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元スレ佐天「時を止める能力……」
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佐天「とりあえず、アックアさん……ヴェントを離してください」
佐天「まだヴェントには言い足りないことがあります。彼女の憎む科学なんて幻想と──」
アックア「──幻想か、それは佐天涙子、貴様の右手の事であろう?」
佐天「──な……?」
上条「ゴチャゴチャ言ってねぇでヴェントを離せ!!」
アックア「学園都市で昏睡している人々を助ける方法でも聞くつもりかね?」
アックア「それともここで我輩がヴェントを離したとして何になる、学園都市に身柄を引き渡したら間違いなく処刑だな」
上条&佐天「ッ!!」
アックア「どの道ヴェントはもう天罰術式を使えん。昏睡した人々もそのうち目を覚ますであろう」
佐天「待って!!そんな納得できな──」
アックア「一つだけ教えてやる、私は聖人だ。無闇に喧嘩を売ると寿命を縮めるぞ」
ダァン!!という地面を蹴る轟音と共にアックアの姿は一瞬で見えなくなった。
前後左右上下どこへ行ったのかも目で追う事は出来なかった。
分かるのは桁違いの速さという事だけだった。
上条「(クソッ……、行っちまった……)」
佐天「(あたしの右手が幻想──?どういう事……?)」
────────────────────────────
アックアはヴェントを抱えて学園都市を出た。
ヴェントの霊装が破壊されたことによって学園都市の人々は次第に目を覚ましていくだろう。
アックア「嫌な世の中だ」
ピピピと鳴る音源を探ると、アックアのポケットに入っていた携帯電話には見慣れた番号が羅列してあった。
憂鬱そうな表情を見せ、アックアは携帯電話の着信に応答する。
アックア「テッラか」
テッラ『えぇそうですよ、左方のテッラです。そちらのほうは終わりましたか?』
アックア「ヴェントがやられた。今回収して学園都市外周部の機動隊を下げさせた所である」
アックア「我々の被害が七割を超えたため上条当麻への追撃及び学園都市の攻略は一時中止させた」
テッラ『ご苦労様です』
アックア「叱責はなしか」
テッラ『あなたや、ましてあのヴェントに対して悪意を向けてどうするのです」
テッラ『まぁもっともやられたのなら霊装のほうも潰された可能性が高いですけど』
テッラ『して、今回上条当麻【のみ】の殺害を依頼してあったと思うのですが』
アックア「あぁ、そうだな分かっている。標的は二人に変更だ上条当麻と佐天涙子のな」
テッラ『にしても佐天、ですかー学園都市もかなり厄介なモノを用意したものですねー』
アックア「そっちの方は放っておいても良さそうであるがな」
テッラ『と、いうと?』
アックア「──佐天涙子の右手の能力は間も無く消滅するであろう、ということだ」
学園都市の未曾有の大混乱は幕を閉じた。
しかしそれは【神の右席】の始まりに過ぎなかった。
──突然世界中でローマ正教徒達による反科学デモが起き始める。
そこであたしは久々に力の無さに悔しさを覚えることになる。
ヴェントが攻めてきた次の日から、あたしは右手の能力を失っていた。
20日に復活してたとな!?結構前ですね。
確認遅くて申し訳ないです。
次回からテッラ編始まるんですけど、かなり急展開ですので注意してください(何を)
もうちょっとヴェント編長くする予定でしたがバッサリカットしちゃいました、ごめんねヴェントさん。
それではおやすみなさい。
確認遅くて申し訳ないです。
次回からテッラ編始まるんですけど、かなり急展開ですので注意してください(何を)
もうちょっとヴェント編長くする予定でしたがバッサリカットしちゃいました、ごめんねヴェントさん。
それではおやすみなさい。
──10月──
佐天「ふんふふーんー♪」
初春「随分とご機嫌ですね佐天さん」
佐天「ふっふっふー、そうご機嫌なのだよ初春くーん」
初春「はぁ、あまり聞きたくないんですけど何かあったんですか?」
佐天「分からないのかね初春君!!」
初春「??」
佐天「こないだの侵入者騒ぎでッ!!中間試験がなくなったのだぞ!!これが嬉しくなくて何なのだー!!」
初春「は、はぁ……、でも佐天さん」
佐天「んー?」
