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    元スレ三浦「あーしってさ案外一途なんだよね」八幡「はぁ」

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    301 :

    ハーレムでもいいよ。というかハーレムがいい

    303 :

    >>1遅いからゆみこい読んでくるし

    304 :

     「おまえ、どういうつもりだよ」

     俺は帰り道、三浦に尋ねた。もはやこいつは何をしているのかわからない。

     あの後、一緒に弁当を食べ、何もなかったように談笑し、そして、三浦と由比ヶ浜はいつも通りの二人へと戻っていた。

     どんだけだよ、某学園の日々だったら修羅場超えて悲しみの向こうだよ。こいつらの精神構造はどうなってんの?

     「なにって、あの通りだけど」

     三浦はキョトンとした顔でそう返答した。当たり前だと言わんばかりに。

     「愛人とか……お前意味わかってんのか?」

     「愛する人でしょ、そんなのわかるし」

     「そういう意味じゃねぇよ、どうすんだよ……この関係」

     俺は頭を抱える。これじゃあ俺が二股している最低野郎じゃねぇか。由比ヶ浜も由比ヶ浜で愛人でも良いとか言う始末。

     大体、俺、三浦と付き合うとも言ってないし、どうすんのこれ。

    305 = 1 :

     「だーかーらー、今はユイはあーしを応援して、その後、あーしがユイを応援してやるって話っしょ」

     「お前、俺の気持ちは完全無視かよ……」

     「じゃあ、あんたの気持ちってなによ」

     確かに、今の俺には三浦、もしくは由比ヶ浜、さらには二人を振る、そして二人共選ぶという選択肢すらもあるのだが。

     ではここで、今、俺の気持ちに正直に答えを選択してみよう。

     「……三浦を選ぶ、由比ヶ浜には悪いが、愛人という関係が良いとは俺には思えない。周りの目とかで、いつか破綻する」

     そう、愛人という関係は、どう見ても周りが許容しない。気に入らないと思われれば、それを噂に流し、迫害される。子がいるならいじめの対象になってしまうだろう。

     これは言えないが、ぶっちゃけ今の俺の気持ちは由比ヶ浜より、三浦の方へと傾いている。

     だから選べと言われれば三浦を選ぶ、由比ヶ浜には申し訳ないが、これが本音である。

    306 = 1 :

     しかし、その返答を聞いた三浦の顔が強張り、眼光鋭く俺を睨んでくる。ど、どうしてだよ、何も間違ったこと言ってねーじゃねーか!

     「嬉しいけどさ、で、それ、あんたは、ユイとしっかり向き合った上での言葉なの?」

     嬉しいのところになんの感情もこもってない。ああ、やべぇ、獄炎の女王様がお怒りだ。ウェルダンにされかねん、俺はレア派だぜ。

     「それだったら、あんたに文句言わない、かわりにあんたをボコボコにしてユイに侘びいれさせる」

     今すぐハイキックが飛んできそうなオーラが漂う、どうして俺はどうあがいても絶望なの?

     「……まぁ、いいわ、まだ決定事項ではないし、でもあーしの希望は二人共選んでくれること」

     三浦は怒りを抑えるために、大きく深呼吸、そしてため息をついて、そう言い放った。ちょっと怒りが収まったが、まだオーラ量がやばい。

     「あーしにはわかんないわー、二人選べば美少女二人をゲットできるのに」

     「いやいや、二股とかは男としてのプライドが……」

     「主夫したいとか言ってる奴がそんなこと言うとか、ちゃんちゃらおかしいし」

     主夫の何が悪い! 男女平等のこの社会ではちゃんとした職業だぞ……男女平等だったら、男のプライドって矛盾してるますよね、今気づきました。

    307 = 1 :

