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元スレ京太郎「タイム…リープ!?」
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>>99
なんですとぉ~
なんですとぉ~
京太郎「いつになるかわからないけど、俺は一年もしないうちに元の時代に帰ると思うんだ」
トシ「……」
京太郎「それでふと考えたんだ…ならこの時代での生活に何の意味があるのかなって」
京太郎「確かにこの時代の思い出は元の時代にまで残るのかもしれないよ」
京太郎「でも今の知り合いに、たとえ元の時代で会えたとしても誰も俺だとは信じてくれないと思うんだ」
京太郎「結局みんなにとって、熊倉京太郎と須賀京太郎は別人」
京太郎「そう考えると無性に寂しくなっちゃってさ…」
京太郎「それでこのことを、友達にに相談してみたんだ」
京太郎「そしたら、とりあえず今をがんばれ。意味は後からついてくる、って言われて…」
京太郎「だから、今できることを真剣に取り組みたいと思うようになったんだ」
トシ「……いい友達を持ったね」
京太郎「ちょっと頼りないけどね」
トシ「よし分かった。じゃあ今日からビシバシ行こうか」
京太郎「ありがとう!」
トシ「ただし、ひとつ条件を付けるよ」
京太郎「条件?」
トシ「私の指導を受けるときにはもう一人誰か連れて来なさい」
京太郎「誰かって?」
トシ「そうだね……例えばその『ちょっと頼りない友達』なんかいいんじゃないのかい」
ばれてたか…恐れ入りました
京太郎「了解です」
トシ「ああそれとね…さっきの話には一つ間違いがあるよ」
京太郎「えっ?」
トシ「私にとっては熊倉京太郎も須賀京太郎も同じさ」
トシ「たかが12年、私が自慢の孫を間違うはずないだろう?」
驚くほど優しく、自信たっぷりに、いくらか茶目っ気を込めて、そう言ってくれた
さすがにその日の特訓には小鍛治は呼ばなかった
トシさんの指導はそのセリフ通りなかなかビシバシと行われた
しかし麻雀がうまくなるためならと思うと不思議と苦痛ではなかった
トシさんのあの最後の言葉はとても印象に残った
誰かが自分のことを覚えていてくれる、そのことだけでいくらか救われた気持ちになった
――4月下旬 部活終了後
「「おつかれさまでしたー!」」
今日の部活終わりー。毎回やられっぱなしだと妙に疲れるぜ
この状況を打開するために家に帰ってトシさんと特訓なのだが…
さて小鍛治にはどうやって切り出そうか
小鍛治「相変わらずボロボロだったね」
京太郎「うるせー、こっちだって頑張ってんだ」
京太郎「……」
京太郎「そういや聞いたことなかったけど、小鍛治はどうやって強くなったんだ?」
小鍛治「わ、私はそんなに強くないよ。部長さんとかによく負けるし…」
小鍛治「でもルールなんかは本とか読んで知ったたし」
小鍛治「それに今時インターネットで麻雀できるからね」
この時代からネト麻って存在してたんだ…知らなかった
小鍛治「だから実践だって一人でできるから、そこそこ強くなることぐらいならできるよ」
京太郎「にしても俺より断然強いけどなー」
小鍛治「ま、まあね。才能の違いなんじゃないかなー、なんて///」ドヤァ
京太郎「……」
小鍛治「……」
京太郎「……」
小鍛治「な、なんか反応してよ!冗談なんだから//」アセアセ
京太郎「あー今の言葉傷ついたわー(棒)。なので謝罪と賠償を要求します!」
小鍛治「謝罪と賠償って……あ、でも麻雀を教えてあげることくらいならできるかも」
京太郎「ほー、そいつはありがたい」
小鍛治「だったらこの後――」ボソボソ
京太郎「でも残念! 俺には既に優秀な指導者が付いているのだ」
小鍛治「え、そ、そうなんだ…」シュン
京太郎「トシさんって言うんだけど…というか俺の祖母なんだけどね」
