私的良スレ書庫
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元スレ上条「食蜂って可愛いよな」御坂「え?」
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ドラゴン様の影響力がここまで及ぶとはな……。
ドラゴン信者自重しろ
ドラゴン信者自重しろ
でってゆうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ビチャビチャがオシッコであることを期待してます。
死んでないよね?
頑張って!
死んでないよね?
頑張って!
さぁて…これからどうなるのか…
上やんの次の行動が気になるな。
上やんの次の行動が気になるな。
さぁて…これからどうなるのか…
上やんの次の行動が気になるな。
上やんの次の行動が気になるな。
結局いいところできる>>1に期待せざるを得ないってわけ。上条さんがどう動くか超期待です。
迎撃するって言った割には迎撃音がしなかったな
まさかビシャアアアがそれなのか?
まさかビシャアアアがそれなのか?
あれは鼻血やら吐血とかの魔術の副作用ってやつじゃないかな
迎撃は今から始まるんじゃない?
迎撃は今から始まるんじゃない?
あちこちで荒らしているヤツとかどうでもいいから、少しは落ち着いて待とうず
一体いつから、上条属性に取り込まれていないと錯覚していた?
こんばんは、今日も投下します。
こんばんは、今日も投下します。
―――
静寂と薬品の匂いに包まれた空間の中で、病人着を着せられた食蜂操祈は目を覚ました。
窓の外から差し込む色は既に暗色。
日はとうに落ち、頭上を照らす薄暗い電灯の明かりさえ眩しく思える。
食蜂「ん……うん……」
うめき声をあげながら体を起こす。
その動きに素早く反応したのは、傍らにいた二人の人物。
上条「操祈っ! 大丈夫か!」
禁書「大丈夫なのかな!?」
上条とインデックスが、食蜂が寝かされていた真っ白いベッドに縋るように飛びついてくる。
食蜂「上条……さん……つっ!」
彼の名を確認するように呼んだ瞬間、頭部がズキリと痛みを訴える。
そっと触れたその場所、金色の髪の向こう側には、額から後頭部をグルリと一蹴するように包帯が巻かれていた。
食蜂「ここは……?」
意識ははっきりとしてきたが、再確認するように上条に問いかける。
心配げに顔を覗き込んでいた上条が、一瞬躊躇う様子を見せて応答した。
上条「病院だよ。お前が公園でインデックスと一緒にいたら、突然全身から血を吹きだして倒れたんだ」
食蜂「病院……あ、そうか…」
食蜂(確か私は、彼女の頭の中を覗こうとして……)
簡単な作業のはずだった。
いつも通り、脳内を解析し覗き見る。
そこにある情報を根こそぎ暴けばあとはお好みでいかようにも操作、改竄が出来る。
おまけにそれを相手に気づかれることも無い。
だが
食蜂が覗き見た彼女の脳内。
そこに貯えられていた知識の量はあまりにも膨大で、その海の底深さにまずは溺れそうになった。
続いてやってきたのは、自分でも制御しがたい程の知識欲。
彼女の中へ、もっと奥へ。その知識を手中に収めなければならない。
そう掻き立てられる魔性が、彼女の最奥から感じられた。
そして、彼女が手招きする常人ならざる知識の海の奥深く、そこにあった一つの扉の向こう側。
厳重と言えば厳重、しかし覗き見ようと思えば容易なその場所に触れた瞬間。
聞こえたのは無機質な声だった。
―――迎撃します
そこから先は記憶に無い。
気付けば身体から吹き出る血液の河の中に倒れていた。
その先に何があったのかも食蜂には分からない。
本のようなものだった気もするし、幾何学模様と数式の羅列だったような覚えもある。
食蜂(なるほどぉ、文字通り『迎撃』されたという訳ねぇ)
だが食蜂には分かっていた。
それは、きっと触れてはいけないもの。
精神系能力者が自らの心を守る術を身に着けるように、彼女もまた心になんらかの防壁を持っていた。
そこにまんまと引っかかったのだ。
禁書「みさきはどうして私の頭の中を覗こうとしたのかな……?
