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    元スレ上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - 銀時 + - インデックス + - ブラインド・エスケープ読んでみ + - ヤンデレ + - 上条「二人で一緒に逃げよう」 + - 上琴 + - 上琴二人で一緒に逃げよう + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    801 :

    きたきたー

    802 = 800 :

    サービスエリアに入ってから1時間近くが経った。
    上条と美琴の2人は、食べ終えたうどんの皿をテーブルの端に置いたまま、窓ガラス越しに見える外の景色を眺めていた。

    美琴「もう夜の3時近くだね」

    上条「ん? おお……」

    上条は手の上に顎を乗せながら、ボーッと外を見ている。

    美琴「………………」

    上条「………………」

    美琴「あ、雨……」

    上条「え?」

    気付くと、目の前のガラスにパラパラと水滴のようなものが次々と現れ始めた。店内にいた利用客たちがそれに気付きざわめき始める。

    美琴「バイク……濡れちゃわないかな?」

    上条「ああ、そっか。すまん、ちょっと見てくるわ」

    美琴「え?」

    上条「大丈夫だって」ポンポン

    美琴「ふみゅ…」

    立ち上がり、上条は美琴の頭を軽く叩く。叩かれ、片目で上条を見上げる美琴。

    上条「いい加減不安がるのはよせ。俺はお前を置いてどこにも行かねぇよ」

    美琴「うん………」

    そう言い、上条は笑顔を残すと店を出て行った。

    803 = 800 :

    上条「バイク、バイクっと……」

    雨はまだ小降りの状態だった。上条は頭に掛かる雨粒を大して気にすることなく、バイクの所まで近付いていった。

    上条「!!!!!!!!!!」

    が、彼の足が寸前で止まった。



    上条「アンチ……スキル………」



    数m先。上条と美琴が乗ってきたバイクの側に、2人の警備員らしき男が立っていた。彼らは、バイクを念入りに調べており、時々無線に報告を入れている。

    上条「(どうしてこんな所にアンチスキルが……。まさかバレたのか!!??)」

    が、辺りを見回してみても他に警備員の姿は見えない。と言うよりも、その2人の警備員はパトロール中という雰囲気であったのは確かだが、別段、何らかの重要捜査に加わっている様子はなかった。

    警備員「こちら……。……サービスエリアにて……盗難被害を受けた……発見……」

    僅かにだが、無線に報告する警備員の声が聞こえた。

    上条「(盗難被害……。まさかあのバイク、捨てられてたんじゃなくて、あそこに置いてあったのか……っ!?)」

    警備員「犯人は……店内にいると思われ……」

    と、そこで警備員と目が合った。

    上条「(まずい)」

    思わず上条は目を逸らし、回れ右をする。
    何となく背後からジロリと見られている視線を感じたが、彼はなるべく怪しまれないように早歩きで店内に戻っていった。

    805 = 800 :

    美琴「………………」

    上条「御坂!」ガッ

    美琴「えっ!?」ビクッ

    急に背後から上条が現れたせいか、美琴は肩を震わせた。

    上条「ここを出るぞ」

    美琴「え? ど、どうして?」

    上条の言葉に、美琴はキョトンとする。

    上条「外に警備員がいた。どうやら俺たちが乗ってきたバイク、盗難届け出されてたみたいだ。すぐに逃げないと奴らに見つかっちまう」

    美琴「そんな……でもここ高速道路だよ?」

    上条「いいから行くぞ」

    上条は美琴の手を引っ張り立ち上がる。そのまま彼らは、バイクがある方とは逆の出口に向かい店の外に出ていった。

    美琴「うわ……ちょっと雨脚が強くなってない?」

    上条「仕方がない。こっちだ」

    2人はなるべく電灯の光に当たらぬよう、暗くなった場所を歩く。
    ふと美琴が後ろを振り返ってみると、1人の警備員が店内に入っていくのが見えた。

    美琴「どこ行くのよ!?」

    サービスエリアから出てすぐ、彼らは高速道路の端に沿って走り始めた。次第に雨の勢いが強くなっていくのが分かる。

    上条「………………」

    しばらくすると、2人は大きなトンネルの入口に辿り着いた。

    806 = 790 :