初春「中間試験が無くなったって事は、期末試験で全ての成績が決まるから寧ろ喜ばしいことではないと思うのですが」
佐天「へ?」
初春「単純に考えて中間試験分の範囲も含まれての期末試験ですから……」
佐天「…………。」
初春「今からちょくちょく勉強しとかないと不味いんじゃないですかね」
佐天「は、はは……」
佐天「初春さん……いや初春様……」
初春「まぁ佐天さんが入院してた分のノートくらいは見せてあげますから安心してください」
佐天「初春ぅ~やっぱ持つべきは友よね!!さすが今日のパンツはクマちゃんなだけあるね!!」
初春「さ、佐天さんっ///……もういいです!!ノート見せてあげないっ!」
佐天「えぇ~!!そんなー初春んー謝るからーごめんねごめんねー、あははー」
──学生寮──
佐天「……、はぁ」
溜息をつく
幸せが逃げてしまうから溜息なんかしちゃダメですよと当麻さんに言ったのを思い出す。
あぁあれはもう2ヶ月前だっけ──
佐天「はぁ……流石にこれは溜息が漏れちゃうよね……」ピト
彼女の右手には毎朝お世話になっている目覚まし時計。
その目覚まし時計は一定の間隔で時刻を刻んでいく正常な時計だ。
その正常な時計こそ異常だった。
──佐天涙子の右手は対象の大きさ、複雑さにもよるがこの程度の時計なら1分ほど時間を静止させることが出来る。
佐天「やっぱ出来ない……。あの日以来能力が使えない──」
ヴェントが学園都市に攻め込んできた次の日能力を使おうとしたところ、何も起きなかった。
時間を遅くさせるどころか、時を止める及び範囲指定の時止めも使うことが出来ない。
少し前に右手の事に気付く直前に能力の使用が制限されていたことがあったが
それは入院による体力の低下が直接的な原因だったと思う、それに
あの時は制限されていたとはいえ、少しは能力が使えたのだから。
佐天「──無能力者、か……」
佐天「こんなことを誰に相談したら良いんだろう?」
佐天「あたしが時を止める能力を持っていたことを知っている人自体が少ないし……」
佐天「当麻さん……はダメか、当てにならない。だとすると御坂さんしか居ないよね」ピピピ
佐天「あ、もしもし御坂さんですか?夜分遅くに申し訳ないんですが……少し相談があるんです」
御坂『あー気にしなくていいわよそんな事ーで、何かあったの?』
佐天「ちょっとあたしの能力についてなんですが……」
御坂『……、そうねぇ……今から会えないかしら?』
佐天「え、今からですか?」
御坂『まぁ明日でもいいんだけど、まだ完全下校時刻になってないしね』
佐天「分かりました、じゃあいつものファミレスでお願いします」
御坂『オッケー、じゃあね』
佐天「っと……ちょっと厚着していこうかな」
さーて、何着て行こうかなー
この前セブンスミストで初春と一緒に買ったノルディック柄のニットワンピにー
デニムのショートパンツとーうーん……。
あ!そうそうブラックのナウシカブーツ買ったんだった♪
トットットッと学生寮をオニューの服で景気良く佐天涙子だが
佐天「ふー、無理に明るくしても……なぁー」
佐天「あれだけ憧れてた超能力者から一気に無能力者、か……」
佐天「──ん?あぁ……」
佐天涙子が見上げた先には飛行船が有り、ソコには毎日のニュースが流れている。
そこには世界中で反科学デモを行っているローマ正教徒達が映されていた。
佐天「──科学的超能力開発機関である世界最大の宗教団体ローマ正教ねぇ……」
魔術の存在を知っている自分だからこそ、あのニュースが嘘を言っているのだと理解できるが
果たして無能力者で魔術について全く知らない自分が居たら……、あれを信じでしまうのだろう。
??「そう、そのローマ正教についてお話があるのです」
いつの間にそこに居たのだろうか
スーツを着て柔和な笑みを浮かべた自分より少し年齢が上の少年が佐天涙子の後ろに立っていた。
佐天「!! あなたは一体?」
佐天「ていうか何時からソコに」
??「まぁ自分のことは特に気にしていただかなくて結構です」
??「そうですね、しいて言うなら統括理事会の関係者とでも言っておきましょうか」
佐天「統括理事会の関係者があたしみたいな中学生に一体何の用ですか?」
??「そう警戒しないで頂きたいものですが、まぁこの状況じゃ警戒するなってほうが無理な話ですよね」
佐天「それで、一体何の用なんですか?」
??「そうですね、初めにお話したローマ正教に関することで統括理事会長から貴女に依頼があるようです」
