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元スレ京太郎「咲、話があるんだ」
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龍門渕邸
透華「ここですわっ!」
京太郎「はー・・・」ポカーン
一「そういうリアクションになるよね、やっぱり」
透華「では、今からお父様に話を付けてきますから・・・少々待っていなさい」ツカツカツカ
バタン
京太郎「なぁ」
一「なに?」
京太郎「あの女王様の親御さんってのは、娘が連れてきた見知らぬ男をいきなり自分の家に泊めてくれるほど度量が広い人なのか?」
一「・・・・・・・・・・・・・」
『という訳でして、あの清澄の男を是非ウチに・・・』
『ならーーーーーーんっ!』
『なっ、何故ですの!?龍門渕にアポ無し単独の無謀な挑戦者が現れるなど前代未聞。それを泊めたとなれば後世に語り継がれるレベルに目立てましてよ!?』
『お前は目立つ事ばかり考え過ぎだ!もう少し自重、警戒せんか!』
京太郎「親父さん、正論だな」
一「ていうか、普通の意見だよね」
『お父様!目立ってナンボ!目立ってナンボですのよ!?』
『どうしても泊めたいのなら厄介者同士、アイツのところにでも泊めておけ!』
『~~~~っお父様は衣の事をまだ・・・話になりませんわ!勝手にそうさせて頂きます!』
『勝手にしろ!・・・まったく、どうしてこう目立ちたがるのか』
バタンッ!
透華「まったく、これだから古い人間は困るのですわ!」
京太郎「いや、親父さん至極まっとうな意見だと思うぞ」
透華「目立てない意見がまっとうな意見な訳ありませんわー!」
一「それは透華がおかしいだけだと思うな・・・僕もコイツが泊まるのは反対だし」
透華「もう、一まで!・・・着いてらっしゃい、こちらなら使っていいと『許可』が出ましたわ!」プンプン
京太郎「あれでいいのか、龍門渕家」
一「まぁ、あれでいいんだよ。・・・多分」
龍門渕邸・別館
ギィィィィィィィィッ・・・
透華「さ、ここでしてよ」
京太郎「ここも、でけぇな・・・」
一「んー、ここはちょっとあっちとは違う理由で大きいんだよね」
京太郎「違う理由・・・?」
???「あ、とーかー!」タタタタッ
京太郎(アイツ・・・まさかっ!)
透華「衣・・・この男が少しの間ここで暮らしますのよ」
衣「・・・コイツが?衣と一緒に暮らすのか?」
透華「ええ、そうなりますわ」
京太郎「おい、あれってーー」ヒソヒソ
一「うん、龍門渕女子麻雀部が誇る我らが大将。天江衣だよ」
京太郎「やっぱりか・・・!」
衣「ふん・・・」スンスン
京太郎「な、なんでしょうか?」
衣「あの女の匂いがするな・・・面白い。透華、この男をここに泊めることを許すぞ!」
透華「・・・でしょうね」
衣「あぁ。今夜は久しぶりに・・・楽しめそうだ」ニタァ
京太郎「っ!?」ゾクッ
衣「清澄の。・・・衣の部屋は3階の北だ、待っているぞ」スタスタ
一「あーあ、衣に気に入られちゃったね」ニヤ
透華「さて、清澄の。あなたは今晩ここに泊まってもらいますわ・・・本当は、あまりしたくないのですが」
京太郎「だったら今からでも家に」
透華「そ・れ・は・わたくしのプライドが許さないと言ってますでしょうが!・・・それともなんですか、あなたはウチに遊びに来たんですの?」
京太郎「・・・・・・そいつは聞き捨てならねぇな。俺は、強くならなきゃいけないんだ。俺は・・・ここに麻雀しに来てんだよ!」
透華「でしたら、相手の挑発には乗るものではなくって?」
京太郎「ああ上等だ!乗ってやる、乗ってやるともよ!」
一(沸点低いなー)
透華「ふっ、あなたならそういうと思ってましたわ。・・・人が本気かどうかは、目を見れば分かりますもの」
京太郎「俺ァ決めたよ。男子麻雀部を全員倒してーー龍門渕透華!アンタに直接麻雀を申し込む!」
透華「・・・くっ、くくくっ!最高ですわ!一!聞きました!?ここを龍門渕と知って尚!わたくしを龍門渕透華だと知って尚!闘志を滾らせて挑んでくる男がまだいましたわ!」
京太郎「あぁ、最高だ!アンタ程さっぱりとした人間は見たことねぇ!・・・この手で抉り取ってやりてぇ位にな!」
