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元スレP「律子が薬をやってるだと?」
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『健康な人は誰でも、多少とも愛する者の死を期待するものだ。』
確かカミュだったと思う。
高校生だった当時はこの言葉に衝撃を受けた。
何の脈絡もなく唐突に非倫理的な意見が書かれ、ショックを受けた。
しかし、今ならその言葉の意味がわかるような気がした。
そして、俺の中にもう父親に対する憎しみがない事に気づいた。
愛することまでは無理だが、許す事はできそうだった。
最後に一度だけ父親と話してみたいと思った。
しかし、それはもう叶わぬ夢だった。
父はすでに死んでいた。
確かカミュだったと思う。
高校生だった当時はこの言葉に衝撃を受けた。
何の脈絡もなく唐突に非倫理的な意見が書かれ、ショックを受けた。
しかし、今ならその言葉の意味がわかるような気がした。
そして、俺の中にもう父親に対する憎しみがない事に気づいた。
愛することまでは無理だが、許す事はできそうだった。
最後に一度だけ父親と話してみたいと思った。
しかし、それはもう叶わぬ夢だった。
父はすでに死んでいた。
モルヒネによって殺されていた。
白痴のように成り果ててしまい、もう父親とは呼べない、父親だったものになっていた。
何もかももう遅い。
手で顔を覆った。
それは癌の痛みから逃げるためには必要なことだったのだろう。
だが、過保護過ぎて子供を死なせてしまう母親の愛情のように余計なことのように思われた。
俺は父親を殺したモルヒネを恨んだ。
白痴のように成り果ててしまい、もう父親とは呼べない、父親だったものになっていた。
何もかももう遅い。
手で顔を覆った。
それは癌の痛みから逃げるためには必要なことだったのだろう。
だが、過保護過ぎて子供を死なせてしまう母親の愛情のように余計なことのように思われた。
俺は父親を殺したモルヒネを恨んだ。
病室に戻ると父親は息を引き取っていた。
医者はお悔やみの言葉を述べると、もう用はないというようにさっさと出て行った。
俺は再びベッドの横に立って父親を眺めた。
呼吸は止まっていた。
その死に顔は酷く安らかで、もう恐怖は感じなかった。
父親は門を越えていったのだなと思った。
律子が薬物を使用しているなら、いずれあのときの父親のようになるかもしれない。
それは酷く許し難い事に思われた。
それは俺が望む律子のあり方ではない。
得体のしれない影に律子の身体を陵辱されてるような不愉快さを感じた。
亜美が疑惑を告げる前から、俺自身も最近の律子には異様さを感じていた。
以前よりもやつれたように見えるのに、その目にはギラギラした光があった。
信じたくないが、やはり律子は薬をやっているのかもしれないと考えた。
でも、今ならまだ間に合うかもしれない。
完全に壊れる前に止めなくてはいけないと思った。
すべては亜美だけが頼りだった。
頭が酷く痛むため、家に帰る事は諦めて仮眠室で眠る事にした。
電気を消して布団に入る。
どんなに眠ろうとしても律子の姿が浮かび、その日はなかなか寝付けなかった。
以前よりもやつれたように見えるのに、その目にはギラギラした光があった。
信じたくないが、やはり律子は薬をやっているのかもしれないと考えた。
でも、今ならまだ間に合うかもしれない。
完全に壊れる前に止めなくてはいけないと思った。
すべては亜美だけが頼りだった。
頭が酷く痛むため、家に帰る事は諦めて仮眠室で眠る事にした。
電気を消して布団に入る。
どんなに眠ろうとしても律子の姿が浮かび、その日はなかなか寝付けなかった。
◇
急いでドアノブを捻ったためガチャリと大きな音がした。
それを気にせずに急いでドアを開けると中へ倒れこむように入った。
両親はすでに寝ているからなるべく大きな音を立てないように気を配る。
這うようにして家に帰ってきた。
全身がだるく、喉が乾いて、身体は薬を求めて声高に叫んでいた。
私は薬が切れているということを嫌でも理解した。
トイレに隠れて打っても良かったが、不用意な行動は避けたかった。
頭の中は薬の事でいっぱいで他の事は何も考えられなかった。
