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    元スレ村娘「勇者様ですよね!」勇者?「……違うが」

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    301 = 282 :




    < バタン


    (……)

    (っ……)ズルッ


    (私、こんなに呑気で……何やってるんだろう)


    (お婆様は生死不明、家臣や私の騎士達も十字軍に何をされるか……)

    (なのに、安全な所で1人安心して)

    (さっきなんかカルパッチョの美味しさに声まで出して)

    (…………)


    (…私、どうしたら)


    302 = 282 :

    今日はここで

    魔王様万歳

    303 :

    乙乙

    304 :




    長時間、お疲れ様だな!
    面白い、期待作だな

    306 :

    控えめな胸にバンザイ

    307 :

    乙!
    猟犬・・・ヨーグルトの腹の中の世界・・・?

    309 :

    数ある勇者・魔王モノの中でも1番面白いと思うよ

    310 :

    乙乙!

    311 :

    勇者じゃねぇってば

    312 :

    魔王様萌え!

    村娘一族はどうやって村娘から王女へジョブチェンジしたのだろうか

    313 :

    追いついた。ちっぱい魔王最高。

    315 :



    勇者?「……」ペラッ

    勇者?「……」


    ―――― 「これがぼくの世界にある本だよ」

    ―――― 「……絵の横に文字が書いてあるな」

    ―――― 「うん、慣れると楽しいよ」

    ―――― 「これは何て書いてある?」

    ―――― 「あ、そっか……英語が分からないんだね」



    勇者?「………」ペラッ

    勇者?「”HELLSING”、か……あの頃は読めるようになっても下らないから読まなかったが」ペラッ

    勇者?(発想は確かにユニーク、魔王がこの主人公を俺みたいだと言う意味も僅かに理解出来る)

    < パタン

    勇者?(だが、やはりこれは本の世界でしかない)

    勇者?(今いる『この世界』の解決の糸口にはならないか)

    316 :

    来たか

    317 = 315 :



    「おはようございます」

    勇者?「食事は作ってある、好きにしていい」

    「? いつの間に…」

    勇者?「気にするな」スタスタ

    < ピタリ

    勇者?「だが、取り敢えず言うが……あまり俺に気を使うな」


    「……分かりました」


    318 = 315 :





    勇者?(……)カチャカチャ

    勇者?(……)カチャカチャ

    < ガシャッ

    勇者?(……)


    < シュコォッ!!

    < シュパァッ


    勇者?(…どうだ)


    319 = 315 :




    < スパン!


    ドドドドドドドォオッッ!!


    勇者?(範囲は扇状240mか、威力は以前まで使っていたワイヤー並み)

    勇者?(『ワイヤー弾』、熱に強いミスリルなら作れるとは思っていたが中々の性能だな)

    勇者?(後は銃の調整をすれば範囲の可変も可能に出来るな)


    < スタスタ


    勇者?(……いや、これで充分か)


    320 = 315 :



    「あ、勇者様」

    勇者?「違うが、まあいい…なんだ」

    「昨日お話した事を詳しく、この紙にまとめさせて頂きました」バサッ

    勇者?「……読め、と?」

    「いいえ、しかし今の私に与えられた時間は多くありません」

    「ですからもしも、勇者様が私と共に国を救って下さるならばお読み下さい」


    「例え勇者様が拒んでも私は1人で十字軍と戦うつもりです」

    勇者?「…」

    勇者?「そこに座れ、読み終わるのに少し時間がかかる」バサッ


    321 :

    何者…

    322 = 315 :



    ―――― 『王立十字軍』


    その組織はその名が示す通り、『人の大陸』に君臨する王国が設立した対淫魔を目的とした討伐軍。

    『十字』の紋章が意味するは<交わり>、聖なる行為と考える性交を快楽と食事に置き換える淫魔を否定しているのだ。

    しかしその『十字軍』の将官であった後の教皇が、ある日突然『双島』の一つの大陸を支配する淫魔を打ち倒した。


    『四天』を冠する淫魔の1人、四天王を生け捕りにしたのだ。


    この功績に王国はその将官を『王立十字軍』の総帥として称え、国王に次ぐ莫大な権力を与えた。

    そして教皇を名乗り、教皇は捕らえた淫魔を基に研究を始めた。



    「『淫魔の頂点』とは『この世界の頂点』である。」

    「この研究が成功すれば『君達人間が』新たな頂点になれるだろう」



    323 = 315 :



