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元スレ夕立「恋情は見返りを――」提督「求めない」
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長門「それから……」
長門「さっきは殺せなどと言ってすまなかった」
提督「いいさ。長門は正しいよ」
長門「っ…………」
提督「……それで、話とは?」
赤城「少しお尋ねしたいことがありまして」
提督「赤城か」
提督「もしかして、強襲揚陸に関連することか?」
赤城「!」
加賀「……気づいていらしたのですか?」
提督「加賀。おそらく君が視ただろう連中からの報告があった」
提督「覗けるということは、同時に覗かれることも意味するからな」
加賀「なるほど」
長門「赤城と加賀から話を聞いた」
長門「帰投後の提督の報告には虚偽があり、“深海棲艦は陸上からやってきた集団に白兵戦によって討伐された”とのことだ」
長門「……本当なのか?」
提督「間違いないな」
響「そして司令官は、夕立を単身で制圧したとも言っていた。加えて今の発言からも、その集団とは繋がりがある、ということだね?」
提督「ああ」
加賀「提督。あなたは、何者……?」
提督「…………」
提督「私は、ここに着任する以前、陸軍に身を置いていた」
赤城「陸軍……」
金剛「But,私たちが知っているArmyは……」
加賀「そうね。私が視たその陸軍の士官たちの動きは、およそ人間業ではなかったわ」
提督「確かに。かつての陸軍は銃火器では戦っても、優先的に刃物で戦ったりはしないし、艦娘や深海棲艦を圧倒するほどの身体能力などなかったのだろう」
提督「だが、それが俺たちだ」
金剛「……!」
響「でもそれだけの技能があるなら、それは勿論行使されているということだね?」
加賀「……あなたたちは、何と戦ってるの?」
提督「人ではないもの……」
提督「大樹と呼ばれる、化物たちだ」
響「……大樹」
提督「今、陸の広範囲は森に覆われている。大樹と呼ばれる樹状の何かが、群れを成して人類の活動領域を海側へと追い立てている」
提督「こいつらに対抗する戦力が、俺たち、陸軍だ」
長門「……人々は、どうなっている?」
提督「戦いながら生きているよ。数は少ないのだろうが……」
赤城「そんな…………」
加賀「なぜ、私たちには知らされていないの?」
提督「俺も今まで“なぜ知らせてはならないのか”を知らなかった。が、それはつまらない理由だったよ。可能なら、話したくはない」
加賀「…………」
金剛「提督は、私たちからの連絡を受けた段階で、陸軍の部隊を要請したのデスネ?」
提督「その通りだ」
長門「そして夕立を…………」
提督「ああ……」
一同「…………」
響「………………それでも私たちは、戦い続けなければならない、と」
提督「無論だ」
響「私は絶対に、逃げないよ」
提督「!」
響「私にも、かつて守りたいものがあった」
響「私は私の役目を終えて、海の底に、眠った……」
響「そして今、再び必要とされて存在してる」
響「私は思うんだ」
響「今がいつだとか、此処がどこだとか、そんなことよりも……」
響「今、此処に、私が在るということを大事にしたい」
響「私は私自身によって、自分の生に意義を与えたい。そう、思う」
響「だから私は、私自身のために、そして私と関わるすべての人のために、戦い続けるよ……」
長門「響……」
加賀「ええ」
赤城「間違い、ないですね」
金剛「私も、みんなには負けないネー!」
提督「……みんな、ありがとう」
提督(お前たちの意志は、決して嘘偽りなんかじゃない)
提督(夕立…………)
――――――――――
―救護室―
提督「失礼する」
救護妖精A「かんむすさんとにんげんさーん!」
救護妖精B「おみまいだー」
提督「夕立……」
提督「…………治療は、まだか」
救護妖精A「かんむすさん、おきあがれませぬゆえ」
提督「!」
提督「これで治っていると……?」
救護妖精B「なおしましたが?」
提督「……確かに、欠損どころか傷ひとつ見当たらないが…………」
提督「だがなぜ目を覚まさない?」
救護妖精B「へんじ、ないです」
救護妖精A「ひきこもりですな」
提督「夕立…………」
提督(やはり、こうなったか……)
長門「提督……」
提督「一旦、出よう……」
ガチャ
提督「みんなに、お見舞いに来てもいいと伝えて欲しい」
提督「もし夕立が目覚めたら、すぐに連絡してくれ」
金剛「提督は?」
提督「私は、少し考えたいことがある……」
提督「夕立の処遇を決定した段階で私の口から本件の説明はするが、他の艦娘に聞かれても答えてしまって構わない」
提督「隠せるものでもないからな」
提督「まだ入渠を済ませていない子も多いだろう。今は身体を休めることを第一に考え、待機していてくれ」
長門「了解した」
スタスタ
長門「あの様子だと、諦め切れていないのだろうな……」
響「司令官には少し、時間が必要なんだと思う」
加賀「今は私たちがみんなの不安を取り除きましょう」
響「そうだね」
赤城「金剛さん、何処へ?」
金剛「……夕立の部屋に、お花を飾ろうと思いマス」
赤城「私も、手伝いましょう」
――――――――――
―司令室―
提督「…………」
提督(今まで俺は、何のために戦ってきた……?)