    ちなみに>>1はこのスレで終わらせるつもりか?まあ収まりきらんと思うけど

    807 = 800 :

    美琴「うわ……服がビチョビチョ……もう……」

    文句を言いたげな美琴を尻目に、上条は地図を広げる。オレンジ色の電灯によって照らされた地図は少し見にくかったが、贅沢を言える状況ではなかった。

    上条「今はこの辺りか……。バイクのお陰でもう半分近くまで来れたな。後はここからどう動くかだが……」

    美琴「………バイクはもう使えないの?」

    上条「ああ」

    美琴「………また歩くの?」

    上条「仕方ないだろ?」

    美琴「………ねぇ」

    上条「ちょっと静かにしてろ」

    美琴「………………」

    頬を膨らませ、不服そうな顔をする美琴。だが、今は上条も必死だったのだ。

    上条「今はここだから………お! これはいいかもしれないな」

    美琴「?」

    上条「よし、行くぞ」

    美琴「あ」

    再び、美琴の手を引っ張り上条は歩き始める。

    美琴「どうするの?」

    上条「まずはこのトンネルを出る。どこかに非常口があるはずだ。そっから避難坑を伝って外に出る」

    美琴「その先に何かあるの?」

    上条「電車だよ」

    美琴「え?」

    上条「学園都市を縦断する電車がある。それに忍び込む」

    美琴「えええええ!?」

    事もなげに言い切った上条に、美琴は驚きの声を上げた。

    上条「いいから。行くぞ」

    808 = 800 :

    それから10分後――。

    上条「ハァ……ゼェ……ハァ」

    美琴「ま……待って……ちょっと休憩しようよ……」

    トンネルを休むことなく走っていた上条と美琴。彼らの息はかなり上がっていた。

    上条「休憩したいのは山々だが、いつまでもこのトンネル内にいたら通りかかった車に怪しまれて通報されかねない。だから………っと」

    美琴「?」

    上条「見つけたぞ御坂! 非常口だ」

    美琴「え……」

    確かに、上条が指差した先……5mほど向こうにそれらしきものがあった。

    上条「行こう!」

    美琴「あ、待って!」

    2人は急いでそこまで駆け寄る。そこには、『非常口』と書かれた鉄製の扉が1つ設置されていた。

    上条「『非常口』……ここだ。ここから避難坑に通じてるはず。後はそこを通って外に出れば、線路の近くだ」

    美琴「………………」ゴクリ

    上条「行こう」

    美琴「分かったわ」

    2人は顔を見合わせ頷く。

    809 = 800 :

    その頃――。

    黄泉川「深夜も既に4時前じゃん。こんな時間に運行している列車があると重宝するな、白井?」

    8両編成の深夜特急。その最後尾の車両で、黄泉川はそう言った。

    黒子「こんなことしてる場合じゃないですのに……」

    黄泉川の言葉を受けて愚痴る黒子。
    今、彼女たちがいるのはVIP専用のために作られた特別車両だった。内装としては、座席が向かい合うようにして設置され、窓ガラスには豪華なカーテンが掛かっている。今は、その車内を黒子と黄泉川が占用しており、他にいたのも立哨に立つ警備員4人だけだった。

    黄泉川「勢いだけで全てが解決するとも言えないじゃん?」

    拳で頬を支え、黄泉川は黒子にアドバイスする。

    黒子「御坂美琴は私がこの手で始末しますの。そうでなければ意味がありませんの……」ブツブツブツ

    再び呟き始める黒子。

    黄泉川「ふん……」

    もはや何を言っても無駄だと思ったのか、黄泉川は背後のカーテンを少し開け、外を窺った。

    810 = 790 :

    まさかwwwwww

    811 = 800 :

    美琴「はぁ!? 電車に乗る方法を考えてない!!??」

    深夜の林に、美琴の間の抜けた声が響き渡った。

    上条「おまっ……静かにしろよ」

    美琴「あ、ごめん……。いやでも何それ? どういう意味?」

    上条は困ったように頬を掻く。2人は今、暗く浅い、とある林の中にいた。
    トンネルで非常口を見つけた2人は、そこから避難坑を数十分歩き、何とか外にまで辿り着いていたのだ。そして、2人はそのまま目的の線路に向かうべく、今、林を横断していたのだが……ここで問題が浮上した。