    勇者?(………)ペラッ


    ―――― 『白騎士計画』


    遂に教皇の研究が完成されたのは戦争が始まり『45年後』。

    教皇は淫魔達の肉体に宿る『不可視の核』を突き止めた。

    その核に特殊な呪を紡げば、淫魔たちの肉体を循環する魔力回路が人間との性交で『分裂』する事が判明した。

    しかしそれは『王立十字軍』の意義に反する、故にそれは禁忌とされた。


    『淫魔を受胎させる』事が可能だとも判明しなければ、だったが。


    勇者?(………………………)


    324 = 315 :



    『淫魔と人間のハーフ』。


    この言葉にどれだけの権力者が魅了されたのか。

    少なくとも、この『白騎士計画』が実行に移されてしまう程度に国内は腐敗した。

    淫魔の『クラス』が高ければ高い程、それと性交した者は膨大な魔力を手にした。

    数年かけて十字軍の内部で行われた『儀式』は数百名の『白騎士』を生み出し、凄まじい兵力を教皇は指揮する事になる。


    ただの最下級クラスの『淫魔』と性交した者でさえ、一呼吸の間に蝿を八つ裂きにし。

    戦場において功績を残した者は『夜魔』や『夢魔』と性交し、大地を割り、空を切り裂き、音を越える戦士となった。


    遂に、戦争が始まって70年後『白騎士十字軍』と名乗る教皇の『私兵軍隊』が淫魔だけでなく人間をも支配するようになった。


    勇者?(戦争が始まり70年……丁度『魔女狩り』の発端を潰した時期か)

    < ペラッ

    勇者?(…………)


    325 = 315 :



    ―――― 『国王第2夫人、第3夫人の裏切り』


    教皇が国内で白騎士達を使って様々な『仕掛け』を施す中、国王の5人いる妾達の中で教皇につく派閥が現れた。


    「真に<王>となる男は教皇なり」


    絶大な支持を誇るようになった教皇に魅了された『第2夫人』と『第3夫人』は、裏で教皇と服従の契りを結ぶ。

    そしてそれに影響された夫人達の下に位置した、家臣達は次々と教皇の駒と化した。

    今から17年前、第5夫人である『王女の母』が遂に王女を産み落とした直後に暗殺されてしまう程だった。


    勇者?(……)チラッ

    「……」


    辺境の村を広大な『街』に変えた村長の娘であった第5夫人は、国王がある意味『地位や名誉を上回る』愛を注いだ女性だった。


    326 = 315 :



    それ故になのか、或いは他の夫人達の嫉妬を買ったのか。

    宮内においても第5夫人は幾度も『いじめ』を受け、国王にとって初の子供である王女を産み落とした時に……



    勇者?(………見るに耐えないな)バサッ

    「!」

    勇者?「今捨てた紙に書いてあるのはお前の憎しみや怒りだった、読む必要は無いだろう」

    勇者?「……それとも、同情されたくて読ませてるのか」

    「いえ、構いません……」


    勇者?(しかし……となると17か、まだ若いのにこの風格は感心出来る)ペラッ


    327 = 315 :




    < バサッ 


    勇者?「……」

    勇者?「大体分かった、お前が苦労したのもここに来る直前に城が陥落したのもな」

    「はい」

    勇者?「だが、どうやってこの山に来た? 『少女』がまだ健在なのも少し気になる」

    「えっ、と……お婆様のお話ではここで2ヶ月程過ごした事があったんです」


    勇者?(そういえばそんな事を言っていたな)

    328 = 315 :



    「それで……信じて下さらないかもしれませんが、お婆様はその『16歳の姿』で老いなくなったのです」

    勇者?「不老だと?」

    「はい、魔法は使えなくとも『魔法陣』が使える魔力を持っていました」

    「お婆様はその魔法陣で私をこの山に転移させ、今に至ります」


    勇者?(……この小屋は多少『あれ』の影響を受けてはいる)

    勇者?(だが、そのせいで少女の肉体に付加されていく『時間』が止まったのか?)


