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元スレ京太郎「タイム…リープ!?」
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部長「あ、あれがいわゆる修羅場ってやつなのか?」ドキドキ
部員2「ちょっと一方的だけどね」
部員1「すこやんは意外と尻に敷くタイプだね、ありゃあ」
副部長「愛が深いのも考え物ねえ」
京太郎「」
健夜「」
健夜「んん…//で、結局何をしてるの?」
京太郎「すまん、今はちょっと言えないんだ。でもじきにに分かると思う」
京太郎「それまで待ってもらえるか?」
健夜「うん…」
京太郎「お詫びじゃないけどさ、今度また二人で遊びに行かないか?」
健夜「え、いいの?最近忙しいんじゃない?」
京太郎「大丈夫大丈夫!俺も健夜と一緒に出掛けたかったからな」
健夜「そ、そうなんだ…だったらいいよ///」
京太郎「じゃあ、来週の水曜日はどうだ?」
健夜「うん、その日なら大丈夫」
京太郎「よかった。詳しいことはまた後でな。もう行かなきゃ」
健夜「うん、分かった。いってらっしゃい」
京太郎「ああ、行ってきます」
部長「まるで夫婦だな」クス
――8月下旬 デート前日
京太郎「うーん、どうするか…」
デート前日だというのに、未だに俺はどこに行くのか迷っていた
京太郎「だいたい茨城県民って、どこにデートに行くんだよ…」
京太郎「何も無いじゃん、何も無いじゃん!」
ついには考えあぐねて、机の整理をし始めてしまった
これはあれだ、テスト前に部屋の掃除をしたくなってしまう例の…
パラ…
京太郎「ん?何だ、これ」
『アクアワールド 前売り券』
京太郎「これは、確か…」
以前、健夜のお母さんから頂いたものだ
京太郎「はは、なるほどね…」
もし…仮に、運命と云うものがあるとしたら、こういうことをいうのかもしれない
京太郎「決まりだな」
――8月下旬 デート当日
さて、服装オッケー、財布オッケー、ハンカチとティッシュは持った
えーと後は……
あっ!危ない危ない、大事なものを忘れるところだった
これを忘れると、この2週間の努力が水の泡になってしまうからな
京太郎「じゃあ、行ってくるよ」
トシ「ああ、気をつけてね」
京太郎「あー……トシさん」
トシ「ん?」
京太郎「いつも、ありがとう」
トシ「ふふ、こちらこそ」
トシ「さあ、行ってらっしゃい」
待ち合わせ場所の駅前に向かう
そこには既に、かわいらしい姿をした女の子がベンチに座っていた
京太郎「おはよう」
健夜「あ、おはよう!」
京太郎「すまん、待たせちまったみたいだな」
健夜「ううん、私も今来たところだから…………ハッ!!」
京太郎「……」
健夜「……」
健夜「普通逆だよね」
京太郎「だな」
京太郎「でも、俺の『人生で一度は体験したみたい事』第6位を経験できたからいいや」
健夜「なにそれっ!?ていうか1位から5位はどうなってるのそれ!?」
京太郎「さ、早く行こうぜ。電車に乗り遅れちまう」
健夜「え、ちょっと待ってよ。すごく気になるんだけど!?」
___________________
___________
____
電車で水族館近くの駅まで来て、今はバスに乗っている
天気は見事な晴れ。海の景色も素晴らしい
健夜「ここの水族館来るの久しぶりだよ。小学生のとき以来かなー」
京太郎「俺も水族館なんて、学校の遠足で行ったきりだと思う」
健夜「へえ、確か京太郎くんて長野出身なんだよね?」
健夜「長野県に水族館なんてあるの?」
京太郎「失礼な、一応あるぞ。そんなに大きくなかったけどな」
京太郎「それより、冬になると遠足でよくスキーをしに行ったりしたなあ」