佐天「依頼って……?」
??「いま世界中でローマ正教徒達によるデモ活動が行われていることはご存知ですよね?」
佐天「はぁ……まぁこれだけニュースでやっていれば」
??「そこで騒ぎの中心点であるフランスに飛んで欲しいんです」
佐天「は?フランス??あたしパスポートとか持ってな──」
??「極秘裏に行って頂く形になりますのでパスポートは不要です」
佐天「いやいやいやいやいや、あたしなんかがデモ活動を止めるなんて──」
??「今起きているデモ活動が、とある人物によって起こされているとしたら?」
佐天「へ?」
??「【神の右席】である【左方のテッラ】という人物が今回の突如起こった世界中のデモ活動の犯人です」
佐天「!!──神の……右席……」
??「はい、先日の学園都市へ侵入したヴェントの仲間でありローマ正教の秘密兵器です」
??「自分も噂程度にしか聞いたことがないので相手がどういった【魔術】を使うのかは分かりませんが」
佐天「魔術ってあなたは──」
??「自分についての素性はとにかく明かせないのでその質問にはお答えしかねます」
佐天「……、それであたしはフランスに飛んでどうすればいいの」
??「現地に科学サイドではなく魔術サイドの人たちを用意させてますので、そこでお聞きください」
??「他に何か質問はありますか?」
佐天「あっ、もう一つだけあります──」
佐天「あたしこれから御坂さんとファミレスで合う予定だったんで、御坂さんにお断りの連絡を代わりにして置いてください」
登場からずっと柔和な笑みを崩さなかった男が、御坂という単語を聞いただけでその笑みが崩れる。
ていうか焦っている。
??「みみ、御坂さんですか……、はは……わかりました……い、いや待てよ……」ブツブツ
ただこちらとしては御坂さんにファミレスでの件を断る旨を伝えてくれさえすれば構わないのだが。
ブツブツ言いながら焦った表情の男は笑顔になったと思ったら急に焦った表情を浮かべたりと急がしそうである。
佐天「あ、あの……それでフランスにはいつ行くんですか?明日とかなら御坂さんに断りの件必要ないんだけど」
??「あっ、そ、そうですね!!フランスには【今から】行ってもらう事になってます」
??「車も準備してあるのでご安心ください」
男が指差す方向には停車しているいかにも、な黒塗りなワゴン車がとめてあった。
そのワゴン車に向かって歩き出そうと思ったが──。
??「あ、少し待ってください、ちょっとこちらの不手際で数分ほど待っていただかないと困るんです」
佐天「ん?すぐには行けないんですか?」
??「え、えぇ……あなたから頼まれた任務を遂行しなければならないので」キリッ
佐天「は?」
??「では少々お待ちください、飛行機までの案内人はサラシを撒いた女の人がくるのでそれを待っていてください」
そういって男は少し離れたところで携帯電話を取り出して誰かにかけ始める。
会話はあまり聞こえないが、先ほどの男は電話先の相手にかなり丁寧に頼み込んでいるようだ。
ていうか聞こえてくる会話にショタとか小学生の男の子とデートとかあるんですけど。
──数分後──
??「こんばんは紹介されてるとは思うけど私が案内人よ、さぁ行きましょうか」
佐天「あ、はい……(本当にサラシ撒いてる女の人キター)」
??「ま、といっても車にのって貰って空港まで案内するだけだから別に私じゃなくても良かったのだけれどね」
佐天「は、はぁ……」
??「頼まれちゃったししょうがなくね。さ、車に乗りましょ」
そういって車内へと移動する。
佐天「あ、お姉さんが運転するんじゃないんですね」
??「そうね、別に私が運転しても良いんだけれど」
佐天「というか今からフランスに行ったとして到着は何時になるんですか?」
??「えぇっとちょっと待ってね……今資料を見るわ」ガサゴソ
??「あら……?お嬢ちゃん残念ね──」
佐天「へ?何が残念なんですか?」
??「フランス到着はおおよそ一時間後よ、時速7000Kmでる飛行機で出発ですって」
??「乗り心地は多分最悪でしょうから今から物を食べるのはよしといたほうがいいわね」クスクス
佐天「な、な……7000Km……」
佐天「ふ、不幸だ……」
──学園都市・第二十三学区──
??「さぁ着いたわ、あそこにあるのがアナタが今から乗る時速7000Kmに到達する飛行機よ」
