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元スレ京太郎「咲、話があるんだ」
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東一局
京太郎「さーって、と」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「国広、一だっけか。アンタは普通に良い人なんだと思ってたが・・・」
バシッ
一「"普段は"良い人だよ。・・・でも、賊に払う礼儀はない」
バシッ
京太郎「だろうな。・・・そんなに大事か、あの女王様が」
バシッ
一「透華になら、ボクの全てを懸けていい。いつだってそう思ってる」
バシッ
京太郎「ああそうかよ!なら・・・・・・リーチだ!」
バシンッ
一(早っ・・・それに、読めない!?)
一「くっ・・・」
ピシッ
京太郎「へっ、混乱してるな?」
バシッ
一「・・・」
ピシッ
京太郎「そこ、いっただきぃ!ロンだ!」
バンッ
京太郎「ーーリーチ、一気通貫!7700点だ!」
一「ぅ・・・」
京太郎「さ、連荘と行くか!」
東一局一本場
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「へっ・・・」
バシッ
一「・・・気持ち悪いな、急に笑わないでよ」
バシッ
京太郎「楽しいなぁ、全力でやるのは!」
バシッ
一「ボクは楽しくなんかない」
バシッ
京太郎「そりゃ、お前が本気じゃないからだよ」
バシッ
一「ボクはいつだって本気だ!」
バシッ
京太郎「どうだかな、今のお前は全然攻めてこないじゃないか」
一「・・・っ」
バシッ
京太郎「だんまりか。まぁいいけどよっ・・・っと。リーチ!」
バシンッ
一(どうする、アイツの攻め方が・・・分からない)
一(読み切れない・・・とりあえず、これで)
京太郎「・・・もし、これが倍満のアタリだったら」ボソッ
一「っ!」ゾクッ
京太郎「その時点でお前はトビだ」
一「・・・心理戦を仕掛けてるつもり?悪いけど」
京太郎「俺は嘘が苦手でね・・・馬鹿だからよ。まぁ、アレだ。その一手はよーく考えて打てよ?」
一「・・・」
一(ハッタリだ!ここで大きな当たりなんてそうそう出る訳がない!)
一(でも、何だろう・・・この牌を捨てると、胸の奥から何かが抜け出ていくような)
一(透華が離れて行っちゃうような・・・)
一(・・・怖い)
一(透華が離れていくのが、一人になるのが怖い・・・!)ブルブル
一(この牌を捨てなきゃ・・・!)
一「くっ・・!」プルプル
京太郎「・・・どうした?」
一(ダメだ、あいつの倍満がチラつく・・・負けの情景が鮮明に見える)
一(・・・打てない。ボクには打てないよ、とーか・・・)
一(今ならまだ、謝れば許して・・・)
京太郎「・・・言っとくが、謝っても許さねえぞ?」
一「っ!」
京太郎「本気の麻雀だろ?だったら、途中で降りるなんざ認めねぇよ。喧嘩と一緒さ」
京太郎「お前が売った、俺が買った!だからお前を叩き潰す!徹底的にだ!」
一「・・・・・・」
一(コイツ、本気だ・・・本気で、ボクを潰す気だ!)
京太郎「そうだな、この麻雀に勝ったら・・・女王様に進言して龍門渕の生徒にしてもらうかな」
一「なっ!」
京太郎「そんでもって部長まで登りつめて、最後にはあの女王様とタッグ麻雀で頂点取ってみるか・・・あの人、俺との相性は良いみたいだからな」
一「お前・・・!」
京太郎「それが終わったら女王様はポイーだ。天江を倒しにいく。・・・言うなりゃあの人は通過点だな」
一「透華は通過点なんかじゃない!取り消せ!今すぐだ!」
京太郎「断る!・・・取り消してもらいたけりゃ、麻雀で俺を倒してみろよ!」
一「・・・!」
一(透華・・・ボクは、ボクは・・・!)
京太郎「ビビってんじゃねえぞ、国広一!」
一「お前にだけは、負けられないんだあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
京太郎「ヘッ、やっとお目覚めかよ」ゾクッ
一(透華、ボクは君のために戦う!ーーもう、迷わない!)
