私的良スレ書庫
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元スレ男「妖怪だと・・・?」妖怪女「・・・」
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老人「私は、妖と人とが手を取り合う世界を作りたい」
女妖怪「勝手にせい。私は知らぬ」
老人「その為に、私と貴女が架け橋となってみませんか?」
女妖怪「・・・・・はぁ? 私を巻き込むな」
老人「貴女に拒否権はないはずですよ」ニコッ
不気味な笑いを浮かべ、老人は杖の先を女妖怪の首に向ける。
女妖怪「私をソウヒメと知っての事か」
老人「無論」
女妖怪「気に食わん・・・。気に食わん、気に食わん!!!」
杖を持ち、伸びきった老人の右腕を自身の左手で咄嗟につかみ、そのまま右手で老人の顔面を殴ろうとする女妖怪。
しかし、すぐに老人の左手が女妖怪の右手をつかむ。
女妖怪「くっ・・・!? この反応速度に力・・・お主、本当に人間か・・・!?」
老人「・・・人間、ですよ」ニコッ
女妖怪がつかんでいた老人の腕を離す。
同時に、老人も女妖怪の手を離した。
老人「人間以外を食った事はありますか?」
女妖怪「あるわけなかろう」
老人「そうですか・・・」
女妖怪「・・・?」
老人「いいでしょう。今日はこれで帰ります」
老人「ただ、明日も来ます。またここで会いましょう」
女妖怪「何をぬかすか・・・」
老人「ですから」
老人「あなたに拒否権はありませんよ?」
女妖怪「くっ・・・」
そのまま老人は山を下りた。
最強の妖怪、ソウヒメにとって、最も屈辱的な一日であった。
ちょっと寝てたら幼虫スレが落ちてておれは深い悲しみに包まれた
――翌日
老人はかごを背負っていた。その中に、色とりどりの果物が入っていた。
老人「これをどうぞ」
女妖怪「・・・麓は飢饉ではなかったのか?」
老人「ええ。ですが、お気になさらず」
女妖怪「ハッ。低位の妖怪ならまだしも、高位の私が人間以外を食うとでも?」
老人「でも、お腹すいてるんでしょ」
女妖怪「・・・・・・・・。そうであっても、人間から食べ物を恵んでもらうなどという屈辱は耐え切れん」
老人「だから拒否権はないと」
女妖怪の口に、無理やり桃をぶち込む老人。
女妖怪「むがっ・・・!!」
老人「ほらほら、食べなさい」ニコッ
女妖怪「むががががっが・・・・!!!」ペッペッ
女妖怪は桃を吐き出してしまった。
老人「ちょっと」
女妖怪「ふん! 食い物は受け取らんと言うたろうが!!」
そっぽを向いた女妖怪の頬に、老人の鉄拳。
女妖怪は綺麗に吹っ飛んだ。
女妖怪「ぐっ・・・!! 貴様、人間の分際で・・・!!!」
恐ろしい形相で老人をにらむ女妖怪。
だが、老人は微動だにしない。
老人「食べ物を粗末にしてはいけません。さあ、食べなさい」
女妖怪が地べたに吐き出した桃を指差す老人。
女妖怪「糞が・・・!! このような屈辱・・・!!」
老人「・・・・・・」
女妖怪「・・・・!!」ブルッ
老人の見えない覇気に、女妖怪は一瞬身震いした。
そして、地に落ちた桃を拾って食い始めた。
老人「どうですか?」
女妖怪「ムシャムシャ・・・。フン、土がついて食えたものではないな」
老人「では、もう一個あげましょう」
女妖怪「・・・・・・・・・」
女妖怪はためらいながらも、それを口に運ぶ。
女妖怪「む・・・美味」
老人「でしょう」ニコッ
女妖怪「くっ・・・。人間から貰ったものが美味いだの・・・!!」
老人「さあ、もっと食べてください」ニコニコ
そんな調子で、女妖怪は人間以外の味を覚えた。
それから老人は何度も何度も山へ足を運んだ。
その度に女妖怪と言葉を交わした。
老人「おいすー。今日もきたよ」
女妖怪「むっ!! 今日もきおったか!! しつこいやつめ!!」
食を共にした。
老人「どうです? このキノコもおいしいでしょ」
