私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
元スレ夕立「恋情は見返りを――」提督「求めない」
SS+ スレッド一覧へ / SS+ とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ○
レスフィルター : (試験中)
長門「では、私はこちらで」
提督「ああ……」
カチャ
提督「ほう。木刀なんてあるのか……」
長門「……」
長門(会った時は気づかなかったが……)
長門(この提督……身体の芯にまったくブレがない)
長門「提督は、なにか武道を?」
提督「いや、武道なんてそんな御大層なものは知らない」
提督「さすがに軍人だから格闘くらいは出来るが」
長門「そうか」
長門(そんなレベルには見えないがな……)
―食堂―
提督「おはよう」
天龍「おはよう提督。昨日は遅かったのか?」
提督「んん? なんだ、どういう意味だ?」
天龍「いや、なんか執務室の電気つけっぱなしだったみたいだぜ?」
提督(しまった――!)
金剛「Good Morning!!!! テートクゥー! なにやら不思議な言葉が聞こえてきましたネー?」
提督「な、なんだ?」
金剛「私のLadyとしての勘が告げていマース!」
金剛「昨夜夕立と何かありましたネー?」
提督「い、いや……」
提督(め、めんどくせぇ……)
金剛「Chi Chi! 私の眼はごまかせマセーン。今朝の提督の顔はお疲れ気味デース」
天龍「んん? まあ、言われてみれば確かに少し……」
金剛「Because! 大方、寝ぼけた夕立に捕まえられて眠れなかったんデスネー?」
天龍「え、そうなのか提督?」
提督(朝っぱらから無駄に頭が回るなこの帰国子女は……。もういいやめんどうくさい)
提督「ああ、そうだ」
金剛「んー! やっぱりネー! さすがヴィッカ―ズ生まれの私の眼に狂――What's!!??」
天龍「て、提督!? マジかよ!?」
提督「ああマジだ。仕方がなかった。起きなかったし離さなかったからな」
金剛「どどどど同禽!?」
天龍「ま、まさか手を出したりなんか……」
提督「するかバカ」ゴツン
天龍「いてぇ」
金剛「まさか提督と夕立のrelationがそこまで進んでいるとは!」
提督「別に進んでない……」
提督「勘繰り過ぎだ」
提督「だいたい、私の顔が疲れているだなんて。そんなことがわかるほど私のことを見ていたのか?」
金剛「え! あっ……。いや。そんなことはないデスが……///」カア
提督「どうなんだ?」ズイ
金剛「え、あの、提督、近い…………デス……///」モジモジ
提督(大人しくなったか……)
天龍「……」
川内「おはよーみんな。なんか夜戦の匂いがするねぇ~」
提督「おはよう川内。そんな匂いはないから安心しろ」
長門「なんだか騒がしかったな。朝から何を騒いでいるんだ金剛」
金剛「……何でもないデス」
提督「ほら、少し早く来たんだからみんなで飯の準備するぞ」
一同「はーい」
鳳翔「あ、皆さんおはようございます。今準備しますね」
提督「あ、鳳翔!」
鳳翔「はい?」
提督「あとで少し話がある」
鳳翔「?」
―――
――
―
―工廠―
提督「やあ」
鳳翔「こ、こんにちは」
開発妖精A「おや」
開発妖精B「ていとくさんですな」
開発妖精C「かんむすさんもいらっしゃるようで」
開発妖精D「おしどりふうふですな」
開発妖精E「ほんじつはおひがらもよいゆえ」
開発妖精F「えいえんのあいをちかいます?」
提督「誓わない誓わない」
鳳翔「あ、あの……////」
提督「鳳翔も真に受けなくていいぞ」
提督「今日は艦載機開発に来た」
開発妖精A「ついにぼくらのでばん」
開発妖精B「ぼくらでばんなかた」
開発妖精C「さいていちはかいはつにはいりますか?」
開発妖精D「かいはつしなくてもなんとかなるしすてむゆえ」
開発妖精E「しんこうがおそいのでは?」
開発妖精F「さあー?」
鳳翔「彼らは何を話しているんでしょう?」
提督「よくわからないことだ。気にしなくていい」