小鍛治「ああ、熊倉さん?」
京太郎「知ってるのか?」
小鍛治「うん、昔よく近所の子供とか集めて麻雀教室開いてたからね。私は参加したことないけど……」
小さい頃からコミュ障気味だったんだね、小鍛治さん…
京太郎「実はさ、トシさんからもう一人くらいなら指導できるって言われてるんだ」
京太郎「だから、良かったら俺と一緒にトシさんから教えてもらわないか?」
小鍛治「え、いいの?」
京太郎「おう、モチのロンだぜ」
小鍛治「め、迷惑じゃないかな」
京太郎「んなこたーない、むしろ小鍛治が来てくれるとトシさん喜ぶと思うぜ」
小鍛治「そ、そうかな?」
京太郎「そうとも」
小鍛治「……」ウーン
小鍛治「だ、だったらお願いしちゃおうかな」
京太郎「よしっ!では早速わが家に向かおうではないか」
小鍛治「え!?今からなの?」
京太郎「善は急げだぜ、小鍛治!」
小鍛治「で、でも菓子折りとか用意しなくちゃならないし。それに服装だって――」
京太郎「おまえは彼女の父親に挨拶に行く男か!そんなこといいからとっとと行く!」
________
_____
__
小鍛治「はぁー緊張してきたー…何か変なところない?」
京太郎「いつも通りきれいですよ、お嬢さん」
小鍛治「もうっ!そういうのはいいから!」
ガラガラガラ
京太郎「ただいまー!」
小鍛治「え、ちょっとまだ心の準備が――」
トシ「おかえりなさい。おや、今日はかわいらしいお嬢さんも一緒だね」
小鍛治「あ、あの初めまして、小鍛治健夜と申します!」ペコリ
トシ「ご丁寧にどうも、私は熊倉トシだよ。今日は遊びに来たのかい?」
小鍛治「い、いえ。そのー…」アセアセ
京太郎「俺が一緒に特訓しようって誘ったんだ」
小鍛治「そうなんです」
トシ「そうだったのかい、じゃあ今日からよろしくね」
小鍛治「は、はい、よろしくお願いします」ペコリ
身なりを整えて菓子折り持って挨拶しようとは
さすがアラフォーは気が早い
さすがアラフォーは気が早い
京太郎「じゃあ俺は飲み物でも用意してくるよ、小鍛治は何がいい?」
小鍛治「うーんと、じゃあ紅茶お願いできるかな」
京太郎「はいよー」
小鍛治は俺に助けを求めるような顔をしていた
初対面のトシさんと二人でいるのに不安を感じていたのだろう
でもあえてここは心を鬼にしてそれを無視した
トシさんなら全く問題ないだろうと思ったのだ
俺は先に台所に向かい飲み物の準備をした
10分ほどしてから応接間に行くと二人の楽しそうに談笑する声が聞こえてきた
どうやらこの短時間に打ち解けることができたらしい
あの小鍛治相手にすごい。どうやらトシさんはコミュ力もカンストしているようだ
京太郎「二人とも楽しそうに何の話をしてるの?」
トシ「女性の会話には首を突っ込まないほうがいいよ」
小鍛治「…ひみつ」
さいですか…
トシ「では始めようかね」
この日も何事もなく順調にトシさんの指導が行われた
トシさんの指導にはあの小鍛治も何度も感心していた
何回か三麻をしたが小鍛治ですら相手にならなかった
しかしトシさんの指導の賜物か、俺もそこそこ上達してきたと思う
京太郎・小鍛治「ありがとうございましたー!」
トシ「こちらこそ楽しかったよ。健夜ちゃんは明日もくるのかい?」
小鍛治「とてもタメになったので、できれば毎日来たいくらいです」
小鍛治がこんなとと言うなんてかなり珍しい
トシ「そう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう」
トシ「じゃあ平日部活が終わったら来なさい。休日は復習でもしてるといいんじゃないのかな」
小鍛治「はい!ぜひそうします」
京太郎「話はまとまった?時間の方は大丈夫か小鍛治?」
もう夜7時を少し過ぎている、良い子は帰る時間だ
トシ「なんだったら夕ご飯の用意もできるけど…」
小鍛治「いえ、そこまでして貰うわけにはいきません。今日は帰ります」
