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元スレ夕立「恋情は見返りを――」提督「求めない」
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相変わらず読ませるねぇ、いいよいいよこっちの気分も盛り上がってきた
こういうのは部屋の室温上げて汗流しながら読むのが最高だぁ
こういうのは部屋の室温上げて汗流しながら読むのが最高だぁ
―会議室―
コンコン
足柄「はい」
ガチャ
提督「失礼する」
??「失礼致します」
提督「さて、宣告した通り、足柄には居残りで教導を執ってもらう、が……」
提督「なんだそれは?」
足柄「いえ……。先程までの議論を、少し整理してみようと思って」
足柄「やっぱり、ある程度体系的に説明するには、話の順序というものもあるから……」
提督「驚いた。素晴らしい心掛けだ。足柄は、きっと良き教導艦になれると思う」
足柄「そんな……//」
提督「では自己紹介を」
如月「如月です。先程着任しました。どうぞ、よろしくお願いします」ペコリ
足柄「足柄よ。こちらこそよろしくね、如月」
提督「あとは任せたぞ。講義が終わったら如月から話を聞くからな」
足柄「わかってるわ」
提督「さすがだ。私は夕立の様子を見てくるよ」
提督(先程までは嫌がっていたというのに、存外面倒見はいいのか……)
―司令室―
ガチャ
提督「お疲れ様」
夕立「提督さん! お疲れ様です」
提督「どうだ、調子は」
夕立「さっき戦闘が終わったところ。今から帰投するっぽい」
提督「問題は?」
夕立「特にはないかも。少し気になったのは、赤いオーラを纏った強力な敵艦が現われたことくらい?」
提督「elite艦か……。なるほど、よくやった」
夕立「えっへん!」
提督「……」ナデナデ
夕立「ん……」
提督「偉いぞ。頑張ったな」
夕立「…………もっと」
提督「うん?」
夕立「もっと、撫でて……」ギュウ
提督「!」
提督「……以前にも増して、甘えるようになったな」
夕立「こうしてる間は、何も考えなくていいから……」
夕立「何も不安なんてないから」
夕立「ふふ……。でもね?」
夕立「長門さんにもこうして甘えたことはあるけど、違ったの」
提督「……」
夕立「……そういえば、座学はどうだった?」
提督「ああ、鈴谷が寝てたな」
夕立「あはは! 提督さんの話がつまらなかったんでしょう?」
提督「いや、他のみんなは熱心に聴いていたぞ。こちらも、話し甲斐があったと思わされるほどに」
提督「それに座学と銘打ったが、実際には雑談のようなものだったな」
提督「みんな色々考えて、色々意見を言ってくれて、面白かった」
提督「新しく進水した娘も、これを機にうまく馴染めたようだし……。夕立も後で挨拶するといい」
夕立「はーい」
提督「今日は既に2隻建造が完了している。1人は今しがた案内が終わった」
提督「俺は残り1隻の新造艦を迎えてくる。引き続き、艦隊帰投までは抜かりなくな」
夕立「了解!」
―工廠―
??「ぁ……」
提督「私が提督だ。名を、伺おう」
球磨「……球磨だクマ。よろしくだクマ」
提督(……クマ?)
鈴谷「ちーっす、鈴谷です!」
提督「気分はどうだろうか?」
球磨「……なんだか眠いクマ」
提督(冬眠……?)
提督「……姉妹艦では、北上が既に進水している」
球磨「!」
提督「が、ひとまずはこちらの鈴谷に球磨を案内してもらおうと思う」
提督「(居眠りはこれで不問に付すから、真面目にやれよ)」ボソ
鈴谷「(わかってますって)」
球磨「クマ?」
鈴谷「あーいや何でもないよー! それじゃあ行こっか球磨ちゃん」
球磨「クマー」
提督(那珂も大概だが、球磨もなかなか……)
提督(……第一艦隊帰投までは、事務を進めるとするか)
―――
――
―
―波止場―
提督「……ん?」
提督(あれは……響と、夕立?)
