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元スレ上条「恋人って具体的に何すんだ?」 五和「さ、さぁ...」
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今帰宅だと……。
あと4時間後には起きているわけだが。
関係ねぇよ!カァンケイねェェんだよォォォ!
投下します
あと4時間後には起きているわけだが。
関係ねぇよ!カァンケイねェェんだよォォォ!
投下します
―――――
「じゃあ二人とも、私は出かけてくるから、ちゃんと戸締りをしっかりして家を出るんだよ!」
「は、はい」
「『がすのもとせん?』って言うやつは閉め忘れちゃ駄目らしいんだからね!夜は遅くならないから心配しなくても大丈夫。
とうまたちこそ遅くまで遊んでちゃいけないんだよ!」
「はい気をつけます…」
「うん、じゃあいってくるね」
「い、いってらっしゃいませ…」
朝の九時。そうやって意気揚々とインデックスは出かけていった。
それを見送るまだパジャマ姿の上条はポカンと口を開けてただ頷くことしか出来ない。
朝起きるなり朝食の配膳を手伝い、洗濯物を五和と一緒に干し、あげくこんな保護者みたいな注意を上条に投げつけてくれた。
悠々と歩き、自信にみなぎるその背中は今までの小学生みたいな面をした手のかかる少女のものではない。
立派な一人の女の子の意志を持つ力強い姿だった。
「あいつは誰だ……。1ヵ月後にはどんな奴になってんだかな」
「上条さん、そろそろ上条さんも着替えてください。私たちも出かけましょう」
冷や汗を流しながらインデックスの背中を見つめていた上条に、部屋の中から五和が声をかけた。
「はいよ。あれ、五和何やってんの?」
ふと見ると、エプロン姿の五和が片付けの終わったはずのキッチンに立って鼻歌混じりでおにぎりを握っている。
傍らには家族向けらしい大きめの二段重ねの弁当箱が一つ置いてあった。
「見ての通り、お弁当を作ってるんですよ。せっかくいいお天気ですから、外で食べるのもいいかと思って。
外食はお金もかかっちゃいますし、栄養も偏りますから。上条さんおにぎり四つくらい食べられますよね?」
「あ? ああ、多分いけるけど」
こちらはこちらですっかり台所の実権を握られてしまった。
よく見ると、弁当箱の下段側にはいつの間に作ったのか、卵焼きやらから揚げやらブロッコリーやら色とりどりのおかずが
詰められている。
「五和いつの間にこんな…」
「こっちのから揚げとかぼちゃの煮物は昨日のお夕飯の残りですし、ハンバーグは一昨日上条さんのお弁当を作ったときに
纏めて冷凍しておいたんです。
他はさっき朝ごはんと一緒に作りました。あとはプチトマトとフルーツを入れて完成ですね」
凄すぎる。彼女に言わせればまとめて作って冷凍しておくのは基本的なことだそうだが
上条からすればそのあまりの家事レベルの高さに絶句するより他無い。
一昨日の買出しに出かけたときから、お弁当に入れるメニューまで考慮した上で食材を選んでいたのだろう。
その手際のよさに寒気すら覚える上条だった。
「五和はいつでも嫁に行けるな」
「言うと思いました……。ずるいです上条さん」
「何が?」
「こっちの話ですっ! ほらほら、着替えてください」
ちょっとだけ拗ねたようにそう言って、五和は上条を浴室に押し込んだ。
やれやれと着替え始める上条。
本日は休日なので当然私服だ。
やや細めのパンツにTシャツを着て、ワックスで軽く髪を整える。
鏡を見ながら、これはもしかしてデートなのかと上条は一人呟いた。
昨日に比べれば緊張するということは無いが、それでも女の子と二人で休日にお弁当を持って出かけることには
どうしても期待をしてしまう。
インデックスも彼女なりに休日を満喫していることだし、上条は自分たちも思い切り楽しもうと鏡に向って頷いた。
―――――
「はぁ、私はなんでこんなとこにいるのかしら」
長い髪を後ろで二つくくりにした女子高生、結標淡希は盛大にため息をついた。
ここは第六学区内にあるボーリング場。
本日は休日ということもあり、様々な年齢の人々が軽快な音を響かせながらボーリングを楽しんでいる。
そのうちの一つレーン。椅子に脚を組んで座りながらぼんやりと辺りを見回す。
彼女は居候先である月詠小萌に半ば無理矢理引き連れられてここに来ていた。
「ボーリングて……何年ぶりよ」
そもそも何故彼女がこんなところにいるのか。
昨晩小萌の晩酌にジュースで付き合わされ、明け方になって開放されようやく眠りにつけたと思ったら
その3時間後には叩き起こされて車に放り込まれていたため理由は未だによく分からないのが現状だ。
服装はいつもの超絶ミニ丈のスカートとピンクの布を胸元に巻いた、肌が8割見えているような格好ではなく、
車の後部座席にいつの間にか小萌が用意したカーキ色のパンツに白いキャミソールと紺色のジャケットを引っ掛けたカジュアルな
スタイルで、大きな胸の谷間が惜しげもなく披露されているものの、いつものような扇情的な様相はそこには無い。
小萌曰く「ボーリングでいつもの結標ちゃんの格好だとパンツが丸見えになっちゃってとってもはしたないのですー!」
とのことだが、結標本人にしてみれば別に下着が見えようが見えまいがどうでもいい。
それで相手が勝手に欲情したからといって自分の人生に一片たりとも関係が無いことだし、
仮に興奮して遅いかかってこようものなら壁の一部として前衛芸術に変えてやればいいだけのことだ。
口に出すとまた長い時間説教を食らいそうだし、お洒落をすること自体は自分も女の子と端くれとして嫌いなわけではないので
何も言わずにおいたが。
「あう、ぼーりんぐ?って難しいんだよ…」
「まあまあシスターちゃん。初めては誰でも上手くいかないものなのです」
結標はゴロゴロとガーター一直線にボールを転がした白い銀髪シスターのうなだれる姿を眺めて、もう一度ため息をつく。
「ほらほら、次は結標ちゃんの番なのですよ!」