もし魔道書を見ていたら、みさきは多分二度と目を覚まさなかったんだよ」
そして責めるような、だがどこか申し訳なさそうな視線でインデックスが問いかけてきた。
その言葉に上条も驚きを見せる。
食蜂(魔道書……?)
上条「えっ……操祈お前……それ本当なのか?」
禁書「うん。みさきが私の頭の中を覗こうとしたから、『書庫』の防御術式が勝手に働いたんだと思う」
上条「何でそんなこと……」
眉間に皺を寄せる上条。
妙な疑いを持たれるのは避けたかった。
だが、食蜂は彼らが思うよりも自分は冷静である確信があった。
既に状況の理解は終了し、痛む体の傷は学園都市の治療法を以てすれば命を危険に晒す程のものでないのは自分の事なので分かる。
だから食蜂は、ただいつものように、彼らを欺く。
食蜂「……ほんの……出来心だったの……」
十八番とも言える涙声。
自分は出るところに出れば女優にだってなれると冗談抜きでそう自負している。
案の定、ぐじゅぐじゅと鼻を鳴らして唇を噛みしめた自分の姿を見た二人は狼狽え始めていた。
禁書「みさき……」
食蜂「私ぃ……インデックスちゃんに嫌われてると思ってたから、早く仲良くなりたくて……
インデックスちゃんのこと、もっと知りたくてぇ……それでぇ……グスッ……」
もう後一押し。
彼らの心の動きなど手に取るように分かる。
これ以上は責められない。そう思わせれば良いだけのことなのだから。
いかにインデックスが心の中に化け物を飼い、上条が心の中を隠そうとも、彼らが心を持つ生き物である限り、『心理掌握』の前にその心は惑うのみ。
上条「そうだったのか……」
禁書「そ、それなら直接言ってくれればいいんだよ! どうしてそんな……」
食蜂「私ぃ……口下手だから……ごめんねぇ……グスンッ」
禁書「わ、分かったんだよ。もういいから……泣かないでみさき」
上条が落ちればインデックスも容易かった。
例え腹の底からの信頼を得られずとも、この場で怪我人を責められる程彼女は冷酷な人間ではないのは既に分かっている。
まして、自分が何を目的として禁書目録の脳内へ侵入したのかなど、心を読めない彼らに知る由も無いのだから。
食蜂「でもぉ……」
上条「だ、だな。二人が仲良くなれるならそれでいいよ」
駄目押しの一言。上条がそう返してくるのは分かっていた。
彼が自らの言葉で場を収めることにより、この話はそこで終わる他無くなる。
食蜂「ありがとぉ……上条さん」
思い通りに動いてくれた彼の心に褒美とばかりに、食蜂は上条の手を取り実り豊かな胸に押し付けてやる。
ふわりと沈みこむその感触に、上条は照れくさそうに髪をかいて笑った。
自分でも今気づいたことだが、食蜂は下着を身に着けていなかった、恐らく血で汚れてしまったのだろう。
少しサービスし過ぎたかとすぐさま彼の手を引き離した。
上条「あ、ああ……はは」
禁書「とうまのエッチ……」
かくして病室には急ごしらえの平穏が訪れる。
全ては食蜂の望むままに場が動いた結果だった。
食蜂(……とりあえずこれでいいわねぇ。
まだインデックスちゃんは私のこと完全に信用はしてないみたいだけどあまり関わらない方が良さそう。
大体魔道書だか何だか知らないけどぉ……私の改竄力が通じないならもはや用は無いわぁ。
何が『書庫』よ馬鹿馬鹿しいわねぇ……)
そして本来ならば、ここで自らが血の海に沈んだ原因を模索し、何故と考えを巡らせるのが常人の精神構造だ。
だが、食蜂はあえてそれをしない。
彼女の超能力者としての勘が告げている。
『あの場所』に踏み込むのは危険だと。
人の心はとても不可解で、学園都市の科学技術を以てしても全てを解明できていない。
それは精神系能力者の頂点である食蜂が他の誰よりも分かっている。
だからそれ以上踏み込まない。
その必要性すらない。
ましてや上条の時とは違い今回は実害を受けているのだ。迂闊に手を出していい相手では無いのは明白だった。
上条「どうした? 操祈?」
訝しむ上条が話かけてきたので、そちらに視線をやった瞬間食蜂の身体に激痛が走った。
皮膚を突き破るようにして吹き出た血の傷痕が、まだ塞がっていないのだ。
