち狂って風呂場がガラス張りだったらどうしようと思っていたのだが、さすがにそれはなかった。
とはいえ、俺のすぐ近くで陽乃さんがシャワーを浴びているのは事実なのだ。 ……生まれたままの姿で。
あかん、変な気を起こしてしまう前にとっととことを済ませよう。 よくよく考えれば自宅ではなくホテルの一室でパンツが無くなったとあれば、
バレないはずはないのだがこの時の俺はすでに正気を失っておりそんなことはどうでもよくなっていた。
とにかく、彼女のパンツが手に入ればそれでいいのさ。 ……おめでとう、比企谷八幡は変態にジョブチェンジしたよ!
陽乃さんが先ほどまで身に着けていた衣服を発見する。
ここでもまた、俺の男な部分が目覚めそうになったがそこは理性の化け物と称された我慢強さで乗り切った。
あとは、パンツを見つけるだけ……そう思った時、衣服の中に一枚の紙切れがあるのに気付く。
この手紙をあなたが読んでいる頃には、わたしはもうシャワーを浴びている頃でしょう。
比企谷君、君がこの紙を見つけちゃったとするなら、それはお姉ちゃん的にポイント低いよ♡
体の体温が一気に下がった気がして、慌てて衣服を元あったように戻す。
震えながら、なるべく気配を消して部屋に戻る。
くそ、どこまで思い通りにいかない女なんだ。 まさか俺の行動を本当にすべて読んでいるのか?
……そんなはずは、無いと思いたい。 きっと今回は、彼女のかけたカマに見事に引っかかってしまっただけなんだ。
くそが、なんだって俺がこんな思いをしなきゃいけないんだ。
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「ふいー、お先っ」
「……比企谷君、どうしたの正座なんかして」
「はは、この部屋の雰囲気にあてられたんですよ」
「……そっか、まあいいや。 比企谷くんもシャワー浴びておいでよ、その間にディナーの準備は済ませておくから」
「あ、ありがとうございます。 じゃあ、お言葉に甘えて」
このあと、なんとなく俺も自分の服の中に手紙を忍び込ませてみたり服が動いていないか確認してみたりしたが、まあ当然のように何も得られなかった。
673 = 1 :
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ホテル内 バー
「夜ご飯とは言ったけど、お昼食べたのが比企谷くんのせいで遅かったからね。 ここでいいかな?」
「いや、それはいいんですけど……俺まだ未成年ですよ、それこそいいんですか」
「バカだなあ、私を誰だと思ってるの。 準備は周到だよ、ドレスコードに引っかからないようにその服もちゃんと用意してたでしょ」
「そうですね、急にこんな服を着させられたときはどこかに売られるかと思いました」
薄暗い店内に、人の気配がある静寂が流れている。 どこかで、グラスとグラスがぶつかる音が響いた。
「ま、たまにはこういうところに来てみるのも面白いものだよ」
「ぼくにはいささか早すぎると思うんですが……」
俺と陽乃さんの前に、ナンチャラとかいう飲み物が届いた。 なんか必殺技みたいな名前だったが、よく覚えていない。
「こういうのは経験だよ、まわりより早く経験できたならよかったじゃない。 ほら、乾杯」
「は、はい」
俺たちの間で、澄んだ音か静けさに溶けていく。
その音の波を追うように視線を漂わせていると、陽乃さんは一足先にグラスに口を付けた。
その姿は雰囲気も相まってか、何かしらの芸術作品を切り取ったかのように絵になっている。
思わず彼女に見とれてしまっている自分に気が付いて、慌ててグラスに口を付けた。 気付かれていないといいのだが。
「なんというか、似合いますね、こういうところ」
自分から話題を振るというのがどうも俺らしくないのだが、早いところこの雰囲気を振り払いたかった。
血迷ってしまいそうだから――、そう言っておくことにしよう。
「まあね、だってわたしだもん」
「そうですね」
「比企谷くんも思ったより様になってるよ。 たぶん服装だとかそういうのもあるんだろうけど……」
彼女は一呼吸置きながら俺の目をじっと見つめた後、また口を開いた。
「なんというか、目が綺麗になったよね。 まるで真っ当な人間になったみたい」
「前まで俺が真人間じゃなかったような言い方ですね」