第二次性徴期前の幼女のような甘ったるい声で太陽のような笑顔を向けてくるピンク色の髪の少女。
この中でダントツに年下に見える彼女こそが、結標の居候先の家主である月詠小萌である。
こんなナリでも高校教師だと言うのだから、この街の最大の不思議は超能力者や虚数学区がどうのではなく
彼女の実年齢と身体年齢のギャップだろう。
「えー? マジで私もやるの?」
「もう名前を登録してしまっているので今さらゴチャゴチャ言いっこナシです。
とっとと投げやがれなのですぅ」
屈託なく笑顔を向けてくる小萌の後ろでは、結標と同年代くらいの姫神秋沙というぼんやりとした目つきの黒髪和風美少女と、
先ほどガーターにボールを送り込んだ銀髪の、小萌の見た目と同世代に見えなくも無い童顔シスター、インデックス。
結標は面倒くさそうに顔をしかめると、レーンに向けて右手を伸ばした。
次の瞬間、ボーリング球が突如10本のピンの真正面に現れる。
ゴロゴロとレーンの傾斜でガーター方向へ転がっていくも、ピンの真正面に現れたので5本ほど倒すことができた。
「な、何が起こったのかな!?」
「よし。っていうか、ピンを持ち上げて叩き落したらストライクにも出来るわね」
ふふんと薄く笑う結標。
それ見て、小萌が悲鳴のような叫び声をあげる。
「あー! 結標ちゃんっ! ずるはよくないのですー!」
「何よ、学園都市じゃ野球だろうとサッカーだろうと能力使ってやってんでしょうが。
大覇星祭なんてその典型じゃないの。ボーリングで同じことして何が悪いっての?」
自身の能力である『座標移動(ムーブポイント)』を利用し、ボーリング球をピンの方まで転移してやったのだ。
脚を組んだままつまらなそうにそう言う結標に小萌は引き下がらない。
まるで心を開かない生徒に懸命に語りかける熱血教師のように。
それは例えでもなんでもなく、ほぼその言葉通りではあるのだが。
「そういう問題じゃないのですっ!
今はみんなで遊びに来ているのですから、そんな方法で勝って結標ちゃんは楽しいのですか?!」
「そりゃ勝ったら楽し……うっ」
キーキーと子供の声で叱ってくる小萌の言葉を、小指で片耳を塞いで聴いていた結標だったが、
チラリと彼女の顔を見るとうるうると涙目になっていた。
見た目通りの子供のようなその仕草に、結標のふっくらとした胸が罪悪感でちくちく痛む。
「こんな小さな子を泣かすなんて。なかなかの外道っぷり」
ぼんやりとした瞳のままそう告げてくる森ガール風の私服に身を包んだ姫神。
「姫神ちゃん! 先生を子供扱いしては駄目なのですー!
先生は立派な大人であって、泣いてなんかないのですから!」
「ほら。駄々をこねてしまった。これは責任をとって普通にプレイをしたほうがいいと思うけど」
「わ、わかったわよ……。ちゃんとやればいいんでしょやれば。ったく何でこの私がせっかくの休日に……」
「うー、それで納得されても先生はなんだか釈然としないのです……」
拗ねた幼女のようになっている小萌を放って立ち上がり、結標はボールを手に取り綺麗なフォームでレーンに放つ。
理想的なカーブを描いたそれは、左端に固まった五本のピンに吸い込まれるように叩き付けられ吹き飛ばした。
文句の付け所の無いスペア。
まあこんなものかと頷き、席に戻ろうと振り返ると、三人はポカンと口を開けたまま狐に化かされたような顔でこちらを見ている。
「なに? まだなんか文句あるの?」
ため息をついて面倒くさそうに首を傾げる結標。
最初に動いたのはインデックスだった。
「あわきすごいんだよ! ボールがギュイーンと曲がってたね!」
「まあ、スピンかけたからそりゃね……」
「どうやってやるのか教えてほしいかも!」
立ち上がり、キラキラと目を輝かせて駆け寄ってくる。
人から褒められることに慣れていない結標は、明後日の方向を見ながら「えっと……」と照れくさそうに頬をかいた。
「能力を使わない方が上手いってどういうこと」
「結標ちゃん実はボーリングすっごく得意だったんですか!? もしかしてさっきのはハンデだったのですか!?」
姫神は無表情だが小萌は驚きで目がぐるぐるなっている。
すごいすごいとまとわり付くインデックスを伴って、結標は席に腰掛けて照れを隠すようにペットボトルのお茶を口に含んだ。
「別に。昔ちょっと流行ってただけよ。そ、そんなことどうだっていいでしょ。次は小萌よ、さっさと投げなさいよ」
「ようし、先生も学生時代はお友達の間で一番上手だったんですからねー。負けないのですっ!」
むんっと愛らしく両手の拳を握って気合を入れた後、小萌はボールを構えてぺたぺたとレーン目掛けて走る。
子供用のめちゃくちゃ軽いボールを一生懸命に投げる姿は微笑ましく、周りのお客たちからも
小さな声援が聞こえてきていた。
しかし結果はなかなかに渋いものだった。
スピードは遅いがそこそこスピンがかかっているのか、まず一投目で7本を倒すと、次は難なくスペアを取ってしまった。
インデックスと姫神の口から感心したような声が漏れる。
「すごい! こもえも上手なんだよ!」
「うん。私たちも負けていられない」
「ふん、なかなかやるじゃない。年の功ってやつ?」
ちなみに1番目に投げた姫神は二投でピンを5本倒す程度の腕前だ。
まだ1フレーム目なので何とも言えないが、結標にとって目下のライバルは小萌となりそうだが。
とそこまで考えた結標はハッとなる。何を熱くなってるんだ。
こんなどこの馬の骨とも知れない年下の女達となんで楽しくボーリングなんてしなくちゃいけないんだかと息をついた。
「ふふん、お子様の結標ちゃんにはまだまだ負けないのですよー。
どうです? 私と結標ちゃん、買ったほうがみんなにジュースを奢るというのは!」
「教師が賭け事を学生に提案するんじゃないわよ!」
「賭け事じゃないのです。これは私と結標ちゃんのボーリングへの情熱を試す試験なのですよっ!」
「じょっ、情熱ですって?」
ぱっちりとした瞳の奥が燃えている小萌教諭。
どうやら先ほどの結標の行動が、彼女のプライドに火をつけてしまったらしい。
「そうなのです! それとも結標ちゃんは尻尾を巻いて逃げるのですか?
