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    元スレ上条「黒子、もうやめにしないか?」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×11
    タグ : - 黄泉川 + - くろこ + - とある科学の超電磁砲 + - アイドルマスター + - アカギ + - アレイスター + - インフィニット・ストラトス + - キョン金 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    「不幸だ…」

    ツンツン頭の男子高校生、上条当麻は大量の宿題と補講の予定を告げられしょんぼりと歩いていた。
    その背中からは哀愁のみならず負のオーラさえにじみ出ていた。
    世間は夏休み真っ只中だというのに勉強という大きな荷物を背負わされている上条はとてもネガティブだ。

    「今日はカップ麺で我慢してもらおう…」

    補講のショックは大きかったらしく、料理する気力さえわかない。

    「キィィィ!こんな所で類人猿に会うなんて不幸ですわ!」

    上条の前に現れたのはお嬢様中学、常盤台のレベル4白井黒子だった。

    「おいおい…上条さんは歩いてただけじゃないですか」

    「うるさいですの!ところでまたお姉様にちょっかいを出したりしてないんでしょうね?!」

    「あのなぁ、ちょっかいを出してくるのはいつもビリビリの方からで、上条さんは無実潔白なわけですよ」

    「はぁ…もういいですの。埒が明きませんわ。それじゃ」シュッ

    そういってテレポーターである白井黒子は姿を消した。

    「全く、何なんだよ。不幸だー」

    この短時間に彼の口癖「不幸だ」を連発するのは不吉な事象の予兆だと悟った上条は家路を急いだ。

    3 = 1 :

    身の安全を祈って早足で移動する上条だったが、先ほどの予兆は実際のものとなった。

    「ちょっと、アンタ!無視するんじゃないわよ!」

    これまた常盤台のレベル5、御坂美琴が現れたのだ。
    不幸続きの上条は彼女の数回の呼びかけに気づかなかったようだ。

    「大体ね、いっつもアンタは!…」ビリビリ

    「わかった、わかりましたから電撃をやめてくださいビリビリ様!」

    「だ、か、ら、私には御坂美琴って名前があるのよ!」ビリビリビリビリ

    「わーっ、すみません美琴さん!」

    「なっ、もうっ、分かってるなら最初からそう呼びなさいよぉ…」

    下の名前で呼ばれることを想定していなかった美琴は焦りと怒り、そして喜びが混じった表情を見せた。
    超のつく鈍感な上条は美琴の豹変振りに首をかしげていた。

    5 = 2 :

    「うぬ。これは奇なり。化粧か天狗の仕業であろうか」

    当麻は手を足をもげよとばかりに動かしたが、呼吸さえままならぬこの状態では動くはずもなく徒労であった。

    異常な事態に直面し、割れんばかりに心の臓を落ち着かせ、周りを観察してみると、人の影ひとつ、ふたつ。

    遠巻きに見られているようである。

    薄ぼんやりとした視界を広げんと当麻はさらに目を凝らした。

    ああ、あろうことかそこにいた人影は

    「おなかすいたんだよ」

    と叫んだのである。

    6 = 1 :

    「で、なんで御坂は俺を呼んでたんだ?」

    (なんだ、もう名前で呼ぶのは終わりかぁ…)
    「それはアンタが悩み事でもあるみたいにトボトボと歩いてたからよ。悩みがあるなら言ってみなさいよ」

    「そ、それはだな・・・大量の宿題と補講があって上条さんはこの先真っ暗なわけですよ」

    「なんだ、そんなことなの。ちょっと見せてみなさい」

    上条の脳内に不安がよぎった。美琴は名門常盤台のお嬢様であり、
    高校レベルの勉強ができてもおかしくはないのだ。
    高校生が中学生に宿題を手伝ってもらう、そんな屈辱は避けたかった上条は