響「――、――――?」
夕立「――――」
響「――――。――ってね」
夕立「うん!」
響「!」
響「司令官」
夕立「!」
提督「お疲れ」
夕立「お、音もなく現われるなんて、反則っぽい!」
響「お疲れ様」
提督「なぜ反則なんだ?」
夕立「何でもないよ! それより、乙女の会話を盗み聞きするなんて!」
提督「そうかい。厳しいな」
夕立「そうよ、夕立ったら厳しいんだから!」
提督「何か聴かれて困ることでも?」
夕立「知ーらない!」プイ
響「ふふ……」
夕立「ひーびーきーちゃん? 何がおかしいの!?」
響「っ、ごめん、何でもないよ」フフッ
夕立「もう…………。あら?」
金剛「テートクゥー!」
長門「……」(挙手)
提督「……」(挙手)
提督「なんだ、揃いも揃って」
赤城「間宮さんから、準備が出来たとのことです」
提督「ああ。わざわざ、すまない」
提督「だが、4人で来ることもなかったろう」
長門「それが、間宮に言われたのは金剛だったんだが……」
赤城「その、私たち、追い出されてしまいまして……」
提督「?」
金剛「そこの一航戦は、つまみ食いをしていたのデス」
提督「なるほど。それで当て所もなく金剛についてきたわけか」
加賀「発見されたのは、戦闘に夢中で索敵を怠ったせいね。反省しているわ……」
金剛「戦闘って……」
夕立「あはは!」
響「おいしいのだから、仕方ないね」
吹雪「しれいかーん!」
提督「……今度は何だ?」
天龍「お? なんだ勢揃いじゃねーか」
長門「……まさかお前たちも来たのか?」
吹雪「はい。鳳翔さんから、司令官を呼んできてほしいと……」
提督「まる被りだな」
天龍「え、もしかして赤城たちもか!?」
赤城「え、ええ」
加賀「とんだうっかりさんたちね。これが戦闘中ではなくて、良かったわ」
金剛「加賀は手厳しいデスネー」
赤城「まあいいじゃないですか。ほら、見てください」
天龍「おお、こりゃあ……」
吹雪「わぁ……」
長門「ちょうど日没だな」
赤城「綺麗ですね……」
加賀「ええ。これだと、今夜から明日はよく晴れるでしょう」
風を感じながら、提督はいつか響が口にしたことを思い出していた。
それは大逸れた比喩ではあったが、しかし周期的に反復される日々にも微細ながら変化は存在するはずである。
何気ない一瞬を切り取って、それを幾許かの感慨と共に認識する。以前では考えもしないことだった。
響「司令官、今日は……」
提督「いいさ。また、今度」
響「うん」
静かだが、あたたかな時間が流れていた。
今宵はここまで。
大変遅くなりました。
会話劇やキャラについてのレス、恐縮です。ありがとうございます。
相変わらず遅筆ですが励みになっております。
次回更新は21日を予定。日付宣言した方が自分に厳しく出来ますね。
―――
――
―
―食堂―
赤城「では提督、音頭を」
提督「ああ」
提督「さて、みんな既に気づいているかと思うが、本日も新しく4人の仲間が増えた」
提督「これから共に戦っていくことになる4人を、この場を借りて紹介する」
提督「簡単に挨拶を」
叢雲「叢雲よ。よろしく」
球磨「球磨だクマー」
如月「如月と申します」ペコリ
弥生「初めまして、弥生、着任しました」
四人「よろしくお願いします」
一同「よろしくお願いします!」
提督「ありがとう」
提督「さて、始めようか」
提督「しかし音頭と言っても、特段変わったことはないのだが……。ふむ」
提督「夕立」
夕立「え、はい」
提督「今日は1日提督、お疲れ。みんなもお疲れ様。乾杯!」
一同「かんぱーい!」キン
長門「……うむ、うまい」
赤城「あら、夕立さん、もう酔いが?」
夕立「ち、違うよ! ちょっと、恥ずかしかっただけだよ///」
加賀「何も恥じることはないと思うわ。とても頑張っていたもの」
長門「加賀はもう酔っているのか?」
加賀「な、何を!?」
夕立「うへぇ、やっぱりダメだったっぽいー?」
赤城「ふふ……違うわ。加賀さんが素直に褒めるのが、意外だったのでしょう?」
長門「ああ、そうだな」
加賀「酷い言われようね」
――――――――――
川内「わはははは!」
川内「夜戦じゃ夜戦じゃー!」
睦月「ちょ、川内さん、暴れちゃダメです」
睦月「ほら神通さんも、何か言ってあげてください」
神通「ふふふ……。私も教導艦、やってみたいですね……」
睦月(ダメだー! 完全に思考がどこか遠くに逝っちゃってるよ)
睦月「(如月ちゃん、どうしよう……)」
如月「(うーん、潰れてくれるのを待つしかないんじゃ……)」
天龍「いいぞ川内! いけいけー!」
睦月「(えー! でもほら、司令官のテーブル見てよ)」
如月「(あら……)」
睦月「(ねー? あの冷やかな目、後で雷が落ちたら大変だよ?)」
睦月「(どうしたらいいんだろう……)」
睦月「あ」
龍田「はいはい天龍ちゃん飲み過ぎですよー?」
天龍「はぁ? んなわけねーだろ、もっとオレに飲ませろよ!」
龍田「みんなにご迷惑掛けてしまう前に、寝ましょうねー?」
天龍「あ、ちょ、引っ張るなって」
吹雪「あ、龍田さん」
龍田「あら、吹雪ちゃん。飲み会、楽しんでる?」
吹雪「いえ、ここでの治安を守ることが私の務めです!」(敬礼)
龍田(少し飲んでしまったのかしら?)
