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    元スレまゆり「トゥットゥルー!」岡部「・・・え?」

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    151 = 138 :

    気付いたら、あたしは駆け出していた。

    後ろから椎名まゆりの叫び声が耳を突き刺したけど、決して振り返らなかった。


    嫌、厭、いや。




    怖い。恐い。こわい。




    ようやく足を止めたのは、フェイリスさんと最初に会ったもとの場所に戻ってきてからだった。



    鈴羽「はぁ、はぁ、はぁ」



    大した距離じゃない。




    鈴羽「……っ、ふう、はぁ、はぁ、」



    この汗は、疲労のものじゃない。


    この息切れも、疲労のものじゃ、ない。

    152 = 138 :

    鈴羽(…………椎名まゆりを前にした瞬間)


    鈴羽(頭がギュッてなって……苦しくなった)


    鈴羽(きっとどこかの世界線の記憶を引き出されかけたんだ。だって……だって、)


    鈴羽(色んな寂しさとか、こわさとか……申し訳なさが、頭の中に流れこんできた)


    鈴羽(失敗した、失敗した、失敗した、……)


    鈴羽(あたしは失敗した、失敗した、失敗した、失敗した!!)


    鈴羽「やめて!!」






    鈴羽「……うぅ、…………頭、いたい」

    153 = 138 :

    柳林神社――――


    るか「ぼく、こわくって」


    岡部「むぅぅ……」


    ダル「予想以上に、ヤバそうだお……オカリン」


    るか「それとまゆりちゃんと眼があった瞬間、急に頭が痛くなったんです……その日から変な夢?を」


    岡部「……!」




    眼が合った瞬間。

    リーディングシュタイナーの影響がそれほど強くなっているということなのだろう。


    …………危険だ。危険すぎる。



    るか「凶真さん、まゆりちゃんに何が起こってるんですか……?」



    岡部「ふん。フゥーハハハハ!!!ルカ子よ、案ずる事はない。一週間以内に全てにケリを着けてみせよう。まゆりの事にも、お前の夢にもだ!」


    るか「は、はい……」


    岡部「んむぅ?この俺を信じられないのくぁ、我が弟子よ?」

    るか「い、いえ、そんなことありません!ただちょっと心配、で……」



    岡部「…………ふぅー」


    俺はルカ子の頭に軽く手を置いた。




    岡部「俺を信じろ。ルカ子」



    るか「!……」


    るか「……はい。信じます」

    154 = 138 :

    岡部「それでいい」

    頭を撫でてやると、ルカ子は眼をぎゅっと瞑って身体を緊張させた。


    岡部「さて。そろそろ行くとするか。ダル」


    ダル「オーキードーキー」


    岡部「迷惑をかけたな、ルカ子」


    るか「いえ、そんなことありません……」


    岡部「今度礼でもするとしよう。鍛錬を怠るなよ?」


    るか「は、はい!」



    岡部「ではさらばだルカ子」


    るか「あの、きょ、岡部さん!」


    岡部「俺は鳳凰院凶真だっ」


    るか「ぁ…………」


    岡部「…………」


    るか「…………」


    岡部「…………どうかしたか?」


    るか「……いえ、何でも、ありません」


    岡部「?そうか。ではな」


    るか「はい。お気をつけて……」











    るか「さよなら……倫太郎さん」

    155 = 138 :

    今日はここまで!



    ふうー

    156 :

    乙!
    胸が締め付けられる……

    157 :

    まゆり…

    158 :

    少し辛い展開が続いてますね。



    でもがんばるのでよろしくお願いします!

