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    元スレP「アイドルたちでブラスバンドですか?」

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    651 :

    いおりんいおりん!

    653 = 115 :

    (荷積みを終え、皆がバスに乗り込んだ。運転席には社長だ。今日は小鳥さんは、最前列中央に座っている)

    「それじゃあ、一つ号令をお願いしますよ、小鳥さん」

    小鳥「えっ、わ、私がですか?」

    「そりゃもう。俺はあくまで指導員。指揮者は小鳥さんです」

    小鳥「そ、そうですか……では」


    小鳥「みなさん、今日まで厳しい練習、本当にお疲れさまです!」

    小鳥「今日の結果こそ、みなさんの三か月を決めるものです!!」

    小鳥「で、でも、私はここまで積み重ねてきた三か月に自信を持っています!」

    小鳥「みなさんの頑張りは、絶対に無駄になりません!」

    小鳥「全力でぶち当たって、今日、それを証明しましょうーッ!」

    一応『オオオオオーッ!!!!』

    (小鳥さんの慣れない号令も、三か月を共に過ごした仲間たちには十分すぎるほどの発破だった)

    (ボルテージはうなぎ上り……今、765プロは、無敵だ)

    657 = 115 :

    (9時を少し過ぎて、バスは局に到着した)

    「よーし、みんな、自分の楽器は基本的に自分でな」

    春香「はーいっ」

    「……グランドピアノ背負ってくか? 春香?」

    春香「や、やだなー、冗談ですよ! 冗談!」

    美希「真クン、チューバ持つ手伝い――」

    「よいしょっと。プロデューサー、楽しみですねー!」

    「お前、そのゴシックドレスで局の中練り歩くつもりなのか……?」

    美希「(チューバってもっと重い物じゃなかったかな……)」

    社長「あー、すまない、誰かコントラバスを出すの手伝ってはくれんかね?」

    あずさ「それでしたら、わたしが~」

    659 = 115 :

    小鳥「うっひゃあ。中、涼しいですねー

    律子「助かるわあ」

    亜美「涼しいのは……いいんだけどさ……」

    真美「真美たち、メッチャ重い……」

    律子「あんたたち、楽器が大きくて目立ってるんだから、シャキっとしなさい!」

    亜美「背中に角笛背負ってる人に言われないないよー!」

    律子「ケースだけ見ても角笛だとは見えないでしょ」

    真美「悔しい……真実を知っているのに、それを誰にも信じさせられない……」

    「楽しそうだな、おまえら……ほら、そろそろ控室だぞ」

    661 = 115 :

    ~控室~

    「おおっ! 結構広いですねっ!」

    「普通に走り回れそうな広さだぞ!」

    千早「壁を見る限り、どうやら防音みたいですね」

    「そうだな。ということは、ここでリハーサルやウォームアップをしていいってことだろうな」

    やよい「壁に変な穴みたいなのがいっぱいですー……」

    伊織「ボイストレーニング室にもあるじゃないの」

    貴音「大きな姿鏡の面もありますね」

    雪歩「む、対面の鏡と合わせ鏡になっててちょっと怖いですぅ……」

    663 = 115 :

    「よし! 聞いてくれみんな!」

    「個人の荷物は北東の隅、そして楽器類は北西の隅にまとめておいてくれ!」

    「ここで一度、真のアピールを含めたリハーサルをする! なので、スペースは広めにとっておくように!」

    「椅子に座るタイプの楽器は、すぐ外に椅子があるからそこから取ってくること!」

    「とりあえず、10:30まで各自でウォームアップだ!」

    「以上! では行動開始!」

    一同『はいっ!』

    667 = 115 :

    (控室の中の様子を見る限り、問題は見当たらなかった)

    (むしろ、いつもよりもやる気を出して、ポテンシャルを上昇させているメンバーもいるぐらいだ)

    (朝の段階で少し緊張が見えた響や伊織も、練習を始めると、すっかりいつものカンを取り戻したようだった)

    伊織「 ♪ー ♪ー ♪ー 」

    「 ッ♪ッ♪ッ♪ッ♪ 」

    (傾向はいい感じだ。ムードがある。音楽を創ろう、音楽を楽しもうというムードが)

