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元スレ上条「恋人って具体的に何すんだ?」 五和「さ、さぁ...」
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全部駄目だった俺は藁にも
すがりたい思いです。
全部駄目だった俺は藁にも
すがりたい思いです。
インドでは藁を食べた後の牛の糞を固めた物を燃料として使います
つまり頑張れ
つまり頑張れ
途中で消えるんならここにスレ立てるなよ
完結させるつもりがないならVIPでやれ
あそこは勝手に落ちてくれるから楽だよ?
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続ける意思がある場合は2週間に1度ぐらいでいいので生存報告をよろしくお願いします
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他に書きたいって方でもいいのでお待ちしております
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不細工まじめ:がり勉 イケメンまじめ:知的
不細工マッチョ:[ピザ]きもい イケメンマッチョ:スポーツマン
不細工暗い:根暗キモイ イケメン暗い:クール
不細工面白い:笑われ者 イケメン面白い:人気者
不細工高学歴高収入:金の亡者 イケメン高学歴高収入:エリート
不細工リーダー:調子に乗るな. イケメンリーダー:頼りがいがある
不細工おしゃれ:勘違いもいいとこ イケメンおしゃれ:イケテル
不細工低身長・高身長:キモイ・怖い. イケメン低身長・高身長:カワイイ・カッコイイ
不細工フリーター:さっさと就職しろボケ イケメンフリーター:夢に向かってがんばってね
不細工マニア:おたくキモイ、敬遠される イケメンマニア:流行の発信源、関心持たれる
不細工子供っぽい:いつまでたってもガキ イケメン子供っぽい:子供の心を忘れない
不細工童貞:一生そのままでいろ イケメン童貞:私が捨てさせてあげるわ
不細工香水:悪臭公害 イケメン香水:女を寄せ付けるフェロモン
不細工告白:ストーカー・消えろ. イケメン告白:最高のシチュエーション
不細工レイプ:逮捕 イケメンレイプ:感じる
不細工自己中:激しくウザイ イケメン自己中:自分をしっかり持っている
不細工バンド:身の程を知れ. イケメンバンド:最高にカッコいい
不細工2、14:ただの邪魔者 イケメン2、14:私のチョコを受け取って♪
不細工優しい:下心あるのバレバレ. イケメン優しい:もっと優しくして
不細工新入社員 : 歓迎会無し イケメン新入社員 : 歓迎会あり、なぜか他部署からも女子社員が参加
不細工独り暮らし : 孤独死確定ね イケメン独り暮らし : 御飯作りにいってあげる!
不細工が美容院 : 営業妨害 イケメンが美容院 : ようこそいらっしゃいました
不細工一人旅 : 自殺だけはするなよ イケメン一人旅 : ロマンスたっぷり
不細工、ブスと付き合う : 底辺同士でお似合い イケメン、ブスと付き合う : 女性を顔で判断しない、とても純粋な心の持ち主
不細工、美人と付き合う : ついに援交か・・・落ちたな イケメン、美人と付き合う : あ~ん、理想のカップル
―――――
少女は扉の前で静謐な朝の冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
今より少女の一世一代の、戦いが始まるのだ。
(大丈夫。策は練りました。みんなも後押ししてくれます。だから…)
ドアノブに手をかけて、肩に下げた大きな旅行鞄の重みを確かめる。
武器良し、服良し、下着良し、化粧品良し、生活用品良し、食材良し
心の準備、良し。
自分は忘れ物を取りに来た。
そして、決着を着けに来た。
次にここを出るときは、一つの恋の結末が見えた時。。
覚悟を決めて少女はドアノブを恐る恐ると回すのだった。
大きな、とても大きな
たった一人きりの戦いが始まる
―――――
黒髪のツンツン頭が特徴的なごく普通の高校生、上条当麻は気だるいまどろみの中で朝の訪れを感じていた。
体のそこかしこがキシキシと悲鳴をあげているのは何も運動不足だからとか、虚弱体質だからとかそういうわけではない。
連日のように訪れるトラブルによってダメージが体に蓄積しているのだ。
ここ1ヶ月かそこらでの上条の戦いはそれはそれは凄まじいものだった。