「そうだね、すくなくともまともじゃなかったと思うよ」
「否定はしないんですか……」
「ふふ、でも今は違う。 きっと、曇りがなくなったからこそ見える物がたくさんあるんじゃないかな」
「それが比企谷くんの望むものかどうかは、私にはわからないけどね」
少しだけ笑顔を作りながらそう言うと、陽乃さんはまたグラスの中身を一口含む。
その笑顔が作りものなのかそうでないのかは、分からなかった。
674 = 1 :
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ホテル 部屋
しばらくの間、俺にとっては随分と大人な時間を過ごした後俺たちは部屋に戻ってきていた。
それほどアルコールを摂ったわけではないが、少しだけ顔が熱を帯びていて意識がふんわりと曖昧になっている。
なるほどこれがほろ酔いかと、一つ知識を刻む。
「いやー、楽しい時間だったよ」
陽乃さんは上機嫌そうに言う。
すこし顔を紅潮させた彼女が、どうも色っぽくて困る。
多分俺も酔っぱらっているんだろう。
「そうですね。 新鮮な時間でした」
「あれ、比企谷くんなら憎まれ口の一つや二つ叩くと思ってたんだけど」
「雪ノ下さんの言うように、俺もまともな人間になりつつあるんですよ」
「中々小生意気なことを言うんだね、このこの」
肘で、わき腹をコツコツとつつかれる。
「痛いです、あと近いです」
「怯えてるみたいに穿った目ですべてを見てた比企谷くんも可愛かったけど……今の綺麗な比企谷くんもわたしは嫌いじゃないな」
「……自分のものにしちゃいたいぐらい」
耳元で聞こえたそのどこか艶めかしい声に、背筋が凍る。
防御体勢を取るにはもう遅く、俺はベッドに倒されていた。
何が起こっているのかを瞬時に理解できずに固まっていると、いつの間にか俺達の距離は少ししかなくなっていた。
逃げなければいけないという意識と――、このまま状況に身を任せればどうなるかという期待が胸をよぎる。
頭に響くほど、胸の鼓動が強くなって、体に力を入れることができない。
完全に思考をやめてしまいそうになったその時、ふと俺の体から自分の物ではない重みが去っていく。
「なーんて、冗談冗談。 ほら、はやく寝る準備しなきゃ。 明日は平日だよ?」
さっきまで体を駆け巡っていた色々なものが、少しずつしぼんで消えていくのを感じる。
なるほど冗談ね、最初から分かっていたよ。 本当だよ?
それにしても、これほど女性に恐怖したのは初めてだ。 陽乃さん史上としても最高の恐怖だぜ。
まさに腰が抜けたように立てないでいる俺に、恐怖の女は語りかける。
「あれ、まさか本気だと思っちゃった? やだなあ、さすがにみんなから強引に比企谷くんを奪っちゃうほどお姉ちゃん悪い女じゃないよ」
「いまはまだ、ね」
ようやく心も体も落ち着いてしばらく経った後、眠りの入り口に立ってもどうしても考えてしまうことがあった。
いまはまだ――、そのセリフが頭から離れない。
もしも。 彼女の中で何かが機を熟していたならば、あのあとどうなってしまっていたのだろうか?
少し考えてみたが、考えることをやめる。
なぜならば、この人に限ってはどの言葉も真実とは限らないし、「もしも」なんて考えるだけ無駄なのだから。
675 = 1 :
一日が終了しました
一日が終了しました
【本日の結果】
雪乃 ±0
結衣 ±0
一色 ±0
陽乃 +2
平塚 ±0
小町 ±0
川崎 ±0
相模 ±0
折本 ±0
城廻 ±0
【総計】
雪乃 +1
結衣 +1 (積極的)
一色 -1 (八幡の弱み あらぬ噂)
陽乃 +4
平塚 +1 (八幡の貞操観念に疑問)
小町 +2
川崎 +1 (結衣への嫉妬心)
相模 0 (THE勘違い)
折本 0
城廻 +4 (師匠)
八幡 存在感+1(綺麗な目)
676 = 1 :
またバカみたいな時間にいそいそと更新してごめん いったんここまでにする
くそ眠いけど今日も頑張るよ、みんなも頑張れ
678 :
素晴らしく面白い。乙
679 :
乙
はるのんすばら
681 :
必殺技……スクリュードライバーかな?
682 :
はるのんかわいすぎ
683 :
更新はよ
684 :
復活してたぁ、、、
685 :
そろそろエロをだね、いれてもいいんだよ?
686 :
ムンバムンバー
また遅くなってごめん、時間帯もひどいもんだが人いるかな?