なら先生は優しいので負け犬ちゃんを慰めてあげるのですよー」
「上っ等じゃないっ! 能力なんか使わなくたって私こそがボーリングで最強だってことをここに証明してあげるわよっ!」
「受けてたつのです! 吠え面かかせてあげますからね!」
「そっちこそあとでビービー泣いてもしらないんだから!」
結標は小萌がニヤリと口元に笑みを浮かべたことに気付かない。
完全に口車に乗せられ、ボーリングを楽しむ一女子高生と化してしまっている。
「あいさ、これって私たちは二人のどっちが買ってもジュースが飲めるっていうことなのかな?」
「そうみたい。実に美味しいポジション。上手く説得すればアイスの自動販売機も可かも」
「今から何するか考えておくんだよ」
お茶を飲みながらその様子を眺める二人。
燃え滾るボーリングへの熱意には付き合いきれないと言いたげに、二人はまるで仲の良い姉妹のように
言い合いをする結標と小萌の姿をあくびをしながら眺め続けていた。
―――――
「上条さん、この辺でどうですか?」
「お、いい感じだな。じゃあシート敷くか」
上条は五和と共に近くの河川敷までやってきていた。
かつて御坂に勝負を申し込まれ、砂鉄の剣や電撃で殺されかけた苦い思い出のある場所だが、
別に人間を屠るための物騒な場所というわけではもちろんなく、休日には学生のグループや学園都市内ではやや珍しい家族連れなどが
バーベキューをしたりアウトドアスポーツを楽しんだりする広い河川敷だ。
昨日雨が降った後であるため少々地面は湿っているが、本日は快晴ということもありしばらくすれば完全に乾いてくれるだろう。
二人は適当に水気の少ない場所を選び、草の上に3メートル四方のビニールシートを敷いて荷物を置いた。
「それにしてもよかったのかこんなとこで?さすがに学園都市にはもうちょっと面白い場所だってあると思うけど」
色々と見て回りたいと五和は言っていたものの、彼女が指定してきたのはただ『ゆっくりとお弁当を食べられる場所』という条件だけだった。
金銭的余裕のあまりない上条としては、お金のかかるレジャー施設よりも助かることは助かるが、
五和を退屈させるのはしのび無い。心配げにそう尋ねると、五和は優しく微笑んで首肯した。
「私はデートではのんびりするほうが好きなんです。お日様が昇りきるころに出かけて、お日様が沈むまでお話をして、
暗くなったら帰る。そういうのが私の理想ですね」
珍しくデニムのスカートなどを穿いているのは、やはり男女二人ということで休日の学生のデートという具合に回りに溶け込むための
天草式のセンスなのだろうか。
短めの丈から伸びる引き締まりつつもムッチリとした白い太ももにはどうしても目がいってしまう。
上条は五和に悪いなとできるだけそちらを見ないようにしながら、ふと今の五和の発言を頭の中で反芻する。
「五和、今デートって…」
「はうっ! そ、それは言葉のアヤと言いますか、ドサクサ紛れに言ってやったと言いますか!
や、やややっぱり違いますよね! ししし失礼しましたっ!」
「い、いや、これデートってことでいいんだったら上条さん的にはかなり嬉しいのですが……」
「へ?」
五和の動揺に満ちた慌ただしい挙動がピタリと止まる。
靴を脱いでシートに上がり、腰掛けながら上条は突っ立ったまま身動きを取らない五和を見上げた。
真正面から見据えるのは恥ずかしいが、それが上条の正直な気持ちだった。
「じゃ、じゃあ……デートってことでも……いいですよ?」
五和は羽織っていた薄手のチェックのシャツの裾をキュッと掴んで恐る恐るそう言う。
「そか。じゃそれで頼む……」
「は、はい……」
ぎこちなく言葉を交わした二人。
自分たちよりもう少し川沿いにいる男女グループや、陸橋の下で犬と戯れる人の声が聴こえてくる。
そうした雑音も含めた、のどかな静寂が二人の間に広がっていった。
「五和も座れよ。弁当にはまだちょっと早いし、のんびりしようぜ」
未だに荷物を持って立ったままの五和を手招きすると、彼女はハッとなってレザーのショートブーツを脱ぎ
上条の隣に腰を下ろした。
対岸に見える風力発電のプロペラを眺めながら、五和がポツポツと話し始めた。
「学園都市もこうやって見ると『外』と大きく変わりはしないんですね。
厳密には建物の素材は全然違うんでしょうし、ここの草だって綺麗に管理されて刈り取られてますけど、
結局違うのってお掃除ロボットがうろうろしていて、研究所や学校の数が多いことぐらいなんですよね。
超能力者だって見た目はもちろんただの人間ですし、今から魔術と科学の戦いが始まるかもしれないなんて
ちょっと信じられないです」
ローマ正教と学園都市の関係は未だ険悪な状態を保ち、いつ大きな戦争が始まるともしれない状況にあった。
だがそれで自分たちの生活が何か変わったかというとそんなことはなく、こうしてのんびりと河原に座って過ごす程度の
余裕はまだあるのだ。
これからどうなるか分からないと言っても、やはりごく一般的な高校生を自称する上条からすれば実感はさほど湧いてこない。
天草式として戦いにかり出される可能性のある五和ですらそうなのだから、それは仕方の無いことだったのかもしれなかった。
「やめようぜ。ここで俺たちがそんなこと話したって、何も変わりゃしない。
せっかくの休みだ、気を張るのはいつだって出来るからさ、俺はもっと五和のことが知りたいな」
世界の全部を変える力なんて自分たちにあるわけもなくて、結局のところ目の前の問題を一つ一つ順番に解決していくしかないのだから。
さしあたって現状の問題となるのは『下方のヤミテタ』とやらの襲撃であるが、そもそも本人が来るのか来ないのかが不明だというのでは
行動の取りようもない。
ということで、上条は鬱々と考え込むのは精神衛生上よくないので、この機会に五和と仲良くなれたらいいなと考えていた。
「私のこと…ですか」
「ああ、五和って天草式の連中と普段から一緒に行動してるんだよな?