提督「ともかく、彼女に見合ったものをどうかひとつ」
妖精一同「「「はーい!」」」
―――
――
―
提督「建造ではあまり気にならないが、妖精の仕事は本当にランダムだな……」
提督「しかし望みのものは手に入った」
提督「零式艦戦21型だ」
鳳翔「提督、ありがとうございます」ペコリ
提督「さっそく装備してみるか」
提督「艤装の、その矢2本か。1本には九九式艦爆が装備されている?」
鳳翔「そうですね。矢じりをはずすとこんな風に分離します」
提督「……摩訶不思議だな。装備するとこの模型は消滅し、矢じりとして矢と一体化するのか」
鳳翔「ん……。こちらの矢とそちらの矢では、反映される搭載数が違うようです」
提督「……なるほど。不便なもんだな。なんとかならんのか?」
開発妖精A「さあー?」
開発妖精B「ままなりませんな」
開発妖精C「じんせいはままなりませんゆえ」
開発妖精D「あんぱんのようなものですな」
開発妖精E「あまいあまーい」
開発妖精F「すうとしあわせになれるです?」
提督「人生論どころか麻薬にまで飛躍するのか……」
提督「もっと大量生産出来ないのか?」
開発妖精A「んー」
開発妖精B「とらいあんどえらーが、ひつよう?」
開発妖精C「じょうほうがだんぺんてきすぎますな」
開発妖精D「かくりつぶんぷがきびしかた」
提督「どういうことだ……。そもそも矢とのこの連動はなんだ」
開発妖精A「ぜんたいのけいですゆえ」
開発妖精B「ごをたんどくでかんがえるのはだめとしかられました……」
開発妖精C「ちぇすのこまをひとつだけながめるのもおこられました……」
開発妖精D「このぶんだとしょうぎもだめなんだろうなー」
開発妖精E「ぼーどげーむ、やるです?」
開発妖精F「じんせいげーむだー」
提督「……」
鳳翔「提督……」
提督「いいさ。詮無いことだ。彼らには彼らの理屈があるのだろう」
提督(多分……)
―司令室―
提督「それでは夕立。朝の報告を」
夕立「はい」
夕立「今朝は初めて意識的な装備開発を行いました」
夕立「合計消費資源は80/240/40/440」
夕立「また建造での消費資源は300/30/400/300です」
夕立「航空戦力の拡充も少しずつ進めていきますので、ご理解をお願いします」
提督「ありがとう」
提督「午後に本部からこちらに一人、軽巡洋艦が送られる」
提督「報告は以上」
提督「続いて作戦内容の説明に移る」
提督「まず遠征だが、第二艦隊のスターティングメンバーは旗艦吹雪、以下睦月、響、白雪、深雪、那珂βとする」
提督「今回はアクションによって作戦遂行人数とメンバーが変わるので、そこはこの書類をよく確認してくれ」
吹雪「……川内さんと天龍さんがローテーションですね」
提督「そうだ。何か不明な点はあるか?」
吹雪「ありません。大丈夫です!」
睦月「吹雪ちゃん、頑張ろうね!」ニコッ
吹雪「うん!」
提督「よし。第二艦隊は出撃準備にかかれ」
一同「了解!」
提督「さて、残りのメンバーは全員第一艦隊となる」
提督「旗艦は那珂。以下長門、夕立、神通、金剛、殿は鳳翔」
提督「こちらが計画書だ」
提督「今回の作戦では南西諸島の防衛ライン上の敵侵攻艦隊を捕捉し、全力出撃によりこれを可及的速やかに撃滅する」
提督「本作戦から低速艦混成の編成になるが速力には注意すること」
提督「また鳳翔の着任により索敵が一気に拡大した」
提督「うまく調整してみてくれ」
提督「夕立は長門を、金剛は鳳翔のフォローを頼む」
長門(よし!)グッ
提督「何か質問はあるか?」
提督「……よし。第一艦隊、出撃!!」
今宵はここまで。
皆さん励みになるレスありがとうございますw
次回更新は水曜日を予定。
皆さん励みになるレスありがとうございますw
次回更新は水曜日を予定。
乙
妖精さんたちの会話なにげにレベル高ぇwwwwww
脳内再生度がはんぱないですwwwwww
妖精さんたちの会話なにげにレベル高ぇwwwwww
脳内再生度がはんぱないですwwwwww
遅れました申し訳ない。
『平常運転』読まないとなー。あと2期とか来ないですかね?