    159 :

    乙!
    早くこのまゆりと助手の絡みが読みたいな
    しかし病んでるってレベルじゃねえぞ、まゆりェ…

    160 :

    おいついた。
    これは続き気になる。待ってマース。

    161 :

    再開

    162 = 161 :

    ダル「なんか危機感上がって……怖くなってきたお」

    岡部「だが、必要なことだったのだ。まゆりの状態は芳しくない……その意識は確実に上がった」


    岡部「これで俺たちはまゆりの前で不用意な発言をすることは無い」


    ダル「オカリン……やっぱいくん?」


    ルカ子の話を聞いたダルは、すっかり萎縮してしまっている。

    俺はひとつため息をついた。


    岡部「なぁーにを怯えているのだマイ・フェイバリット・ライト・アームよ!未来を変えるためにはこれしきの覚悟は些細なこと!どーんと構えておけ!」


    ダル「……」


    岡部「どうしたダァルよ!悩みすぎは体に禁物だぞ。痩せたいならばちょうどいいかもしれんがな!フゥーハハハァ!!」


    ダル「…………すごいな、オカリンは」

    163 = 161 :

    岡部「フッ……ようやく俺の偉大さに気付いたか」


    ダル「オカリンはまゆ氏を助けるためにいろんな世界線を渡り歩いて来たんだよな。その中にはもちろん、怖いこととかショック受けることもあったっしょ?」

    岡部「…………」


    脳裏に浮かんだのはまず、ラボへのラウンダーの襲来。

    あのとき日常を突き破られた感覚は、今でも俺の胃を締めつける。


    まゆりの死。

    どれだけあがいてもアトラクタフィールドの収束によってバッドエンドを突きつけられる、あの絶望感。しかも一度や二度じゃない。


    他にも萌郁の携帯の回収、ミスターブラウンの死、まゆりを助ければ紅莉栖が死ぬことに気付いたとき。


    あのときは必死だったが今にして思えば、俺はかなり辛いことばかりを経験しているのかもしれない。


    だからこそ、SG世界線にたどり着いたときどれだけ嬉しかったか。


    既にここがSG世界線ではないと告げられたとき、どれだけ悲しかったか。

    164 = 161 :

    ダル「オカリンは凄いよ。僕は今正直、ショックで仕方がない」


    ダル「今までラボで三人で楽しくやってきて、ラボメンが増えてもっと楽しくなって……。これからもずっとこんな風にやっていけるって信じてたのに」


    ダル「突然、こんなことになっちゃって……」


    そうか。

    ダルは今初めて日常を壊されたあの感覚を体験しているのか。


    俺はどうやら度重なる世界線の行き来によって感覚が麻痺してしまっていたらしい。


    そうだよな。


    いきなり友達だった人間がおかしくなって。

    唐突にタイムリープだのリーディングシュタイナーだの訳のわからない言葉を詰めこまれて。


    怯えて当たり前。


    ダルにとっては今この状況が、俺よりももっともっと不安で仕方がないのだ。

    165 = 161 :

    ダル「……怖がらない。怯えないって決めてたんだけど」


    ダル「やっぱり少し、それはあるお…………」


    岡部「ダル」


    ダル「?」


    岡部「話した通りこの世界線では、世界が終わる。自由なんてものは消えて無くなる」

    岡部「現時点でそれを止めることのできるのは、俺と鈴羽、そしてお前だけだ」

    ダル「分かってるけど、さ……」


    岡部「そういえば世界が終わるとしか言ってなかったな……これだけはまだ話していなかったが」


    岡部「このままいくと世界を終わらせるのは、俺だ」


    ダル「!?オカリンが!!?」


    岡部「俺はラボメンを信じられなくなってラボを解散し、孤独の支配者になるんだそうだ。フフ」


    ダル「そんな……」
    岡部「ダル」





    岡部「俺にそんな真似、させないでくれよ」


    ダル「!…………」

    166 = 161 :

    岡部「俺も怖いよダル。初めてのこの世界線では何が起こるか分からない。お前と同じだ」


    岡部「だが俺はラボにいたい。ずっとラボ・メンバーズのNo.001でいたい」


    岡部「孤独の支配者なんかになりたくは、ない……」


    ダル「オカリン」


    岡部「……何だ」



    ダル「行こうぜ。まゆ氏に会いに」


    岡部「……ああ」



    ダルの眼はもうさっきまでとは違い澄んでいた。


    分かってくれている。

    分かってくれて、あえて何も言わないでくれている。




    俺の友達が



    お前で良かった。



    ダル。

    167 = 161 :