休みとか無いのか?」
「ええ、今は日本人街で共同生活みたいなものですから、毎日顔を合わせますね。
休みはお仕事が無いときはいつも休みという感じですし、普通に働いている人もいますから、
生活リズムが皆同じというわけではないですよ?」
「そうなのか。五和って普段何してるのかなってちょっと気になってたんだ」
普段は市井に溶け込んでいる天草式の生活スタイルは、魔術的意味を持つ行動をごく自然に取り込みながら
一般人と同じような生活を送っているようだ。
一応建前上日本人街の管理を任されているとは言え、本職がシスターであるアニェーゼ達やギリギリ神父であるステイルとは違い、
50人もの無職の集団が固まっていればどこから妙な噂が立つか分かったものではない。
謎に包まれた天草式の連中はそう言った意味でも社会の中に溶け込んでいるらしかった。
「私ですか? 普通に遊びに行ったりもしますよ。同年代の子も何人かいるので、その子達と。
他にも年上ですけど、対馬さんとお茶したり、たまに女教皇様(プリエステス)も交えてイギリス清教の女子寮の方々と食事とかも」
「なんか楽しそうだな。そういや五和ってさ……」
「はい?」
上条は、五和に昨日からどうしても訊きたいことがあった。
いきなりこんなことを訊いて変に思われないかが不安ではあったが、いい加減確認しておかなければならない。
一呼吸置き、上条は意を決したように五和を真っ直ぐ見つめて口を開く。
「……付き合ってるやつとかいるのか?」
「っ……!」
五和のパッチリとした二重目蓋が驚いたように見開かれる。
そういう反応をされると聞いたこちらまで恥ずかしいわけだが、すぐに五和は「えーっと」と前置きして話し始めた。
「……いないです」
「へぇ、そうか」
彼氏がいるのに自分の家に泊まっているのは問題だろうから、予想通りの答えではあったものの何故か安心してしまう自分に気付く。
ほっと胸を撫で下ろした上条だったが、五和はまだチラチラとこちらを見ている。何か言いたいことがあるようだ。
「……だ、だからですね……私もちょっと寂しいかなぁ、なんて……」
「そ、それを言うなら俺も出会いが無いから寂しいというか虚しいというか……」
「そ、そうなんですかー。彼女……欲しいですか……?」
ぎこちない二人は妙な緊張感を漂わせながら会話を進める。
探り探り、おっかなびっくり、薄氷の上を歩くような受け答えだった。
五和が上目遣いにこちらを見つめて答えを待っている。
少し向こうで同世代くらいの若者の集団がバーベキューの準備をしながらギャーギャーと騒ぎ始めたのが鮮明に聴こえた。
上条は唾を飲み込み、その問いに小さく頷いた。
「ま、まあ上条さんも男の子なので……欲しくないと言えば嘘になるわけですよ」
「そうですか……じゃ、じゃあ……」
五和が膝の上で拳を握って何かを言いかけたそのときだった。
川沿いの若者の集団の方から、青白い閃光が迸った。
宙空に一筋の線を描くような軌道で、それは一直線に上条の顔面目掛けて奔る。
「上条さん……っ!」
「うぉっ!!」
五和が叫び終わるよりも早く、上条は咄嗟に右手の『幻想殺し』を翳してその閃光を打ち消す。
御坂の電撃よりも鋭いその一撃は、当たれば間違いなく上条の頭部を弾き飛ばしていたことだろう。
敵襲かと慌てて立ち上がりそちらを見ると、5人組の男女が驚いたような顔でこちらを見ていた。
五和も隣で海軍用船上槍(フリウリスピア)をいつの間にか構えている。
向こうでふわふわの栗色の髪の年上っぽい女性が「ヤベッ」と口にしたのが聴こえてきた。
ピリピリとした空気が場に流れる。
向こうから栗色の髪の女と、ベレー帽をかぶった金髪の外人の少女がこちらに駆け足で近づいてきた。
「来ますっ! 上条さんは下がってください!」
「そうはいかねえだろ! 相手は二人だ、俺もやる!」
まさかこんな真昼の河川敷で戦いを始めるつもりだろうか。
辺りを確認すると、小さな子供もまばらながら見受けられるし、何も知らない学生もそこそこいる。
なんとか戦いの場所を移さなければならないとあたりを見渡しながら構えをとると、
二人の女は険しい表情で上条の前に立った。
年上風の女性は女子大生くらいだろうか、神裂クラスの巨乳でとんでもなく美人だった。
上条好みの年上巨乳美人だが、目つきは少々悪く、こちらを何も言わずに見つめている。
もう一人の金髪の少女は自分たちと同年代くらい。小柄で細身の、白い肌の美少女だ。
貫禄から言えば前者が『下方のヤミテタ』か。
しかし上条の臨戦態勢に反して、女の口から出た言葉は予想を裏切るものだった。
「怪我、ないの……?」
「は?」
「いや、だから……アンタに今電子線ブチ込んじゃったでしょ?