2月中最後の更新になります。
つづき
『平常運転』読まないとなー。あと2期とか来ないですかね?
2月中最後の更新になります。
つづき
―海上―
那珂(敵侵攻艦隊……。当然、戦艦や空母が出てくる可能性が……)
那珂『そろそろ予測された戦闘海域に入ります』
那珂『鳳翔さん。戦闘機を索敵機として……』
鳳翔「はい」
鳳翔(……一機、二機、三機)
鳳翔「発艦!」
長門(さて、どうなるか……)
那珂『各員、鳳翔さんからの伝達を待ち、攻撃準備を整えてください』
那珂『長門さんと金剛さんは』
金剛『OK! 先制を叩き込むネー!』
那珂『はい。お願いします』
鳳翔「………………」
鳳翔(私はここからの眺めを見たことがないはずのに……)
鳳翔(この既視感は……?)
鳳翔(それとも私は、本当は見ていたのでしょうか?)
鳳翔(……いいえ。今は戦いに集中しなくては)
鳳翔『見えました!』
鳳翔『二番機より。10時の方向。へ級へ級ハ級ハ級の複縦陣』
鳳翔『敵艦載機なし。このまま爆撃に移ります』
金剛『主砲発砲準備!』
鳳翔『攻撃隊、発艦!』
金剛『Standby!』
長門『いつでも来い』
鳳翔『攻撃開始地点へ到達、爆撃態勢に移ります』
鳳翔『爆撃開始!』
ドドーン!
那珂「封鎖を解除します」
鳳翔「ハ級一隻の撃沈を確認。反転します」
長門「あの位置か……」
提督『鳳翔が爆撃したところか。長門、狙えるか?』
長門「ふん、任せておけ。金剛!」
金剛「Roger that!」
長門「第一主砲発射!」ズドーン!
鳳翔「……目標、着弾地点から30の位置より右に20」
長門「次は当てる。第二主砲発射!」ズドーン!
金剛「撃ちます! Fire!!」ズドーン!
鳳翔「金剛さんの夾叉を確認! 敵艦、発砲しました!」
金剛「Great! 続けて第二主砲!」ズドーン!
神通「私も撃ちます」
鳳翔「へ級一隻撃沈」
金剛「Ouch! ちょっと被弾したネ」ガッ!
提督(弾道から逆算して……)
神通「撃ちます。当たってください!」ドドーン!
鳳翔「続けて旗艦へ級も轟沈」
那珂「主砲発射準備。てぇー!!!」ドドーン!
鳳翔「ハ級大破炎上。沈んでいきます」
那珂「敵艦隊、全艦沈黙。戦闘を終了します」
鳳翔「やりました!」
長門「ふん、まあこんなものだな」
提督『鳳翔、長門、実に見事な動きだった』
金剛「頑張りましたネー!」
夕立「……」
神通「夕立ちゃん……?」
夕立「何だか出番、なかったっぽい……?」ガーン!