提督(人類の生活圏の確保……。当然のことだ。初めはずっと楽なものだった)
提督(戦いと呼ぶには随分と一方的で、自分たちの活動の先に人のより大きな未来があると信じて疑っていなかった)
提督(だがあの事件以来、大樹の侵食速度は劇的に拡大した。それからだ。俺の戦いが始まったのは……)
提督(そこからだ)
提督(信頼に足る仲間を、失うことになったのは…………)
提督「くそっ!!」
ダン!
提督(なぜだ…………どうしてなんだ………………)
提督(いや……)
提督(わかっている…………)
提督(仲間を亡くしたなら、俺がより強くなれば良かった。誰かが弱ければ、俺が鍛えれば良かった)
提督(そこに在ったのは単なる力と技巧だ。大樹は地を喰らい人を侵し、俺たちはそれを狩る)
提督(過誤は常に因果的に説明出来た。責の在り処は、己が引き受ける。ならばやることは単純だ)
提督(“明日”に生きるために、“今”の己を変えてゆく)
提督(だが…………)
提督「夕立……」
提督(そもそも俺は、お前を救うことが出来たのか…………?)
提督(もっと他の方法があったのか)
――違う。
提督(或いは、こうなるより以前に、解体を)
――――違う!
提督(俺はお前を救えなかった…………)
提督(わかっている……。でも、なぜ……?)
提督「…………………………」
提督「ああ…………。そうか……」
提督(俺は、夕立を…………)
提督(どうしようもなく、救いたかったんだ)
提督(そして、今も………………)
提督(だから、か……)
提督(だからなのか)
提督(この、わけのわからない、“これ”は…………)
提督(結局、解体すれば良かったのだと、そう結論を下せないのは――)
提督(それだけ、共にいたことを大事に想っているからだ)
提督(それなのに)
提督(彼女と過ごした時間は紛れもなく本物だったと、そんなささやかで当たり前の認識すら揺らがされて……)
提督(……深海棲艦。貴様らは…………)
提督(夕立の、最も大切な、心を)
提督(その“聖域”を)
提督(侵略した)
提督(人類の未来? さらなる繁栄?)
提督(戦いにそんな大義名分はいらない。俺は俺自身のために)
提督(深海棲艦を――――)
「滅ぼす」
提督「………………」
カチャ
提督「今、いいか?」
ピー
陸軍大将『どうした?』
提督「深海棲艦の同時襲撃事件について、おおよその真相を掴んだ」
陸軍大将『そうか。だがそれは私の管轄ではないが?』
提督「あの男には報告したくない。気に食わない」
陸軍大将『どうするつもりだ?』
提督「こちらの判断で一切にケリをつける。協力して欲しい」
陸軍大将『内容を言ってくれないことには判断しかねる』
提督「端的に言って、艦隊内に内通者がいた。だがこの子をあの男の元に引き渡したくはない」
陸軍大将『……お前が一個人にそこまで執着するとはな』
提督「これは俺の問題だからだ。彼女の扱いに関しては俺が判断を誤った。だから俺が始末するまでだ」
陸軍大将『御託はいい。それで?』
提督「解析学者を紹介して欲しい」
陸軍大将『何だと?』
提督「深海棲艦によって鹵獲された艦娘が人格構成のプログラムを書き換えられ、出撃中に情報を送受信し、今回の事件は起こった」
提督「そして深海棲艦の命令が艦娘に影響を与えたのだとすれば、向こうはそれを翻訳する術を持ち合わせているはずだ」
提督「ならば当然、レシーバーとなる艦娘にはその翻訳プログラムが、奴らによって植えつけられていることになる」
提督「こいつを解析させる」
陸軍大将『本気か? 自分の部下である艦娘を、被験体として研究に差し出すなどと……』
提督「だから言っただろう。これは俺の問題だと。そこに、余計な感情など……ない」
提督「だが何から何まで引き渡すつもりもない。解析には俺も立ち会う」
提督「深海棲艦の解析の成果は芳しくないそうじゃないか。ここまで協力すると言っているんだ。是非もないはずだが?」
陸軍大将『それだけの大義名分があるなら、元帥殿の許可は通るはずだ』
提督「なら、あの男にはこう伝えておけ。余計なことをすれば今すぐに貴重な被験体を殺すとな」
提督「実際のところ、殺さずに捕獲するのは結構骨が折れたんだ。これが軍組織なら勲章ものだろう」
陸軍大将『なるほどわかったよ。そこまでの覚悟があるというなら、いいだろう。手配してやる』