正直ブチ殺しちゃったかと思ったんだけど、無事みたいね?」
怪訝そうな女の表情。
右手の『幻想殺し』がなかったら今頃死んでいたのは間違いないが、意外や悪びれた様子で近づいてきたので
敵ではないのかもしれない。
「違うでしょ麦野っ! ごめんなさい!
大丈夫ですか?! ほんとに怪我とかない?!」
麦野と呼ばれた女の手を取り、帽子を外してペコリと頭を下げる金髪の少女。
完全に呆気にとられる上条だった。
「俺を殺そうとしたんじゃ……」
「ふぇ、どうして? 結局、今のはうちの麦野がうっかり当たったら即死の電子線をぶっ放しちゃっただけだよ?」
きょとんとしてとんでもないことを言ってのける金髪。
俺はうっかりで頭部を失いかけたのかと背筋が凍る上条。
しかし日ごろ御坂にやられてることも似たようなものかと思えば怒りは別に湧いてこなかった。
「わ、悪かったね。えっと、どうしよ。何かお詫びをしたいけど」
「いいですよ別に。慣れてるし」
所在無さげにしている麦野を上条がなだめる。
ひやっとはさせられたが怪我は無かったので、これ以上彼女たちを攻めても仕方ないだろう。
「いやそういうわけにもねぇ……」
「うんうん。結局、ご飯でも奢らせてもらえたら……ハッ、麦野麦野……」
「何よ……ああ、悪い。私ら随分邪魔したみたいね」
「は? 何がです?」
呆れたように薄い微笑を浮かべた麦野に眉を顰める上条。
彼女らの視線を追うと、先ほどから一言も喋らなかった五和の方へと辿り着いた。
未だに海軍用船上槍を構え、二人に対して敵意をむき出しにするように鋭い視線を浴びせかけている。
殺意すら宿すギラギラとした視線を向けられてたじろがない二人も凄いが、こんな形相になっている五和はもっと凄い。
「五和、もういいよ。俺も無事だったわけだし」
「そ、そういう問題じゃありません……!あなたは殺されるところだったんですよ……!」
「まあそうだけどそれはある意味日常茶飯事というか……」
自分のことを心配してくれているんだなと上条は苦笑を浮かべて五和をなだめる。
「じゃあどうすりゃいい? 悪いのは確かに私らだし、謝るよ。
それでも気がすまないなら、慰謝料でも何でも払ってやるけど」
余裕の笑顔を浮かべて麦野。
その物腰は優雅でかつ隙が無い。だが上条は彼女に妙な違和感を感じていた。
まるでヴェントやアックア、果ては一方通行などの強敵達と初めて対峙したときのような底知れなさが見え隠れしている。
あの威力の電子線だ。もしかするとそこそこの能力者なのかもしれない。
「『私ら』じゃなくて『私』な訳よ麦野」
「っせぇな。アンタらがふざけるからでしょうが」
「お金で解決しようっていうんですか? 死にかけたこの人の気持ちはどうなるんですか!?」
「五和さーん? 上条さんはほんとに無傷なので大丈夫なのですよー?」
どうにも雲行きが怪しい。金髪の方はともかく、麦野という女のこめかみ付近がピクピクしているのを上条は見逃さなかった。
自分に非があることを認めてかなり下手に出てくれているようだが、恐らくこの貫禄と物言いからかなり高飛車でプライドの高い人物であることは容易に想像がつく。
「だからどうすりゃいいんだっつの!
テメェの男に能力ブチかまされそうになってくたばり損ねたのが気に食わねえのは分かってるよ!
けどその本人はもういいっつってんだろうがよ! それともテメェがキレてんのは大事なデェトを邪魔されたからかにゃーん?