事の発端は九月三十日。
ローマ正教の暗部『神の右席』より『前方のヴェント』が上条を殺すべくここ学園都市に襲来した。
それを紆余曲折ありながらも退けたが、その戦いの舌の根も乾かぬうちに今度は突然超音速旅客機に乗せられ、
フランスの上空でポイ捨てされて同じく『神の右席』、『左方のテッラ』との戦いに突入したのだ。
こちらもまた色々と大変な目に合いながらどうにか生き長らえ、ようやく愛しい我が家に帰ってこれたと思ったら今度は
『後方のアックア』が単身乗り込んできた。
これを乗り越えたのがほんの1週間ほど前のことだ。
他にも大覇星祭で巨乳の刺客と戦ったり、イタリアで氷の船に乗り込んだりもした。
先ほど事の発端と申し上げたが、元を正せばそもそもどこが始まりだったのかは今はもう分からない。
おまけに日常生活においてはビリビリ中学生に追い回され、居候には噛み付かれるという隙の無い毎日。
人間が一生のうちに出会うトラブルの数を遥かに超えるスリリング過ぎる日々に、上条の体はいよいよ限界を迎えようとしていた。
まあそれほど深刻なことでも無いのだが、少なくとも筋肉痛と生傷の数は日に日に増え続け、こうして朝の時間くらいは
ゆっくりしないと本当に過労で倒れてしまうのではないかというくらいには疲労を感じていたのだった。
「うーん…清々しい朝だ」
そんな気持ちを吹き飛ばすように、上条は無理に呟き眩しい朝の日差しと共に今日も爽やかな目覚めを堪能するはずだった。
いつもの狭っ苦しいユニットバスのバスタブ内に敷かれた布団では、朝の日差しどころか爽やかさすら感じることは微塵も無いのだが、
せめて気分だけでも盛り上げなくてはとまどろむ意識を半ば無理矢理に覚醒させるように両手を勢いよく天井に向けて突き出す。
指を開き、掌を天井の向こう側にあるお天道様に向けて伸ばして「さあ、今日も俺は不幸でも頑張るんだぜ」と空元気を振り絞るかの如く空を切るはずだった。
なのに、
もにゅっ
「ひゃっ!」
そう。そのはずだった。
妙に柔らかい感触が左の掌に伝わる。同時に聴こえる少女の黄色いさえずる様な声。
一羽のスズメが朝をお知らせに迷い込んできてしまったのかなウフフと現実から逃げたくなってしまったが、
時既に遅いことは今までの経験上からよーく分かっている。
つまるところどういうことかと言うと。
朝一発。
トラブルがやってきたのである。
だがしかしまだ目蓋を開くわけにはいかない。
今なら寝ぼけたことにしてしまえるからだ。
自分が何者かの胸を、乳房を、おっぱいを、掌で押し上げてしまったことは明白。
おまけにその感触は未だ左掌に健在、というより胸に密着したまま離すことができない。
「あ…あの…」
なかなかのボリューム感。
毎日目にしている居候やビリビリ中学生には逆立ちしても届くことはないその戦闘力は一体誰のものだろうか。
繰り返し言うが当然我が家の居候がこんな兵器を持っているわけがない。
まず頭に思い浮かんだのはクラスメイトの吹寄制理だ。
デコを出した髪形が特徴的な、規格統制されたかのようにビッチリと制服を着こなす鉄の女だが、
彼女の胸は統率された肉体に反するわがままさを以って迫り上がっている。その肉感的な肢体を思い出して上条はゴクリと唾を飲み込んだ。
だが彼女がこんなところにいるはずはない。
となれば次に思い浮かぶのはイギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』に所属し、
同時に『天草式十字凄教』の『女教皇(プリエステス)』でもある魔術師、神裂火織ではないか。
長い黒髪が美しい、それでいてへそ出しにジーンズの片側をぶった切ったエキセントリックな服装の女性で、その胸は先述の吹寄に勝る破壊力を有していた。
だがそのセンも薄い。
何故ならば、もし彼女が神裂だったのなら未だ左手の掌で胸の感触を堪能していられるはずがないからである。
仮に彼女の胸に触れようものなら、今頃腕は七本のワイヤーによって細切れに切断されて風呂場が一瞬でスプラッタ映画の
ワンシーンのような有様になり、自分はその光景を見ることすらなく血の海で溺死していることだろうことは想像に難くない。
「んっ…さ、さすがにそろそろ離してもらえたら…なんて…」
となれば、元ローマ正教のシスターで、現在はイギリス清教に身をおくオルソラ=アクィナスかもしれない。
いやいや、意外なセンで言えば風斬氷華。超大穴でオリアナ=トムソンや御坂美鈴という可能性も無きにしも非ず。
世界は巨乳に溢れている。
