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元スレ八幡「俺と奉仕部のその後」

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101 = 25 :

以前の雪ノ下では彼にここまでの変化をもたらすことはできなかっただろう。
彼女自身も以前とはだいぶ変わっているようだ。
以前の比企谷が雪ノ下を変え、変わった雪ノ下が以前の比企谷を今の彼に……
いや、確かに比企谷を奉仕部に入れたのはそうした相互作用を狙ってのことだったが、雪ノ下に大きな変化をもたらしたのは彼ではないな。
もちろん彼も少なからずは影響を与えただろう。
が、決定打は由比ヶ浜、彼女の存在か。

102 = 25 :

おそらく文化祭の時期に何かあったのだろう。

『あなたを頼らせてもらっても、いいかしら』

まさか雪ノ下が、由比ヶ浜にあんな言葉をかけるとは。
彼女の活躍には目を見張るものがある。
彼女の入部は想定外だったが、本当にいい方向に転がってくれた。
三人が三人とも、お互い良いように作用してくれているようだ。

103 = 25 :

彼らが卒業するまであと一年と約半年、か。
そのころ私はどうしているだろうな。
卒業まで彼らを見守れるのならそれは喜ばしいことだが。
一年もしないうちに寿退社なんてことも……!
こうしちゃおれん、さて、次の婚活パーティーの日程は確か……土曜日か。
一番いい装備で馳せ参じねば!

104 = 25 :

短いですが今回は以上
今後もこの程度のボリュームの番外編をちょくちょく混ぜたいと思ってます

105 = 25 :

あと続きは少し遅くなりそうです

106 :

乙、待ってるからゆっくり書き上げてくれ

107 :

平塚先生が結婚できないのは間違っている

108 :

いやぁヒモ翌養ってたし結構私生活では痛い女っぽい
メールもメンヘラ臭があるし結婚できなくて当然かな

109 :

婚活も追い出されてたしな
良い教師でも私生活ではかなりの破綻者っぽい

110 :

静たんて一見引いてしまうほどの美人なんだろ?そもそも大抵の男はビビって近寄らんと思うぞ。軽い気持ちで近づく奴はボッコボコだろうし。

というわけで八幡貰ってやれ。

111 :

しずかっこいい
修学旅行のラーメン屋でゆきのんに言った言葉に惚れそうになりました

112 :

ゆきのんはよ

113 :

??『ああ、やっぱり今回も駄目だったよ』

114 :

これはたまたま偶然なんだろうけど
サブレを助けた事でガハマさんだけじゃなくてゆきのんも救ってたんだなーと
最近思いました

115 :

待ってくださってる方いたらえろうすんません
もうちょいかかります
とりあえず生存報告をば

116 :

乙。
続き楽しみに待っています。

117 :

楽しみに待ってますけど
慌てず騒がず自分のペースでお願いします

121 :

お待たせしました
続きいきます

122 = 25 :

【4】やはり彼との青春は間違っていた(前)

ぼっちという言葉はなかなか面白い。

言うまでもなく集団やグループというのは個人が集まってできるものだ。
つまり、個人という概念がなければ集団という概念もまた存在しないことになる。
ところが、ぼっちという概念は、突き詰めれば一個人が集団に属さずにいることと同義なのにも関わらず、個人とは反対に集団という概念がなければ有り得ないのである。

123 = 25 :


例えば昼休み、多くの者がグループを作って仲睦まじく食事をする中、ただ一人自分の席で黙々と弁当を食す者の姿を見たら、事実はどうであれ、「彼はぼっちなのかな?」と思う者がいるだろう。
ところが、例えば図書館、各々が机に向かって黙々と繙読や勉学に勤しんでいる姿を見て、「彼らはぼっちなのかな?」と思うものはほとんどいないだろう。

ぼっちという概念は、集団よりも上に位置している。



つまり、ぼっちの方が強い。ぼっち最強。

124 = 25 :

そこまで考えたところで、授業終了のチャイムが鳴った。


む、今回のぼっち最強証明の微妙な出来だったな。
専業主夫正義証明も飽きてきたしそろそろ新しい理系授業時間の消化方法を考えないといけないだろう。
リア充情弱証明はぼっち最強証明の対偶のようなものだからあまり変わらないか。
この際証明にこだわらなくてもいいだろう。


次は「妹」をテーマに脳内討論をしようと言う結論に至ったところでショートホームルームも終わり、今日も学校でのお勉めは終了。

125 = 25 :