やるよー
687 = 1 :
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
昨日は波乱の日だった、朝起きた時に自分の家じゃないと頭が混乱する外泊あるあるも久しぶりに経験したぜ
さて、夏休み前最後の週が始まるぞ
>>389
689 :
はるのんと花火デート
690 :
さきさきとお出かけ
691 = 1 :
また陽乃さんか……なんだってここ最近はこの人関係の安価が多いんだ。
まあなんにしても、今日は平日だし、花火デートをするにしても夜じゃないとダメだしな。
適当に約束を取り付けて、学校へいくとしますか。
「雪ノ下さん」
「ん? どうしたの?」
なぜ陽乃さんがそばにいる、と言いたいかもしれないがこれが言うところの叙述トリックである。
一旦区切りがつきこれといって明言はしなかったが昨日同じところに泊まったのだから今だって一緒にいるに決まっている。 そうだろう?
「花火デート、しませんか」
「え、お泊りデートの次の日に花火デートのお誘い?」
「……比企谷くん、やっぱりここ最近おかしいよね」
そんなこと、俺が一番分かっている。 だって俺の意志じゃないもの。
「そうですね……。 間違いなく変わってしまったと思います」
「まあいいや、にしても明日に花火大会なんてあったっけ?」
「無いと思いますけど」
「え、じゃあ花火デートってなんなのかな?」
「まあ、花火デートと言えば花火大会が王道でしょうけど。 僕が言ってるのはそこらへんで売ってるような花火のことですよ」
「久々に、子供がやるような花火をやるのも乙なものだと思いませんか?」
「……なにそれ、ちょっと面白いね」
陽乃さんは少しだけ笑みを浮かべながら言う。
さて、花火デートに誘うことは成功だ。 本来ならば鬼畜安価なはずなのに、こんなにスムーズに行ってしまうあたり、俺の成長が怖いよ。
※(6日目の夜の安価が陽乃との花火デートになりました)
***********************************************
名前:引きこもり大魔王 ********/**********/ID*****
花火デートということで、まことに勝手ながら安価は夜に持ち越させていただく所存でランナウェイ
そうなると朝の安価が無いので、もう一度安価をとろうと思う
あらためて、朝はどうしよう?
>>693
692 :
その流れで陽乃とデート継続
693 = 690 :
さきさきをチャリの後ろにのせて登校
694 = 1 :
比企谷八幡は、風になった。
そう表現してみると随分と恰好がつくが、現実はそうもいかない。
息を切らしながら、汗を垂らしながら、必死で自転車のペダルを漕ぐこの姿をみっともないと言わないのならばなんと言うのか。
本来の予定ならばホテルからそのまま学校へ向かうつもりだったのだが、たった一つの安価のせいでこのザマだ。
まあそれはいい、本当の問題はこのみっともない姿ではなく川崎沙希をどう説得するかにある。
どう考えても、無傷でそれを完遂することは不可能なんだけどな……。
******************************************************************
「おはようございまーす」
「えっ、ひ、比企谷……?」
というわけで俺は考えることをやめた。
もっと言えば考えることをやめざるをえなかった。 考えもまとまらないうちに、時間も川崎家への距離もなくなってしまったからだ。
「ど、どうしたの急に。 この前もこんなことあったよね?」
「ああ、あの時は悪かった。 朝っぱらから俺の勘違いに巻き込んじまって」
そういえばそんなこともあった。 あの時も、安価のせいで朝っぱらから川崎家まで自転車をブッ飛ばしたんだったな。
借りていたノートがどうとか、思いつきの作り話を駆使してコトをうやむやにしたが今回はそうもいきそうにない。
ならば、取り繕うことをあきらめる他に突破口はないだろう。
「今回は別にそんなんじゃなくて、まあなんだ。 ……後ろ、乗せてやろうか?」
「はい?」
「だから、二人乗りだよ。 ……偶然近くまで来たついでに、一緒に学校までどうかと思って」
「いや、それはいいんだけど……私も自転車だし、別に二人乗りじゃなくても」
「分かってないな、二人乗りじゃないと意味がないだろ。 遅刻するぞ、早く乗ってくれ」
「いやいや、なんの意味がないのさ」
「それは……俺にもよくわからないんだが意味がないんだ」
「なにそれ。 ……ハァ、わかったよ。 乗ればいいんでしょ」
「やっとわかってくれたか」
「分かってないけど、こうしないと終わらない気がしただけ。 アンタ最近頭おかしくない?」
「……」
何度でも言うが、そんなこと俺が一番わかっている。
695 = 1 :
もうしわけないまだキリの良いところまで行ってないけどここまでにする
朝パートはまだ続くので次はそこから再開する予定