トシ「そうかい。じゃあまた明日ね」
トシ「京太郎、健夜ちゃんを送っておやり。最近は変質者だって出るんだから」
京太郎「え、歩いて10分くらいだし、それに小鍛治なんか襲うやつ――」
小鍛治「……」ギロリ
京太郎「送らせていただきます」
トシ「ふふ、いってらっしゃい」
とりあえず小鍛治を送ることになったので、二人で小鍛治の家に向かう
京太郎「今日はどうだった?トシさんすごいだろ」
小鍛治「京太郎くんのおばあさんにしておくには、勿体無いくらいね」フン
機嫌を損ねてらっっしゃる
京太郎「さっきのは悪かったって。実際こんな片田舎に変質者なんて現れないだろ?」
小鍛治「まあ、それはそうだけど…」
京太郎「でも驚いたよ、行く前は緊張しまくりだったのに10分そこらで仲良くなってるんだから」
小鍛治「うーん、それは私も不思議だったけど…でも実際すごくいい人だし」
まあ俺みたいのを住まわせてくれるくらいだからな
小鍛治「麻雀の腕も相当なものだよね、三麻やったときなんかたぶん全然本気出してないよ」
京太郎「まじで!」
小鍛治「うん、たぶんだけど私たちの実力を考えて最適なレベルで打ってたんだと思う」
そんな会話をしているとついに小鍛治の家に着いた
小鍛治の話によるとこれは借家らしい、だが十分立派なものだ
小鍛治「送ってくれてありがとうね、それに京太郎くん家も意外と楽しかったよ」
京太郎「意外とは余計だ。じゃあまた明日学校でな」
小鍛治「うん、また明日ね」
小鍛治を送り届けた後、家に戻ってきた
結局変質者なんか見かけなかったけど。あ、ちなみにタヌキはいました
トシ「おかえり、ありがとうね」
京太郎「どうってことないよ」
トシ「でも健夜ちゃんとてもいい子だったじゃないか。話に聞いていた以上だよ」
京太郎「あれで人見知りがなければいいんだけどね」
トシ「はは、それは京太郎がしっかり面倒見てあげるんだよ」
京太郎「うん、分かってる。それで麻雀の方はどうだった?」
トシ「健夜ちゃんのかい?」
京太郎「うん」
そういうとトシさんは少し考える素振りをした
指導中何度か小鍛治のことを気にしていたので、恐らく既にその才能には気付いているのだろう
なにせ将来は世界でもトップクラスの実力になるんだから
トシ「はっきり言ってとてつもない才能があるね、あの子は」
トシ「まだ開花はしてないがいずれ世界を舞台に戦うようになると思うよ」
さすがトシさん、先見の明がおありで
――4月下旬
もう4月の最終週に入った。色々なことがあり時が経つのを早く感じる
最近気付いて驚いたのだが、この高校は文化祭を5月中にやってしまうらしい
いちおう進学校とのことで、受験のために学校行事は早めにすることになっているそうだ
で、今現在ホームルームでクラスでの出し物を決めているのだが
「ハイハイ!わたし演劇やりたい!」
「えー、無難に喫茶店とかでよくない?」
「お菓子食べたい…」ギュルギュル
「目立てればなんでも構いませんわ!」
「ダルいから動かなくていいもので…」
「タコスしかないじぇ!!」
「おもちもちもち、おもち喫茶だね!」ドヤァ
「わたしは衣装が作れればなんでもいいなぁー」
この通りみんな好き放題である。これでは一つに決まるわけがない
……いや待てよ、一見するとてんでバラバラな意見にも思えるが
しかし大別すれば、演劇などの非日常空間の演出と食べ物の提供の二つに分かれる
ならばこの二つの要求を満たしてやればいいではないか!
京太郎「安西先生!コスプレ喫茶がやりたいです!!」
けっして、おもち持ちの女子にきわどいコスプレさせたいなんて考えてない
「うーん、意外と面白そうじゃない?」
「それならわたし衣装作れそう」
「まあタコスを出すなら構わないじぇ」
「ダルい…けどまあいいかな」
「んほー!!えろい衣装きたーーー!!!!」
あれー、半分冗談だったのに意外と好感触?
