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    元スレ川内「好きの形」

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    152 = 1 :

    「もお!私が長女なんだよ?」

    「ふふっ、そうですね」

    形だけの長女が文句を垂れるが、それを笑いながら流すご機嫌な次女の方が長女らしいと思う。

    「……さぁ、食べようじゃないか」

    気を取り直してフォークを刺す。

    口に運んだ瞬間に甘いクリームが私の味覚を制圧し、それを追って甘酸っぱいイチゴが口の中で広がる。

    ……ふむ、中々いいのでは無いだろうか。
    スイーツに疎い私だが、このタルトは当たりだと思う。

    「ん!おいふぃい!」

    興奮のあまり川内が叫ぶ。

    「……美味しいです」

    神通も気に入ったようで、静かに笑った。

    「これ、売ってるのかな……」

    飲み込んだ川内は軽く立ち上がり、カウンターに目を向ける。

    「ん!あったあった」

    嬉しそうに笑う川内。

    「那珂にもあげたかったんだー……提督、よろしくね!」

    こちらに向き直った川内が一気に距離を縮めて来たので、つい私は後ろに仰け反った。

    「……近すぎ――」

    「お願いっ!」

    那珂とは異なった雰囲気の笑顔でねだる川内。近くで見ると、可愛さよりも美しさが際立つ。

    153 = 1 :

    「……まぁ、君たち含め川内型は特に頑張ってくれているからな。多少贔屓しても文句を言うものはいないだろう」

    はしゃぐ川内と、どこか安堵の表情の神通。彼女たちの仲は悪いわけ無いじゃないか。
    私は邪推してしまった自分を恥じた。タルトはその詫びとしよう。

    とはいえこのタルト、味もさることながら値段も少々する。
    ひとつくらいなら大丈夫だが、鎮守府全員分と言われた日には貯金を崩さざるを得なかっただろう。

    「…………ん!?」

    一人で安心してタルトをつついていた私だが、未だにカウンターを見つめる川内の小さな驚嘆の声に手を止めた。

    「大変だよ!全部無くなった!」

    「…………ん?」

    「えっと……姉さん?」

    「うわー……えー……」

    川内が慌てているのは私も神通もわかったが、話が見えない。

    「もう少し丁寧な説明は無いのか……?」

    「あっ、えっと……一人の女の子が買い占めた?」

    「…………」

    さっぱりわからない。

    154 = 1 :

    「……どれ」

    川内を無視しようとしたが、感嘆の声をあげ続ける彼女を見ていると気になってしょうがない。
    マナーが悪いことを承知の上で、私は振り返った。

    見えたのは、しゃがんでショーウィンドウを指差す男性と、その男性に容赦なく蹴りを入れる少女だった。

    服やズボン、更に帽子までも白で統一されていて、しかも服はスーツのような堅っ苦しさが感じられる。
    言うならば、ちょうど私が着ているものとそっくりで……

    「……………………おい」

    そっくりなんてものではない。どう見ても海軍の軍服だ。

    「……あれ?もしかしてあの人海軍じゃない?」

    「海軍?」

    気付いた川内の声に、黙々と食べていた神通の動きが止まった。

    私は彼を知っている。しかも上官だ。
    正直休日に関わりたいとは思えないのだが、ここで無視するのも後々面倒になってくる。

    「…………挨拶してくるから、暫く待っていてくれ」

    そう言って渋々ながら席を立つ。

    「全員分買って帰るのです」

    「ちょっ……それは流石の俺でも厳しいと言うかなんと言うか……」

    「ケチな男なのです」

    「えーーー……わかったよ。買えばいいんだろ?買えば」

    近づくと、彼らの会話が聞こえてきた。
    ……しっかり尻に敷かれているではないか。

    私は自棄になりながらも財布を覗く彼に声をかけた。

    「おはようございます」

    「ん?」

    顔をあげて私に向ける。先程まで話していた少女は、とっさに彼の後ろに回り込んだ。

    「おおー、奇遇だな」

    彼――元帥殿は、旧友に挨拶をするかのように軽く手をあげた。

    155 = 1 :

