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    元スレ雪乃「比企谷くんと猫カフェへ行ってきたの」

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    451 = 1 :



    結衣「ふんっ、ヒッキーとゆきのんだけ、良い雰囲気になっちゃってさ……」ボソッ

    雪乃「あら、そう言うならあなたも加わればよかったのに」

    結衣「いや、普通そこは空気読むでしょ! ……だから、見てるしか出来なかった……」

    雪乃「空気を読むって、面倒なのね」

    八幡「さすが、伊達に今まで空気を読まずに、独りで突っ走ってきた雪ノ下さんは違いますね」

    雪乃「確実に貶してるわよね」

    八幡「さ、猫も見つかったし帰るか」

    結衣「えっ!?」

    八幡「はい?」


    452 = 1 :



    結衣「……ヒッキー、正気?」

    雪乃「空気を読みなさい」

    八幡「俺は常に正気だし、空気を読まないお前には言われたくねぇわ」

    雪乃「う、うるさいわよ……」

    結衣「て、てか、普通この流れ的に、さ……」

    結衣「ど、どっちのことが…………って」

    八幡「……………………」

    雪乃「黙ってちゃ、何も解らないわよ……」

    八幡「……これだけ伝えておくわ」



    八幡「想いは、口に出さんでも、心でしっかりと通じ合うものなんだ、ってな」

    453 = 1 :



    雪乃「…………比企谷くん」

    結衣「ヒッキー……」

    八幡「……なんだよ?」


    雪乃「……それで、誤魔化せたとでも思っているのかしら」

    結衣「てか今の、昨日の火9のセリフじゃん……」

    八幡「(うわっ、あっさりバレちまったじゃねぇかコノヤロウ)」

    八幡「(あれだ、あえて月9じゃないところが八幡クオリティなんだよ。わかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ~)」

    454 = 1 :



    八幡「おい、マジで帰るぞ。あまりにここで道草食ってたせいで、猫が退屈しのぎに自分の肉球プニプニして遊んじまってるぞ」

    雪乃「今までの一件を、すべて道草扱いするのね……」

    結衣「ヒッキー、まじ最低……」

    八幡「……ああ。確かに、俺は最低だよ」

    結衣「へ?」

    八幡「……でもな、お前らに解るか?」



    八幡「……本当に、どっちとも捨てることの出来ない、この苦しみを」



    雪乃「…………どっち、とも?」

    結衣「え、何のはなs」

    八幡「ほれ行くぞ」スッ

    ぬこ「みゃー」

    雪乃「ちょ、待ちなさいっ」

    結衣「本当に帰るんだ!?」タタッ



    456 = 1 :



    陽乃「(……ねこちゃん捜してたら、公園で話し合ってる三人見かけて、草陰から盗み見しちゃった)」

    陽乃「(なぁんだ、陰から見てたのに修羅場展開は無し、か)」

    陽乃「(比企谷くんも、もっと素直に正直になったらいいのになぁ)」

    陽乃「(三人同士がトライアングルのように、三角に結ばれれば、素敵だと思うけど)」


    雪乃『比企谷くん、その抱え方は猫への負担が大きくて、腰を悪くしてしまうわ』

    八幡『は?カマクラにはいつもこうして……あれ、前に抱っこしたのって何年前だっけ……』

    結衣『うわ……聞きたくなかったそのセリフ……』


    457 = 1 :



    陽乃「(…………ううん、もう結ばれてるね)」



    八幡『べ、別に嫌われてるってわけじゃねぇし……気に入られてないだけだろ』

    結衣『意味同じだよ、ヒッキー……』

    雪乃『全く、好かれないのね…………猫には』

    結衣『そだね、猫には……ね』

    八幡『…………なにさりげなく寄ってきてんだよ』

    結衣『は!?よ、よよ寄ってないし!自意識過剰とかまじキモいし』スス

    八幡『今あからさまに意識して離れたろ……』

    雪乃『くすっ』

    結衣『あ、あれ、ゆきのん……離れないんだ』

    雪乃『? 離れなければならない決まりなんて、無いわよ?』

    結衣『開き直ってる!?』


    458 = 1 :