神通「夕立ちゃんの顔が妖精さんみたいになってる!?」
那珂「ま、まあまあ。こういう時もあるよ」
提督『そうだな。自分が活躍できる時にしっかり活躍できることが大事だな』
夕立「ぽいー……」
―――
――
―
那珂「ん? あれは……」
長門「小島、だな」
那珂「……妖精さんがいるように思います」
那珂「ちょっと上陸してみます」
長門「お、おい。いいのか?」
金剛「ま、私たちが哨戒していれば問題Nothing!」
夕立「いってらっしゃーい」
那珂「え? みんな来ないの?」
長門「私は残ろう」
夕立「私も残るっぽーい」
長門「そ、そうか」ドキドキ
夕立「2人で守ってるよー」
金剛「Oh! それなら、じゃ、行ってくるネー!」
神通「行ってきます」
鳳翔「行って参ります」
長門(期せずして夕立とふたりきりになってしまった……)
長門(何を話せばいいんだろうか)ドギマギ
―小島―
那珂「ホントに……。こんなところに妖精さんが!」
はぐれ妖精A「かんむすさんだー」
はぐれ妖精B「みちくさ、たべる?」
はぐれ妖精C「たべてもげんきはでませんな」
はぐれ妖精D「たべれる? たべられる?」
はぐれ妖精E「ことばのみだれはこころのみだれ」
はぐれ妖精F「うちゅうのほうそくがみだられるー」
神通「皆さんは、ここで何を?」
はぐれ妖精A「なんだったか?」
はぐれ妖精B「さあー?」
はぐれ妖精C「みんなではがねつくってました」
はぐれ妖精A「そうだっような」
はぐれ妖精B「そうじゃなかったような」
はぐれ妖精D「それしかとりえがなくて」
はぐれ妖精E「だうーん……」
はぐれ妖精F「ぼくら、いらないこ?」
那珂「いらなくないです。大丈夫です」アセアセ
金剛「Well……皆さんはどうして鋼材を?」
妖精一同「「「…………」」」
妖精一同「「「さあー?」」」
金剛「さ、さあーって……」
那珂「あはは……」
鳳翔「それより、鋼材を“つくる”というのが気になります」
鳳翔「鋼は掘り出して加工するものではないのですか?」
はぐれ妖精A「あー」
はぐれ妖精B「はがねははがねからつくります」
那珂「なんですって?」
はぐれ妖精C「あと、うみからはがねをひろってきます」
神通「海に潜るんですか? 危ないです」
はぐれ妖精C「あぶないですか?」
金剛「海には、深海棲艦という魔物がいるんデスよー?」
はぐれ妖精D「もしかして、うみのかんむすさんたち?」
はぐれ妖精E「たまにまみえるかも」
はぐれ妖精F「みなさんかっこいいでざいん」
金剛「海の……艦娘…………」
那珂「…………」
はぐれ妖精A「みんなともだち」
はぐれ妖精B「じんるいみなきょうだい?」
那珂「……その、“海の艦娘”さんたちとはどんなやり取りを?」
はぐれ妖精E「なんでしたっけ?」
はぐれ妖精F「よくかんがえたことなかた」
妖精一同「「「…………」」」
妖精一同「「「さあー?」」」
はぐれ妖精A「いろいろおはなししましたが」
はぐれ妖精B「いろいろあそんでもらいましたが」
はぐれ妖精D「ぼくら、もてあそばれてばっかり」
はぐれ妖精C「でもそれがいいかもー?」
那珂「……は、話を戻しましょう」
那珂「海から鋼材を拾うというのは?」
はぐれ妖精C「うみのみずからはがねをひっこぬいてます」
金剛「What's!? か、海水から!?」
はぐれ妖精C「なにか、おかしかったですか?」
はぐれ妖精D「やっぱりぼくら、やくたたず?」
はぐれ妖精E「だうーん……」
鳳翔「そんなことないですよ!」アセアセ
はぐれ妖精B「ほんと?」
はぐれ妖精A「よかたよかた」