そんなに二人きりがいいなら家に引きこもって×××でも咥えてろよクソ×××がぁッ!」
「なっ!お、男って……!それになんて下品な人なんですか……!」
180度表情を変えた美女の罵声にうろたえる五和。
ブチキレたらしい麦野は顔を歪めて五和を挑発するような言葉を口汚く浴びせかけている。
五和は顔を真っ赤にさせて唇をぷるぷると震わせていた。
「こら麦野! なんてこと言うの! ほ、ほんとごめんね? あははー、喧嘩になっちゃうのよくない訳よ。
もう戻るね? ほ、ほら麦野行こう!」
焦って麦野にしがみつく金髪を見て上条が何だか似た匂いを嗅ぎ取る。
彼女も振り回されて苦労しているのだろうなとしみじみ思い、上条は槍を握る五和の手に触れて切っ先を下ろさせた。
一瞬肩をピクリを跳ね上げる五和だったが、視線は未だにキッと麦野を睨みつけている。
「チッ……ごめん。これは借りにしとくわ。いつか返す」
だがその視線を受けた麦野は怒り狂うようなことは無く、バツが悪そうに視線を逸らして舌打ちをしてそう言った。
そのいつかが来るのか?と思う上条だったが、素直になれない彼女なりの誠意だということにして、その場を切り上げる方向にもって行くことに決めた。
「気にしないでくれ。五和もいいよな?」
「……はい。あなたがそういうなら、もういいです」
「ふぅん」
「な、なんですか?」
五和が顔をしかめて問いかける。
「いい彼女じゃん。大事にしろよ、彼氏」
「「なっ……!」」
人をいじめ抜くことが心底大好きと言うような顔つきで上条の肩をポンと叩いて麦野と金髪は仲間の元へと戻っていった。
呆然とその背中を見送る二人。
麦野の言葉が何度も心の中で反復され、身動きをとれずにいた。
『いい彼女』
なるほどと上条は思った。五和はいつだって自分のために感情を動かしてくれていた。
家事をして負担を軽減してくれたり、インデックスにお手伝いを教えてささやかな心の安寧をくれたり、今みたいに自分のために怒ってくれたり。
五和は彼女自身のためではなく、上条当麻のために行動をしてくれる人だった。
自分に害を成す者には迷い無く刃を向け、自分の家族とも言えるインデックスには慈愛を注ぐ。
それを危ういととるのか、情が深いと取るかで判断は分かれるところだろう。
だがあえて上条は五和のそれを「優しい」と称することにした。
上条当麻を軸としているかのような彼女の行動指針に、暴走の歯止めをかけるのが自分の役目ではないかと思うのだ。
故に上条は。
五和の傍に自分がいつもいて、彼女ために行動してやりたいと思った。
「あの……上条さん……」
「あ、ああ……」
ストンと腰が抜けたようにビニールシートの上に座り込んだ五和が、どこか晴れやかな顔で上条を見上げる。
その大輪の花のような笑顔に、上条はドキリとする。
「……今度は上条さんのことを教えてくれませんか?」
「俺のことなんか聞いてもつまんねえと思うけどな」
「そんなことないですよ」
笑みを滲ませる五和の隣に腰掛けながら、苦笑する上条。
優しく首を横に振り、空を見上げて五和は笑う。
「もっともっと、たくさんたくさん。
あなたのことが知りたいんです」
青い空に貼り付けられた太陽が天辺に来るまでまだしばらくある。
今日は彼女とたくさん話をしよう。
まだまだ知らない五和が知りたい。
彼女の知らない上条当麻を伝えたい
上条は五和と同じように天を仰いで精悍に笑った。
さて、何から話そうか。
―――――
「馬鹿な…この私が負けるなんて…」
結標淡希は小萌の小汚い自宅の中心にあるちゃぶ台に突っ伏して、信じられないものを見たような顔をしていた。
先ほどのボーリングでの小萌との対決はスコアの30ほどの差をつけられ結標の敗北だった。
それも2ゲームともである。
異様に遅い球なのに何故かことごとくストライクを出しまくって少しずつ差をつけられたのだ。
インデックスは結局2ゲームとも10前後のスコアで、姫神は100にぎりぎり届かないくらいとまあ普通だった。
そんな二人にアイスとジュースをそれぞれ奢らされたことだけでも屈辱なのに、
あげく小萌に
「まだまだ修行が足りないですねー結標ちゃん。先生のように大人の色気が出るとボーリングも上手くなりますよー」
と寝言まで叩きつけられた。
その悔しさで、帰ってくるなりずっとちゃぶ台に頭をこすり付けている。
(どのナリで大人の色気とかぬかしてんのよ…頭脳は大人見た目は子供のコナ○くんのくせに)
「あわき、元気出すんだよ? あわきが買ってくれたアイスもジュースもとっても美味しかったんだから」
「あーそう、そりゃよかったわねー」
慰めてくれるインデックスだが、自動販売機から出てくるもんはどれでも一緒だよと律儀に突っ込む気も起きず、結標は動かない。
「もう結標ちゃーん? 終わったことをいつまでも悔やんでないで手伝ってくださいなのですー」
「まるでナメクジのようになってる」
部屋と隣接するキッチンで、台に乗って野菜を切っている小萌がこちらに顔を向ける。
ところで彼女たちは今何をしているところなのか。
時刻は昼の1時半。ボーリングを楽しんだ一同は小萌宅で昼食の鍋パーティを楽しもうと準備をしている最中である。
「同じお鍋をつついて美味しく楽しく食事をすればみんな仲良しになれるのです」という小萌の一言で決まったメニュー。
姫神と小萌が食材の準備をし、インデックスは全員分のお皿やコップをちゃぶ台の上に並べている。
結標は、さすがにここにいると邪魔かと思い顔をあげるが、なかなか先ほどのショックから立ち直れずにいた。
「ってあんた何してんの?」
ふと見ると、器の配膳を終えたインデックスが小萌から包丁とまな板を借りてきて白菜を刻もうとしていた。
だがその手が妙に危なっかしく、初めて包丁を握ったかのような不器用な様子だった。
手の指は伸ばしているし、包丁を引いて使うわけでもなく細腕で無理に押し付けているという感じだ。
「おかしいな。昨日お豆腐を切ったときは簡単だったんだよ」
「豆腐と白菜一緒にしてんじゃないの。ちょっと貸しなさい」
あまりにも危険だったので慌てて結標がその手を制して一度包丁を取り上げる。