食蜂「うぐっ……!」
上条「大丈夫か!? どっか痛むのか!?」
食蜂(全身痛いわぁ……でも、この状況を利用しない手は無いわよねぇ……転んでもただでは起き上がらないわよ……クスクス)
慌てて声をかける上条。
彼は本気で自分を心配してくれているらしい。
実に扱いやすい相手だと食蜂は思った。
食蜂「う、うん……身体が痛くてぇ……」
正真正銘の傷である。そこに関しては全く演技ではない。
上条「そりゃそうだよな……出血の割には傷は深くないみたいだけど、どうしよう。何か薬もらってこようか?」
自分よりも辛そうな表情をする上条が何故か少しだけ印象に残った。
食蜂「上条さんにぃ……看て欲しいな、私の傷……」
だからこれはサービスのつもりでもあった。
心底自分を信頼し、心配してくれる彼への褒美。
チラリと病人着胸元を引っ張り、隔たる下着すらないふっくら膨らんだ胸元を見せてやる。
上条「ッッッ!!!」
とても分かりやすい反応で、上条は恥ずかしそうに視線を逸らした。
禁書「ちょ、ちょっととうま。みさきは女の子なんだよ。それなら私が……」
食蜂「インデックスちゃんには見せられないわぁ。傷だらけでグロテスクになってると思うから……
上条さぁん、悪くなってないか、看てもらってもいい?」
媚びるような甘ったるい声に狼狽える上条のその仕草を少しだけ可愛く思う食蜂。
すかさず入ったインデックスの横槍を難なくあしらい、今度は彼の瞳に訴えかけるようにねだるような目つきでおねだりをする。
かつて心の観察のために弄んだ数十人の男達の六割程度が、この辺りで食蜂の頼みを断れなかった。
上条は少し持っている方だが、陥落も時間の問題だと食蜂は踏んでいる。
上条「え、で、でも……あっ! じ、じゃあ先生か看護士さん今呼んでくるから!」
食蜂「上条さんに……見て欲しいのぉ……私の身体……」
インデックスが見ているためか、上条は少しだけ慌てて病室を出て行こうとする。
食蜂は彼の手を引き寄せるように抱き締め、ムニュリと押し付けるようにもう一度胸を寄せた。
ここでいつもなら、馬鹿みたいな表情をして彼は顔を赤くする。
それで自分の言うことにはもう逆らわない。
そのはずだった。
上条「……なあ操祈、大丈夫か?」
しかし、返ってきた彼の声色は、いつもとどこか違う。
照れも恥じらいもどこにもない。
ただただ真剣そのものだった。
食蜂「だからぁ……それを上条さんに……」
上条「震えてるぞ、手」
食蜂の声を遮り告げた彼の言葉は、とても信じがたいもので
食蜂「え……?」
言われ見やった彼の腕を抱く自らの両手は、カタカタと不気味な程に震えていた。
食蜂(や、やだ……何? 何でぇ……?)
じわりと。
心の奥底から何かが湧き上がってくる。
暗く深い色の感情の奔流。
蓋をしていた容器の底から絶えず溢れた水によってとうとう決壊してしまうように。
食蜂自身にも理解出来ない感情がその大きな輝く瞳から溢れだした。
上条「怖かったな、もう大丈夫だからな……」
食蜂「こ、怖い……?」
驚くほどに、呟いた自分の声は震えていた。
上条に頭を撫でられ、サラリと零れる金色の髪の流動が心を揺らす。
そして脳内に投影されていくのは、赤い、とてつもなく赤い色。
皮膚を突き破る痛み。
その感触。
鼓膜を突き破りそうなほどの己の絶叫。
目が覚めて、綺麗さっぱり心の中にある箱へと押し込めた、そんな感情。
食蜂「や、やぁねぇ上条さんたらぁ……怖いだなんて……」
認めるものか。
食蜂は思う。
上条「操祈……お前、また泣いてるぞ……」
食蜂「……へ?」
しかし、上条の告げた事実は残酷だった。
瞳から零れ落ちる涙。抑えきれぬ腕の震え。
それは紛れも無く、インデックスによって与えられた恐怖に他ならない。
禁書「みさき……ごめんね……ごめんね」
すがりつくように、インデックスが謝罪を述べる。
食蜂はそれを受け取らない。
受け取れば、認めてしまうことになるから。
食蜂「や、やだ。何でかしら。アハっ、違うわよぉ。これは怖いとかそんなんじゃなくてぇ」
食蜂(何……何これ……? 泣く? 震える? 私がぁ?