私は完全に薬に依存していた。
急いでドアノブを捻ったためガチャリと大きな音がした。
それを気にせずに急いでドアを開けると中へ倒れこむように入った。
両親はすでに寝ているからなるべく大きな音を立てないように気を配る。
這うようにして家に帰ってきた。
全身がだるく、喉が乾いて、身体は薬を求めて声高に叫んでいた。
私は薬が切れているということを嫌でも理解した。
トイレに隠れて打っても良かったが、不用意な行動は避けたかった。
頭の中は薬の事でいっぱいで他の事は何も考えられなかった。
私は完全に薬に依存していた。
カバンの中から注射器を出すと、来ていたシャツをまくって腕を露出させ、薬を打った。
「ふう……」
大きく息を吐く。
薬のおかげでさっきまでの死体のような状態から生き返った気がした。
だるさも少しずつ収まり、私は再び動けるようになった。
のろのろと立ち上がり、キッチンまで行って、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して飲んだ。
最近は食事も取らず水ばかり飲んでいる。
私は自分の部屋に入ると疲れた身体をベッドに投げ出した。
シャワーを浴びる元気はなかった。
服も着替えずそのまま眠る事にした。
「ふう……」
大きく息を吐く。
薬のおかげでさっきまでの死体のような状態から生き返った気がした。
だるさも少しずつ収まり、私は再び動けるようになった。
のろのろと立ち上がり、キッチンまで行って、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して飲んだ。
最近は食事も取らず水ばかり飲んでいる。
私は自分の部屋に入ると疲れた身体をベッドに投げ出した。
シャワーを浴びる元気はなかった。
服も着替えずそのまま眠る事にした。
俺速報民だけど
「これが速報民の書く文章かゴクリ」って思った。
「これが速報民の書く文章かゴクリ」って思った。
薬を止めたら今より酷い事になるのは明らかだったから、止めることはできなかった。
普段は薬が切れたらトイレでこっそり打っていたが今日はスケジュールがタイトでそんな時間は取れなかった。
そんな事をしていても、いずれ露見するだろうと考えた。
自分の弱さが情けない。
涙が零れた。
せめて、プロデューサーには打ち明けたかった。
でも、怖かったのだ。
プロデューサーはこんな弱い私を厄介だと思い、役立たずだと考えるかもしれないと思った。
プロデューサーにだけは嫌われたくなかった。
頭の中がグチャグチャで上手く考えられなかった。
私は考えるのを止めて電気を消し、目を瞑って寝る事にした。
疲れた身体は一瞬で眠りに落ちる。
その日は何の夢も見なかった。
◇
普段は薬が切れたらトイレでこっそり打っていたが今日はスケジュールがタイトでそんな時間は取れなかった。
そんな事をしていても、いずれ露見するだろうと考えた。
自分の弱さが情けない。
涙が零れた。
せめて、プロデューサーには打ち明けたかった。
でも、怖かったのだ。
プロデューサーはこんな弱い私を厄介だと思い、役立たずだと考えるかもしれないと思った。
プロデューサーにだけは嫌われたくなかった。
頭の中がグチャグチャで上手く考えられなかった。
私は考えるのを止めて電気を消し、目を瞑って寝る事にした。
疲れた身体は一瞬で眠りに落ちる。
その日は何の夢も見なかった。
◇
俺が事務所に着いたとき、律子はすでに仕事を始めていた。
「お、早いな」
俺は平静を装って律子にそんな言葉をかけた。
「ええ。最近はあんまり書類とか企画書を書く時間が取れませんから」
律子は俺のほうを全く見ずに答えた。
ディスプレイを凝視する目つきは鋭く、キーボードを叩く指先はいつもより荒い。
律子の様子はどこかおかしかった。
しかし、このぐらいの変化は体調不良とか生理でも起こる。
これだけでは律子が薬をやっているという証拠にはならない。
俺は資料を読んでるふりをしながら、横目で律子をじっくり観察した。
律子は一旦手を止めると目薬を取り出し、上を向いて点眼した。
俺はチャンスだと思い、律子に話しかけた。
「ところでさ、今度の日曜日にライブに行かない?」
「はい?」
律子は訝しげに俺のほうを見た。
頬を目薬が流れた跡が、涙の跡に見えてドキッとした。