     三浦は、また大きく深呼吸した。かなり怒りのオーラは収まったようだが、それでもまだ余裕でハイキックが飛んできそうなくらいは怒っている。

     でも、ジト目は可愛いを思ってしまっている。時々、怒らせてこの顔みたいと思うくらいには。その後殺されそうだけど。

     「あんたさー、正味難しく考えすぎ、とりあえずはさー」

     俺の顔を両手で掴み、俺を直視する。やめてください三浦さん、俺の顔がアッチョンブリケなんですが。

     「あーしを見て、あーしの事を決めて、それからユイを見る。一つずつやってけ、一緒に解決しようとすんなし」

     そう言うと、三浦は俺の顔を離してから、静かに微笑み、こう呟いた。

     「ばーか」

    308 = 1 :

     約束の日曜日、約束の場所へと、約束の30分前に到着した。『全然待ってない』を一回でいいのでのたまってみたかったのよ。

     「おー、ヒキオー、早いじゃん」

     そんな俺の希望を打ち砕くがごとく当たり前のようにいる三浦さん。一回くらい言わせてよ。

     「どんくらいから来てたんだ」

     「んー? 30分前くらいからかなー」

     マジですか、あんたどんだけ楽しみにしてたんですか、1時間とか、いや、暇じゃないんですか。

     「待たせちまったみたいだな、すまん」

     「いや、いいし、好きな人待ってる時間ってのも楽しいもんよ」

     なにそのセリフかっこいい。全然待ってないよりもかっこいんですけど。

     ちょっと俺は敗北感を噛み締めながら。改めて、三浦の様子を見る。嬉しそうに、はにかんでんのが卑怯です。

     服装はというと、上はシンプルな白色無地のワイシャツに、指輪でまとめた濃紺のスカーフを首に巻いて、全体のバランスをとっている。

     下は黒いデニムレギンスと革ベルト、履物は茶色の革のショートブーツ、全体的に、可愛い系ではなく、かっこいい系でまとめている印象だ。

    309 = 1 :

     「そんじゃ、行こうか」

     「しかし、工場のお祭りねぇ、こんなとこで良かったのか?」

     「いやいや、出し物も色々あんだから、それに男の子だったら、こういう機械とか好きっしょ?」

     まぁ、一人の男の子としては大きな機械がガションガション動くのはロマンを感じるが、工場とか汚いイメージがあるから、あんまりデートに使うイメージがない。

     「まぁ、いいじゃん、ほら、バス来たし、乗ろ」

     俺は何か言い表せぬ違和感を感じながらも、三浦に手を引っ張られ、無料送迎バスに乗り込む。

     三浦が引っ張られる力の強さに、今日も一日疲れそうだなと予感し、俺は諦めと、嬉しさを込めてため息をついた。 

    310 = 1 :

    とりあえず今日はこれで終わりです。

    とりあえず、ゆきのん、ガハマさんは今つけると収拾つかなくなりそうなので
    とりあえず、この話終わらせてから、話考えて別スレにするなりにしてみようと思います。

    相談に乗ってくれてありがとうございました。

    311 = 1 :

    >>306
    すみませんこれの

    男のプライドって矛盾してるますよね、今気づきました

    の部分

    男のプライドって矛盾してますよね、今気づきました

    でした。誤字すみません。

    312 :

    おつ

    313 :

    >>302の母でございます。
    このたびは、息子がこのようなレスをしてしまい、皆様には大変ご迷惑を おかけしております。
    御手数をかけますがNGよろしくお願い申し上げます。

    314 :

    >>310
    乙。
    ということは「ガハマさん愛人になる!」のお話はこのスレではもうないってことね?

    315 :

    すみません、今日は時間が取れずに書けませんでした
    また、明日以降投下しようと思います。

    >>314
    はい、今、ガハマさんとゆきのんの話入れると進まなくなりそうなんで
    この話ではあーしさんとの決着まで
    後日、ガハマさん、ゆきのん単体のイチャラブでも書こうと思います

    316 :

    期待してる

    317 :