    (気になっていたやよいの調子も……)

    やよい「 B-C-D-E-F-G-A-B――――~っ!」

    (絶好調だ。順を踏んで上がっていっているとはいえ、なめらかに高音が流れ出ている)

    やよい「♪~♪~」

    (やよいも嬉しくて仕方ないって感じだ……一応、釘だけは刺しとくか)

    「やよい、やよい」

    やよい「? はいっ、なんですか? プロデューサー?」

    「楽しいのはわかるが、あんまり飛ばし過ぎるなよ。番組まで元気は取っとけ」

    やよい「はいっ!」

    669 = 115 :

    (そして10:30)

    「よし、それじゃあ一度、全員で合奏のリハーサルをする……前に、だ」

    社長「うむ!」

    亜美「ん?

    真美「なになに?」

    社長「いやなに……今日の番組の衣装だよ」

    雪歩「衣装っ!?」

    671 = 115 :

    春香「衣装ですかっ!」

    「このタイミングでやっとですか! もうっ、待ちくたびれてましたよー!」

    (衣装は、この番組専用のものだ。デザインはいくつかあったが、俺と社長で話し合ってきめたものだ)

    (薄い金色のブレザー。胸元の校章は、もちろん765プロのものになっている)

    (まさにブラスバンドの格好だ。俺からすれば、なんとも懐かしい……)

    「せっかくだ、練習からこれを着てやろう! 本番と同じ状態で!」

    一同『…………』

    「……あれ、全員固まって動きませんね」

    社長「むむ……ひょっとしてデザインが気にいらないのだろうか……」

    「あ、あのー、どうしたんだ?」

    春香「……ぷっ、プロデューサーさんと社長さんがいるから着替えられないんですよーっ」

    「!」

    社長「!」

    (すぐに退散した。故意じゃないんだ、故意じゃないんだ……)

    673 = 115 :

    小鳥「 ♪ ♪ ♪ ♪ 」

    一同「 ♪ー♪ー♪ー♪ 」

    (とまあ、とりあえず衣装に着替えて、合奏練習が始まる)

    (段差がないので、後ろの方の奏者は小鳥さんのタクトがやや見えづらいようだが、しかし、リズムをつかむ方法は何も眼だけではない)

    (……ちなみに、小鳥さんもブレザー姿である。本人は最後まで講義していたが、他に衣装もないことを理由に諦めてようだ)

    社長「 ♪ー♪ー♪ー♪ 」

    (ただし、さすがに社長はスーツである。そりゃまあそうだ、社長の年齢の男子がブレザーを着ても、あやしいビデオに出てくる登場人物にしかならない……)

    675 = 115 :

    (全体の完成度に関しては、もう語る必要は持つまい)

    (プロの演奏と比べるものではない)

    (しかし、誰もが熱心に、互いの音を聴きあい、団結して一つの大きな音楽を創り出そうとしている)

    (それゆえに、音が重なる部分がとても心地よい。そこだけ見れば、プロにだって戦えるんじゃないかと思ってしまうほどに)

    (ひいき目かも知れないと思っていても、やはり、俺には、もうバンドと言えば、このバンドしか思いつかないほどだった。

    677 = 115 :

    小鳥「……いかがですか」

    「俺から言う必要がありますか?」

    小鳥「ふふっ」

    小鳥「……もう、そろそろ時間ですね」

    「はい」

    小鳥「…………」

    小鳥「……みんなっ!」

    一同『はいっ!』

    小鳥「……もう、無用な言葉は言わないわ!」

    小鳥「Are you ready!?」

    一同『I'm ready!!!!』


    (……行ってこい!)

    679 :

    お、まだ続いてたか
    頑張れ!