    上条「いや……確かにここの深夜の路線は、1時間ぐらい置きに急行列車が通るのは知ってたんだけど……停まる駅が近くに無いんだよなぁ……ははは」

    美琴「いや、笑い事じゃないでしょ」

    2人の視線の先には、木や草が生い茂るその場の雰囲気には似合わない近代的な線路が1つ設置されているのが見える。彼らは5分前からそこで電車が来るのを待っていたのだが、今更になって上条が不安要素を口にし始めた。

    美琴「じゃあどうするの? ここを通り過ぎる列車を見てるだけなの?」

    上条「いやまあ……最悪、線路に沿って歩くっていう手もあるけど……」

    美琴「………………」ハァー

    呆れたように美琴は溜息を吐く。

    美琴「あのね……あんた、自分で南に向かう列車に乗る、って言っておいてこれはないんじゃないの? どうするのよ本当……」

    上条「…………むー」

    上条は腕組をし考え込む。
    と、その時だった。

    812 = 800 :




    プァァァァァァァァン!!!!!!



    どこからか汽笛のような音が聞こえ、直後、暗闇の向こうに人工的な強い光が瞬いた。
    間違いない。この線路を通り過ぎる予定の列車が現れたのだ。

    美琴「ちょ、ちょっと来ちゃったじゃない!!?? 次は1時間後なんでしょ!!?? ど、どうするの!!??」

    上条「あーもう……タイミングの悪い……」

    頭を掻き毟る上条。
    だが、そうこうしている間にも列車は徐々に近付いてきている。

    美琴「ね、ねぇ……」

    上条「そうだ!」

    美琴「え!?」

    顔を上げ美琴を見る上条。そして彼はとんでもないことを言い出した。




    上条「飛び移るぞ!!!!」




    美琴「は……あ!?」

    美琴は思わず間の抜けた声を上げていた。

    813 = 800 :

    ごめん少ないけど今日は終わりです。
    明日は多分来れると思う。
    ではこれで。

    814 = 790 :

    おまえはあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!

    815 :



    って走行中の電車に飛び移れたら上条さん人間じゃねえぞ

    817 :

    なん、だと…?

    乙なんだよ

    820 :

    美琴だけなら磁力使って飛び乗りは余裕
    上条さんがいたら…どうだろう

    822 :

    >>1 超乙かれさまでした
    生殺しかよ…orz

    823 = 796 :

    >>820
    右手を離しつつ背中に掴まればいいんでね?

    826 :

    列車に飛び乗るとかセガールかよkj

    827 :

    セガールだったら逃げる必要ないだろ

    828 :

    >>1です。
    こんばんはー。
    今日も今から投下していきます。

    829 :

    待ってたー

    830 = 828 :

    黄泉川「………………」

    黒子「………………」ブツブツブツ

    一方、とある深夜特急の最後尾車両。
    席に座る黄泉川は静かに腕組をして目を閉じ、向かいに座る黒子は相変わらず何事か呟いていた。車両の両端に2人ずつ立つ立哨の警備員は、任務中らしく微動だにしない。

    黒子「絶対に……黒子が……この手で……ぶち殺して……」ブツブツブツ…

    黄泉川「…………………」

    黒子の呟きがボソボソと聞こえていたとは言え、車内は比較的静かだった。

    831 = 828 :

    美琴「あんた正気!? 飛び移るですって!? 特急列車が時速何kmで走ってるか分かってるの!?」

    上条「だから今言った方法なら大丈夫だ」

    列車がすぐ側まで近付いているのに、議論を繰り広げる2人。

    上条「俺がお前に掴まって、一緒に列車に向かって飛ぶ。普通なら跳ね飛ばされるが、強力な磁力を発するお前なら可能だ。もちろん右手はお前の身体に触れないように気を付ける」

