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    元スレP「アイドルたちでブラスバンドですか?」

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    501 = 115 :

    「……すまん、つい興奮して」

    やよい「は、恥ずかしいです……」

    「……だが、やったな。ついに!」

    やよい「はいっ! ……私、初めて出たんですね!」

    「ああ! 高音は一度だけでも出してしまうのというのが一番の開発法だ。お前は、その大きな壁を見事乗り越えた! たった8日で!」

    やよい「えへへっ……! プロデューサーに褒めてもらえると、すっごく嬉しいかなーって!」

    「おっと、喜ぶのは、まだ先にしておこう」

    やよい「プロデューサー、さっきものすごく喜んでましたけど……」

    「…………」

    やよい「…………あ」

    「ゴホンッ! 先にしておこう!」

    やよい「は、はいっ!」

    「一度出ただけじゃダメだ! 今度はこれを安定して、単発的に出せるようにならないとな!」

    502 = 259 :

    やよいは頑張れる子だからな

    503 = 115 :

    ~本番まで、あと20日~

     ステップ2.高音域を安定させる


    ~屋上~

    「いいか、やよい」

    やよい「はい!」

    「お前は一度hiB♭を出せた。ということは、もう一度出せない道理はない」

    やよい「出せます!」

    「いい返事だ!! ……だが、ニ十回、三十回に一回出せるんじゃ意味がない」

    「本番はたった一回だ! その一回に成功させるには、一回に一回、つまり100%成功できなくてはいけない!」

    やよい「はいっ!」

    「よし……そのための練習が、ここだ。屋上」

    やよい「どうして屋上なんですか?」

    505 = 341 :

    やよいルート支援

    506 = 115 :

    「うむ。高音を安定させる……つまりに、キンキンした音じゃない、芯のある音にするためには、イメージの力が大切なんだ」

    やよい「イメージの力……」

    「貴音に教えて貰ってたとき、一度でも聴いたことないか?」

    やよい「あっ、貴音さんも確かにそれ言ってましたー! 『いめーじ』することで音がやさしくてほわ~んってするって!」

    「うむ。貴音が本当にそんな言い方をしたのかどうかはまあ置いておいて……それは事実だ!」

    「演奏者の出す音色っていうのは、不思議と、頭の中に描いた理想の音色に、少し引っ張られるものなんだ」

    「自分の音を聞かずに、一流のプロの音を録音したCDを聴きながら練習した結果、そのプロの音色とうり二つになったという事例すら報告されてるんだ!」

    やよい「っ!! 本当ですかっ!?」

    「ああ、本当!!」

    (と報告されてる話だ!!)

    507 = 115 :

    やよい「それじゃあ、わたしも、貴音さんみたいな綺麗な音をイメージしながら……?」

    「いや……そうじゃないんだ」

    やよい「??」

    「貴音の音は、確かにとても綺麗だ。初心者とは思えないぐらい。一種の才能だろうな」

    「だが……お前が吹いているのは、ホルンじゃない。トランペットだ」

    やよい「あ……」

    「もちろん、ホルンのようなやわらない音色を出すトランペットの仲間も存在するんだが……しかし、今やよいに求められているのはそれじゃない」

    「真の、あの叫びを思い出せ。『好きだ』という、混じりっ気なない、この上ないまっすぐな叫びだ」

    「やよいに求められているのは、あの『好きだ』なんだよ」

    やよい「混じりっ気のない、まっすぐな…………音」

    「そうだ。それを、お前に教えてやる――――――――俺が、な」

    509 = 222 :

    しえん

    511 = 115 :

    やよい「っ! プロデューサー、それ」

    「そう、俺が昔使ってた……そう、ラッパだ」

    やよい「ちょっと小さいです」

    「まあ、トランペットとは厳密には違うが、それでも似た楽器だ。……ドレミの音だって同じなんだぞ」

    「……本当は、俺なんかじゃなく、本物のプロのCDでも聴かせてやったほうがいいのかもしれん」

    「だけど……なんだかなあ、俺の、わがままなんだよ、これは

    やよい「プロデューサーの、わがまま?」

    「ああ……やよいに楽器を教えていくうちに、思っちゃったんだよ……」

    「俺の音を聴かせてやりたいって。俺の音で育ててやりたいって……」

    やよい「……プロデューサー」

    やよい「……ッ、ありがとうございますっ!」

    「…………そうか」

    「言ってくれるんだな、ありがとうって……ッ!」

    「……やよい、ありがとうッ!」

    512 = 368 :

    完全に主人公が確定してる

    514 = 273 :

    この熱く爽やかなブラバン風景の本番に角笛を吹く律子が混じると思うと笑えてくる

    515 = 115 :