    「元帥殿も休暇ですか?」

    「ん……まぁ、そんなところだ。お前もか?」

    「ええ。今日は疲れが溜まっていると見越して、数日前に片付けておきました」

    それを聞いた元帥殿は、顔を少し歪めた。

    「…………なんと言うか……真面目だねぇ」

    私の生真面目さを吹き飛ばそうと思ってのことか、笑いながら私の肩をバシバシと強く。
    …………緩すぎる。これで我が国を守る軍の元締めだというのだ。我が国の行く末が心配である。

    「それにしても、お前がこんなところにいるとは思わなかったぞ」

    「……部下が来たいと頼んできたものですから」

    「俺もそんなところだ」

    「と言いますと……」

    そこで一旦言葉を区切り、元帥殿の影から顔を出す少女を見た。

    「ああ、この電ちゃんだ」

    名前を呼ばれた彼女はペコリと頭を下げすぐに引っ込んでしまった。

    というより、こんな年端もいかないような少女をちゃん付けする元帥殿に少し寒気を感じた。以前噂されていた『元帥殿はロリコン』はあながち間違いでは無いのかもしれない。

    156 = 1 :

    今日はここまで
    10日から諸事情で来れないかも知れません

    159 :

    乙ー
    ぷらずまの気配がする…

    160 :

    まだかなまだかな更新まだかな

    161 :

    待たせたな!(土下座)
    今夜投下します

    162 :

    了解

    163 :

    オウ、あくしろよ

    164 :

    待ってた

    165 :

    イベント等で投下できなかった>>1です
    時間が空いた(終わったとは言ってない)ので、久方ぶりに投下しようと思います

    以下投下

    166 = 1 :

    「…………そういえば」

    思い出した、というよりタイミングを見計らっていたような口ぶり。私は体を強ばらせた。

    「あっ、固くならないでいいから。ただ聞きたいことがあってな?」

    「……何でしょうか」

    「お前のところに、索敵機かなんかある?余ってるなら貸してほしいんだが」

    「…………はい?」

    元帥殿の頼みに私は耳を疑った。

    「……不足しているのですか?」

    「ん……まぁ」

    元帥殿は、ばつが悪そうに目をそらして軽く頷いた。

    「いや、厳しいならいいんだ。俺の個人的な理由だし」

    「はぁ……」

    あの元帥殿が珍しく辛そうな顔をしている。
    ふと顔を下げると、遠くを見る目をしていた少女がこちらを見返してきた。

    「…………今手元にありませんので、また今度でいいでしょうか」

    「……理由は聞かないんだな」

    「いくらあなたでも、軍の物を下らないことに使いはしない……でしょう」

    おそらくだが。

    167 = 1 :

    「ありがとう。今度受け取りに行くよ」

    安堵の表情で笑う元帥殿と、彼のズボンを握りしめる電と言われた少女。
    交互に見ると、どこか和やかな空気が溢れていた。

    「あ……」

    何かを言いかけて、声を出した電。
    伏せていた顔を上げ、私を見る。彼女はあからさまな作り笑いをして呟いた。

    「あ……ありがとうなのです」

    「……どういたしまして」

    元帥殿に索敵機を貸すことと、この子が礼を言うこと。どのような関係があるかは知らないが、私は笑ってしゃがみこむ。

    「あっ……」

    だが、私を見て彼女は1歩後ろへ下がってしまった。

    「…………怖がらせるつもりはなかったんだ」

    笑おうとするが、元来笑うのが苦手な私にとって作り笑いは難易度が高すぎる。

    「ごめんな」

    鏡を見なくとも、元帥殿の苦笑いからも想像がつく。少なくとも安心できるような笑顔では無いはずだ。

    「そのっ……電は……大将さんが怖いのでは無いのです」

    …………どうやら違ったようだ。
    気を使わせているのかとも思ったが、彼女は私に焦点を合わせて謝ったのだ。

    つまり私ではなく、私の後ろを見て怯えていたということに……?