奉仕部の活動も休みになっているので学校に残る理由も無い。
明日には活動も再開されるので今日が終わればまたしばらく放課後は奉仕部に拘束されることになる。


昨日までは、いつもは奉仕部で過ごしてるこの時間を有意義に使ったるんじゃ、と息巻いていたが、部員との仲直りという俺には生涯無縁と思われた悩みのせいか、それとも奉仕部の活動がなんとなく習慣のようなものになっていたせいか、
いざ時間が空いてしまうとなんとなく何かをしようという気が起きず、結局だらだらと過ごしてしまった。

126 = 25 :

最終日もそれは変わらず、そういえば雪ノ下にはなんて言おうかなとため息を一つつき、いまいち自分のものだという実感のわかないことに頭を悩ませながら、次々と教室から吐き出されていく生徒たちに混ざって教室を出て行こうとしたところで、制服の背中が何者かにツイと引かれた。
俺の帰宅を邪魔するとは、不届き者め!おのれ何奴!?




「……抱きしめてもよかですか?」
「抱き……?えぇ!?こ、ここじゃ恥ずかしいよ……」

127 = 25 :

脳がそこにいる人物が誰なのか認識するよりも早く口が動いて変なことを口走ってしまった。

不届き者などと、私の無礼な言葉をお許しください。
思わず許しを乞い願ってしまうほどの天使、わが心のオアシス、戸塚彩加が立っていた。
いつも通りテニスのラケットを背負い、蛍光色の学校指定のジャージを着ている。

「いや、すまん寝ぼけてた。何か用か?」

教室の奥でハァハァ言いながら鼻血吹いてる腐メガネが怖かったので適当にごまかすことにした。
戸塚もここじゃ恥ずかしいらしいので非常に遺憾ではあるが続きは二人きりの時にした方がいいだろう。
続いちゃうのかよ。

128 = 25 :

俺の適当な言い訳も全く気にした風もなく、優しく微笑んでいる。

「えっと、このあと暇?」

まったく、戸塚は優しいな。
これが雪ノ下だったらどうせ用事なんて無いでしょうと決めてかかってきたところだ。
しかし、暇と聞かれて正直に暇と答えるのはためらってしまうのがぼっちである。


そう、あれはまだ俺がうら若き小学生だった頃。
クラスメイトに放課後暇かと聞かれれば遊びに誘われるものだと愚かな考えを持っていたあの頃。
暇と答えたら「じゃあ俺たち遊びに行くから掃除当番変わっといて!友達だろ?よろしく!」と言われ友情の薄っぺらさを知ったあの頃。
懐かしいぜ……

129 = 25 :

そんなことを思い出してると、表情に出てしまったのだろうか、戸塚が心配そうに顔を覗き込んでくる。

「八幡、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。あ~、何か俺に用事があるのか?」

戸塚が奴らみたいなことを考えてるとは思えなかったが、どうしても防衛策をとってしまう。
悲しいけどこれぼっちの性なのよね。


すると戸塚は何やら言いずらそうにもじもじとしている。
あれ?まさかそうなの?
パシられちゃうの?
でも戸塚ならかわいいから全然OKだわ。
もし戸塚がカラスは白いと言ったら俺、世界中のカラスを白く染めに行っちゃうわ。
かわいいは正義、これ豆な?

130 = 25 :

「えっと……」

恥ずかしそうにうつむいていた戸塚の目がゆっくりと俺をとらえる。
頬はわずかに上気し、何かを言いたげにフルフルと震えていた唇が何か決意をしたかのように一度キュッと結ばれると、ぷるぷるした唇が開かれ言葉が飛び出した。






「…………こ、この後遊びに行かない?あの、暇だったらでいいんだけど……」

131 = 25 :






「ハッ!?」


ここはどこだ……?
待て待て待て、落ち着け八幡。
あわてるな、クールに状況を確認するんだ。
俺は今道を歩いている。
この景色には見覚えがある。
ここは間違いなく、学校から駅に行くまでの道程の景色。
俺は学校を出て駅に向かっているようだ。


斜め後方に目を向けると天使がいた。
というか戸塚だった。

132 = 25 :