はぐれ妖精C「かんむすさんは、みんな、やさしいです」
那珂(いや、おかしいと言えば何もかもおかしいけど)
那珂(そもそも私たちの存在自体……)
那珂(ドロップだって、私の持っている記憶からは大きく逸脱しているし……)
那珂(それと似たようなもの……なのかな……)
那珂「やっぱり妖精さんたちはすごいです」
那珂「私たちにできないことを平然とやってのけます」
はぐれ妖精A「ぼくら、すごかった?」
はぐれ妖精B「たいしたことないですな」
はぐれ妖精C「きょうえつ、しごく?」
はぐれ妖精D「しごかれたいかもー」
はぐれ妖精E「これはおれいをしなくては」
はぐれ妖精F「おそなえものだー」
はぐれ妖精D「くもつくもつ」
はぐれ妖精E「しずまりたまえー」
はぐれ妖精B「なぜわがむらをおそうー?」
はぐれ妖精C「はがね、あげます」
那珂「本当ですか? ありがとうございます」ペコリ
はぐれ妖精A「こちらへどうぞー」
那珂「こ、これは……」スッ
はぐれ妖精B「あっしゅくしてます」
はぐれ妖精D「かくちょうし、つけました」
はぐれ妖精E「ごかんせいがありますゆえ」
はぐれ妖精F「かいとうできますな」
那珂(私たちの身体と同じ。物理的情報がそれ自体の中に折り畳まれているんだ……)
那珂「これ、ありがたく頂戴しますね」ニコッ
はぐれ妖精A「ではでは」
はぐれ妖精B「またあえる?」
はぐれ妖精C「またあそべる?」
那珂「うん!」
那珂「また、来ます」
―海上―
長門「ん。戻ったか」
夕立「おかえりー!」
長門(結局緊張して何も話せなかった……)
長門「どうだった?」
金剛「妖精さんから鋼材を貰ってきたヨー!」
長門「そ、それだけ?」
那珂「いや、かなり収穫はありましたよ」
神通「提督にはちゃんと報告しないとですね」
那珂「うん……」
長門「ほう……?」
鳳翔「とりあえず、進軍しましょうか」
夕立「れっつごー!!」
―――
――
―
長門「そしてまた、このパターンか……」
夕立「ふんふんふーん♪」
長門(自分も小島に向かうべきだったか?)
長門(しかし哨戒は必要だ。いつ敵が襲ってくるかわからん)
長門「……」チラッ
夕立「~♪」
長門(夕立は気にしてないようだが、これでは間が持たん!)
長門(いや、私の精神が持たん!)
長門(しかし話しかけるのは……)ドキドキ
長門「……」チラッ
夕立「うん?」
長門(目、目が逢ってしまったー!!!)ズキューン!
夕立「どうしたんですかー? 長門さん」
長門「い、いや……。ちゃ、ちゃんと哨戒をやってるかと思って」
夕立「やってますよぅ、もーう!」プクー
長門「そ、そうだな。悪かった……」
長門(マズイ、夕立の機嫌を損ねてしまったか! というか、哨戒出来てないのは私の方じゃないかー!)ガーン!
夕立「……」
夕立「“自分の甲板”に立つのって、気持ちいいですよねー」
長門「え?」
夕立「ほら。この姿にならないと、自分の甲板の上に立てないじゃないですか」
長門「ああ……。まあ、確かに。この姿に生まれ変わらなければ、経験出来ないことだったのかもしれんな……」
長門「かつて私に乗った幾人もの兵が見ていた光景を、否応なく想像させられる」
夕立「でも、なんか不思議ですよね」
夕立「私が私の上に乗っているだなんて……」
夕立「なんだかこの船は、私じゃないみたい」
長門「それは……どういう?」
夕立「だって、自分の姿なんて鏡がないと見られないはずのに、こうやって直接見ることが出来るなんて、不思議じゃないです
か?」
長門「それはまあ、そうかもしれん」