透華「その勇気、蛮勇だったと思い知らせてあげますわ!オーッホッホッホッ!」
京太郎「蛮勇が空回りするとは限らねえぜ、龍門渕の女王様ぁ!」
透華「おっと、肝心な事を忘れてましたわ。ーーあなたの名前を聞いておきましょうか」
京太郎「須賀、京太郎だ!」
透華「須賀京太郎・・・気に入りましたわ。あなた、そういう目もできるんですわね」
京太郎「アンタもな、ただの目立ちたがり屋じゃないって訳だ!」
透華「では、京太郎。・・・ここには、牌に愛された者が住んでいます」
京太郎「天江、衣か」
透華「ええ。彼女の実力は知ってますわね?」
京太郎「県大会であれだけ暴れられりゃあな」
透華「・・・彼女と麻雀するもしないも、あなたの自由ですわ。ーーただ付け加えるなら、衣は決して挑まれた勝負を拒んだりしませんわ」
京太郎「へっ、流石に良い度胸じゃねえか・・・!燃えてきたぜ!」
透華「明日の朝日が昇るまでに、あなたが麻雀を嫌いになっていない事を祈ってますわ」
京太郎「そりゃ、世界が終わるまでありえねーから安心しやがれ」
透華「ふっ・・・では明日、この場所で」
京太郎「ああ、首洗って待ってろよ!」
一(なーんか、息ぴったりだなこの二人・・・一応『人体切断マジック』用の剣研いでおくかな)
龍門渕邸・別館内
バタン
京太郎「さて、まずは」
ハギヨシ「ハギヨシと申します。須賀京太郎様、以後よろしくお願いします」
京太郎「うおっ!?」
ハギヨシ「お風呂場と食堂は一階、寝室は2階~4階のお好きな部屋をどうぞ」
ハギヨシ「分からないことがあれば、いつでもお呼び下さい。では・・・」シュッ
京太郎「今のが、執事って奴か・・・すげー」
京太郎「んじゃ、まずは飯にすっか!」
龍門渕邸・別館 食堂
京太郎「でっか・・・!」
京太郎(毎度のことながらスケールが違い過ぎんだろ、龍門渕)
ハギヨシ「こちらがメニューです。鈴を鳴らして給仕係をお呼び下さい」
京太郎「あ、あぁ。どうも」
ハギヨシ「それでは」シュッ
京太郎「あの人、どこにでも来んのか・・・?」ペラペラ
京太郎(それにしても・・・)
『はんばーぐ&えびふらい(たるたるおおもり、ころもあつめ)』『おむらいす』『かれー(あまくち)』
京太郎「どうにも子供向け過ぎるメニューだなおい!」
京太郎「えーと、この鈴鳴らせばいいのか?」チリンチリン
給仕係「はい、お呼びでしょうか」
京太郎「えーと、じゃあこのカレー下さい」
給仕係「承りました」パタタタタ
京太郎「うーん・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京太郎「やっぱりこう、広すぎると手に余るっつーか、間が持たねえな。この食堂、一人用ってことはねえよな?」
ハギヨシ「この食堂は基本的に衣様一人でご利用なされます」
京太郎「っ!・・・ってまたアンタか。ホントどこにでも現れるな」
ハギヨシ「執事ですから」
京太郎「てか、一人用でこれかよ・・・」
ハギヨシ「この館は衣様の館ですから」
給仕係「お待たせしましたー」
ハギヨシ「料理が到着したようですので、私はこれで」シュッ
京太郎「消えた・・・んじゃ、食べますか」
京太郎「あー、なんつーかこれアレだわ。ファミレスの味だ」パクパク
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京太郎「・・・」パクパク
京太郎「・・・」モグモグ
京太郎「・・・」パクパク
京太郎「あれ、なんか泣けてきたぞ」モグモグ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
京太郎「ごちそうさまでした」パンッ
京太郎「よし、次は風呂だ!」
龍門渕邸・別館 風呂
カポーン
京太郎「ふぃー・・・」
京太郎「良い湯だ・・・」
京太郎「とてつもなく良い湯だ・・・」
京太郎「・・・」
カポーン
京太郎「だあああああもう!広過ぎんだろ!こんな広い風呂に一人で居られるか!俺は天江の部屋に行くぞ!」ザパッ
そのころ、龍門渕邸 透華の部屋
一「ねぇ透華」
透華「なんですの?」
一「アイツさ、どうなると思う?」