697 :
乙でした
二人乗りをはるのんゆきのんに見られてしまって、
修羅場待ったなしに追い込まれるのですね
699 :
いつもよりも重いペダルを踏みながら、倒れてしまわないように強くハンドルを握る。
二人乗りは小町で慣れているつもりだったが、人が違うとこうも感覚が変わるもんなんだな。
別に、川崎さんが太ってるって言うわけじゃないよ? ただ、小町とは基本的な大きさが違うから、仕方がない。
「はあ、もう。 なんでこんなことになっちゃったんだろ」
「楽に登校できるんだから、お前としても悪い話じゃないはずだろ」
「そういうことじゃなくて……」
「それに、帰りはどうしろっていうの? 私自転車ないんだけど?」
「それもそうだな、じゃあ帰りも送ってやるよ、それでいいだろ」
「なっ」
「……もう、それでいいよ……あきれた」
あきれられてしまうのもごもっともだ。 行動も言動も、何もかもとち狂ってるわけだからな。
繋がらない会話を、一言二言交わしながら自転車を走らせていると、上り坂に差し掛かる。
一人であっても上りきるのに苦労しそうな坂なのに、後ろにもう一人のせて上らなければならないとはなんたる苦行か。
「ちょっと、大丈夫?」
「お、おお。 それなりに大丈夫、じゃねえ」
本当はここで強がらなければならないのだろうが、あいにく俺にそんな根性は無かった。 耳はすませられないなあ。
一漕ぎ一漕ぎに目一杯体重をかけるが、車輪が後ろへ下がろうとする力はどんどん大きくなっていく。
少しでも気を抜けば一気に後退してしまうだろう。 なんだが人生みたいですね。
震えだしそうな足に鞭を打ってペダルに大きく体重をかけたその時、俺を乗せた自転車が先ほどよりも軽く、強く前進する。
何事かと後ろを向けば、自転車から降りた川崎が俺の背中を押していた。
「……ほら、あと半分ぐらいだから……とっとと行くよ」
「……ああ、悪いな」
なんというか、その姿を見て一番最初に思いついた単語は『男前』であった。
それを言うとぶん殴られそうだから、この単語は墓場まで持っていくことにしよう。
後ろから押してもらっているため随分と楽だが、自転車で急な坂を上るには体力を多く消費する。
夏らしい身を焦がすような日差しもあって、汗が頬をつたって落ちた。 自分の貧弱さを実感するぜ。
「まじつらい」
「あんたが二人乗りで学校へ行くとかいうからでしょ」
「それもそうだな、ちょっと後悔してる」
「男ならちょっとは強がったらどうなの……あとちょっとだから、頑張れ」
頑張れ――。 そのセリフがどうも川崎のイメージに合わなくて、少し驚いてしまった。
どんな表情でその言葉を言ったのかは、前に進むことに手いっぱいで確認できなかったが。
やがて上り坂は終わり、目の前に今までよりも大きく空が広がった。
鮮やかな青にちりばめられた雲がゆっくりと流れている。 雲の動きに合わせるようにして、ゆっくりと息を整えた。
何気なく見上げる空とは、また違う空だ。
「はあ……大丈夫?」
「おう。 ちょっと堪えたけどな。 さ、乗った乗った。 早くしないと遅刻するぞ」
「誰のせいだと思ってんの」
「俺のせいだな。 だから次は俺のおかげで遅刻しないように頑張るさ」
「なにそれ、全然かっこよくない」
川崎は少し笑いながらそう言って、後ろにまたがる。
上り坂の後にあるのは、下り坂。 それは人生も地形も同じだ。
あれほど力強く漕いでも動いてくれなかった自転車が、今度は任せろとばかりにどんどんスピードをつけていく。
「ちょっとちょっと、スピード出しすぎじゃない?!」
「死なない程度にブレーキは掛けるから、心配すんな」
「そういう問題じゃないって!」
半ば叫びながら、川崎が俺の腰に手を回す。
恐怖なのか怒りなのか、その両手にはかなり力が入っていて少し痛い。
その反面背中には優しく柔らかい感触。 ん~、悪くないな。 このまま下り坂が学校まで続かないだろうか。
そんな馬鹿みたいな望みは叶わなかったが、その後は何事も無く遅刻せずに学校へ到着した。
何事もなくとは言ったものの、校門をくぐってから駐輪場へ向かうまでの視線はどうも痛かった。
さらに言えば、自転車を降りた直後の下り坂スピード事件に対する川崎の報復パンチも痛かったよね。
700 = 1 :
急に書き込んでそのままで申し訳ない
とりあえずちょっとキリのいいところまで進められたので次は昼の安価からかな?
不定期と言うことも憚られるほどの不定期でごめん、とりあえず変なところで終わることの無いように頑張るよ
余談、本文以外は短めにと思ってきて口を噤んできたんだけど、あるキャラのことを思う存分書くまでは終わりたくないのさ
長くなってしまったことは謝罪会見を開くからあんまりガミガミ言わないで、ガミガミはね……
みんなの評価 : ★★★
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