ありえない……ありえないわぁ)
自分の心が、人間の心を総べる能力者の心が、恐怖という感情で塗りつぶされることを、
認めてしまうことになるからだ。
上条「いいから。分かってるから……あんな目にあうのは誰だって怖いよ」
諭すように、慰めてくれる上条。
その言葉に、食蜂は安堵している自分がいることにさらに苛立った。
食蜂(分かってる? 分かってるって何ぃ? 貴方に私の何が分かるのぉ?
私の心なんて読めないくせに……私がどれだけの打算と計算で貴方に近づいているのかなんて知りもしないくせに……)
食蜂にしては珍しい憤りだった。
自分のことを何一つ理解していないはずの他人が、分かったようなことを口にする。
それは本来鼻で笑い飛ばすような些末で陳腐な出来事。
なのに食蜂がそこに怒りを感じたのは、自分もまた、彼の心に何があるのか見えていないから。
互いが互いに分かり合えていないのに、何もかも見透かしたように理解を示す愚かさと厚かましさが腹立たしい。
なのに抱き締める彼の腕を振りほどく気になれない自分が、この腕を離した時に晒される抜き身の恐怖が、苛立たしい。
上条「……インデックス、悪いけど先生呼んできてくれないか? 操祈が目を覚ましたからさ」
禁書「う、うん……」
インデックスと自分、果たしてどちらに気を遣ったのか、上条がそう促すと、彼女はチラリと食蜂を一瞥して病室を出て行った。
上条「操祈……」
すぐさま名前を呼んで強く抱きしめてくる。
盛大な感情の吐露や号泣でも求めているのだろうか。
そんな三流芝居を自分に演じろとでも言うのか。
やはり彼は何も理解していない。
食蜂操祈が演じる魔性に誘惑されただけの哀れな一人の男。
なのに、その一切の迷いの無い信頼が、食蜂には今まで操作し支配してきた人間には無いものであるように思えた。
食蜂「……か、上条さん。勘違いしてるわぁ。私が、恐怖なんてものに心を支配されるなんてありえないの。
わ、私は……学園都市最高の精神系能力者よぉ。この私が、自分の心に敗北するなんてそんなの……」
だから、食蜂は彼の期待に応えて、少しだけその胸のうちを吐き出してみることにした。
別に彼に特別な意識を向けたわけじゃない。これも一つの実験だ。
自分が繰り出した本音に、彼がどう対応し、状況をいかに変化させるのかを知りたくなった。
他人の心の動きの観察は、『心理掌握』の力をより確実なものへと昇華させるから。
そう、自分に言い聞かせた。
時折見失うこの心の在り処を確かめるように。
上条「操祈、たまには素直になったっていいだろ。誰も責めやしない。
それに、言ったろ? 俺の右手はあらゆる異能を打ち消す力を持ってるって」
上条が力強い言葉を食蜂に向けてくる。
その言葉の先、彼の心から出でるものに興味が湧いた。
食蜂「だ、だから……?」
そして告げられた言葉は
上条「お前は今、ただの女の子なんだよ。学園都市最高の精神系能力者なんかじゃない。
俺の彼女だ」
食蜂「――――――ッ」
そこに彼の心の中身を覗き見た気がした。
上条「だからそんな無理せず……」
食蜂「…………グスッ」
その続きなんていらない。
彼の心がどのようなものかを知るにはそれで十分だった。
『心理掌握
上条「操祈、たまには素直になったっていいだろ。誰も責めやしない。
それに、言ったろ? 俺の右手はあらゆる異能を打ち消す力を持ってるって」
上条が力強い言葉を食蜂に向けてくる。
その言葉の先、彼の心から出でるものに興味が湧いた。
食蜂「だ、だから……?」
そして告げられた言葉。
上条「お前は今、ただの女の子なんだよ。学園都市最高の精神系能力者なんかじゃない。