透華「・・・さぁ、分かりかねますわね」
一「だって、相手はあの衣だよ?」
透華「そうですわね」
一「明日の朝になる頃には、どうなっちゃってるのかなぁ・・・」ニタァ
透華「一。そういう事を考えるならまだしも、口に出すのはおよしなさいな」
一「はーい」
透華(でも、確かに一の言う通り・・・まぁ潰れたらそこまでですけど)
龍門渕邸・別館 3F北側の部屋前
京太郎「この扉の先に・・・」
京太郎(あの、天江衣がいるのか)
衣『そこに居るんだろう、清澄の。・・・入らないのか?』
京太郎「っ!」ブルッ
京太郎「・・・それじゃあお言葉に甘えて、入らせてもらうぞ!」
ガチャッ
衣「ようこそ、衣の部屋へーー楽しませてくれよ?」
京太郎「言われなくても!」
衣「・・・ん?」
京太郎「何だよ、俺の顔に何か付いてるか?」
衣「いや、なんでもない。さぁ始めよう、清澄の・・・サイコロ回れ―!」
コロコロ・・・
衣「わーい、衣の親番だぁ!」キャッキャッ
京太郎(こうして見ると子供にしか見えねえな・・・)
東一局
衣「~~♪」
パシッ
京太郎「・・・」
ピシッ
衣「時に清澄の。衣と相対した彼奴は息災か?」
バシッ
京太郎「咲か?ああ、元気だよ」
ピシッ
衣「そうか、それは良い。・・・まだ飽きずに遊べそうだ」
バシッ
京太郎「おいおい、今の遊び相手は俺だぜ?」
ピシッ
衣「・・・・・・」
バシッ
京太郎「・・・」
ピシッ
衣「なぁ、清澄の」
バシッ
京太郎「何だよ?」
ピシッ
衣「選べ。二度と麻雀出来なくなる方か、それともここで何も言わずに部屋から出るか」
バシッ
京太郎「お前に勝つ方を選ぶ!」
ピシッ
衣「・・・斎斎し。お前はあまりにも乏し過ぎる、凡夫にも劣る下臈だーー今までの打牌で、衣には分かる」
バシッ
京太郎「勝手に人をランク付けしてんじゃねえ!」
バシッ
衣「三流は三流。衣が決めているんじゃない、最初から決まってるんだ」
バシッ
京太郎「っ・・・!」
バシッ
衣「現にお前は和了れていない。今までも、そしてこれからも」
バシッ
京太郎「それは、どうかなっ!」
ピシッ
衣「己の力さえ見えずか・・・見下げ果てた。最早貴様に用は無い」ギラッ
バシッ
京太郎(リーチさえできないのは、初めてだなっ!)ゾクッ
ピシッ
衣「この世には二種類の人間がいる。牌に愛されたものとそうでないもの」
バシッ
京太郎「ああそうかよ、それでアンタの見立てなら俺はどっち側なんだ!?」
ピシッ
衣「言わなければわからないのか?下臈・・・リーチだ」
バシッ
京太郎「分からねえな!俺は俺の力で引き当てる!」
ピシッ
衣「ここまで分からぬ凡夫が居るとはーー片腹大激痛!」ピッ
バンッ
衣「ーーツモ。リーチ一発、メンゼン清一色ドラ2!・・・12000オールだ」
京太郎「んなっ・・・!?」
衣「何をしている、連荘だぞ・・・早く用意しろ」
京太郎(何だ、天江の体が、大きく・・・!?)
東一局一本場
衣「宣言してやる、下臈。お前の親番は久遠に来ず」
バシッ
京太郎「そんな麻雀があってたまるかってんだ!」
ピシッ
衣「そう、これは麻雀じゃない、だから衣も楽しくない。・・・できれば早く終わらせたい」
バシッ
京太郎「そうツレない事言うなよ、なぁ!」
ピシッ
衣「牌に最低限の愛さえ貰えぬ輩になど、少しでも期待した衣が愚かだったか・・・」
バシッ
京太郎「それは俺が決めることだっ!」
ピシッ
衣「いいや、牌が決めることだ。・・・哀れだな」
バシッ
京太郎「憐憫の情でも寄せたいってか!?」
ピシッ
衣「最早その域にすらない。お前は虫だ。・・・リーチ」
バシッ
京太郎「虫は虫で色々怖いらしいぜ、気をつけろよ!」
バシッ
衣「お前の体に微かに薫る友の匂いに賭けてみたが・・・どうやらハズレだったらしい」
パタタタタ・・・
衣「ロン。九連宝燈、役満。48300点だ」
京太郎「役満だとっ!?」
衣「・・・牌に愛されない者とやると、こうなる。だから衣は三流が嫌いなんだ」
京太郎「くっそ・・・!」
衣「お前は月に唾を吐いた。・・・この程度で済むと思うなよ?」
京太郎「そりゃ、こっちのセリフだ・・・!」
京太郎(大丈夫、こういうのは経験済みだ。ーーだから、だから怯えないでくれ・・・俺!)