「テレビ局の人にチケット二枚貰ってさ。いろいろ勉強になると思って」
そう言って俺は律子にチケットを渡した。
いつもすぐ完売になってしまう有名なロックバンドのライブだ。
最初はデートしたいと喚く美希でも連れて行こうかと思っていた。
しかし、律子と一緒に行けば一日中律子の様子を伺えるから薬のことが何か分かるかもしれないと思ったのだ。
「はあ……」
律子はぼんやりと俺が渡したチケットを眺めていた。
「仕事ならしょうがないけど……」
「今日は何曜日でしたっけ?」
「水曜日だ」
律子はカバンから手帳を取り出すとパラパラとめくって予定を確認した。
「あ、空いてます。でもいいんですか?」
「もちろん。学ぶところがいっぱいあるだろうからな。今後のプロデュースにも活かせると思うし」
「そう……ですね……」
「はあ……」
律子はぼんやりと俺が渡したチケットを眺めていた。
「仕事ならしょうがないけど……」
「今日は何曜日でしたっけ?」
「水曜日だ」
律子はカバンから手帳を取り出すとパラパラとめくって予定を確認した。
「あ、空いてます。でもいいんですか?」
「もちろん。学ぶところがいっぱいあるだろうからな。今後のプロデュースにも活かせると思うし」
「そう……ですね……」
律子の顔に影がよぎる。
しかし、それも一瞬だった。
「わかりました。楽しみにしてますね!」
律子はそう言って笑った。
「ははは、じゃあ当日は律子の家まで迎えに行くから」
俺もそう言って笑った。
これは明らかにデートだ。
仕事のためという口実だが、女性と二人きりでライブを見に行くのをデートと呼ばずして何と呼ぶ。
しかし、俺の胸は高鳴ると同時に酷く痛んだ。
律子が薬物をやっていると知る前なら手放しで喜べただろう。
しかし、それも一瞬だった。
「わかりました。楽しみにしてますね!」
律子はそう言って笑った。
「ははは、じゃあ当日は律子の家まで迎えに行くから」
俺もそう言って笑った。
これは明らかにデートだ。
仕事のためという口実だが、女性と二人きりでライブを見に行くのをデートと呼ばずして何と呼ぶ。
しかし、俺の胸は高鳴ると同時に酷く痛んだ。
律子が薬物をやっていると知る前なら手放しで喜べただろう。
律子の笑みを見るたびに俺の心の中ではヘドロのようなものが渦巻いていた。
律子は俺にこんなに純粋な笑みを見せているけど、裏ではシャブの快楽を貪っているんだぜ?
女って怖いよな?
そんなことをネガティブな自分がそっと耳に囁く。
さっきまで輝いて見えた律子の笑顔が、手垢塗れで汚れているように見えた。
そして、そんなことを考える自分も汚らわしく思われて憂鬱だった。
何もかも破壊してしまいたいような衝動が沸き起こる。
「コーヒー淹れるよ」
俺はそんな衝動を掻き消すように勢いよく立ち上がった。
「あ、私がやりますよ」
律子は俺にこんなに純粋な笑みを見せているけど、裏ではシャブの快楽を貪っているんだぜ?
女って怖いよな?
そんなことをネガティブな自分がそっと耳に囁く。
さっきまで輝いて見えた律子の笑顔が、手垢塗れで汚れているように見えた。
そして、そんなことを考える自分も汚らわしく思われて憂鬱だった。
何もかも破壊してしまいたいような衝動が沸き起こる。
「コーヒー淹れるよ」
俺はそんな衝動を掻き消すように勢いよく立ち上がった。
「あ、私がやりますよ」
律子も立ち上がろうとしたが、押しとどめた。
「いいって、律子疲れてるみたいだからな」
「すみません……」
律子は申し訳なさそうな顔をして、上げかけた腰を下ろした。
「砂糖とミルクはどうする?」
「ブラックで」
「そういえば……」
俺は引き出しからお菓子を取り出す。
「コアラのマーチあるけど食べる?」
「いえ、いいです」
「いいって、律子疲れてるみたいだからな」
「すみません……」
律子は申し訳なさそうな顔をして、上げかけた腰を下ろした。
「砂糖とミルクはどうする?」
「ブラックで」
「そういえば……」
俺は引き出しからお菓子を取り出す。
「コアラのマーチあるけど食べる?」
「いえ、いいです」
ダイエットしているのだろうか。
確かにアイドルやってたころに比べたら運動量は減っただろう。
だが、最近の律子は前よりも痩せたように見えた。
やはり薬のせいなのだろうかと水の入ったやかんを火にかけながら考えた。