小鍛治はというと
小鍛治「ふーん」
正直どうでもよさそうである
実行委員「ではここで多数決を採りたいと思います」
________
_____
__
結局その場のノリと勢いで、俺の意見が採用されコスプレ喫茶になってしまった
若さって時として恐ろしいね、うん
部員1「コスプレ喫茶って、意外と大変そうなの選んだなー」
京太郎「2年、3年になると受験とかあるじゃないですか。だから今のうちに大変なのをやっておこうかと」
もちろん嘘である
部長「うん、いい心がけじゃないか。しかし6月には県予選があるからな、練習の手は抜かないぞ」
副部長「でもなかなかおもしろそうじゃない。私必ず行くわ」
京太郎「ぜひ来てください!お客さんもコスプレできるようにしておきますから(ゲス顔)」
小鍛治「なんか悪い顔してる」ジー
京太郎「大丈夫、君には関係の無い話さ」キリッ
小鍛治「なんだか知らないけどバカされた!?」
いつも通りバカ話をしつつ、その日も部活をきちんと行った
――5月上旬
5月に入りいよいよ文化祭の準備が始まった
俺と小鍛治は内装担当ということになっている
正直衣装作りをやりたかったのだが、なぜか小鍛治に全力で止められてしまった
ちょっぴり胸元の布面積が少ない衣装を提案しただけなのに……
京太郎「小鍛治ー、そこのセロハンテープ取ってくれないか?」
小鍛治「はいどうぞ、変態さん」フンッ
ごらんの有様である
しかしせっかくの文化祭の準備、小鍛治にとっても皆と仲良くなる絶好の機会なのだが
当の小鍛治は変態である俺のそばからなかなか離れようとしない、どうしたものか
「イタッ!針刺さったー!」
「ちょっと!そこ縫い間違えてるよ!」
小鍛治「……」チラチラ
京太郎「ん?」
「だれかー、ミシンが動かなくなっちゃたんだけど助けてー!」
「ごめん針落とした、動かないでー!」
小鍛治「……」ソワソワ
京太郎「…」
「あわわ、あわわわわわ…」
「だめだこいつら…」
小鍛治「……」ドキドキ
京太郎「ふむ…なるほど」
俺は持ち場を離れ、衣装作り班のところに向かう
京太郎「大変そうだから俺にも少し手伝わせてくれよ」
「えっ、熊倉君裁縫できるのー」
「教えて、教えて!」
小鍛治「えっ」
京太郎「裁縫はそんなに得意じゃないんだけどなー」ドヤァ
そう言って、針に糸を通し少々危なげに縫っていく
「意外とうまいじゃん!」
「私よりうまくできてる…」
小鍛治「……」ソワソワ
うーんまだか、ならば
持ち場を離れ、衣装作り班のところに向かう
京太郎「大変そうだから俺にも少し手伝わせてくれよ」
「えっ、熊倉君裁縫できるのー」
「教えて、教えて!」
小鍛治「えっ」
京太郎「裁縫はそんなに得意じゃないんだけどなー」ドヤァ
そう言って、針に糸を通し少々危なげに縫っていく
「意外とうまいじゃん!」
「私よりうまくできてる…」
小鍛治「……」ソワソワ
うーんまだか、ならば
今度はすそ上げしたところをわざと並縫いにしていく
「へ、へぇ意外とやるじゃない」
「女として負けた……」
京太郎「惚れてくれったって構わないんだぜ、お嬢さ――」
小鍛治「それじゃダメだよ!」
京太郎「へ?」
小鍛治「すそ上げには並縫いじゃななくてまつり縫いにしないとだめだよ、貸して」
そういうと小鍛治は慣れた手つきで素早く縫っていく
小鍛治「ほら、この縫い方なら表からほとんど糸が見えないから見栄えがいいんだ」
「小鍛治さんすごーい!!」
小鍛治「そ、そんなこと無いよ//」
「熊倉くんより全然うまいよ!私にもそれ教えて!」
小鍛治「えっ、で、でも私内装担当だし…」
「いいじゃん小鍛治さん、熊倉君に任せちゃえば」
「内装班って男ばっかりでむさいからこっちこようよ」
むさいは余計だ
小鍛治「いいの…?」チラ
京太郎「おう、こっちは任せとけ!」
「決まりね、じゃあ小鍛治さん借りてくから」
最初の方は小鍛治もオドオドしていたが、徐々にあの女子グループにも慣れていっているみたいだ
べ、別に小鍛治のことが気になって、こまめに様子を伺ったりしてたわけじゃないんだからね!
一方俺はというと…
「おう熊倉、暑いだろ?上着脱げよ、な!」
「なかなかいい筋肉してるじゃないか、触ってもいいか?」サワサワ
「飲み物買って来たよー、熊倉君はアイスティーでいいよね?」
「小鍛治がいなくなって寂しいんだろ?今夜俺の部屋来いよ、慰めてやるから」
身の危険を感じていた。なんかこの班分け偏ってません!?