??「まぁもっともあれを飛行機と呼ぶのかは疑問なんだけれど」
佐天「……ゴクリ」
??「まぁ頑張ってね、それとえーっと何々?ふーん」
佐天「何ですか……?」
??「あったあった、これか。アナタ飛行機に乗ったらコレを着用してね」
佐天「リュック??何ですかこれ?」
??「ん?パラシュートじゃない?使い方は知らなくても勝手に開くようになってるから心配しなくてもいいわよ」
佐天「パ、パラシュートォォォォ!?」
??「ま、諦めてさっさと飛行機に乗った乗った」
佐天「第二十三学区かぁ、大覇星祭を思い出すなぁ」
佐天「オリアナさんどうなったんだろ──それにしても……」
佐天「乗客はあたし一人……言われるがままにパラシュートまでつけて……」
佐天「時速7000Km……一体どんな」ガタン
佐天「うおっと……滑走路へと動き出した──ん?」
佐天「ちょっと待って……、あたしって今右手の能力ないんじゃ──」
滑走路へ入り加速し始めた機内で佐天涙子はそれ以上の言葉を紡ぐことは出来なかった。
──一時間後のフランス──
??「お、ホントに降ってきたのよ」
??「親方空から女の子がーってか?」
??「まぁ何にせよ早めに回収してC文書の調査に戻らないといけないのよな」
佐天「イヤァァァァァァァァァ怖いィィィィィィ」
??「へいオーラーイ、オーラーイ」
佐天「どいてくださぁぁぁぁぁぁぁい」ゲシッ
??「ぎゃぁぁぁぁぁ」
ドサァァァァ
佐天「いてて……、着地できた……ん?」
佐天「足元に居るこのクワガタみたいなおじさんは誰だろう」
??「おじさんじゃないのよ……、天草式の建宮斎字っていうのよ」
佐天「あ、もしかして現地の案内人って言う」
建宮「そうなのよ、これから佐天さんには我々天草式の調査に手伝ってもらうのよ」
佐天「は、はぁ分かりました、でまず何をすればいいんですか?」
建宮「まず……どいて欲しいのよ……」
書き溜め尽きるの早すぎワロタwwwwwwww
テッラ編に関しては展開を考えてあるのである程度は書くのは早そうですが。
時間遅延って多分1/10くらい?時間静止は1/100くらいですかね?単純に考えすぎてるんでかなり矛盾が(略)
それではおやすみなさい。
テッラ編に関しては展開を考えてあるのである程度は書くのは早そうですが。
時間遅延って多分1/10くらい?時間静止は1/100くらいですかね?単純に考えすぎてるんでかなり矛盾が(略)
それではおやすみなさい。
俺としては、ひがしかた(ぼかし表現)のメイド長の能力がしっくりくるな。
通常の時間遅延や停止、範囲指定の時間停止など限りなく近いと思うが。
まぁ、正式名称は言えないからあえてぼかしたのだ
通常の時間遅延や停止、範囲指定の時間停止など限りなく近いと思うが。
まぁ、正式名称は言えないからあえてぼかしたのだ
うん、その作品正式名称を言うと例のあの人達が嗅ぎ付けてくるからね
今や全然違うけど最初の>>1からして「世界」(ザ・ワールド)がいいと個人的には思う
能力名ですか、いやぁ何も考えてませんでした。
そのうち考えておきます。
以下数レスですが失礼します。
そのうち考えておきます。
以下数レスですが失礼します。
──────────────
佐天涙子が降ってきた場所では少々目立ちすぎるとの事なので
建宮に連れられ路地裏へと足を運ぶ。
建宮「さて、お嬢ちゃんが佐天涙子ちゃんなのよね?」
佐天「あ、はい」
建宮「わざわざフランスにまで来てもらった理由は分かるか?」
佐天「いえ、それが……なんとなく程度にしか……」
建宮「まぁそれは想定の範囲内なのよ、落ち込むことはない」
建宮「まず、世界各地で起こっている暴動は【C文書】という霊装による魔術によって引き起こされているのよ」
佐天「は、はぁ……」
建宮「その【C文書】って霊装を操ってる奴がここ、フランスのアビニョンにいるってことなのよ」
佐天「えっと……つまりその霊装を破壊するのが──」
建宮「そう、今回の目的でもある」
佐天「目的“でも”って事は他になにか?」
建宮「そのC文書を破壊するのには佐天さんの力を借りる訳だけれども」
建宮「その霊装を操ってる奴も懲らしめないといけないわけよ」
佐天「あっ、なるほど」
建宮「アビニョンに居るのは五和と俺の二人だけだから心もとないと思うが頼むのよ」
建宮「まぁ五和は他に仕事があるんでこっちに合流はできそうにないのよ」
