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    元スレほむら「思い出せない…私は何者だ?」3

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    みんなの評価 : ★★
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    102 = 98 :


    夜も良い時間ということで、皆と解散することになった。

    魔法少女とはいえ、あまり遅くまで活動していると補導も怖いのだ。


    特にまどかは魔法少女ではない。彼女はマミに送ってもらう事になった。


    さやか「いやぁー…それにしても、あれは凄いなぁ…」


    先頭はさやか。後ろには私と杏子が並び、夜の街を歩いている。

    グリーフシード集めは1つで終わるには時間がもったいないので、皆で集めることになったのだ。


    マミも途中から合流すると言っていたが、私はその頃にはいないだろう。

    個人的な用事もある。魔女狩りは、ワルプルギスの夜との戦いにおいてはそこまで重視されるものではない。

    グリーフシードをまったく使わないわけではないだろうが、それ以上に力を入れる場所というものもあるのだ。


    杏子「アタシもあの盾から炎を出す魔法、あれでやられたよ」

    さやか「うげっ……良く生きてたね」

    杏子「ああ、今日のを見ると、もしかしたらアタシ……あの時加減されてたんじゃないかって」

    ほむら「なんかごめん」

    杏子「いや、悪ィ、ほむらは悪くないよ」


    本当は暁美ほむらも悪くは無い…と、擁護してやりたい。

    けれど暁美ほむらの過去を語るわけにはいかない。もどかしいものだ。


    ほむら「……魔女、どうやらなかなか見つからないようだね、すまないが私はそろそろ用事がある、おいとまさせてもらう」

    さやか「あ、うんわかった、今日はありがとね!ほむら!」

    ほむら「私の魔法、参考になったかな?」

    さやか「あはは……参考になったかはわかんないけど」


    手を振り、二人と別れた。

    さやかと杏子は、もう少しだけ魔女探しをするようだ。

    103 = 98 :


    見滝原のスーツ達の中に混じり、肩で冷たい風を切る。


    決戦の日は近い。

    ワルプルギスの夜が現れた時、この街は無事では済まないだろう。


    均整の取れたタイルも、等間隔の街灯も、デザインの凝らされた陸橋も、経済を動かし続ける数多の自動車も、人の全てがあろう家たちも、その大多数が破壊されるに違いない。

    仕方がない。それを受け入れなくては、先へは進めない。


    ほむら(……武器を使いすぎたな、集めるか)


    また暴力事務所に立ち寄って、少しばかりの装備品を調達するとしよう。

    ここから武器を調達することによって内輪で何らかの事件が発生していようとも、私は一切の関知をしない。そもそも暴力事務所というものが駄目なのだ。


    ほむら(そうだ、ついでに正義の味方らしいことでもしておこうか)


    少しばかり面白いことを思いついた。

    うむ、勧善懲悪。いけないことではない。やってしまおう。


    カチッ


    悪戯が始まる。

    104 = 98 :


    ほむら「ふんふんふーん」

    『……』

    『……』


    とりあえず、ロッカーの中に入っている武器、刀剣類、弾薬は全ていただく。

    どうせ使うのは魔女の結界の中だけだ。消耗品なので困ることは無いだろう。


    ほむら「お、いい日本刀じゃないか、いただくよ」

    『……』


    高そうなソファーの脇に立て掛けてあったものすらかっぱらう。

    彼らとしてはたまったものではないだろう。

    暴力団がいきなり武装解除されるのだから。


    ほむら「14.正義の裏拳」


    左腕の盾によって、思い切り金庫の扉を吹き飛ばす。

    2発でその堅い入り口を開いた金庫の中には、大量の現金が入っていた。


    ほむら「おお、さすがだ……儲かる職業だなぁ」


    わしづかみにしたまま全てを盾に収納する。

    はてさて。この事務所の人々は、果たして上司になんと釈明するのだろう。

    小指で済めば楽だろうな。


    ほむら「おお、このカーペットも良さそうだ、いただこう」

    ほむら「……ん?おー、虎の毛皮か、カッコ良いな…これも貰っておこう」

    ほむら「掛け軸…まぁカーテン代わりにはなりそうだし、これも」

    ほむら「というよりこの人たちの装身具も高そうなものばかりだな、全部取っていくか」


    ふむふむ、よくよく見れ見れば宝の山。

    実に楽しい時間だ。

    105 = 98 :