    フェイリスの家に向かおうとする途中、不意に携帯が鳴った。


    岡部「ダル。少し待ってくれ」


    ダル「把握!」


    岡部「もしもし?」

    鈴羽『おじ、さん?うぅッ……』


    岡部「鈴羽どうした大丈夫か!?何かあったのか!?」


    電話の向こうの鈴羽は苦しんでいるのか、息づかいが激しく、声に呻きが混じっていた。


    岡部「まさかラウンダーが――」


    鈴羽『違うよおじさん、大丈夫……それより聞いて』


    岡部「そ、そうか。良かった……何だ?」



    鈴羽『……椎名まゆりに、会っては、ダメ』

    168 = 161 :

    岡部「え?」


    鈴羽『今の椎名まゆりは、危険だよ……うっ、……お、思った、以上に』


    岡部「し、しかしそれでは――ここで少しでもまゆりの心の内を聞いておけば、未来に行った時作戦が円滑に」


    鈴羽『ダメ、だよ。確かに不安要素はなるべく消しておきたいけど……それでもダメ』


    岡部「む……分かった。落ち着いたらでいい。後で説明してくれ。では、切るぞ?」


    鈴羽『おじさん』


    岡部「何だ?」



    鈴羽『椎名まゆりに……紅莉栖さんを、絶対接触させないで』


    岡部「?どういうことだ」




    岡部「……切れてる」

    169 = 161 :

    空港――――


    紅莉栖「……ふぅ、結構あっという間だったわね」


    紅莉栖「んーーっ……」


    紅莉栖(ずっとパソコン使ってたから、眼が疲れた)


    紅莉栖(研究所にも無理いって出てきちゃったんだし、せめて飛行機の中でくらいは仕事しなきゃね)


    紅莉栖「目薬、目薬、っと……」


    紅莉栖(それにしてもなんなのよ岡部のやつ)


    紅莉栖(緊急事態だからすぐ帰ってきてくれだなんて……こっちはこっちで忙しいっていうのに)


    紅莉栖(まぁ帰ってきちゃう私も私だけどね)

    170 = 161 :

    紅莉栖「これでもしくだらないことだったら、ホントに海馬に電極を……」


    紅莉栖(……でも)



    紅莉栖(岡部に、会える)


    紅莉栖「………………はっ!?」


    紅莉栖(きゃああああやばいやばい今ニヤついてた!顔完全にニヤついてた!!)


    紅莉栖(別に、違うから!付き合います宣言してから初めて会うから、すごく緊張してるとか、嬉しかったりするとか、そんなんじゃないんだからね!)


    紅莉栖(でも、あのときは恋人らしいことあんまりできなかったから)


    紅莉栖(こ、今回はデートとか、しちゃったりして……)


    紅莉栖(手とかつないじゃったり……ってまた妄想に走ってるってば!)


    紅莉栖(…………)



    紅莉栖(もう一回、キ、ス…………したいな)





    紅莉栖(きゃあああああああああ//////)

    171 = 161 :

    紅莉栖(落ち着け私。落ち着け私。大事なことなので二回言いました)


    紅莉栖(舞い上がってるのを気取られると、あいつを調子にのらせることになる)


    紅莉栖(主導権を握るのは私!岡部じゃなくて私なの!)


    紅莉栖(そこは譲らないようにしなくちゃ)


    紅莉栖(でも)



    紅莉栖(強引な岡部か……)



    紅莉栖(…………)



    紅莉栖(…………///)


    紅莉栖(わ、悪くないじゃない///)



    紅莉栖(いやああああ私こんなキャラじゃないのにぃぃぃぃぃ)

    紅莉栖(クールな若手天才科学者で通ってるのにぃぃぃ)


    紅莉栖(でもこんなスイーツ(笑)みたいな感情、私にもあったんだ……)


    紅莉栖(……ちょっと自分に素直になってみるのもいいかもしれない)





    紅莉栖「岡部に、……会いたい」



    紅莉栖「はやく、会いたいな」

    172 = 161 :

    今日はここまでです!


    173 :

    乙ー
    次回も楽しみにしてる

    174 :

    乙!