    陽乃「(……私の勘は、どうやら外れてたみたい)」

    陽乃「(想いを伝えたことによって、今までの丁度良い距離感が崩壊すると思ってたけど、)」

    陽乃「(……その距離感が心地好くて、お互いが手放したくないほどにしっかり嵌まってれば、簡単には壊れない)」

    陽乃「(むしろ、より親密になっちゃってさ……)」

    陽乃「(……彼たちのこと、見くびってたなぁ、私)」


    ガサッ




    陽乃「…………平等に、愛してね。比企谷くん」



    陽乃「雪乃ちゃんと…………結衣ちゃんのこと悲しませたら、お姉さん怒るんだから」クスッ


    459 = 1 :



    ・・・・・・・・・・

    カランコロン


    八幡「ただいまー」

    小町「お兄ちゃん! ね、ねこちゃんは?」

    雪乃「心配要らないわ、ほら」スッ

    ぬこ「みゃー」

    小町「あっ! 良かった~……」

    八幡「さっきまで俺が抱いてたのに途中からこいつ、」

    『……猫、あなたの腕のなかだと居心地悪そうよ。代わりなさい』

    八幡「……とか言って、半ば無理矢理に奪ったんだぜ」

    結衣「ちょっと可愛かった……ゆきのん」

    雪乃「由比ヶ浜さん、白百合が咲きそうな発言は止してほしいのだけれど……」


    460 = 1 :



    結衣「ち、ちがっ、そういう意味じゃないって!」

    結衣「……まぁ、確かにゆきのんのことは好きだけど……」

    雪乃「……そう言われても、困るわ」

    結衣「……えへへ」


    小町「(あ、あれ? 小町のいない間に、お兄ちゃんハーレム物語は終幕して、代わりに違うルート始まっちゃった?)」

    八幡「(もうコイツら同士が愛し合えばよくないかこれ)」

    八幡「(……おい、そしたらこの二人分の想いはどうなるんだ。火曜の燃えるごみの日に捨てろってか)」


    461 :



    カランコロン

    陽乃「たっだいまー! いやぁ、ねこちゃん見つからなかったよぉ……」

    雪乃「姉さん……」

    ぬこ「みゃっ」

    陽乃「あれっ、雪乃ちゃんたち見つけてたんだぁ! なんだ、良かったぁ」

    雪乃「その……姉さん、」

    陽乃「ん?」

    雪乃「……その……協力してくれて、……ありがとう。」

    陽乃「……ふふ、いつ振りだろうね、雪乃ちゃんからお礼貰うの」

    雪乃「……久しく、伝えてなかったかしら」

    陽乃「そうだよー? ま、これも、雪乃ちゃんが成長した証かな」

    陽乃「……いっちょまえに、三角関係なっちまいやがって♪」ボソッ

    雪乃「? 何か言ったかしら?」

    陽乃「なーんにもっ、にひひ」


    462 = 1 :



    八幡「(……この人、もしかして見てたのか……?)」

    陽乃「ん? どったの義弟、こっち睨んで」

    八幡「ぅあ、いや、睨んでないしアンタの義弟じゃねぇし」

    雪乃「そうよ……まだ、違うわよ」

    陽乃「んっ?」

    雪乃「っ!……」キッ

    八幡「いや、なんでお前は俺を睨むんだよ!」

    八幡「(……ダメだ、陽乃さんには敵わないわ)」


    463 = 1 :



    結衣「あ、あたしは……?」ウルッ

    雪乃「泣かないの、由比ヶ浜さん」


    雪乃「……あなたとは以前から、身内のように、接しているつもりだから……//」


    八幡「(言い方が回りくどいだろうよ、『家族の一員だ』で済む一言を)」


    結衣「ゆ、ゆきのん~~っ!!」ダキッ

    雪乃「ちょ、ちょっと……//」

    八幡「(いやおい、あんな言葉のチョイスでよく泣いて喜べるな)」

    小町「(これはキマシタワー……)」


    464 = 1 :