     「けっこう人がいるもんだな」

     俺は周りを見渡し、そう、呟いた。

     なんでも、この祭りは数十年前から続く、それなりに歴史がある祭りらしい。地域と企業との触れ合いを考え、色々な催しがされている。

     パンフレットを見ると祭りに定番の屋台はもちろんのこと、ヒーローショー、芸能人を招いてのイベント、フリーマーケット等、様々な出し物が計画されている。

     出し物の傾向を見ると、どうやら家族連れの客をターゲットにしているらしい。客の中には工場で働いている人間の家族も多いからだろう。

     「あ、見てみ、見てみー、あれ、あそこに神輿担いでる人いるし」

     三浦が指差すほうを見ると、確かに神輿を担いで騒ぐ暑苦しい連中が見えた。

     祭りの催し物としてあれだけは理解できん。重いし、疲れるし、なにより他人との関係がめんどい。

    318 = 1 :

     「神輿好きなのか?」

     「派手な神輿とかは好きだけどね、あと可愛いやつもあるじゃん、ああいうのは見てるだけでも楽しいし」

     「ああ、確かにあるな」

     キ〇ィちゃんとか、お前日本の伝統文化を何だと思ってんのと思わざるえんのとかな。

     「子供のころはあれに乗ってみたいとか考えてたし、懐かしいなー」

     ふと、ハッピとハチマキを着こなした三浦が神輿の上に乗り、音頭をとる姿が脳裏によぎる。男前で以外と似合ってらっしゃる。

     「あ、今なんか失礼なこと考えたっしょ?」

     「そ、そんなことはありませんよ」

     しどろもどろになりながら返答すると、三浦はじーっとこちらを睨んできた。

     いやいや、本当に似合ってると思っただけだから、三浦さんのハッピ姿は本当に似合ってらっしゃるから。

     笑顔で音頭をとり、さわやかな汗をかき、そのせいでハッピの隙間から見えるさらしがピッチリと肌に吸い付き、女性のラインが露わになった三浦が見えたから。

     ……あれ、なんか知らんうちにエロい方向に妄想が捗ってるんですが。

    319 = 1 :

     「……今度はエロいこと考えてるし」

     俺はとっさににやけている口を手で覆う。やべぇ、視線が自然と三浦の胸の方へと向かってしまう。

     「そ、そんなことないよ」

     「ふーん……ほいっと」

     三浦は、自身の胸に絡みつくように、俺と腕を組んだ。服の上からでもわかる、柔らかく、豊満な双丘が俺の腕で歪む。

     「み、三浦さん?!」

     「そんなにあーしの胸ばっか見て、ヒキオってば本当にエッチだし」

     三浦は、上目遣いに蠱惑的な笑みをこちらに向けると、腕全体にその双丘の感触をなすりつけるように体を上下させた。

     「そんなにしたかったんならあの時にすれば良かったのにぃ」

     三浦は少し頬を膨らませて、抗議の意をこちらに向けてくる。真に遺憾であると。

    320 = 1 :

     「う、うるせー、俺はそしたら、大切なもん差し出さねばならんだろうが」

     「いーよ、喜んで貰ったげる、て、ゆーか、あーしも差し出すし、おあいこっしょ」

     なに、そのうれし……もとい、とんでもないカミングアウト、ありがとうございます!!

     「まぁ、いいや、あーしも、もうちょっと待ったほうが良かったし」

     「な、なんで?」

     「もうちょっとしたら……確実だし、初めてで出来たほうが、なんか素敵じゃん?」

     その情報はいらなかったです。ていうか、なにが素敵なんだよ、てんやわんやするじゃねーか。俺は、あらゆる所に土下座するしかない。

     「じょ、冗談ですよね」

     「うん、冗談」

     にこりと白い歯を見せ笑う三浦。

     そ、そうですかー、冗談ですか。俺はホッと胸を撫で下ろす……いや、これぽっちも残念だと思ってないよ!