    美琴「でも……そんな……」

    上条「やるしかないんだ。ここで列車を素通りしても1時間の無駄なロスを作るだけだ。なんなら列車に乗っちまったほうが、より早く逃げれる可能性が大きくなるだろ」

    美琴は困惑の表情を浮かべ、上条の顔を、次いで向かいくる列車を見る。

    上条「御坂! 一刻の判断の遅れが大事に及ぶんだ!!」

    美琴「むううううう………あああもう!! 分かったわよ!! やるわよ!!! ったく、何であんたはいつも無茶なことばかり考えるのよ!!??」

    迷いに迷ったが、美琴は判断を下した。
    2人は後ろを振り返る。列車はすぐそこまで迫っていた。

    832 = 828 :

    静寂が支配する車内。

    黄泉川「………………」

    黒子「………………」ブツブツブツ…



    そして、轟音を響かせ遂にその姿を現す列車。

    上条「………………」

    美琴「…………ちゃんと掴まっててよね」

    上条「ああ、もちろんだ」ギュッ

    美琴「…………むう//////」

    上条「御坂」

    美琴「分かった。行くわよ……」

    上条「おう」

    美琴「1……」

    上条「…………」ゴクリ

    美琴「2………」

    上条「………………」

    美琴「3」
    美琴「今よ!!!!!!」

    833 = 828 :






    黄泉川「!!!!!!!!!!」





    深夜特急の最後尾車両。

    黄泉川「……………………」

    黄泉川は突如、目を見開いた。

    黄泉川「………」バッ

    何を発せず、そのまま彼女は立ち上がり向かいの席に座る黒子の元へ向かう。

    黒子「?」

    不思議そうな顔をする黒子をよそに、黄泉川は座席に片膝をつけカーテンを思いっきり開ける。

    警備員A「黄泉川隊長?」

    警備員B「どうなされましたか?」

    彼女の行動に疑問を浮かべた警備員たちが訊ねてくる。

    黄泉川「……………音が聞こえたじゃん」

    黄泉川は外を窺いながらそう答えた。

    黒子「音?」

    黄泉川「聞こえなかったか? 天井からじゃん。後、僅かにこっちの方で青い光が見えたような気がしたが………」

    黒子「私には何も聞こえませんでしたし、光とやらも見えませんでしたが……気のせいでは?」

    黄泉川「……………………」

    怪訝な顔をする黒子と警備員たち。黄泉川は黙ったまま窓の外を眺めていた。

    835 = 828 :

    上条「せ、成功したな……!」

    美琴「無茶し過ぎよ」

    まさか、自分たちの足元の板を一枚挟んだ先に黄泉川たちがいるとも露知らず、上条と美琴は突風吹き荒ぶ列車の天井部分にいた。
    彼らは、接近してきた列車に向かって一緒に飛び、美琴の磁力によって壁の一部分を中継地点にして、無事、列車の天井部分に着地したのだった。

    美琴「私の能力の微調整がちょっとでも狂ったらあんた、許容量以上の電撃を浴びて飛んでる間に気絶するか、または電気の力が足りなさ過ぎて列車に跳ね飛ばされてたわよ」

    上条「でも上手くいったからいいじゃねぇか。俺はお前なら出来る、って信じてたし」ポン

    上条は美琴の頭を軽く叩く。

    美琴「うううう……」

    美琴は何も言い返せなくなってしまった。

    上条「さて、いつまでもここにいたら危険だな。早く車内に入ろう。一般車両はここから2両先だ」

    美琴「………つーかあんた、やたらこの列車に詳しくない?」

    上条「ん? ああ、この辺りは以前、インデックスと遊びにきたことがあったからな。その時、ガイドブックで見たんだよ」

    美琴「ふーん………」

    何か言いたそうな顔をする美琴。もちろんそんな彼女の様子に上条が気付くはずもない。

    上条「ほら、まずは向こうの車両、次に2つ先の車両だ。早く飛び移るぞ」ガシッ

    美琴「ひゃぁ…ん」

    上条「おまっ////// へ、変な声出してんじゃねぇよ!!//////」

    美琴「あんたがいきなり私の身体掴むからでしょ!!!!//////」

    上条「しゃ、しゃーねーだろ!! またさっきの要領で着地してくれないと、俺落ちるかもしれねぇし!!」

    美琴「あーもう分かった分かってるわよ!! ほら行くわよ!!!」


    バッ!!!