    「いいや、これは自分自身の問題なんだ!それじゃあな!」

    「ちょ…ちょっと、待ちなさいってば!!」

    不幸から逃れようとするうちに無駄に鍛えられた脚力をフル活用して上条は逃げ去った。
    その後姿を美琴は呆れつつ眺めていた。

    7 :

    一スレで二度おいしいとは
    支援

    8 :

    とりあえずビリビリは俺が貰っていく

    9 = 1 :

    「やっ、やめてください!」

    「せっかく人が声かけてやったってのに1万すら持ってねぇってどういうことだよ!」

    科学技術が発展している学園都市だがこういったカツアゲなどの犯罪行為は後を絶たない。
    細く小柄な男子学生をガタイの良い男数名が襲っている、そんな状況だが
    『自分はかかわりたくない』という一心で道行く人々は助けようとはしなかった。


    「そこまでですの!」

    「あぁん?何の用だぁ?」

    「ジャッジメントですの!その学生を解放して投降なさい!」

    ジャッジメントである白井黒子は偶然通りかかったところでこの現場を発見した。
    彼女にとってこのようなことは日常茶飯事であり、内心はため息交じりであった。

    11 = 1 :

    「ん?こいつは確か…」

    「レベル4のテレポーターじゃなかったか?」

    「その通りですの。わかったらおとなしく投降…」

    「おい、お前ら!この間のあれだぞ、いいな?」

    「「ウッス!」」

    この集団は意外にも用意周到で、こういったときの対策を練ってあるようだった。
    白井は何が起こっているのか分からなかったが、戦いの準備に入った。

    男の一人が白井に殴りかかった。白井は空間移動でその男の背後に回り飛び蹴りを食らわそうとする。
    しかし、もう一人の男が白井がそこに来るのを待ちわびていたように鉄パイプを振り下ろした。

    鉄パイプは白井の腰周りにヒットし、鈍い音とともに白井は投げ出された。

    12 = 1 :

    「ぐはっ…」(何故ですの?移動先を読まれたんですのっ?)

    以前別の集団が白井に蹴散らされた際の行動パターンをこの男は知っていた。
    心を読む能力ではないが、白井を動揺させるのには十分な効果があった。

    自身の空間移動の演算があやふやになるほど集中力を欠かれた白井は別の手段に出ようとする。

    (こうなったら金属矢を…)サッ

    白井の放った数本の金属矢は見事鉄パイプの男を壁に打ちつけ拘束した。

    「よそ見してんじゃねぇぞ!」

    しかし、先ほど囮になった男が金属矢を放っている隙に殴りつけた。

    白井は痛みでうずくまった。

    「うっ…」(これは危険ですの…)




    「おい!何してんだよお前ら…」

    13 = 1 :

    そこに現れたのは先ほど白井や美琴に言われ放題だった上条当麻。

    「何してんだって言ってるだろ!」

    (な、なぜあの類人猿が…!)

    「いい年した男3人が1人の女の子に寄ってたかって恥ずかしくないのかよ!」

    「お前らの相手はその女の子じゃなくて俺だ!」

    「うるせぇんだよ餓鬼が!」

    「うおおおお!」

    男の1人と上条が交錯した。しかし、その右手で数々の修羅場をくぐり抜けて来た上条にとって
    チンピラ1人など相手ではなかった。

    「残りはお前だ!」

    残っているのは先ほど命令し今まで何のアクションも起こしていなかったボス格っぽい男だ。
    チッと舌打ちした男は得意気にその手に炎を灯した。

    「これでも食らいなっ!」

    上条を火球が襲った。しかしその炎は呆気なく上条の右手、幻想殺しに打ち消された。
    その右手が男を襲うまであっという間だった。

    15 = 1 :

    「白井!大丈夫か??」

    「はい、なんとか…」

    上条が差し出した手に白井は掴まって立ち上がろうとするがよろけてしまった。

    「全然大丈夫じゃないじゃないか。」

    「すみませんの…」


    「とりあえず、こいつらはどうすればいいんだ?」

    上条が指差した先は、男三人が倒れていた。

    「先ほどわたくしが警備員に連絡したのでそろそろ到着す…」

    「おい、白井?! 白井っ!」

    白井は突然倒れこんでしまった。上条の呼びかけにも反応がなかった。

    16 = 1 :