     「どっちかって言うと、早くいっぱいしたいし……それに出来るなら初夜の時のほうが素敵だしねー」

     俺はその爆弾発言を聞き、ずっこけるほかなかった。もう、好きにしてください。

    321 = 1 :

     俺はその後、工場を見学するために整理券を受け取っていた。この祭りでは、工場を外から遊覧するため、わざわざ船を借りているらしい。なんともバブリーなことである。

     それから、屋台で買ったモツ煮込みを掻き込みながら少しの時間を待ち、船へと搭乗する。港を出航するとと、さわやかな潮風が頬をなで、磯の香りが鼻をくすぐる。

     「おお、すげぇな」

     俺は、巨大な煙突から轟々と煙が巻き起こる姿を見ながら感嘆の声をあげる。環境問題とかほざいてる奴は今頃なにしてんだろうな。

     「お、優美子ちゃんじゃん、来てくれたんだ」

     後ろを振り向くと、作業着姿のお姉さんが、こちらに手を振ってくれていた。

     「だれ?」

     「ああ、うちの親の知り合いで、この工場に勤めてるみたい」

     へぇ、工場で女の人か、いないことはないんだろうけど、珍しいな。

     作業着姿のお姉さんは、こちらへ嬉しそうにこちらへ走りよると、俺の顔を何かを物色するような目つきで見てきた。

    322 = 316 :

    ザケル

    323 = 1 :

     「ど、どうも……」

     「こんにちは……へぇ、これが優美子ちゃんの」

     「ちょ、ちょっと、まだ、こいつとあーしは」

     「いいって、みなまでいうな、それより、無料配布のコーヒーが向こうにあるから彼氏の分もとってきなって」

     「も、もう!」

     三浦は、頬を膨らませながら、無料配布のコーヒーをとりに行った。

     「優美子ちゃんの彼氏さん、いやぁ、中々のイケメンくんだね」

     「お世辞ですか?」

     白々しい言葉に即答を返す。もしくは、イケメンの字が違うのかもしれないが。

     「あ、ばれちゃった?」

     「俺にお世辞言ったって何にもならないと思うんですが」

     「いやいや、将来の幹部候補生に媚を売るのは中々に有意義だよ」

    324 = 1 :

     なん……だと……

     「うちの会社大きいからねー、幹部候補生なら左うちわだよー」

     俺はその言葉を聞いて、最初に感じていた違和感、つまりこのデートの目的は察知する。そう、これは、俺に就職させようとする三浦の罠だったんだよ!

     「お待たせー、ほら、ヒキオの分!」

     背後から三浦の声が聞こえる。ちくしょー、俺の純粋な心を弄びやがって。

     「おい、三浦、どういうつもりだ?」

     「え、どうって……」

     「なんでここに就職させようとしてんの」

     三浦は目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。

    325 = 1 :

     「俺の夢は知ってるだろ、俺にその夢を捨てろって言うのか?」

     「ち、ちがうし、あーしはそんなつもりでここに連れてきたわけじゃないし!」

     ボロボロと大粒の涙を流し、信じて欲しいと懇願の表情を浮かべる三浦。

     「し……信じて、あ、あーし、ヒキオの夢のために、どんな苦労でもするつもりあるから!」

     三浦は嗚咽を上げながら泣き叫ぶ。

     ここまで言われると三浦の意思が違うとは思えない。とするとだな。

     背後で、笑いをこらえている音が聞こえる。うん、からかわれたか。

     「ご、ごめん、ごめん、そんだけ深刻な話になると思ってなくて」

     笑いすぎで出た涙を拭うお姉さん。この人怖いわー

     「いやいや、そんだけラブラブなら、二人の仲は安泰だね、うんうん」

     なに、ひとりで頷いて納得してるんだ、この人。

    326 = 1 :

     俺が抗議の声をあげようとしたその瞬間。後ろからの猛烈な怒気を感じた。うん、ご愁傷様です。

     「尻……だせ……」

     「あ、あのぅ、優美子ちゃん、あ、あたし今仕事中だし、立場もあるから……えっと、その、あ、あやまるから……」

     「黙 っ て 尻 だ せ し ッ ! ! 」

     「は、はい……」

     三浦の剣幕に押され、お姉さんが振り向く。

     刹那、そういっていいほどの速さで、三浦の足はカミソリのような切れ味で、綺麗な半月弧を描き、お姉さんのヒップへと吸い込まれていった。

     痛々しい悲鳴が周りにこだまする。俺はその光景を見ながら心に誓った。あれだけは喰らわないようにしようと。 

    327 = 1 :