龍田「えっと……。頑張ってね」
吹雪「はい! 駆逐艦吹雪、頑張ります!」
如月「吹雪ちゃん、大丈夫かしら……」
深雪「あ、天龍! もう寝ちゃうのかよ!」
天龍「わ、わりぃ……。龍田がダメだって」
龍田「ごめんなさいねー」
睦月(あ、天龍さん、もうフラフラなんだ)
叢雲「……いつまで飲んでるのよ?」
深雪「飲めるだけ飲むぜ!」
叢雲「馬鹿じゃないの? 潰れないうちに、切り上げなさい」
叢雲「ほら、お水」
深雪「この深雪さまにお冷なんて――」
叢雲「あ、そこ、ゴキブリ」
深雪「きゃあ!」ガタッ
深雪「うわっとっとぉ……」
叢雲「……」トス
深雪「……あ、ごめん。足が、もつれて……」
叢雲「ぷっ、あっはっは!」
叢雲「きゃあ、って何よ、きゃあって」フフ
深雪「うっさい///」
叢雲「……お水、飲む?」
深雪「うん……」
如月「叢雲さん、面倒見がいいんですね」
叢雲「っ!」クルッ
叢雲「冗談。私が後で困らないように、働いてるだけよ」スタスタ
睦月「あ、行っちゃった」
如月「ふふっ……。耳まで真っ赤」
睦月「間宮さんのお手伝いしてるのかな」
如月「そうみたい。それ以外にも色々と気を配っているようね」
睦月「でも……」
川内「クマちゃんクマちゃん、君はかわいいねー!」
球磨「うー、なでなでしないで欲しいクマー」
川内「いいじゃんいいじゃん、もっと触らせてよそのもふもふの髪ー!」
睦月「川内さんはみんなどうにも出来ないって感じだね。吹雪ちゃん、諦めてたし……」
如月「あ、司令官が」
睦月「え? わ! 如月ちゃん、逃げよう!」
如月「え、ええ」
ワイワイガヤガヤ
提督(やかましくて敵わん)
提督「ちょっと行ってくる」
赤城「いってらっしゃいませ」モグモグ
ガタ
川内「あ、提督ー、後で夜間演習しようよ!」
提督「いいだろう、但し条件がある」
川内「おお~? それは何だね提督」
提督「私とジャンケンの10番勝負だ。1回負ける毎に、敗者はこいつをダブルで飲む」
川内「あはは! 提督ノリいいけど、潰れても知らないよー?」フフン
提督「望むところだ。君が勝ったら言うことを聞こう」
北上「お! 提督と川内のじゃんけんバトルだね」
球磨「面白そうだクマ」
川内「ギャラリーを背負ってるよー! 負けられないね!」
提督「では」
川内「じゃーんけーん、ぽん!」
――――――――――
川内「ていとく、ていとく」
提督「どうした?」
川内「いま、いまにゃ、なんしぇ、なぁんしぇんめです、でした、っけ……?」
提督「まだ3戦目だが?」
球磨「え」
川内「あれー……うそー……んなばかなー……」
北上(うそだよ! もう7戦目だし)
川内「にゃら、にゃら、まだ、まだ逆転、逆転が……」
球磨「(提督はじゃんけん強過ぎるクマ。流石に川内がかわいそうだクマ)」
北上「(そだね)」
北上「ちょっと休んだらどう?」
川内「んーきゅうけい、きゅうけい……」
北上「提督、ちょっとそこに寝かせてくるね」
提督「いや、流石に私がやろう」ガタ
北上「そう?」
球磨「……球磨は提督とだけはじゃんけんしないと決めたクマ」
北上「あはは……」
弥生「失礼します」ガタ
鈴谷「お、ちぃーっす! もしかして、挨拶回りとか?」
弥生「はい。さっきは司令官のテーブルに、お邪魔してました」
飛鷹「なかなか勇気あるわね」
弥生「そうなんですか?」
白雪「鎮守府のエースが揃っていますから、私なら気が引けてしまうかもしれません」
弥生「ああ、なるほど……。弥生は、気になりませんでした。皆さん、優しかったです」
鈴谷「弥生っちもこれ飲むー?」
弥生「い、いえ、お気遣いなく」
鈴谷「むぅー、つれないねー」
飛鷹「そんな強いの飲んでて、後でどうなっても知らないわよ」
鈴谷「大丈夫だって」
弥生「ところで、その……。弥生っち、というのは?」