夕立「だから、夕立は、実は今下にある夕立とは別のものなんじゃないかなー…………」
夕立「なーんてね!」
長門「は?」
夕立「夕立、こういう難しい話はよくわからないっぽい!」
長門「おいおい、自分からその話を振ったんじゃないか」フッ
夕立「ふふ……。長門さん、やっと笑ってくれましたね」タッタッタ
長門「え?」
タッ
長門「お、おい!」
スタッ
夕立「ふぅー。着地成功ー!」
長門「な、何も、こちらまで跳んでこなくても……」
夕立「言葉だけじゃ、伝わらないことだってあると思いますよ?」
夕立「私は、もっと長門さんとお話したいです!」
夕立「長門さんだけじゃなくて、他の娘とも、そして……」
夕立「提督とも」
長門「夕立……」
夕立「だからこれからも、よろしくお願いします」ペコリ
長門「夕立……」ジーン
夕立「ぷはっ、長門さん、泣いてるんですか?」
長門「なっ! バカか、泣いてなどおらん! このビッグセブンが……。目にゴミが入っただけだ!」
夕立「あははー! 長門さんおもしろいかもー! みんなに報告しなきゃー!」
長門「おい、こら夕立ー!」
夕立「きゃー!! 長門さんこわいっぽいー!」
長門「待てー!!!」
夕立「長門さん! 哨戒ですよ哨戒! 哨戒しなきゃ!」アハハ
長門「ふふふ……。このビッグセブン、哨戒しながらお前をとっ捕まえるくらい、造作もないことだ……」
長門「いくぞ!」
夕立「わー!!!」
――――――――――
那珂「なーに甲板でいちゃついてんですかねーあのふたりは……」
金剛「Picnicと勘違いしているのデショウかー」ヤレヤレ
神通「まああのふたりに限って、哨戒を忘れてることはないでしょうけど……」
鳳翔「なんだか仲良くなったみたいですね」ニコニコ
―――
――
―
那珂「かなり進軍を進めました……」
那珂「各艦、警戒を厳に」
那珂「鳳翔さん、索敵をお願いします。敵艦載機に充分注意してください」
鳳翔『はい!』
鳳翔『航空隊、発艦始め!』
長門『……那珂、どう思う?』
那珂「先程の戦闘は明らかに偵察艦隊でしょう」
那珂「作戦書通りに侵攻艦隊が来るとすれば、空母や戦艦がいても何らおかしくはないと思います」
長門『なるほどな』
金剛『腕がなるネー!』
鳳翔『! 三番機より、敵艦隊見ゆ! ヲ級ヌ級リ級へ級ハ級ハ級の6隻』
長門『やはり来たか』
鳳翔『このまま航空戦に移ります』
鳳翔『偵察隊に従い侵攻! 敵戦闘機と交戦に入ります!』
那珂「封鎖を解除します」
那珂「提督、航空母艦2隻を含む艦隊と会敵しました」
提督『ああ。まずは健闘を祈る』
提督『各艦、対空戦闘準備』
提督『鳳翔は爆撃の準備も進めろ』
鳳翔「了解! 攻撃隊、発艦!」
提督『よし』
提督(先程は航空母艦がいなかったからな。ここからだ)
鳳翔「制空権争い、拮抗しています!」
提督『充分! そのまま爆撃態勢に移れ』
鳳翔「爆撃開始! 爆弾投下!」
那珂「敵爆撃機及び攻撃機接近!」
提督『各艦対空砲火! 撃ち落とせるだけ撃ち落とせ!』
金剛「Fire!!!」ズドーン!
長門「てぇー!!!!」ズドーン!
神通「撃ちます!!」ドドーン!
那珂「当たれ―!!!」ドドーン!
夕立「てぇー!!」ドドーン!
ズドーン!
金剛「くっ!」ガツン!
金剛「残骸が接触! みんなは!?」
鳳翔「中破しました……。しかし、このまま沈む訳には参りませんっ!」
提督『状況は!?』
那珂「金剛さんが若干の被弾。鳳翔さん中破。敵艦隊はハ級を1隻撃沈しました」
提督『よし。砲撃戦だ! 長門!』
長門「もうやっている! 第一、第二主砲、斉射!!!」ズドーン!