ダイエットになると言って薬物の勧誘をする手口があると以前読んだ。
女性は痩せれるという言葉に滅法弱い。
律子はそんな怪しげなものに手を出すはずがないと思っていただけにショックだ。
コーヒーを淹れて戻ると、律子の様子が変だった。
さっきと比べて明らかに顔色が悪くなり、具合が悪そうに見えた。
確かにアイドルやってたころに比べたら運動量は減っただろう。
だが、最近の律子は前よりも痩せたように見えた。
やはり薬のせいなのだろうかと水の入ったやかんを火にかけながら考えた。
ダイエットになると言って薬物の勧誘をする手口があると以前読んだ。
女性は痩せれるという言葉に滅法弱い。
律子はそんな怪しげなものに手を出すはずがないと思っていただけにショックだ。
コーヒーを淹れて戻ると、律子の様子が変だった。
さっきと比べて明らかに顔色が悪くなり、具合が悪そうに見えた。
Pの身の上話と今日がりっちゃんの誕生日だってことさえなけりゃまだマシなSSだったかもな
「律子?」
俺は律子に声をかけた。
「なんか……お腹痛くなってしまって……」
「大丈夫か?」
「ははは……すみません、ちょっとトイレに……」
そう言うと律子はカバンを持って立ち上がった。
律子は酷くだるそうに見えた。
ゆっくりとトイレに向かって歩いて行くがその足取りは不確かだった。
俺は律子を追おうかと思ったが止めた。
流石にトイレの中まで見に行ったら怪しまれるだけじゃすまない。
亜美がいないのが惜しまれた。
俺は黙ったまま律子を見送った。
俺は律子に声をかけた。
「なんか……お腹痛くなってしまって……」
「大丈夫か?」
「ははは……すみません、ちょっとトイレに……」
そう言うと律子はカバンを持って立ち上がった。
律子は酷くだるそうに見えた。
ゆっくりとトイレに向かって歩いて行くがその足取りは不確かだった。
俺は律子を追おうかと思ったが止めた。
流石にトイレの中まで見に行ったら怪しまれるだけじゃすまない。
亜美がいないのが惜しまれた。
俺は黙ったまま律子を見送った。
問題はこのPには問題突破能力が無い事だなぁ
いざとなると自分のトラウマを明らかに優先するタイプ
いざとなると自分のトラウマを明らかに優先するタイプ
律子はなかなか帰ってこなかった。
仕方なくコアラのマーチを開けて口に放り込む。
チョコレートの甘みが毎日の激務で疲れ切った頭を癒してくれる。
疲れている律子に食べて欲しかったが断られてしまったので一人で全部食べた。
律子は30分ぐらい経ってから戻ってきた。
「大丈夫か?辛いなら帰ったらどうだ?」
「いえ!全然問題ありません!」
トイレに行く前とは打って変わって、律子はやけにハツラツとしていた。
足取りも軽く、さっきまでのような千鳥足では無かった。
俺は律子にトイレで何をしてきたのか聞きたかった。
だが、セクハラになりそうだったので止めた。
俺はまた一つ証拠を見つけたようで悲しくなった。
「そうか……無理するなよ……」
律子にそう忠告して仕事に戻った。
律子を疑ったまま一緒にいるのが辛くなり、20時に帰ることにした。
「律子はまだやってくのか?」
「ええ、あと少しですから」
「そうか、じゃあ施錠頼んだぞ」
「はい、お疲れ様でした」
「お疲れ」
俺はまた一つ証拠を見つけたようで悲しくなった。
「そうか……無理するなよ……」
律子にそう忠告して仕事に戻った。
律子を疑ったまま一緒にいるのが辛くなり、20時に帰ることにした。
「律子はまだやってくのか?」
「ええ、あと少しですから」
「そうか、じゃあ施錠頼んだぞ」
「はい、お疲れ様でした」
「お疲れ」
そう言って事務所を出た。
大きくため息をついた。
律子といると神経がかなり磨り減る。
疑いの眼差しで見ると、その一挙手一投足が怪しく見えた。
特に、具合悪そうだったのがトイレに行った後、すぐ直っていたのが怪しかった。
俺はあの時律子はトイレに薬を打ちに行ったのだと考えた。
しかし、それはそういう目で見ているからそう見えるのかもしれない。
単純に腹痛だった可能性もあった。
そして、俺はそう思いたがっていた。
はっきり黒だとわかるまでは、律子が薬をやっていると決めつけたくなかった。
大きくため息をついた。
律子といると神経がかなり磨り減る。