    陽乃「そしたらほら、ねこちゃんも見つかって一件落着したことだし、今度は皆で猫カフェを堪能しようじゃないの♪」

    雪乃「姉さん、名案だわ」

    八幡「ほんと猫好きな……」

    雪乃「ええ、もちろん」

    結衣「……どうしよ、ここで愛でまくったら、帰るときに別れが恋しくなるよね……」

    八幡「もうお前らここ住めよ」

    ぼっちぬこ「びゃー」

    八幡「わっ、ビックリし……ってお前かよ、何だよ」

    ぼっちぬこ「にゃでろー」クネクネ

    八幡「なんだそのいかにも、撫でなさいあなたと言わんばかりの身体のうねり方は」


    465 = 1 :



    雪乃「良かったじゃない比企谷くん。ただでさえ動物に好かれないあなたを気に入ってくれた猫がいて」

    結衣「なんだろ、目の腐り方が似てる……」

    八幡「るっせぇ」

    八幡「(え、てかまだ腐ってるのん? 恋をすると綺麗になるんちゃうのん?)」

    雪乃「あら、そういえばビスケットがまだ余ってたわね」

    でぶ猫「ふしゅるるる」

    結衣「あははっ! この子、ビスケットで食い付いた」

    雪乃「まったく、さっきもあげたでしょう? ほら、あげるわ」

    でぶ猫「ゴラムゴラム!」バリボリ

    八幡「(材木座先生、人間として生まれなかったらまだ可愛いげがあったんだろうな。どうして生まれてきたのだろう)」


    466 = 1 :



    ・・・・・・・・


    雪乃「ふふ、眠いの? 大きなあくび。ねんねしなさい」


    結衣「ひゃーー!毛ぇフワッフワ! 飽きないーー♪」ワシャワシャ

    そこの猫「ぐるるるる……」


    小町「うーん、キミに名前を付けるとしたらなんだろ…………ブタゴリラ?」

    でぶ猫「ぶるるるる」

    陽乃「あはははっ!豚でもゴリラでもないのにっ!」ケラケラ


    八幡「おいお前ら……もう帰ろうぜ……」

    雪乃「比企谷くん、いま良いところなの」

    八幡「それ1時間前にも言ってたろよ……」


    467 = 1 :



    ・・・・・・・・・・

    カランコロン


    店員「ありがとーごさいまーした」

    結衣「あー、楽しかったし可愛かった!」

    雪乃「こんなに長い時間、猫と戯れたのは初めてね」

    八幡「(あの後、更に2時間も居座るとか……)」

    八幡「(お前らあれか、たまの休みにデパートへ買い物に来たワークウーマンか。行こうみんなでMITSUKOSHI♪ またはルミネ)」

    八幡「(てかCMの吉幾三、なぜ消えたし……。実況掲示板で『イこう、みんなでワークマン♂』って打てなくなっただろふざけんな♂)」

    八幡「(それ以前にあれだ、ワークマンって英語、正しくは『ワーキングマン』じゃねぇのか……ふざけんな♂)」


    468 = 1 :



    陽乃「いやー、今日は来て良かった! じゃ小町ちゃん、二人で一緒に帰ろっか♪」

    小町「え、ふ、二人でですか? それならお兄ちゃんも加えて、結衣さん雪乃さんだけを……」

    陽乃「だーめ。ほら、行くよ」ギュッ

    小町「わわっ!」

    八幡「あ、小町っ」

    小町「(ひえーー、陽乃さんに腕掴まれてどこへ連れてかれるのーー!?)」ズルズル

    結衣「……行っちゃった」

    雪乃「即行で連行されたわね……」

    八幡「(はぁ……余計な気を遣ってくれるな、陽乃さん……)」


    469 = 1 :