健夜「いいなあ、私の所なんか普通に近くの公園に行ったりしただけだったもん」
京太郎「まあそれは雪国の特権ということで…」
京太郎「でも、雪ってそんなにいいものでもないぞ?」
京太郎「道路だけじゃなく、屋根に上って雪を落とさなきゃならんし」
京太郎「子供のころは雪のせいでよく転んだし」
京太郎「近くに買い物に行くにも一苦労だし…」
京太郎「でも、小さい頃は雪が降るとそれだけではしゃいだりしてたっけか…」
京太郎「今では、雪が降ると『めんどくせー』としか思わないのにな」
健夜「あはは、そうかもね」
健夜「でもそのおかげで、スキーとか滑れるようになったんでしょ?」
京太郎「まあな」
健夜「じゃあ、いつか私に教えてよ。実はまだしたことないんだ」
京太郎「……」
健夜「京太郎くん?」
京太郎「…そうだな、いつか必ず」
健夜「?」
京太郎「おっ、見えてきたな。あれがそうなんじゃないか」
健夜「あの大きい建物?前に来たときと違う気がするんだけど…」
京太郎「ああ、なんだか今年リニューアルオープンしたらしいぞ」
健夜「そうなんだ、楽しみだね!」
_________
_____
__
京太郎「どうする健夜、微妙な時間だし先にお昼ごはん食べないか?」
健夜「う、うん。そうだね…」
京太郎「中にフードコートあるし、行こうぜ」
健夜「……」
京太郎「どうかしたか?さっきから口数少ないけど」
健夜「え、えーとね……その…」
京太郎「?」
健夜「こ、これっ!!」ズイッ
京太郎「ん?見ていいのか……お弁当じゃん!」
健夜「……」コクコク
京太郎「これ、健夜が自分で作ったのか?」
健夜「うん。いちおう…」
京太郎「俺の分もあるのか?」
健夜「も、もちろんだよ//」
健夜「というより、京太郎くんのために作ったというか……」ボソボソ
京太郎「?」
健夜「さ、向こうに机と椅子あるし行こっ!」グイッ
京太郎「お、おう」
早速健夜の作ったお昼ごはんを机の上に広げる
主食とおかずがバランス良く敷き詰められている
さらにフルーツまで用意してあり、盛り付けもなかなか綺麗だ
京太郎「おお、意外とうまそうじゃん!!」
健夜「意外とは余計だよ!?」
健夜「でも京太郎くんの舌には合わないかも…」
京太郎「え、なんでだ?」
健夜「ほら、京太郎くんってお料理得意でしょ?それに比べて私はヘタクソだし……」
京太郎「あはは、それはそうかもな」
健夜「ひどいっ!」
京太郎「でもいいんだ、健夜の作ったご飯を食べられるだけで」
健夜「そ、そう///」
京太郎「さ、食べようぜ」
健夜「うん」
モグモグ
健夜「どうかな…」ジー
京太郎「うん、10段階評価でいうと4ってところだな」
健夜「それは喜んでいいのかな…」
京太郎「なに、これからどんどん上手くなっていけばいいさ」
京太郎「それより俺は、健夜の作ったものを食べられるだけで嬉しいから」
健夜「うっ…あ、ありがと//」
京太郎「うーん、でもこの味付けどこかで……健夜、これお母さんに手伝ってもらったろ?」
健夜「な、なぜそれを…」
京太郎「この煮物の味付けなんて健夜のお母さんのにそっくりだし、こっちの照り焼きだって――」
健夜「え、え、なんでそんなこと知ってるの?」
京太郎「ああ、言ってなかったけ?」
京太郎「実はな…文化祭の後意気投合しちゃってさ、何度かおじゃまして料理について教えあったり」
京太郎「今どこのスーパーでどの品物が安いのか、とか話しながらお茶したり――とかしてたしな」
健夜「主婦の会話!?お母さんと仲良すぎない!?それに私そんなこと知らないんだけど!?」
京太郎「えー、だって健夜って土日はお昼過ぎまで寝てるじゃん?」
京太郎「俺その時間にしかいなかったからなあ」
健夜「」
京太郎「ん?どうした」
健夜「乙女の秘密を暴いてそんなに平然としてるなんて……」