鈴谷「弥生っちは弥生っちっしょ! あだ名だよあだ名ー」
弥生「あだ名、ですか……」
鈴谷「ありゃ、弥生っち、もしかして怒ってる?」
弥生「怒ってないです。すみません、表情硬くて……」
弥生「ちょっと、こういう時、どんな顔をしていいかわからないので……」
鈴谷「笑えばいいと思うよ!」
飛鷹「弥生ちゃんがあだ名をもらって嬉しいの前提なのね……」
鈴谷「ほらほら、こう、にこー、って」
弥生「こ、こうでしょうか」ニカー
鈴谷「あー」
鈴谷「ちょっち違うね。こうでしょ」グニー
白雪「わぁ!」
弥生「ふうぇ、いはいへふぅ……」
飛鷹「ちょ、ちょっと何してんのよ!」
弥生「あぅぅ……」
鈴谷「あ、もしかして痛かった?」
弥生「……」キッ
鈴谷「ひぃ」
鈴谷「ご、ごめんなさいごめんなさい!」
弥生「……」
弥生「ふふっ」
鈴谷「あ、れ……?」
弥生「……次からは、もっと優しく教えてくださいね?」ニコ
鈴谷「おぅふ!」ズギューン
バタン
飛鷹「ちょ、鈴谷!?」
飛鷹「……寝てる」
飛鷹「やっぱり酔っぱらっていたみたいね」
弥生「だ、大丈夫でしょうか?」オロオロ
飛鷹「平気よ。そっとしておきましょう」
飛鷹「ところで、先に川内たちに会いに行ったの、ちゃっかりしてるのね」
弥生「ええと……。別に狙ってそうした訳じゃありません」
弥生「でも結果的に見れば、よかったですね。まさか、あんなに酔っぱらう人だと思わなかったです」
飛鷹「まあ酔っぱらうというか、お酒に飲まれやすいというか……」
白雪「弥生ちゃんは、建造ではないんでしたっけ?」
弥生「はい。那珂さんに拾われたみたいです」
白雪「……そういえば、那珂さんを見ませんね」
弥生「え? あそこに座っている方は違うんですか?」
飛鷹「あなたを拾った方はそうなんだけど……」
弥生「どういう、ことですか?」
飛鷹「あー……。見ていればわかると思うわ」
弥生「??」
摩耶「実戦、思ったよりキツかったなぁ……」
金剛「摩耶はよく動けていたネー!」
摩耶「まあ演習をやった成果は出てたんだろうけど、6隻での戦い方は……。予想以上に考えることが多かった」
足柄「ちょうど今日、提督とそのことについてじっくり話したわ」
摩耶「足柄が聞いたのか?」
響「いや、待機メンバー全員で講義みたいなことをしたんだよ」
金剛「それはそれで退屈そうデスネ」
摩耶「それで、どんな話を」
足柄「ええと――」
那珂β「はいはーい! 那珂ちゃんだよー! みんな飲み会楽しんでるー!?」
那珂β「今日も、那珂ちゃんが、会場を盛り上げてあげるねー!」
金剛「Wow」
那珂「ついに来たね……」
那珂「ちょっと行ってくるよ」ガタ
摩耶「那珂」
摩耶「アイツを、黙らせてくれ」
那珂「……黙らせるのはいいけれど、別に、あの子を潰してしまっても、構わないのでしょう?」
摩耶「ああ。遠慮なくやっちまえ」
響「背中で語る後ろ姿だね」
那珂「那珂ちゃーん!!」
那珂β「あ、那珂ちゃん! 今日も那珂ちゃんの邪魔をしにきたんんだね!」
那珂β「でも今晩はそうはいかないよ!」
那珂β「いくら那珂ちゃんが宇宙No.1のスーパーアイドルだからって、嫉妬で活動妨害するのは感心しないなー!」
那珂β「悔しかったら、フェスで正々堂々勝負しなよ!」
那珂β「那珂ちゃんは、アイドルの理想像なんだから、逃げも隠れもしないよ!」
那珂(彼女の精神性は、在りし日の私……)
那珂β(彼女は理想に裏切られたんだ。アイドルという理想に)
那珂(あの子のすべてを、私は否定したくない)
那珂β(私が輝き続けなきゃ、あの子は自分を心から許せない)
那珂(でも、だからこそ私が、あなたの敵になって、その責を半分だけ背負ってあげる!)
那珂β(理想を貫き通す喜びを、あなたに伝えたい!)
