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    元スレ上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」

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    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - 銀時 + - インデックス + - ブラインド・エスケープ読んでみ + - ヤンデレ + - 上条「二人で一緒に逃げよう」 + - 上琴 + - 上琴二人で一緒に逃げよう + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    252 :

    テラ深夜ww だがそれがいい

    253 = 250 :

    午後も9時を回った頃、美琴は少し豪華なマンションの一室にいた。
    床はフローリングで、部屋の造りは学生の身分にしては贅沢なものだった。彼女は今、そのリビングルームのソファに腰掛けていた。

    美琴「…………………」

    呆然と、美琴は目の前の机を見る。そこには、部屋の主人が用意した食事が並べられていた。
    冷蔵庫にあったものを使えるだけ使ったのか、料理は選り取り見取りだった。だが、美琴はまだ1つも手につけていなかった。

    「どうしたの? 食べなよ。何があったかは落ち着いてから話してくれていいけどさ。その前に力つけないと。見た限り、何日も食べ物を口にしてないんだろ?」

    美琴はゆっくりと振り返る。
    壁に腕をつき、こちらを見ている大学生の姿がそこにあった。

    美琴「…………………」

    路地裏をトボトボと歩いていた時、美琴はその大学生に声を掛けられた。何故か彼は、美琴を見ても殺意も敵意も抱かずに、あまつさえ彼女の姿を見て心配する素振りを見せた。
    見たところ、優しそうな雰囲気を持った大学生は、ボロボロの美琴を見て放っておけなかったのか自分の部屋に招き入れたのだった。

    美琴「………ごめん……なさい……」

    「なに、謝ることはないよ」

    美琴「………いえ、せっかく……ご飯用意……してくれたのに……」

    ゆっくりと、途切れ途切れに美琴は言葉を紡ぐ。

    「まあ、無理はしちゃいけないからさ今は」

    美琴「………ねぇ」

    「何?」

    美琴「………ここには、1人で住んで……るの?」

    「うん。だから安心して」

    ニコッと男は屈託の無い笑みを見せる。

    美琴「…………そう」

    「とにかくここにいる限りは安心だから、リラックスしてくれ」

    微笑み、それだけ言うと、男はリビングルームを離れていった。
    美琴は顔を戻し、再び目の前に並べられた食事を見る。

    美琴「(……ここにいる限りは安心……か……)」

    大学生の言葉を聞いて少し胸を撫で下ろす美琴。

    254 = 250 :



    グー


    と、その時美琴のお腹から音が鳴った。

    美琴「ふふ……2日間まるまる、何も……食べてなかった……から」

    独り言を呟くと、彼女は机の端に置かれたフォークを見つめた。

    美琴「……じゃあ、いただきます………」

    フォークを手にした美琴は、それを皿の上に盛られたミートボールに突き刺した。

    美琴「…………おいしそう」

    見るだけで、涎が溢れてきそうだった。
    ゴクリ、と喉を鳴らした美琴はそれをゆっくりと口に持っていった。




    美琴「?」




    と、その時だった。

    美琴「…………何だろ?」

    突然、何か不審を感じた彼女は、ミートボールが刺さったフォークをそっと皿の上に置き、後ろを振り返った。

    美琴「……………………」

    耳を澄ます美琴。

    美琴「……………話し声?」

    255 = 250 :

    誰かが話しているのか、どこからかささくような声が聞こえてきた。
    だが、声は1つしか聞こえない。どうやら話しているのは1人だけのようだった。

    美琴「………あの人の声?」

    よくよく聞いてみると、この部屋の主の大学生の声だった。
    ここには美琴と大学生以外誰もいないはず。なら、誰と話しているのか。

    美琴「…………………」

    ソファから立ち上がると、美琴はその声が発する方に向かって静かに歩いていった。
    まさか独り言でも呟いているのか。不思議に思った彼女は眉をひそめながらも、歩みを進める。それにつれ、大学生の声が大きくなる。