疑いの眼差しで見ると、その一挙手一投足が怪しく見えた。
特に、具合悪そうだったのがトイレに行った後、すぐ直っていたのが怪しかった。
俺はあの時律子はトイレに薬を打ちに行ったのだと考えた。
しかし、それはそういう目で見ているからそう見えるのかもしれない。
単純に腹痛だった可能性もあった。
そして、俺はそう思いたがっていた。
はっきり黒だとわかるまでは、律子が薬をやっていると決めつけたくなかった。
真実と向き合う勇気がなくて、逃げているだけの自分がじれったい。
俺は暗くなったビルの谷間で思い切り叫びたくなった。
◇
仕事が終わって家に帰ってきたのは22時すぎだった。
今日も家に帰ってきてから、まず薬を打った。
ぼんやりしていた頭が冴えていく。
本来の自分を取り戻していくようで嬉しくなり、思わず笑ってしまった。
「……ははは……ははっ……」
異常者になったような気分だ。
もう薬がない生活は考えられなかった。
俺は暗くなったビルの谷間で思い切り叫びたくなった。
◇
仕事が終わって家に帰ってきたのは22時すぎだった。
今日も家に帰ってきてから、まず薬を打った。
ぼんやりしていた頭が冴えていく。
本来の自分を取り戻していくようで嬉しくなり、思わず笑ってしまった。
「……ははは……ははっ……」
異常者になったような気分だ。
もう薬がない生活は考えられなかった。
だって私は薬によって生かされているのだから。
酷く喉が渇いていた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すとラッパ飲みした。
口から零れた水が顎を伝って服を濡らした。
袖で濡れた口元を拭う。
心が次第に荒んでいく気がした。
いつまで薬を打ち続ければいいのだろうかと考えた。
薬を打っているこの状況が良くないことは理解している。
こんな生活を続けていっても身体は壊れる一方であることも。
やめられるなら今すぐにでもやめたい。
酷く喉が渇いていた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すとラッパ飲みした。
口から零れた水が顎を伝って服を濡らした。
袖で濡れた口元を拭う。
心が次第に荒んでいく気がした。
いつまで薬を打ち続ければいいのだろうかと考えた。
薬を打っているこの状況が良くないことは理解している。
こんな生活を続けていっても身体は壊れる一方であることも。
やめられるなら今すぐにでもやめたい。
それができるならこんなに悩むことはなかっただろうが。
心の底にに膿が溜まっていくような気分で胸が苦しくなった。
特に今日の朝のことは私を酷く苛立たせた。
危なくプロデューサーの前で醜態をさらすことになりかねなかった。
せっかく今まで隠してこれたのに、その努力が水の泡になるところだった。
今日は薬が切れるまで忘れていた。
私は自分の迂闊さを呪った。
ここの所体調が悪く、仕事が思うように進んでいない。
だから今朝は早く出勤する必要があり、その結果家で薬を打つのを忘れてしまった。
どうにかしなければいけない問題が山積みだった。
心の底にに膿が溜まっていくような気分で胸が苦しくなった。
特に今日の朝のことは私を酷く苛立たせた。
危なくプロデューサーの前で醜態をさらすことになりかねなかった。
せっかく今まで隠してこれたのに、その努力が水の泡になるところだった。
今日は薬が切れるまで忘れていた。
私は自分の迂闊さを呪った。
ここの所体調が悪く、仕事が思うように進んでいない。
だから今朝は早く出勤する必要があり、その結果家で薬を打つのを忘れてしまった。
どうにかしなければいけない問題が山積みだった。
でも、プロデューサーには知られたくない。
プロデューサーに知られることでダメな人間だと思われるのは、社会人としても女としても嫌だった。
脱衣場に行き服を脱いだ。
ふと鏡をみると腕の部分が目に止まった。
腕はいつも薬を打っているところだ。
注射針の跡がたくさん残っている。
指先でそっと撫でた。
痛みはない。
それなのに、何故か心は酷く痛んだ。
私の崩壊は少しずつ進んでいる気がした。
プロデューサーに知られることでダメな人間だと思われるのは、社会人としても女としても嫌だった。
脱衣場に行き服を脱いだ。
ふと鏡をみると腕の部分が目に止まった。