バシッ
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「・・・」
バシッ
一「ーーロン。三色同順ドラ2、一本場で・・・8300、満貫」
京太郎「クッ・・・」
一「これでさっきの和了分は取り返させてもらったよ。さぁ、次はキミが追いつめられる番だ」
京太郎(気のせいか、アイツの声が急に冷え切ったようになったような・・・)
一(何だろう、さっきまであんなに恐ろしかったアイツが、今はただの置物にしか見えない)
一(河の流れが、見える・・・絶対に荒れることのない、ただ静かな流れが)
一(これってまるで・・・・・・そっか。ありがとう、透華)
一(透華の為に・・・この戦い、絶対に勝つから!)
東二局
一「・・・」
バシッ
京太郎(手が悪いな・・・)
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・リーチ」
バシッ
京太郎「仕掛けてきたか!・・・っ」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎(なんだ、来る牌が全部かみ合わない!?)
京太郎「・・・っ」
パシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎(よし、やっとまともに手が進むーー)
バシッ
一「・・・ロン」
京太郎「クッ・・・!」
パタタタタ・・・
一「リーチ、タンヤオ一盃口。7700」
京太郎「クソッ・・・」
東二局一本場
一「・・・」
バシッ
京太郎(また、随分と悪い初手だなオイ!)
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎(何だ、何かおかしい・・・)
京太郎「・・・」
バシッ
一「ポン!」
バシッ
京太郎(げ、役牌か・・・それにしても)
京太郎(自由に動けねぇな・・・河に引きずりこまれたみたいだ)
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎「なぁ」
一「・・・何?」
京太郎「"コレ"は・・・アンタがやってるのか?」
一「だったらどうする?」
京太郎「・・・正面からブチ抜く!」
バシッ
一「ーーロンだよ」
パタタタタ・・・
一「役牌のみ。1本場で1800だね」
京太郎「随分とセコイ和了するじゃねぇか」
一「何とでも言えばいい。僕はもう迷わない・・・!」
京太郎「あぁそうかよっ!」
東二局二本場
一「・・・」
バシッ
京太郎(あの時のタコスみたいに安手狙いか・・・?)
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎(いや、それにしては打ち筋が妙だ。まるでーー)
京太郎(今までの和了が全部フェイクみたいな・・・)
バシッ
一「もう、キミは和了らせない」
バシッ
京太郎「お前が決めることじゃねぇな!」
バシッ
一「・・・リーチ」
バシンッ
京太郎「来やがったか・・・」
京太郎(今のアイツはヤバい。何としても避けなけりゃな・・・)
バシッ
一「もう、誰にも・・・この流れは乱させない」
バシッ
京太郎「・・・」
バシッ
一「そして尚且つ・・・大手で和了って見せる」
バシッ
京太郎「お前も随分言うじゃねえか!」
バシッ
一「キミのはハッタリだけど、ボクのはハッタリじゃない。やると決めたんだ、絶対にやる」
バシッ
京太郎「・・・っ」
バシッ
一「絶対に・・・!」
バシッ
京太郎(それにしても・・・来ねえなあ畜生!)
京太郎「・・・」
バシッ
一「ロンだ!」
バンッ
京太郎「何っ!?」
一「ーーリーチタンヤオ一盃口、ドラ1二本場・・・満貫12600!」
京太郎「クッソ・・・!」
一「ハ、ハハッ・・・」
一(凄いや、負ける気がしない!透華、これが・・・これが治水なんだね!)
一「っと、いけないいけない・・・」
一(油断するな、国広一・・・お前は透華の隣に立つんだろ!)パシッ
一(油断は死を招く。いつだって本気で)
一(だから、今は・・・)
一(今は・・・目の前のこの男を倒すことだけをーー!)
京太郎「・・・・・・せ・・・・・・・せ」ブツブツ
一「・・・次の牌準備するけど、いいかな?」
京太郎「・・・ああ」
東二局三本場
一「・・・」
一(大丈夫、河の流れは見えてる)
バシッ
京太郎「・・・・・・・せ、・・・・・・・せ」ブツブツ
パシッ
一(相手は心ここにあらずって感じだけど・・・油断はできない)
バシッ
京太郎「思い出せ・・・思い出せ・・・」ブツブツ
京太郎(俺はどこかで知ってる、こんな状況を・・・)
バシッ
一「・・・」
一(熱くなってるのかな・・・?だとしたら、チャンスだ!)