    「……から……いる……だよ……俺の………に」

    美琴「?」

    フローリングの廊下を進む美琴。

    「………マジで……嘘じゃ……まだ……アンチ……呼ぶなよ………」

    美琴「(何だろ?)」

    「いいから……仲間も……来いよ……」

    あと1歩、足を踏み出せば鮮明に聞こえてきそうだった。
    その瞬間だった。





    「だからっ!! うちに御坂美琴がいるんだって!!!」





    美琴「!!!!!!!!!!」

    256 = 250 :

    大学生の、嬉しそうに何かを訴える大きな声が突如響いた。

    「ああ、だから言ってるだろ? あの指名手配中の御坂美琴が俺の家にいんの!」

    美琴「!!!???」

    「だからさ、アンチスキル呼ぶ前にお前もダチ連れて来いって言ってんの!」

    美琴「………っ」

    顔が一瞬で強張った。

    美琴「………………」

    足を踏み出したい衝動を抑え、美琴は身体を震わせながら、大学生の愉快な声に更に注意深く耳を傾ける。

    「マジで信じろって! 今俺ん家で飯食ってんだよ!! え? いやいやそれがな、たまたま街の路地裏歩いていたら目にしてさ。何か逃げてるようだったから、これは絶好の機会かもと思って俺の部屋に誘ってやったんだよ! もちろん『俺だけは君の味方だよ』って演技してさ! まあ我ながら臭い台詞だと思ったけど? ぎゃはは」

    美琴「…………………」

    「所詮はガキだよなあ? コロコロと騙されやがってさ! だから今すぐ来いよ。心配すんな。あいつが今食ってる飯には強力な痺れ薬入れてるからよ!」

    美琴「!!!!!!!!」

    「ああ、あとちょっとしたらすぐ動けなくなるはずだぜ。だから、そこを俺とお前とお前のダチでいいことしちゃうわけよー。どうせ相手はあの御坂美琴だし、罪悪感なんて微塵も起こらないだろ? バレたところで、所詮は御坂美琴だ。アンチスキルだって見逃してくれるって! 何なら今すぐ写メでも送ってやろうか? だったら信じるだろ? ほら、早く来いよ。早くしないと先に俺が始めちゃうぜ? 俺のテクはパネェからな! きっとあの御坂美琴も腰振りながら昇天するぜ!! 『私の学園都市にあなたのレールガンをぶちこんでええええええ!!!!!!』ってな!!!」

    257 :

    油断しすぎだろ大学生wwwwwwww

    258 :

    大学生早漏すぎるww

    259 = 250 :

    「いいんだよあんなクソ便器女。どう扱おうが誰も咎めはしないって!」

    大学生の男はニヤニヤと笑いながら、携帯電話の向こうの相手を必死に誘おうとしている。

    「なんならずっと俺の部屋に監禁して愛玩奴隷………に………」

    だが、彼のその不愉快な笑顔も長くは続かなかった。

    美琴「…………………」

    僅かに開いたドアの隙間から、俯いた美琴がその暗い顔を覗かせていたからだ。

    「あ……あ……」

    急に会話を中断したことに不審を覚えた受話器の向こうの相手が、電話越しに何やら喚いているが、もう、大学生の意識はそっちに向いていなかった。

    美琴「………あんた……」

    ドアの隙間が開いていく。それにつれ、大学生の男の顔が蒼ざめていく。

    美琴「………信じてたのに……」

    顔だけ俯かせながら、美琴はボソボソと呟く。

    「あ……ひ……」

    美琴「………結局……私には……味方なんて……誰1人いない………」

    「た、助けてくれっ!」

    美琴「………この街に……私の居場所はもう……どこにも無い………」

    「頼む! あ、謝るから! 土下座するから!!」

    自分の世界に入っている美琴に対し、大学生の男の方は命の危険を感じ取っているのか、必死に懇願する。

    260 = 250 :