腕はいつも薬を打っているところだ。
注射針の跡がたくさん残っている。
指先でそっと撫でた。
痛みはない。
それなのに、何故か心は酷く痛んだ。
私の崩壊は少しずつ進んでいる気がした。
他人から見てもわからないほどゆっくりだったが、毎日見ている私には嫌でもわかった。
それは私を蝕んでいき、いずれ私の身体と精神を腐らしてしまうのは明らかだった。
鏡の中の私は涙を流した。
私は急いでバスルームに入った。
そして、シャワーノズルから出る冷水を全身に浴びた。
普段なら思わず叫んでしまうだろうが、今はそんな声は出なかった。
私はシャワーが好きだ。
シャワーは目から零れた涙を洗い流し、抑えきれなかった嗚咽を水が床を打つ音で掻き消してくれるから。
◇
それは私を蝕んでいき、いずれ私の身体と精神を腐らしてしまうのは明らかだった。
鏡の中の私は涙を流した。
私は急いでバスルームに入った。
そして、シャワーノズルから出る冷水を全身に浴びた。
普段なら思わず叫んでしまうだろうが、今はそんな声は出なかった。
私はシャワーが好きだ。
シャワーは目から零れた涙を洗い流し、抑えきれなかった嗚咽を水が床を打つ音で掻き消してくれるから。
◇
何でアイマスでやるんだろ?そもそも二次創作でやるのが理解できん。
オリジナルの設定でやればいいのに。
オリジナルの設定でやればいいのに。
亜美が写真を撮るのに成功したのは、俺に話してくれた日から三日後のことだった。
音無さんが帰ったら亜美が撮った写真を見せてもらうことになっていた。
音無さんは今日も定時で帰った。
「兄ちゃん……これ……」
亜美は震える手でSDカードを差しだした。
俺は黙ってそれを受け取った。
俺は中身を見たくなかった。
しかし、せっかく亜美が撮ってきてくれたのだから、見ないわけにはいかなかった。
カードリーダーにそれを差し込み、中のデータをPCに取り込む。
そこには律子の写真が一枚だけ入っていた。
音無さんが帰ったら亜美が撮った写真を見せてもらうことになっていた。
音無さんは今日も定時で帰った。
「兄ちゃん……これ……」
亜美は震える手でSDカードを差しだした。
俺は黙ってそれを受け取った。
俺は中身を見たくなかった。
しかし、せっかく亜美が撮ってきてくれたのだから、見ないわけにはいかなかった。
カードリーダーにそれを差し込み、中のデータをPCに取り込む。
そこには律子の写真が一枚だけ入っていた。
携帯で撮った写真のようだが、かなり鮮明に写っている。
律子はどこかの廊下のベンチに腰掛けているようで、全体的に薄暗い印象を受けた。
律子は上着を脱いでシャツの袖を肩まで捲り上げていた。
そして、ペンぐらいの大きさの注射器を使って腕の外側に薬を注射していた。
俯いているため表情はハッキリとはわからなかった。
俺は律子が薬に陶酔しているところを見ずに済んで良かったと安堵した。
それを見てしまったら、俺の中の律子が本当に壊れてしまう気がしていた。
しかし、これは律子が薬をやってる紛れもない証拠だ。
できれば亜美の嘘であって欲しかった。
亜美を疑っていたわけではない
律子はどこかの廊下のベンチに腰掛けているようで、全体的に薄暗い印象を受けた。
律子は上着を脱いでシャツの袖を肩まで捲り上げていた。
そして、ペンぐらいの大きさの注射器を使って腕の外側に薬を注射していた。
俯いているため表情はハッキリとはわからなかった。
俺は律子が薬に陶酔しているところを見ずに済んで良かったと安堵した。
それを見てしまったら、俺の中の律子が本当に壊れてしまう気がしていた。
しかし、これは律子が薬をやってる紛れもない証拠だ。
できれば亜美の嘘であって欲しかった。
亜美を疑っていたわけではない
それだけ律子を信じていたのだ。
俺は律子に裏切られた気がして、陰鬱な気分になった。
「ねぇ……兄ちゃん……これからどうするの?」
亜美は悲しげにそう言った。
「どうするって……何がだ?」
俺の頭はその写真が衝撃的で上手く回っていなかった。
「律ちゃんと直接話すの?」
「うーん……」
俺は悩んでいた。
本来なら社長に話すべきなのだろうが、話してしまえば律子は終わりだ。
俺は律子に裏切られた気がして、陰鬱な気分になった。
「ねぇ……兄ちゃん……これからどうするの?」
亜美は悲しげにそう言った。