那珂「那珂……」
那珂β「なに?」
那珂「アイドルは歌って踊ってるだけじゃ、ダメなのよ」
那珂β「へ……?」
那珂β「どういうこと……?」
那珂「歌って踊れれば宇宙No.1アイドル? はっ、笑わせるわね」
那珂β「なんですって!?」
那珂「私があなたをプロデュ―スしてあげる」
那珂β「那珂ちゃんには、そんなお節介、必要ないもん!」
那珂「那珂、あなたは、クイズで響ちゃんに負けたよね」
那珂β「……っ」
那珂β「そ、それは……」
那珂「アイドルだからって、頭が悪いのが許されるとでも思っているの?」
那珂「私たちが戦いで勝つためにも、これからは頭の切れるアイドルが必要なのよ」
那珂「だから」
那珂「私と勝負しましょう。クイズ10番勝負、負ける度に罰ゲームとしてアレを1杯飲む」
提督「おいおい本気か? これ結構キツイぞ」
那珂β「……いいよ。那珂ちゃん、“自分”には負けないから」
那珂(かかった――)
那珂「響ちゃん」
響「なんだい」
那珂「出題と審判を頼むわ。お題も決めてくれて構わない」
響「いいよ」
響「じゃあ……」
響「海軍クイズで」
――――――――――
吹雪「もう、司令官! 川内さん潰したでしょう?」
提督「さぁ、何のことだかわからんな」
吹雪「危ないですよ!?」
提督「私は別に強要はしてない。乗ってきたのはあいつだ」
提督「ま、大丈夫だろう」
川内「う~……」
吹雪「あ、しっかり。掴まってください、こっちへ」
テクテク
提督「吹雪はいい子だな」
提督「戻ったか」
鳳翔「ええ」
提督「お疲れ」クイッ
間宮「ありがとうございます」スッ
間宮「……っ。ふぅ……」
間宮「では、私は厨房に戻りますね」
提督「皿を割らないようにな」
間宮「ふふ、もし指を切ったら提督に手当てをしてもらいます」ガタ
提督「妖精さんに治してもらえ」
間宮「冷たいですね」ニコ
鳳翔「失礼します」
鳳翔「これで最後ですよ」
赤城「鳳翔さん、ありがとうございます!」ガツガツガツガツ
鳳翔「提督、楽しそうですね」
提督「ふっ、楽しいものか。さっきも那珂たちがクイズをやり出して大騒ぎだったな」
長門「結局、共倒れだったが」
夕立「那珂ちゃん飲み過ぎたっぽいー」
加賀「感心しませんね、ああいった飲み方は」
飛鷹「でも大分落ち着いたわね」
提督「そうだな。何人か、面倒見のいい娘たちが、介抱してくれたようだが……」
加賀「これでゆっくり飲めるというものね」
長門「平和なものだな」
提督「まったくだ……」
提督「少し、外の空気を吸ってくる」
ガタ
夕立「…………」
―テラス―
ガチャ
提督「夕立か」
夕立「うん」
提督「身体を冷やすぞ」
夕立「カーディガン羽織ってるから、大丈夫っぽい」
夕立「それに……」
ギュウ
夕立「こうすれば、あったかいよ?」
提督「……暑苦しいな」
夕立「えぇー、ヒドイっぽい! もっと暑苦しくしてやるんだから!」ギュウ
提督「胸、当たってるぞ」
夕立「ふふん、当ててるのよ」ドヤ
提督「なんだ、酔っぱらってるのか?」
夕立「うん、酔って歩けないから、提督さんが支えてほしいな」
提督「手をとって導くくらいなら考えよう」
夕立「……」
夕立「こうしてると、恋人みたいね……」チラ
提督「…………」
夕立「星、綺麗……」
提督「ああ」
提督「今日は新月の夜のようだ。いつもより空が明るい」
夕立「でも海はこんなにも暗いのね」
提督「……相対的に周囲が暗くないと、星はよく視えない」
夕立「……」
夕立「提督さん」
提督「うん?」
夕立「好きよ」
提督「…………」
夕立「あなたが、好き」
提督「そう、か……」
夕立「…………どうして」
夕立「どうして何も応えてくれないの?」
提督「……」
提督「…………君の気持ちには、応えられないから」
夕立「それは、どうして?」
夕立「なぜあなたは、そんなに悲しそうな顔をするの?」
夕立「私には、輝きが足りないの?」
提督「いや、むしろ眩しすぎるくらいだ」
提督「他の光の中に、君が埋もれて視えないと感じたことはない」
夕立「じゃあ何なの!? 教えてよ!」
提督「…………確証がないからだ」
夕立「確証ですって!? あなたは自分の気持ちも満足に推し量れないの?」
提督「誰しも、自分の想いを自分が最も理解していると、そう誤認しがちだな……」
夕立「ば、馬鹿にしないで! 私は見誤らないし、あなたのような人に限って、こんなことが……」
提督「或いは、買被り過ぎなだけかもしれんぞ」
夕立「……提督さん。あなたはきっと、自分に酔ってる」
夕立「自分に対する、理に適わない悲しみを背負って、そんな悲しい目で私を見ないでほしい……」
夕立「夕立はそんな提督さんを、好きになったわけじゃない」
提督「……ごめんよ」
夕立「わかんない……。夕立には、全然わからないよ!」スッ
夕立「あなたが……。あなたの優しさが…………」
夕立「……今日は、もう寝ます。おやすみなさい」
タッタッタ
提督「……」
提督(わからない)
提督(まだ何も視えない)
提督(真っ暗だ)
今宵はここまで。
皆さんイベントお疲れ様でした。
ところで今期アニメはシドニアが面白いですね。洲崎綾が光ってます。
次回更新は25日夜を予定。
来週もはりきってまいりましょー
―――
――
―
―寝室―
提督「…………ん」
提督(朝……か)
提督(まだこんな時間……。寝たのが早すぎたな)
提督「……」
―食堂―
提督(まだ少し暗い……)
提督(!)