――5月上旬 土曜日
え、土曜日は休みだって?
何を言っているのかな皆さん、12年前はまだ半ドンが主流ですよ
さて、いよいよ文化祭の準備も本格的になってきた
それと共にあのなんとも言えない、非日常的な独特の雰囲気が辺りに充満するようになってきた
なので皆も授業中でありながら、どこかソワソワしているのを感じることができた
そんな時、珍しく小鍛治の方から話しかけてきた
小鍛治「きょ、京太郎君ちょっといいかな?」
京太郎「おう、どうした」
小鍛治「あのね、今共同で使ってるミシンが壊れちゃってね…」
京太郎「そりゃ大変だ、家庭科室行って借りてこうぜ」
小鍛治「いや、さっき行ったらもうストックが無いんだって」
小鍛治「だから、私の家から持っていこうかと思うんだけど…」
京太郎「けど?」
小鍛治「わ、私だけじゃちょっと持っていけそうないから、授業が終わったら一緒に運んでくれないかな?」
うーむ、まだ女子連中には頼めないか
京太郎「おう、いいぞ」
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_____
__
午前中の授業も終わり、俺達は約束通り小鍛治の家の前までやってきた
ていうか中に入るのは初めてじゃね?あーなんだか少し緊張してきた
小鍛治「どうかしたの?」
京太郎「男の子は女の子の家に訪問するとき、緊張するもんなのですよ」
小鍛治「ふーん」
ガチャ
小鍛治「ただいまー」
小鍛治母「おかえり、今日は早いのね」
小鍛治「ううん、違うの。文化祭の準備で使うミシンを取りに来たんだ。持って行っていいでしょ?」
小鍛治母「それは構わないけど……」
小鍛治母「ん?あら、あらあらあらあらあら」
俺の姿を確認してなにやら嬉しそうな顔をしている
小鍛治母「ちょっと待ってね……もしかしてあなた熊倉京太郎くんじゃない?そうでしょ?」
京太郎「ええ、その通りですが…」
小鍛治母「健夜からいつも話しを聞いてるわー、お世話になってるみたいで」
小鍛治「もう、おかーさん。そういうの止めてよ!」
小鍛治母「あらいいじゃない。そうだ!せっかく来たんだからおばさんの世間話に付き合ってくれない?」
京太郎「おばさんなんてとんでもない!まだまだお綺麗ですよ」
これはお世辞でもなんでもない、十分綺麗だ
小鍛治母「あら、ありがとう。お世辞でもうれしいわ。さ、上がって」
小鍛治「はあ…、私は自分の部屋に行ってるから終わったら呼んでね」
小鍛治母「あなた熊倉さんとこのお孫さんね。こんな好青年だったなんて、うらやましいわ」
京太郎「そんなことないですよ。でもありがとうございます」
小鍛治母「こっちこそ、ありがとうと言いたいわ、小鍛治と仲良くなってくれて」
京太郎「いえ、そんな」
小鍛治母「ほらあの子かなりの人見知りじゃない?だから最初は友達できるか心配してたのよ」
小鍛治母「でも入学してすぐくらいだったかしら…健夜が珍しく学校での話をしてね」
小鍛治母「まあでも、ほとんどあなたの話ばかりだったけどね」フフ
小鍛治母「しかもいきなり麻雀部に入るって言い出したりしてね、これもあなたのおかげでしょ?」
京太郎「はは、ほとんど無理やり引き込んだようなものですけどね」
小鍛治母「でも本当に嫌だったら入部しなかったと思うわ、あの子意外と頑固なところあるし」
小鍛治母「きっとあなたがいたから、入るのを決めたんだと思うわ」
なんだか歯がゆいことを言ってくれる
京太郎「そうでしょうか?」
小鍛治母「ふふ、そうよ」ニコリ
その笑顔は小鍛治にそっくりだった
京太郎「すみません。そろそろ時間なんで行かないと…」
小鍛治母「あら、そうなの?引き止めてしまってごめんなさい」
小鍛治母「あとこれお詫びに貰ってくれないかしら」
そう言うと、なにやら水族館のチケットを手渡された
京太郎「いいんですか?」
小鍛治母「私が使うことなんてないからいいのよ、彼女とのデートにでも使ってちょうだい」
京太郎「彼女なんて生まれてこのかた、いたことなんてありませんよ」
小鍛治母「あらそうなの?なら尚更ね」ニコ
京太郎「?」