    「黒子、ただいま」

    「おかえりなさい、当麻さん。ご飯にします?お風呂にします?それとも…」

    「じゃあ黒子にしようかな」

    「もうっ、当麻さんったらぁ」

    「じゃあ飯にするかな。風呂の後は…」

    「いやん、当麻さんはエッチですのね//」

    「ハッハッハ」

    「ウフフフフ」

    「ハッハッハ」

    ・・・
    ・・

    17 = 1 :

    (ここは…病院?)

    白井は目を覚ますと、見慣れぬ風景がそこにはあった。
    それが病院だとはすぐに気づいたが、気づいたときには右手を誰かに握られていた。

    「おはよう、白井」

    ベッドの脇には上条がいた。すると即座に白井は見ていた夢をフラッシュバックしてしまった。

    「ななななっなんであなたが?!//」

    「何でって?忘れたのか?お前は男の集団に襲われてたんだぞ?」

    「そ、そうでしたわね」

    白井はとにかく動揺していた。先ほどの夢、そしてまだ握られている右手。
    かつて経験したことのない熱さが体内にこみ上げてくるのを感じていた。

    「あの…」

    「何だ?」

    「そろそろ手を…//」

    「おう、わりぃわりぃ。男を殴った後まだ手を洗ってなかったな。ハハ」

    繋いでいた手が離れると、何か寂しい気持ちが白井を包んだ。
    何が起こっているのか自身も整理がつかない状況だった。

    18 = 1 :

    「かっこ悪いところを見せてしまいましたわね」

    「何言ってんだよ。レベル4とはいえ女の子1人が3人の男に立ち向かってったんだろ?」
    「十分かっこいいじゃねぇか」

    「……」

    「それに…」

    「なん、ですの?」

    「ちっとは弱いところがあるほうが女の子らしいぞ?」

    「な…!何をおっしゃってるんですの?!」

    熱い。体中が熱くなるのを感じた。
    当然心拍数は急上昇し、顔も赤みを帯びた。

    「ん?なんか変なこと言ったか?」

    「べ、別に何でもありませんの…//」

    特別な意識もなく告げられた上条の言葉に白井は過剰に反応してしまった。
    上条の疎さを少し憎みながらも、紅潮してしまい強く反論が出来なかった。

    「いやあ、元気そうで何よりだ。ちょっとした検査が終わったら帰れると思うぞ?」
    「と言うわけで上条さんはそろそろ…」

    19 :

    タイトルが気になるがラストはハッピーエンドだと信じて
    支援

    20 = 1 :

    「あのっ!」

    「ん?」


    病室に沈黙が流れる。

    「……助けてくれてありがとうですの…」

    「なぁに、どうってことないさ。それじゃあな」

    上条は病室を去っていった。


    (『もっとそばにいて欲しい』なんて、言えるわけないじゃないですの。)
    (何考えてるの、黒子のバカバカ…)

    白井はしばらくぼーっと天井を眺めていた。
    鳴り止まぬ動悸の理由はわからないまま悶々としているのだった。

    21 = 1 :

    ガチャ
    「ただいまですの~」

    「お帰り、黒子。…ってどうしたのその包帯?!」

    「少々ジャッジメントの仕事でヘマをしてしまいましてね…」

    「まったく、軽いみたいだから良かったけど、気をつけなさいよ」

    「お、お姉様!そんなにも黒子のことを心配してくださっていたなんて、黒子は、黒子はー!」

    「わ、わかったからベタベタするのをやめなさい!」

    「──そうですわね。まだ傷も痛みますし。」

    (ん?傷があるにせよいつもと様子が違うわね…)
    美琴は普段なら更にしつこく攻めて来るはずの白井が素直にやめた事を不思議に思った。

    「ねぇ、黒子。」

    「なんですの、お姉様?」

    「なんか特別なことでもあった?」

    「……! べ、別に怪我してしまっただけでして、特別なことなんて…ありませんの…」

    蚊の鳴くような頼りない口調で、最後には俯いてしまった。
    美琴は黒子の異変を確信するも、詮索はしないことにした。

    22 :