京太郎「乙女て……」
健夜「もう、知らない!勝手に食べれば!!」ガツガツ
京太郎「はいはい、すいませんでした」
昼食を食べ終わり、少し休憩をとると、いよいよ水族館に入場した
さすがリニューアルしたばかりなので、清潔感があっていい感じだ
健夜「見て見て、すごい大きな水槽…」
京太郎「ほんとにな。イワシの大群がすごいキラキラしてるな」
健夜「あはは、あそこで泳いでる亀見て!」
京太郎「魚に纏わりつかれてる、何してるんだろう?」
健夜「さあ、分からないけど、なんだかかわいいね…」
京太郎「すごいな、サメも一緒に泳いでるんだな……他の魚食べないのかな?」
健夜「水族館の魚は餌は足りてるから、基本的に襲ったりしないらしいよ」
京太郎「基本的には?」
健夜「うん、だからたまに襲ったりすることもあるんだって」
京太郎「へえー、他の魚からしたらたまったもんじゃないなそれ…」
健夜「ふふ、そうだね」
京太郎「しかし、水族館に来ると腹が減ってこないか?」
健夜「えー、ならないよ。なんで?」
京太郎「俺よく料理はするからさ、食材を見ると完成品が思い浮かんじゃって…」
健夜「食材って…」
京太郎「ほら、あそこのイワシなんてうまそうだろ?たたきにすると最高なんじゃないか」
健夜「うっ……確かに」
京太郎「あのブリなんかいいじゃないか、脂身が多そうだから照り焼きにするか鍋にするか…」
健夜「うぅ…」ゴクリ
京太郎「向こうの水槽の大きなエビはシンプルに刺身にしようかな。頭は鍋のダシにしよう」
健夜「……もうやめて!お腹空いてきちゃうよ!?」
京太郎「やっぱりなったじゃないか」
健夜「京太郎くんのせいだからね!?」
健夜「うー、もうまともな目で展示見れないよ…」
京太郎「はは、わるいわるい!」
京太郎「じゃあ、あまり食材っぽくないあっちの展示を見ようぜ」
健夜「えー、なになに……サメと…マンボウだね!」
健夜「確かに、これならお料理は想像しにくいもんね」
京太郎「ちなみにサメの肉は鶏肉に似ていて、マンボウも意外と全国各地で食べられ――」
健夜「もうやめてっ!?」
_________
______
__
健夜「すごいサメの数だね…それに何種類もいるみたい」
京太郎「なんでも、この水族館の一押しがサメとマンボウらしいぞ」
健夜「へえー、言うだけあって確かにすごい数…」
健夜「あ!あのサメかっこよくない?」
京太郎「どれどれ……ふーむ、メジロザメっていうのか。確かにかっこいいな」
健夜「でしょ!」
京太郎「なんというか、ロシアの諜報機関に所属していて暗殺とかやってそうな顔をしてるな」
健夜「やけに具体的だね…」
京太郎「そうだな、例えるならサメ界のプ○チンといったところか…」
健夜「それはいけない」
京太郎「おっと、そうだったな」
健夜・京太郎「……」
いつもの
マンボウの死因一覧
朝日が強過ぎて死亡
水中の泡が目に入ったストレスで死亡
海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
前から来たウミガメとぶつかる事を予感したストレスで死亡
近くに居た仲間が死亡したショックで死亡
近くに居た仲間が死亡したショックで死亡した仲間から受けたストレスで死亡
マンボウの死因一覧
朝日が強過ぎて死亡
水中の泡が目に入ったストレスで死亡
海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
前から来たウミガメとぶつかる事を予感したストレスで死亡
近くに居た仲間が死亡したショックで死亡
近くに居た仲間が死亡したショックで死亡した仲間から受けたストレスで死亡
健夜「あ、あれなんかどうかな」