その言葉の意味はよく理解できなかったが、とりあえず頂くことにした
そして小鍛治を呼び、ミシンを携えて再び学校に向かう
小鍛治「結局お母さんと何の話をしてたの?」
京太郎「小鍛治が家でいかにゴロゴロしてるかとか、未だに服はお母さんに買ってきてもらっている事とか――」
小鍛治「えっ!う、嘘だからそんなこと!?信じたりしたらダメだからねっ!?」
小鍛治「もうおかーさんたら、帰ったら……」ブツブツ
あとは、如何に小鍛治のことを愛しているか、とかね――
――5月中旬 文化祭二日目
いろいろあったが無事文化祭を迎えることができた
(特定の)男友達からの執拗な攻撃に耐えることができたのは奇跡といってよいくらいだ
だって彼ら、自分の仕事は韋駄天の如き早さで終わらせてほとんど俺にセクハラしてたもん
衣装作りの方は小鍛治が加わったおかげか、何とか終わらせることができたみたいだ
初日は学内のみでの開催だったが、今日2日目は一般公開される日だ
なので今日が文化祭本番と言って差し支えないだろう
俺と小鍛治は午前中クラスの出し物を手伝い、午後は遊べることになっている
小鍛治「はぁー、何か緊張してきたよ…」
京太郎「昨日大丈夫だったんだから、今日も大丈夫だろ」
小鍛治は店員役はやらない、全力で拒んでたからね
小鍛治「それにしても…その衣装妙に似合ってるよね……」
俺はというと、上は工事済みで下は未工事の緑色の髪をしたキャラクターのコスプレをさせられている
最初は俺も慣れなかった。しかし時々男子の熱のこもった視線を浴びるうちになんだか…
京太郎「き、んきもぢいいぃぃ///」
小鍛治「どうしたの!?」
京太郎「すまん、少しトリップしてた」キリッ
小鍛治「そ、そう…」ドンビキ
アホなやりとりをしているといつの間に開始を告げる放送が流れ、ついに2日目が始まった
30分もするとお客さんがそこそこ入るようになってきて、忙しくなってきた
しかし俺はまったく別の意味ですごく忙しくしていたのだが…
「すみません、こっち向いてください!」パシャパシャ
「ポーズお願いします!そう、いいねっ!!」パシャパシャ
なぜか俺のみコスプレ撮影会が開催されていた…他にもいるじゃん!?
どうやら昨日の噂を嗅ぎ付けて、特殊な性癖をお持ちの大きなお友達がご来店してしまったようだ
でも止めてなんて言えない、だって気持ちいいだもの
ああ今ならアイドルとかレイヤーの方々の気持ちがよく分かる
だから…
「いいね、いいね!ほらもうちょっと裾上げてごらん、ほーら(ゲス顔)」
仕方が無く…
「ふおおおーーーきたああああーーー!!!!」
「ブヒーーー!!ブヒブヒブヒ!!!」
こんなことを…
小鍛治「て、だめでしょ!!!?」
_________
_____
__
京太郎「すまない小鍛治、迷惑をかけたな」キリッ
小鍛治「もう京太郎くんはコスプレ禁止!!分かった!?」
京太郎「はい…」
小鍛治の懸命の阻止もあり、撮影会は中止となった
男子のみんながネガの没収をしたが、その内何人かはそれをくすねようとしていた
さらにそれを発見した女子がそいつらに金的を食らわせていた、おおう…
そういうわけで俺は接客を外され主に料理を担当するようになっていた
「いらっしゃませー!」
小鍛治「あ、熊倉さんと……おかーさん!?」
小鍛治母「えへへ、きちゃった」テヘ
トシ「ちゃんとやっているかい、京太郎」
京太郎「まあね。来てくれてありがとう!さ、こっちに座って下さい二人とも」
そういって2人分の席を引いて着席を促す
京太郎「2人は知り合いなんですか?」
小鍛治母「そうよ。でも会ったのはたまたまなの」
トシ「学校の前で出くわしてね。聞いてみたら行き先は同じみたいだから一緒に来たのさ」
京太郎「なるほど」
小鍛治母「でも京太郎くんと健夜はコスプレしてないのね、楽しみにしていたのに」
京太郎「まあ、その、いろいろありましてね……」トオイメ
京太郎「代わりにといってはあれですけど、最高のものを振舞いますよ。なにします?」
トシ「私は京太郎にまかせるよ」
小鍛治母「私もそうしようかしら、京太郎くん料理得意みたいだし」