    しかし鈴羽、それはフラグだ…

    175 :

    なんか、修羅場になりそう

    176 :

    再開

    177 = 176 :

    ラボ――――


    岡部「まぁなんやかんやで戻ってきた訳だが」

    ダル「外での用事ももう済んだしね」


    ダル「スーパーで牧瀬氏用のお菓子も買い終わったし……」

    岡部「…………それはいいとして」


    岡部「まぁーたダイエットコーラだ。まぁぁぁたダイエットコーラだあああ!!」

    ダル「ちょ、うるさい」


    岡部「我がラボにあるのはドクぺだけでいいと、何回言ったら分かるのだ貴様はぁぁぁぁ!!?」


    ダル「いいじゃんわざわざ家に戻って、オカリンと牧瀬氏用のドクぺ買ってきたんだし……」

    178 = 176 :

    ダル「てか、着くの明日じゃなかったん?」


    岡部「あちらの研究所が予想外に快くOKを出してくれたらしくてな。急遽今日到着ということになった。今何時だ?」

    ダル「午後9時だね」


    岡部「ふむ。ならばそろそろ空港に着いている頃だろう」


    ダル「あ゛あぁあぁあ~」


    岡部「どうしたダル。餌が欲しいのか?」

    ダル「豚じゃねーよ。いや、牧瀬氏とオカリンの濃厚な絡みをこれから見せつけられると思うと……あ゛あぁあぁああ~」

    岡部「人がいるところでいちゃつく程バカップルではないわ」


    ダル「ぶぉっほっ!!」


    岡部「餌が欲しいのか?」

    179 = 176 :

    ダル「冗談きついぜオカリン……」


    岡部「冗談などではない!お前のいる前ではいちゃつかないと約束しよう!」


    ダル「……オカリンはそうでもなぁ~」


    岡部「なんだよ」


    ダル「牧瀬氏がなぁ~」

    岡部「なんだよ」


    ダル「リア充[ピーーー]よ!!」


    岡部「なんだよ急に!!?」


    ダル「あーなんか無性にイラついてきた件。一発殴らせてくれよオカリン」


    岡部「はぁぁ!?お前のテンプレは壁ドンだろうが!?」


    ダル「この気持ちは壁では治まらない……!!」


    岡部「いや意味がわか……痛いッぃ!!!」

    180 = 176 :

    岡部「なぁ」


    ダル「なんぞ?」


    岡部「理不尽だろ」

    ダル「そうでもないお?」


    岡部「いや、いちゃつかないって約束したのに何で殴られなきゃならないんだよ」

    ダル「僕の前で彼女の話をしたのが運の尽きだお」


    岡部「振ってきたのお前だろ……」


    ダル「ま、それは置いといて。牧瀬氏が来るまでに状況整理しとかん?」


    岡部「ったく……だがそうだな。紅莉栖には色々と理解してもらわなければならないことがあるからな」


    ダル「現在の状況だけでも僕たちがまとめておいたら、多少スムーズに事が進むんでない?」


    岡部「よし。では紙にまとめてみるか」

    181 = 176 :

    未来――――


    地下、ドーム状になった広い広い空間。

    その中央の床には、大きく五ヶ所に白線が引かれている。




    無論、タイムマシンのためのものだ。



    そして今まさに、右端の白線の中に衛星を象ったタイムマシンが出現しようとしていた。




    ラウンダー1「戻って来たようです」


    ???「……構えろ、ラウンダー1。出てきたら撃て」


    ラウンダー1「しかし……同胞を」


    ???「撃て」


    ラウンダー1はこの空間にいると、いつも妙に緊張するという事実を奥歯で噛みしめていた。


    ラウンダー1「…………了解」



    それはここが妙に広すぎるからなのか。

    または白塗りの壁が病院を思わせ、無意識の不安をくすぐっているからなのか。


    それとも――――、



    ???「使えない道具は、いらない。至極簡単な道理だろうが……」





    ドームの中に、乾いた銃声が鳴り響いた。

    182 = 176 :