    今日の監視スレはここだけだな

    23 :

    ちくしょう、他のキャラはどうでもいいけど黒子だけはやめろよクソ上条

    24 = 1 :

    その日の夜。常盤台学生寮のベッドの上で白井は寝付けずにいた。
    横にはスヤスヤと可愛らしいパジャマで眠りにつく美琴がいたが、そんなことには目もくれず物思いにふけっていた。

    忌み嫌っていた『類人猿』である上条が、その日『命の恩人』に変わった。
    そればかりか、彼の存在が白井の中でどんどん大きくなっていた。


    (まさか、恋?いやいや、わたくしはお姉様一筋。お姉様一筋ですの…)

    バタバタとベッドの上で悶える白井。

    第一、あのお方はお姉様が想いを寄せている方であって、わたくしは…

     『おい!何してんだよお前ら…』
     『白井!大丈夫か??』
     『黒子、ただいま』
     『ちっとは弱いところがあるほうが女の子らしいぞ?』

    (もう、何考えてるんですの!黒子のバカ!うぅ…)

    白井の夜は長い──

    25 :

    これはいいものだ

    26 = 1 :

    数日後

    「白井さん、大丈夫ですか?」
    「白井さん、白井さん!聞いているの?」

    「…はっ、すみませんですの」

    とあるジャッジメントの支部。ボーっとしている白井に同僚の初春飾利と先輩の固法美偉が声を掛けていたのだ。

    「白井さん、初春さんと一緒にこの書類の処理を頼むわね?」

    「はい、了解ですの」

    「それじゃあミスのないように気をつけてやるのよ。初春さん、よろしくね?」

    「はい、わかりましたぁ」



    「白井さん、さっきからどうしたんです?」

    「ごめんなさい初春。ちょっと寝不足ですの」

    「らしくないですね。顔も赤いですよ、大丈夫ですか?」

    「え?!本当ですのっ?」

    「ほらぁ」と手鏡を見せる初春。白井は、寝不足と言うのも本当だが
    実際は先日の夜と同じく考え事をしていたのだ。そして、無意識のうちに赤面していたのだ。

    27 = 1 :

    夏休みも中盤。普段は某暴食修道女のおかげで全く宿題に手をつけられずにいた上条は、
    「今日こそは宿題に取り掛かれるぞ」と意気込みつつ補講からの帰路を急いでいた。

    というのもこの日は某インデックスが上条の担任月詠小萌の家に焼肉パーティー兼お泊り会をするために行くと言うのだ。
    宿題さえなければ自分も…と悔しがる上条であったが、実際そんな暇もなかった。


    (誰にも会いませんように誰にも会いませんように……うお?!)

    デジャヴだった。いつかの夏休み序盤の日のように、上条の前には白井が立っていた。

    しかし、その時とは多少状況が異なっていた。


    「よ、よう白井」

    「ご機嫌いかがですの、…上条さん」

    白井は今まで「類人猿」と上条のことを呼んでいたがあの一件以来考えに考え、
    精一杯勇気を振り絞って「上条さん」と改めたのだ。だが、超ドのつく鈍感な上条は気づく訳がなかった。

    28 = 1 :

    「あの、上条さんはとても急いでいるんだ。それじゃあ…」

    「待ってください!」

    「何だい、白井…」(終わった…)