    美琴「………黒子も……佐天さんも……初春さんも……みんな………」

    「お、お助けを! 命だけはお助けを!!」

    美琴「230万……全ての住人が……私を……殺そうと……している………」

    生気の無い目で呟く美琴のその姿はまるで壊れた人形のようだった。

    美琴「もう……頼れる人間は……誰1人………」




    美琴「いない」キッ




    「ひっ!!」

    美琴が大学生の男の顔に焦点を合わせた。

    「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

    大学生の男は叫んでいた。すぐにでも浴びせられるだろう怒りの電撃を予測して、咄嗟に頭を庇っていた。

    「ああああああああ………」

    しかし………

    「あ?」

    攻撃がこないことに違和感を覚え、大学生の男が恐る恐る目を開けてみた。

    「あ、あれ?」

    そこに、御坂美琴の姿はなかった。

    「た……助かった?」

    しばらくの間、大学生の男はその場で腰を抜かしていた。ズボンの股間部分に大きな染みを作りながら。

    261 = 250 :

    美琴「ハァ……ハァ……ゼェ……」

    夜の街を、美琴は走っていた。

    美琴「ハァ……グスッ……ゼェ……」

    涙が風に乗って後ろに流れていくのが感じられたが、もうそんなことは気にも留めていなかった。
    今、彼女はただ、自分が向かうべき場所に向かって走るだけだった。

    美琴「……………………」

    顔を伏せながら、なるべく人目につかない通りを疾走し、美琴はただ走る。
    何分経ったのか、あるいは何時間経ったのか、彼女はいつの間にか灯りが乏しい鉄橋の上に来ていた。

    美琴「ハァ……ゼェ……」

    徐々に走るスピードを下げ、やがて鉄橋の真ん中辺りで立ち止まると、彼女は橋の下の風景を眺めた。

    美琴「ここでいっか……」

    1つ、それだけ呟いた。

    美琴「(どうせ、私には行く場所は無い……。きっと、学園都市を出たって、世界中の人が私を憎んでるはず……)」

    自分を嘲笑するように美琴は笑みを浮かべる。

    美琴「(……始めから……私みたいな人間が……幸せになろうとすることが……間違ってたんだ……)」

    頭上を仰ぎ見る。そこには、暗くて、不気味な空が広がっているだけだった。




    美琴「さよなら、学園都市」




    262 = 250 :

    数秒後、彼女がいたのは川の中だった。
    いつ飛び込んだのか、それすら理解する間も無く、彼女は一瞬で鉄橋の上から川の中に飛び降りていた。

    美琴「(苦しい……)」

    濁った川の水が、美琴の目から、鼻から、口から、一気に体内へ流れ込んでくる。やがてそれは彼女の息を圧していき、端正で綺麗なその顔に苦痛の皺を刻ませた。

    美琴「(苦しい……苦しいよ……)」

    だが、もう彼女は抵抗しようとしなかった。抵抗する気力すら残っていなかった。
    ただ、濁った空間の中、頭の中をこの2日間の光景が逆再生されるように蘇っていった。

    美琴「(これで……いい……これで……誰も……余計な憎しみを……抱かずに済む……)」

    が、彼女のそんな健気な想いは最後に頭の中に浮かんだ2人の人物によって無情にも掻き消されることになった。



       ―――美琴―――



       ―――美琴ちゃん!―――



    美琴「(お父さん! お母さん!)」

    父と母の笑顔が脳内を過ぎった。

    263 = 250 :





    ザバアアッ!!!!!!