こんな危険なことをさせて何のつもりだと小萌のほうを見ると、彼女はニコニコとこちらを見て笑っていた。
今日の朝からその行動の意味が分からない。
「あわき、教えてくれるの?」
「はっ!?」
インデックスはパァッと輝くように笑顔を浮かべた。
なるほどそういうことかと小萌にジトッとした視線を送る。
「…ったく。いい?手は猫の手。包丁は力任せに押し付けるんじゃなくて、引いて使うの。
こういう堅い物を切る時はこう手を上に乗せて体重をかけて、とにかく自分の手を傷つけないようにね」
「おお、いつわがそんなこと言ってたんだよ!」
大事なことは覚えているのにそれを何に使うのかが分かっていなかったようだ。
まあ怪我をしながら覚えていくのもいいだろうとは思うが、見ていてハラハラするのは精神的によくない。
結標は「やってみて」とインデックスに包丁を渡し、手を添えて白菜を切らせる。
「結標ちゃんがお姉さんみたいなのです」
「淡希は料理ができないんじゃなかったの?」
「結標ちゃんはやれば出来る子なのです。むしろやって出来ない子なんてどこにもいないのです。
シスターちゃんに教えてあげられるようなレベルではもちろん無いのですけど、
これを機会に料理に興味を持ってくれたり、教えることに興味を持ってくれたりしたら、
先生は嬉しいのですから」
「確かに指導をしている割に淡希の手も結構危なっかしい」
「聴こえてんのよ外野は黙ってなさい!」
なんとなく良い話に纏めようとしている二人を結標が睨みつける。
だが何だかんだで自分が教えることになっていることに疑問を持たなかった。
その辺りも含めて、まだまだ小萌の掌から出ることは出来ない結標である。
「いたっ!」
ちょっと目を離した隙にインデックスが小さく声をあげた。
見ると、案の定指先を切ってしまっている。
すぐに包丁を取り上げ、救急箱は無かったかと小萌に目配せする。
「大丈夫? ああ、ちょっと切っただけね」
小萌が持ってきてくれた救急箱から消毒薬を取り出して指先に着けて絆創膏を巻く。
再挑戦しようと包丁を握ったインデックスが苦い顔をした。
「うーん。なかなかうまくいかないんだよ」
「やってればそのうち出来るようになるから大丈夫よ。
っていうか私も別に上手じゃないし」
「そうなの? じゃああわきとどっちが先に出来るようになるか競争なんだよ!」
屈託無い笑顔を向けてくるインデックスにたじろぐ結標。
よくもまあそこまで素直に何でも受け止められるものだと感心する。
むしろ呆れる。
しかし、
(ま、小萌にも得意料理くらい持てってうるさく言われてるし…)
そういう姿勢を見ているのは悪い気はしなかった。
これ以上ロリ教師にやいやい言われるのも癪なので、結標はこれもいい機会かと思い、「はいはい」と頷く。
「ま、さすがにあなたみたいな小萌級のチビッコに負けてるようじゃ私のプライドが許さないわよね」
「む!あわき、今の言葉は許せないんだよ! さすがの私だってこもえよりは胸も身長もあるんだよ!
絶対あわきより上手くなってみせるんだから!」
「そうですっ、先生をチビッコ呼ばわりなんてしてはいけないのです! シスターちゃんも地味にグサッときたのですっ!」
憤る二人をけらけらと笑いとばす結標。
気がつくと先ほどまでの憂鬱な気持ちは消えて、少しだけ楽しい気分になってきていた。
そろそろ昼食の準備を手伝ってやるかと、結標は鍋とコンロを設置する作業に移る。
その背中を見ながら、小萌が優しい微笑を浮かべていたことに、彼女はまだ気がつかなかった。
今日はこの辺で切っときます。
今日で折り返し地点は過ぎているので、あと何回かお付き合いください。
ってかこの時間人いるんだろうかw
ではまた近々
今日で折り返し地点は過ぎているので、あと何回かお付き合いください。
ってかこの時間人いるんだろうかw
ではまた近々
俺もいるぜ
始発で出勤だから寝れないのさwww
ここでお前さんのむぎのんに会えるとは思わなんだ。
アイテム書かすと安定感抜群だな!
五和とむぎのんとインデックスの誰を嫁にしようか迷うな…
始発で出勤だから寝れないのさwww
ここでお前さんのむぎのんに会えるとは思わなんだ。
アイテム書かすと安定感抜群だな!
五和とむぎのんとインデックスの誰を嫁にしようか迷うな…
きてた!あわきんかわいい乙!
あわきんはpixivのはいむら絵の格好かな? ってことはむぎのんも?
それと、どうでもいいことだけど、ボーリングだと円筒状の穴を穿つこと。またドリルで開けられた穴を大きくする過程のこと。になっちゃうよ
正しくはボウリング
あわきんはpixivのはいむら絵の格好かな? ってことはむぎのんも?
それと、どうでもいいことだけど、ボーリングだと円筒状の穴を穿つこと。またドリルで開けられた穴を大きくする過程のこと。になっちゃうよ
正しくはボウリング
別にボーリングにスコアとかゲーム数とかないんだから細かい事はいいじゃないか
>>392が全部使い切るまでやればいいんじゃないかな
―――――
「うー食った食ったー……! もう食えねえ……」
上条はポッコリと膨らんだお腹を押さえてビニールシートに仰向けに倒れこんだ。
隣では五和がくすりと笑って水筒から暖かいお茶を入れてくれている。
「そんなに無理して食べなくてもよかったんですよ?」
「五和の弁当が美味すぎたんだよ。げぷっ」
「ありがとうございます。がんばった甲斐がありました」
時刻は午後2時。二人でゆっくりと昼食を摂った後、お茶で一服しているところだった。
今朝チラリと見たが五和手製の弁当は先日学校で食べたものよりもさらに豪華絢爛。
決して高級な食材を使ったわけではないのに栄養バランスまで考えられた色とりどりのおかずと綺麗な形のおにぎりで構成された
美しい弁当だった。
筋の無いアスパラベーコン、よく味の染み込んだ里芋や蓮根の煮物、出汁が絶妙に利いた出汁巻き卵に、
何度食べても飽きの来ないから揚げ、ハンバーグ、かぼちゃの煮付けetcetc。
綺麗に剥かれたグレープフルーツまで入ったボリュームたっぷりの数々の品々を上条は夢中で食べきった。