    「大将さん」

    「……どうしたんだい?」

    元々小さめだった声を更に小さくして、彼女は私に囁いた。

    「あの二人、仲は良いですか?」

    そう聞いてきた。

    168 = 1 :

    あの二人……川内と神通のことだろうか。
    たしかに彼女の視界には、位置的に二人が入っているはずだ。

    「あぁ、ずっと共に戦ってきた姉妹だ。悪くなる理由など無い」

    「…………そう、ですか」

    歯切れの悪い返事に私は首を傾げるも、特に間違ってはいないはず。

    「…………なら、気を付けて下さいね」

    彼女は、願うかのように声を絞り出した。

    「電にはお姉ちゃん達がいました。とても仲は良かった……はずです」

    思い出すのも苦しそうに眉間にシワを寄せる。私はただ相づちを打つ。

    「でも、少しでも崩れ始めたら……取り返しのつかないことになってしまうのです」

    悟ったような言葉。見た目とのギャップが激しいが、不思議と馬鹿にできない何かを感じた。

    「…………肝に命じておくよ」

    謎の忠告は、何故かわからないが私の胸に深く突き刺さったのだ。

    「…………話は終わったか?」

    手持ち無沙汰だった元帥殿の声で私は立ち上がる。

    「長いことすみません」

    「いや、無理を言ったのは俺だ。珍しく電ちゃんも喋ってたことだし」

    「ではこれで」

    頭を下げて振り返る。
    私の視界に、私を睨む川内と神通が目に入った。

    169 = 1 :

    睨むなんてものではない。
    怒りをそのまま具現化したような顔つき。私も思わず硬直した。

    「……どうやら、放っておき過ぎたようですね。急いで戻ります」

    「……大将さん」

    下から少女の声がする。本能的に私の足は動かなくなった。

    「たぶん……あの人たちは大将さんに怒ってはいない……はずなのです」

    そんなはずはない。

    「じゃあ、誰にだい?」

    「おそらく……」

    答えを聞く寸前、硝子の割れる音がした。

    「お客様!」

    ウエイトレスが慌てて神通に駆け寄る。

    「で!ではこれで!」

    私はそのまま駆け足で彼女たちの元へ戻った。
    私の方を見すぎて、うっかり手を滑らしたに違いない。私はそう思った。

    170 = 1 :

    「大丈夫か?神通」

    目の前に広がる水。その中から硝子の破片を手早く集めるウエイトレス。

    「あの……お怪我は――」

    「大丈夫です」

    突き放すような冷たい物言いに、ウエイトレスの動きが一瞬止まる。

    「大丈夫ですので、戻って下さい。新しいコップもいりません」

    「失礼しました!」

    言われたウエイトレスは、すぐに立ち上がって厨房に入っていった。

    「……大丈夫か?」

    いつもの神通と違う。私はそう感じた。
    日頃から沈着丁寧な彼女とは別人の、冷酷な誰かに見えたのだ。

    「……えぇ、心配をおかけしてすみません」

    だが、私を見る神通はいつもの彼女だとた。

    「私、少し手が滑ったみたいで……」

    「危ないよねー……注意しなよ?」

    見ると、神通と同じく睨んでいた川内もいつも通りの笑顔を見せている。

    ……見間違いだったか?

    「そ、そうか。なら良かった」

    若干戸惑いながらも、下手な作り笑いで場を和ませる。
    どうやら杞憂だったようだ。

    「ちょっとよそ見してたせいですね……すみません」

    「い、いや……誰にでもミスはある。気にするな」

    そう。先程見たのは私の見間違いだったのだ。
    そう言い聞かせた直後。

    「…………ところで、あの少女は誰ですか?」

    再び、場が凍った気がした。

    171 = 1 :

    今日はここまで
    速吸ちゃんが可愛すぎて人生がはかどらない

    173 :


    そういえば神通のヤンデレスレが一つありましたね

    174 :

    >>173ありますねぇ
    正直期待しかしてません

    某神通スレ含め、ヤンデレスレは私の生きがいです(真顔)
    もっと増えても良いのよ?

    175 :

    どのスレだ

    176 :


    電は鋭いなぁ…

    177 :

    某作者の最新のウス=異本が大井っち物だと知ってテンションが大変なことになってます

    今夜照月を迎えてなお余力があれば投下します

    178 :

    ヤンデレ大好きな>>1のいうウス=異本のタイトルがわかってしまうのは、自分がヤンデレ好きだからなのだろうか……。

    179 :

    焼印とか目玉抉り出しの某アレですね分かります

    180 :

    悪月には勝てなかったよ……
    また一段落したら投下します。もし待ってくれていた人がいたら申し訳ない

    あの人の本は私のバイトルです。同志がいてくれて嬉しく思います


    話は変わりますが、誰かうまるちゃんのヤンデレssを書いてくれませんかねぇ…

    181 = 179 :

    >>私のバイトル
    ウス=異本が求人情報……だと……?