上条はたっぷり1分以上はその感触を楽しんで、寝ぼけたフリをしたままそろそろと左掌を相手の胸部から離して下ろしていく。
「えっと…朝、ですけど。そろそろ起きませんか?学校に遅刻しちゃいますよー…」
恐る恐ると言った様子で声をかけてくる。
どうやらバスタブの横に膝立ちになってこちらを覗き込んでいるようだ。
彼女が身を乗り出したところを丁度掌で突き上げてしまったのだろう。
と、そこで上条は「ん?」と思わず呟いてしまった。
この清涼感溢れる透き通るような声に、聞き覚えがあったのだ。
「……え?」
ゆっくりと、まるで「今起きましたよー」と相手に伝えようとするかのように。
上条は薄く目蓋を開いてその向こうにいる人物の姿を確認した。
「お、おはようございます」
頬を赤らめ、少し恥ずかしそうにそう告げた少女。
年の頃は上条と同年代くらい。
肩口まである黒髪と、パッチリクッキリの二重まぶたが特徴的な彼女。
何よりも意外と大きなその胸が完全に上条の記憶から抜け落ちていたことを気付かされた。
「お、おはようござ…え?いや…なんでお前が…え?」
「お、落ち着いてください」
「だってお前、五和…だよな?」
そう。
『天草式十字凄教』の少女、五和がそこにいた。
掛け布団を跳ね除けてガバリと起き上がる上条。
体を起こすとすぐ目の前に彼女の顔があり、仄かに漂う女の子のいい匂いに反射的にぷいっと顔を背けてしまう。
向こうも気恥ずかしいのか、こちらと同じように口元を結んで胸元に手を当てて俯いていた。
「あの…お久しぶりです」
上目遣いでペコリを頭を下げる五和。
お久しぶりと言っても、実は最後に会ってからそんなに経っていなかったりもする。
アビニョンで『左方のテッラ』と戦う際や、先日『後方のアックア』と学園都市内で死闘を繰り広げた時に
協力して戦ったことはまだ記憶に新しい。
上条もつられるように頭を下げたところで、「いやそうじゃなくて」と慌てて首を振る。
「ってか、なんでここにいるの?」
当然の疑問である。
しかしその問いに五和は少し困ったような表情になった。
もしかしてまた魔術師が攻めてくるとかそういったことなのだろうか。
「えっと、実はまたあなたの命を狙う『神の右席』がいてですね…」
やはりそうかと上条は険しい表情になる。
しかし五和の表情はどこかふわふわと宙を漂っているというか、いまいち要領を得ない。
明後日の方向をキョロキョロしながら、まるで思い出しつつ喋っているように見えた。
「今度はどんな相手なんだ!っと、狙いが俺なら今回もインデックスに聞かれないほうがいいよな。
で、どうなんだ五和?」
「わひゃっ!」
声を潜め、口元に手をあてリビングで朝のお祈りでもしているであろうインデックスを思い浮かべる。
顔を近づけると妙な声をあげて五和はあわあわと顔を真っ赤にさせているが、何かあったのだろうか。
「あの…か、下方の…」
「下方?そうか、前、左、後と来たら次は右かと思ってたけど、下なんだな。ってことは上もいるよな」
「その…『下方のヤミテタ』という」
口に出すのも恐ろしい相手なのだろうか、ボソボソと何故か恥ずかしそうに話す五和をなだめるように、
上条は真っ直ぐに彼女を見つめながら頷いた。
「『下方のヤミテタ』…初めて出てくる名前だけど、悪そうな奴だな。
名前からいくと闇属性って感じだ…。で、そいつはまた俺を狙うって言ってきたのか?」
息を呑む上条。
『神の右席』はどいつもこいつも強力な能力を持つ魔術師だ。
その新しい刺客が来るとなれば、寝ぼけている暇もない。
久しぶりの強敵の出現に、今から緊張してくる上条だった。
「いやその…いえ、そういう情報があったりなかったりで…あの、来るか分からないんですけど、念のため私が護衛ということで来たんです」
つまり『後方のアックア』の時と同じという訳だ。もっとも、今回は相手が来るのか来ないのか分からないということらしい。
恐らくなんとか掴んだ極秘情報に保険をかけて彼女が派遣されてきたといったところだろう。
これは長期戦になるかもしれないなと上条は意気込む。
ところで先ほどからやけに言い淀む五和だが、胸を揉んでしまったことを気にしているのだろうか。
しかし今更ぶり返すのも恥ずかしいので、「申し訳ございません五和さん。いいおっぱいでした」と心の中で謝り倒しておくことにしておく。
「悪いな五和、手間かけちまって。今度こそお前に心配かけるようなことは無いようにするからな!」
「い、いえいえ! 私が来たからにはもう大丈夫です! 私こそあなたを守ります!