佐天「わかりました、でもテッラの使う魔術とかって……そのC文書以外に何か分かるんですか?」
建宮「──なんだって?」
佐天「いえ、ですから【左方のテッラ】の使う魔術が知りたいなぁって」
建宮「テッラ?お嬢ちゃん一体何を言っているのよ」
佐天「あ、あの?今回の事件の首謀者であるテッラについてですけど……」
建宮「事件の首謀者……だと?お嬢ちゃん一体どこでそんな情報を?」
佐天「えっと、学園都市であたしをここまで誘導した男の人が言ってましたけど……」
建宮「──なるほど、お嬢ちゃん」
佐天「へ?何ですか?」
建宮「助かった、礼をいうのよ」
佐天「え?え?……良く分からないんですけど」
建宮「俺たちはこの世界各地で起こっている暴動はC文書という霊装によって起こされていると特定はしたのよ」
建宮「だが、そのC文書を操っている奴はまだ不明。テッラなんて──」
ぶわっ、という音と共に路地裏の壁が崩れる。
建宮を狙ったのか、路地裏の壁が何者かの攻撃によって崩れたようだ。
佐天「建宮さん!!」
建宮「大丈夫なのよ、心配ない」
??「うーんちゃちゃっと終わらせて次に向かいたいところなんですが」
建宮「誰なのよ、影からこそこそ狙うなんて。ローマ正教徒か?」
??「まぁ違いは有りませんがどうせなら先ほど貴方が仰った名前で呼んで欲しいものですがねー」
建宮「なに──?」
テッラ「どうも、今回の暴動の首謀者の神の右席、左方のテッラです」
建宮「──へぇ……、俺の行動を嗅ぎ付けて始末しに来たって訳か?」
テッラ「面白い冗談ですねー。貴方みたいな異教の猿を相手にするのは三下のすること。私の目的は一つですよ」
テッラ「そこの佐天涙子とかいう小賢しい小娘を殺害しに来ただけです」
佐天「!!」
建宮「させると思うか?」
テッラ「別に抵抗してもらって構わないのですが、いささか私も予定があるんですよ」
テッラ「この後ちょっとした暇潰しに出かけなければなりませんのでねー」
建宮「はっ、つまり俺たちは暇潰し以下の相手って事か?」
テッラ「貴方がそこの佐天涙子を庇うならお相手しますけどねー。しかしその娘に庇う価値などありませんよ?」
建宮「あ?何を──」
テッラ「そうでしょう?“何の力も持たない”佐天涙子さん?」
佐天「──ッ!!どうしてそれを!?」
テッラ「アックアに聞きましてねー、貴女の能力についてとその限界について」
佐天「限界ですって?」
テッラ「おやおや。何も知らないのですか?自身の能力がどのようなものなのか」
佐天「…………」
テッラ「元々ですねー貴女の右手に時を止める能力なんか目覚めるわけがないんですよ」
佐天「──は?」
テッラ「しかし厄介ですよねー、御使堕しというモノは」
佐天「御使堕し……?」
テッラ「そうですよ御使堕しの影響で貴女はその右手に“時を止める能力”が身についてしまった」
建宮「なんだって──?」
建宮「あの術によってそんな事が起こりえるなんてありえないのよ」
テッラ「まぁ貴方達に詳しく教える義理も必要もないんで──」
佐天「それで!!どうしたらあたしの能力は元に戻るんですか!!」
テッラ「教えるとでも思いますかー?思ったのなら相当なお馬鹿さんですねー」
建宮「チッ、嬢ちゃんは逃げろコイツは俺がやるのよ」
テッラ「ほぉ、楽しませてくれると嬉しいのですが」
建宮「ハッ言ってろォォォ!!」
どこに隠し持っていたのか建宮は波をうっている剣を取り出し
テッラに思い切り振り下ろす──
テッラ「優先する。──剣を下位に、空気を上位に」
建宮が振り下ろした剣はテッラに届くことなく空中で止まった。
まるで何かの壁に阻まれたように。
テッラ「まぁアニューゼ部隊を数十人で互角以上の戦いをしたとしても一人ではこの程度でしょうねー」
テッラ「しかしながら貴方達が何十人居ようと相手になりませんがね、この左方のテッラは」
佐天「建宮さん!!」
建宮「何してるのよ!!早く逃げろ!!」
テッラ「逃げても構いませんよ。できるものならばですけどねー」
テッラ「さてと、そろそろ死にますか?佐天涙子──」
PiPiPi
テッラ「む?……、はぁ……命拾いしましたね佐天涙子」
建宮「なに!?」
テッラ「思いのほか上条当麻がC文書のパイプラインの存在に気がつきましてねー」
テッラ「そちらのほうが厄介なので今回は見逃してあげますよ」
佐天「──ッ!!」