「どうするって……何がだ?」
俺の頭はその写真が衝撃的で上手く回っていなかった。
「律ちゃんと直接話すの?」
「うーん……」
俺は悩んでいた。
本来なら社長に話すべきなのだろうが、話してしまえば律子は終わりだ。
解雇されるのは間違いなかった。
律子と一緒に仕事ができなくなるのは嫌だと考えた。
しかし、薬物をやっているような人間を放って置いていいのだろうか。
俺たちプロデューサーはアイドルの管理を任せられているのに、薬物に手を出しているとなると問題だ。
アイドル達にまで薬物の使用が広まったら大変な事になる。
白いウサギ事件などが記憶に新しいが間違いなく警察沙汰になるだろう。
765プロの信用どころの話ではない。
「兄ちゃん……亜美、ちょっと律ちゃんが怖い」
「え?」
亜美は俯いたままそんなことを言った。
律子と一緒に仕事ができなくなるのは嫌だと考えた。
しかし、薬物をやっているような人間を放って置いていいのだろうか。
俺たちプロデューサーはアイドルの管理を任せられているのに、薬物に手を出しているとなると問題だ。
アイドル達にまで薬物の使用が広まったら大変な事になる。
白いウサギ事件などが記憶に新しいが間違いなく警察沙汰になるだろう。
765プロの信用どころの話ではない。
「兄ちゃん……亜美、ちょっと律ちゃんが怖い」
「え?」
亜美は俯いたままそんなことを言った。
亜美がどんな顔をしてそんなことを言っているのか俺にはわからなかった。
「だって……学校の保険の時間にやったよ?薬物に手を出したら、どんなに普通の人でもおかしくなっちゃうんでしょ?」
「……」
俺は何も言い返せず、黙ったまま亜美の言葉を肯定も否定もしなかった。
「こんなこと考えちゃいけないって思うんだけど……でも、律ちゃんもおかしくなっちゃうのかな?」
亜美はぼそりとそんなことを言った。
俺は亜美の質問に答えられなかった。
それはずっと考えないようにしていたことだった。
あの律子が幻覚や幻聴に取り憑かれておかしくなってしまうなど考えたくなかったのだ。
俺はプロデューサーだ。
「だって……学校の保険の時間にやったよ?薬物に手を出したら、どんなに普通の人でもおかしくなっちゃうんでしょ?」
「……」
俺は何も言い返せず、黙ったまま亜美の言葉を肯定も否定もしなかった。
「こんなこと考えちゃいけないって思うんだけど……でも、律ちゃんもおかしくなっちゃうのかな?」
亜美はぼそりとそんなことを言った。
俺は亜美の質問に答えられなかった。
それはずっと考えないようにしていたことだった。
あの律子が幻覚や幻聴に取り憑かれておかしくなってしまうなど考えたくなかったのだ。
俺はプロデューサーだ。
普通のプロデューサーなら取るべき行動は一つだった。
「そうだな……社長に話してくるよ……」
「うん……」
亜美は自分を責めているように見えた。
律子のことがばれてしまったのは自分のせいだと後悔しているのだろう。
俺は亜美の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「亜美はもう帰れ。それで、ご飯をいっぱい食べてさっさと寝ちゃえ」
「うん……」
「寝ちゃえば大抵のことは大したことはないと思えるって偉い人も言ってたからな」
「うん……」
亜美は俺のアドバイスをあまり聞いてなかった。
落ち込んだまま、とぼとぼと一人で帰っていった。
「そうだな……社長に話してくるよ……」
「うん……」
亜美は自分を責めているように見えた。
律子のことがばれてしまったのは自分のせいだと後悔しているのだろう。
俺は亜美の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「亜美はもう帰れ。それで、ご飯をいっぱい食べてさっさと寝ちゃえ」
「うん……」
「寝ちゃえば大抵のことは大したことはないと思えるって偉い人も言ってたからな」
「うん……」
亜美は俺のアドバイスをあまり聞いてなかった。
落ち込んだまま、とぼとぼと一人で帰っていった。
亜美が帰っていったのを見届けると俺は律子の写真をプリンターで印刷した。
社長に言葉で説明するよりも、この写真を見せたほうが早いと思った。
「……よし」
頬を叩いて自分に気合を入れた。