      ♪――    ♪――
         あの、プロデューサー……

         ―――♪   ―――♪  ん? 
     ―♪
        覚えてますかっ? わたしが……ここで泣いてたこと
        ♪――  ――♪      ♪――――
       ♪――                   もちろん
             ♪――――    ♪――
            ありがとうございます。 ―――♪    ――♪
                         というか、今でもしょっちゅう泣くし。
     ♪―――――    ♪―――
        あーっ! ひ、ひどいですぅっ!  ♪――      ――♪
           ♪――            ウソウソ。やよいは強い子だもんな。
                       ♪――
      そっ、そうですよ。もう泣いたりしません。
                            ふーん。  ♪――
         ♪――
          嘘じゃないですから。もうわたし泣きません。
                                約束か?
      ――――♪      ♪――――

                 はい!約束です!       そっか。

    518 = 115 :

    ~本番まで、あと6日~

    (やよいの音は、日増しに、力強く、優しく、まっすぐになっていってくれた)

    (俺ひとりの手柄じゃない。それは、真がくれたイメージが大元にある。貴音が授けた発想がある。俺はただ仕上げを見ただけだ)

    (やよいは、元から、強くて、優しくて、そしてまっすぐだった。それが、ようやく、音色に現れてきただけ……俺はそう思っている)

    律子「……1・2・3・4っ!」

    真美「-ッ♪!」
    亜美「♪ーッ!」
    やよい「――――♪っ!」
    社長「♪、っ♪、っ♪」

    (…………)

    律子「……はいっ、そこまで。どうです? プロデューサー?」

    「OK。……この数字は、なかなか安心していい数字だと思う」

    やよい「っ♪」
    亜美「やったねっ、やよいっちー!」
    真美「やよいっち最高じゃーっ!」

    社長「ふむふむ……10回やって、8回成功したな」

    「ええ。合奏でなく、低音パートだけの分奏ですが……これなら合奏もいけます」

    520 = 115 :

    そして合奏!


    小鳥「…っ! …っ! …っ! …っ!」

    (小鳥さんの指揮もずいぶん様になったなあ……)

    「《好きなとこへ! 連れてゆくよ! どこまででも! だってキミが……》」
    やよい「 ♪―――ッ! ♪―――ッ! ♪―――ッ!     ……    」

    「《好きだ――――――――――――――――ッ!!!》」
    やよい「 ッ♪―――――――――――――――ッ!!!》」

    (よしっ)

    (合奏でも一発成功! ……これなら、きっといける!)

    やよい「ふうっ……!」

    (すごいな。もう、誰と見比べても遜色ない。皆が皆、ステージで輝いてる)


    (本番まで、あと5日!)

    521 = 259 :

    やよかわ

    522 = 115 :

    ~ステップ3.本番のコンディションを最高に整える~

    「やよい、もう本番まで残りは少ない」

    やよい「はい」

    「これまでのやよいの頑張りは目を見張るものがある」

    「苦手だった高音を克服し……」

    「しっかりした音色を手に入れた」

    やよい「はいっ!」

    「そして、合奏でのミスも減っている……」

    「……こういう時が、一番危ないんだ」

    やよい「危ない?」

    「ああ。調子が上がってくると、演奏は楽しくなる。どんな風にも上手く吹けて、楽しくて仕方なくなるんだ」

    やよい「わかります!」

    「が……やよいの身体は機械じゃあない。疲れてしまうと、当然ダメになってしまう」

    「具体的には、唇の筋肉とかだな。酷使すると皮がはがれたり、おできができてしまったりもするんだ」

    524 = 115 :

    やよい「はうう……怖いです」

    「そうだ。演奏者にはほんと、こういうのが一番怖いんだ……」

    「だからこそ。ここからは、適度に吹いて、調子を維持して、後は休む」

    やよい「や、休んじゃうんですか?」

    「何もサボるってんじゃないさ。必要な休憩だ。本番に向けて、やらなきゃいけないことが、休むことなんだ」

    やよい「ううー……でも」

    「……ふぅ。まったく。あのな、他のメンバーに申し訳ないとか思ってるんだろ」

    やよい「そ、そういうわけじゃ」

    「顔に書いてあるんだよ。――考えてもみろ。練習の時にやすんで本番成功するのと、練習に参加しても本番失敗するの。仲間が嫌がるのはどっちだ?」

    やよい「うっ……本番失敗するほうがダメです」

    「なんだわかってるじゃないか。ほら、そうと決まったら楽器しまうぞ。今日はもう十分だ。カンを維持すればいいんだからな」

    やよい「……はい」

    526 = 115 :