    カチッ


    ほむら「ふぅー、良い仕事をした」


    事務所の外。

    窓からは死角となる路地で、缶コーヒーを啜る。


    「でぃあぁあああ!?」

    「なんじゃこらぁあああああ!!」


    すごい声が聞こえる。

    あれだけ煙草を吸っておきながら、なんという声量だろう。

    やはり男性は女性とは違うのだろうか。


    私はどれだけ張り切ってもあれほどの声を出せない。



    「てめえがやったかテツぅう!?」

    「ち、ちがいまアガァッ!」


    物騒な音も聞こえて耳障りになってきたので、私は場所を変えることにした。


    ほむら(工場街に行かなくては)


    そろそろ立ち寄らなければまずい場所と言うものもある。

    準備は周到にしておかなくてはならない。


    夜は短い。私は走った。

    106 :

    ルパンでもそこまでしねぇよww

    107 :

    テツ「なん…やと?」

    108 = 98 :

    こんこん、と扉をノックする。

    スモークのかかった窓には明りが灯っているので、中には人がいるだろう。



    開いた扉からは男性が出てきた。

    中年辺りの、くたびれた表情の男だ。


    「……おや、君はあの時の」

    ほむら「お久しぶりです」



    いつぞやの集団自殺未遂の現場に居合わせていた、陰鬱な工場長だ。

    やや酒気を帯びた匂い、こけた頬。報われない苦労に自棄になっている男の典型的な表情だ。


    「猫は知らないよ」

    ほむら「前金で一千万、完成すれば三千万、秘密厳守で作って欲しいものがある」


    札束を放り投げ、男に渡す。


    「うげぇっ!?なな、なに…!?」

    ほむら「あるものがあればそれを譲ってくれても構わない、とにかく絶対に失敗しないものが欲しい」

    「な、何の話だ!?君は一体……!?」

    ほむら「暁美ホームズ、マジシャンさ」


    鞄から数枚の紙を取り出して男に渡す。

    疑問には一切答えてやらない。


    ほむら「作ったものを指定した場所に施設するまでやってもらう、期限は厳守してもらわなければ私も困るし、あなたもきっと、かなり困る事になる、わかるかな」

    「……」


    唾を飲み込む音が聞こえた。


    ほむら「その紙に全て書いてある……場所も、時間も指定してある、その手筈通りに」

    「……」


    ミステリアスな女、という感じの冷笑を浮かべて、私は男のもとを立ち去った。

    109 = 98 :


    ほむら「……」


    大きな買い物をいくつか終えて、私は見滝原一高い塔の頂上に腰掛けていた。

    風に靡く黒髪。夜の明るい街。


    ほむら「……ふむ」


    思っていたよりも強い風せいで、髪を掻きあげられない。

    両手を離すのがすごく怖い。


    QB「やあ、暁美ほむら」

    ほむら「キュゥべえ、こんなところにまで現れるのか」


    白い来客がやってきた。

    私の隣の鉄骨に座り、一緒に見滝原を見下ろしている。


    QB「僕は見ることはできなかったが、今日はまどか達に君の魔法を見せていたんだって?」

    ほむら「おや?君は見ていなかったのか?」

    QB「探していたんだけど、誰も呼んでくれなくてね」


    そこまで不自由な生き物だとは思わなかった。

    呼ばなくても必ず来るものだと思っていたのだが。


    ほむら「君にも私の魔法を見てほしかったんだけどね?インキュベーター、ふふ」

    QB「僕にかい?」

    ほむら「君の考えも、私の勝利に傾倒してくれるんじゃないかと思って、真面目にやったんだけどな」


    首の後ろを摘み、膝の上に乗せる。

    一緒に街を見下ろす。


    QB「数多の魔法少女を見てきた僕だけど、僕の正体から目的まで全てを知っていてもなお、君のように有効的に振る舞う魔法少女は初めてだよ」

    ほむら「君に対して?」

    QB「普通はコミュニケーションを取ってくれなくなるんだけどね」

    ほむら「それは仕方がないだろう、騙そうとしているのだから」

    QB「僕自身は騙そうなんて考えているわけではないのだが……」

    ほむら「屁理屈ばかりだな、君は」

    110 = 98 :