    八幡「……三人で帰るか」

    結衣「うん、そだねっ」

    雪乃「ここから少し歩くのよね……バテないかしら」

    八幡「そんなんでバテるとか……東武野田線のホーム端から端まで歩くだけでも息上げそうだな」

    雪乃「それくらいなら大丈夫よ。馬鹿にしないでちょうだい」

    八幡「え、えぇ~~?」

    結衣「てかヒッキー、いまは野田線じゃなくて『東武アーバンパークライン』だよ?」

    八幡「いいや、俺は断固として野田線で通すぞ」

    八幡「(幕張在住だから野田線なんてちっとも利用しないけど)」

    470 = 1 :

    次回の更新でようやく完結する予定です(たぶん明日)

    おやすみなさい

    471 :

    おつおつ
    ついに終わるんか長かったな

    472 :

    おつ

    473 :



    ・・・・・・・・・・

    ガタンゴトン ガタンゴトン...


    八幡「(そして俺たちはなんら問題無く、スムーズに元来たルートをたどり帰っている)」

    八幡「(……ほんの数時間前、三人は恥ずかしながら、素直に想うところをさらけ出したのだ)」

    八幡「(それなのに、なんだ。あのとき公園で経た出来事は、まるで幻だったかのような、)」

    八幡「(体験した、という実感が湧かない)」

    八幡「(……まぁ仕方ないか。俺なんてちゃんとした返事伝えないまま、公園を去ったわけだし……)」

    八幡「(……そして、この空間には当事者三人が揃っているわけで、しかも一緒に帰ってるわけで……」


    474 = 1 :



    八幡「(…………なのに)」


    結衣「あれ、ゆきのん、バッグの中のその包みなに?」

    雪乃「これ? ビスケットが少し残ったから、持ち帰ることにしたの。勿体無いでしょ」

    結衣「へー!ゆきのん意外と倹約家!」

    雪乃「……それは、褒め言葉…………なのよね。由比ヶ浜さんが皮肉めいた発言なんて出来ないし……」ボソッ

    結衣「んん?」ハテナ


    八幡「(……随分と楽しげに会話してますな、おふたりさん……、おふたりさん……空を見上げりゃ(ry)」


    八幡「(てか普通はあんな恥ずかしいことした後、気まずくなるもんなんじゃないんすかね?)」

    八幡「(え、単にこれって俺が気にしすぎなの?」

    八幡「(初めて告白まがいなことされたもんだから、ムショーにムダにドキドキMAXな感じアタシ?)」


    475 = 1 :



    八幡「(っかしーなぁ……ラブコメ漫画じゃお互い意識しすぎちゃって物を取ろうとするとお互いの手が重なりあっちゃって更にお互いの視線も重なっちゃってお互いのレバーがホルモンホルモン!!俺なに考えてんだろ……)」

    結衣「どしたのヒッキー、疲れた顔して」

    八幡「……あぁ、まあな」

    八幡「(そう質問されたからって、気安く『三角関係なんて初めてなもんでつい』とか言い出せないし)」

    八幡「(ましてや遠回しに『いや、ポリンキーって何でわざわざ三角形にしてんのかなって。あれなかなかコストかかってるぜ。その点トッポってすごいよな、だって最後までチョコたっぷりだもーん』って言っても逆に通じるわけも無しに……)」



    『まもなく南船橋ー。武蔵野線・西船橋方面ご利用のお客様お乗り換えれぃーす』


    結衣「あっ、そいえばゆきのんって京葉線だから、このまま一本だよね?」

    雪乃「ええ、……本来なら、ね」

    八幡「は?」


    雪乃「……一緒に、最後まで付いていっては、だめかしら……?」


    476 = 1 :