    182 :

    あくしろよ

    183 = 1 :

    >>181バイブルと間違えたんだよ言わせんな恥ずかしい

    185 :

    流石にバイトルは草
    今年トップ5に入る位笑った

    186 :

    お久しぶりです。お元気ですか?僕は元気です

    集中的に投下できると踏んでいた夏が過ぎてしまいました。これも全部防空棲姫ってやつのせいなんだ

    ひとまず今夜ちょびっとだけ

    187 :

    空母棲姫ってやつぁ許せんよなぁ!!

    189 :

    ドS水母とエンドレスラストダンスしてた俺提督は元気ではないです

    190 = 1 :

    嘘をつきました。元気ではありません
    ただ、防空棲姫の見た目はドストライクだったおかげかMに目覚めました

    以下投下

    191 = 1 :

    何かが背中を駆け巡っているような感覚。

    「………私はあの子、知らないのですが」

    純粋な興味と割りきることはできなさそうな雰囲気。
    正直、面と向かっていられるとは思えないほどのプレッシャーを感じた。

    「その……だな。あの人は元帥殿の部下だ」

    秘書艦は別にいることは知っている。元帥殿は、単に保護者として来ていたのだろう。

    「…………そうですか」

    答えてもなお真偽を問うような鋭い視線が突き刺さる。どうやら納得のいく答えでは無かったようだ。

    「…………提と――」

    「じ、神通!ダメでしょ!」

    何かを言おうとした神通の口を川内の手が塞いだ。

    「ゴメンね提督。神通、なんかちょっと疲れてるみたいでさ」

    「…………え?い、いや……そこまで気にしていないからいいんだが」

    ……なんだ?ただ疲れていただけか?それならいいのだが……
    感じる迫力は、ただの疲れから来る苛立ちとは異なったもののような気がする。

    「疲れてるんだよ!ね?」

    相づちを求める川内。
    強引にも見えたが、しだいに神通の目の色は元に戻った。

    「…………そうかもしれません。取り乱して申し訳ございませんでした」

    落ち着いた彼女は、普段通りのおしとやかさを纏って小さく頭を下げた。
    それはまるで、瞬時に別人と入れ替わったかのような変化だった。

    「……君が謝る必要はないだろう」

    そんな彼女を見て、かえって私も落ち着きを取り戻せた。

    「……そうですね」

    ぎこちなくも、噛み合っていなかった歯車が動きだした。

    192 :

    「……さて、そろそろ店を出ようか」

    気を取り直した私は二人の皿を見て切り出す。彼女たちも異論は無いようだ。

    「そろそろ昼御飯も食べたいしね」

    「……そうだな」

    私のミスとはいえ、喫茶店と外食……これはとんだ出費になりそうだ。

    「……大丈夫ですか?顔色が悪いように見えますけど」

    心配したのか、立ち上がった神通が私の頬に手をそっと添える。

    「なんでもないさ」

    「あっ……」

    これ以上彼女に心配させるまいと、私は気丈に笑ってその手をどかした。
    手が触れ合った瞬間小さく声を漏らした気がしたが、気のせいだろう。

    「まぁ、提督がこんなとこに来なければ出費は軽くなっただろうにねー」

    先にレジに向かって歩いていた川内が振り返ってニヤリと笑った。

    「……痛いところを突いてくるな」

    そもそもここを間違わなければ良かったのだ。もとを辿れば私の身から出た錆とも言えよう。

    「……なぁ、このまま戻って食堂で――」

    「えー!そんなのやだよ?」

    「……わかってはいたがダメもとで訊いただけだ」

    「びっくりさせないでよ。普段から冗談言うタイプじゃないん……ん?神通は?」

    はっとして振り返ると、彼女は未だテーブルの横に突っ立っていた。
    何やら右手が気になるらしく、口づけをしそうなほど顔に近づけていた。

    「……神通?」

    「!!!はっ、ひゃい!!」

    飛び上がるように体を震えさせた彼女は小走りで向ってきた。

    「なんだ――」

    なんだったのだろうか。川内にそう聞こうと振り向いたが、それより速く彼女が手を強く握ってきた。

    「……どうしt――」

    「すみません、ついぼーっとして……」

    急いだからか若干顔が赤い神通が追いついた。
    色々と聞きそびれたが、とくに問題はないだろう。

    こうして支払いを終えて店を出た私たちは、再度飲食店を求めて街を練り歩いたのだった。

    193 = 1 :