提督「恩に着る」
陸軍大将『研究者はお前が配属された鎮守府から直近の鎮守府にいる』
陸軍大将『陸路に関しては問題ない。陸軍の手が充分に入っている場所になる』
陸軍大将『艦隊はどうするつもりだ?』
提督「艦娘に引き継がせる」
陸軍大将『ならばそちらは任せた。今すぐデータを送る。健闘を祈るよ』
提督「ああ」
ツー
提督(……夕立の機能障害は妖精に“故障”や“欠陥”として認識されなかった)
提督(彼らに頼るのはもう無理だ。後は直接解析すれば、夕立を治療出来るかもしれない……)
提督「ふ…………」
提督「俺も少し、疲れたな……」
―――
――
―
今宵はここまで。
まさか1ヶ月も費やすとは思いませんでした。
またしばらく忙しそうなので投稿しました。本当はもう少し進めたかったです。
次回はエロパート。多分R-18になるので注意。
更新日は未定。とりあえず月末を目標で。
まさか1ヶ月も費やすとは思いませんでした。
またしばらく忙しそうなので投稿しました。本当はもう少し進めたかったです。
次回はエロパート。多分R-18になるので注意。
更新日は未定。とりあえず月末を目標で。
お疲れ様です。
何だか2週間前が2ヶ月くらい前のことのように思えます。
次の投稿は9月10日までに何とか目処を立てます。よろしくお願いします。
何だか2週間前が2ヶ月くらい前のことのように思えます。
次の投稿は9月10日までに何とか目処を立てます。よろしくお願いします。
お疲れ様です。
進捗ダメです。ごめんなさい。
書き溜め自体は約30レス分ありますが、それらは更新すべき箇所からの直近の記述ではないため投稿出来てない感じです。
所謂、書きたい所から書くというヤツの弊害ですね。
私事は現在恐ろしく充実していますが、SSを書く上で忙しさとは敵でしかないでしょう。
既に今月中の更新は厳しそうです。が、もう少し頑張ってみます。
進捗ダメです。ごめんなさい。
書き溜め自体は約30レス分ありますが、それらは更新すべき箇所からの直近の記述ではないため投稿出来てない感じです。
所謂、書きたい所から書くというヤツの弊害ですね。
私事は現在恐ろしく充実していますが、SSを書く上で忙しさとは敵でしかないでしょう。
既に今月中の更新は厳しそうです。が、もう少し頑張ってみます。
―早朝・司令室―
提督「全員……揃ったか」
提督「実は、だな……」
提督「夕立に関する問題で、しばらく鎮守府を空けることになった」
提督「今後の方針が決まり、状況の整理もついたので、今までのことについてすべて説明させてほしい」
提督「その前に、ひとつだけ……」
提督「……本当に、申し訳ない」
一同「…………」
天龍「顔を上げてくれよ提督」
天龍「話は、全部聞いてるぜ」
天龍「オレたちの気持ちはもう決まってる。なぁ?」
吹雪「はい!」ニコ
天龍「行ってこいよ! 今更、水臭ぇな」
提督「天龍……。みんな……」
提督「不在時の監督は……」
長門「私か?」
提督「長門……」
長門「夕立に代わって旗艦を任されてしまったからな。あれはまだ、生きているのだろうな?」
提督「あ、ああ……その通りだ。長門と、響。2人に頼もうと思っていた」
長門「そのことなんだが……」
長門「私と金剛に、この鎮守府を任せてほしい。我々も、提督が出向くことを承認する」
長門「但し、1つだけ条件がある」
提督「条件……」
長門「響」
響「ん……」
響「司令官、私も連れて行ってほしい」
提督「!」
響「………………」ジッ
提督「………………」
響「2人が、心配なんだ」
提督「そうか……。わかった、いいだろう。こちらも、それで承認する」
提督「金剛、長門。後のことは、頼んだぞ。具体的なマニュアルは私の机に纏めて置いてある」
長門「任せろ」
金剛「大丈夫デース!」
提督「みんなも、頼む」
吹雪「司令官!」
提督「?」
吹雪「夕立ちゃんを、どうか……!」
提督「ああ」
提督「必ず、連れて帰ってくる」
―――
――
―
―研究施設正面―
提督「着いたぞ」
響「……」コクン
提督「夕立を、降ろしてあげよう。手伝ってくれ」
響「わかった」
ガシャン
??「ようこそ」
提督「どうも、初めまして。あなたが、この鎮守府の司令官……」
??「そんなに畏まらなくて結構よ」
榛名「私のことは榛名と呼んでくれていい。気楽にいきましょう」
提督(ハルナ……?)