女妖怪「ふむ・・・悪くはないのう」ムシャムシャ
終いにゃ寝床も共にした。
女妖怪「この線より私に近づいたら殺すからな」
老人「近づく気はないですし、あなたじゃ寝込みを襲っても私に勝てませんよ」
女妖怪は、段々と老人に心を開いていた。
それでも、やっぱり女妖怪は人間を好きにはなれなかった。
>>209
はやくそのえのき茸をしまえ
はやくそのえのき茸をしまえ
>>209
猫又「私が切り裂く!!」
猫又「私が切り裂く!!」
――ある日。
いつものように、老人が山にやってきた。
女妖怪「お前に一つ聞きたい事がある」
老人「なんでしょう」
女妖怪「お前は言っていたな。人と妖が共存する世界を作りたいと」
老人「ええ」
女妖怪「何故、私なのだ」
老人「・・・・・・」
老人「それは、あなたが妖怪で一番強いと聞きましたから」
老人「あなたが人間との共存を決意してくれれば、他の妖怪も従ってくれるかと」
女妖怪「ハハハ。甘いな。そう簡単にいくものか」
老人「・・・・」
女妖怪「妖怪が人間を憎むのは本能だ。それはどう足掻いても覆せん・・・。我々妖怪には呼吸をするほど大事な事じゃ」
老人「でも、今じゃ妖怪はみんな山にこもってるじゃありませんか」
女妖怪「それは、退魔師が力をつけておるからじゃ」
女妖怪「迂闊に下山すれば殺される・・・。お前の様な馬鹿げた強さの人間がいるかもわからんのだからな」
老人「意外と弁えているんですね。では、尚更人間と共存すれば」
女妖怪「お前は甘すぎる」
老人の言葉をさえぎる。
女妖怪「表面上そう取り繕ったとしても、生物の根本を覆すのはとても難しい」
女妖怪「人間を殺したい妖怪は山ほどおる。逆も然り。例え共存したとて、その憎しみが消えるのは何百年先か」
老人「・・・・。やはり私は、甘いのでしょうか」
女妖怪「甘すぎるな。それでは、人間にも嫌われるであろう」
老人「はは、わかりますか」
女妖怪「それはそうじゃ。私もお前は大嫌いじゃしな。お前を好きになる人間が果たしておるじゃろうか」ケタケタ
老人「ええ・・・。そうですね。私は、人間に嫌われてこの山に来たんですよ」
女妖怪「やはりお前、退魔師ではなかったか」
老人「当然です。退魔師ならば、貴女を放置したりしませんよ」
女妖怪「では、お前は何じゃ。その人間離れした力は何じゃ」
老人「・・・・・・」
女妖怪「答えられんのか」
老人「・・・・・・今は」
女妖怪「いつか答えられる日が来るとでも?」
老人「わかりません」
女妖怪「不気味な奴じゃ。それでは、人にも妖にも混じれぬわけじゃ」
老人「・・・・・・」
その時、老人はいつになく悲しい表情をしていた。
女妖怪「・・・・老人よ」
老人「初めて名前で呼んでくれましたね」
女妖怪「む・・・!!!! そんなことはどうでもよかろう!!!」
女妖怪「・・・・」
女妖怪「私たち妖怪は、3日後にこの山を下り、人里を攻める」
老人「・・・・・・」
女妖怪「想像以上に飢饉が長続きし、退魔師も想像以上にこの地に留まっておる」
女妖怪「もはやこの山の妖怪どもは、食い物にありつくのも難しい」
女妖怪「私のように人間しか食えんような妖怪も多くおる」
老人「そうですか・・・・」
女妖怪「止めはせんのか」
老人「止めて欲しいですか。止めたところでやめますか?」
女妖怪「愚問だな」
老人「女妖怪」
女妖怪「なんじゃ」
老人「私はあなたを愛しています」
女妖怪「ほう、そうか・・・・・」
女妖怪「え・・・? は・・・・、は?」
老人「私は人にも妖怪と共存するように進言しました」
老人「ですが、聞く耳を持ってもらえず・・・。そのため、貴女に接触しました」
老人「最初貴女に会ったとき。やはり妖怪も私の言う事など聞く耳を持っていただけないのかと思いました」
老人「しかし、あなたは段々と私に心を開いてくれた。それがたまらなく嬉しかったのです」
老人「次第に私は、貴女に惹かれていきました」
女妖怪「じょ・・・冗談はよさんか・・・人間風情が・・・・」