    上条「ちょっ……いきなりかよ!!」

    上条の言など知ったことではないと言うように、美琴は彼の身体を掴んだまま前の車両の天井に向かって飛び、軽やかに着地した。

    836 = 828 :

    美琴「嫌なら自分で飛べば? 下手して落ちて車輪に巻き込まれてミンチになっても知らないけど」

    上条「ぐぬぬ」

    文句が言えない上条だった。

    美琴「ほら、急ぐわよ。ちゃっちゃとする!」

    上条「ま、待ってくれ」

    そして年下の女の子にリードされる上条だった。

    美琴「さ、向こうのが一般車両ね。もう1回飛ぶんでしょ?」

    上条「お、おお」ガシッ

    美琴「ひ…ゃあ」

    上条「だだだだだから変な声出してんじゃねぇよ!!!//////」

    美琴「わ、脇腹は弱いのよ!!////// ……って変なこと言わせてんじゃないわよバカ!!!!////////」バチバチッ

    上条「ちょっ! タンマタンマ!! この状況で電撃はやめて!!」

    美琴「もう次不意打ちで触ったら落とすわよ!!!!」

    上条「洒落になってないっすよ御坂さうわあああああああ!!!!!」


    バッ!!!


    上条の言葉が言い終わるより先に、再び美琴は彼の身体を掴みながら前方の車両に向かって飛び、着地する。

    上条「心の……準備ぐらい……させろよ……」ゼェハァ

    美琴「じゃ、ここに梯子ついてるし降りよっか」

    上条「って聞いてないし」

    やれやれ、と溜息を吐き、上条は美琴と同じく、車両と車両を繋ぐ連結部分を覗き込む。どうやらこの列車の連結部分は外に剥き出しになっているらしく、普通の電車よりかは車両と車両の間の幅が広かった。
    よく見てみると、確かにそこには下に降り立つための梯子が壁についていた。

    837 = 828 :

    警備員A「隊長!」

    黄泉川「おう、どうだったじゃん? 前の車両は」

    扉を開け、前の車両に行っていた1人の警備員が戻ってきた。

    警備員A「7両目も特に変わったことはありませんでした」

    黄泉川「そうか……」

    黒子「………………」

    先ほど、天井から不審な音を聞き、窓の外に青白い光を目撃したという黄泉川。黒子や他の警備員たちは何も聞いておらず何も見ていなかったが、長年の経験と勘から何かを察した黄泉川は、念のため前の車両の7両目に部下の1人を様子を見にいかせていたのだ。

    黒子「やはり気のせいでは?」

    黄泉川「うーむ……」

    警備員A「あ、そう言えば」

    黄泉川黒子「?」

    警備員A「起きていた客の中の1人が言っていたのですが……『天井をイタチかネズミでも走っているのか眠れない』と………」

    黄泉川「!!!!!!」

    それを聞き、黄泉川の顔が変わった。

    黒子「どうかしましたか先生?」

    黄泉川が立ち上がる。

    黄泉川「やはり私が感じ取った臭いは気のせいではなかったじゃん」

    黒子「は?」

    黄泉川「ネズミだよ」

    黒子「ネズミ?」

    黄泉川「車内を這い回ってるネズミを捕まえに行くじゃん」

    そう言って黄泉川は口元を歪めた。

    838 = 828 :

    ガラッと音を立て、6両目の後部扉が開いた。

    上条「………………」

    上条と美琴だった。2人は、たった今天井から梯子を伝って車両と車両の連結部分まで降りてきたのだ。

    上条「行こう」

    美琴「うん」

    上条は美琴の手を引いて車内を歩く。
    6両目の座席はどれもボックスシートで、全座席のうち半分ほどが埋まっていたが、起きていた客は数えるほどもいなかった。ただ、こんな時間帯に若い男女2人というのは少しばかり目立つのか、何人かの客は、上条と美琴が通り過ぎる度にジロリと怪しげな視線を寄越してきた。