     すっかり日も暮れ、夕暮れも近くなった頃、俺たちはそろそろ帰ろうと帰り支度をする。

     「楽しかった?」

     三浦は小首を傾げながら、俺にそう尋ねた。

     あの後も、ちゃちなヒーローショーを見たり、名前もわからんようなミュージシャンの演奏を聞いたりとしてたわけだが。

     まぁ、なかなかに楽しめたと思う。だいたい、綺麗な女の子とのデートだしな、楽しくないわけがない。俺は素直に返した。

     「ま、楽しかったぜ、意外とな」

     「そっか」

     そういうと三浦は、あのテニスでの時のように、顔を夕日のように染め、微笑んでいた。

    328 = 1 :

     その時だった、すぐ近くで子供の泣き声が聞こえた。

     三浦はすぐにその声に反応し、行動を起こす。こいつのそういう所はすごいと思う。まさにオカンって感じだな。

     「どうしたの?」

     三浦はすぐさま駆け寄ると、転んで膝がすりむけた小さな女の子に手を差し伸べる。

     「お、お母さんがわからなくなっちゃった」

     どうやら、迷子になった挙句、転んで泣いてしまうという、べたにも程がある展開らしい。

     「そっか、じゃあ、あーしたちが探したげる」

     そう言うと三浦はサイドポーチから、みぞれ玉を取り出す。飴ちゃんを常備してるとか、お前はどっかの大阪のおばちゃんかよ。

     そのみぞれ玉を包装を破り、中身を幼女へと渡す。幼女はそれをほお張ると、少し泣き止み、こくんと頷いて返事をした。

    329 = 1 :

     「ったくなんで俺が」

     「ぼやくな、ぼやくな」

     今、俺と三浦は、少女を間とし三人で手を繋いでいた。俺は三浦にもらったみぞれ玉を噛み砕きながら、この子の親を呼ぶ声を再開する。

     そうしていると少女は俺と三浦を交互に見つめ、なにか考え事をしていた。そして少女は気恥ずかしそうに、三浦の方へと振り向き、こう言ったのである。

     「お姉ちゃん? お母さん?」

     俺は、たまらずふき出す。

     お、お母さんって……たしかに三浦はオカンぽいけどさ、子供ってひでぇなおい。純粋ゆえの凶器とはこの事だ。

     「だ、だってさ、お母さん」

     そう言うと三浦は顔を真っ赤にし、無言で俺の耳を引っ張った。

    330 = 1 :

     その様子を見ていた幼女は、少し心配そうに三浦を見る。

     「だめだよ、お父さんと仲良くしなきゃ」

     へ、つまり、この子のいってるお母さんってつまり……

     俺は、急に気恥ずかしくなり、顔に血液が流れ込む。

     「顔真っ赤だけど大丈夫、お父さん?」

     俺の顔を覗き込んで、心配そうに呟く少女。ごめんな、それ以上言わないで、頼むから。

     三浦もその言葉に顔を真っ赤にしていた。ふと互いに目が合う。

     「あーしはあなたが良いんだけど」

     「いや、そういうことじゃないから」

     互いを見つめ、そして笑い合う。それに釣られ、少女も笑い、笑い声の協奏曲が紡がれた。まったく、幼女は最高だぜ。

    331 = 1 :

     少女の親を見つけ、少女と別れを告げたあと、俺たちは少し、周りをぶらついていた。

     「ねぇ、そろそろ、いいんじゃない」

     そう、切り出してきたのは三浦のほうからだった。

     三浦は恥ずかしそうに、もじもじとしながら、俺を見据えていた。

     「ヒキオ……あーしと……あーしとさ……」

     「まてよ……」

     俺はあえて、三浦の言葉を遮る。答えは決まっている、もう既に落とされてたしな。

     三浦の手をとり、三浦を真っ直ぐ、目をそらさないように、しっかりと見据える。顔が真っ赤になろうと最早気にしない。

    332 = 1 :