テッラ「幻想殺しと違って今の貴女は何の能力も持たぬただの小娘。いつでも殺せますしねー」
テッラ「では。またお会いしたときはよろしくお願いしますね」
言うが早いかテッラは足早に路地裏を去っていく。
しばらく剣を構えて警戒態勢をとっていた建宮だが、追撃がない事を確認し剣をおろす
建宮「──行ったみたいだな……」
佐天「そ、そのようですけど……」
建宮「で、アイツが言ってた能力が使えないってのは本当か?」
佐天「…………」
建宮「黙ってちゃ分からないのよ」
佐天「す、すいません!!…………」
建宮「いつから使えなくなったのよ?」
佐天「こないだ学園都市を襲撃したヴェントを撤退させた日以来……」
建宮「まっ、無いなら無いでいいのよ!元々天草式のメンバーと上条当麻で解決する予定の問題だったわけだし」ニカッ
佐天「で、でも今テッラが──」
建宮「魔術に疎い上条当麻だけなら多少危険かもしれないのよ」
建宮「でも今は魔術に詳しいさっき言った天草式の五和を付き人とさせてるのよ」
佐天「で、でも!!相手は訳の分からない魔術を使って──」
建宮「確かに危険ではある、だが俺たち天草式のメンバーは無理はしないのよ」
建宮「撤退するのが最善ならば撤退するし、勝ちに拘る阿呆ではないのよ」
建宮「それにアイツの魔術はある程度は分かったのよ」
佐天「あの時間だけで何か分かったんですか?」
建宮「あぁ、恐らく奴の魔術は物の優先順位を変更する魔術なのよ」
建宮「そんな魔術が使えるとはにわかには信じ難いが──」
??「おや、そこに居るのはブラザーではないですか。こんな所で何をしているのですか?とミサカは尋ねます」
佐天「えっ!?妹さん??どうしてここに──」
ミサカ「はぁ、それはこちらのセリフなんですけど……いいでしょう説明してあげます」
ミサカ「元々妹達は世界各地に調整のために散らばってますし、フランスにだって学園都市に協力している機関はあるわけで」
ミサカ「まぁその機関はフランスのアングレームに在るんですが、とミサカは補足説明をします」
ミサカ「あ、因みに検体番号は一三〇七二号です、とミサカはさらに補足説明をします」
佐天「あ、ある程度は分かったけど……それでもどうしてそのアングレームの機関からアビニョンのここに?」
ミサカ「あぁ単純な事です────」
──もうすぐこちらのアビニョン旧市街へ学園都市が侵攻を始めるからですよ。
佐天「なっ、学園都市が!?それでどうして妹さんが──」
ミサカ「そりゃ戦力としてでしょうね、とミサカは簡潔に答えます」
佐天「そんな……!!そんなこと──」
ミサカ「ですが先程も言ったようにミサカは治療中の身ですので実戦投下はまず無いでしょうが」
建宮「二人で話してるところ何やら悪いんだが、佐天涙子ちゃんこの娘は誰なのよ?」
佐天「あたしの友達です」
建宮「ということは、味方なのよな?」
ミサカ「……、まぁクワガタ頭の味方といえるのかは疑問ですが……味方です」
建宮「それで学園都市様はこのアビニョンを侵攻するってどういうことなのよ」
ミサカ「私には詳しく作戦が聞かされていないのでなんとも言えません、とミサカは少々落胆の色を見せながら答えます」
ミサカ「ですが、ここの宗教団体が国際法に触れる特別破壊兵器を生産してるとの事で私が呼び出されたと聞きました」
建宮「なるほどね……」
佐天「建宮さん!!あたし達も急がないと──」
建宮「そうだな、動くなら早いほうがいいのよ。行こうかお嬢ちゃん」
ミサカ「そうですね行きましょう」
佐天「へ?」
ミサカ「ん?とミサカは自分の行動に何か不思議な点があったのかとお尋ねします」
佐天「いやいやいやいや、妹さんは学園都市の機関で身柄を──」
ミサカ「心配要りません、ある程度の自由は保障されていますし」
ミサカ「それにブラザーがここに居るという事は何やら事情があるのでしょう?」
佐天「ま、まぁ……そうなんですけど」
ミサカ「なら戦力は多いほうがいいと思いませんか?」
佐天「──で、でも!!あたしは妹さんに傷ついて欲しくないし……それに治療中なんじゃ!!」
建宮「戦力は多いほうがいい、それには同意なのよ」
佐天「建宮さん!!どうして!!」
建宮「おい、そこのお嬢ちゃんは超能力が使えるのよね?」
ミサカ「はい、レベル3程度の電力使いです」
ミサカ「あと私はそこのお嬢ちゃんではなくミサカ一三〇七二号です、とミサカはクワガタ頭に突っかかります」