    681 :

    安価でよくやるな
    支援

    683 = 115 :

    (今回の収録では、先に演奏部分の収録をしてしまってから、その後にトークを収録する。まあ、大人のジジョーという奴だ)

    (だが、これはむしろ俺たち側にとってはありがたい話でもある。ウォームアップをしてすぐ、本番に臨めるのだから)

    「…………」

    (俺は一人、幕の袖で、舞台上のメンバーを見守っている)

    (今回の裏方は、765プロではまさに俺一人。社長も、小鳥さんも、律子も全員、ステージだ)

    (アイドルの付き添いなら、舞台裏で俺一人ということも多々あった。が、765プロ総出の仕事で、これは初めてのことだった)

    (765プロは、かつてない層の厚さで、番組に挑んでいる……裏方すらも表に狩りだして、『765プロ』を隅から隅まで見せつけてやる機会なのだ)

    (元アイドルのプロデューサーや、歌唱力抜群の事務員、長身ダンディな社長がいる芸能事務所なんてそうそう無いぞ! ないだろ! すごいだろ! と!)

    (声なき声で、高らかに叫ぶ! 俺たちが今しようとしていることは、そういうことなんだ!)

    685 = 115 :

    (光が、舞台の闇を切り払った)

    (映し出された、天使たち)





    (何も考えられない)





    (そして音楽は始まった)

    688 = 499 :

    完結するまで眠れないぜ

    689 = 115 :

     【9:02pm (吹奏楽アレンジver)】

    (――始まった、運命の一戦が)

    (……この曲のメロディは、Aメロは貴音のホルンが主、サビはあずささんと美希のフルート。そして間奏部に伊織のリコーダーソロ……)


    小鳥「 ~ ~ ~ ~ 」

     ♪~

    (出だしの伴奏は問題ない。落ち着いて、しっとりとした旋律。初めて合奏したときとは大違い……)
    (小鳥さんの指揮もしっかりとテンポを守れている……練習通りの早さを刻めているな。これは演奏者から非常に大きい。うまくやってくれたな、小鳥さん)

    (そしてAメロ……)

    貴音「 ♪~ ― ~ 」

    (おおっ……! ほれぼれするほど美しいホルンの旋律……っ!)
    (ここまでの音色を出せるとは……やはり、貴音の音色はズバ抜けている! 観客を一瞬で曲にひきこんだ!)

    貴音「 ♪~~ ♪~~ ♪~~ 」

    692 = 115 :

    (そしてサビに……あずささんの主旋律に美希のハモり。以前は音量が逆転してしまっていたが……)

    あずさ「   ♪~   」
      美希「  ♪~ 」


    (……ッ! うまいっ! マイペースに曲を二人で同時に弾くだけだったのが、今では完全に調和して一つのメロディだ!)
    (ピッコロの軽やかさと、フルートの柔らかさが、お互いを引き立てあっている……!!)

    (そして、懸案事項だった、低音トリオの音量についても……)

    亜美  ♪。  ♪。  ♪。  ♪。  ♪。  ♪。  ♪。
    真  ♪っ  ♪っ  ♪っ  ♪っ  ♪っ  ♪っ  ♪っ
    真美 ♪――~~~~~……     ♪――~~~~~~……

    (しっかり曲の中に納まっている! そうなんだよ、低音ってのは、そういうものなんだ!)

    695 = 273 :

    角笛が楽しみ支援

    696 = 115 :

    小鳥「 ♪~ ♪― ♪~ ♪― 」


    (いいぞ……ここまで完璧と言える。あとは……)

    伊織「…………ッ!」

    (伊織の曲間ソロ……っ!)



    伊織「 …………っ! 」

     -♪~~~~~~~~~………    ♪♪~~~~~~~~~~♪-♪


    (出だしはいい音色だ。リズムも崩れ過ぎず、嫡子定規でもなく、聴いていて心地いい。ミスもまだない……)

    697 = 115 :

     ♪~~~~~~~~~~~~~~~    ♪-♪~~~~~~~~~~♪-♪


    (い、いけるっ! このままノーミスでいける……っ!)



    伊織「 ッ~~~~~~~ッ!!!! 」


       ♪~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ


    (……やっ、やった!ノーミスだ! やりきった! 素晴らしい! さすがは伊織だ!)

    伊織「…………」ハァッ、ハアッ……

    伊織「!」クルリッ

    伊織「♪」ニヒヒッ

    698 = 115 :

    げんかい

    700 = 499 :

    !?


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