榛名「……そう。あなたが、あの鎮守府に……」
提督「なにか?」
榛名「いえ、あそこの提督とは以前交流もあってね。少し思い出しただけよ」
提督「私の前任者のことか?」
榛名「そうね……。ま、いいわ」
榛名「被験体はそちらのエレベーターから3階に上がって直近の部屋に運んでおいて」
榛名「私は、あなたと、少し話がしたい」
提督「響、頼めるか?」
響「大丈夫。私は、夕立と部屋で待ってるね」
榛名「狭いから、私たちは階段を使いましょう。案内するわ」
―司令室―
ガチャ
提督「!」
提督(大和型……)
榛名「適当に掛けてくれていいわ」
榛名「まずは自己紹介といきましょうか」
榛名「はい、名前だけ、名乗って」
??「え? アタシから? えと……」
北上φ「北上様ですよーっと」
加賀δ「加賀よ。……あなたも提督なら、『加賀』くらいは見たことがあるのでしょう?」
加賀δ「私の構成確率は、極端に低くはないのだし、名乗る意味なんてあるのかしら?」
榛名「形だけ」
北上φ「ちょっとちょっとー。そんなこと言われたら私の立つ瀬がないじゃないのさー」
北上φ「一体今までに何人の自分を見てきたことやら……」
北上φ「みんな改修に回されちゃったけどさー。まあ、仕方ないよねーあはは!」
提督「…………」
武蔵「戦艦、武蔵だ」
大和ζ「大和です」
利根η「利根じゃ。……おやすみなさい」
武蔵「客人の前だぞ。寝るなみっともない」
利根η「んぅー」
翔鶴「翔鶴です。あの、何だか騒がしくて、ごめんなさい」
提督「……随分手厚い歓迎だな。物凄い戦力だが、私に誇示する意味はないぞ」
榛名「彼女たちは飾りではないわ。その話もこれからしましょう」
提督「しかし、こう言っては失礼だが、歴とした提督なんだな、君も」
榛名「…………」
提督「君は、元艦娘だろう?」
榛名「ええ、そうね。元艦娘……と呼ぶべきなのかしら? まあ艦娘でなくなったわけではないけれど」
提督「そんな君が、研究を?」
榛名「その通り。でも別に不思議がる程のことでもないでしょう。これも1つの復讐のカタチよ……」
榛名「私の、大切な友人を奪った、奴らへの…………」
提督「……」
榛名「さて、早速本題に移りたいのだけど……」
榛名「私の昨今の研究はほとんど深海棲艦の性能研究にシフトしている」
榛名「というのも、あなたもご存じの通り、生態研究は完全に停滞しているのよ」
榛名「あいつらの個体の情報障壁を突破出来なくてね」
榛名「一応エフィメラも使ったんだけど、根本的に互換性がないらしくて、エラー吐き出しちゃって打ち止め」
提督「エフィメラを? 誰でも使用出来るものなのか?」
榛名「まさか! あんなの最高レベルの機密に決まってるでしょう」
榛名「現行の海軍元帥が管理しているし、彼の部隊しか使用権限はないわ。回線も割り込めないようにプロテクトが施されてるし、私が特別なだけ。成果を認められてアクセス権限を与えてくれたけれど」
榛名「ともかく、この不可解な状況から推察するに深海棲艦は一見、私たちの言語体系から完全にスタンドアローンな構成に基づいて活動しているように思えるけれど、どうもそうでもない」
榛名「というか、それはあり得ない」
提督「…………彼らが人類の言葉を、理解しているから?」
榛名「へぇ。報告にあったことは本当みたいね。それとも単に、あなたの頭がいいだけ?」
提督「奴らは艦娘の人格構成に割り込める」
榛名「ええ。あなたたちが遭遇した状況については私も概ね理解しているつもりよ」
榛名「でもこちらからは割り込めないの。このことはおそらく、彼らを“産み出した者たち”の言葉が、それほどまでにこちらから遠いということなのでしょうね」
提督「妖精とは別の……?」
榛名「そう。そして、そこには何かカラクリがあるはず」
提督「なるほど」
榛名「あなたが私と同じ結論に辿り着いたことは後で確かめさせてもらうけれど、私があなたと同じ結論に辿り着いた根拠も、あなたに示すべきだと私は考えるわ」
榛名「見せたいものがあるの。ついてきて」
榛名「大和たちも」
大和ζ「はい」
――――――――――
―部屋―
ゾロゾロ
提督「ここだけ、作りが頑丈だな」
榛名「大事なものだから、ね」ニヤ
ガチャン!