    高速道路のビームを眺めながら、口を開く。


    ほむら「なあキュゥべえ、君は魔法少女を“奇跡を起こす者”と謳って契約を持ちかけているが……その奇跡に見合う生き方をした、という魔法少女は、一体どのくらい存在していたんだい?」

    QB「僕が見てきた今までで、かい?」

    ほむら「割合でいえば、だけど」

    QB「彼女達は例外なく奇跡を起こすが、その結果に満足する者は少ない……僕が見てきた中には、1割もいないだろう」

    ほむら「不思議だね」

    QB「僕も不思議に思うよ、僕達の計算では、絶望して魔女になる少女は、もっと少ないはずなんだけど」

    ほむら「君達の試算での話だろう?」

    QB「そうだよ」

    ほむら「まったく、感情もないくせにどんな計算式を立てたんだかね」

    QB「ないくせに、とは心外だよ、感情なんてものは精神疾患でしかないのに」

    ほむら「ふふ、馬鹿を言うなよ、インキュベーター」

    QB「?」


    白ネコの頭をなでる。


    ほむら「君達のような感情の無い生き物には、奇跡は起こせないのだろう」

    QB「まあね、感情によるエントロピーの凌駕は発生しない」

    ほむら「それを扱えるようになった時、…それは果てしない先の未来かもしれないが、我々人類は君達インキュベーターからの支配を脱し、莫大なエネルギーを内包する知類として、この宇宙の頂点に君臨するだろう」

    QB「その時に君達が生きていればの話だけどね」

    ほむら「何を?」

    QB「まあ、でも面白い話ではあるよ、楽しみだ。君達人類が、その性質を保ったまま地球を脱し、銀河群を越えるその日をね」

    ほむら「……ふふ、楽しみにしているといい、キュゥべえ」

    QB「気長に付き合うことになる、楽しみにしているよ」


    こうして、ひとつの地球上の夜は更けていった。

    111 :

    楽しみにしているよ←感情あるじゃないですかーwwwwwwwwwwwwwwwwww

    112 = 98 :


    ―――――――――


    夢の世界。

    ソファーに腰をかける暁美ほむらは、俯いたまま横目に私を睨んだ。


    『……随分と、あの宇宙人と仲良しなのね』

    ほむら『感情の無い生き物に悪意をぶつけることもないさ』


    向かい側に座る私は、あくまで飄々と答える。


    『……ワルプルギスの夜を、どう越えるつもりなの?』


    私に突っかかっても無駄だと悟った彼女は、話を変えた。


    ほむら『それは内緒だけど、計画は順調に進んでいるよ』

    『動いているのは私にもわかるけれど、どういうつもり?全く読めないのだけれど』

    ほむら『うん、君からしてみれば無駄なことも並行して行っているからね』

    『……』

    ほむら『ま、インキュベーターを混乱させるつもりでもあるし、完璧に“無駄”ではないかもしれないけど』

    『……そうね、錯乱という意味では、無駄なことなんてないかもしれないわ』


    彼女も解ってくれたようだ。結構適当に言ったのだが。


    ほむら『…残りの日も少ない、大詰めだ、頑張っていくよ』

    『……無茶はしないでね、あなたの自由ではあるけれど……死なないで』

    ほむら『私が心配か?』

    『私だもの』

    ほむら『あははっ、そうだ、それもそうだな、当たり前か、ははは』



    ――――――――――

    114 :

    密猟ッ!?

    115 = 107 :


    まさかの工場長の再登場…この人が活躍しそうなSSは始めて見たな。

    116 :

    乙乙
    展開が予想できない

    117 :

    モブキャラがキャラ崩壊なしで再登場するSSは大抵良作

    118 = 100 :

    乙マム
    その毛皮……まさか……!?

    119 :

    例のなんちゃってゴイスーな攻撃って、QBが見れば攻撃自体には魔翌力がこもっていない事が明白なんじゃなかろか。
    それじゃあワルプルギスには効かないよ、とか言われそう

    120 :

    追い剥ぎホムリン

    121 :

    暴力団員だって生活があるんだぞ!!鬼畜!!