     「い、今まで、お前ばっかに言わせてきたからな、今回位は俺に言わせてくれよ……」

     「う、うん……」

     「お、俺の……」

     俺はここで悩んでいた。そう悩んでいたのだ。彼女という言葉が適切ではないような気がして。

     『お嫁さん』

     俺の脳裏にそれが浮かんだ瞬間

     「お嫁さんになってくれ」

     俺は考えるより先に、確かに、はっきりとその言葉を発していた。

    333 = 1 :

     「は、はい!!」

     「あ、あーし、お嫁さんになります! あなたのお嫁さんになります!!」

     「こ、子供は最低2人、親子でダブルスがしたいから、も、もっと欲しかったら、もっと作るから!!」

     「あ、あと、あーしのことは優美子って呼んで! あーしは八幡って呼びたい!!」

     「え、えーと……うん、八幡、好き、好き、大好き、愛してるっ!!」

     三浦はうれし涙を浮かべ、俺に抱きつき、マシンガンのように俺に言葉をぶつけてくる。

     「うるさいっつーの」

     俺はそう言うと、三浦の口を俺の唇で塞ぐ。三浦は目を一瞬見開いたあと、ぎゅっと閉じ、俺に身を任せるように脱力した。

     柔らかな唇の感触。さようなら、俺のファーストキス。こんにちは、新しいお嫁さん。俺は強く優美子を抱きしめていた。

    334 = 1 :

    今日はここまでです。

    335 :

    えんだああああああああ

    337 :


    最近このスレを見たおかげでインスリン注射が必要になってきたわ

    338 :



    ニヤニヤしながら見てるわ

    339 :

    優美子って俺の母ちゃんと同じ名前だから、なんか複雑だわ(´・ω・`)

    340 :

    いきなりのプロポーズは突っ込むかと思った

    341 :

    八幡、漢や……

    342 :



    >>340
    だってお嫁さんになるとか子供欲しいとか公言してるような相手だし

    343 :

    今日はちょっと投下はなしです。

    明日投下する予定です。

    345 :

     その後、次の日に学校があるということでそれぞれの帰路についた。といっても、互いに離そうとしなかったせいで、終電しかもぎりぎりでだったが。

     あの柔らかな唇の感触と、甘くとろけるような匂い、そして愛おしいぬくもり、それらが頭の中でぐるぐると回り、おかげさまで全く寝ることができなかった。

     俺は仕方なく簡単な朝食を摂り、いつもより早く家を出ていった。恥ずかしい話だが、早く優美子と会いたい、そればかりを考えていたのだ。

     そして、クラスへと入る。これから優美子との楽しい青春ラブコメが待っている。

     そう思っていた――――それを目の当たりにするまでは。

    346 = 1 :

     「なんだ……これ」

     優美子の机から落ちた一枚の紙を拾いあげる。

     それは、ただ、文字が印刷された紙だった。そう、筆跡がわからないように、あえて印刷した『手紙』だった。

     内容は『ヒキガエルのお嫁さん』等、書いた本人の稚拙さがわかるような物だった。

     『ヒキガエルのお嫁さん』って――――また、なのか、また俺のせいで、優美子がこうなってしまうのか。

     俺は歯を食いしばり、今すぐにでも叫びたい衝動を抑える。怒りとやるせなさで周りがぐるぐる回るようにさえ感じられた。

     うかつだった。俺と優美子はこの学園内でもくっついて行動していた。それは、あまりにも他人を意識しなさすぎた。

     女にとって、男はアクセサリーと同じ意味を持つ。そう、では俺というアクセサリーはどういうものなのだろうか。決まっている、ださい土偶みたいなもんだ。

     それだけならまだ良い、だが、女のそれは宗教に似ている。本来ロザリオすべき場所で土偶なんてつけてたら迫害されるに決まっている。

     「うぃーっす、お、ヒキタニくん、はやいね、どしたの?」

     クラスに葉山達、リア充グループが入ってくる。リア充たちは朝も早いようだ――――しかし、好都合である。

     「すまん、話がある……」

    347 = 1 :