榛名「どうぞ、入って」
榛名「ここが私の、コレクションルームよ」
スタスタ
提督「これは…………!」
榛名「大丈夫。何かあれば、大和たちが動くわ」
榛名「それに、こう見えて、艦船形態には容易に移行出来ないように細工が施されているの」
戦艦タ級「ア……」
戦艦タ級「……今日ハ、何ノ用?」
榛名「あなたたちの存在を紹介しておきたい方がいてね」
戦艦タ級「随分モノ好キナ輩モ、イルンダネ……」
戦艦タ級「……見ナイ顔。オマエガソウナノ?」
提督「ああ。貴様らから情報をもらいに来た」
戦艦タ級「トンダ無駄足ヲ……。御苦労サマ」
空母棲姫「……ナンダ騒々シイ」
榛名「あら起きたの? おはよう」
空母棲姫「チッ……。寝カセテクレ、眠インダ」
榛名「つれないわね。ふふ……。また久しぶりにあなたをいじめてあげたいのだけれど」
空母棲姫「死ネ、失セロ。淫魔メ」
榛名「この子を捕えるのは大変だったわ」
榛名「でも苦労した分、とても気に入っているのよ?」
空母棲姫「穢ラワシイ、触ルナ……」
榛名の手が磔にされた空母棲姫の胸に伸びる。
そのまま彼女は棲姫の乳房を鷲掴んだ。
空母棲姫「グ……ッ」
榛名は爪を立てるようにして、強く指を食いこませ揉みしだく。
棲姫の顔が苦悶に歪む。
榛名「うっふふ! 痛かったよね、ごめんね? 今、優しくシテあげる」
空母棲姫「ヤ、メ…………」
そう告げると榛名は、棲姫の右耳をしゃぶり始めた。
榛名「はむっ……ん…………ちゅ……ぁ…………ちゅ……」
耳から首筋、鎖骨へ、時折歯を立て淫猥な音を奏でながら愛撫していく。
襟元を払い除け、棲姫の豊満な胸を露わにしたが、榛名の手は脇と腹を行き来するばかりで、胸に触れない。
空母棲姫「ウッ…………ク……フ、ゥ…………ン……」
榛名「あは。そんなに身体を捩って、どうしたのかしら? くっふふ」
榛名「大丈夫。口でシテあげるから」
そう言うと榛名は乳首にしゃぶりつき、棲姫の纏う布切れの上から秘部をなぞり始めた。
棲姫の指先と足がビクつく。
徐々にその呼吸にも熱を帯びていく。
空母棲姫「ハァ……ハァ…………ァ……ハ」
榛名「どうして脳はくすぐったさと性感を誤認するのだと思う? 興味深いテーマだと思わない?」
空母棲姫「ゥ……フッ……ハ…………ァ……グ」
榛名「あはは! 口ではあんなこと言ってたけど内心期待してたでしょう? 少し濡れ過ぎ……」
榛名「今から直接、いじってあげるわ」
??「見苦シイカラヤメナヨ、雌豚」
榛名「」ピク
??「オヤァ。脳足リンノ淫獣デモ僕ノ言葉ハ通ジルヨウダ。キャハハッ!」
榛名「……チッ」
榛名「前も途中で邪魔してくれたわね。本当に、お前を捕えてからいいことがないわ、レ級」
戦艦レ級「マータソノセンスノ欠片モナイ名前デ僕ヲ呼ンデクレテ光栄ダヨ提督。オナニーナラ自室デスルノガ賢明ダ」
榛名「この子と過ごす時間を台無しにしてくれて、ありがとう」
提督「なんだ、こいつは?」
榛名「戦艦レ級。南方に出現した強力な深海棲艦ね」
提督「……こいつらに、拷問を?」
戦艦レ級「ハハ。僕ハ痛ミヤ苦シミナンテ、ソンナ高尚ナモノニ支配サレテハイナインダヨ」
榛名「何度かやってはみたけど無駄だった。見ての通り、捕えられる船はすべて鹵獲して、戦闘データに役立てるくらいしか今は出来ることがなかったのよ」
戦艦レ級「デモ君、僕ノ上位種ト大戦艦共ヲ、マダ捕マエラレテナイヨネ? 無能ダヨネェ?」
榛名「ッ!」
ガッ!