夕立「へ級が発砲!」
神通「重巡リ級、沈んでいきます」
長門「ふん。きかぬ!」ガッ
夕立「ヌ級の発艦を確認!」
提督『かまうな! 今は撃ち続けろ!』
金剛「撃ちマス! 第三、第四主砲一斉射! Fire!!!」ズドーン!
神通「うてぇー!!!!」ドドーン!
那珂「ヲ級轟沈! ……長門さん!」
長門「またか。それで攻撃のつもりか!?」ガツン!
那珂「ハ級中破! 発砲してきます! うてぇー!!」ドドーン!
夕立「これでどう!?」ドドーン!
神通「へ級中破! 続いてハ級の撃沈を確認しました。ヌ級が攻撃隊を発艦。きゃあ!」ガガガッ
長門「しつこいな……。私が仕留める」
那珂「続けて撃ちます。てぇー!!!」
長門「これで終わりだ。てぇー!!!!」
夕立「鳳翔さん! くっ!」ドドーン!
鳳翔「あぁ!!」ドカーン!
長門「大丈夫か!?」
鳳翔「うぅ……。大破……しました…………」
那珂「ヌ級の轟沈及びへ級の撃沈を確認。敵艦隊、殲滅しました」
提督『鳳翔! 航行は可能か!?』
鳳翔「はい……。なんとか……」
提督『……長門、乗せてやれ』
長門「了解した」
提督『ふぅ。なんとか、終わったな……』
―司令室―
那珂「第一艦隊、戻りました」
提督「ご苦労。みんなお疲れ様」
提督「今日はみんなよく頑張ってくれたと思う。鳳翔もだ」
鳳翔「提督……。お言葉ですが……」
鳳翔「……私は、こんなにやられてしまいました」
提督「それがどうした」
提督「初の実戦であそこまでやれたんだ。誇っていいはずだ」
鳳翔「でも……。悔しくて……っ! うっ…………うぅ……」ポロポロ
提督「鳳翔。涙が溢れるのなら、それは自身の能力を卑下することなく、精一杯戦ったことの紛れもない証だ」
鳳翔「!」
提督「だから鳳翔。どうか、泣かないでほしい」
鳳翔「……はい!」
鳳翔「ですが、私が無茶をしては、ダメですね……。本当は今晩、皆さんに晩御飯を――」
提督「今日は特別サービスだ。鳳翔には高速修復材の使用を許可する」
提督「修復後は風呂にでも浸かって、ゆっくり身体と心を休めるといい」
提督「そして晩御飯、楽しみにしているぞ」
鳳翔「……ありがとうございます!」
ガチャ
那珂「へぇ。提督もいいこと言うじゃないですか」
提督「まあたまにはな」
提督「長門と金剛。働きとして申し分なかった。この調子でやっていってほしい」
長門「任せろ」グッ
金剛「任せるネー!」
提督「それと夕立、鳳翔が攻撃を食らう際にちゃんとフォローに入っていたな。偉いぞ」
夕立「…………でも、鳳翔さんを大破させちゃった」
提督「それでも褒めるには値すると思う」
提督「神通も、あのタイミングで反応出来ると望ましかった。那珂では間に合わなかっただろうからな」
提督「少なくとも、私はそのレベルを望む」
神通「はい、ごめんなさい……。精進します」
提督「うん、いい眼だ」
提督「細かい説教は後にしよう。私も航空戦のデータを分析しなくてはならないし、そのフィードバックが済んでからだ」
提督「それから任務申請をしておいたので、明日の朝には新艦娘が本部からやってくるだろう」
提督「こちらからは以上。何かあるか?」
那珂「はい」スッ
提督「なんだ?」
那珂「第一艦隊旗艦、那珂より報告させていただきます」
那珂「進軍中、2箇所の小島にそれぞれ上陸しました」
那珂「そこでは妖精が活動しており、資源をつくっていました」
提督「ほう? “つくっていた”というのは、加工していた、ということか?」
那珂「いいえ。文字通り、“創って”いるようです」
提督「なんだって?」
那珂「これは妖精との対話から得た情報ですが……。彼らが言うには、鋼材から鋼材を創れるのだそうです」
提督「……」
那珂「また、海水から鋼材を抜き出すことが出来るとも言っていました」