    上条「ここでいいか」

    2人並んで座れる座席は車両の先頭にしかなかったので、上条と美琴はそこに座ることにした。

    上条「ほら、奥に座りな」

    上条は美琴を促す。頷くと、美琴は窓側の席に着いた。

    上条「よっこいしょ」

    席に着くやいなや、上条は溜息を吐く。

    上条「久しぶりにくつろげるな」

    美琴「………うん」

    上条「この列車に乗ってれば、すぐにでも目的地の南には着く」

    そう言いながら上条は肩をコキコキと鳴らす。

    美琴「………あのさ」

    と、不意に、美琴が何か言いたそうな顔で語りかけてきた。

    上条「ん? どうした?」

    美琴「その……ごめんね。私なんかに付き合わせちゃって……」

    どうやら何か謝ろうとしているようだった。

    上条「またかよ。何度も言ってるじゃねぇか。これは俺が自分で判断を下してやったことだって。嫌々でやってるわけじゃねぇ」

    839 = 828 :

    美琴「あ、違うの……そうじゃなくて。その……私を助けてくれたことは感謝してるし、あんたの厚意も真っ正面から受け取るつもり。でも……何ていうか……」

    上条「?」

    美琴「あんたは私が嫌じゃないのかな、って」

    上条「はあ?」

    顔を背け、美琴は申し訳なさそうにそう訊ねる。

    美琴「だって……ほら、私なんてあんたに助けてもらってる、ってのに……何か文句ばかりだし、ちょっとしたことで電撃浴びせちゃうし……怒ってばっかりだし……」

    上条「御坂?」

    美琴「だからさ……助けてる相手にそんな反応されるのは嫌なんじゃないかな……って。あんたもそう思わない? ……って言ってる側から『あんた』呼ばわりだし……はは、ごめんね……、」

    どうも彼女は自分の上条に対する態度について謝っているようだった。と言うのも、美琴は今、上条に助けてもらっている身にある。であるのに、彼に対してことあるごとに楯突いてしまう自分の態度はどうなのか。彼女はそれを聞いているのであった。

    上条「………………」

    美琴「どうせなら……もっと、可愛くて素直でおしとやかな女の子の方がいいよね……。私なんて、可愛くもないし素直じゃないし、おとしやかでもないし………」

    女の子としての性格の問題だろうか。上条はふと、そう思ったが、何にせよそうやって自分を貶めるようなことは美琴には言ってほしくなかった。

    上条「バーカ。そんなもん関係あるか」

    美琴「え?」

    美琴が顔を上げる。

    上条「俺に接する態度とか、女の子としてどうだとか、そんな問題じゃねーよ」

    美琴「………………」

    上条「俺はお前を助けたかったから助けただけ。何でそこに態度とか性格とか関係してくるんだよ」

    美琴「………じゃ、じゃあ私と一緒にいて嫌になったりしてない?」

    本当に心配するように美琴はそう訊ねてくる。

    上条「何で嫌になったりするんだよ。んなわけあるか」

    美琴「そ、そっか……(良かった……)」

    安心する美琴。
    しかし………

    840 = 828 :

    美琴「(でも……こいつは『助けたかったから助けた』って言うけど……今回はたまたま私だっただけ。きっとこいつのことだから……誰か私とは違う女の子が同じ目に遭っても、同じように助けてるはず………)」

    再び、美琴の顔が暗くなる。

    美琴「(そ、そうだよね……分け隔てなく誰でも助けるのがこいつの……良い所なんだから……。そ、そうよ……今回はたまたま私だっただけ……。そう、それだけ………)」

    美琴は俯き、無言になる。

    上条「と言うか、寧ろお前と2人きりになれて嬉しい、って言うか……」

    美琴「……………え?」

    咄嗟に美琴は上条の顔を見る。しかし彼は、「あー眠い」とか言いながら顔を背け向こう側の座席を眺めている。それが、今自分で言った言葉に対する恥ずかしさによるものだったのかどうかは分からなかったが、確かに美琴は今聞いた。上条の言葉を。「2人きりになれて嬉しい」という言葉を。