    結衣「えっ」

    八幡「……はい?」

    雪乃「…………だめであれば、別に構わないけれど……」

    結衣「……ううん!全然オッケーだよ! ね、ヒッキー?」

    八幡「んぁ? ああ、お前がそうしたいなら、好きにすればいいだろ」

    雪乃「……ありがとう」


    八幡「(……俺はいま、彼女の無垢で柔らかな微笑みが、本物だとそう確信した)」


    結衣「いや、まさかゆきのんが『最後まで付いていく』なんて、可愛いこと言うとは思わなくて……」

    八幡「お前、それじゃクエストしているパーティに晴れて仲間入りした堅物剣豪が放ったセリフみたいだぞ」

    八幡「(少し変えるなら『命の尽きる最期まで……貴方様のお役に立てれば光栄です……』みたいな感じか。雪ノ下さんがこんなこと言ったら救急車呼ぶわ)」


    477 = 1 :



    ・・・・・・・・・


    『……次ゃー西船橋ー西船橋ー、総武線と地下鉄東西線、東葉高速鉄道はお乗り換えでぃーす』


    八幡「……たったひと駅乗っただけでまた乗り換えかよ」

    雪乃「あなたがこのルートを選んだのでしょう」

    結衣「もうっ、尾行するの大変だったんだから!」

    八幡「それはお前らが勝手にやったことだろ……いま由比ヶ浜しかいないけど」

    八幡「(……あれ、気づいたら俺まで普段通りの会話繰り広げてないか?)」

    八幡「(さっきまで、ズルズル気にしてたはずなのに……なんだ?)」

    八幡「(いやまあ、これはこれで過ごしやすくなれたから良いんだけどさ)」


    八幡「(……さすがに、ハッキリさせておかないと、後味悪いよな)」


    478 = 1 :



    ・・・・・・・・・

    ツカツカ...


    「……あはは、結局ヒッキーん家の最寄り駅まで来ちゃったね」

    「来るのは勝手だが、そこそこ時間も深いけど親は心配してないのか?」

    「大丈夫大丈夫、遅くなるって伝えてはいるからさ」

    「ならいいんだけどよ……」

    「………………」

    「どした、雪ノ下」

    「…………あまり、切り出したくはないけど、そうしないと確実に前進できないから……」

    「………………」

    「……言ってみろ」


    「…………私たち、これから、どうなるのかしらね」

    479 :

    お?

    480 = 1 :



    「…………どうなるったって……」

    「電車の中で考えたのだけれど、やはり整理しないと……これからあなたたちにどう接していけばいいのか…………」

    「ゆきのん……」

    「…………………あのさ」

    「?」

    「……どう接していけばいいのか? って問うたところで、意味はないだろ」

    「……何を言っているのか、さっぱりだわ」

    「……接し方なんて、今まで通りでいいじゃねぇか。……それが、俺たちの最も心地良い関わり方なんだからよ」

    「でもっ、私と由比ヶ浜さんは……その、あなたを巡って……」

    「……ねえ、ゆきのん」

    「……?」


    481 = 1 :



    「……人を好きになって、その相手も私のことだけを好きになるのが、恋……、」

    「ううん、それだけが恋とは呼ばないと思う」

    「あたしは、ヒッキーのことが好き」

    「!?」

    「ちょ、おま……」

    「つづきを聴いて?」

    「あたしはヒッキーのことが好きだけど…………きっと、ゆきのんもそうなんだと思う」

    「!!」


    「…………でもあたしは、ゆきのんのことも大好き」

    「………………」


    「ね、ゆきのん。」

    「…………あたしのこと、嫌い、かな……?」


    482 = 1 :



    「っ………………もちろん、同姓として…………いいえ、」


    「……友達として、好き……よ……//」

    「えへへ、あたしも……//」

    「そしたらほら、これであたしとゆきのんは両想いってことで決まり!」

    「……でも、あたしは……ヒッキーのことも好き」

    「それは…………恋愛の対象として、だよ」

    「ゆきのんがあたしのことが好きで、更にヒッキーのことも好きで、」

    「……なおかつ、ヒッキーが私たち両方のことを好きでいてくれるとすれば……」

    「……ちょっと複雑だけど、三角形それぞれの辺が、両想いとして繋がるの」

    「…………あたしは、そうでありたい」


    483 = 1 :