    上条にとって白井は、常に自分の前に立ちはだかってくる存在であり、
    その白井が目の前に現れたことで不幸の始まりを感じた。


    「この間はほんとうにどうもありがとうですの。それで、何かお礼がしたいんですの」

    「お、お礼?!お礼だなんて大袈裟だなぁ。そんな大した事してないぞ?それにお礼のためにやった訳じゃないし…」

    「それでも私はお礼をしないと気が済みませんの。レディーのお誘いですわよ?」

    邪魔してくるとばかり思っていた上条は拍子抜けしたが、
    ここで断っておくと不幸を招きかねないと思った上条は素直に従うことにした。

    「そ、そうか。じゃあ何をしてくれるんだ?」

    「そうですわね・・・何か、困っていることとかございませんの?」

    「困っていることねぇ……あっ!」

    上条の頭に真っ先に浮かんできたのは大量の宿題だった。
    一度美琴の誘いから逃げたものの、もう夏休みも中盤である。
    さらに今日は勉強が捗る好都合がそろっている。
    中学生に教わると言う恥など捨てよう、そう一大決心をした上条であった。

    29 = 1 :


    「宿題が終わらなくて困ってるんだ」

    「宿題?まぁ、そんなものが本当にありますのね」

    「えぇ?常盤台にはないのかよ…」

    「いいですわよ、少し見せてくださいな」

    「おう、数学はこんな感じなんだが…」

    「ふむふむ…三角関数…去年やったやつですわね」

    「たった今上条さんのプライドはズタズタに崩れ落ちました」

    30 = 1 :


    「あなたの高校は進度が遅いんですわね」

    「これ以上虐めないでください… じゃあ、早速行こうか?」

    「そうですわね。レストランですの?喫茶店ですの?」

    「へ? 何言ってんだよ、ウチに決まってんだろ?」

    「なななっ、上条さんの家ですの?!」

    「他にどこがあるんだ?上条さんの家計は火の車だし残りの宿題は全部家においてあるし」

    「そ、そうですわね…//」

    31 :

    支援ですの

    32 = 25 :

    フヒヒ

    ですの

    33 :

    「ほ~ら、着いたぞー」

    (ここが、上条さんのお家…!)

    「どうした?早く入れよ」

    「そ、そうですわね。 おじゃまします…」

    常盤台のお嬢様白井は異性の部屋に行くと言う行為自体が初めてであり、いささか緊張気味であった。
    部屋に入るとあたりを物珍しそうに見回していた。


    「散らかっていて悪いな、適当に座っていてくれ。飲み物何か持ってくるけど、麦茶でいいか?」

    「ありがとうですの。どうぞお構いなく」

    居間のテーブル脇に座ると、白井はボーっとしていた。

     ここで上条さんは普段生活していますのね…
     この匂い、上条さんの匂いかぁ…

    34 = 33 :

    「白井ー。お~い、白井さ~ん」

    「はっ、申し訳ないですn…あっ!」

    上条が台所から持ってきたコップに入っている麦茶を慌てた白井が倒してしまった。
    それどころかその麦茶は勢いよく白井のスカート付近に零れてしまった。

    「あちゃ~。ちょっと待っとけ」

    「本当にすみませんの…」

    すると上条は手際よく雑巾とバスタオルを持ってきた。

    「これで零れたお茶を、これでお前を拭いとけ、今下の着替え持ってくるから」

    「はい…って着替え?!」

    「ああ、男物しかないが大丈夫か?嫌ならいいんだが」

    「別に、大丈夫ですの…//」

    幸い、被害はスカートのみですんだ。それは白井が普段どおり際どい下着を穿いていることも理由のひとつだった。
    そして白井は異性の衣服を身に着けるという現状を把握しきれずにいた。
      

    35 = 33 :


    「一番小さいスウェット持ってきたから。ほい」

    「ありがとうですの」

    「あっちが洗面所だから、そこで着替えてこい。使いたきゃシャワーもどうぞ~」


    洗面所の扉を閉め、白井はふと思う。

     ここは殿方のお家…そこでシャワーを?!しかもこれは上条さんの衣服//
     匂いは…洗剤の匂いですわ。当たり前ですの…
     ってわたくしは何を考えていますのー!