バシッ
京太郎(初手は最悪、引く牌も良いとは言えず、相手は絶好調の連荘中)
京太郎「あの時も、こんな感じだったな・・・」
パシッ
一「・・・何を言ってるのか分からないけど、キミの相手はボクだよ?」
バシッ
京太郎(凄まじい相手のプレッシャー、武者震い半分、怯え半分の俺・・・)
京太郎「ハハッ・・・雀荘の時も、そうだったな」
バシッ
一「・・・リーチだ!」
バシッ
京太郎(この沈んでいく感覚。これはまるで・・・)
京太郎「・・・そうか。俺、何だかんだ言って・・・アレも楽しんでたのか」
バシッ
一「・・・これが終わったら、腕利きの頭の医者呼んであげるよ!」
バシッ
京太郎(そして・・・全身からひしひしと伝わってくる力量の差。俺は、これも知ってる)
京太郎(俺に麻雀の楽しさを教えてくれた人)
京太郎(俺の、大切な人)
京太郎(ーーーー咲)
『ーーーー麻雀、好き?』
京太郎「・・・そうか」
京太郎「勝ちも負けも全部、全部の上に・・・俺が居るんだ」
京太郎「だから、俺は・・・・・・・・・・・もっと上に!」
京太郎「俺は強くなる!全部飲み込んで、全部貪って・・・アイツを倒して!!俺が頂点に立ってみせる!!!」
バシッ
一「どのみち、キミは和了れない!」
バシッ
京太郎「もっと、もっとだ・・・!」
バシンッ
一「・・・っ」
一(いや、そんな筈はない。河の流れは、透華の治水は、絶対だ・・・)
バシッ
京太郎(俺は・・・俺はまだ戦える!戦いたい!だから!)
京太郎「こいつが、こいつだけが!俺の魂だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
京太郎「手前如きに、抉り切れるかああああああああああああああああああああああああああああ!」
ピッ・・・・・・
バシンッ!!!!!
一「・・・・・・」
京太郎「ツモ!ーーーーーーーー国士無双!ーー親16800、子8300!」
一「・・・やるじゃん」
京太郎「人の心配より、自分の心配をしたらどうだ?」
一(何でだろ、コイツと打ってると)
京太郎「俺はこのまま、お前を潰す気でいるぜ・・・!」ゴウッ
一(楽しいっ!)
一「そりゃ、ボクも負けてられないなぁ・・・!」ゴウッ
東三局
京太郎「・・・」
バシッ
一「・・・」
バシッ
京太郎(おそらく、この勝負)
バシッ
一(この局で決まる・・・そんな気がする)
バシッ
京太郎「・・・リーチだ!」
バシシッ!
京太郎「ボクもリーチ!」
バシンッ!
京太郎「・・・国広一。アンタはただの良い人だと思ってたが、実際は選民思想と独占欲の塊みたいな人間だった」
バシッ
一「須賀京太郎。キミはどこまでも立場をわきまえない、あの透華の前でさえ・・・無礼極まりない人間だった」
バシッ
京太郎「口を開けば二言目にはとーか、とーかか。従順なこった、あの女王様が幸せなら自分の事はどうでもいいんだろうな」
バシッ
一「キミは他人をないがしろにし過ぎだね。強さだけを求めて、キミを支えてくれる人達の事は眼中にないんだろうね」
バシッ
京太郎「だが・・・嫌いじゃない」
バシッ
一「・・・同感だよ。キミのその純粋過ぎる生き方は、ボクにとっては羨ましくさえある」
バシッ
京太郎「だが!譲れないもんがある!倒したい奴が居る!」
バシッ
一「でも!守りたい場所がある!傍に居たい人が居る!」
バシッ
京太郎・一「「そのためには!」」
京太郎・一「「戦わなくちゃならない時がある!」」
京太郎「・・・気に入った、恨みっこなしだぜ」
一「上等、そっちこそ吠え面かかないでよ」
京太郎「ーーーーーーーー来いっ!」
ピッ
京太郎「・・・チッ」
バシッ
一「ボクの番だね・・・」
一(お願い、透華・・・・・・ボクに力を!)
ピッ
一「ーーーーーーーーーっ」
一「くっ!」
一(違う、これじゃない!)
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