    「だから…………教えて? ゆきのんの気持ち。」

    「……さっき、公園で伝えなかったかしら」

    「でもあれは、ゆきのんの抱く感情を伝えてなかったからねっ」

    「……そう、だったわね」


    「嫌い、なんじゃないのか?」


    「え……?」

    「由比ヶ浜と一緒に言ってたろ。『私もあなたのこと嫌い』って……」

    「ヒッキー……?」

    「大体、お前もそうだよ。嫌いって言っときながら、『好き』ってなんだよ……」

    「口で伝えた言葉はな、無情にも真実と捉えられるばかりじゃねえんだ」

    「…………心の内は、結局心にしか届けられないんだよ」


    484 = 1 :



    「口っていうのは、心に抱いた気持ちを声で伝えるための伝達手段の一つでしかないんだ」

    「……この気持ちは本物だって、そう信じさせてくれるのは、相手の気持ちが届いた時のみだけってことだ」

    「……………………」

    「……………………」

    「言うのが、遅れたな」

    「……雪ノ下、由比ヶ浜」



    「…………俺は、お前ら二人のことが好きだ」

    「……二人と居るときに生じる、あのやるせない空間が大好きなんだよ……」

    「……ぼっち身分が、どっちも好きだなんて、身の程知らずにも程があることは自覚してるんだ」

    「……でも、……でもな、」


    「…………お前ら、二人じゃなきゃ、嫌なんだよっ……」



    485 = 1 :



    「…………ちょっと、なにメソメソしてるの」

    「ほ、ほんとだよ、ヒッキー……キモい、よ……」

    「……キモくて、悪かったな」

    「…………でも、なんだろ、キモいのにさ、……嬉しい。」

    「……ふふ、残るは私のみ、ってことね」

    「………………」

    「……比企谷くん、顔を上げて」

    「……んぁ」

    「…………そんな、恥ずかしいことを言われたら……」


    「……ますます、愛しくなっちゃうじゃないっ」スッ


    チュ....


    486 = 1 :



    「!?」

    「あ、えっ、ゆ、ゆきのん!?」

    「…………っ、んっ……」スッ

    「……お、おおおおまえよ、いっいいきなりキスするビッチがどどどこにっ……!?」

    「? 海外では挨拶じゃない」

    「いや、挨拶とかそういう問題じゃ

    「ちなみに、」


    「……いまのは、大切な人へ贈る、ファーストキスよ」

    「えっ………………」


    「…………大好き。比企谷くん。」


    「……あ、やば、なんかグッと来たわ……」

    「ヒ、ヒッキー! そのっ……あ、あたしとも、……しよ?//」


    487 = 1 :



    「……いやお前さ、人通りは閑散としてるものの、ここ駅前ロータリーだぜ?」

    「ゆきのんとはしたのに、あたしとはだめなの……?」

    「いや、コイツの場合あれだから、予告無しに突然されただけだから! しようと思えば強制わいせつ罪で訴え……」

    「……それは、さすがに酷いわよ……」シュン

    「訴えるもんかよ、好きな人からキスされてさ」

    「なんじゃそりゃ!? もうっ、あ、あたしも――」

    「だから、ここじゃ駄目だ。お前調子乗って舌入れてきそうだし」

    「しっ、舌!? んなもん初っぱなから入れるわけないじゃん! まじキモ…………え、ここじゃ駄目?」

    「あー……と、なんだ? えっと……」


    488 = 1 :



    「……ねえ、あなたたち」

    「へ?」

    「な、なんだよ」


    「…………今夜は、泊まっていったら、どうかしら」

    「…………私の、家に……//」


    「………………悪い」

    「えっ………」

    スッ シュッシュッ プルルルル....