    川の中央から水しぶきが上がった。

    美琴「ゲホッ! ガハッ!」

    中から出てきたのは、美琴だった。

    美琴「ゲホッゲホッ!! ………ハァ…ハァ……」

    口から水を吐き、彼女は息を整えると川岸を眺めた。ここから川岸まで、大分ある。

    美琴「……ハァ……ハッ……」

    川の水を掻き分け、美琴は川岸に向かってゆっくりと泳ぎ始めた。

    美琴「ハァ……ハァ…ゼェ」

    ようやく川岸に辿り着くと、美琴は四つん這いになりながら息を切らした。
    水を含んだパジャマが疲労した身体を冷やし、体温を奪っていく。

    美琴「…………………」

    顔から滴り落ちた水滴が地面に小さな水溜りを作っていくのを美琴は無言で見つめていた。

    「おい、大丈夫か!」

    「しっかりしろ!」

    「女の子が川から出てきたぞ!」

    美琴「!!!!????」

    唐突に、頭の上に3つの声が聞こえた。
    そちらに顔を向けると、高校生くらいの少年が3人走ってくるのが見えた。

    264 = 250 :

    美琴「あ……う……」

    彼らを視界に捉えた美琴は立ち上がろうとするが、泳ぎ疲れたせいで上手く身体が動かない。
    そうこうしているうちに、少年たちは美琴の下まで駆け寄ってきた。

    「おい、何があったんだよ?」

    「しっかりしろよ!」

    咄嗟に顔を伏せる美琴。

    「何であんな所にいたんだ!?」

    心配した少年たちが口々に叫ぶ。

    美琴「わた……わたしは……大丈夫だから……」

    「いやいやどう見たって大丈夫じゃねぇだろ!」

    美琴「お、お願いだから……放っておいて!」

    少年たちは顔を見合わせる。

    「どうするこの子?」

    「いや、放っておけるわけないだろ」

    「なぁ君、顔上げなよ。それとも顔に怪我してんの?」

    と、そこでいつまで経っても顔を上げようとしない美琴を不審に思った1人が美琴に近付いた。
    少年が接近した気配を察し、美琴は思わず、と言うように顔を上げてしまった。

    「!」

    美琴「!?」

    少年と顔が合う。後ろに立っていた2人の少年も美琴の顔を見た。

    美琴「あ……………」

    沈黙が流れる。

    美琴「…………………」

    「…………………」

    「…………………」

    「…………………」

    265 = 250 :





    「こいつ、御坂美琴だ!!!!!!」




    美琴「!!!!!!!!」

    瞬間、それまで心配の色を浮かべていた表情が嘘だったかのように、少年たちの顔が豹変した。

    「ホントだ……っ!! この野郎、俺たちを騙してやがったのか!!!」

    美琴「ち、違う!! 私はただ!!」

    「うるせぇ!!!」

    ドカッ!!!

    美琴「きゃっ!!」

    1人の少年の蹴りが美琴の腹に突き刺さった。

    「やっちまえ!!!」

    「おう!!」

    「こいつは今弱ってる!! 叩くなら今の内だ!!!」


    ドカッ!!! ガッ!!! ゴッ!!! ズガッ!!!


    少年たちの容赦ない蹴りが美琴の身体を貫く。
    それでも、美琴は能力を使うだけの体力が残っていなかったのか、そもそも能力を使いたくなかったのか、抵抗する素振りは見せなかった。彼女は今、頭を庇い身体を丸めることしかしなかった。

    「やろう!!」

    「死ね!!」

    「人類の敵め!!」

    美琴「や…やめっ……やめてっ!! いたいっ……!! おねが……うっ! や、やめてぇっ!!」

    266 = 250 :