提督「おはよう」
響「おはよう、司令官。早いね」
提督「響か……」
響「司令官も、お酒を飲むと早く起きてしまう口かな」
提督「バレたか」
響「はい、お水」
提督「ありがとう」
響「何か……」
提督「?」
響「何か、気がかりなことでも、あるの?」
提督「……いいや」
提督「そんなものはない」
響「そう……」
響「……夕立が、泣いてたよ」
提督「彼女には、諦めてもらうしかない」
響「……それは例えば、私が願ったとしたら、叶うことなの?」
提督「…………」
響「そう、なんだ……」
提督「何を想像したか知らないが、余計なことは考えないことだ」
響「その言葉は、そっくりそのまま、あなたに返すよ」
提督「……」
響「でも、私は司令官のこと、信じられる」
響「今、確信出来た」
響「もうこの話はしないよ。ごめんなさい」
提督「いや、いいんだ」
響「……シャワー、浴びてくるよ」
提督「ああ。また、後でな……」
―――
――
―
―司令室―
提督「作戦内容を通達する」
提督「引き続き、遠征は第二と第三艦隊で回す」
提督「第二艦隊、旗艦吹雪。以下、睦月、深雪、白雪、龍田、那珂β」
提督「第三艦隊、旗艦天龍。以下、如月、弥生、叢雲、北上、殿は川内」
提督「両艦隊、共に今までより少し長めの航海で組んでいる」
提督「編成メンバーは固定。細かい再編成もなし」
提督「こちらが明細書だ」パラ
吹雪「頑張ります!」
天龍「任せろ」
提督「何か質問は?」
吹雪「あの……」
提督「なんだ?」
吹雪「この前の護衛任務より、海域が……」
提督「そうだな。敵艦隊との接触の危険性は高くなるだろう」
提督「心して、掛かってほしい」
吹雪「はい!」
提督「続いて第一艦隊」
提督「東部オリョール海に出現した敵艦隊群を排除し、海域を制圧せよ」
提督「旗艦は夕立。以下長門、金剛、那珂、赤城、殿は加賀」
提督「夕立、いけるか?」
夕立「はい、問題ありません」
提督「よし」
提督「バシー島周辺では強力な敵艦も出現している」
提督「オリョール海でも、充分に注意しろ」
金剛「Enemyをぶっ飛ばすネー!」
提督「また残りメンバーは演習を行う。後ほど詳細を通告する」
那珂「提督、質問が」
提督「どうした?」
那珂「装備変更、これは?」
提督「実験的にな。ものは試し、ということだ。使ってみろ」
那珂「わかりました」
提督「では直ちに散開。総員、出航準備にかかれ」
一同「了解!」
響(夕立……。変に引き摺らなければいいけど)
―――
――
―
―海上―
夕立「今のところ敵艦影なし、か……」
長門『カムラン半島側に沿って移動したのは正解だったようだな』
夕立「ですが、これだけ航行すればいつ接触してもおかしくはないですね」
赤城「!」
赤城「敵艦見ゆ! ここより11時の方角」
赤城「重巡リ級、雷巡チ級、軽巡ト級は赤のオーラ、elite艦です」
赤城「続いて軽巡ヘ級、駆逐ロ級、駆逐ロ級。東南東にその針路を示しています」
夕立「なるほど。まずはこのまま直進して北上、その後緩やかに東へ向かいながら迎撃しましょう」
夕立「これより第一艦隊は戦闘海域へ突入」
夕立「赤城、加賀の両名は艦載機による先制攻撃の準備を」
赤城・加賀「「了解」」
夕立「長門、金剛は発砲準備。主砲で叩き込んでください」
長門「了解した」
金剛「Aye sir!」
夕立「提督さん、視えてる?」
提督『ああ、問題なく』
赤城「敵偵察機、撃墜しました。第一波先行隊、爆撃態勢に入ります」
赤城「爆弾投下!」
加賀「夕立。やはり敵艦隊は針路を東に変えてきているわ」
夕立「そう易々と丁字有利を引かせてはくれないわね。こちらも面舵!」
夕立「バシー島方面へ向き、同航戦を維持せよ!」
金剛「いつでもイケマス!」
那珂「こっちも。主砲は換装済みだからね」
赤城「駆逐ロ級2隻の大破炎上を報告します」
夕立「了解。那珂と私は追撃に回ります。各艦、砲戦開始!」
長門「発射用意……。斉射、てぇー!!」ズドーン!