     一時間目終業のチャイムが鳴り響く。俺は葉山達に合図を送る。そう、打ち合わせどうりに頼む……と。

     「優美子、あと結衣と姫菜にもちょっと話があるんだ」

     「なに、隼人?」

     「いや、なに大した話じゃないんだけど、ここじゃ話しづらいんだ、場所を変えよう」

     「ふーん、あーしは、まぁ、いいけど」

     そう言って葉山は、女子を連れて出て行ってくれた。

     「おい、ヒキタニ……話がある」

     戸部がドスの効いた声をあげる。本当に似合うな、お前。

     「な、なんだよ……」

     「こいつに見覚えはあるか」

     戸部は俺に一枚の紙をつき出す。そう、あの『手紙』だ。

     「し、知らねーよ」

     「しらばっくれてんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!! 俺は見てんだぞ、優美子の机にこれを入れるてめーがッ!!」

     声を張り上げると同時に俺の胸ぐらを掴む戸部。

     俺はひっと小さく悲鳴をあげる、演技じゃなく本当の意味で、こういう時はリアリティがあってオッケーだ、俺。っていうかお前怖すぎだろ、本当に演技か?

    348 = 1 :

     俺は、戸部から目をそらすふりをしながら、周りを見渡す。

     そして俺は見つける、我関せずと視線をそらしてるくせに、不安な表情をしている奴を――――お前か、相模。

     確かに、こいつは優美子がいなければ、このクラスの頂点に立つ女子だろう、優美子を引きずり下ろそうとしていてもおかしくはない。

     俺は乾いた笑いを発したあと、あえて背後に相模が来るように、体を少しづつ移動させる。

     「ま、待てよ、お、俺じゃねーし、だいたい、内容だって、大したこと書いてねーじゃねーか、そんなに怒んなよ」

     「っざけんじゃねーぞ、このクソ野郎がッ!!」

     怒号を発し、戸部は思いっきり俺を殴りつける、そして俺はわざと相模の近くへと吹っ飛ばされる。

     吹っ飛ばされた先で、俺は相模と目が合った。それは怯えを含んだ瞳だった。もはや確定だな。

     「てめぇが大したことないと思っててもこっちはちげーんだよッ!!」

     マウントポジションを取りながら、俺を殴りつける。マジでいてぇ。

     「すまん……」

     戸部は申し訳なさそうな表情でそう呟いた。謝ってんじゃねーよ、バレるだろうが。

     「っていう気持ちが少しでもねーのかよ、てめぇにはッ!!」

     それでいいよ、お前結構いいやつだな。そして、すまんな、こんな役目負わせて。

    349 = 1 :

     「や、やめてよっ!!」

     それを見かねて、戸塚が声を上げる。そして俺をかばうように、俺に覆いかぶさる。戸塚マジ天使。

     「は、八幡はそんなことする人間じゃないよ、な、なにかの間違いだよ」

     「じゃあ、誰なんだよッ!!」

     戸部が声を張り上げる。その声に相模がビクッと体を震わせて反応する。相模、お前、女優にはなれんタイプだな。

     「いいって、戸塚……」

     「は、八幡……」

     俺は戸塚を押しのけ、ゆっくりと立ち上がる。結構効いているらしく、膝が笑っている。

     「……俺、ちょっと保健室で休んでくるから、次の授業は休むって伝えといてくれ」

     「は、八幡、一緒についてくよ、ボクっ!」

     「大丈夫だから、一人で……歩いていけるって」

     俺は戸塚の誘いを丁重に断ると、よろよろと歩きながら保健室へと向かう。本当に痛ぇ。

    350 = 1 :

     俺は保健室のベットに寝そべると、目をつぶる。

     これでいい、これで相模は次、同じことを行えば、自分がこうなってしまうと思い込んでくれているはず。

     実際は、女の子だからそんなことはありえないのだが、目の前であそこまでされると確実に恐怖が刻まれる。

     特に、あいつは今回、ここまでの大事になると考えていなかったはずだ。想定外の事象、それは人の心をゆさぶるには、とても大きな要素となる。

     あいつにこれ以上のことを行う勇気はないだろう。だから今は、安心して、ゆっくりと体を休めよう。

     極度の緊張がとけた俺はゆっくりと眠りに落ちていった。


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