元スレ七咲「先輩、部活やめちゃいました」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
101 = 86 :
純一「出来なきゃ二人して凍死だな、それか梨穂子の家にあがらせて貰うか」
美也「…りほちゃんの家の人は皆、出かけてるよ」
純一「え? どうしてそんなこと知って───一人だけ逃げるつもりだったのか…」
美也「ち、ちがうもん! ちゃんと後でにぃにに連絡するつもりだったよっ!」
純一「……」
美也「…本当だよっ…」
純一「はぁっ……まあどっちにしろ梨穂子の家は無理、梅原だって帰ってるかわからないし」
純一「…とりあえず、学校に行ってなんとかしてくるよ」
美也「……ごめんね、にぃに…」
純一「いいよ、気にするなって。……とりあえずこれでも羽織っていろ美也」ぱさっ…
美也「え……でも、これにぃにが…」
純一「直ぐ帰ってくる、それに走って行くから逆に熱くなると思うから。持っておいてくれ」
102 = 11 :
しえん
103 = 86 :
美也「…うん、わかった」こく
純一「よし、じゃあ行ってくる」たった
美也「気を付けてねー! 車とか…にぃに気を付けてよー!」
純一「わかってるよー!」たった…
美也「………」
美也「…やっぱり、にぃにはにぃにだ」
~~~~~
純一「うぉおおおおっ…すっごく寒い! やばいよこれ! 寒い!」ブルブルブル
純一「か、カッコ付けるんじゃなかった…
…ううっ、むしろ美也の上着を奪ってくるべきだったかな…」
純一「と、とにかくカギを探さないと。プールは勿論しまってるだろうから…」
純一(うーん、職員室に行けばカギを貸してもらうことぐらい出来るかな?)
純一「よし、職員室に行こう……寒い!」
~~~~~
純一「案外簡単に借りれたなぁ…まあ理由が理由だしね」すたすた
純一「──よし、ロッカーのドアはここっと……」がちゃっ
104 = 86 :
ロッカー室
純一「……おじゃましまーす」きぃ…
純一「………」
純一(暗いなぁ…確かこの辺に電気のスイッチが、あった!)
パチン!
純一「ふぅ…よし! さてさて」
純一「………」
純一「そういえば、どのロッカーで着替えたのか聞いてなかった…」
ずらー
純一「うわぁ、全部のロッカー探すのか…仕方ない、やっていくか」
~~~~~
がちゃっ
純一「んー…違うか」パタン
純一「これも違う、これもこれも…」パタン
106 = 86 :
純一「これもちがっ…ちがっ……ふぇ、ぶえっくしっ!」
純一「ずずっ…っはぁ、着替え室とは言っても寒いんだなぁ結構…」スリスリ…
純一「風邪をひく前に…探さないと…」がちゃっ
純一「このロッカーは───……ん?」
純一「なんだこれ?」ひょい
純一「…なんだ、タオルか」
純一(しかし、なんだろう、なにか見覚えがあるような無いような…)
純一「あっ……これ──七咲の、タオル?」
純一(触った感触と、この匂い…くんくん、七咲のタオルだ間違いないよ)
純一「で、でもどうしてこれがロッカーに?」
純一「七咲が水泳辞めてから三か月もたっているのに……」
純一「……どうして、こんな使って間もないように湿ってるんだ?」
107 = 11 :
におい?
108 = 44 :
においもそうだが、なぜ感触で分かる!
109 = 45 :
>>108
A、紳士だから
110 = 86 :
純一「……………」
純一「……いや、やめよう」すっ
純一「……」ぱたん
純一(これ以上、無駄な詮索はやめるんだ橘純一。
…決めたじゃないか、もう関わり合いを持つ事はやめようと)
純一(なにかしらこのタオルに、意味があったとしても…それは僕とは関係がないことなんだから)コツン…
純一(……なにも見なかった、なにも見つけなかった、ただそれだけだ)すっ…
純一「──よし、残りのロッカーも少ないしもうすぐ見つかるだろ……」
ガタタタッ!