老人「冗談ではありません。そして」
老人「私は人間でもありません」
老人「私は、人と妖の間に生まれました。父は本州で最強と謳われた妖怪。母は生贄にと捧げられた村娘です」
女妖怪「人と妖が子供を・・・? そんな馬鹿な話が。妖怪には性欲なぞなかろうし、何故人間と子を残す」
老人「父は冷淡な妖怪でしたが、気まぐれでした。そして母は、話し上手だったと聞きます」
老人「母は自分を食らおうとする妖怪を前にし、気さくに話をし・・・そして父は、そんな母をどこか気に入り始めました」
老人「やがて二人は愛し合うようになりました。そもそも殺しあう以外で関りあう事ない二つの種族が、です」
老人「・・・・母は私を産んですぐに死んだと聞きます。亡骸はもちろん、父が食らいました」
女妖怪「・・・・・・」
老人「父からはいつも母のことを聞かされていました。そして、いつか人間と妖怪が共存できる時代が来るのかもしれぬとも」
老人「私は人と妖の間に生まれましたから、その思想を素晴らしいと思っています」
老人「やがて成長した私は、人間の容姿が色濃く出ていましたので、人里に下りました」
老人「そこで感じた事は、人間の妖怪を憎む声の強いこと。もちろん、山では妖怪が人間を憎む声を聞いて育ちました」
老人「きっと、私のような存在は異端なのだと思いました。人と妖、どちらにも混じる事が出来ず生きていくのだと」
老人「私は人里を離れ、一人山にこもり・・・・・修行をしていました」
老人「人と妖をつなぐためには、いつか力が必要になるだろう、と思ってです」
老人「いつしか父が人間に討たれたという話も耳にしましたが、それでも人間を嫌いにはなりませんでした」
老人「そして数年前。本州の妖怪がほとんど駆逐されたという話を聞きました」
老人「そして、九州最強の妖怪であるソウヒメの話も」
女妖怪「・・・それで九州にきおったのか」
老人「妖怪は年々力を落としています。強力な退魔師が増えたため」
老人「それでも尚、最強と呼ばれるあなたを説得できれば。人間とをつなぐ架け橋が出来るのではないかと」
女妖怪「・・・・・・・・・」
女妖怪「お主、年はいくつじゃ。そのよぼよぼの外見・・・人間の血のせいか? 何年前から、その思想を・・・」
老人「フフ。私は200年ほどしかいきておりませんよ。おそらく、もうすぐ死ぬでしょう」
女妖怪「200年でその老化、そしてその強さ・・・」
女妖怪「お主の信念、本物なのじゃな」
老人「ええ」
女妖怪「・・・・・・それでも」
女妖怪「それでも私は、人間と共存なぞ無理じゃ・・・・」
老人「・・・・・」
女妖怪「そもそも、人間と会話をしようなどと思った事はなかった」
女妖怪「じゃが実際にお前と会話をし・・・・・段々と心を開く己がおったのは事実じゃ」
女妖怪「そして私もいつからか、段々とお前に惹かれておった・・・」
女妖怪「じゃが・・・。じゃが、私は妖怪の頭じゃ。私を信じてついてくる妖怪が何千もおるのじゃ」
女妖怪「私一人の考えで、人間を憎む幾千の妖怪を変えられはせん・・・」
女妖怪「人間に親を殺された妖怪も多い。その憎しみは、何をしようが絶対に消えん・・・」
女妖怪「すまん・・・老人よ・・・・」
老人「・・・・・・。いや」
老人「いいんです。私が、甘い事を言っているのは十分承知しています」
女妖怪「老人・・・」
老人「今日はこれで帰ります。それでは・・・また」
老人は、そう言い残すと静かに山を下りた。
次の日も、その次の日も老人は来なかった。
――老人が山を下りて3日後の早朝。
妖怪が人里を攻める日。
女妖怪「・・・・・・」
女妖怪「・・・・・・!!!」
ザッザッザ
老人「おいすー・・・」
女妖怪「老人・・・!! お前、何をしに来たのじゃ!!」
老人「いやその。今日が人里を攻める日でしたよね」
女妖怪「前に言うたじゃろが!! 今は山の妖怪も気が立っておる・・・帰るんじゃ!!」
老人「いや。そうはいかないんです」
