元スレ岡部「ギガロマニアックス?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
402 = 1 :
俺は……。
フェイリス「凶真!!」
そうだ。
俺は。
鳳凰院凶真。
俺は。
まゆりを──
助ける!
まゆりを連れて行こうとする強い光を当てにして、手を伸ばす。
──その時。
その強い光に手が届いて──
気づけば俺の手は”それ”を握りしめていた。
403 = 274 :
覚醒キター
404 = 1 :
それは、剣。
だがそれは──
剣と呼ぶには、あまりにも歪で。
あまりにも異様。
一刃の長い刃から、数本の小振りな刃が枝分かれしていて。
およそ、人を斬るためには不向きな剣。
しかし──
その一刃一刃はすべて端然としていて。
歪さすらも包み込む蒼白い優美を放ち。
今にも折れそうなほどの繊細さと。
空に向かって突き伸びようとする力強さとを兼ね備えている。
そして一際目立つ中央の刃は。
天にも届くかと思うほど、凛々しく美しかった。
──視界の亀裂は一瞬にして弾け飛び、意識は収束する。
405 = 1 :
フェイリス「しっかりして……凶真……!」
岡部「ククッ……クッククク……」
フェイリス「凶真……?」
栄輔「まさか……もう戻ってきたと……?」
岡部(戻ってきた)
岡部「感謝する漆原栄輔。そしてフェイリス・ニャンニャン」
岡部(戻ってこれた)
岡部「ずいぶんと長いこと……忘れてしまっていた……」
岡部「そう──」
岡部「我が名は──」
岡部「鳳凰院っ──」
岡部「──凶真だっっっ!」
フェイリス「凶真ぁ……」
406 = 381 :
覚醒ktkr
410 = 1 :
岡部「やはりこの俺がっ! 世界をっ! 変えてやらねばならないようだなぁっ!」
岡部「このディソード──いや、魔剣ミストルティンを使ってな!」
岡部「この禍々しさ、まさに魔剣と呼ぶにふさわしいではないかぁ!」
岡部「フハ、フハハ、フゥーハハハハハッ!」
栄輔「何を……」
岡部(だが事態は好転したか、と問われればそうとも言い切れない)
岡部(何しろ奴は、セナやその他のギガロマニアックスを捕獲したほどの実力者)
岡部(覚醒したばかりの俺が奴の攻撃をかいくぐり、ラボに逃げ果せることが出来るのか?)
栄輔「逃しませんよ」
岡部「……!」
岡部(また心を……)
411 = 1 :
栄輔「妄想攻撃が通用しないというのであれば──」
栄輔が素早く間合いを詰め、袈裟斬りを仕掛けてきた。
岡部(まずいっ! ど、どうすれば!?)
『できると思うよ、君が望めば』
俺は周囲共通認識を作り上げ、ディソードをリアルブート。
斬撃をすんでのところで受け止めた。
ディソードとディソードがぶつかり合い、激しく火花が散る。
岡部「くっ……」
岡部(斬り合いにしても妄想攻撃を仕掛けるにしても勝てる気がしない……!)
岡部(ならばっ……!)
412 = 1 :
岡部「フハハハ、漆原栄輔よ! なぜ貴様はノア計画を引き継ごうなどと思ったのだ!?」
岡部(読め、心を。思考を。”記憶”を──今の俺にならできるはず!)
栄輔「……」
岡部「……なるほど、当時いじめを受けていた我が子のためか!」
栄輔「……!」
岡部「それでノアを使って人の攻撃性や欲望といった感情を抑えこもうとしていた野呂瀬に賛同した、と!」
栄輔「私はるかのような子らが笑える平和な世界を作りたいだけなんです」
岡部「ふむ、ルカ子はルカ子のままでいい、そう言ってやったのだな」
栄輔「…………」
岡部(確かにβ世界線でルカ子と出会った時、卑屈といっても言いくらい自分を責めていたが……)
岡部「素晴らしい志だな、だが──」
岡部「なぜ我が子を信じてやらないっ!」
栄輔「……っ」
岡部(斬り合いでも妄想攻撃でも勝てないのなら──!)