戦艦レ級「ガァッ!」
ゴス!ガスッ!バキッ!
戦艦レ級「グッ、ギ。ギヒヒッィ! イーヒヒヒヒヒッ、イィーヒッ! アー、オ腹痛イ! 苦シイヨホホホホォッ!!」
榛名「糞が……」
大和ζ「……いい加減、一遍殺してやりましょうか?」
榛名「いつものことじゃない。もう耐えきれなくなったの?」
大和ζ「いえ……」
加賀δ「少しは捕まってしまった自分の無能さを、呪ってみてはどうかしら?」
戦艦レ級「ハッ! 僕ノ代ワリハ幾ラデモ存在スルシ、何ヨリ僕ガ捕マッタナラ他ノ同種個体モ例外ジャナイ……」
戦艦レ級「僕ニ責任主体ヲ求メラレテモ困ルンダヨ。相変ワラズ発想ノオメデタイ女ダナァアハハァ!」
北上φ「痛み苦しみには、支配されてないんじゃなかったのー?」
戦艦レ級「ケヘッヘヘヘヒッ! 君ラ10秒以上モ前ノコトモ、チャント覚エテイラレルンダネェ! 天才的頭脳ダァ!」
ゴッ!ガッ!ゴスッ!
戦艦レ級「アヒィ! アーッ! ダレカダスゲデェ! 笑イ死ヌゥウ゛! 息ガァハハッ! ハヒィ―ヒヒヒッ!!」
北上φ「ホーントむかつくわぁ、コイツ」
翔鶴「……蹴るだけ無駄よ」
武蔵「くだらん」
利根η「すぅー……くー。すぅー……くー……」
戦艦レ級「ウォッホホホォヒヒヒヒッ!! グッ、オエェェ……」
榛名「…………見ての通り、彼らは私たちの言葉を解するの。でも肝心なことは今まで何もわからなかった……」
榛名「出ましょう」
お疲れ様です。
キリは悪いですが今宵はここまで。
更新遅すぎですが、何とか頑張ります。
次もいつになるかわかりません。ただ投稿量は少なめでいこうと思います。
ごめんなさい。
キリは悪いですが今宵はここまで。
更新遅すぎですが、何とか頑張ります。
次もいつになるかわかりません。ただ投稿量は少なめでいこうと思います。
ごめんなさい。
ガチャン
スタスタ
榛名「あら?」
提督「!」
??「あ……」
榛名「どうしたの、榛名? 演習は終わった?」
榛名γ「ぁ、はい……。お疲れ様です。無事終了致しました」
榛名「そう。報告書、忘れずにね」
榛名γ「はい。失礼、致します……」
榛名γ「……」チラ
提督「?」
榛名γ「ぁ、ぅ……」
タッタッタ
提督「……」
榛名「部屋に戻るわ」
提督(…………同じ顔、同じ名)
提督(なるほど確かに、異常空間だな)
―司令室―
榛名「大和以外は別室で待機」
榛名「予定通りに。何か不都合があれば陸奥と調整してちょうだい」
北上φ「りょうかーい」
ゾロゾロ
ガチャン
榛名「はぁ……」ギシ
ジュッ
榛名「すー…………」
榛名「ふぅ……」
榛名「あなたも、1本どう?」
提督「結構だ」
榛名「あら残念。ま、おヤバイ草も入れてあるけど、ふふふ……」
提督「大丈夫なのか?」
榛名「当然でしょう。艦娘は内分泌系も循環器系も神経系も、その個体の意志の制御下にある。自覚的に操作出来るよう指導も行うけれど、大抵の子は無意識にやっているようね」
榛名「それだと効果が薄いから、付き合いの長い訓練された子には私から教えているけど。無論、エタノールの血中濃度なんかも、例外ではないわ」
提督「化合物を体内で生成することは?」
榛名「出来なくはないけど、操作は面倒だし、それに……」
榛名「草を乾かして巻いて火をつけて吸う。そういう一連のプロセスや所作に価値を感じなくもないのよ」
榛名「特に、私たちは自らの肉体に対して全能に過ぎるから、外的な影響や固定された様式によって敢えて自分を規制したくなる。そういう欲求はあるかもしれないわね」
提督「…………」
榛名「いずれにせよ、あの憎たらしい悪魔に茶々を入れられた以上、酔いでもなければ憂さは晴れないわ」
提督「酩酊などなくても、意志でどうにでも出来るのだろう? 最終的にその酔いも力によって打ち消すなら、同じことじゃないか?」
榛名「馬鹿ね。それすら省いたら私たちはただの機械よ。肉体を含意した自己意志に関して絶対的な自由を与えられてる私たちには、どうしても自己規定が必要なの」
提督「人間であるための?」
榛名「そうよ。……なんだ、わかってるんじゃない」
提督「ふっ……。私たちと同じだな」
榛名「?」
榛名「そうか……。そういえば、そうだったわね」