    美琴「……………………」

    無意識に言ったことなのか。何か意図があって言ったのか。上条の性格を考えると、前者の可能性が高かったが、もうそんなことはどうでもよかった。

    美琴「………あのね」

    上条「ん?」

    ボソリと呟く美琴。上条が振り返る。

    美琴「………当麻」

    上条「!」ドキッ

    上目遣いで美琴は上条を見つめてくる。彼女は一瞬、恥ずかしそうに目を逸らしたが再び上条に視線を据えた。

    美琴「…………私ね」

    上条「お、おお……」

    美琴「……………実はあんたのことが」





    「アンチスキルだって!!!!????」





    上条美琴「!!!!!!!!!!」

    841 :

    と、そんな時、後ろの座席の方からそんな声が聞こえてきた。

    「ああ、何でも後ろの車両にいるらしい」

    上条「何だと?」

    咄嗟に上条はシート越しに後ろを見る。

    「何でこの列車にアンチスキルが乗ってんだ?」

    「さあ? 何か知らないけど、今後ろの車両で1人1人乗客を調べているらしい」

    美琴「………アンチスキル?」

    上条「バカな……何でこんな普通の列車にアンチスキルなんか乗っているんだ!?」

    正面に振り向き直すと、上条は驚きの声を上げた。

    美琴「ど、どうするの?」

    上条「逃げるしかない」

    上条はすぐ右斜め前にあった連結部分に通じる扉を見つめる。そこから前部車両へ向かえば………。
    と、思うがそれでもアンチスキルから完全に逃れることにはならない。飛び降りようと思っても列車はスピードを減らすこともないし、駅に停まることもない。要するに列車から逃げ出す術が無いのだ。

    上条「考えても意味がないか。おい御坂」

    美琴「え?」

    上条「前の車両に行くぞ」

    が、その時だった。

    ガラララ……、と言う音と共に、車両の後ろに取り付けられた扉が開く音が聞こえた。





    黄泉川「アンチスキルじゃん!!! 夜分失礼するが、今から1人1人乗客を調べさせてもらうじゃん!!!!」





    上条美琴「!!!!!!!!」

    2人のよく知った顔、アンチスキルの黄泉川が、3人の警備員を引き連れてそこに立っていた。

    842 :

    また邪魔がああああああ

    843 = 841 :

    美琴「黄泉川先生!!??」

    上条「駄目だ!! 顔を隠せ!!」

    咄嗟に上条は美琴の頭を抑える。

    黄泉川「身分証明証と切符を見せてもらうじゃん。悪いが、両方持ってない者は後部車両で我々の事情聴取を受けてもらうじゃん」

    ドヨッと車内がざわつく。

    美琴「ど、どうしよう!?」

    上条「何でアンチスキルがこんな所に………」

    苦虫を噛み潰すような顔をする上条。彼は斜め前にある扉を見やる。

    上条「(いっそのこと御坂を連れて前部車両に逃げるか……? いや、だがそんなことしたら間違いなく気付かれる……。でもどっちしろ、ここにいたって………)」

    黄泉川「じゃあまずはそこの会社員風の人。身分証明証と切符を見せるじゃん」

    そうこうしている間に、黄泉川たちアンチスキルによる検分が始まった。

    上条「(クッソー……どうする? どうする?)」

    美琴「…………、」

    2人は今、絶体絶命の状況下に陥っていた。

    844 = 841 :

    というわけで今日は以上です。
    ではまた今日か明日にでも。

    845 :

    >>844
    …慣れたよ。寸止めには慣れたよ…グスン

    お疲れ様でした!
    毎回続き超気になりすぎてヤバいです

    846 :

    うわー気になる所で!1は焦らしが上手いなぁ
    とにかく乙なんだよ!!

    847 :


    正気ではないにせよ黄泉川に殺意が湧いた

    848 :



    上条さんなら生身で列車に飛び移りかねないと思ったがそんなことはなかったぜ

    849 :

    もう手っ取り早く黄泉川ヤっちゃおうぜ☆


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