そんなことより朝ごはんができてますから食べませんか? 今日学校ですよね?」
「なん…だと…?」
今度は元気一杯でそう言う五和。
だが上条が驚いたのはそんなことではない。
素晴らしきは起きたときに朝ごはんが出来ているというこの一点に尽きる。
こんなこと、今まであったろうか。
否
前回の時もそうだが、五和がいてくれると家事の分担ができるので物凄く助かる。
感涙で前が見えない上条は、五和が持ってきてくれた制服(なんとシャツにアイロンがあててあり、埃も取ってある)
に着替え、ワックスで髪を整えて風呂場から出る。
そこではピンクのふわふわのトレーナーとジーンズ姿の上にエプロンを着けた五和が、
お盆に三人分の朝食を乗せていそいそとキッチンとテーブルを往復していているところだった。
「あ、おはよーとうま。起きるのが遅いんだよ」
そう言って元気よく声をあげたのは我が家の居候。
真っ白い修道服に身を包んだ銀髪のシスター、インデックスだ。
中学生くらいの小柄な体に愛猫スフィンクスを抱きしめて、朝の少女向け魔女っ娘アニメを眺めているようだった。
「インデックスお前なー。ちょっとは五和を手伝うとか出来ないんですか?」
そうぼやきながら、五和が持ってきた味噌汁のお椀をテーブルの上に並べていく上条。
言われたインデックスは頬を膨らませてジロリと上条に抗議の視線を送る。
「今は忙しいから無理かも!この秋からの新番組、『閃光少女マジカルムギノン』を見る時間なんだから。
バイオレンスな魅力が新しい新世紀やんでれ?すとーりーなんだよ!」
決め台詞は「アンタの未来はブチコロシかくていね」だそうだ。
全国の子供たちの将来が少し心配になった。
「ったく、ごめんな五和。全部一人でやらせちまって。晩御飯は上条さんが作りますから、五和もテレビでも見ててくれよ」
「いえいえいいんですよそんなの!これは私の仕事なんですから!むしろやらせてください!」
ぶるんぶるんと首を振る五和。なかなかリアクションの大きい子だと思いながら、食卓に座る。
スフィンクスも何やら高そうな猫缶が盛られた皿を差し出され、インデックスの胸からヌルリと抜け出て涎を垂らしていた。
ご飯が揃ったことを確認したのか、インデックスは少しバツが悪そうな表情でテレビの前から食卓に戻ってくる。
さすがに彼女もプライドを刺激されたのだろう、今日は少しお手伝いに協力的になってくれるかもしれない。
今朝のメニューは焼き魚、卵焼き、味噌汁に漬物、海苔。そして炊きたてのご飯。
絵に描いたような理想的な朝食だった。
上条は再び涙を滲ませながら手を合わせ、三人は「いただきます」と同時に告げて食事を始めた。
「今朝お邪魔したので、あまり大したものは出来なかったんですけど…。今晩は期待してくださいね!」
「大したものって…こんな美味いもんが大してなかったら俺が毎日食ってるもんは何だというんだ。
上条さんは充分満足ですことよ。うん美味い、美味すぎるぞ五和」
「そうですか?それならよかったです」
嬉しそうに微笑む五和を見てドキリとなる上条。
こうして可愛い女の子と食卓を囲めるなんて、実は結構幸せ者なんじゃないだろうかと味噌汁を啜りながら思う。
五和は和食が特に得意らしく、今朝も時間が無かったという割にはしっかりとダシから取った味噌汁を出してきているし、
卵焼きも自分好みの絶妙な味付けだった。
五和が起こしてくれたおかげか二度寝するようなこともなく、おまけに食事まで用意してくれていたものだから時間的にも結構な余裕がある。
こんなゆっくりとした朝の時間を過ごせるなんてと上条はしみじみその些細な幸せを噛み締めていた。
「そういえばもぐもぐ。いつわがどうしてここにいるのかなむぐむぐ」
あまりの美味しさに無言で貪っていたインデックスが思い出したようにそう言った。
前回は食べ物で丸め込めたが今回は少し五和の料理に耐性が出来たのか、
咀嚼しながらそう問いかけてくる。
「食いながら喋るんじゃありません」
「とうまもぐもぐ。もしかしてあむあむ。また『神の右席』みたいなもぐもぐ強力ながぶがぶ魔術師がむぐむぐ来るんじゃないの?」
「いや、それはだな」
「ち、違います!」
アックアとの戦いが終わった後、インデックスにどうして自分に相談しないんだと怒られたことを思い出して、
今回はどうしようかと少し迷った。