衣「・・・」ゴオッ
京太郎「っ・・・!?」
京太郎(天江の体が、なんだよ、これ・・・そんな訳ねえだろ)
京太郎(俺の体が、天江の指一本より小さいなんて・・・)
衣「さぁ、二本場だ・・・微塵も残さん」
東一局二本場
衣「・・・」
バシッ
京太郎「・・・っ」
パシッ
衣「清澄の。もうお前は終わりだーー黄泉に眠れ」
バシッ
京太郎「んなこと、俺が・・・!」
パシッ
衣「ロンッッッッッッッッッ!」ゴオッ
パタタタタ・・・
衣「一気通貫、ドラ3ーー満貫、12600点だ」
京太郎「ぐぅっ・・・!?」
衣「早く次の局の準備をしろ、衣は待つのが嫌いなんだ」
衣「・・・特に、雑魚相手にはな」
京太郎「・・・ぁ・・・!」
京太郎(クソ、クソックソックソックソックソッ!)
東一局三本場
衣「・・・」
バシッ
京太郎「・・・」
パシッ
衣「人には、向き不向きというものがある」
バシッ
京太郎「・・・」
パシッ
衣「清澄の、お前に麻雀は無理だ」
バシッ
京太郎「・・・」
パシッ
衣「最早、話す事も能わずかーー欠乏したよ」
バシッ
京太郎「負けて、たまるか・・・!」
パシッ
衣「・・・」
バシッ
『連休中に絶対、癖治してきてね』
『頑張れ、京ちゃん!』
『連休明けに、絶対、麻雀しようね・・・!』
京太郎「ここで、お前に負けてたら、俺は・・・アイツに、咲に会えないんだあああああああああああああああああああ!」
バシンッッッ
京太郎(通るっ!)
衣「・・・ロン」
パタタタタ・・・
京太郎「ーーーーぅっ!?」
衣「ダブ東三暗刻、ドラ2。ハネ満で18900だ」
京太郎「・・・・・・」
衣「無駄だよ。どれだけ猛ろうとお前は牌に愛されることは無い。果敢無い下臈は、ここで風塵と帰すがいい」
京太郎「俺、は・・・」
衣「さ、続きをしよう。ーーお前が、壊れるまで」
東一局四本場
・
・
・
衣「ーーツモだ。満貫4300オール」
東一局五本場
・
・
・
衣「ロンだ。ハネ満で19500」
東一局六本場
・
・
・
京太郎「・・・」
パタッ
衣「ほとほと呆れかえるな・・・ロンだ。7600」
東一局七本場
・
・
・
京太郎「・・・・・・・」
パタッ
京太郎(これも、また)
衣「ロンだ。11500」
東一局八本場
・
・
・
京太郎「・・・」
パタッ・・・
衣「・・・」ピッ
衣「ツモ。5100オールだが、八連荘ーー役満。よって16800オールだ」
京太郎「ハ、ハハ・・・ハハハハハ」
衣「これでお前はー126500点・・・もう、聞こえていないか」
京太郎「ハッハハハハハハハ!ありえねえ!ありえねえよこんなの!何が牌に愛されているだよ!アイツだって、こんな、こんなっ!」
衣「・・・ハギヨシ!」
ハギヨシ「ハッ」シュッ
衣「そこの塵芥を、部屋から追い出せ。ーーとんだ時間の無駄だった」
ハギヨシ「では、失礼します」ガシッ
京太郎「クソ、離せ!離してくれ!俺は、俺はあああああああああああああああああああああああああああ!」
衣「・・・二度と衣の前に姿を見せるな、屑」
京太郎「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だあああああああああああああああああああああああああああああ!」
京太郎「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
龍門渕邸・別館 2F南の部屋
ハギヨシ「・・・落ち着かれましたか」
京太郎「・・・」
ハギヨシ「では、私はこれで」シュッ
京太郎(何をしても、駄目だった)
京太郎(技術とか、運とか、そういう奴の外の・・・もっと遠くの)
京太郎(アレはまるでどうしようもなく大きい月みたいな、そんな)
京太郎(絶望的過ぎる、存在そのものの違い・・・)
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