    先ほどから妙な汗をかいているので結局シャワーも借りることにした白井。
    意を決して浴室に入ると、ゆっくりと蛇口をひねった。

    36 = 33 :


    気持ちよくシャワーを浴びる白井であったが、内心は邪念だらけだった。

    …普段ここで上条さんは裸…

    ブンブンと首を横に振る白井。上昇する心拍数。


    何考えてるの黒子!わたくしにはお姉様というお方がいらっしゃるのに…


    本来くつろぐはずのシャワーだが全く落ち着くことのできない白井は
    そそくさと切り上げて洗面所に戻った。

    ここで白井は一大事に気づいてしまった。

     
    (リビングにバスタオルを忘れましたわ!!)

    38 :

    なんだ黒子が無理やり上条さん襲って美琴に手を出させないよう骨抜きにするSSかと思ったら違った

    39 = 33 :


    白井を洗面所に送り出した後、上条の携帯が鳴った。
    なんでも隣人の土御門が渡したいものがあるとのことだ。上条は見に覚えがなく、

    おまけに白井を放置するのはいかがなものかと思ったが、速攻終わらせれば良いかと思い、家を出た。

    「で、渡したいものってなんだ?土御門」

    「これにゃー。」


    「何々?補講追加のお知らせ?あーっ不幸だー…」

    「今日カミやんが急いで帰った後小萌先生が職員室から帰ってきたと思ったらこの有様にゃー」

    「どうして上条さんはこうも不幸なんでしょうか」

    「そのフラグ量産体質でよく言うぜよ。大体カミやんはにゃー、……」

    土御門の僻みも混じった説教が始まった。上条はうんうん答えるしかなかった。

    40 = 33 :

    「上条さん!?聞こえますの?」

    先ほどから大ピンチの白井だが、さらに不穏なことに居間にいるはずの上条の返答がないのだ。

    「上条さん?いませんのー?!」

    (これは困りましたの…)
    (まさか本当にいない?)
    (こうなったら黒子、やるしかありませんの!)

    そーっと洗面所の扉を開け、周囲を確認する。やはり上条はいないようだ。
    安全を確認すると、白井は一目散に居間のバスタオルへ。

    (助かりましたの。それにしてもどうして上条さんは…)




    ガチャ
    「ああ。不幸だ」



    「「きゃあああああああああああ(うわあああああああああああああ)」」

    41 = 33 :

    「ごめんなさいごめんなさい」

    「なんてことをしてくれましたの!このっ、このっ」

    「わぁぁぁコップ飛ばさないでくれ!止めてくれ!」

    「五月蝿いですの!大体貴方はデリカシーって物が…」

    「うぉぉぉ、テレビはらめぇぇぇぇ!」

    白井は怒りと恥ずかしい思いから上条家のありとあらゆる物をテレポートさせ家主にぶつけた。
    ただでさえ異性に裸を見られるということが未経験である上に
    その相手が最近妙に意識してしまう上条であったため白井は気が気ではなかった。

    白井の一方的な攻撃はなかなか終わらなかった。

     * * * * * * * * * * * * * * * * * *

    「本当に申し訳ございませんでした!」

    彼のここぞという時の必殺技である土下座が炸裂した。
    白井は既に着替えを終えていた。
    彼の部屋は大地震でもあったかのような荒れ具合だった。

    42 = 33 :

    「それで、何故席を開けていたんですの?」

    「隣に住む友人の呼び出しがありまして、」
    「向かってみれば補講の追加が知らされた次第でございます…うぅ、不幸だ。」

    「フフっ、もういいですわよ。反省もしているみたいですし」
    「それに色々テレポートさせたらスッキリしましたわ」

    「ははあ、ありがたき幸せ~」

    「さ、一緒に片付けましょ」

    「そうだな……ププッ」

    「なっ何が可笑しいんですの?!」

    43 :