    「……ふぅ」

    結局あのあと、みつけたファミレスで昼飯にありつけた頃には13時前で、食事を終えた私は彼女達……厳密に言えば川内に付き合って街を見て回ったのだ。
    一日中歩き回ったせいか、玄関をくぐったとたんに脱力感が押し寄せてきた。

    「ただいまー!」

    「ただいま戻りました」

    川内は私の分も合わせたような大声で帰ってきたことを伝え、神通もその後ろから間髪を入れずに控えめに口を開いた。

    「おかえりなさい」

    川内は挨拶もそこそこに、廊下を一人歩きだした。
    その彼女とすれ違い、わざわざ出迎えてくれたのは伊良湖だ。時間からすると夕食の支度をしてくれていたのだろう。

    「あぁ……ただいま」

    一息つけた私も、遅れながら挨拶をした。

    「あら……提督も出掛けていらしたんですね」

    口に手を当てて目を丸くする彼女からするに、私が出掛けていたことを知らなかったらしい。

    「………………あぁ」

    もしかすると、私たちの分の昼食も作ってくれていたのかもしれない。

    「悪いことを……」

    「提督?如何いたしましたか?」

    キョトンとした顔で私を見る神通は、私を心配してるようだ。

    「……いや、なんでもないよ」

    気を持ち直した私は、玄関からようやく足を動かし始めたのだった。

    194 = 1 :

    「そろそろ夕食か?」

    歩きながら並走していた伊良湖に尋ねる。

    「はい、ちょうど先程出来ました。本日は冷しゃぶですよ」

    「……なら、そのまま食堂に行こうかな」

    遅めに食べたはずが、そのあとのウィンドウショッピングですっかり腹が減っているのだ。
    この仕事に就いて歩き回って腹が減るとは考えもしなかった。

    「私は先に浴場に行ってきますね」

    「ん……いいのか?」

    神通も疲れているのでは?そう思ったのだが、彼女は私を困り顔で睨んできた。

    「…………お、」

    「……どうかしたか?」

    「……女の子には、色々あるんですっ!!」

    そう言うなり、彼女は私の横を勢い良く通りすぎて行った。

    「なんだ……」

    気を悪くしたのか、彼女は数メートル先の自室の扉を少し雑に閉めた。

    「もうっ!ダメですよ?デリカシー無さすぎです!」

    助けを求めた視線の先には、顔を膨らませる伊良湖がいた。

    「そ、そうなのか……言い訳にもならないが、私はそういうことは苦手でな……」

    昔も良く怒られたものだ。あんたは女心がどうとかこうとか。このままでは一生理解できそうにない。

    「あとで謝ってあげて下さいね?」

    「……了解した」

    私がそう言うと、伊良湖は満面の笑みで頷く。

    「では、提督の分を準備しますね」

    伊良湖は再び前を向いて歩きだした。許してくれたらしい。黙って彼女のあとに着いていくことにした。

    「…………あっ!」

    だが、伊良湖は突然声を出して足を止めた。あとに続いていた私の足も釣られて止まる。

    「そうです!言いたいことがもうひとつありました!」

    「……どうした?」

    振り返ってずい、と寄ってくる彼女を手で抑える。

    「提督と那珂ちゃんのお昼御飯のお盆、早く返してくださいね?」

    195 = 1 :

    今日はここまで
    速吸ちゃんと夏祭りに行ったところを大井っちに見られたいだけの人生だった

    197 :

    待ってたよ乙

    198 :

    おつ

    二人分のお昼を持って虚ろな目でさまよう那珂ちゃんェ……。

    199 :

    お久しぶりでございます
    今夜投下しようかと


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