私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。
元スレ男「妖怪だと・・・?」妖怪女「・・・」
SS スレッド一覧へ / SS とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★
レスフィルター : (試験中)
鬼「下手に修行をして力をつけても、退魔師に感づかれる」
鬼「そこで俺は、全国を行脚し、低位の妖怪どもに話をして回った」
鬼「東京のビップ山に切り札がある。それを使える日が来たとき、ビップ山に集えと」
女妖怪「切り札とは・・・老人の事か」
鬼「そうだ。俺は老人の妖力を用いて、人間に復讐しようと考えた」
鬼「だが、待てども待てども老人の妖力は衰えず・・・。気づけば300年が経っていた」
鬼「そんなある日の事だ。封印が、一瞬だけ緩んだ瞬間があった」
男「それって・・・もしかして・・・」
鬼「俺はすぐに分かったよ。九州でアンタの封印が解けたんだろうと」
鬼「老人の妖力の半分はアンタの妖力だ・・・。アンタの体に戻ろうとするのが自然なこと」
鬼「その妖力が緩んだ瞬間を狙い、俺は封印を解き、老人を食らった」
女妖怪「そうか・・・。私の妖力が老人の妖力と混ざりそれで私は妖力移動の術を・・・」
鬼「そして、今に至るわけだ。どうだ、女妖怪・・・いや、葬姫。これがお前の愛した男の最期・・・そして!!」
鬼「この黒い妖気の塊こそが、老人なのだ!!!」
鬼「俺はこいつと同化し、東京を壊滅させる」
鬼「そして、日本を妖怪の国にするのだ!! フハハハハハ!!!」
鬼は高らかに笑うと、黒い巨人に取り込まれていった。
女妖怪「男よ」
男「・・・なんだ」
女妖怪「この黒い巨人。これは、様々な妖怪の思念、憎悪、感情がこもっておる」
女妖怪「いわば、妖怪の集合体じゃ」
男「うん・・・」
女妖怪「じゃがの」
女妖怪「この巨人を構成してまとめているのは、老人の妖力」
女妖怪「つまりこいつは、妖力の集合体とも言えるのじゃ」
男「女妖怪・・・・。お前まさか・・・」
女妖怪「男よ。今から私は、この巨人を全て吸収する」
男「無茶だろ。こんなでかいくて禍々しいの吸収したら・・・お前の体がもたんだろ!!」
女妖怪「・・・老人の妖力が相手では、私でも太刀打ちできん」
女妖怪「私は本気で老人に戦いを挑み、勝った事は一度もない」
女妖怪「じゃが。今は老人の、妖力吸収を使う事が出来る」
男「あいつの体を吸って! それでその後、お前はどうなる!!」
女妖怪「・・・男よ」
女妖怪「お前は私の主じゃ。その首飾りで、私の妖力を吸収できる」
男「!!!」
女妖怪「良いか男。私があの巨人の妖力を全て吸収した後・・・・その首飾りに、私の妖力を全て移せ」
男「そんなことして・・・大丈夫なのか!?」
女妖怪「わからん。その首飾りが妖力を吸収できる限界を超えるかもしれん。
女妖怪「だがな」
女妖怪「ここで、やらないわけにはいかんのじゃ・・・!」ギリッ
女妖怪の握り締めた拳がワナワナと震えていた。
男「女妖怪・・・」
女妖怪「男よ」
男「・・・なんだ」
女妖怪「猫又を頼む」
男「何言ってんだよ・・・。これから死にに行くみてえじゃねえか・・・」
女妖怪「そんな気は毛頭ないが・・・念のためな」
男「くそっ・・・!! お前は最強だろ!? 俺の僕だろ!! 死ぬわけないだろ!!」
女妖怪「・・・・・・それも、そうじゃな」ケタケタ
女妖怪「それと、もう一つだけ」
女妖怪「もし私が死んだら、そのときは」
女妖怪「男・・・お主が、人間と妖怪との架け橋になってくれ」
女妖怪が走り出す。
黒い巨人がその巨体に似合わぬ速度で反応するが、
それよりも更に速く、女の術が発動する。
「ぐぅうおおぉぉおぉおおお!!!!???」
黒い巨人を、緑の光が包み込む。
その光が、滝のように女妖怪へと吸い込まれていった。
女妖怪「ぐっ・・・くっ・・・ううううう!!!!」
歯を食いしばるその表情が、男の胸に突き刺さる。