榛名「私を試すような真似をして…………。下衆な男」
提督「1本貰うぞ」
榛名「どうぞ」
ジュッ
提督「ふぅ………………」
榛名「陸軍ではどうだったの?」
提督「答えられない」
榛名「別にいいじゃない。私は黎明期の1人だから、何となく状況は察しているわ」
榛名「ほんの雑談よ」
提督「……内地では戦いがあるだけだ。こちらとそう変わりはしない」
提督「仲間はそう簡単には増えないし、娯楽もない。せいぜいが旧時代の情報を漁るくらいだ」
提督「断片化してしまっていて、あまり成果は芳しくないが……」
提督「しかし知識としてでも文化に触れる機会があったのは、僅かな慰めだったのかもしれん」
提督「まあ、こちらに来てみれば君たちの方が遥かに文化的で、驚きもしたが」
榛名「私たちには記憶があるからね」
榛名「妖精のおかげで」
提督「妖精…………」
提督「…………」
提督「気になることがある。1つ、いいか?」
榛名「なに?」
提督「……妖精に解析を任せるということは?」
榛名「勿論試した。彼ら妖精たちは解析に関して『できる』と言ったわ」
榛名「でも事実上出来なかった」
榛名「一方で彼らが“嘘をつく”という行為にモチベーションを持つか、ということには相当程度の疑問がある」
榛名「……彼ら、どうやって解析したと思う?」
提督「さぁな」
榛名「深海棲艦の額に手を当てて、『できましたー』って言ったのよ?」
榛名「さすがに笑ったわ」
榛名「でもその解析結果は教えてくれなかったし、記述することを求めても拒否されたの。『むりむりだー』ってね」
榛名「あとは……行動規則の直接改変をお願いしても、やり方がわからないとか言われたかしら」
榛名「でも……」
榛名「深海棲艦の建造をお願いしたらあっさりやってのけた」
提督「興味深いな」
榛名「彼らは万能なようでいて、可能なことと不可能なことがあるのは確か。そしておそらく妖精は、彼らの宣言通り“深海棲艦の解析”を実行出来るのだと思う」
提督「解析出来なければ建造は出来ない……。だが教えられない。深海棲艦の肩を持っているわけでもない。となると……」
榛名「私は“翻訳”が出来ないのだと結論付けたわ」
榛名「まあ、消去法は探求の仕方としては地道だけれども確実性が高い。でもそれほど悠長にしていられるわけでもない」
榛名「だから妖精についてはよくわからないの。捕獲も出来ないし、殺せないし、というか勝手に消えては勝手に現われるし、無茶苦茶ね……」
榛名「…………さて、そろそろ依頼を遂行しましょうか。大和も」
大和ζ「はい」
―研究室―
ガチャ
響「司令官……」
榛名「ごめんなさい、遅れてしまって。早速だけど被験体を診せてもらえるかしら?」
提督「響」
響「わかった……」スッ
榛名「ありがとう」
スタスタ
榛名「っ!?」
提督「?」
榛名「(そん…………な……、まさ、か………………?)」
提督「どうかしたのか、榛名」
榛名「いや、なんでも、ない……」
榛名(………………)
榛名「ひとまず、解析に移るわ……。少し待ってて」
――――――――――
榛名「…………………………」
榛名「なるほど……」
提督「どうだ?」
榛名「……あなたの読みは、正解だったようね。確かに、これは……そうか…………」
榛名「報告を受け取った時は半信半疑だった。でも奴らはこの子をスパイとして成立させるために、かなり手の込んだことをしている」
榛名「まず艦娘の情報障壁を突破して、私たちの言語で改竄を行うことで艦娘を艦娘として成立させている」
榛名「障壁の突破方法は……おそらく代用弾を構成する時と同じ手法ね」
榛名「そして深海棲艦からの命令信号を絶対化するために、最優先の行動規則は翻訳を通したものに限定をしている……」
榛名「そう、そうね……。このプロセスがなければこの子に翻訳アルゴリズムを入れる必要はなかった……」
榛名「幸いログも残っている。見たことないコードだけれど、でもこれなら…………いける」
榛名「ごめんなさい、まずは言語解析から進めるわ。この子…………夕立の状態も気がかりではあるけれど、この子は後で私が必ず何とかする。約束よ」
提督「そうか、ありがとう」
大和ζ(提督…………いつもと、何か……?)