京太郎「えーと、レモンザメか。名前はかわいらしいが……目がイッちゃってるな」
健夜「…うん、そうだね。あんなの海で見かけたら間違いなくパニックになる自信があるよ」
京太郎「こっちはあれだな、シリアルキラータイプだな」
京太郎「さっきのは計画的に殺人を犯すのに対して、こっちは特に理由も無く犯行に及ぶに違いない」
健夜「ひどい言い様だね…まあ、分からなくもないけど」
京太郎「おい、またすごいのを発見したぞ、あれ!」
健夜「うわっ!すごい強面…歯がむき出しになっててこわっ!」
京太郎「あれは…シロワニっていうのか。サメなのにワニって…ひょっとしてギャグで言っているのか!?」
健夜「へえ、見た目はあんなのなのに、おとなしい性格で人もめったに襲わないんだって…」
京太郎「嘘付け!あの顔は絶対中南米のマフィアのボスをやってて、麻薬取引で金稼いでる顔だよ!!」
健夜「ああ…確かにそんな感じ」
_________
_____
__
健夜「想像してたのと違う…」
京太郎「え、何が?」
健夜「なんていうか、もっとこう『かわい~!』とか『すご~い!』とか」
健夜「水族館てそういう楽しみ方をするものだと思ってたよ…」
京太郎「そうか?楽しいならいいじゃん」
健夜「私たち水族館に来て、料理の話とサメの犯罪者顔の話しかしてないよ!?」
京太郎「わがままだなー。じゃああっち行こうぜ」
健夜「えーと『愛くるしい海獣たちが待ってます』…か。よさそうじゃん!」
京太郎「おお、いたいた。アザラシにラッコかあ」
健夜「……」
京太郎「ん、どうした?」
健夜「かわい~!これだよ、これ!!私が求めてたのは!!」
京太郎「そうですか」
健夜「あのラッコかわい~!」
京太郎「二匹が手を繋いでるな。かわいいけど、なんでだ?」
健夜「ラッコはね、海面に浮いたまま寝るんだ」
健夜「で、そのとき離れ離れにならなないように手を繋いで寝るんだよ」
京太郎「なんだよそれ、可愛すぎるだろ…反則じゃねえか」
健夜「でしょ~」
京太郎「あっちにいるアザラシもかわいいな」
健夜「正確にはゴマフアザラシだね。少年アシベの『ゴマちゃん』と同じアザラシ」
京太郎「ゴマ、ちゃん…?」
健夜「少年アシベのゴマちゃんだよ、さすがに知ってるでしょ?」
京太郎「アア、アレネ。イマオモイダシタヨ…」
知らないとは言えない…これがジェネレーションギャップというものか……
健夜「すごいムニュムニュしてそう、家に持ち帰って抱き枕にしたいくらいだよ」
京太郎「それは、あのアザラシがかわいそうだから止めた方が…」
健夜「ちょっとそれ、どういう意味っ!?」
健夜「向こうにいる鳥?なんだろう」
京太郎「えーと、なになに……エトピリカ、だと…」
健夜「知ってるの?」
京太郎「ん、まあな。エトペンのモデルになった鳥だろ?」
健夜「京太郎くん、エトペンなんか知ってるんだ…以外」
京太郎「ふふ、まあな…なにせ、世界一幸せなペンギンだからな」
健夜「どういう意味?」
京太郎「俺と代われっ!!と毎日思っていたってことさ…」トオイメ
健夜「?」
_________
______
__
京太郎「そろそろ時間だし、帰るか」
健夜「うん、そうだね」
京太郎「…なあ、今日は楽しかったか?」
健夜「うん、もちろん!」
京太郎「そうか、よかった。本当に…」
健夜「?」
京太郎「なあ、その……帰る前に少し話したいことがあるんだが」
健夜「帰り道の途中じゃだめなの?」
京太郎「ああ、大事な話なんだ」
健夜「!!」
健夜「そ、それって、ももももしかして…///」
京太郎「……あそこならゆっくり話せそうだな」
健夜「う、うん…//」ドキドキ
健夜「で、なにかな//」
京太郎「……」
京太郎「この4ヶ月いろいろあったよな」
健夜「なに、突然?まあ、そうだけど…」