おまけに先ほどの金髪の少女がお詫びにとバーベキューコンロで焼いた肉や野菜をたくさん持ってきてくれたのだ。
せっかくだからと頂いた二人だったが、そちらもかなりの美味さで驚いた。
五和曰くかなり高い肉や野菜のようだが、確かに言われても納得の味だった。
もっとも、上条にとっては五和の弁当のほうが兆倍にも価値のあるものであったが。
その彼女らは現在コンロの片付けの真っ最中のようで(と言っても彼女らのグループにただ一人いた少年が全て片付けているようだが)
間も無く帰ることだろう。
「番茶ですけど、飲みますか?」
「お、悪い、サンキュー」
五和が水筒の蓋に湯気の立ち上る番茶を注ぎ、上条に差し出した。
体を起こしてそれを受け取り、ズズッと啜ると、温かいお茶が体に浸透するように飲み込まれて
ほっこりとした気分になってきた。
「お茶まで美味い」
「やだな、大げさですよ。それは特に何も考えずにお湯で淹れただけです」
「気持ちの問題だろ? 五和が淹れてくれたと思うから美味いのかな」
「またそういうことを……。上条さんほんとずるいです」
「ん? 何が?」
「知りません。……ふう、温まりますね」
五和も同じようにお茶を啜ってオルソラのような和やかな表情を浮かべている。
遠くを流れていく雲を眺めながら、とても穏やかな時間を五和と共有できることが嬉しく思えた。
こんなにのんびりとした休日は久しぶりだ。
彼女と一緒にいると心まで安らいでいく。
上条は食後の満腹感とお茶で体が温まったためか、眠気が来るのを感じてあくびを噛み殺した。
「眠いですか?」
「ああ、飯食ったら眠くなるよな……。午後の授業はこれのせいでいつも怒られる」
「ふふっ、じゃあ……寝ます? ここで」
五和はくすっと微笑を零して、ほんの一瞬迷ったような表情を見せた後、頬を赤らめて一点を指差しそう言った。
「ここって……」
「だから……私の膝枕……なんてどうでしょうか……?」
それはとても魅力的な提案だった。
お茶の効果以上に体が熱くなる上条。五和が指差した先は彼女の白い太もも。
デニムのスカートから伸びる生足にゴクリと唾を飲み込む上条。
「い、いいのか?」
「はい……私も膝が温かくなりますし……上条さんさえよかったら……」
「い、いいに決まってるだろ……!じゃ、じゃあちょっとだけ……」
「はい、どうぞ……」
ドキドキと鼓動を刻む心臓の音を聞きながら、上条は後頭部を五和の太ももにあてがい、その重さを預ける。
張りのある肌はほどよい弾力性を持ち、女の子の柔らかさと温かさが頭から全身に広がっていき、
一瞬にして眠気が吹き飛んだ気がした。
仰いだ視線の先にはスカイブルーの背景と、紅潮し、不思議な色気を醸す五和の微笑む顔。
こんなに近くに彼女がいるのだと思うと、上条はせっかくの膝枕なのに眠気なんてちっとも湧いてこなくなった。
「重くないか?」
「全然へっちゃらです。上条さんがここにいるんだなぁって思ったら、心地良いです」
「ぅっ……恥ずかしいこと言わないでくれ……顔近いんだから上条さん照れちゃいますよ」
慈しむように告げた五和の言葉に、真っ直ぐ彼女を見上げることができない上条。
「えへへ、さっきのおかえしですよ。上条さんこそ、私の太もも堅くないですか……?」
核兵器並みの破壊力を秘めた五和の全開スマイルに思わず横を向いてしまう。
奇しくも、頬に当たる五和の太ももが彼女の絶妙な肉付きによる柔らかさを余計に強調して、
上条は顔の熱さが彼女に伝わってしまうのではないかと不安になった。
「柔らかくて、いい匂いです、はい……」
「よかった……あれ、上条さんそれ……」
五和が上条のポケットからはみ出ている携帯ストラップを指差した。
それはもちろん、昨日買った二人のペアストラップ。
五和に渡された後、結局すぐに着けることはしなかった上条。
記念にとっておこうと思っていたが、昨夜寝る時になって、これを買ったときの五和の嬉しそうな顔が鮮明に思い出されたのだった。
インデックスに気付かれたら何を言われるか分からないが、五和とペアという点に、確かに上条も魅力を感じており、
せっかくだから着けようと思い立って今に至る。
五和もスカートのポケットから携帯を取り出してハートの片割れを上条の眼前に翳して笑みを滲ませた。
「嬉しい……着けてくれたんですね。本当は昨日すぐ着けてくれなくて寂しかったんです……」
「ちょっと照れくさくてさ。でもせっかく買ったんだから着けなきゃ意味ないよな。
五和とお揃いってのは、俺も嬉しいし……」
「上条さん……」
瞳を潤ませ、こちらを見下ろす五和。
ピンク色の唇の奥で切なげに蠢動するぬめった舌先が妙に扇情的に見えた。
五和が女の子であることをこらえようもなく意識してしまう。
彼女の体や髪から香る甘い匂いが、上条の脳の奥までを刺激し、彼女にもっと触れたいという欲望を誘う。
安らぐ心が再び上条に眠気を突きつけてきた。
まどろむ意識の中、上条は自らが割りとそういったことに無頓着であることをなんとなく自覚しつつも、
今回のコレが何であるのかをもはや確信に近い形で捉えていた。
「寝てもいいですよ……私はあなたの寝顔を見てみたいです」
「……ああ、わかった。おやすみ、五和……」
「おやすみなさい、上条さん……」
気付いたのはいつだ。
意識し始めたのはいつだ。
それは今だったのかもしれないし、もしかしたら彼女と出会ったその瞬間だったのかもしれない。
そんなこと、どうだっていい。
大事なことなんてただ一つしかないのだから。
自分の目の前にいる、この海の如く深い愛を抱く少女。
五和が好きだというその事実だけが、今の上条にとっては大切なことなのだから。
意識が彼女の海に溶けていく。
触れた彼女の鼓動の音に耳を澄ませるように。
瞳を閉じて、ただ彼女の体温を感じることに没頭するかの如く上条の意識はそこで途絶えた。
次に目を開けた時、またその笑顔を見たいという希望だけを頭に残して。
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