京太郎「かしこまりました、では少々お待ちくださいませ」ペコリ
母親が来てコソコソしていた小鍛治を呼ぶ
京太郎「せっかく来てもらったんだ、コソコソしてないで手伝ってくれ」
小鍛治「別にコソコソなんてしてないもん!」
京太郎「はいはい」
まあ小鍛治の気持ちも分からなくない
なんか知らないけど家族を友達に見せるのってちょっと恥ずかしいよね
しかしお二方が来るのは予想していたので、準備は万端だ。特別に食材も調達してある
まずは退屈させないように、食前の飲み物だ
さて頑張るか
__________
______
___
小鍛治母「信じられないくらいおいしかったわ。まるで高級料理店のお料理みたい」
京太郎「そう言ってもらえて嬉しいです、作ったかいがありますよ」
小鍛治母「特にあの煮込み料理はよかったわ、作り方を教えて貰いたいくらいよ」
京太郎「それだったら、今度教えに行きましょうか?」
小鍛治母「いいの?ぜひ来て頂戴。ついでに健夜にも料理を教えてほしいくらい」
ちなみに小鍛治は全然料理できないみたいで、ほとんど雑用をしてもらった
小鍛治「私だってちゃんと手伝ったんだよ!?」
小鍛治母「あなた食材運んだり、レンジで温めたり…ほとんど雑用だったじゃない」
小鍛治「うっ…」
トシ「まあまあ、暇があれば私が教えてあげるから」
小鍛治「ほんとうですか!ありがとうございます」
俺達と会話を終えると2人は帰っていった
もともと俺達の様子を見に来たのだから当たり前だが
小鍛治のお母さんは、娘が思いの外がクラスに溶け込んでいて安心したようだ
午前の、俺達の店番が終わりに近づいた頃、麻雀部の先輩達が遊びにきた
副部長「遊びにきたわよー」
部員2「あら、2人はコスプレしてないんだ」
京太郎「いろいろありましてね…」
小鍛治「私は全力で拒否しました」
副部長「なら私が代わりにしようかしら、たしかできるんだったよね」
そのセリフ待ってましたよ副部長
京太郎「ええ、もちろんお客様にも貸し出ししてますよ」
京太郎「副部長には特別な衣装をご用意したんで、こちらで着替えてください(ゲス顔)」
部員2「うーん、なんか悪い予感するし私はいいや」
ちくしょう!だがまあいい、メインディッシュの副部長さえいればね、ククク
この時のためにどれだけ苦労したことか…
副部長のための衣装を作るために何度徹夜したことか…
さらにトシさんの高級一眼レフカメラも土下座して借りたのだ、抜かりは無い
小鍛治「京太郎くん、また変なこと考えてるでしょ」ジロリ
滅相も無い
しばらくすると副部長が俺が秘密裏に作成した衣装を身にまとい現れた
副部長「ど、どうかしら。なんだか少しスースーするけど////」カァァ
京太郎「すばらっ!すばらっ!!」パシャパシャ
小鍛治「やっぱり……」
部員2「うわあ……」ドンビキ
副部長「ちょっと恥ずかしいわね////」
京太郎「恥ずかしがることないです!これこそ長野スタイルなんですよ!!」パシャパシャ
京太郎「さあ、こちらの個室で記念撮影しますのでどうぞ」パシャパシャ
部員2「既にめちゃくちゃ撮ってるじゃん、それに個室ってなに!?」
京太郎「さあ、好きなポーズをとってー。はい、いい表情ですね!」パシャパシャ
副部長「そ、そうかしら////」
京太郎「素材がいいですからね!さあさあ前かがみになって!!」パシャパシャ
副部長「こ、こう///?」
京太郎「はあはあ///いいですよその調子です!さあ全てをさらけ出してっ!!!」パシャパシャ
副部長「///////」
京太郎「んほーーー!!すばっ!すばらーーー!!!!すばらすばら、す、すば――」ブヒブヒブヒブヒ
小鍛治「いいかげんにしようか」ニコリ
____________
_______
__
京太郎「ハッ!?ドリームか……?」
京太郎「あれ!?副部長達は??」
小鍛治「2人とももう違うところに行ったよ」
京太郎「そうだっけ!?なんだか記憶が飛んでるような…」
小鍛治「これ、大切なものでしょ」ニコリ
小鍛治は手に持っていた俺のカメラを渡してくれた。あれなんで小鍛治が持ってるんだ?