老人「・・・・・・女妖怪」
老人「私は、貴女を封印します」
女妖怪「・・・・・・は!?」
老人「人里には」
老人「私には及ばぬものの、貴女に次ぐ実力を持った退魔師が多くいる」
老人「私に妖力を抜き取られた貴女では、確実に死ぬでしょう」
女妖怪「では、妖力を返さんか!!」
老人「例え貴女が妖力を持っていたとしても、あなたは死ぬでしょう」
女妖怪「・・・・!!!」
老人「そして、人間も沢山死ぬ」
女妖怪「何が言いたいのじゃ!!」
老人「私は、貴女を愛しています」
老人「そして、これは私のエゴですが・・・・貴女に死んで欲しくない」
女妖怪「―――ッ!!」
女妖怪の右手が、男の頬を殴る。
乾いた音が、山中に響いた。
女妖怪「ふざけるのも大概にしろ!! 私はお前のような老いぼれに情けをかけられるほど落ちぶれてはおらん!!」
老人「・・・・・それは、本心ですか」
女妖怪「当たり前じゃろうが!!」
老人「では何故・・・」
老人「何故・・・」
老人「涙を・・・」
女妖怪「こ・・・これは・・・・」
・・・しばらく二人は、無言で対峙した。
女妖怪「老人よ」
先に口を開いたのは、女妖怪だった。
女妖怪「きっと私も・・・・お前を愛してしまったのかもしれん」
老人「相思相愛、ですね」
女妖怪「よせ・・・そんな美しいものではなかろう」
老人「そうですね。今日始まって、今日終わりの愛です」
老人「私が長年修行し、身につけた能力があります」
老人「相手の妖力を吸い取る技です」
女妖怪「なるほどの・・・・。それで意図も簡単に私の能力を」
老人「あえて貴女の首飾りに吸収させる事で、屈辱を味あわせました」ニコ
女妖怪「なめた口を・・・」
老人「吸収したあなたの妖力を、私が吸収しなおすと」
老人「あなたそっくりの姿になります」
女妖怪「・・・・お前。何を考えておる?」
老人「貴女の姿になった私は、まずこの山の妖怪にこう告げます」
老人「山に強大な力を持つ退魔師が現れた」
老人「私の封印を条件にお前たちを見逃すといっている」
老人「私でも適わない。お前たちが束になろうと適わない。黙って従ってくれと」
女妖怪「・・・・・・・」
老人「続いて私は人里に下り、村を焼き払います」
老人「死人が出るかもしれませんが、貴女だと思わせるため、全力で戦います」
老人「そして私は、貴女の姿で死にます」
女妖怪「老人・・・・」
老人「命令に背き、私について来る山の妖怪がおれば、共に戦います」
老人「あくまで、自然な演出をする必要があります」
老人「そしてこれらを行う前に、あなたの体を封印します」
女妖怪「老人・・・・ッ!!!」
老人「山から妖怪を逃がすのは・・・。妖怪に生き残って欲しいからです」
老人「おそらく、このまま真っ向勝負すれば、妖怪は絶滅するでしょう」
老人「それならば、人間に強い恨みを持ち続けるかもしれないものの・・・妖怪には生き延びてもらわねばなりません」
老人「そして、いつか貴女の封印が解けたとき」
老人「その時、世界がどうなっているか分かりませんが・・・。人と妖の共存を目指してください」
老人「この時代では、それは無理。そして、今後私の思想を受け継いでくれるのは・・・あなた以外いないのです」
女妖怪「だからと言って!!! お前が子を残せばよかろう!! 何故お前が私の代わりに死ぬ!!」
老人「貴女が死ななければ、九州の人間は妖怪をますます恐れる。そすて、退魔師もどんどん力を付ける」
老人「貴女は、死ななければならないんです!!」
女妖怪「・・・・ふざけるな!!」
女妖怪「私はそんな事認めんぞ!! 認めん!!!」
女妖怪「例え死ぬとしても、それは私で十分なのじゃ!! 老人よ、今一度・・・・」
言葉を言い終える前に、女妖怪の意識が揺らいだ。
どうやら、老人に何か術をかけられたようであった。
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