純一「…えっ!? な、なにっ!?」ばっ
純一「っ…? な、なんだ…? なにか物音が…聞こえた…?」
純一(だ、誰か居るのかなっ!? で、でも僕がカギを開けたから…中に誰もいるはずがないだろ!?)
純一(ま、まさか不法侵入者…とか? えー!! なんていうタイミングだよ僕!)
純一「ごくっ…どうする…? 先生を呼びに行くか…? で、でもそのうちにに逃げだしてしまうかも…!」
111 = 11 :
ミステリーでは大抵の車椅子キャラは実は歩ける
112 = 86 :
純一「………」
純一「……よしっ…!」ぐっ
~~~~~
チャプチャプ…
「──……」
「気持ちいい…」
「暗くて、冷たくて、ふよふよと浮かんでいて…」
「……このまま眠ってしまっても、いいようなって…」
チャプチャプ…
「くす、そんなことしたら沈んでしまうかもしれないのに…」
「………でも、気持ちいなぁ…」
がたたたっ!
「──…えっ?」チャプッ
「───こ、こらぁあああ! そ、そきょに居るのはわかってるんだぞーー!!」ばばっ!
113 = 86 :
純一「んんー!? ふ、不敵にも泳いでるのか侵入者めぇっ!」だだだっ
「あっ……」
純一「ど、どうだ! もう逃げられないぞ! く、暗くてよく見えないがっ…」
純一「──こうやって足場に居れば! お前がどこからあがってこようがか、顔を拝める寸法だ!」
「っ…」
純一「どうした…っ? 上がってこないなら大声を上げて人を呼んでやるぞ!?」ずいっ
「え…あぶないっ…!」
純一「な、なにがあぶないだっ…危険なのはお前の方───」
ガツンッ
純一「──だろって……」ずるっ
純一「あ……落ち」
ばっしゃーんっ!
115 = 86 :
純一「ごばぁっ…ごぼごぼっ…ぐぽっ…!?」
純一「んごっ…ぐっ……」じゃばじゃ…
純一「───うぱぁっ…!!」ばしゃっ!
純一「っはぁ…っはぁ…けほっこほっ…ああ、びっくりした…っ」
純一(な、なんだ一体…なにかに足を引っ掛けて、それから……)ちらっ
純一「……え、車椅子?」
純一「………」
チャプチャプ…
純一(なんで車椅子が……あ、月が出てきて…周りが明るくなって…)
「……」
「……──」
純一「……七咲…なのか?」
「──やっぱり、先輩でしたか…」
七咲「こんばんわ、橘先輩…」ニコ
116 = 78 :
ああ、もうかわいすぎだろはああ
117 = 86 :
純一「………」
七咲「………」
純一「えっと、七咲……だよな?」
七咲「…ええ、そうですよ。七咲逢です」チャプ…
七咲「もしかして、忘れてしまいました? 私の顔を」
純一「そ、そんなワケっ……そんなワケ、無いだろ」
七咲「そうですか、それは…」
純一「……」
七咲「…ありがとうございます、憶えていてくれて」
純一「っ……どうして、お礼なんて言うんだよ七咲…」
七咲「……」
純一「お礼なんて言わないでくれよっ…僕は…!」
七咲「…言わせて下さい、だって、そうじゃないですか」
七咲「──私が先輩を遠ざけたのは、事実なんですから」
119 = 86 :
純一「それはっ!」
七咲「……」
純一「っ…それは、違うよ。七咲が遠ざけたんじゃない、僕が遠ざかったんだ…」
七咲「先輩が、ですか?」
純一「…だって、そうじゃないか。僕は七咲の言葉通りにやってしまったけれど、
それは決して七咲の……七咲の……」
純一「……いや、良いよ。ごめん、忘れてくれ…」
七咲「……」
純一「…というか、今日の事とか…その…全部忘れてくれると───」
純一「──というか七咲! 怪我は!? どうして泳いでるんだよ!? ま、まさかプールに落ちたのか!?」
七咲「えっ? …いえいえ、違いますよ。これ水面に浮かんでるだけなんです」
純一「う、浮かんでる…?」
七咲「はい、ぷかぷかーって…なにもせずに浮かんでいるだけなんです…ほら、手だって淵から離してませんし」
120 = 86 :
純一「ほ、本当だ…」
七咲「くす、心配掛けてしまって…ごめんなさい」