金剛「Fire!!」ズドーン!
加賀「第二次攻撃隊、発艦始め」
那珂「うてぇー!!」ドドーン!
赤城「敵艦、順次発砲!」
加賀「攻撃開始地点へ到達」
加賀「魚雷投下」
金剛「ぐっ……」ガッ
那珂「金剛さん!」
金剛「かすり傷ネー。問題Nothing!」
赤城「リ級ト級、大破炎上。沈んでいきます」
長門「並びにチ級とへ級は轟沈」
加賀「こちら雷撃終了。帰還させます」
那珂「わぁ……」
夕立「……わかってはいるけど、雷撃戦距離に肉薄するまでもないわね」
加賀「あなたたちは、いざという時まで温存してもらわなくては困るわ」
加賀「……私たちは、夜間では役に立てないもの」
夕立「加賀さん……」
夕立「戦闘終了」
夕立「敵巡洋艦隊、撃破しました」
提督『ご苦労。損害は?』
夕立「軽微です。維戦には問題ありません」
夕立「作戦を続行します」
提督『了解した』
夕立「ふぅ……」
夕立「皆さん引き続き、警戒を怠らず進みましょう」
金剛「Yes!!」
長門「夕立……」
夕立「え、はい?」
長門「どこか、無理、していないか?」
夕立「え……」
長門「……」
夕立「あ、はは……。そんなことないよ! 大丈夫っぽい!」
那珂「大丈夫っぽいって、大丈夫じゃないんかい!」
夕立「……大丈夫。私は、戦えるよ」
長門「そうか。……要らぬ心配だったな。すまん」
夕立「いえ……」
夕立「では第一艦隊、このまま東へ進み、バシー島を経由」
夕立「その後北北東へ針路を変え、オリョール海を目指します」
一同「了解!」
―――
――
―
赤城「敵艦隊発見! 方角は真北!」
夕立「本命ね! 封鎖解除」
赤城「戦艦ル級が旗艦。赤のオーラを纏っています」
夕立「戦艦のelite艦……」
赤城「以下、ル級、ヲ級、リ級にへ級が2隻。南下しています」
赤城「航空戦を始めます! 零式艦戦21型、発艦!」
加賀「発進準備良し。九九艦爆、九七艦攻、発艦開始」
夕立「遭遇した艦隊を敵主力打撃群と認定」
夕立「強力な打撃部隊と会敵しました」
提督『どう動くつもりだ?』
夕立「敵はここより北から、南に向かってきています」
夕立「真っ向勝負は望めそうにありません。でも針路を少しだけ東へ逸らします」
夕立「面舵!」
金剛「Roger that!」
赤城「まもなく、敵戦闘機と交戦!」
夕立「各艦、対空砲火準備!」
夕立「敵戦艦は戦艦のお二人に任せます。でも旗艦のル級には充分注意してください」
長門「ああ、任せておけ」
提督(反航戦になるな)
那珂「対空準備良し!」
赤城「制空権、確保! 僅かに突破した攻撃隊が来ます、注意を」
加賀「攻撃態勢に移行……」
夕立「対空砲火用意……」
夕立「てぇー!!」ズダダダダダ!
長門「てぇー!!」ドドーン!
金剛「撃ちます、Fire!!」ドドーン!
那珂「当たれー!」ドドーン!
赤城「へ級の1隻は撃沈。もう1隻は中破しました」
夕立「了解! 総員砲戦準備!」
長門「私は旗艦を叩く。金剛は後続のル級に照準を」
金剛「任せるネー!」
長門「主砲発砲準備良し。第一、第二主砲、斉射!」ズドーン!
金剛「Burning Love!!!!」ズドーン!
夕立「敵艦発砲!」
赤城「攻撃隊、発艦させます!」
加賀「旗艦、小破。続いてル級、中破しています」
長門「クソ……。硬いな」
那珂「ぐぁ!」ドカーン!