    早く続けてくれ

    44 = 33 :


    「いやあ、常盤台の制服に青のスウェットはシュールだなと思ってな」

    「それは仕方ないじゃないですの…」

    「でもそれはそれで可愛いと思うぞ?」

    「ななっ、べっ別に…可愛くなんて…ありませんの…」

    せめてものフォローに、と上条の放った言葉に白井は赤面しあっという間に茹で蛸状態になり俯いてしまった。

    「し、白井さん?また何か変なことを言っちゃいましたか?」

    「いいえ、そういう訳じゃありませんの…」(上条さんのバカ…)

    45 = 33 :

    二人は一時騒然としたものの、その後は談笑を交えつつ部屋の片付けと宿題に勤しんだ。
    端から見れば、カップルと捉えてもおかしくはない状況だった。


    「終わったぁぁぁぁぁ!」

    「お疲れ様ですの!」


    宿題が終わった頃には、
    崩れていた上条のプライドはさらに木っ端微塵になっていた。
    窓の外は既に西陽が傾きかけていた。

    「んっ、メールだ。 げっ、ビリビリからじゃん」

    「お姉様から?」

    「なになに?『黒子が帰ってこないんだけど何か知らない?』」

    「お姉様…」(まずいですの)

    「えーっと、『白井なら家に居…

    「待ってください!」

    46 = 33 :

    「どうしたんだ?」

    「いや、その……わたくしがここに居ることは秘密にしていて欲しいんですの」

    「どうしてだ?何か知られちゃいけないことでもあるのか?」

    「えーっと、門限もまだ大丈夫ですし、一応わたくしにもプライベートがあるので…」

    (わたくしと上条さんが一緒に居ることがお姉様に知れたら大変なことになりますわ…)


    認めたくはなかったが、白井も美琴が上条に想いを寄せていることを知っていた。
    自分が上条と一緒に居ることが知れれば今の関係が崩れてしまうかもしれない。

    それに、本能的に『二人きりの時間を邪魔されたくない』と感じていた。
    その一心で白井は上条を止めた。

    「わかった。上手く誤魔化しておくぞ」

    「ええ、ありがとうですの」

    48 = 33 :

    「そういや白井はビリビリと同じ部屋なんだっけか?」

    「そうですわよ。お姉様とわたくしは運命の赤い糸で結ばれてますのよ」

    「そいつはよかったな。あいつは寮でもビリビリしてるのか?」

    「時々、ですわね。お姉様の電撃はとても気持ちいいんですのよ?」

    「なんだ、寮でも電撃出してんのかよ。あいつときたらヒドいんだぜ?」

    「この間も道でバッタリあったと思ったらいきなり電撃飛ばして来て…」


    上条は心なしか楽しそうに美琴のことを話していた。
    二人はしょっちゅう遭遇している(美琴が一方的に絡んでくる)らしく、話は尽きないようだった。


    (…なんですの?このモヤモヤした気持ちは)

    (さっきから上条さんは楽しそうにお姉様の話ばかり)

    (まさか嫉妬?!いやいや、わたくしはお姉様が好きなのであって)

    (でもそれじゃあこの気持ちは一体…)

    (もう何がなんだか分かりませんの…)

    (いったいどうしてしまったのでしょうか…)

    49 = 33 :

    白井?白井ー?」

    「はっ…はい?!」

    「さっきからボーっとしてどうした?もしかして熱か?」ピト

    上条の手が白井の額にあてがわれた。これを無自覚でやっているというのだから恐ろしい男である。

    (ひゃっ、上条さんの手があっ頭に!!)

    「う~む、熱はないみたいだな・・・」


    ガチャ
    「「?!」」

    原因究明しようとしている上条と、恥ずかしくて気が気でない白井だったが、
    突然部屋のドアが開き、二人の視線が集中した。

    50 = 33 :

    すいません、今日はここまでです
    落ちたらまた立て直しますが、できれば保守お願いします…


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