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元スレ小鳥「あははは!あはははは!独身サイコー!」
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「そんな……俺がスパイなわけないじゃないですか!!」
誰よりも765のことを想い、ただひたすらに
突っ走ってきた男だ。スパイ呼ばわりされるのは最高の屈辱だった。
「社長言いすぎですぅ!!
プロデューサーはそんなことしないですぅ!!」
「そうですよ!! プロデューサーさんはいつだって
私たちの味方でした!! むしろ悪いのは勝手に休んでる
美希の方じゃないですか!!」
雪歩と春香から援護射撃が加わる。
亜美やあずさは黙って事態を見守り、
伊織は密かに社長を財閥の力で排除する計画を練っていた。
Pは全身全霊を込めて言い返す。
「でもまだ俺は終わっちゃいませんよ!!
今までの功績だって無駄じゃないでしょう!?
あともう少しだけ猶予をください!!」
「ふむ……。私もアイドル達から睨みを利かされてる今の
状況は辛い。おい水瀬君。変な組織に電話をかけるのはよしたまえ」
こんなん言われるくらいなら辞めてやればいいよ。
幸いまだ子供もいないんだからどうにでもなる。
幸いまだ子供もいないんだからどうにでもなる。
伊織はロシア語で通話するのを止めた。
「ならちゃんとPに猶予期間を与えなさいよ。
こいつはちゃらけてるようで仕事はしっかり
こなす男よ。あたしだってこいつなら美希を
トップアイドルにしてくれるって信じてるわ」
「そ……そうだね。うむ。水瀬君の言うとおりだな。
で、君。さっきは誰と話してたのかな?」
伊織はちょっとロシア政府の高官によ、とだけ言ったが、
あいにく社長は多少ロシア語が理解できたので、
恐らく内務省の人間と連絡してるだと思った。
「P君。確かに君の今までの頑張りがなければ美希君の
躍進もなかったのは事実。なので君に一か月ほど
猶予期間を与える!! それまでなんとかしたまえ!!」
――分かりました!!
――すべては765のために!!
――765プロは地上最強のアイドル事務所です!!
Pはそう叫び、伊織に頭の状態を心配されたのだった。
今日もくたくたになって帰宅するP。
以前住んでたアパートからマンションに
引っ越したので快適住まいだ。
多少大声を出しても周りから苦情が来ない程度の
立地に引っ越したのだ。お金は結構かかるけど、
愛する二人の力で頑張ると決めた。
「Pさん、今日もお疲れ様です。コーヒー飲みますか?」
「ありがとう。おとな……じゃなくて小鳥」
まだ下の名前で呼ぶことに慣れてないほどの新米夫婦だった。
恋愛結婚というより、縁談に近い。
なにせ今まではただの仕事仲間であり、
結婚は急に決まった話なのだから。
ある日、一人で仕事してた小鳥が、あははは!!
独身サイコーなどと叫んでいるところを目撃したのがきっかけだった。
黙々とPCで文章作成し、エクセルで
数字を並べ、計算してる彼女の姿を見て、Pはついに
この時が来たかと震えたのだった。
Pは最初、音無小鳥が好き好んで独身でいるのかと思っていた。
あれだけの美人でスタイルもよく、面倒見もいい彼女に
男がいないのが信じられなかった。
彼氏はいるのかとさりげなく訊いたことがあったが、
その度に小鳥は首を横に振るのだった。
……もしかして自分にもチャンスはあるのではないか。
そう思ったPは独身サイコー宣言をして泣いてる小鳥を見て、
衝動的に告白してしまい、現在に至ってしまうのである。
まさに……
「電撃結婚!!」
なのである。今発言したのはPである。
「まるでグデーリアン大将の電撃戦みたいな結婚の早さでしたよね。
私の両親も早く結婚しなさいってうるさかったから、
結婚の話はすぐ住みましたから」
「俺もバリバリ結婚適齢期だったから満足してます。
いつまでもこの関係が続けばいいのに」
それは二人の願いだった。
だがこの結婚生活が困難なことは、
今日の星井家訪問が証明してしまった。
さらに社長のあの態度。
普通の人なら退職すら考えるだろう。
なぜそこまで765にこだわるのか。
小鳥はそのことをそっと訊いてみた。
「美希も貴音も真美も真も雪歩も……みーんな
俺の大事な娘たちなんです。あの子たちを
置き去りにして、どうして俺が辞められるんですか?」
感激した小鳥は思わずPを抱きしめてしまった。
豊満な胸に顔が押しつぶされるP。