岡部(精神攻撃を仕掛けるまで──!)
414 = 1 :
その合間に次々と襲い掛かる鋭い斬撃。
その一つ一つをかろうじて受け続けつつ──
岡部「聞かせてもらおう! 野呂瀬がIBN5100を手に入れようとした理由を!」
栄輔「……」
岡部「……そうか」
岡部「奴はSERNのタイムトラベル研究に対抗するためにIBN5100を欲していたのか」
フェイリス「タイムトラベルの……?」
岡部「なるほど、せっかくノアを完成させても、SERNにタイムマシンを開発されてしまえば大きな障害になる……」
栄輔「……」
岡部「野呂瀬は……プロジェクトノアの開始と共にSERNにクラッキングを仕掛け──」
岡部「研究データの破壊、及びIBN5100を使って通信傍受システムに重大な障害を起こさせたのか!」
栄輔「…………」
岡部(だからこの世界線のディストピア構築は、タイムマシンではなく、ノアⅢによるものだったのか!)
416 = 381 :
>>415
カオヘはグロいのが平気ならマジオススメ
417 = 271 :
やはり最後の最後は厨二じゃないとな
支援だ
418 = 1 :
襲いかかる斬撃は速く、間合いも広い。
次の攻撃も、そのまた次の攻撃もなんとか受け止めるが、次第に受けきれなくなり──
脚、腕、脇腹、次々と斬られていく。
防戦一方。
岡部「うぐっ……」
フェイリス「凶真っ……もう……やめっ……」
岡部(……俺がここまで受け切れてるのも収束のおかげかもしれないな)
岡部(だがこのままでは俺は倒れ、捕まり……ノアⅢの完成を防ぐことも叶わない)
岡部(くそ……ここまでなのか?)
そう思った瞬間、ふっとと力が抜け、片膝をついてしまう。
そんな俺に影が近づき、腕を振り上げ──
岡部(……結局、収束には抗えないのか?)
フェイリス「や……やめてぇー!」
栄輔「野呂瀬くんは詰めが甘かった。私は──」
419 = 1 :
岡部「……っ」
──刀が振り下ろされた。
岡部「…………っ」
岡部「…………?」
ディソードは俺ではなく、何もない床に突き刺さっている。
これは一体……?
「それは妄想だ!」
岡部「え……」
セナ「よく耐えたな」
栄輔「なぜ君がここに……」
岡部「セナ……?」
拓巳「ふ、ふひひ、お、おまたせ……」
栄輔「西條くん、まさか……」
421 = 1 :
拓巳「セ、セナが今日、か、海外行きの航空便で連れて行かれることは、し、知ってた」
岡部「まゆりを逃がすために空港に行ったんじゃ……」
拓巳「そ、それだけじゃないよ、た、ただ二重の策をと、とっただけ。もしかしたら”見られてるかも”ってお、思ったから」
拓巳「だっ、だから僕が執事の黒木さんにお願いしたってわけさ、ふ、ふひひひひ……」
岡部「西條……」
拓巳「いっ、今の僕は、だっ、誰かを頼らなくちゃ何もできないけどっ。
そ、そんな僕にも助けてくれる人は、い、いるんだようぅっ……。
ギ、ギガロマニアックスの力がな、ないからって、な、なめないでよねっ」
拓巳「わ、わかったらさっさと降参しろおっ!」
栄輔「……」
拓巳「ひっ……に、にらむなよぅ……」
セナ「岡部! 送れ! Dメールとやらを!」
岡部「あ……」
岡部「……感謝する!」
岡部「フェイリスも来い!」
フェイリス「わ、わかったニャ!」
422 = 1 :
~大檜山ビル2階のドア~
岡部「うおおおおっ!」
フェイリス「凶真……ドア、斬っちゃって大丈夫なのかニャ……?」
岡部「問題ない、後で直す!」
岡部(というか、Dメールを送ればなかったことにできる)
岡部「よし……まだDメールを送るための機器は残っている!」
岡部(ミスターブラウン、あなたが物臭な性格で良かった!)