    「こいつ、抵抗しないぜ?」

    「へっへ、ならいい機会だ」

    「おう、ヤっちまおうぜ!!」

    美琴「!!!!!!!!」

    そう言ったと同時、1人の少年が美琴のパジャマの端を掴んだ。

    美琴「……っ」

    「あ!!」

    ビリィッ

    「待て!!」

    「逃げやがった!!」

    少年たちの一瞬の隙をついて、美琴は走り出していた。
    パジャマの左肩口の部分が破り取られたが、気にしている暇は無い。

    「御坂美琴がいるぞおおおおおおおおおお!!!!!!!」

    美琴「!!!???」

    後ろから大きな声が聞こえた。思わず振り返る美琴。
    どうやら少年たちが美琴の存在を周囲に知らせようとしているようだった。

    美琴「………っ」

    美琴は土手を駆け上る。

    美琴「!!!!!!」

    しかし、そこには憤怒のような形相を浮かべて美琴を睨む学生たちの姿がたくさんあった。
    みんな、今にも美琴に襲いかかろうとしている。

    美琴「や、やぁ!!」

    道を塞がれた美琴は土手をまた駆け下りた。

    「待てえええええええ!!!!!!」

    下りたと同時、先程の3人の少年たちが走ってくるのが見えた。

    美琴「こ、来ないで!!!」

    267 = 250 :

    美琴は全速力で走る。ただ、逃げるために。
    だが、彼女が走れば走るほど、逃げれば逃げるほど、騒動を聞きつけた追っ手が1人、また1人と増えていくのだった。

    美琴「ハァ……ハッ……ゼッ…ハァ…」

    夜の街を美琴は駆け抜ける。
    その時だった。


    ドオオオン!!!!


    美琴「か……はっ!!」

    大きな衝撃を背中に感じたと思った瞬間、美琴はその場に崩れ落ちていた。

    「やったぜ!! 当ててやった!!」

    振り返ると、追いかけてくる集団の1人が歓声を上げているのが目に入った。
    恐らく何らかの能力を美琴に向かって使ったのだろう。

    美琴「くっ!!」

    ダッ!

    「あっ!! 逃げてんじゃねえ!!」

    しかし、美琴は怯まず立ち上がり、再び逃げ始めた。

    「無駄よ!!」

    美琴「!!!!」

    そんな彼女の前に、1人の少女が現れた。何も無いところに突然姿を現したということは、恐らく少女は空間移動系の能力者なのだろう。

    「死になさい!!」

    美琴「………っ」

    一瞬、美琴は躊躇いの表情を見せたが、少女が手を伸ばしてくるのを見ると軽く電撃を放った。

    バチバチッ!!!

    「きゃっ!!」

    空間移動能力者の少女は電撃を受け、その場に倒れた。

    美琴「………………」

    268 = 250 :

    その隙をつき、美琴は路地裏に逃げ込む。
    これなら、追っ手は1人ずつしか追いかけてこれない。先頭の人間が無能力者か低能力者なら大した攻撃を直接背中から浴びる危険もなかった。

    美琴「!!!!!!!」

    だが、彼女の策は何の意味も成さなかった。
    少しスペースがある、路地裏の丁字路状になっている場所で、彼女は3方向から挟み撃ちにされてしまったのた。

    美琴「…………そんな……」

    壁を前にして、美琴は絶望を浮かべた表情で振り向き直った。
    正面には20人も近い学生たちが所狭しと集まっており、左を向けば奥の道から次々と学生が増えていっているのが見えた。右の道は僅かに道幅も広く、学生の数も少なかったが、そう簡単に突破出来るとも思えなかった。

    「おい!!!」

    美琴「!!」ビクッ

    1人の学生が声を上げた。
    それを皮切りに、学生たちが次々と美琴を蔑む、あるいは憎しみを込めた言葉を投げかけ始めた。

    「お前も終わりだな?」

    「そうだそうだ、ここで一巻の終わりだ」

    「ざまぁみろよ」

    素足は真っ黒で所々傷が見られ、肩口が破り取られた薄汚れたパジャマを着、自慢のシャンパンゴールドの髪も川の水によってビショビショになっていた美琴。そんな醜い姿格好になっていた彼女を見、ある者は愉快そうな顔をし、ある者は怒りを浮かべた顔をし、ある者は当然だと言いたいように、ある者は汚物を見下すような顔をしていた。