女妖怪の思いを、無駄にはできない。
男「おおおおおおお!!!」
女妖怪が吸い取った妖力を、男が首飾りに注ぎ込む。
黒い巨人の体は見る見るうちに小さくなり、やがて消滅した。
後には何も残らなかった。
女妖怪が、静かに体を地に伏す。
その体から、男の首飾りへ。
溢れんばかりの緑光が降り注ぎ。
その光が消えようとした頃。
乾いた、小さい音と共に。
男の首飾りが割れ、粉々に砕けた。
ヒュゥゥー、と。
風が空を切る音が聞こえた。
風が撫ぜるは、草木の葉。
女妖怪の長い髪。
男の頬。
そして、粉々になった首飾りのかけらも、風に乗り、空のかなたへと消え去った。
男は、空を見上げる。
いつの間にか、夜になっていた。
風で雲も吹き飛んだのか、星がいくつもいくつも見えた。
男「・・・女妖怪」
倒れこんだ女妖怪に歩み寄る。
その意識は、ない。
呼吸を、していない。
男「・・・・女妖怪!!」
何度呼びかけても、何度ゆすっても。
女妖怪は何の反応もしなかった。
猫又「女妖怪様・・・?」
いつの間にか、猫又がいた。
男「猫又・・・女妖怪が・・・」
猫又「・・・男」
猫又「全てを話せ」
―――
――
―
―
――
―――
猫又「なるほど・・・そんな事が」
男「女妖怪は・・・。自分の命を犠牲にしてまで・・・」
猫又「・・・・いや」
猫又「女妖怪様は死んではおらん・・・」
男「!? ほ、本当か!!」
猫又「かすかに生気はある・・・だが」
猫又「・・・妖力が無い。永い眠りにつかれるだろう」
男「・・・どれくらい?」
猫又「少なくとも、この様子では、500年は・・・」
男「500・・・年・・・」
がっくりと、男はうなだれた。
>>319おーにぃっぽーにぃっぽーにぃっぽーにぃっぽー
猫又「男よ」
男「・・・なんだ」
猫又「悲しいか」
男「・・・あ?」
猫又「女妖怪様が眠りにつくことが、悲しいか」
男「あたりまえだろ!! お前は悲しくないのかよ!!」ドンッ
猫又「・・・・・・」
猫又「・・・・いや、な」
猫又「女妖怪様とお前はまだ知り合って日が浅い」
猫又「それだというのにお前は女妖怪様を本気で心配し、全力で助け、そして心の底から悲しんでいる」
猫又「もし、全ての人間がお前のようであれば」
猫又「・・・あるいはな」
猫又「そういうのも、悪くないと。私は今・・・そう思った」
男「猫又・・・」
猫又「女妖怪様は最期に言い残したのだろう」
猫又「お前に、人間と妖怪の架け橋になるよう」
男「・・・・・・・」
男「・・・・・それは」
男「女妖怪が死んだらの話だ」
猫又「・・・では、お前はこの先どうする?」
猫又「女妖怪様の意思を、継がないのか?」
男「そんなわけはない」
男「勿論、妖怪と人間をつなぐ架け橋にはなりたい」
男「だけど・・・それを、女妖怪にも見せてやりたかった・・・」
猫又「・・・・・男」
男「猫又。お前は後、500年生きられるか?」
猫又「わからん・・・。だが私はあくまでも低位の妖怪だ。多分、死んでいる」
猫又「まあ、子孫なら残せるとは思うが・・・」
男「なぁ、猫又・・・」
猫又「・・・なんだ」
男「目が覚めて」
男「自分の夢が叶っていても」
男「自分のことを覚えている人がいないんじゃ」
男「寂しすぎるよなぁ・・・・・」
猫又「男・・・・」
山の麓。
二人は夜が明けるまで、じっと佇んでいた。
――5、了
6
光の差し込む洞窟。
そこで目を覚ました一人の女性。
女妖怪「・・・・・」
女妖怪「私は・・・・」
女妖怪「そうか・・・。眠りに・・・」
女妖怪「・・・・・・・・」
周りを見渡すと、そこはかつて自分が一度封印された部屋に酷似していた。
女妖怪「あれからどれほどの時間が経ったんじゃ・・・」
女妖怪「・・・男・・・・猫又・・・・」
女妖怪「・・・・・・・・・」
女妖怪「一人ぼっち、かのう・・・」
女妖怪「・・・・寂しいの」
女妖怪「世界はどうなったんじゃろうか・・・」
女妖怪「人間と妖怪が、仲良く暮らしてるんじゃろうか」
女妖怪「・・・・・・」