でも不思議と苦しくなかった。
なんどか味わった小鳥の匂いがした。
大人の女の匂い。ここが……あの子たちとの違いだった。
ベッドに横になった二人は時も忘れて
好意に没頭することになった。
何度もキスを交わし、手や足を絡ませる。
このマンションは二人の愛の空間だ。
ここなら誰にも邪魔されることはないし、
文句も言われない。
もともと文句など言われる筋合いがないのだ。
「好きだ小鳥。好きだ」
「はい。もっと強くしていいですよ」
裸にされた小鳥の身体がさらに乱れる。
何度味わっても小鳥に身体は飽きることがなかった。
愛に飢えていた女の身体はPを完全に受け入れていた。
女の声で喘ぎ、愛されるという感覚に酔ってしまう。
避妊など考えてないから、Pは一切の遠慮がなかった。
ただ若い情熱が求めるがままに小鳥を抱き、
胸に顔をうずめ、下腹部に手を這わせる。
小鳥の身体は良く実った果実のようだった。
汗をかきながら体位を変え、いきり立った男の
モノを挿入し、小鳥の反応を確かめる。
「あっ……ああっ……いいですっ……頭おかしくなっちゃう……」
興奮した頭では他のことなんて考えられなかった。
今日あった嫌なことだって、この瞬間だけは全部忘れられた。
「小鳥……おまえだけを愛してるよ……」
「私も大好きですよ……」
火照った顔で目を合わせ、告白しあう。
何度そうしてたか忘れてしまった。
気が付いたら寝てしまい、また朝を迎えてしまう。
朝のシャワーを浴びて小鳥の作ってくれた朝食を食べる。
一人暮らしが長かったためか、小鳥は普通に料理が作れた。
まるでいつでもPと結婚する準備が整っていたみたいで
うれしかった。一方のPはカップラーメンしか作れないが。
出社し、またしても美希が来てないことに落胆する。
社長とは廊下ですれ違ったが挨拶しただけだった。
売れっ子の竜宮小町は今日も忙しい。
Pだって手持ちのアイドルたちと仕事だ。
「さあ、今日も頑張るぞ」
「いってらっしゃいPさん」
小鳥にエールを送られ、出発する。
今日はバラエティ番組に春香たちを出演させた。
みんなアドリブがうまいので、
まあまあの出来で収録を終えてほっとする。
>>123
小鍛治さん何やってるんですか
小鍛治さん何やってるんですか
番組プロデューサーから、次もぜひ765のアイドルを
使いたいとまで言われた。向こうから見れば
大成功だったらしい。
このように仕事をさせればうまくこなせるのである。
繰り返すが、このPの弱点は女たらしという点だ。
今日も姿を表そうとしない美希のことを想うと
疲れ切った顔をしてしまうのだった。
「にーちゃんには真美たちがついてるよー?
そんなに落ち込ま苦手もいいジャン」
真美や貴音などはPに従順だった。
今まさに美希のことで落ち込んでるPの
心境を察してあげ、励ましてくれるのだった。
「美希ならきっとまた笑顔を振りまいてくれる
ようになります。今はただ待てばいいのです」
うれしさのあまり彼女たちを抱きしめたくなるが、
小鳥の顔を思い出して自省する。
慕ってくれるアイドルはたくさんいるから
まだ大丈夫だと、Pは自分を落ち着かせるのだった。
それは絶望の淵であえいでる彼に差しのべられた光だった。
それから数日が立つ。美希の仕事はストップしたままだ。
決心したPは千早から電話を借りて美希にかける。
どうせ自分の携帯じゃ出てくれないと思ったからだ。
案の定、美希は出てくれた。
「千早さん、何の用? 美希は今誰とも話したくないの」
「あにくだが俺だよ。千早から借りた携帯で話してるんだ」
「ハニー……。しつこいの」
「しつこくてもいい。俺は美希のことが心配なんだ。
なあ美希。今日は夕方には仕事終わるんだ。
どこかで会わないか?」
最初美希は難色を示したが、Pがどうしても
会って話がしたいと言うので折れてしまった。
二人はレストランで再開した。
なんてことないファミリーレストラン。
ちょうど食事時なので混雑したが、
二人がいるテーブルだけは静かだった。
互いに沈黙しており、話しかけてくるのを
待ってるような状態だった。美希の顔に涙の跡がある。
Pは彼女にかけてやる言葉が見当たらなかった。
彼女がこれだけ悲しんでるのに、自分は小鳥と熱い夜を
すごしてる能天気野郎なのだから。
「会ってくれてうれしいよ美希。
その……まだ復帰するのは難しそうか?」
「……昨日ね、お父さんにたくさん怒られちゃったの」
「え」
「ハニーったら美希のお母さんと色々相談してたでしょ?