    「小町か? ……今日、帰れないわ。じゃな」

    プツッ


    「…………言っておくがな、眠くなったら寝るからな」

    「……ふふ、当然じゃないの」

    「……あたしだって、眠くなったら、寝るもんっ」

    「……てか、雪ノ下の家に行って、何するんだよ」

    「それは……、……流れに応じて、よ……//」

    「そ、そだよね。流れに応じて……うんっ……//」

    「…………そうか」



    八幡「(……小町、ビッグになって帰ってくるからな)」


    489 :

    んぎもぢぃぃぃぃぃ!
    いいぞ!もっとやれ??

    490 = 1 :



    翌日
    ・・・・・・・・・


    ガチャ


    八幡「たでーま……」

    ダッダッダッダッダッダ

    小町「お兄ちゃん! よっ!卒業おめでとう!」パチパチ

    八幡「んぁ?」

    小町「いやぁ、まさか小町だけのお兄ちゃんが一夜にして、雪乃さんと結衣さんの八幡へと変貌を遂げるなんて……」

    八幡「……おい」

    小町「はぁーあ、でもそしたらお兄ちゃん、小町なんか相手にしてくれなくなっちゃうね……」

    小町「もし小町が16になっても、お兄ちゃんが未使用品だったら……小町がお兄ちゃんと一緒に……//」

    小町「なーんて、考えてたのになー。うわわ、これ小町的にポイント高すぎ!年齢指定付いちゃう♪」

    八幡「おい聞け」

    小町「ふぇ?」

    八幡「実直に言うぞ」




    八幡「ヤッてない」




    491 = 479 :

    ナ、ナンダッテー!

    492 = 1 :



    小町「ま、またまたー、そんな妹相手に隠さんでもいいってば兄さんー」

    小町「小町、多少は下ネタ耐性ついてるから、恥ずかしがらずにー♪」

    八幡「いや、マジなんだ……」

    小町「うそやろ」

    八幡「お前の察しの通り、雪ノ下の家へ上がったんだ。由比ヶ浜も一緒にな」

    八幡「いやぁあの時は俺もこの先どうなるのかという、期待と希望と肉棒がふくれ上がってたさ」

    小町「ふむふむ」

    八幡「だがな、俺の期待はへし折られた……」



    八幡「あいつら、家に着くやいなや、速攻で眠りに就きやがったんだ……」



    493 = 1 :



    小町「なん……だと……っ」

    小町「(お兄ちゃんたちと猫カフェで別れた後、陽乃さんから聞いた話によると)」

    陽乃『実はねー、雪乃ちゃん結衣ちゃんが猫に夢中になってる隙に、こっそり飲み物の中に粉末の媚薬を混ぜといたんだよねー』

    陽乃『これで、二人は数時間後に比企谷くん相手に発情! きっと眠れない夜に……』

    陽乃『とは思ったんだけどさ、さすがに高校生身分で朝まで派手に盛られても、仮にも保護者として見過ごすわけにいかないから……』

    陽乃『ちょっと、ほんのちょこっとだけ睡眠薬も投入したんだよねー』

    陽乃『ただ、その睡眠薬って強力だからさ、媚薬に負けなければいいけど……』


    494 = 1 :



    小町「(媚薬マケタ\(^o^)/)」

    八幡「おかげで話し相手もいないわ、雪ノ下の家だから自由にくつろげないわで、めっさ疲れたわ……」

    八幡「ただ、テレビの戸棚に入ってたパンさんの名作アニメDVDってのを観てたら、ディスティニーのファンタジスタが俺のセクシャルディザイアにブレーキを駆けてくれたから助かった」

    小町「お兄ちゃん、字幕スーパー版で観たのかな?」

    八幡「たまたま取り出したのが米国正規輸入品だったもんでな」

    小町「(……はぁ、昨日の夜、張り切って赤飯炊いちゃった小町の努力は一体……)」

    小町「(ど、どうしよ、お母さんたちに『今さら小町の生理が来た』って解釈されたら! もうずいぶん前から血祭り行われてるよ!)」


    495 = 479 :