女妖怪「男は・・・女とでも結ばれたんじゃろうか・・・」
女妖怪「・・・もう、死んだんじゃろうな」
女妖怪「猫又も、生きてはおるまい・・・」
女妖怪「・・・・・・・」
女妖怪「外にでも、出てみるかの」
思い体を動かすと、何者かの気配がした。
女妖怪「え・・・・」
振り返るとそこにいたのは。
男「・・・・・・」
女妖怪「おと・・・こ・・・?」
男だった。
男「・・・え!? 俺のことを知ってるんですか!? だ、誰ですか・・・」
女妖怪「忘れたのか・・・? 女妖怪じゃよ・・・!!」
男「妖怪だと・・・?」
女妖怪「・・・」
男「なーんちゃって。ふざけてごめんよ、女妖怪」
女妖怪「男・・・! やはり男なのじゃな!!」
女妖怪「あれから何年たった!? 何故、生きておるのじゃ!?」
女妖怪「話したいこと・・・たくさんありすぎて・・・」ポロポロ
男「ははは。泣くなよ、女妖怪」
男「でも、ごめんな」
男「時間が・・・・ないんだ」
女妖怪「え・・・?」
男「簡潔に説明する。今はあの時から524年経った」
女妖怪「・・・・・男?」
男「俺と猫又と友と・・・。みんなで協力して、多分今の世界は、みんなが手を取り合って生きてる」
男「女妖怪と一緒にその世界を見られなくて残念だ」
女妖怪「・・・もうよい・・・やめろ・・・・」
男「忘れないで欲しい。お前は一人じゃない」
男「どこかにいる友の子孫、女の子孫、猫又の子孫・・・。みんな、お前の仲間になってくれる」
男「だから、安心して生きてくれ」
女妖怪「男・・・・。そうだよな・・・」
女妖怪「500年以上経っているのに、男が生きているはずないな・・・」
女妖怪「男・・・私は、こんなことをさせる為に、お前の人生を、奪ってしまったのじゃな・・・・」
女妖怪「もうよいのじゃ・・・。わかっておる・・・。お主・・・・・憑依妖怪・・・じゃな・・・」
男「すみません・・・。ですが、もうこの肉体を保つのも限界で」
男「貴女が今日目覚めてくれて、助かりました」
女妖怪「やめろ・・・。その姿で話すでない・・・」
男「しかし、私がこの肉体から出れば・・・」
女妖怪「良いのじゃ・・・。男はもう、死んでおる・・・」
次の瞬間、男の体は崩れた。
文字通り、頭から足の先まで、一瞬にして、粉々に。
女妖怪「男は・・・いくつで死んだ」
憑依妖怪「23の時です」
憑依妖怪「男さんが22の時、妖怪と人間は正式に和解しました」
憑依妖怪「もっとも、妖怪の実在に人間は驚いておりましたが」
女妖怪「それで・・・男はどうした・・・」
憑依妖怪「・・・この肉体を使って、女妖怪様が目覚めるまで待ってやってくれと」
憑依妖怪「私の一族で順番に肉体を保ち続け、そして今日が来ました」
憑依妖怪「粋なマネをしたのは分かっています。ですが、これが男さんの望みでした」
女妖怪「・・・・男の。大バカめが・・・!!」ポロポロ
女妖怪の目からは、とめどなく涙が溢れていた。
類似してるかもしれないスレッド
- 男「えーっと・・誰?」地味女「・・・」 (174) - [73%] - 2012/3/15 3:45 ☆
- 霊「呪っちゃうぞ-」 男「・・・・」 (186) - [51%] - 2012/4/13 11:15 ☆
- 貴音「んふ、ふふふ・・・///」 響「・・・」 (144) - [50%] - 2012/10/8 8:45 ★
- 姉「・・・・・・」弟「・・・・・・」 (1001) - [49%] - 2010/2/23 5:46 ★★★×6
- 姉「・・・・・・」弟「・・・・・・」 (1001) - [49%] - 2010/3/31 11:19 ★★★
- たかし「さて・・・・・始めるか・・・・」 (131) - [48%] - 2012/9/30 4:45 ☆
- 男「幼なじみは、先輩がすきなんだ・・・」 (680) - [48%] - 2011/3/14 0:15 ★★★×6
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について