あれから二回も家族会議が開かれて大変だったの」
美希はやる気があるのかないのかと父親に叱責され、
へこんでしまったのだという。個人的な理由で休み、
社会の色んな人に迷惑をかけたのは事実だからだ。
売れっ子アイドルとは常にスケジュールに追われるのだ。
自分の時間なんてありはしない。
例えるならデパートやスーパーの
バーゲンセールで必死になる主婦のような感じだ。
ついでに、不法侵入しないでよと美希に注意され、
素直に謝ってしまうP。
確かに社会人としてあるまじき行為であったことは事実。
なぜ玄関から入らなかったのだろうかと今更ながら後悔する。
「美希。ごめん。俺は最低だった」
「そ、そこまで自分を卑下しなくてもいいと思うな。
美希ね、ハニーに会えてうれしかったの」
「ええっ? そうだったの?」
「美希はハニーのことが大好きなの。知ってた?」
「ああ……。春香がよく教えてくれたよ。
お前の俺に対する気持ちは遊びじゃなかったんだな」
「そうなの。真剣にハニーとお付き合いしたいと思ってたの。
今更気づいても遅いけどね」
美希のことはパートナーとしか思ってなかったP。
褒めれば褒めるほど伸びるので一緒に仕事するのは面白かった。
彼女が売り上げを上げれば、それだけPの待遇もよくなるからだ。
考えてみれば、Pの結婚資金を用意してくれたのは
彼女らの頑張りがあったからともいえる。
Pは小鳥より何歳か年下だった。このご時世で二十代半ばで
結婚を決断するのは難しいものである。
「なあ美希。教えてくれ。俺はどうすればいい?」
「美希のことだけ見てくれたらいいの」
またそれかとPは思った。遠まわしに小鳥と別れろと
言ってるのだろうが、そんなことできるわけない。
「美希もハニーのお嫁さんになりたかったの。
でもそれはもう無理なの。なら愛人でもいいの」
Pはフォークを床に落としてしまった。
美希は今なんと言ったのだろうか?
この子は若干中学生にして愛人などという言葉を
口したのである。
実の親でなくとも、叱ってやりたい気持ちに駆られる。
おそらく美希の父親も同じような心境だったのだろう。
失恋が辛いのは分かるが、社会で働いてる以上は
私情は殺さなければならない。彼女がまだ高校生にも
満たない年齢なのもまた事実だが。
「そういう冗談を口にするのは止めろ。
誰が訊いてるか分からないんだぞ?」
「ならそいつらに堂々と教えてあげるの。
ハニーだって美希のこと嫌いじゃないでしょ?」
Pは今すぐ旧約聖書を取り出し、
創世記の欄を読み返したくなった。
今が中世ヨーロッパじゃなくてよかったと思った。
たとえ夫婦間だろうと淫らな性行は神が許さないのに、
妻を裏切って愛人を作るなど石打の刑にあってもおかしくない。
近代の日本ではそういった習慣はないが、
イスラム文化圏では今でも浮気の罪は重いという。
「ハニーが好きって言ってくれたらお仕事頑張るの」
「ばっ……そういう冗談はもういい!!」
「本気で言ってるの。ハニーはすぐ美希を子ども扱いするんだから」
テーブルから身を乗り出し、愛するハニーを間近で見る美希。
小鳥に勝るとも劣らない豊満な胸がそこにあった。
髪を短くしてからぐっと大人っぽくなった美希。
彼女の唇を見つめると血流が上昇してしまうのだった。
Pの家は貧しいカトリックの家系だった。
幼いころから妹と一緒に森で遊ぶことが
多かったPは、帰り道が分からなくて困ってしまうことがあった。
泣くじゃくる妹の亜麻色の髪を撫でながら、
帰り道を探すのだが、どこを歩いても同じ景色が続いてるだけ。
最後には父や母が見つけ出してくれた。
故郷のプロイセンがナポレオン三世の統治下に置かれた時も
神への信仰を捨てなかった。領地は奪われた。
でも敵の大将はPの信仰まで否定しなかった。
それは何よりの救いだった。
Pは、自分が生き延びたのは神のご加護があるからだと
強く信じるようになった。
「ハニー、いつまで考え事してるの?」
「どうしようかなって考えてたんだよ。
もう少しよく考えさせてくれ」
まあ、Pに置き換えると、小鳥が社長とラブラブチュッチュするのを目の前で見せられるようなもんだからな、美希カワイソス(´・ω・`)
神の教えに反することなど考えられない。
世界は神が創造したと本気で信じていた。
彼のアイデンティティだった。
長く苦しい塹壕戦(ww1)を戦い抜いたのも、
マリア様が見守ってくれてると信じたからだ。
今でもフランス人への恨みは完全には消えていないが。
「美希。お前の気持ちはよく分かる。
俺だって小鳥さんが他の男と浮気してるの見たら
狂ってしまうと思う」
「美希はもっと辛いの。てかハニーいったい何歳なの」
「そっか。そうだよな……。
俺はお前の気持ちを分かろうとしなかった」
「美希を傷つけた責任とってよ。あとハニーって
たぶん百年以上生きてるってことになるよね?」
美希の細かい突っ込みなどかまってやる余裕はなかった。
それより問題なのは美希の心の傷だ。
言葉で癒してあげてもよかったが、
あいにくPには良いセリフが思い浮かばない。
だから、彼はこうした。
「ハ……ニー?」
ごつごつした男の腕に抱かれ、呆然とする美希。
何かの冗談かと思った。あの鈍感なPが、
自分のことを抱きしめてくれるなんて。
Pはせめてもの償いだと口にした。
「このことは誰にも言うなよ?」
「うん。うれしい。嘘の関係でもうれしいの」
「関係って……こうしてあげるのは今だけだよ。
こうでもしないと美希は頑張ってくれないんだろ?」
だからPに不必要なプロフィールを用意するなとあれほど
早稲田卒とかいう設定にしてフルボッコにされたこともあったろうに
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