金剛「那珂!?」
那珂「……ごめんなさい、中破してしまいました」
那珂「でも……。やれます、うてぇー!!」ドドーン!
赤城「きゃあ!」ガツン!
夕立「赤城さん!」
赤城「大丈夫、発着艦に問題はありません」
金剛「次の攻撃に備えマス」
加賀「空母ヲ級は飛行甲板を損傷。重巡リ級の中破を確認」
夕立「てぇー!!」ドドーン!
長門「次こそはその装甲を剥いでやる」
長門「主砲一斉射、てぇー!!」ズドーン!
金剛「全砲門、Fire!」ズドーン!
加賀「うっ!」ガツン
加賀「頭に来ました。第三波攻撃隊、発艦」
那珂「ああっ!」ドカーン!
夕立「那珂、大丈夫!?」
那珂「大破、しました……」
夕立「ダメージコントロールに集中して!」
夕立「! 狙わせないよ。照準良し、うてぇー!!」ドドーン!
赤城「こちらも加賀さんに続き、追撃します。発艦!」
長門「……旗艦、中破。ル級は大破。だがまだ航行可能なようだ」
夕立「このまま戦線離脱されるわね……」
夕立「これが最後よ。魚雷発射!」バシュ
金剛「Ow!」ガッ
金剛「……ちょっとだけ被弾したネー」
赤城「空母ヲ級、大破炎上。傾斜を確認。沈みます」
加賀「重巡リ級、撃沈しました」
加賀「戦艦ル級、沈んでいきます……。旗艦のelite艦は未だ健在。加速を確認」
長門「くっ……。届かなかった……」
赤城「全機、帰還させます」
夕立「戦闘、終了」
提督『お疲れ様。……勝てたが、厳しい戦いだったな』
提督『那珂、大丈夫か』
那珂「はい……。何とか」
夕立「……とは言え、僚艦の被害、決して無視出来ません」
夕立「敵艦隊を撃退したものとし、直ちに撤退します」
提督『ああ。各艦、警戒を怠るな』
一同「了解」
夕立「取舵一杯。反転し、西南西に針路をとります」
長門「すまない……。私が不甲斐ないばかりに」
夕立「それは……。夕立に謝ってるの?」
長門「夕立にも、那珂にも、みんなにも……」
那珂「あはは……。考え過ぎですよ」
長門「まさか。むしろ、考えが足りなかったくらいだろう」
夕立「私も、提督さんに、言われたんだ……」
長門「……?」
夕立「戦いは、チームワークだって。誰か1人が、過剰に責任を背負うのは、間違ってるって……」
長門「だが……」
夕立「わかるよ。長門さんの気持ち……」
夕立「でも、私たちは、死なない限りやり直せる。1秒前よりも、強くなれる」
夕立「だから、帰ろう? それで、私たちも演習をこなすようにお願いしてさ」
夕立「提督さんも、きっと応えてくれるよ」
長門「そう、だな……」
ザザッ
長門「ん?」
金剛「長門?」
長門「いや……。今、何か」
ザザザザザザザザザッ!
長門「なんだ? 通信に、ノイズが――」
夕立「あ゛あ゛あああああああっ!!!!」
長門「な!?」
夕立「あ゛ぐぅ、あ゛っ、あ゛あ゛あ゛!!』
長門「夕立! どうした! 何があった!?」
夕立『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――!!!!』
金剛「長門! 提督に通信を!」
那珂「何、何なの!?」
提督『どうした?』
長門「夕立が、突然悲鳴を!」
提督『何だと?』
金剛「さ、錯乱してマス!」
金剛「夕立、しっかり!」
夕立『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――!!!!』
長門「何を言っているんだ夕立!」
提督『なるほど、モニターが繋がらない。接続が断たれている』
長門「夕立の兵装、通信機器、共に暴走状態にある。もしかしたら、発砲してしまうかもしれん」
提督『何か攻撃を受けたのか?』
長門「いいや、そんなはずはない……」
長門「どうすればいい!?」
金剛「夕立が機関を停止。暴走、止まりマシタ」
提督『夕立は常態に戻ったか?』
金剛「いえ……」
赤城「どうやら緊急事態のようですね……」
赤城「索敵機を出しますか?」
提督『ああ。頼む』
赤城「加賀さん」
加賀「はい。念には念を入れましょう。後方は私に任せて」
金剛「夕立、減速していきマス」
提督『長門。迂回して夕立を追い越せ。これより第一艦隊旗艦は長門とする』
提督『金剛は夕立を曳航』
提督『もしかしたら敵艦隊の襲撃があるかもしれないが、海域離脱を最優先とし、速やかに帰投せよ』
一同「了解!」
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