だから横からすかさず五和がそんな風に言ったのを聴いて上条は驚いていた。
前回の教訓を生かすなら、インデックスに協力してもらうのも一つの手だとは思うのだが、やはり巻き込むのは気がひけるのだろう。
上条も五和の気遣いに乗っかることにした。
「本当に?」
怪訝そうに上目遣いになるインデックス。
こういう仕草は素直に可愛いと思える。
「えと、実は私学園都市の見学に来ていて。家事をお手伝いする代わりに宿を彼に提供してもらってるんです。
だ、だからいっぱいお代わりしてくださいね!」
「そうなのとうま?」
「ああ、そうだ。心配してくれてありがとな、インデックス」
「ふぅん…それならいいけど。何かあったらすぐ私を頼るんだよ!」
少し訝しげだったインデックスの視線も、次の瞬間にはふっと綻んだ。
どんと小さな胸を叩く姿は愛らしく、上条の胸が少しだけチクリと痛んだのだった。
『下方のヤミテタ』。
どんな恐ろしい奴かは知らないが、インデックスに危害を加えられることだけは避けたい。
上条はそう固く決意し、うまうまと食事を再開しているインデックスに心の中で謝罪した。
やがて食事を終了し、五和と一緒に後片付けをして玄関先でバスケットシューズを穿く。
片付けも自分にやらせてくれと五和は言ったが、そこは断固として断った。
食材まで用意してもらっておいて片付けから何まで任せるというのは少々申し訳ない。
上条は楽しく談笑しながら食器を洗っていると、気がつけば登校時間ギリギリだった。
「じゃあ行ってくる、五和」
玄関先で五和に見送ってもらう。
インデックスは部屋でスフィンクスをごろごろとあやしているようだ。
「はい。気をつけてくださいね。
本当は学校までお送りしたいんですけど…ゴニョゴニョ」
頬を赤くして何か言っている五和。
さすがに登校を一緒にしていると変なところで鼻が利くインデックスに勘付かれるかもしれない。
上条は手をひらひらと振って心配するなと笑いかけてやった。
「大丈夫だよ。これでも『神の右席』とは3人戦ってる。
そうそう殺されたりなんかしねえよ」
「そう…ですよね。あの、行ってらっしゃい」
体の前で手を組んで、もじもじと上目遣いでそう言ってくれる。
「あ、ああ。五和もインデックスを頼むな」
あまりに可愛らしい仕草だったのでドキリとなり、照れ隠しに頭をかいて上条は勢いよく部屋を飛び出たのだった。
敵が来るかもしれないということを除けばなかなかに素敵な朝。
まるで新妻のような五和の姿に、やけに胸が高鳴る上条なのであった。
―――――
今日も代わり映えのしない学校。本来ならば学生達は皆各々の学び舎で眠気と戦いつつ授業を聞いているはずである。
黒い詰襟に同色のスラックスという制服の下にはラフなスポーツTシャツを着た上条当麻も本来ならばそのはずであった。
だが今日は一味違う。
朝から五和のおっぱいと可愛い顔で目覚め、栄養バランスの整った食事を堪能して登校しているのだ。
これで元気が出ないというのはバチがあたる。
彼は4限目、昼前の最後の授業を自分でも驚く程の活力で乗り切ったところだった。
昼休みに入り、がやがやと騒がしい教室内。
食堂に向ったり、仲の良い者同士で机をくっつけたりと、各々のお昼の時間を楽しもうと皆行動を開始していた。
上条もまた、今日も平和な学校で自分の席にて級友の土御門、青髪ピアスと共に駄弁りながら昼食をどうするかと考えていた。
「カミやん昼メシはどうしたんだにゃー?」
「上条さんは金欠なので今日はお昼抜きですよっと」
今日も学ランの下にはアロハシャツ。
薄い色のサングラスと金髪がとんでもなくド派手な土御門が購買で買ってきたやきそばパンをかじって尋ねてくる。
「にゃー。カミやんの金欠もそこまで行くと哀れぜよ」
「けっ!どうせ外でも家でもフラグ立てまくって女の子に追っかけまわされとるんやろ!飯なんか食わんでええ!忌々しい」
同じく菓子パンを食べながら訳の分からないことを言っているのは青い髪にピアスがトレードマークの大男。その名も青髪ピアス。
本名は…なんだっけ?と思いながら彼の言葉を聞き流す上条。
追っかけまわされているという表現は絶妙な言い回しだ。
確かに命の危機に瀕するような追っかけまわされ方を毎日のようにされているなと深くため息をついた。
「あのなぁ。上条さんだって好きであのビリビリに追いかけられてんじゃないんですよ?