    「……勇者様」スッ

    勇者?「なんだ」

    「私と一緒に戦ってくれる事に、感謝します」

    勇者?「戦う訳ないだろう」

    329 = 315 :



    「たたか……ぇ?」

    勇者?「俺は出来得る限り、お前の手伝いはする」

    勇者?「だが『戦う』訳じゃない、俺は戦いには行かない」


    勇者?「『元に戻す』為に手伝う、理解したか」


    「……………はい、分かりました」

    勇者?「ならいい、明日の朝にここを出る」スタスタ

    「今日は休むのですか」

    勇者?「お前の足の事を考えてな、明日は途中まで歩いて日が暮れたら俺が走ってやる」


    勇者?「だから今日は休め、いいな」

    「はい!」

    330 :

    主人公確かにアーカード的な感じはあるけど
    使ってる武器はウォルターさんww

    331 :

    おつ

    332 :





    <白騎士十字軍・王城>



    白服α「第1夫人派の軍隊は全滅、これでこの国はアンタの物だよ」






    < 「『教皇』、様」

    教皇?「んん、私に国王は務まらんよ……フゥ」シュボッ







    333 = 332 :



    白服α「勘弁してくれ、アンタが支配した国を誰が王になるんだ」


    教皇?「なぁに、適当な野心家を私の駒として王に据えるも良し、『この世界』初の女王も良しさ」スゥ


    白服α「ケホ、それはなんだ?」

    教皇?「『タバコ』という娯楽さ、んん、やはり安物は良い……葉巻よりも風情がある」フゥ

    白服α「……風情、ね」

    教皇?「所でこの報告書にあるのは真実かね? 王女を逃がしたのは痛かったねぇ?」スゥ


    白服α「それについて話がある」


    334 = 332 :



    教皇?「んん、それは本当なのかな」フゥ

    白服α「『セイレム街』の武装兵に確認させたが、1時間もしない間に連絡が途絶えた」


    白服α「相手が誰にせよ、並みの人間が退けられる武装兵じゃない」

    白服α「間違いない、『奴』だ」


    教皇?「『勇者』か! 凄いな、てっきり都市伝説だと私は思っていたよ」フゥ

    白服α(『トシデンセツ』? また訳の分からない言葉を……)

    教皇?「まるでファンタジーだねぇ、んん……会ってみたいよ」スゥ


    335 = 332 :



    教皇?「……んん、でも困るなα君」スゥ

    白服α「何がだ」

    教皇?「あの王女の境遇、そして今はこの城が陥落し各地はパニック」ポイッ

    教皇?「更には、未だに尻尾を見せない『第4夫人派』の軍……」フゥ


    白服α「……」ゾク


    教皇?「あの子供にはまだ出来る事はある」

    教皇?「私ならば直ぐにでも自分の剣となるような騎士を見つけてレジスタンスを立ち上げ反旗を翻し全力で敵を滅する!!」

    白服α「……」

    教皇?「……」


    教皇?【 3日で王女を殺せ、いいな? 】


    白服α「御意」ザッ


    336 = 332 :




    白服α「……」スタスタ

    執行人「よぉ! 『向こうの大陸』に行くんだってな」

    白服α「『執行人』か、お前達の出る幕じゃないぞ」

    執行人「あん? てことは、相手は人間か」


    白服α「『片方は』な」

    執行人「…なんだよ片方って」

    白服α「それを今度こそ突き止めてやる、だからお前達『執行人』は他の『異端審問』で暴れていろ」スタスタ


    執行人(つれないなー……俺達なら化け物も『神』すらも殺せるのに)


    337 = 332 :




    勇者?「荷物はいいな」

    「危険な旅になるかもしれないのに、着替えなんて必要でしょうか?」

    勇者?「俺が知り得る限りの知識なら、間違いなく必要だ」スタスタ

    「しかし勇者様は手軽なバックに『本』を二冊しか……」


    勇者?「……俺は着替えも食事も必要ないんでな」


    (その割に逞しい体ですね…)


    338 = 332 :



    < カツカツ


    勇者?(……)

    勇者?(山道が整備されている? しかもこれは……)

    「『アスファルト』が珍しいですか?」ヒョコッ

    勇者?「! 知ってるのか」


    「ええ、悔しいですが教皇の知識がもたらした物です」

    「ある程度の森林を残し、更にはここまでの足場に安定した道…」

    「国中で貿易商人達が喜びの声を上げた功績ですね」


    勇者?(『前回』からたった50年しか経過していないにも拘わらず、技術は数百年進んでいる……)