    ラウンダー1「脈、ありません。死亡しました」


    ???「ご苦労。ラウンダー2、3、4。タイムマシンが無事か確認しろ」


    ラウンダー2「了解」


    三人の男達がタイムマシンの状況を確認しにきた。


    誰もたった今殺された、傍らに倒れている男には目も向けない。

    もちろん命令した張本人も。


    ラウンダー1は同胞だったこの男に対して短く謝罪の言葉を口にし、その場を離れた。


    ラウンダー2「タイムマシン五号機、異常なし!」


    ???「ならばいい。ラウンダー2、3、4は死体を処理し、持ち場へ戻れ」


    ラウンダー2、3、4「了解!」



    三人の男たちはブリキのような表情で死体を担ぎ、ドームをあとにした。



    そのあとにはラウンダー1、命令した男、そして点々とした血痕だけが残された。

    183 = 176 :

    ???「どうした。何か不服があるかラウンダー1」


    男は全く顔の筋肉を動かさない。


    ラウンダー1「…………いえ。何も異常は、ありません」


    ???「…………フン」


    ???「奴は『タイムマシン前で鈴羽を待て』という俺の命令を無視したあげく、バイクを使い怪我を負った。おまけに充電用プラグを2012年に置いてきた」


    ???「鈴羽のタイムマシンはあと一回移動できるかどうかの瀬戸際だった。だが奴のせいで、完全と言えるまでに充電されてしまったのだ」


    ???「貴様に銃殺を命じた理由としては以上だ。何か不服はあるか?ラウンダー1」


    ラウンダー1「……あるはずも、なし」



    ラウンダー1「全ては鳳凰院様の御心の、ままに」




    ???「…………」



    岡部(未来)「それで、いい」

    184 = 176 :

    今日は以上ですー



    また書きます

    185 :

    乙ー
    バレル・タイターさん死んでしもうたん?

    186 :

    しかし、この世界線にいる限りは岡部がディストピアを形成するのは間違いないんしょ?
    ……いやいや、まだハイドのほうがさっくりしていて良かったかも。
    なんにせよ乙。期待してる。

    188 :

    再開どす

    189 = 188 :

    岡部(未来)「もはや世界は、我々の手中にあるといっても過言ではない」


    二人はドームを出て、エレベーターで最上階へ向かっていた。

    緊急時に素早く対処できるように、側近であるラウンダー1の手には自動小銃が握られている。


    岡部(未来)「経済大国――――アメリカや日本、ロシアやイギリス」


    岡部(未来)「みな表向きは我が組織を認めない、その存在を許さないと言っているが……」


    エレベーターが止まった。

    岡部は自室の扉を開けた。



    その壁には、各国が友好の証として贈ってきた様々な品が延々と飾られてある。





    岡部(未来)「現実は、こんなものだ」


    190 = 188 :

    岡部(未来)「誰もがタイムマシンを恐れている。この世界で唯一人、タイムマシンを所有する『俺』を恐れている」


    ラウンダー1「それは当然でございます。時間を握った人間を、敵に回すことはできません」


    岡部(未来)「ほう。貴様もそうなのか?ラウンダー1」


    ラウンダー1「…………」


    岡部(未来)「他の者が俺の最初の呼びかけを一笑に付す中――――貴様だけが応えたのだ。誰よりも早く」


    岡部(未来)「貴様のその嗅覚は賞賛に値するぞ?」


    ラウンダー1「光栄にございます」




    岡部(未来)「…………世界は俺のものになる。俺のユートピアはまもなく完成するのだ。――――ただ不安要素がひとつ」







    岡部(未来)「鈴羽……」

    191 = 188 :

    岡部(未来)「何故だ?俺は通達したはずだ。全てが終わった暁には、橋田至、牧瀬紅莉栖、橋田鈴羽、橋田由季、漆原るか、秋葉留未穂の6名を悪いようにはしないと!」


    岡部(未来)「だがその一週間後に、鈴羽が跳んだ……」


    ラウンダー1「その時点で彼らのタイムマシンは完成していたものと思われます」


    岡部(未来)「…………俺の通達に対する、返事……」



    岡部はクシャクシャになった白い小さな紙を広げた。





    『待ってて。必ずあたしたちがおじさんを』







    『救ってあげる。』

    192 :

    おかべぇ

    193 :