頼むから誰か代わって欲しいくらいだ」
「なんやと!ほんまええ加減にせえよボケェッ!
カミやんは分かってへん!自分がどれだけ恵まれとると思ってんねん!
カミやん殺してカミジョー属性を手に入れられるならボクは今すぐにでも殺れるで」
血涙を流しながら力説する1青髪ピアス。
立ち上がって大きな声でそんなことを言うものだからクラス中からの注目を浴びているが、
方々から「いつものことだな」「はいはいデルタフォースデルタフォース」「3馬鹿テラワロス」と苦笑と呆れ交じりの声が聴こえてくるだけで
特に誰も何も言ってこない。
「意味わかんねえ。上条さんはこの平穏な毎日を愛しく…って、なんだ?」
その時、ガラガラと教室の扉が開かれる。
ざわついていた教室が一瞬だけ静寂に覆われた。
無理もない。そこに立っていた人物は校内だと言うのに何故か私服で、加えてなかなかの美少女だったのだから。
「ほれ見たことか! ほれ見たことか!カミやんがあんなこと言うから美少女を召還してもたやないか!」
「「五和?」」
青髪を無視して上条と土御門の声が重なる。
そこに立っていたのは、どういうわけか五和だったのだ。
「あ、よかった上条さん!お昼まだだったんですね!」
オルソラの名前が出てた
それだけで幸せなのに五和スレ復活とか
(・∀・)イツワ!!
それだけで幸せなのに五和スレ復活とか
(・∀・)イツワ!!
こちらの姿を確認して、花が咲くように表情を綻ばせた五和がぱたぱたと近寄ってくる。
学校名が箔押しされたスリッパを履き、来客用ネームプレートが胸についているためわざわざ学校に許可をもらって入ってきたらしい。
その手にはいつも上条が使っているお弁当箱の入った巾着が握られていた。
「むむっ、これは出番の予感」
誰かがそんなことを呟いた。
彼女の動きに教室中が注目している。
当然のように傍らの青髪は血涙を流して拳を握っているし、土御門は何がそんなに面白いのか、
にやにやと笑みを浮かべてにゃーにゃー言っている。
どことなく教室内からの視線も冷たいような気がした。
「あの…はい上条さん。あの子に、お昼食べてないときも多いって聴いて。
購買とかで買ってたらどうしようって思ったんですけど、間に合ったみたいですね。
これ、お弁当作ったのでよかったら食べてください」
「な…なんでや…なんでやねん…。カミやんばっかり…ボクは、ボクはどないしたらええんやぁぁぁぁあぁああああッッッ!!
死にさらせぇぇぇぇええええええっ!!!」
「まぁ待て待て。今から面白いところだにゃー」
土御門に取り押さえられて白い灰になっていく青髪はもう放っておくことにした上条。
少し恥ずかしそうに五和が巾着袋を手渡してきた。
「わざわざ作って持ってきてくれたのか?」
驚き尋ねると、五和は頬を紅潮させてコクリと頷いた。
「上条さんお腹空いてるかと思ったので。それにお昼ご飯を詰めただけですから気にしないで下さい。
あ、だ、大丈夫ですよ!あの子にはちゃんとご飯用意してから来ましたから心配無いです!」
「あいつは一食くらい抜いた方が健康のためだと思うけどな…。
とにかくありがとな。面倒かけて悪いな」
「面倒だなんて…私が好きでやってることですし…」
「上条くん、知り合い?」
動きの無くなった教室内の静寂を唐突に破ったのは、日本人形のような長い黒髪を持つ姫神秋沙。
彼女はいつの間にか上条たちの傍らまで来ており、ぼんやりとした瞳で五和を見つめている。
「ああ、五和だよ。まあ知り合い…友達、だな」
平坦な口調の姫神の問いに、上条は曖昧に頷いた。
知り合いと言えば知り合いだ。
どういう種類の知り合いなのかはイマイチ分からない。
戦友?仲間?同盟相手?