    ~本番まで、あと3日~

    やよい「……♪ー 、♪ー……」

    (やよいは、練習のときはとても楽しそうだ)

    (だが)

    「よし、今日はここまでにしておこう、やよい」

    やよい「で、でも……」

    「三時間も練習したら十分だ。無理だけは絶対にダメだ。楽器しまうぞ」

    やよい「…………」

    「……うーん」

    (楽しみ始めた音楽……させてやりたい。させてやりたいが……)

    (……でも少しでも無理はさせられない。それは、他のメンバーも同じだ)

    (伊織や貴音の指示もあって、特に管楽器組は程度な練習時間を設けるようになった)

    (皆が本番に向けて、真剣だ。全力で役割を果たそうとしている)

    やよい「…………」

    (……やよい、皆より練習しなきゃいけないとか、そんなことを、まだ心のどこかに抱えてるんだろうか……)

    528 = 115 :

    伊織「……で、私のところに相談に来たと」

    「そういうわけで」

    伊織「はあ……あんた、馬鹿ね」

    「もう伊織からは100回単位で言われてるけど、このタイミングでそれは傷つくな……」

    伊織「なによ、馬鹿じゃないの」

    伊織「あんたはやよいに正しくないことを教えてるの?」

    「……そんなこと、するわけないだろ」

    伊織「なら、なんで悩んで私のところに来るわけ?」

    「……それは」

    伊織「正しいことを教えてるんでしょ。なら、自信持ちなさいよ! ――はあっ、全く情けないったらありゃしないわ」

    529 = 438 :

    しえん

    530 = 115 :

    「自信、か……はは、俺がいっつもやよいに言ってることだったんだが」

    伊織「医者の不養生、ね。指導者がそんなことじゃ説得力の欠片もない」

    「面目ないよ」

    伊織「本当にそう思ってる?」

    「思ってるよ。それに比べて、伊織は本当に頼りになるなあとも思ってる」

    伊織「……なによ、挑発かしら?」

    「本心だ。ありがとう、コンサートミストレス」

    伊織「……ふんっ、当然でしょっ」


    伊織「――じゃあ、頼りになるこの伊織ちゃんが、一つあんたに策を授けてあげるわ」

    531 = 259 :

    いおりん!

    532 = 115 :

    ~本番まであと2日~

    やよい「――みんなを訪ねる、ですか?」

    「ああ……練習を終えたあとのやよいが、どうも心ここに非ずって感じだからな……」

    「行ってこい。皆を訪ねてくるんだ、そして話でもしてくるといい」

    やよい「……でもッ、迷惑になるかも」

    「なるわけない。……それに、最近は俺がやよいをつきっきりで管理して、独り占めしちゃってたからな。みんなもやよいと話したがるさ」

    やよい「そう……ですか?」

    「そうだとも。――――思うところはあるだろうが、今は騙されたと思って、行ってこい」

    やよい「…………はい」

    533 = 222 :

    いおりんとオカリンは語感が似ている

    535 = 115 :

    やよい(プロデューサー、なんであんなこと言い出したんだろ……)

    春香「――あっ、やよい! 練習はどう?」

    やよい「春香さん! …………練習は、プロデューサーが、するなって」

    春香「あー、調整か。管楽器の子たちはいろいろ大変そうだねー」

    やよい「休んでていいんでしょうか、わたし……」

    春香「……んん?」

    春香「――ふふっ、やよいは、本当に頑張り屋さんなんだねえ」

    やよい「春香さん?」

    春香「休んでいいに決まってるじゃん! みんなも休んでるんだし、ねっ?」

    やよい「……でも春香さん、今まさにピアノの前に座ってるのに」

    春香「……勘違いしてもらっちゃ困るね、やよい。実は春香さんも今まさに立ち上がって休もうというところだったのです!」

    537 = 115 :

    やよい「う、ううー?」

    春香「だから、さあっ! 一緒にお菓子でも……」

    千早「あなたはまだでしょ、春香」グイッ

    春香「ぐえっ。ち、千早ちゃん……」

    やよい「ち、千早さん! 春香さんの首締まってます!」

    千早「大丈夫よ、演技だから」

    春香「む、むう……千早ちゃんもなかなか慧眼になってきましたね……」

    やよい「やっぱり、春香さん休まないんですよね?」

    千早「……確かに、私たちは特にまだ休まないけれど。でも、それはまだ休む必要がないから休まないのよ」

    千早「高槻さんたちの唇に比べて、私たちが使う腕は普段からつかって鍛えているものだもの」

    千早「だから、高槻さんは休んでいいんじゃないの。『休まなきゃダメ』よ」

    やよい「プロデューサーにも同じことを言われました……」

    538 = 271 :