それに何かとても大切なものを写真に納めた気がするのだが…気のせいだろうか
それになんだか顔がボコボコなんですけど……
いろいろとハプニングはあったものの、何とか自分達の仕事は全うできたと思う
午後の自由時間は小鍛治と一緒に部室で過ごすことにした
ちなみに初日には俺は男子連中と一緒に回った
小鍛治も、あの衣装作りをしていた何人かと一緒に回ったらしい。たいした進歩だと思う
小鍛治は普段しないようなことをこの2週間しっぱなしで疲れたのだろう
だから静かに過ごせるここを敢えて選んだ
小鍛治は本を読んでいたが、ふと顔を上げた
小鍛治「そういえば、これ返し忘れてたよ」
すると俺が作った長野スタイルの衣装を渡してきた
京太郎「ド、ドウシテコレヲ」ビクビク
小鍛治「どうせ副部長にでも着せようと思ってたんでしょ?」
京太郎「ナ、ナゼソレヲ」ダラダラ
小鍛治「はぁー、もういいよ、別に怒ってないから…」
京太郎「あ、ありがとうございます!小鍛治さまー」
小鍛治「調子いいんだから、まったく…」アキレ
小鍛治「あとこれ、すこしほつれてた所あったから直しておいたよ」
小鍛治「素人が作ったとは思えないほどきれいにできてたから、勿体ないしね」
京太郎「……そうか?まあ頑張って作ったからな」
小鍛治「裾上げの所のまつり縫いも、びっくりするくらいちゃんとできてたしね」
京太郎「……ふーん、そうだったか」
小鍛治「そうだよ。だから、そ、その……ありがとう////」
京太郎「ふふ、どういたしまして」
小鍛治「あーでも///よく考えたらこの服京太郎くんが持っていても仕方ないよね?」
小鍛治「だ、だからしばらく私が預かっておきます///」
京太郎「ひどい!」
その後もまったりと部室で過ごし、俺の高校生活始めての文化祭が終了した
――後日小鍛治家にて
小鍛治「あ、これ名前の刺繍までしてある…凝りすぎだよ京太郎くん……」
私、小鍛治健夜は今、京太郎くんの作った衣装を着ている
小鍛治「うわ、胸の部分ブカブカ…」
別に自分にも似合うかな?とか思って着たのではなく、単なる好奇心…ということにしておこう
だからちょっとポーズをとったりしたっておかしくなんか無い、ついでに笑顔になったりして
小鍛治「キャハっ!」グギギ
あ、だめだこれ
でもこの格好はあまりにもきわどすぎるよ!胸なんか角度しだいでは見えちゃうしね!
こんな痴女服着て外歩いたら一発で捕まっちゃうよ、犯罪だよ!?
だからこの服を世に出さないためにも、私が管理しないとダメだよね、うん
ふぅー、そろそろ着替えよう。こんなとこと誰かに見られたら変態だと思われるちゃうもんね
ガチャ
小鍛治母「健夜ー、さっきのことなんだけど――」
小鍛治「あ」
小鍛治母「」
小鍛治「……」
小鍛治母「……」
小鍛治「……」
小鍛治母「……」
小鍛治「…なんか言ってよ」
小鍛治母「ごめんね、今度からそういう服買ってくるわね」ニコリ
ガチャ
小鍛治「………」グスッ
小鍛治「ちがうよ!私の趣味じゃないよ!!」
小鍛治「お願い信じて!!おかーーさーーーん!!!!」
この後誤解が解けるのに2週間かかった
もう絶対あんな服着ない!そう心に誓った
タイムリープなら最後は整合性が取れるんだけどこれ体ごとだからな
どの時点に戻るかわからんな
あと12年前の土浦にお洒落なカフェなんてなかった……今もない。
どの時点に戻るかわからんな
あと12年前の土浦にお洒落なカフェなんてなかった……今もない。
正直原作での扱い考えたら、いなくなったのを気付いてるのかも怪しいだろ
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