どれもしっくりこないので、一先ず無難に友達ということにしておく。
五和は姫神にペコリと頭を下げた。
「ど、どうも始めまして」
「はじめまして。私。姫神秋沙。こんなところにも罠があったとは」
「あん?姫神どした?」
読めない表情と淡々とした口調で何事かを呟いている。
「なんでもない」
「じゃあ私は帰りますね。お昼休み終わっちゃうといけないですし。
お弁当箱忘れてきたら駄目ですよ?」
「え、もう?せっかくだから一緒に…って言っても五和の方が気まずいよな」
「い、いえお気遣い無く。洗濯物を取り込まなくちゃいけないので私はこれで!」
慌てふためいた様子でそう言い残し、ダッと五和は去っていった。
手に残されたお弁当箱の入った巾着はまだ少し温かい。
昼食を作ってそれをそのまま詰めてきてくれたのだろう。
「健気だにゃー。にしてもククッ、カミやん今日は帰り道背中に気を付けたほうがいいかも知れないぜい」
「あ?何言ってんだか。けどありがたい。ではさっそく頂くとしますかね」
教室中の冷徹な視線を全く意に介さず、上条はお弁当箱を取り出して蓋を開けた。
小さなハンバーグに、ほうれん草のおひたし、ひじきの煮物など、栄養価と男の胃袋を考えたパーフェクトなお弁当。
ふりかけで彩られた温もりの残る白米がツヤツヤと輝きを放っていた。
隣で灰になっている青髪をそのままに、土御門と姫神が弁当の中身を見て感嘆の声をあげた。
「美味しそう。手間もかかってる。お弁当用にわざわざ作ったって感じだね」
「すげえぜよ。なあカミやん、一口くれないかにゃー」
「駄目。五和がせっかく作ってくれたんだ。俺が全部食わなきゃ申し訳ねえだろ」
「ま、それもそうだにゃー。…ねーちん、早く手を打たないと手遅れになるぜい…」
この名前欄の使い方…
もし違ったら気を悪くしないでほしいんだが…もしかして麦恋の人?
もし違ったら気を悪くしないでほしいんだが…もしかして麦恋の人?
くつくつと笑っている土御門を無視して箸をつける。
もう分かりきっていたことだが当然の如く美味いわけで。
真心いっぱいの弁当がそもそも不味いわけが無いわけで。
お昼ごはんを詰めただけだなんて言うが、絶対嘘だ。
明らかに冷凍でないハンバーグはお弁当用サイズに小さく作っているところからも確定的に明らか。
そんな五和の気遣いに、涙が溢れてくる上条だった。
「にゃー。おいおい、何泣いてるんだカミやん」
「くぅっ!やけにしょっぱいぞ!こんな…こんな不幸な俺にも生きてりゃいいことあるんだなぁっ!」
「同情するぜよ…」
「なるほど。逆に考えれば日常のどこにでもチャンスはあるということ。
勉強になった。家庭的少女枠は取られたけれど。まだいくらでも新ジャンルはある」
それから何かに納得したように頷き、姫神は席に戻っていった。
本当に何て家庭的でよくできた人なんだと感動が止まらない上条。
窓の外を眺めて涙をこらえ、今日も平和なお昼の学園都市を満喫するのであった。
その後一日、やけにクラスメイトからの風当たりが強かったのは言うまでもない。
まさかの五和さんメイン。もう俺得すぎて蒸発しそうになった。
前作も読んでました、今回も期待しています。
っていうか執筆速度が半端ねぇー、めっちゃ羨ましい訳よ
前作も読んでました、今回も期待しています。
っていうか執筆速度が半端ねぇー、めっちゃ羨ましい訳よ
まさかの五和w
前回は五和のいの字も出なかったのにw
まあ今回は気軽に見れそうだな。前回はハラハラし過ぎて日常生活支障でたからな
前回は五和のいの字も出なかったのにw
まあ今回は気軽に見れそうだな。前回はハラハラし過ぎて日常生活支障でたからな
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