純一「そ、そうだよっ…七咲は足を怪我しているんだ、こんなことよく塚原先輩が…」
七咲「……」
純一「…え、もしかして、勝手に?」
七咲「はて? なんのことでしょうか?」
純一「……」
七咲「ふふっ、どーしたんですか先輩? まるで鳩がラーメンを食べたときみたいな顔をして」
純一「…その、七咲…スペアのカギとか作ってるの…?」
七咲「いいえ、違いますよ」
純一「じゃ、じゃあどうして塚原先輩にもバレずに…しかもこんな夜中に…」
七咲「……えっとー」すぃ~…
純一「───なるほど、美也か」
七咲「っ……どうしてそう思うんですか?」
122 = 86 :
純一「…ちょっとおかしかったんだよ、カギを失くすとか以前に」
七咲「おかしかった?」
純一「うん、アイツってそもそも…七咲たちと街に出かける約束してたよね?」
七咲「ん、あれ。どうして知ってるんですか?」
純一「…それはまた今度に、まあそれを知ってたんだけど」
純一「じゃあだったら、どうしてそのまま中多さんの家に行かなかったんだろうって」
七咲「………」
純一「カギが無い事に気がついたのは自宅だったとしよう、
だけどその後あいつは…まんま肉まんを買いに行っていた」
純一「そんな時間があるのだったら、途中で分かれた中多さんを追いかけて事情を話せばいいだろう?」
七咲「ただ単に、先輩を心配させたくなかったのでは?」
純一「そんなの置き手紙をしておけばいいだろ?
だけど美也はわざわざ玄関先で僕の事を待っていた、それはつまり…」
七咲「…なるほど」
123 = 86 :
純一「嘘をつき、僕を学校に向かわせる為に待っていた」
純一「…それはなぜか、ここに七咲が居る事を知っていたから」
七咲「流れ的に、私がここに入れる理由も…」
純一「ああ、美也が手を貸したんじゃないか? アイツ水泳部に友達多いしな」
七咲「…ほぼあたりです、先輩」
純一「ほぼ?」
七咲「ええ、そうです。だけど美也ちゃんが手を貸したわけではなく…」
七咲「…私が、無理やり美也ちゃんに頼んでやってもらったことなんです」
純一「……」
七咲「……色々と迷惑をかけているのに…また迷惑をかけちゃったなぁ…」
七咲「……それに、こうやって先輩と会話できるチャンスも…」
純一「七咲…」
七咲「…先輩」
純一「…どうしたの?」
七咲「──ちょっとだけこのまま……お話しませんか?」
124 :
追いついてしまった…
125 = 86 :
~~~~
チャプ…
純一「話をしたいと言っても…いいの?」
七咲「ええ、私は平気です。親には友達の所にお邪魔していると伝えているので」
純一「そこまでやってるのか…」
七咲「私の事よりも、先輩の方は……大丈夫なんですか?」
純一「え? あ、うん……制服でプールに
浸かっちゃってるけど、むしろ入ってた方が暖かいかも知れない」
七咲「温水プールですしね、だけど無理をしちゃ駄目ですよ?」
純一「……それは、七咲に言いたいよ僕は」
七咲「くす、確かにそうですね」チャプ…
純一「それで? 話ってなに?」
七咲「……大したことじゃないんです、ただ」
七咲「ずっと長い間、先輩と会話してないなって…」
126 :
支援しとく
完結させてくれ
127 = 86 :
純一「…だから、話したいってこと?」
七咲「ええ、だめでしょうか」
純一「………それは」
七咲「……」
純一「…っ…駄目じゃないよ、大丈夫」
七咲「…本当ですか?」
純一「本当だよ、うん。なんでもいいから話そうよ七咲」
純一「──いくらでも付き合ってあげるよ、僕でいいのなら」
七咲「…はいっ」
~~~~
七咲「例えばそうですね───……以前に郁夫と一緒に買い物に行った時なんですけど」
純一「郁夫君と?」
七咲「はい。二人で買い物に行くのはあんまり無くて…不安だったんですけど」
七咲「いつもしないような真面目な顔して、車椅子を押してくれたんです」
128 = 86 :
純一「そっか…しっかりしてるな」
七咲「何時もそうだったらいいんですけどね、くす」
七咲「でも本当にあの時の郁夫は……私が知らない顔を持っていて。