    美琴「…………っ」ゾクッ

    そんな彼らの鬼と化した表情を見て、美琴は本能的な恐怖を覚える。

    美琴「………ね、ねぇ待って! は、話し合おうよ! な、何かの誤解だよ!」

    たまらず、美琴は彼らに訴えかけていた。だが………

    「おい、あんなこと言ってるぜ?」

    「はぁ? 犯罪者が何言ってんの?」

    「お前に与えられた選択は死のみ!」

    「へぇー…人間とは思えない奴も、立派に命乞いだけはするんだー」

    暴徒と化した彼らに説得は無駄だった。

    269 = 250 :

    腕を胸に添え、美琴は涙目で壁に背中をつける。

    「なぁお前ら? こいつの判決は何がいいと思う?」

    「死刑に決まってるだろ」

    「当たり前だ。死ねよ」

    「目障りだし、鬱陶しいし、死ぬ以外に道は無いだろ」

    「そうだ、死ね!」

    「そうだそうだ!!」

    「死ね!!」

    「死ね!!」」

    「「死ーね!!」」」

    「「「死ーね!! 死ーね!!」」」」

    「「「「死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!!」」」」」

    「「「「「死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!!」」」」」」

    1人が唱えると、全員もそれに倣うように叫び始めた。
    狭い路地裏は、美琴に対する「死ね」コールの合唱で埋まっていった。

    「「「「「「死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!!」」」」」」」

    美琴「……………………」

    美琴は胸中に思う。これが、自分の結末だったのか、と。

    美琴「(……そうだよね……10031人もの妹を見殺しにした私に……幸せになる権利なんて無い……そして自分で死ぬことも出来なかった私に……自分の顛末を選ぶ権利も無い………)」

    「「「「「「死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!! 死ーね!!!」」」」」」」

    狂気に包まれた合唱を周囲180度から受け、美琴はもう完全に弱気になっていた。もう、能力を使うなどということすらしたくなかった。ただ今は、目前に迫った暴力・蹂躙・死をひたすら待つだけだった。

    270 :

    颯爽と駆けつけてその場から一緒に逃げ出す俺の出番はまだか

    271 = 250 :

    美琴「(………ごめんね、お父さん……お母さん………)」

    学生たちの合唱が止んだ。
    彼らは、ある者は能力発動の準備をし、ある者は手にした凶器を美琴に向けた。もう彼らを、止めることは誰にも出来なかった。

    美琴「(でも……やっぱり……こんな結末なんて嫌だよ………)」

    思わず、涙が零れ落ちた。

    美琴「(誰か……)」

    目を閉じても、涙は容赦なく流れ出た。

    美琴「(誰か………)」

    学生たちが一斉に美琴に向かって攻撃をしようとする。

    美琴「(誰か…………)」

    そんな状況を前に、最期に彼女は一言だけ、儚い願いを口にした。

    美琴「助けて…………」






    「御坂ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」






    美琴「!!!!!!??????」

    272 = 250 :

    突如、その場には似合わない大声が響いた。

    「な、何だ!?」

    「何今の?」

    「何か後ろから聞こえたような……」

    寸前で攻撃を止め、たった今聞こえた声に不審を覚えた学生たちが集団の後方を振り返った。

    美琴「???」

    美琴もそちらに注意を向けた。だが、集団が邪魔なため後ろの方で何が起こっているのかは分からなかった。

    「ぐはっ!!」

    「ぐおっ!!」

    「てめ……何し…ぐおっ!!」

    美琴「!!??」

    突然、集団の後方から、何かを殴る音と呻き声が次々と聞こえてきた。

    「な、何だよ? 後ろに誰かいるのか?」

    「まさかアンチスキル?」

    「いや、でも俺たちはただ御坂美琴を殺そうとしてただけで……」

    学生たちの動揺の声が上がる。そうこうしている間にも………

    ドカッ!!

    「ぎゃあ!!」

    バキッ!!

    「ぐえっ!!」

    ズガッ!!