俺の彼女だ」
食蜂「――――――ッ」
そこに彼の心の中身を覗き見た気がした。
上条「だからそんな無理せず……」
食蜂「…………グスッ」
その続きなんていらない。
彼の心がどのようなものかを知るにはそれで十分だった。
『心理掌握』には、それで充分だった。
上条「あれ? 操祈?」
鼻をすすった食蜂は、彼に顔を見られないよう首元に埋めて囁くように言う。
食蜂「グスッ……上条さぁん、もうちょっと強く、ぎゅってしてぇ……」
上条「ああ……」
甘えねだるような言葉に応え、強く抱きしめてくる。
傷が痛むが、今はさほど気にならなかった。
食蜂「あのねぇ、上条さん」
そして、内緒の話をするように、食蜂はポツリと呟く。
上条「ああ……」
食蜂「『心理掌握』は……何度でも言うわぁ、学園都市最高の精神系能力者なの。
何があったって、自分の心にだけは負けられないのよ……」
食蜂操祈、『心理掌握』。
誰よりも人の心の動きを理解し、操る者。
食蜂にも譲れないものがある。
学園都市最高峰の学校、常盤台中学の女王。
その最大派閥の頂点。
あらゆる人心を掌握し、改竄し、操作する、レベル5の第五位。
それら全ては、後から着いてきたものだ。
彼女は、学園都市で最も心を制御できる超能力者としての矜持があった。
それは、自らの心もまた例外ではない。
そしてそれこそが、彼女を彼女たらしめている『自分だけの現実』だった。
だから自分自身が、この心に敗北するわけにはいかない。
恐怖すらも、苦痛すらも制御して、意図せぬ動きをする自らの心まで『掌握』する。
その本質は己を律するという、彼女の言動からは一見程遠いものであり、だがそれだけが彼女の守るべき唯一のプライドだった。
上条「ああ……」
分かっているのかいないのか、頷く上条に食蜂は独り言のように言葉を続ける。
食蜂「だからこれはぁ……恐怖なんかじゃなくて、他人の心の障壁の向こう側へ行けなかった自分への怒り。
分かったわねぇ……?」
もう一度鼻を啜って、確認を取る。
調教の基本は飴と鞭。
今日は少々飴を与えすぎかと食蜂は思ったが、彼の右手が触れているうちは、自分は『心理掌握』では無いらしい。
だから
上条「……分かってるよ」
食蜂は初めて、他人の前で感情の任せるがままに行動した。
食蜂「ふぇぇぇぇええ……」
上条「よしよし……」
声を上げて泣く。
頭を撫でてくれる彼の腕の力強さが、少しだけ心地よく思えた。
食蜂(不覚だわぁ……私が、この人なんかに涙を見せるなんてぇ……。
けどぉ、せっかくだからこれも利用するわぁ……じゃないと、私が心を曝け出してしまった価値がなくなるものぉ……)
忌々しい。
『心理掌握』たる自分が、よもや他人に心を曝け出すとは。
食蜂は自分の心を覗き見た彼を絶対に服従させてやるのだと心に誓った。
冥土帰し「んっんんっ! 」 ゴホッゴホッ!
と、そこで咳払いの声。
病室の入り口に立っているのはインデックスが連れてきた医者だった。どこかカエルに似ている。
上条「あ」
食蜂「きゃぁっ!」
思わず声をあげて上条を突き放す食蜂。
上条「きゃぁ?」
食蜂「あ……」
食蜂(きゃぁって何よぉ……きっとまだ動転してるのねぇ。
私の心もリモコンで操れたらいいのに……)
自分でも驚くような声だった。
一体何がそうさせたのか、食蜂自身にもよく分からない。
食蜂「……ドキドキって……馬鹿じゃなぁい」
そう自分に悪態をつき、乱れた胸元を直し髪を手櫛で整える。
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