あー…これがお姉ちゃん離れに近づくのかなって、思ってしまって」
純一「いいじゃないか、そういったお姉ちゃん離れは優秀な方じゃないか?」
七咲「…そうでしょうか」
純一「うん、僕の妹なんて『にぃにーにぃにー』しか言ってないから」
七咲「くすくすっ、それはそれで良いじゃないですか。兄妹仲が良くて」
純一「いやいや、羨ましいよ郁夫君のこと。絶対に僕が風邪引いても面倒見てくれないよ、アイツは」
七咲「そんなことないですって。ちゃんと美也ちゃんは先輩の事を大切に思ってますよ、きっと」
純一「へぇ、どうしてそう言いきれるの?」
七咲「……もし仮に、兄思いじゃなかったのなら」
七咲「──こうやって先輩と会話することなんて、絶対にあり得ませんでしたから」
純一「……」
七咲「ですよね? 先輩?」
純一「…た、確かに」
129 = 86 :
チャプチャプ…
七咲「……先輩」
純一「ん…」
七咲「今とても…とっても楽しいです、何気ない会話なのに」
七咲「たいした話でもなくて、もっともっと重要な事を言いあわなくちゃいけないのに…」
チャプ
七咲「───今の時間が、もっと長く続けばいいなって……」
純一「……」
七咲「…だけどそれは無理なんですよね。きっと、もう…」
チャポン…
七咲「このプールから上がってしまったらオシマイなんです。
この時間も、この空気も全て…なかったことにしなきゃいけないんです」
純一「……うん、わかってるよ七咲」
七咲「…すみません、先輩…本当に…ごめんなさい」
130 = 86 :
純一「…謝らないでくれ、七咲」
七咲「……」
純一「これは、その……七咲だけの問題じゃないだろ」
七咲「…いえ、私が弱いからですよ」
七咲「私の心が弱いから、これから先……先輩に頼らず生きていけるなんて、絶対に言えないから」
七咲「……先輩に、迷惑をかけたくないから」
純一「七咲…」
七咲「…私の足はもう、動けないんです先輩」
純一「…」
七咲「元は骨折、なんですけどね。どうもお医者さんが言うには他に原因があるようで…」
七咲「…きっとその原因は、私の弱さに関係してるハズなんです」
純一「…弱さに」
七咲「ええ、私が弱いから…こうやって歩けないままでいる。怪我はもう治っているはずなのに、ずっとずっと」
七咲「──だから私は、先輩から逃げ続けなければならないんです」
131 = 86 :
七咲「先輩はきっと、自分が悪いって思ってると思います」
七咲「…私の傍から居なくなった事を、とても悪い事だって」
純一「………」
七咲「だけど、違うんです。それは…私が逃げたかっただけ」
七咲「先輩は何一つ悪く無くて、誰かがもし…先輩の事を責め立てたとしても」
七咲「──私はそうじゃないって、思ってますから」
純一「っ……」
七咲「…優しい先輩だってことは、なによりも私が知ってることなんです」
七咲「だから……ありがとうございます、わたしのことをずっと気に悩んでてくれて」
純一「…七咲、僕は…っ」
七咲「……先輩」
純一「七咲っ…」
七咲「…くす、その〝七咲〟って呼ばれるの…とても……とても」
七咲「───大好きでした、先輩」
132 = 45 :
これは良いものだ
133 = 86 :
純一「あ……うっ…」
七咲「……」
純一「っ……そうか、うん…」
七咲「…あがりましょう、手伝ってもらってもいいですか」
純一「…わかった、ちょっと待っててくれ」ばしゃっ
七咲「……」
純一「よし、ゆっくりと上がってきてくれ。抱えるから」
七咲「はい、すみません…よっと」ぐぐっ
純一「うん、そんな感じ……よいしょっとっ」
七咲「はぁっ…はぁっ…ありがとうございます…車椅子を引きよせて貰ってもいいですか…」
純一「…うん」きぃ…
七咲「んっ……よい、しょっと…っ」ぐぐっ
純一「っ……」
七咲「んっ…ぅっ…っと、ふぅ~」ぽすっ
134 :
135 :
それでもしんごなら・・・
136 :
>>26
>まあ遅れてもちゃんと梅原に責任転換すれば良いだけだよな
スレ主何歳?