建宮「オーケーオーケー、了解なのよ。なら付いてくるのよ」
佐天「どうして!!いくら能力者だからといって──」
建宮「人数は多いほうがいいのよ、左方のテッラの魔術には穴があるのよ」
佐天「あ、穴?それは一体──……?」
建宮「それについては場所を移してから話すのよ。ここはもう直ぐ戦場になる」
建宮「移動しよう、今後について色々と考えなければならないのよ」
建宮「それでいいな?ミサカちゃんと佐天ちゃん?」
佐天「は、はぁ……」
ミサカ「イエッサーです、クワガタ頭」
──隠れ家的な喫茶店──
ミサカ「ほお……何やら物々しい雰囲気の喫茶店ですね、とミサカは辺りを見て言います」
建宮「まぁここは暴動に巻き込まれた人たちの治療所も兼ねているのよ」
建宮「多少アレな雰囲気は我慢して欲しいのよ」
佐天「……、それでテッラの魔術の穴って一体何なんですか?」
建宮「恐らくアイツの魔術は【光の処刑】だ、物の優先順位を選択できる魔術なのよ」
佐天「それはさっき分かりましたけど──」
建宮「そこで、だ。アイツは複数の物を選択できるのかって疑問なのよ」
佐天「あ……」
建宮「答えは恐らく出来ない。アイツには物量作戦が有効だろうのよ」
ミサカ「あ、あの魔術とか何言ってるんですか?頭沸いてるのですか?と、ミサカはクワガタ頭に冷めた目線を投げかけます」
建宮「──、そこでこのお嬢ちゃんなのよ。電力使いということなら攻撃パターンも複数あるだろうしな」
ミサカ「お嬢ちゃんじゃ──」
建宮「ははっ、すまんなミサカちゃん。つまりミサカちゃんと俺でテッラを追い詰める」
佐天「で、でもテッラは今何処に──」
建宮「恐らく教皇庁宮殿だろう。あそこにC文書があることは分かってるのよ」
建宮「今は暴動の所為で教皇庁宮殿に近づくのは難しいが、学園都市が侵攻を開始した混乱に乗じて行くのよ」
佐天「な、なるほど……そ、それであたしは何をすれば──」
建宮「能力が使えないってのなら戦場に連れて行ったら死ぬだけなのよ。だからここで待ってて欲しいのよ」
佐天「──そ、そんな!!あたしはテッラにまだ聞きたいことがっ……」
建宮「厳しいことを言うかもしれないが、お嬢ちゃんがテッラと戦うとなったら何ができるのよ?」
佐天「ッ!!それは……」
建宮「そういうことなのよ……フランスまで来てもらって何も出来ないのはこっちとしても心苦しいのよ」
建宮「けどわかって欲しいのよ、テッラから聞きたいことは身柄を拘束してからでも遅くは無いのよ」
ミサカ「少々良いでしょうか?とミサカはクワガタ頭に問いかけます」
建宮「何なのよ?」
ミサカ「学園都市の侵攻の混乱に乗じるなら急がないと行けませんね」
建宮「──ッ!?まさかもう直ぐ始まるってか!?」
ミサカ「はい、まもなくというか後8秒後ですけど」
言うが早いか、遠くのほうで銃声が聞こえ始めた。
暴徒達による銃声でないと確信できるのは
暴徒達が銃を所持してはいないという情報があるからだ。
建宮「クッ!!始まったのか、早いのよ……」
建宮「行くのよミサカちゃん!!作戦は向かいながら話すのよ!!」
ミサカ「最終確認ですブラザー、とミサカはブラザーへ向かって質問を投げかけます」
佐天「ッ!何ですか?妹さん」
ミサカ「このクワガタ頭のことは信用してもいいんでしょうか?」
佐天「大丈夫……あたしが保障する……」
ミサカ「了解しました。ブラザーはそこで待っていてください、すぐに暴動を止めてきますから」ダッ
喫茶店から勢い良く出て行く建宮と妹達のミサカ一三〇七二号の二人。
彼らはこの後教皇庁宮殿へ向かい、テッラと対決するのだろう。
あたしは…………。
何の能力を持たないあたしは唯の中学生。
能力を持つ前の中学生活はどうだったんだっけ──……。
毎日の暮らしの中では他の中学生と変わらない。
授業で寝ていれば怒られて、悪戯をすれば叱られて、良い事をすれば褒められる。
学校へ行き勉強したり、友達と一緒にショッピングしたり、ゲームセンターで遊んだりする、そんな中学生。
一日は早く、夜の眠りは平和で暖かい。
時を止める能力も、右手の事もまだ知らなかったから──。
今も友達の初春とどこかで遊んでいたのだろうか。
でも知ってしまった。右手の能力も。
今世界で起こっている暴動がテッラによって起こされていることも!!
──いいのか?こんな所で無力を嘆いていて!!