    岡部(未来)「救ってあげる……とは何だ?何から救おうとしてるんだ?」


    岡部(未来)「ぅぐっ……」


    ラウンダー1「鳳凰院様、お薬を」


    岡部(未来)「いらん!!」


    ラウンダー1「理想郷完成の前に亡くなられては困りますゆえ」


    岡部(未来)「……チッ」



    岡部(未来)「…………ん」


    ラウンダー1「…………何故タイムマシンをこちらに戻したのですか」


    岡部(未来)「…………」


    ラウンダー1「私には粛正のためだけ、とは思えないのですが」


    岡部(未来)「…………」


    ラウンダー1「…………失礼しました。出過ぎた真似を」

    194 = 193 :

    岡部(未来)「…………鈴羽だけだ」


    岡部(未来)「あと鈴羽だけなのだ……」


    岡部(未来)「鈴羽の計画を阻止することで、全ては完成する」


    岡部(未来)「お前たちでは無理なことは十分分かった」



    岡部(未来)「ならば直々に……この俺が行ってやろう。鈴羽よ」


    ラウンダー1「鳳凰院様自ら……!?」


    岡部(未来)「そうだ」


    ラウンダー1「おやめください。もし貴方の身に何かあったなら、私たちはどうすればいいのですか」

    ラウンダー1「貴方に拾われて救われた人間も大勢いるのですよ?どうか考え直されて下さい……」


    ラウンダー1「……橋田鈴羽は、生け捕りでなくてはダメなのですか?」




    岡部(未来)「!!!」

    195 = 193 :

    ラウンダー1「過去で殺してしまえば、もう彼らに対抗策は……っ!」


    岡部(未来)「…………」


    ラウンダー1「……あ……いえ、申し訳ありません」


    岡部(未来)「…………タイムマシン五号機の準備をしろ。この場で殺されたくなければな」


    ラウンダー1「はっ!鳳凰院様は……」


    岡部(未来)「俺は少ししてから行く。お前はついてくるな」

    ラウンダー1「了解しました」




    岡部(未来)「…………」

    196 = 193 :

    岡部は自室の壁のスイッチを押した。


    すると壁がゆっくりと上がり、ちょうど扉くらいの大きさの隙間が出来あがった。


    その扉に小さくしつらえられたドアノブに、彼は手をかける。




    そこはファンシー、という言葉がぴったり当てはまる部屋だった。


    壁も天井もやさしいピンク色で統一されており、床にはどこかで見たことのあるようなキャラクターのカーペットが敷き詰められている。


    部屋の中央には巨大なお姫様ベッド。



    ベッドの中にはお姫様。




    そう。





    ここはすっかりやつれてしまったお姫様のためのお部屋。

    197 :

    途中終了?

    とりあえず乙

    198 :

    再開

    199 = 198 :

    岡部(未来)「まゆり……」

    まゆり(未来)「…………」


    虚ろな表情をしたお姫様は、岡部の声に応えない。


    岡部(未来)「まゆり。俺は少し、出掛けてくるよ。大切な用事ができたから」

    まゆり(未来)「…………」


    春風のように優しい声。

    岡部は呼びかけながら、お姫様の美しく手入れされた髪を撫でる。


    お姫様は、応えない。


    岡部(未来)「やっとだ、やっと……これまでの全てに終止符が打たれ、これからの全てが渦巻く波となってやってくる!!俺たちの理想郷が完成するのだ……まゆり!」


    まゆり(未来)「…………」


    岡部(未来)「お前も……お前も…………ッ」



    お姫様は、応えない。

    200 = 198 :

    岡部(未来)「どんな医者もお前を治すことができなかった」

    岡部(未来)「だがきっと!新しい景色が見えれば、そうすれば……お前はもう一度、心を開いてくれるはずだ」


    岡部(未来)「お前の祖母のお墓に行こう。スーパーに行こう。コミケに行こう。コスプレ、も……少し嫌だがやってやる」


    岡部(未来)「お前の望むところ、どこでも行こう!!お前のどんな望みでも、叶えよう!!だから、」


    岡部(未来)「だからもう一度、笑ってくれ」


    岡部(未来)「俺の腕に触れて、名前を呼んで、笑いかけてくれ――――」



    岡部(未来)「まゆり!!!!」




    まゆり(未来)「…………」


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