137 = 86 :
純一「だ、大丈夫? どこか身体を打ちつけてないよね…?」
七咲「はぁ…ふぅ…はい、大丈夫です。心配性ですね、先輩ったら」
純一「っ…ご、ごめん」
七咲「いいんです、それが先輩だって私もわかってますよ」
純一「……」
七咲「先輩、そのままだと風邪をひいちゃいますよ?」
純一「あ、うんっ! そうだね、えっと七咲は…?」
七咲「私は大丈夫です、水着から私服に着替えるの。案外、簡単なんですよ?」
純一「……そっか」
七咲「……帰りは、美也ちゃんが送ってくれる予定なんです」
純一「……うん、わかった」
七咲「…ありがとうございます、それに今日は色々と迷惑をかけてしまって…」
純一「ううん、大丈夫だよ。僕は…こうやって七咲と会話で来て、嬉しかったから」
七咲「…はい」
138 = 86 :
>>136
あーなる語学なくてすまん
責任転嫁ね
ちょいトイレ
139 = 78 :
せつないやんけ・・
140 = 86 :
~~~~~
七咲「それじゃあ…先輩、これで」きぃ…
純一「うん…七咲、気を付けてね」
七咲「はい、気をつけます」
純一「……」
七咲「……」
純一「…じゃあ風邪をひいちゃう前に、帰るから」すっ
七咲「…はい」
純一「それじゃあ七咲───」
七咲「──はい、さようなら先輩」
すたすた…
きぃきぃ…
~~~~~~
純一「……これで、いいんだよ」
141 :
この前の森島先輩と塚原先輩はどうなっちゃったの?
142 = 86 :
純一「もうこれで……七咲とはきっぱり、関係を断てることが出来るんだ」
純一「……」
純一(帰ろう、そしてゆっくり風呂に入ってから…すぐに眠ろう)
純一「久しぶりに、押し入れのプラネタリウムでも見て眠ろうかな…」すたすた
ガタンッ
純一「えっ…?」
純一「なんだ…今、更衣室から音が……七咲…っ!」だだっ
更衣室ドア前
「──んっ…ああっ…痛いっ…痛い…」
純一「七咲…っ」すっ
「だめっ…泣いちゃ駄目っ…」
純一「っ…」ぴたっ
「ちゃんと着替えられるって、先輩に言えたんだからっ…」
ごりっ…ぎしっ…ずるずる…
純一(え…これ、なんの音だ…?)
144 = 86 :
「どんなっ…ことをしたってっ…先輩に嘘は、つきたくないっ…!」
ずるっ…べしゃっ…ずるっ…
純一(っ……もしかして、七咲…!)
純一(ゆ…床に…押し付けながら…転がりながら…着替えてるのか…?)
純一(だって水着なんて窮屈なもの…そう簡単に脱げるわけない…っ!)