    122 :

    >>121
    ホームズさん、ここにも暴力団員が。。

    123 :

    暴力団のカネがなくなる

    組織維持のため「業務」が活発化

    不幸になる人が急増

    どん底になった人のうち何割かの少女が希望を求めて魔法少女に

    祈りに裏切られて絶望、魔女化

    魔女を倒してGS大量GET!

    な風が吹けば桶屋が儲かる作戦か!

    124 :

    ホームズはバカだなあ
    壊滅させちゃったらそれ以上搾取できないじゃないか
    生かさず殺さずが基本だZE

    125 :

    それだとQBも喜びそうだなww
    誰かの幸福は誰かの不幸の上に成り立っている。だったら893だって自分の幸せの為に行動するよな。

    126 :

    >>123
    暴力団の金が無くなる

    なにもできなくなる

    終了

    127 :

    現金以外にも、金目のものと武装を根こそぎやられてましたよね・・・・・・・・。
    下手をすると個人の財布の中身とかカード類も犠牲になっている気が・・・・・・・。

    128 = 123 :

    >>126
    それ信じたいけどそう上手くいかないのが悲しいことさね

    129 :

    武器も金も根こそぎ持ってかれたらただのチンピラでしかないしなあ

    130 :

    直系の親に組の金に手出したケジメつけるってことで臓器売られてあの世逝きで手打ちって程度だから大丈夫だ

    131 :

    別に金庫にある金が全てってわけじゃないだろ

    132 :

    こまけぇこたぁいいんだよ!!

    133 :

    まさかそんな議論で伸びてるとは思わなかった

    134 :

    そんなことより、今日はマムの日だぞ
    みんな、マムへの献上品は買ったのかい?

    135 :

    中華街で肉まんとあんまんとタピオカを

    137 = 122 :

    >>136
    おい





















    おい

    138 :

    その花カーネーションじゃ無くて鈴蘭です!

    140 :

    鈴蘭の毒が…

    141 :

    QBや第三の魔法少女対策のミスリードとして、
    暴力団ちゃんたちは、ふん縛って催眠薬でも注射しておけば良かったんでね?

    142 :

    >>141
    催眠薬が催淫薬に見えて
    すまないホモ意外は帰ってくれ的な展開に(ry

    143 = 140 :

    暴力団と言えばTDNを連想してしまう、僕の悪い癖です。

    144 :

    あのさぁ•••

    145 :


    ほむら「……ふぁあ…」

    「にゃあにゃあ!にゃー!」

    ほむら「! いけない」


    毛布を跳ね上げて起床する。

    ただいま通常起床時刻を20分オーバー。地味に辛いラインだ。


    ほむら「なんで起こしてくれなかったんだ!」

    「にゃ!」

    ほむら「…すまん!ワトソンは悪くないよ!」


    傍にあった白いコンビニの袋から空き缶ひとつと紙皿一枚を取りだし、ガッと開けてがぱっとよそる。


    ほむら「……ええい!」


    もう一枚の紙皿を出して、そこにももうひとつの缶をあける。

    どろどろした美味しそうなマグロが皿の上いっぱいに展開された。


    ほむら「いただきます!」

    「にゃ」


    学校に遅れてしまう。急がなくては。

    146 = 145 :


    本来ならば、ワルプルギスの夜を相手に準備する直前にあたって学校へ通う必要はないのだが、そこは心を鬼にして通っておかなくてはならない。

    私はワルプルギスの夜を容易く玉砕することができ、学校生活を並行しても何ら問題ないからだ。



    がらりと、強くガラス戸を開ける。



    ほむら「っはー!間に合った!」

    「……うーん、ちょっと遅刻ですね!」

    ほむら「あれ!?」

    さやか「あはは……」

    まどか「ほむらちゃん……」


    クラスのみんなが授業の直前のような、全員着席状態で頭だけ私の方に向いている。

    なんということだ。


    ほむら「先生、まだ授業は始まっていない……」

    「遅刻です」


    有無を言わさない笑顔によって、私の経歴には一粒の泥のシミがついた。


    恭介「ははは……」


    くそ、あいつまで私を笑いやがった。

    油断したとき治りかけの脚を蹴ってやる。

    147 = 145 :