    339 :

    白服αって前回と同一人物?
    あんなことがあったのにまったく反省してないなww

    340 = 332 :



    勇者?「?」

    「どうかなさいましたか」

    勇者?「この辺りを直進すれば滝がある筈だが」

    「そこは今、『ダム』になっていて麓の街へ水を送っているんです」

    「あ、『ダム』って分かります?」


    勇者?「……恐らくお前よりは知ってるな」

    「そうなのですか?」


    341 = 332 :




    <聖域・セイレム>



    勇者?「『セイレム』?」

    「はい、お婆様の母である『村娘』という方がこの街の元村長と決めた名だそうです」

    勇者?「……村娘の代で村長と関わりがあったのか」

    「みたいですね、噂だと村娘様が老後に亡くなられる前まで、手放さなかった日記なんかもあったらしいです」

    勇者?(村娘もさすがにこの時代にはいないか)

    勇者?(だが、それでもたった50年の間で随分変わったな)


    「『本土』に渡るには船が必要です、この街から続く街道を通って近くの町を経由しましょう」

    勇者?「港に直接向かわないのか」

    「それは……危険です、野盗や『傭兵』が屯する村しか無いので」


    342 = 332 :



    勇者?「だが、街道を確保出来たのには驚きだが……遠回りになるんだろう」

    「そうですが、『白騎士』もいない無法地帯を歩くよりはマシかと」

    勇者?「構わない、1日でも早く着けるならそのプランにする」スタスタ


    「で、でも……」

    勇者?「安心しろ」スタスタ

    < スッ

    「?」


    勇者?「その『本』が……お前を守る」スタスタ

    「本?? ……あ、待って下さい勇者様!」タタッ


    343 = 332 :



    警備兵「ちょっとちょっと! そっちは立ち入り禁止だよ君達!」バッ

    「!」


    勇者?「何故だ」

    警備兵「無法地帯なのは知ってるだろ、何より『善民』は必ず法に従わなければならないんだ!」

    勇者?「法、か……?」チラッ

    (し、知らないです! この区域も教皇が指揮してました!)


    勇者?「なら善民でなくて構わない」ポイッ

    警備兵「?」パシッ


    344 = 332 :



    勇者?「それで見逃せ、不満なら……」シュルッ

    警備兵「!?」


    (あの指先から僅かに見える糸……!)

    「勇者様、だめ…」

    警備兵「すっげぇぇ!! 金塊じゃねえか! ありがとよ兄ちゃん達!」



    < 「キャッホホーイ」


    「………」

    勇者?「正確には『金剛石』(ゴルトアイゼン)なんだが……まあいいか」スタスタ


    345 = 332 :





    白服α「………歩数にして5328941289976歩、距離は大体580kmか」スタッ


    白服α(もう日暮れか、近くの町で宿を取るか)

    白服α(……っ)フラッ

    白服α(海上を走って渡るのがこんなに大変とは、素直に執行人に転移魔法を頼むべきだったか)


    白服α(まあなんにせよ)


    白服α(また会えるのが楽しみぞ、勇者……!)スタスタ


    347 :

    なんだ勇者?に惚れただけか

    348 :

    一気に読んだら頭がこんがらがった
    しかし戦闘力がDB並にインフレしてないかこの世界……
    地球人(?)がこの世界における超越者な理由もまだ明かされてないし、謎が多すぎてワクワクする

    349 :

    >>348
    途中途中の勇者?の回想で軽く触れてましたが、魔王は地球人(?)ではありません


    >>黒髪「嬉しいけど、ぼくがどういう存在かは以前の『交わり』で分かったでしょ」

    >>勇者?「ああ、恐ろしい化け物だな」


    正体、とまでは言えませんが。
    これが魔王様の『本質』と思って頂けると良いかと

    350 = 349 :



    店主「宿ぉ? ねぇよ、んなもん」


    勇者?「休める場所もないならこの酒場にいる連中はどうやって一夜を過ごしている」

    店主「『売春宿』だよ、この町にゃそれしかないっつの」

    (……!)

    店主「そっちのお連れさんなら可愛いし、2人位客とれば今夜ぐれぇ休めるぜ?」

    「け、結構です!!」



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