佐天「──そんなのっ!!わかん、ないよ!!」グスッ
佐天「行ってもあたしには何も出来ないんだから……」
佐天「お願い!!お願いだから──今だけでもいいから!!」
佐天涙子はテーブルにおいてあったコップの中の水を右手へと垂らす。
佐天「お願いします……神様どうか……あたしに力を──」
泣きながらお願いしても……、
右手へ垂らした水はそのまま右手をつたって床に落ちるばかり。
それを見て更に涙が出てくるばかり。
右手に能力は──ない。
佐天「うぅ……どうしてっ!!どうして……」
佐天「どうして……」
涙する日本人を見て喫茶店の人はどう思っているのだろうか。
暴動が怖くて泣いている中学生にしか見られていないのだろうな、と心のどこかでそう思う。
しかし泣いている小娘のあたしに流暢な日本語で話しかけてくる男が居た。
??「どうして泣いてるんだい?お嬢ちゃん……怖いのか?」
あまりに流暢な日本語だったため吃驚して話しかけてきた男をちらりと見る。
どうやら日本人のようだ、パッっと見た感じはワイルドという言葉がぴったりな風貌の男だった。
佐天「グスッ……おじさんは一体……」
??「まぁ俺は旅するコンサルタントだそんな気にすることは無い」
??「ただ俺は世界に足りないものを示すだけだ」
??「そんなわけでふと立ち寄った喫茶店で泣いてる日本人中学生が居たら話しかけるしかないだろう」
??「それで、どうして泣いていたんだ?」
??「よけりゃ俺に教えちゃくれないか」
佐天涙子は走っていた。
先ほどの喫茶店を飛び出し、一つの目的の為に。
さっきの男に諭された訳ではないだろうが、きっかけには、決意には、決断するきっかけにはなった。
──力なんか関係ない。したいことを決断することが大事なんだよ、お嬢ちゃん今君はどうしたいんだ?
息を切らしながらも教皇庁宮殿へ向かう佐天涙子の手には金属バットが握られている。
佐天「はっはっ、うー、真っ直ぐ教皇庁宮殿へ向かおうにもーぐうー」
無理も無い、今のアビニョンは学園都市の駆動鎧が暴徒達を抑えるためにそこら中にいるのだ。
彼らの目に留まれば佐天涙子も暴徒達の例に違わず銃で撃たれて気絶させられるだろう。
それに混乱している暴徒達にも気をつけないといけなかった。
日本人であるというだけで、彼らは襲い掛かってくるのだから。
佐天「何とか──何とか路地裏を使ったりで向かってるけど!!」
佐天「くそぅ……距離的にはそうでもないのに……!!」
佐天涙子の見つめる先には教皇庁宮殿がある──。
それはゴッ!!という轟音と共に爆発した。
──────────────────────────────
ゴッ!!という音と共に教皇庁宮殿が爆発したようだ。
こちらにまで衝撃が伝わってくる。
建宮「あれは!?そうか学園都市の攻撃か!!」
ミサカ「話には聞いたことがありますが、恐らくアレは大陸切断用ブレードでしょうね」
建宮「そうか……。もう一度作戦を言うのよ!!」
建宮「俺が前衛として剣を使ってさっき教えた特徴のテッラと言う男に切りかかるのよ」
建宮「それにミサカは俺の剣に電気を帯びさせて欲しい!!」
建宮「時には直接電撃や電撃の槍もしくは周りの建物を壊して牽制してもらってもいいのよ!!」
ミサカ「何回も確認するような作戦ではありません。一度で十分です、とミサカは自身の記憶能力の高さをアピールします」
建宮「そりゃ、いい。ははは……来たぞアイツがテッラだ」
テッラ「チッ、C文書をクソ猿に壊された後にまたクソ猿ですか面倒ですねー」
建宮「おいおい、随分とボロボロじゃないのよ、どうしたのよその顔の痣は」
建宮「上条当麻にやられた後か?なら一気に行かせて貰うのよ!!」
テッラ「ドイツもコイツも舐めてくれますね!!異教のクソ猿共がぁぁぁぁ!!」
ブワッとテッラから白い粉末の小麦粉が舞い、それはギロチンの形を成した。
そしてそのギロチンを容赦なく建宮へ横に薙ぐ。
だが建宮はコレをジャンプして避け、波をうっている剣をテッラに振り下ろす。
テッラ「無駄なんですよぉ!!」
テッラ「優先する。剣を下位に、人肌を上位に──」
余裕を持ってテッラは対応する。
剣はテッラに傷一つつけることが出来ずに止まる、が。
テッラ「ぐ、がぁぁぁぁ!!な、何を!?」パチパチ
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