何か考えるように目を伏せて歩いていたが、俺の視線に気づくとどうかしたのとごまかすように問いかけてきた。

「あ~、俺たち駅に向かってるんだよな?」
「もう、八幡まだ寝ぼけてるの?駅の近くで遊ぶんでしょ?」

かわいい眉毛を寄せてムーっと怒ってるとつかわいい。

とりあえずやっと思い出した。
あの時戸塚に遊びに誘われた俺はあまりのかわいさに考えることを放棄して誘われるがままになってしまったのだ。
つまりあの時戸塚の目は俺の姿を捉えるとともに俺のハートまでキャッチしちまったってわけだ。
さすがプリティでキュアッキュアな戸塚だぜ。

まぁ別に用事もなかったし戸塚と過ごす放課後ほど有意義なものも無いだろうから後悔はないのだが。
しかし俺に親父の血が混じってるのは間違いないようだった。

133 = 25 :

「えっと、今日はなにしよっか?前ゲームセンター行ったから今日はカラオケにする?」
「ん、まぁカラオケでいいだろ」
「えへへ、二人で行くのは初めてだね!」


七月、ん?いや、六月だったか。
まぁいいや。
由比ヶ浜の誕生日をカラオケで祝ったことがあった。
そして、その場には奉仕部のメンバーだけではなく、戸塚と小町とその他一名も参加していた。

誰かと一緒にカラオケなんて何年ぶりだっただろう。
ただ、その時はその他一名のピザとアニソンをデュエットさせられたせいでいい思い出というわけではない。



まぁ、誕生会自体は別につまらないということはなかったが。

134 = 25 :

そんなことを考えているといつの間にか駅に到着していた。
前回戸塚と遊びに来た時とは違い、行先はカラオケと決まっていたので特に足踏みすることもなく目的地へと向かう。


この近辺にはほかにカラオケがないため、ここ、ムー大のカラオケはたまに(一人で)利用させてもらうのだが、高校から歩いてこれる距離にあることもあり、同じ高校の生徒と遭遇してしまうことがあるのが瑕だ。

しかし、最近は一人での利用者もそれほど珍しくは無いらしく、「一人カラオケ歓迎」みたいな謳い文句を掲げるカラオケが増えている。
なかには、「現在お一人様でもご利用いただけます」「現在お一人様でのご利用はお断りさせていただいています」などの掲示を設けてる店もあるらしい。
一人で申し込みに行って残り部屋数が少ないからと断られた時のダメージ半端ないからな。
受付前にそれがわかるというのはぼっちに非常にやさしい。


しかし、今日は一人ではないのである。
ドヤァ。

135 = 25 :

二人で受け付けをすませ、ドリンクバーで飲み物をもらって部屋へと向かう。

ちなみに今日はカップルデーだったらしく、戸塚が女性と間違えられていた。
あたふたとあわてて謝る受付の女の人がかわいかったがそれ以上に「ボク、男、なんですけど……」と恥ずかしそうに訂正する戸塚がかわいかったです。

136 = 25 :

部屋に入ると、青みがかったライトが薄暗く部屋を照らしており、壁側に設置された液晶には最近出た女性ボーカルのJ-POPのPVが流れていた。
コンビニなんかでもよく流れている曲で、聞き覚えのある曲だ。
戸塚も聞いたことある曲らしく、やけにテンションをあげて楽しそうにはしゃいでいる。

「わ、この曲もう入ってるんだ!歌おうかな」
「まぁ、二人だけなんだし、好きなように歌おうぜ」



ドキッ!うす暗い密室で二人っきりのカラオケ大会!開催です。

137 = 25 :



ーーー

ーーーーー

「Darlin' Darlin'~ここにきーてーみえるで~しょ~」

「無限大な夢の~後の~何もない世の中じゃ~」



「Baby Baby Baby~あたしなら知ってる~」

「おはようおはよう、そこにいるの~眩しい眩しい、夢があるの~」



「シャングリラ~幸せだって 叫んでくれよ~」

「走り出した~思いが~今でも~」



「「アザレアを咲かせて~暖かい庭まで~」」

138 = 25 :

ーーーーー

ーーー




「楽しかったね!あー、喉痛い」
「ん、そうだな」

っていうか女性ボーカルを原キーで歌う戸塚ぱねぇ。
普通下げなきゃ無理だろ。
俺も女性ボーカルの曲は全部音下げて歌ったし。
まぁ、でも楽しかったのは確かだ。
たまには誰かと一緒にカラオケに来るのも悪くない。
今度小町でも誘ってみるか。

「じゃあ、そろそろ帰るか」




「待って、八幡」

139 = 25 :