    「ぐおっ!!」

    殴打音と呻き声は続く。そればかりか、集団の人数が後ろから徐々に減っている気がする。

    「……………っ」

    間違いない。誰かが、学生たちを軒並み倒してこちらに近付いてきている。

    273 = 250 :

    美琴「一体……何が……?」

    美琴がそこまで口に出した瞬間だった。



    「助けに来たぞ!!! 御坂あああ!!!!!!」



    再び、それでいて今度はさっきよりも大きく鮮明な声が聞こえた。

    美琴「ま……さか……」

    美琴は目を丸くする。
    今の声は………。

    「助けにき……ぐおっ!!」

    美琴「!?」

    声の主が呻き声を上げた。

    「い、痛てぇだろうが!!」

    だが、声の主は平気そうだった。

    「御坂!!!!」

    三度、名前を呼ばれた。

    美琴「!!!!」


    「助けに来たぞ!!!!!!」


    声の主は、明らかに美琴に向けてそう言った。

    美琴「あああ………」

    信じられない、と言うように美琴は大きく口を開ける。
    そうこうしている内に、学生たちの集団は半分にまで減っていた。

    「俺が来たからには……ぐおっ! ……くっ……お、俺が来たからには……もう安心だ!!!」

    声の主は、美琴に辿り着くためにたった1人で大勢の敵を相手に戦っている。

    274 = 250 :

    美琴「嘘よ………」

    ドカッ!!

    「ぐぎゃあ!!」

    美琴「何で………」

    バキッ!!

    「きゃっ!!」

    美琴「何であんたはいつも………」

    ズガッ!!

    「ぐおっ!!」

    美琴「たまには……自分の身を心配したら……どうなの?」

    殴られた学生たちがその場に崩れ落ち、集団はもう集団と呼べない状態にあった。
    そして、学生たちの数が減っていくたび、美琴と声の主の距離は近付くのであった。

    美琴「だからあんたは……不幸なのよ………」

    ドカァン!!!

    「ぐわああああああああ!!!!!」

    最後の1人も倒れ落ち、遂にその男は美琴の目の前に現れた。
    己を省みず。ただ美琴を助けるためだけに。





    美琴「バカぁ………」





    上条「助けに来たぜ、御坂」





    笑みを見せ、その少年――上条当麻は言った。

    275 = 250 :

    はい、今日はこれで終わりです。
    続きは今日か明日にでも。
    ではまた。

    276 = 252 :

    上条さんが無双かつかっこよすぎで俺の下着がグショグショだぞ。どうしてくれる

    277 :

    やべぇ…GJ過ぎる…
    上条さんかっこよ過ぎる…

    278 :

    乙だぜ
    上条無双に色んなところが勃っちゃいそう

    279 :

    乙なんだよ

    280 :

    信じてた。ただそれだけだ。

    281 = 257 :

    もうっ、遅すぎるのよバカッ/////

    282 :

    私男だけどこれは間違いなく惚れる

    283 :

    海原「にやり」

    284 :

    もう掘られてもいいよ

    285 :

    なんかもう[ピーーー]ことに違和感を覚えてないなこいつら。
    殺してもパクられないと思っていやがる

    286 = 244 :

    クソッ 前のコメでsage忘れてた すまない

    そして上条△

    287 :

    流石三下ァ、やってくれるぜェ

    288 :

    なにこの上条さんかっこいい

    289 :

    続き今日頼む!

    291 :

    上条さん強すぎwwwwwwww

    これが愛の力ってやつか・・・

    292 :

    上条おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
    来るのがおせえんだよばかやろう!!!(;ω;´)

    293 :

    良かった。

    本当に良かった……。

    294 = 244 :

    >>290
    何お前 謝っただけじゃん 挑発しないで

    >>275
    応援してます

    295 :

    > 上条△
    どゆいみ?

    297 :

    >>295

    ここにきてるやつで知らんとかもうリアルの世界にかえれ

    298 :

    >>294
    おまえが>>286でなにを言ったのか二つほど嫌悪される理由があるんだがな
    一つはたいしたことはないが

    299 :

    これは美琴濡れるww

    300 = 289 :

    変態な俺としてはもっと絶望して欲しかったな


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