俺は社長室の前に立つとドアをノックした。
「どうぞ」
社長の返事を聞いてからドアを開けた。
「失礼します」
「ん?どうしたんだね?」
社長は机の上で書類を書いていた。
仕事中なのに邪魔するのは気が引けたがやむを得なかった。
「見ていただきたいものがあるんですが……」
俺は印刷したばかりの写真を渡した。
「これは…………」
社長はその写真を見ると大きく目を見開いた。
明らかに動揺していた。
「社長はご存知だったんですか?」
俺は驚き、社長にそう尋ねた。
社長は俺の質問には答えず、大きくため息をついた。
「これはどうしたのかね?」
「見ていただきたいものがあるんですが……」
俺は印刷したばかりの写真を渡した。
「これは…………」
社長はその写真を見ると大きく目を見開いた。
明らかに動揺していた。
「社長はご存知だったんですか?」
俺は驚き、社長にそう尋ねた。
社長は俺の質問には答えず、大きくため息をついた。
「これはどうしたのかね?」
「言えません」
「そうか……」
社長は急に老け込んで見えた。
ハンカチをポケットから取り出し、顔を拭った。
右手で眉間を解しながら、再び大きく息を吐いた。
社長の顔から普段のエネルギッシュなオーラは消え去り、身体は一回り小さく見えた。
「嘘をついても仕方がない。私はこのことを知っていた」
「そんな!」
俺は驚きの声をあげた。
まさか、社長が知っているとは思わなかった。
「そうか……」
社長は急に老け込んで見えた。
ハンカチをポケットから取り出し、顔を拭った。
右手で眉間を解しながら、再び大きく息を吐いた。
社長の顔から普段のエネルギッシュなオーラは消え去り、身体は一回り小さく見えた。
「嘘をついても仕方がない。私はこのことを知っていた」
「そんな!」
俺は驚きの声をあげた。
まさか、社長が知っているとは思わなかった。
俺は社長にまで裏切られていたのだ。
強い疎外感と不信感を覚えた。
「そんな……知ってたのに、ずっと黙ってたんですか?」
「ああ、そうだ……」
社長の返答には覇気がなかった。
淡々と俺の質問に答えていた。
その様子は嘘に見えなかったが、俺は疑心暗鬼に苛まれた。
「……律子が自分から社長に話したんですか?」
「そうだ。そして君には黙っていて欲しいと言われた」
「なぜ……?」
強い疎外感と不信感を覚えた。
「そんな……知ってたのに、ずっと黙ってたんですか?」
「ああ、そうだ……」
社長の返答には覇気がなかった。
淡々と俺の質問に答えていた。
その様子は嘘に見えなかったが、俺は疑心暗鬼に苛まれた。
「……律子が自分から社長に話したんですか?」
「そうだ。そして君には黙っていて欲しいと言われた」
「なぜ……?」
「君に自分の弱さを見せたくなかったのだろう。律子君は強い女性だからね……」
「律子を……このまま雇い続けるつもりですか?」
俺は今まで知っていたのに何の手も打っていなかった社長のやり方に疑問を抱いた。
「仕事に支障が出ない限りはそうするつもりだ」
「そんな!アイドルへの影響を考えたらこれ以上は……」
「律子君は聡明だ。どうしてもダメになったら自分から言うだろう」
「本当にそれでいいんですか?後で問題が起きる可能性もありますが……」
「これは経営者としての私の判断だ。そして、私は律子君自身に判断を任せた。だから、これは律子君が決めることだ」
そう言って社長は黙った。
話はこれで終わりのようだった。
俺は社長から印刷した写真を返してもらうと社長室を出た。
「律子を……このまま雇い続けるつもりですか?」
俺は今まで知っていたのに何の手も打っていなかった社長のやり方に疑問を抱いた。
「仕事に支障が出ない限りはそうするつもりだ」
「そんな!アイドルへの影響を考えたらこれ以上は……」
「律子君は聡明だ。どうしてもダメになったら自分から言うだろう」
「本当にそれでいいんですか?後で問題が起きる可能性もありますが……」
「これは経営者としての私の判断だ。そして、私は律子君自身に判断を任せた。だから、これは律子君が決めることだ」
そう言って社長は黙った。
話はこれで終わりのようだった。
俺は社長から印刷した写真を返してもらうと社長室を出た。
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