別れようとする俺を、戸塚は引き止めた。
え、なに、今日は帰りたくないとかそういうの来ちゃいますか?
そんなことは淡い希望に過ぎず、戸塚は真剣な表情で聞いてきた。

「八幡、悩んでることあるでしょ?」



「いや、無いけど」

以前にもこんな事があった。
確かに修学旅行の一件以来、それ以前と全く同じようにできていたかどうかは怪しいものだ。
戸塚はおそらくその事を言っているのだろう。
しかし、人に話すような内容でもないので、適当にごまかす事にした。

140 = 25 :

しかし、どうやら戸塚はこの返答がお気に召さなかったようで、むーっとした表情でこちらを見ている。
かわいい。

「いや、本当に無いんだが……」

むー。
かわいい。

「いや、あの」
「溜め息ついてたもん」
「え?」
「今日教室出るとき、溜め息ついてたでしょ。それに修学旅行の時から八幡変だよ」


やっぱり、その事だったか……

141 = 25 :

「あ~、それは奉仕部の、というか俺個人の問題で戸塚が気にする必要は……」
「話して」


戸塚には珍しい、強制するかのようなはっきりとした口調だ。


「だから、戸塚は関係ないんだよ」
「知りたいんだ。八幡が抱えてる問題」
「……お前、なんか今日変だぞ?」
「……話して」
「っ!……親しくても話せないことくらいあんだろ!?」


戸塚の追及するような言い方に思わず語気を荒げてしまう。




しかし、俺は今発した自分の言葉に違和感を覚えた。

142 = 25 :



「親しい……?」






急に戸塚の声音が弱々しくなった。

そう、俺は今、親しいと……
それは俺が彼に対して使っていい言葉だったか。
しかし、発した言葉は彼に届いてしまった。
もう戻れない。


「嘘つき……」

次いで出るその言葉はわずかに湿り気を帯びていて、見ると戸塚の目はわずかにうるんでいる。

143 = 25 :



「八幡は、ボクのことどう思っているの?」



そう聞く彼の目には、すがるかのような感情。


やってしまった。そう思った。


どうして今まで気づかなかったのか。
いや、気づいていたが、それでもいいと思ってしまっていた。
そのことに今、気づかされた。






俺は彼のことを……友達だなんて思っていなかった。

144 = 25 :



感情の処理は適切に。
彼我の距離は適当に。


余計な期待をしてはならないと、必要以上に近づいてはならないと。
俺は今までそうして他人との距離をとってきた。

145 = 25 :



どうして距離を間違えてしまったのだろう。

どうして彼をここまで近づけてしまったのだろう。


そんなのわかりきったことだ。
ただ、彼は都合が良かっただけ。
彼は、俺を裏切らないだろう、と、優しくしてくれるだろう、と。

実際、彼は俺を、本当の友達だと思って付き合ってくれていたように見える。
俺はそれに甘えきっていた。

同情にも、優しさにも、甘えてはいけないと、そうしてやってきていたはずなのに。

彼の中性的で柔らかな雰囲気が、いつもの警戒心を鈍らせた。

146 = 25 :



結局今まで自分を裏切ってきた連中と同じ。
そして、自分が今まで散々馬鹿にしてきた連中と同じ。



自分は彼を友達だと思っていないくせに、彼には自分の友達であることを期待してしまっていた。
そして、それで良しとしてしまっていた。





そんな俺が、彼の質問になんと答えても傷つけてしまうだけだ。

ーーーーーー間違いなく伝わってしまう。

147 = 25 :



それなら、もう――――――


「お前は」


二度とこうならないように―――――――


「ただの、クラスメイトだ」


これで、最後に――――――――





「面倒だから、もう誘うな」





その言葉でついに戸塚の目から雫が流れた。

148 = 25 :




問われる前に、自覚できていたら、もっと楽に終わっただろうか。




傷つけることなく、終わらせられただろうか。



そんな後悔も意味がない。
こぼれた水は戻らない。





「じゃあな」

149 = 25 :


戸塚の顔は見れなかった。


でも、泣いているだろうな。

目を伏せたまま、立ち尽くす戸塚の横を通り過ぎる。



悪いな戸塚。
やっぱり俺は一人がいい。



傷つけて、傷つけられて、そんな関係は無い方がいいだろう。




ぼっちが最強、証明終了。




間違いだらけの彼との青春も、これで終わり。

150 = 25 :

今日はここまで
後編は近いうちに投下できると思います


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