    ほむら「まったく、ひどいものだよ、マグロ缶だけを主食にして登校したのは初めてだ」

    さやか「えー!?マグロ缶!?これはまたすごいもの食べてきたなぁ」

    まどか「お腹空いちゃわない?」

    ほむら「空くだろうね……3時限目には腹の虫が悲鳴を上げそうだよ」


    自分の机に座り、寄ってきたさやか達と会話する。

    二人とも制服にシワもシミもなく、コンディションは万全のようだ。

    マグロ缶の汁が跳ねて、右袖に新たなシミを作った私とは準備の良さが違う。


    まどか「それで、さやかちゃん達は昨日大丈夫だったの?」

    さやか「え?あー…そうだね」

    ほむら『あの後、マミとも合流したかい?』

    さやか『うん、粘って探したらなんとか魔女を見つけたから、倒したよ』

    まどか『どうだった?』

    さやか『いやぁ、杏子先生の指導が厳しくてねー…まだまだ私の先は長そうだよ…』

    ほむら『ふふ、そんなもんさ、でも接近戦に慣れないと魔力の消費は馬鹿にならないし…』


    そこまで念話を進めていると、授業を始める教師が入ってきた。


    ほむら『……じゃ、この時間の暇な時に』

    さやか『うん、そうだね』


    おしゃべりは授業中に行うことにしよう。

    魔法少女の素敵な特権だ。

    148 = 145 :


    さやか『マミさんは遠距離からの投擲を練習した方が良いって言うけど、杏子は接近の技を身につけてからって……』

    ほむら『はは、板挟みだな』


    念話の最中でも、私の思考は別の方面に向いている。

    机のPCはアシがつくので、わざわざ薄型のタブレットを持ちこんでの作業を行う。


    :委託されていたもの、期間と値段の兼ね合いで渋られています。

    ほむら「……」


    まどか『杏子ちゃんも熱心に教えてくれてるんだね』

    さやか『うん、意外だなーって思ったけど、世話焼きなんだね、あいつも』

    ほむら『……そう、杏子は素直でいい子だよ』


    :期間は変更できない。プラス百万で交渉。それ以降は一度でも値段にケチをつけたら御破算で。

    :それ以降の交渉は無しということですか?

    :そんな企業は相手にしなくていい。

    :了解しました。

    :頼むよ。


    ほむら(……思ったよりも安く済みそうだ)


    水面下の動きは順調だ。金の運用には経験もあり慣れているが、ここまで動きが多いと管理も難しい。

    だが、突貫でやるには仕方がないのだ。舞台の袖で火事が起こっているようなものだと思わなくてはならない。

    149 = 145 :


    :資材搬入の期日には間に合います。問題ありません。

    :理由を明かしてはくれませんか?クライアントから疑問の声があがっているのですが。

    :もっとも近い保管庫の契約が取れました。

    :可能でしたら一度顔を合わせての打ち合わせを行いたいのですが、お時間は…。


    ほむら「……」


    流れるメッセージをひとつひとつ返していく。

    メッセージを見ながら、マップの画像ファイルに印をつけてゆく。

    色分けは赤、青、黄。


    ほむら(……こっちのエリアにはもっと多くの拡声器が必要だな)

    まどか『ところでさやかちゃん、今朝、仁美ちゃんとあまり喋ってなかったけど……何かあったの?』

    ほむら(!)

    さやか『え……あー、うん…いや、なんでもないけど…』

    まどか『…そう?ほんと?』

    さやか『あ~、ほんと、じゃあ、ない…ごめん、実は昨日の放課後、ちょっとあった』

    ほむら『……』


    :施工が予定に間に合いません。外装枚数を減らせませんか。

    :これは合法的な施工ですか?私どもの方では、疑問の声が……。


    ほむら(……)


    頭が割れそうなほど痛い。けど、ここが正念場だ。

    表舞台で何事もなかったかのような顔をして、裏でもがく。

    実にすばらしいことじゃないか。


    ほむら(……)


    拳を握る。

    私は絶対に折れないぞ。

    必ず、見滝原に奇跡を起こしてやる。

    それが大した奇跡でないにせよ。


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