京太郎「最初健夜と会ったときなんか、すげえビクビクしててさ」
京太郎「俺、こいつと付き合っていけるのか?って思ったもんだよ」
健夜「ひどい!そんなこと考えてたんだ」
京太郎「はは、すまんすまん」
京太郎「そういや、出会ってすぐの頃はよく本の話をしたっけか」
京太郎「健夜、普通に話すときはビクビクしてるくせに、本の事となると途端に饒舌になってたよな」
健夜「や、やめてよ…なんだか恥ずかしいから///」
京太郎「いろいろ健夜から本を借りて…結構読んだなあ。楽しかったよ、すごく」
健夜「そ、そう?ありがとう//」
京太郎「その後は、半ば無理やり麻雀部に誘ったけ」
京太郎「正直あのときのことは反省している、後悔はしていない」
健夜「後悔もしてよ、もう!」
健夜「ま、でも、そのおかげで色々な事が経験できたんだけどね…」
京太郎「そうだな、短い間だったけどすごい密度だったような気がするよ」
健夜「そうだね」
京太郎「他にもたくさんあったなあ」
京太郎「トシさんに弟子入りしたり、文化祭で馬鹿やったり」
京太郎「初めて大会で勝ち進んで、合宿で思いっきり練習もして」
京太郎「みんなで海水浴に行ったのも楽しかったなあ」
京太郎「あの時の健夜の水着姿、ほんとに可愛かったぞ」
健夜「あぅ…///」
京太郎「東京に行って、インターハイで応援して」
京太郎「健夜、ぜんぜん実力を出せなくて、めちゃくちゃ落ち込んでたよな」
京太郎「でも、最後の対局はほんとかっこよかったよ。びっくりするくらい」
京太郎「また、ああいうのを見てみたかったんだけどな……」
健夜「……え、それってどういう――」
京太郎「健夜、よく聞いてくれ」
京太郎「俺、転校しなきゃいけないんだ」
健夜「え?」
健夜「い、いきなり何言ってるの?」
健夜「あ!そうだ、またいつものくだらない冗談だね!」
京太郎「健夜……」
健夜「もう、京太郎くんは…さあ、帰るんでしょ?行こうよ」
京太郎「健夜…すまない。本当は最初から分かっていたことなんだ。いつかは帰らないといけないって」
健夜「もう、いいよ。そういう冗談は……だからやめて」
京太郎「でも、気付いたらあまりにもみんなと仲良くなっちまって、言い出せなかったんだ」
健夜「お願いだから…」
京太郎「すまない」
健夜「……なんでなの」
京太郎「すまん、それだけは言えない」
健夜「私にも?」
京太郎「健夜だからこそ、だ」
健夜「意味わかんないよ」
京太郎「だろうな」
健夜「……でも、転校しても、またすぐ会えるんだよね?」
京太郎「いや、もう会えないかもしれない」
健夜「~~ッ!!なにそれっ!意味わかんないよ、さっきからっ!!!」
京太郎「……」
健夜「……」
健夜「ねえ、今日さ…いつかスキーを教えてくれるって約束してくれたよね?」
京太郎「そうだな」
健夜「東京で、あの公園で…」
健夜「来年もまた、一緒にここに来ようって約束してくれたよね?」
京太郎「ああ」
健夜「あの事故の後……私がピンチのときは必ず助けてくれるって言ってくれたよね!?」
京太郎「……」
健夜「あれも全部嘘だったの!?」
京太郎「そうだ」
健夜「っ…!!」
健夜「馬鹿っ!!」ダッ
京太郎「……」
泣いてたな……大事な人を泣かせるなんて、我ながら最低だ
京太郎「いや、これで良かったのかもな」
……ああ、結局渡せなかった、これ
_________
_____
__
京太郎「ただいま」
トシ「おや、おかえり。案外早かったんだね」
京太郎「…うん」
トシ「……」
トシ「どうしたんだい?」
京太郎「単刀直入に言うよ、トシさん。俺帰ることにしたんだ」
トシ「……そうかい。だから今日健夜ちゃんと…」
トシ「きちんとお別れはできたのかい?」
京太郎「どうだろう、正直よく分からないや」