    小町の血祭りハァハァ

    496 = 1 :



    あれから数週間後
    ・・・・・・・・・・


    結衣「はぁ……せっかくヒッキーとゆきのんで出かけようと思ったのに、二人とも用事があったとは……」

    結衣「ま、今日は久々に一人で買い物しますかね」

    結衣「たまには一人になるのも、悪くないわね……」

    結衣「なーんちゃって! いまの似てたかなぁ?」

    雪乃「誰に似せたのかしら?」

    結衣「そんなのもちろん、ゆきのんゆきのーーんっっ!?」クルッ

    雪乃「言っておくけれど、まっっっったく似てないわよ」

    結衣「う、うぅ……ご本人様からダメ出し受けるなんて複雑……」

    八幡「淡谷のり子よりも鋭利で辛口だからな」

    結衣「あわやってだれヒッキーーー!!??」


    497 = 1 :



    八幡「うっせぇよ……耳にキンキン来るわ。黒板に爪立てたような声だな」

    結衣「そんなに耳障りじゃないよっ!たぶん……」

    八幡「自信失くすなよ……冗談だから」

    結衣「あーもうこれ落ち込んじゃったよあたし……ヒッキーのせいだっ……」

    八幡「……あーわかったわかった、何をすれば機嫌直していただけますか」

    結衣「………ナ」

    八幡「な? 成田離婚?」
    結衣「ちがうし! その……」

    結衣「……あ、あたまナデナデしてくんないと……許して、あげないっ……」

    八幡「はぁ……お前それ今週何度目だよ」

    結衣「い、いいから早くっ! ……ヒッキーのなでなで、気持ちいいから」ボソッ


    498 = 1 :



    八幡「ふーん、気持ちいいのねぇ……」ニヤニヤ

    結衣「わぁーー!? な、なんでそこ難聴にならないの!?」

    八幡「いや、俺べつに聴力正常だし。iPodの音量半分くらいで充分だし」

    雪乃「例えが微妙すぎるでしょう……」

    八幡「(いや実際、iPodユーザーなら気持ち分かるだろ。ちなみに静かな空間で音量1にして聴いていても、慣れてくると少しうるさく感じてくるよな。……え、お前違うの?)」

    雪乃「いいから比企谷くん、さっさと由比ヶ浜さんの頭を撫でてあげなさい。その次に私」

    八幡「なにちゃっかりお前もおねだりしてるんだよ……」

    雪乃「……別に、いいじゃない」ムスッ


    499 = 1 :



    八幡「はいはい、この際同時に撫でたるから」スッ

    ナデナデ  ナデナデ

    結衣「はゃぁ………」

    雪乃「んっ………」


    ナデナデ  ナデナデ

    結衣「ヒッキー……良いよぉ……」

    雪乃「……上達、したじゃなぃ……」


    八幡「(なんだよこいつら、猫カフェの猫かよ)」

    八幡「(頭を撫でられて気持ち良さそうにしやがってよ、たまには俺のことも撫でてくれってんだ。変な声が高確率で出るけど)」



    500 = 1 :



    八幡「……おい、もういいか。あそこのおっさんがこっちを奇異な目で凝視してる」

    ナデナデ  ナデナデ

    結衣「んんぅ~~!」

    雪乃「あと25秒お願い。そろそろ前頭部を撫でてもらえるかしら」

    八幡「撫でられてるときに前頭部って単語出るかよ……」

    ナデナデ

    雪乃「あっ、ひゃっ……んん……//」

    八幡「おい、頼むから声抑えてくれろ……」

    八幡「(だからこいつの前頭部撫でたくないんだよ……弱点みたいっす)」

    八幡「(……つまり、こいつに叱られてる時さりげな~く前頭部撫でたったらイチコロですわ。俺KUZUUUUUU)」



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