純一(だからっ…床に這いつくばりながらっ…一人で、着替えて…)
「痛いっ…痛い痛いっ…っはぁ…っはぁ…もうちょっとで、脱げるんだから…っ」
純一「っ……」
「美也ちゃんが来る前に……どうにかしっ……んくぅっ…!」
純一「……」
「はぁっ…はぁっ…ふぅー……やっと、脱げた……はぁ…はぁ…」
純一「……」ギリリッ
純一「……どうしてッ…僕はこうもっ…僕は…!」ギリッ…
147 = 86 :
純一「……助けに行けよ、いまドアを開けてっ…それから七咲を抱きしめてやって…!」
純一「もう、頑張らなく良いってっ…大丈夫、僕が何とかして見せると…何時も通りかっこつければいいじゃないか…っ」
純一「だけど、だけどっ……」
純一「それは、七咲の為にはならなくてっ……それは…っ…もう…!」
純一「……ごめん、七咲…っ」
くるっ
たったったった…
~~~~
美也「───逢ちゃーん、いるー?」
七咲「あ、美也ちゃん」
美也「やっほー! …あれ? もう着替えてる、一人で出来たの?」
七咲「うん、意外と大丈夫だったから」
美也「そっか~、凄いね逢ちゃん。最近だとなんだって一人で出来る様になったよね~」
七咲「そんなことないよ、美也ちゃんや中多さん…それに塚原先輩に迷惑かけっぱなしだから」
美也「…その」
148 = 86 :
七咲「うん?」
美也「えっとね、その中に……お兄ちゃんは含まれたり、しないんだねって…うん」
七咲「……」
美也「ああ、ううんっ! なんでもないよ逢ちゃん! にし、にししっ」
七咲「…ううん、大丈夫だから」
美也「あっ……うん、じゃあ聞いてもいいの…?」
七咲「いいよ、それに…今日のお礼も返しておきたいから」
美也「お礼なんてっ…! みゃーが勝手にやったことだし、逢ちゃんが気にする事無いよっ」
七咲「それでも言わせてほしいの。美也ちゃん、先輩と話せる時間をくれてありがとうって」
美也「……逢ちゃん」
七咲「…でもね、それっきりだから。今日はとても嬉しくて嬉しくて、楽しかったけれど」
七咲「──もうこんな事はしないと、約束してくれるかな」
美也「っ……で、でも…」
149 = 86 :
七咲「感謝はしてる、だけどこれっきりにして欲しいと思ってる」
七咲「…それはわたしも、そして橘先輩も望んでる事」
美也「お、お兄ちゃんはそんなことっ…!」
七咲「ううん、きっとそうなる。今はそうじゃないって美也ちゃんが思ってても」
七咲「……そうなるように、今日は先輩と話せたから」
美也「逢ちゃん…」
七咲「…ごめんね、なんかこう…美也ちゃんの気遣いを、無下にしちゃって」
美也「……」
七咲「…ごめんね」
美也「…ううん、いいよ。それは…逢ちゃんが決めた事なんでしょ」
七咲「…うん」
美也「ちゃんとちゃんと、一人で決めて、大事なことだって思って、それから…」
美也「お兄ちゃんに、自分の正直な想いを伝えられたんだよね? そう、だよね?」
七咲「……うん、そうだよ。ちゃんと先輩には言いたい事を言えたと思う」
みんなの評価 : ★
類似してるかもしれないスレッド
- 七咲「橘先輩、無視しないでください……」 (419) - [53%] - 2011/5/2 1:45 ★
- 上条「黒子、もうやめにしないか?」 (1001) - [52%] - 2010/1/8 23:01 ★★★×11
- 後輩「先輩は彼女いないんですか?」 (263) - [52%] - 2011/10/6 5:31 ★★★
- 妹「兄貴、パソコン動かんくなった」 (1001) - [52%] - 2011/3/28 23:00 ★★★
- 杏子「先輩面すんのやめてくんない?」 (232) - [52%] - 2011/11/21 10:45 ★
- 櫻子「向日葵に飼われるのもいいかな」 (154) - [50%] - 2012/5/13 6:45 ☆
- 春香「千早ちゃんはかわいいなぁ」 (375) - [49%] - 2011/12/17 1:00 ★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について