トシ「京太郎のことだ、自分に対して未練が残らないように、冷たくあしらったんだろう?」
トシ「違うかい?」
京太郎「はは、トシさんには適わないな……ほんとに」
トシ「京太郎こっちにおいで」
京太郎「どうしたの、急に」
トシ「いいから、ほらっ」ギュ
トシ「半年も一緒にいるのに、こうするのはこれが初めてだね」
京太郎「うん、そうだね」
トシ「京太郎、この半年間本当にありがとう」
京太郎「お礼を言うのは俺の方だよ」
トシ「そんなことないよ。あんたからは色んなもの貰ったんだから」
京太郎「それを言うなら、俺だってトシさんから色んなもの貰ったよ」
トシ「お互い様だね」
京太郎「そうだね」
京太郎「…いろいろ言うべきことがあった気がするんだけど、出てこないや」
トシ「ふふ、私もだよ」
京太郎「しばらく、このままでいい?」
トシ「うん」
その後、自分の部屋に戻り、荷物の整理をした
だけど、それもあっけなく終ってしまった
まあ、半年程度ならこんなものなんだろう
結局、麻雀部の先輩やクラスメイトにはお別れを言わなかった
たとえ言ったとしても、理由を聞かれて、返答に窮するだけだ
寂しいが、仕方がないのかもしれない
半年振りに清澄の制服に袖を通し、玄関に向かう
トシ「なかなかきまっているじゃないか、似合ってるよ」
京太郎「ありがとう、なんだか照れるね」
京太郎「あー、あと悪いんだけど、これを健夜に渡しておいてくれないかな」
京太郎「本当は最後に渡すつもりだったんだけど」
トシ「これは……分かったよ、必ず」
京太郎「学校のこととか、色々と後始末をしてもらうのは申し訳ないんだけど…」
トシ「何言ってるのさ、大人に迷惑をかけるのも子供の仕事の内だよ」
京太郎「そう言ってもらえると助かるよ、ありがとう」
京太郎「あと、これ。トシさんにも」
トシ「なんだい?やけに大きいね……あらっ?」
京太郎「料理の練習でだいぶ磨耗しちゃったから、新しい調理器具を買ったんだ」
京太郎「どうかな…なるべく良さそうなのを選んだんだけど」
トシ「うれいしいよ、ありがとう京太郎。でも高かったろうに…」
京太郎「今月短期のバイトで稼いだからね、どうってことないよ」
京太郎「それより、俺がいなくなってからもカップラーメンは控えてほしいかな」
トシ「ふふ、善処するよ」
京太郎「もうっ」
トシ「……」
京太郎「……」
トシ「行くのかい?」
京太郎「うん」
トシ「帰りは?」
京太郎「少し遅くなるよ」
トシ「そうかい、いってらっしゃい京太郎」
京太郎「いってきます」
京太郎「ばあちゃん」
この半年間、色んなことがあった。本当に楽しかった
だからできれば、ずっとここで過ごしたいくらいだ
だが、そういうわけにもいかない
ついに帰るときが来たのだ
トシさん、麻雀部の先輩方、クラスメイト、そして健夜…
みんなと別れるのは寂しいが、彼らのおかげでとても楽しい日々を過ごすことができた
伝えることはできないが、本当にありがとう
京太郎「さて…」
おあつらえ向きの下り坂が見えてきた
だから、助走を付ける
タンッ!
みんなの顔がフラッシュバックする
タンッ!!
この半年の出来事が一挙に頭の中を駆け巡る…健夜
タンッ!!!
健夜……本当はあの時俺は…
京太郎「いっけええええええええええ!!!」
今日はそこそこ投下できましたね。疲れたので寝ます
たぶん明日には全部いけると思います
ではまた。おやすみなさい
たぶん明日には全部いけると思います
ではまた。おやすみなさい
乙です
分かっていたとはいえ切ない…
続きを楽しみに待ってます
分かっていたとはいえ切ない…
続きを楽しみに待ってます
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