榛名「今まで駄目元で解読プログラムを作っていたけれど、これなら費やした膨大な時間は無駄にはならなかったみたいね。少しの修正で済むからすぐに終わるわ」
響「あの……」
榛名「うん?」
響「手を、握ってあげても、いいかな?」
榛名「うん、お願い」
響「ん」ギュウ
榛名「(ありがとう……)」
響「え……?」
榛名「いえ、何でもないわ……」
大和ζ「…………」
榛名「大和」
大和ζ「はい」
榛名「戦艦タ級にヘッドギアをつけてきて。必要なら待機中の第一艦隊を呼んできてかまわない。準備が出来次第、報告を」
榛名「このまま生体クラックに入るわ」
大和ζ「了解」
スタスタガチャ
榛名「さあ、いよいよね……」
ピー
榛名「こちら研究室」
大和ζ『大和です。クラック準備、完了致しました』
榛名「ありがとう。念のため、抵抗しないかだけ注意して」
大和ζ『了解』
榛名「始めるわ……」
榛名「情報障壁、解読開始」
榛名「……第一障壁、突破。攻性防壁、防壁迷路、共になし、クリアー」
榛名「トラップなし…………」
提督「……」
響「……」
榛名「………………」
榛名「障壁、解読完了。戦艦タ級の基幹プログラムにアクセス。翻訳開始。トレースシステム、オン。保存開始」
提督「これは……」
響「司令官、わかるのかい?」
提督「多少はな」
提督「これはおそらく、夕立に残っていたログから構成したプログラムをさらに最適化するために、翻訳のプロセスそのものをログとして記録しているのだと思う」
榛名「……ご明察。さすがね」
提督「すごい速さだ」
榛名「某所から演算能力を借りてるの。こういう状況になれば、アレの威力は絶大ね」
榛名「……記憶領域、解析完了」
榛名「なるほど…………」
提督「どうした?」
榛名「この可能性を考慮しなかったわけではないけれど…………」
榛名「当該の戦艦タ級は別の深海棲艦からの指示を受けて行動している。誕生してすぐに、出撃している……」
提督「保持している情報が乏しすぎるのか」
榛名「もっと色々な個体を調査する必要があるけれど、やはり指揮系統の上を狙わないと有意な情報は得られそうにないわね」
提督「他には何かないのか?」
榛名「……とても古そうなイメージデータが残ってる。酷く粗い……。陸? 人……かしら?」
榛名「こちらは少し解析に時間が掛かりそうね」
榛名「新しい方のデータには、そうね……。私が一番期待していたものは映ってないわ」
榛名「……それでもやはり、妖精がいるわね」
提督「何処に?」
榛名「…………海の、底よ」
榛名「だからきっといるはずなの」
榛名「深海棲艦を指揮する、“ヒト”が……」
今宵はここまで。
もう少しで終わるはずなんですけどね、なかなか思うように進みませんねー。
>>585
ありがとうございます。嬉しいです。
このSSもうすぐ1年になってしまう(驚愕)のですが、一気読みすると一体どんな感じなんでしょうかね?
ともあれ地道に頑張ります。
もう少しで終わるはずなんですけどね、なかなか思うように進みませんねー。
>>585
ありがとうございます。嬉しいです。
このSSもうすぐ1年になってしまう(驚愕)のですが、一気読みすると一体どんな感じなんでしょうかね?
ともあれ地道に頑張ります。
お疲れ様です。
今月末20日から28日までの間のどこかで1度投稿します。
よろしくお願い致します。
今月末20日から28日までの間のどこかで1度投稿します。
よろしくお願い致します。
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