那珂「2箇所目の小島ではボーキサイトを創っていたようですが、ほぼ同様の解答結果が得られました」
提督「抜き出す、というのは面白いな。やはりドロップに近いように思う」
那珂「私も同じことを考えました」
提督「だろうな。んー……。前者についてはよくわからないが後者は……」
提督「確か資料上では“構成”とあった気がするが、実質的には“抽出”なのかもしれない」
提督「そう考えると色々と符合する点が見えてくるな。報告ありがとう。他には?」
那珂「はい。もう1点ありまして……」
提督「聴こう」
那珂「はい。それが、どうも妖精は、深海棲艦とも接触しているようです」
提督「なんだと?」
金剛「妖精たちは、深海棲艦を“海の艦娘”と呼んでマシタ……」
提督「なるほど。出航は陸からだから、君たちは差し詰め“陸の艦娘”と言ったところか」
提督「しかしよくよく考えてみると、奴らは洋上で会う時には艦船形態なわけだから、“艦娘”なのかどうかは見当がつかなか
ったな」
長門「そんな、バカな……」
那珂「でも可能性としては大いにあり得ますよね……」
提督「まあ、そうなるな」
提督「鹵獲してしまえばてっとり早いが……それも難しいだろう」
提督「だがこれに関しては一応資料がある。そこのモニターを見てくれ」
ピッ
提督「これだ」
神通「これが、深海棲艦……」
那珂「確かに、独特の……ヒト型をしていますね……」
提督「だが一方でヒトの姿からかけ離れてもいる。どう思う? 自分と同種の存在に見えるか?」
長門「まったく見えないな」
金剛「そんな質問、nonsenseデース……」
夕立「……」
提督「“海の艦娘”というのは彼らなりの比喩じゃないか?」
提督「深海棲艦の正体には諸説あるようだが、沈んだ艦娘の怨念、というのが通説だそうだ」
那珂「提督は、それを?」
提督「いや、さすがに鵜呑みには出来ないだろう。それで万事説明出来るというのなら盲目的に信じるかも知れんが……」
提督「何よりわかっていることが少な過ぎる」
提督「だからと言って、妖精の言葉を鵜呑みにするのも、ね」
提督「彼らの言葉は難し過ぎるからな」
提督「まあともかく。貴重な情報をありがとう。とても参考になった」
提督「報告は終わりか?」
那珂「あ! 結局、鋼材20、ボーキ15を妖精さんから戴きました。以上です」
提督「了解した。那珂は拾得艦を呼んできてくれ。これ以上待たせては申し訳ない」
那珂「はい、ただいま」
ガチャ
タッタッタ
??「失礼します」
??「……失礼、します」
提督「私がこの鎮守府の提督だ。とりあえず自己紹介を頼む」
??「堅苦しいのは苦手なんだが……」
提督「まあ、そう言わずに。何なら楽にしてくれていいぞ」
??「そ、そうなのか? じゃあ……」
摩耶「アタシ、摩耶ってんだ、よろしくな」
足柄「足柄よ。ふふ、よろしくね」
提督「ああ。ふたりとも、よろしく」
摩耶(なんかこの提督、ちょっと怖いな……)
足柄(なかなかいい男じゃない……!)
提督「那珂は摩耶を、神通は足柄を案内してやってくれ」
那珂・神通「「了解!」」
類似してるかもしれないスレッド
- 姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」 (815) - [38%] - 2012/7/11 15:45 ★
- 兄「うちの妹がニオイフェチなわけがない」 (244) - [36%] - 2014/9/9 0:00 ☆
- 陽乃「妹って良いよね」八幡「全くです」 (148) - [35%] - 2015/6/15 13:30 ★
- 勇太「好きなんだ。……付き合ってくれないか」 (999) - [34%] - 2013/7/11 5:45 ★★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について