────
───
──
岡部「どうしてだよ、ここまで来たのに……」
岡部「ぐぐぐっ……電気が来てないっ」
423 = 1 :
岡部「おのれミスターブラウン、変なところでマメな性格をしおって……」
フェイリス「ど、どうするのニャ……?」
岡部(どうする……考えろ……)
岡部(セナがあの場を持ちこたえられなかったら、アウトだ)
岡部(悠長にミスターブラウンに交渉してる場合じゃない!)
岡部(考えろ……電気を発生させる方法を……!)
『できると思うよ、君が望めば』
岡部(いけるのか……?)
フェイリス「凶真……?」
岡部(試してみる価値はある。イメージするんだ、電気が通ってると──)
岡部(俺とフェイリスの周囲共通認識にするんだ!)
岡部「…………っ」
ブゥーン
岡部「きた! レンジが起動した!」
424 :
オカリンがギガロマニアックスになっても使いこなせない気がする
426 = 282 :
久々に凄いな
427 = 271 :
さっきからオカリンを助けてる天の声はいったい
428 = 285 :
ほ
431 = 1 :
岡部「これでDメールを送ることができる!」
フェイリス「凶真……誰になんて送るのかニャ……?」
岡部「そう、後は文面だけ……」
岡部(どう送る? 誰にどういうメールを出せば未来が変わる……?)
岡部(α世界線に戻ってしまうようなメールを送るのが一番まずい。慎重に……慎重に考えなくてはならない)
岡部(フェイリスのパパさんに野呂瀬たちを止めてもらうような文面で送るか?)
岡部(もしくは、ルカ子が虐められないように……。だめだ、どちらも不確定すぎる)
岡部(いや、野呂瀬とルカ子の父上の接触が問題なんだ……!)
岡部(この世界線では俺がIBN5100を手にしなくとも、SERNがタイムマシンを完成させることはない)
岡部(となれば……)
岡部(野呂瀬とルカ子の父上が接触しなければ……)
岡部(野呂瀬が柳林神社に行く事がなければ……)
433 = 1 :
岡部(フェイリスのパパさんが”野呂瀬”にIBN5100を売ってしまえば……)
岡部「これだ! 野呂瀬がIBN5100を手にし、かつルカ子の父君と接触しないDメール!」
フェイリス「凶真、Dメールの内容は、決まったのかニャ?」
岡部「あぁ……」
岡部「フェイリス、お前のパパさんが柳林神社にIBN5100を奉納した日、わかるか?」
フェイリス「確か、2001年の4月ごろだったかニャ……」
岡部「となれば……2001年の3月辺りに……」
ピッピッ ピッ
To:future-gadget8@hardbank.ne.jp
Sub:
本文:IBN5100を
奉納せず
野呂瀬に売れ
岡部(パパさんが文面通りに動いてくれるとは限らないが……)
岡部(奉納しなければ少なくともルカ子の父上と野呂瀬の接触は避けられるはず!)