    >>498のやよいかわいすぎ

    540 = 115 :

    春香「そういうことだよ。やよい」

    春香「やよいは誰よりも頑張り屋さんだってことは、みーんな知ってるよ」

    春香「でも、だからこそ、そんなやよいが無理して頑張るような姿は見たくないんだよ」

    春香「――やよいは、人が見たくないようなものを見せるような、悪い子じゃなあないでしょ?」

    やよい「――春香さん、千早さん……ありがとうございます」

    春香「うんうん。それじゃあ、しっかり休むんだよ、やよい」

    千早「無理はしないでね」

    春香「うーん……その台詞は、少しだけ私にもかけてくれないかな、千早ちゃん……」

    541 = 222 :

    しえん

    543 = 115 :

    やよい「無理……は、みたくない。けど、わたし、無理なんて……」

    「あれっ? やよい、一人?」

    雪歩「やよいちゃん。プロデューサーと一緒にじゃないの?」

    やよい「あっ……いえっ、ちょっと、歩いてきたらどうだって言われて」

    「ふうーん」

    やよい「お二人は……何してるんですか?」

    「ああ、アイシングだよ。雪歩にお願いしてるんだ」

    雪歩「そ、そんな。わたしのほうからやらせて欲しいってことなんだから」

    「どっちにしろ嬉しいよ。ありがとうね、雪歩」

    やよい「う、うー……あの、アイシングってなんですか?」

    「ん、こういう風に、運動した後に、筋肉を冷やすんだよ。氷を当てたり水をかけたりして」

    雪歩「真ちゃん、今日もずいぶん張り切ってダンス考えてたから……」

    「へへっ、楽器も楽しくなってきたけど、やっぱりボクはダンスが一番だからね!」

    544 = 271 :

    アイドルが楽器を扱うSSは

    545 = 115 :

    やよい「……真さん、やっぱり全力で取り組んでるんですよね。休みもせず……」

    「いや、さすがにボクも明日はじっくり休むよ?」

    やよい「……そうなんですか?」

    「まあ、さすがに前日にはぎゃぎまくって調子崩れましたー、なんて、格好つかないからね」

    雪歩「真ちゃん、いつかのライブで、そんな感じだったこと、あったよね。ふふふっ」

    「ゆ、雪歩お……それ、もう結構前のことなんだかわすれてよ……」

    雪歩「ふふふ」

    やよい「……真さん、ダンスしたくても、我慢するんですね」

    「ん? まあ、そうだけど……」

    雪歩「…………」

    雪歩「やよいちゃん」

    546 = 222 :

    しえん

    547 = 115 :

    やよい「はい?」

    雪歩「あのね、真ちゃんは我慢してるのとは、ちょっと違うと思うんだ」

    雪歩「……本番で思いっきりハジたいから、元気を蓄えてるんだよ」

    やよい「!」

    「あははっ、何それ? でも、その通りかもね!」

    やよい「元気を、蓄える……」

    雪歩「やよいちゃんの元気は、皆を幸せにできるものだから」

    雪歩「どうせなら、できるだけ多くの人の前で、元気でいて欲しいなって、わたし、思うよ」

    やよい「……真さん、雪歩さんっ! ありがとうございます!」

    「わっ、何? やよい」

    やよい「わたし、もっとほかの皆のところにも行ってきます!」

    「やよい? うーん、行っちゃった」

    雪歩「ふふっ……まあもう大丈夫じゃないかな? あっ、真ちゃん、左足だして……」

    549 :

    追いついた
    ブラバン知らんけど
    青春してるって
    いいわあ…

    550 = 115 :

    やよい「我慢するんじゃない……元気をとっておくってこと……」

    亜美「あずさおねえちゃーん」

    真美「真美たちお疲れモードだよ~」

    あずさ「あらあら……うふふっ」

    やよい「あずささん? それに亜美、真美?」

    亜美「あっ、やよいっちー! はろはろー」

    やよい「何してるの? こんなところで」

    真美「そりゃもう! 真美たちはいーっぱい練習を頑張ったのでぇ~」

    亜美「こうして、極上のあずさお姉ちゃん枕に顔をうずめているのだー!」

    あずさ「あ、あらら~……と、まあ、そういうことらしいわ~」

    やよい「亜美、真美ー、あずささんだって疲れてるんだから気をつかわないとダメだよ」

    真美「えーっ! いいじゃんねー、あずさお姉ちゃん。いいよね?」

    あずさ「うふふ、私でよければ、どうぞ~


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