435 = 1 :
岡部「後はメールを送れば……!!」
──ふと、背中に柔らかな感触。
ふわりと優しい匂いが鼻腔をくすぐった。
岡部「……フェイリス?」
フェイリス「また、行っちゃう、のかな……」
岡部「いや、お前との関係が無くなるわけでは……」
そう言いかけて、思い出す。
世界線が……未来が変わったら、俺がギガロマニアックスの素質を持つ可能性は低くなる。
恐らく素質を持った要因は91年に俺の母親が誘拐されたこと──
もともと俺には、ギガロマニアックスとしての素質はなかったのだから。
そうなれば──
こいつとの恋人としての関係は、恐らくなかったことになる。
だがこのメールを送らなければ……。
プロジェクトノアの再計画をなかったことにしなければ……まゆりが……。
岡部「まだ……他の方法があるかも──」
フェイリス「ううん、もういいの。またあなたを迷わせるような真似、したくないから……」
436 = 1 :
岡部「え……?」
フェイリス「パパを助けるためにメールを送ってくれた、んだよね……」
岡部「ま、まさか……記憶が……?」
フェイリス「なんとなく、この場所に来たらデジャブみたいなのがあって、それで……」
フェイリス「パパのこと……助けてくれてたんだね……」
フェイリス「過去に送れるメールを、使って……」
岡部「あ、あぁ……」
岡部(前の世界線でリーディングシュタイナーを発動させたように、この世界線でもまた……)
フェイリス「8月14日……」
岡部(α世界線から跳躍してきた日か……)
フェイリス「あの時から、倫太郎の心の中から私は消えてしまった」
岡部「そ、そんなことは……」
フェイリス「ううん、倫太郎が見ていたのは別の世界の私」
437 = 1 :
フェイリス「それでもずっと……そばにいてくれたよね、倫太郎は優しいから」
フェイリス「その優しさが嬉しくて……でも寂しくて……」
フェイリス「私は倫太郎のことを縛り付けてるんだって……」
岡部「……」
フェイリス「責任、感じてくれてたんだよね……」
フェイリス「ごめんね……」
たどり着いたのは、フェイリス以外の繋がりがなくなっていた世界線。
その状況を寂しいと思った。
心のなかを、空虚さが占めていることに気づいた。
だから唯一の繋がりであるフェイリスと一緒にいることで、心に空いてしまった穴を埋めようと──
──でもきっとそれだけじゃなかった。
俺は、変えてしまった未来に対して責任を感じてもいたんだ。
そのためにこの世界線の岡部倫太郎と同化しようとしていたんだ……。
439 = 1 :
岡部「すまない…………フェイリス」
岡部「俺は……また……」
フェイリス「……」
フェイリス「ニャフフ、いいのニャ! フェイリスは、もう十分、夢を見れたのニャ!」
フェイリス「マユシィたちを助けるためなら……仕方がないのニャ……」
俺はまた、こいつの前から消えようとしている。
それだけでなく、こいつの思い出すら……。
鳳凰院凶真がかけた言葉も、すべてなかったことに。
440 = 1 :
────
───
──
設定は完了した。
放電現象も直に始まる。
岡部「後は……メールを送信するだけだ」
フェイリスは涙をこらえたまま微笑んで。
かすかに頷いた。
賭けに勝ったはずだった。
だが賭けは終わってなんかいなかった。
まだ続いていたんだ。
442 = 1 :
俺は──
ボタンを押そうと──
指に力をこめて──
今度こそ──
勝つ!
ピッ
フェイリス「バイバイ、私の王子様……」
強烈な目眩とともに世界の形は崩れ始める。
────────────────────────
────────────────────────
443 = 1 :
世界がぼやけている。
徐々に歪みが矯正され、感覚が戻ってきた。
岡部「うぐっ……」
岡部「ここは……」
岡部「…………」
岡部「ラジ館前前……?」
岡部(瞬間移動……? いや違う、世界線が変わったからそのように見えるだけ……)
岡部(タイムマシンは……)
ラジ館にタイムマシンがめり込んだ形跡は、ない。
岡部「……」
試しに何もない空間からディソードを取り出そうとしてみる。
が、反応はない。
岡部(やはり……)
岡部(すまない……フェイリス……)
444 = 1 :
~ブラウン管工房前~
岡部「はぁっ……はぁっ……ラボは……どうなっている?」
それは慣れ親しんだ風景。
幾度となく目にした風景。
二階へ上がればラボがあり──
みんながいて、まゆりがいて。
──俺の居場所があった。
みんなの評価 : ★★★
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