私的良スレ書庫
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元スレ妹「温もりがほしい笑いかけてほしい受け入れてほしい。寂しい。」
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そろそろ、寝ます。
明日は多分遅くまで用事があるので
夜のうちに一杯書きたかったですが、これくらいで。
また明日、残っていたら続きを書かせてください。
明日は多分遅くまで用事があるので
夜のうちに一杯書きたかったですが、これくらいで。
また明日、残っていたら続きを書かせてください。
兄「ただいま」
返事はない。
妹はまだ帰ってきていないようだ。
母もとっくに家を出たらしい。
兄「ふぅ……」
玄関のドアを閉めると、肩の力が抜けた。
外にいると、無意識に心が張り詰めている気がする。
靴を脱ぐ。
バイト帰りにスーパーで買った食材を、丁寧に冷蔵庫に詰めていく。
家事は、兄妹で分担している。
俺は買い物と掃除担当。妹はもちろん料理、それから洗濯担当。
たまに逆になったり、一緒にやったり。
母は滅多に家事をしない。
ただ、家事に口を出すこともない。
返事はない。
妹はまだ帰ってきていないようだ。
母もとっくに家を出たらしい。
兄「ふぅ……」
玄関のドアを閉めると、肩の力が抜けた。
外にいると、無意識に心が張り詰めている気がする。
靴を脱ぐ。
バイト帰りにスーパーで買った食材を、丁寧に冷蔵庫に詰めていく。
家事は、兄妹で分担している。
俺は買い物と掃除担当。妹はもちろん料理、それから洗濯担当。
たまに逆になったり、一緒にやったり。
母は滅多に家事をしない。
ただ、家事に口を出すこともない。
チャリ、チャリリ。
高い金属の音が、アパートの玄関の方から聞こえる。
そしてガチャリと開錠の音が続く。
妹「……」
ゆっくりと、玄関の扉が閉まる。
……バタン。
妹「……は、ぁ」
兄「おかえり」
妹「あ、……兄さん」
声をかけると、妹の明るい声が返ってきた。
妹「ただいま。帰ってたんだ」
兄「うん。頼まれたやつ、買ってきておいたよ。小間切れ。」
妹「ほんと? ありがとう。100gいくらだった?」
兄「78円。ちょっと多いパックで買っちゃったかも」
妹「余ったら冷凍かな。……でも、本当は兄さんがいっぱい食べたいんでしょ?」
兄「ばれたか」
高い金属の音が、アパートの玄関の方から聞こえる。
そしてガチャリと開錠の音が続く。
妹「……」
ゆっくりと、玄関の扉が閉まる。
……バタン。
妹「……は、ぁ」
兄「おかえり」
妹「あ、……兄さん」
声をかけると、妹の明るい声が返ってきた。
妹「ただいま。帰ってたんだ」
兄「うん。頼まれたやつ、買ってきておいたよ。小間切れ。」
妹「ほんと? ありがとう。100gいくらだった?」
兄「78円。ちょっと多いパックで買っちゃったかも」
妹「余ったら冷凍かな。……でも、本当は兄さんがいっぱい食べたいんでしょ?」
兄「ばれたか」
妹「……」
兄「……」
妹はいつも学校から帰ってくると、夕飯を作る2時間ほどの間机に向かう。
俺は、邪魔しないようにそれをぼんやり眺めている。
3年くらい前までは妹に教える事ができる教科もあった。
けれど、今は妹が勉強している内容は、中卒の俺には未知の領域だ。
教えてやりたくても、俺がバイトをしている間じゅう、学校で勉学に勤しんでいる妹にかなうはずもない。
『来年も奨学金とるから』
そうやって意気込む妹を見る度に、苦しくなる。
欲しいものを聞いたら、いつも参考書の名前が挙がる。
参考書以外のものをと聞いたら、単語帳、筆記用具、それから調理器具。
なにかプレゼントしてやりたくても、女子高生が欲しがるようなものは、てんでわからない。
兄「なぁ、服とか今度、買いに行かないか?」
妹「んー、……破けた?」
兄「いや……」
妹「……んー」
兄「……」
妹はいつも学校から帰ってくると、夕飯を作る2時間ほどの間机に向かう。
俺は、邪魔しないようにそれをぼんやり眺めている。
3年くらい前までは妹に教える事ができる教科もあった。
けれど、今は妹が勉強している内容は、中卒の俺には未知の領域だ。
教えてやりたくても、俺がバイトをしている間じゅう、学校で勉学に勤しんでいる妹にかなうはずもない。
『来年も奨学金とるから』
そうやって意気込む妹を見る度に、苦しくなる。
欲しいものを聞いたら、いつも参考書の名前が挙がる。
参考書以外のものをと聞いたら、単語帳、筆記用具、それから調理器具。
なにかプレゼントしてやりたくても、女子高生が欲しがるようなものは、てんでわからない。
兄「なぁ、服とか今度、買いに行かないか?」
妹「んー、……破けた?」
兄「いや……」
妹「……んー」
勉強中の妹に聞くべきじゃなかった。
まぁ、どのタイミングで言ったとしても、うまく断られたと思う。
それくらい妹はお金に対して謙虚なのだ。
妹「……ふぁ、そろそろ時間かな」
兄「今日は俺が夕飯作ろうか?」
妹「駄目」
兄「そうか……」
妹「ありがと兄さん。テスト前とかに、またお願い。……私に出来ることは、やりたいから」
兄「……」
机から離れて台所へ向かう妹を見送った。
布団に寝転がりながら、夕飯の準備を始める妹の後ろ姿を、じっと目で追う。
妹は後ろ髪を結い始めた。
真白いうなじがあらわになる。
少し、色っぽい。
そういえば、髪もずいぶんと切りに行かせていないように思う。
たぶん、前髪は自分で切っているのだろう。
……忘れてた。後でそれも言ってやろう。
まぁ、どのタイミングで言ったとしても、うまく断られたと思う。
それくらい妹はお金に対して謙虚なのだ。
妹「……ふぁ、そろそろ時間かな」
兄「今日は俺が夕飯作ろうか?」
妹「駄目」
兄「そうか……」
妹「ありがと兄さん。テスト前とかに、またお願い。……私に出来ることは、やりたいから」
兄「……」
机から離れて台所へ向かう妹を見送った。
布団に寝転がりながら、夕飯の準備を始める妹の後ろ姿を、じっと目で追う。
妹は後ろ髪を結い始めた。
真白いうなじがあらわになる。
少し、色っぽい。
そういえば、髪もずいぶんと切りに行かせていないように思う。
たぶん、前髪は自分で切っているのだろう。
……忘れてた。後でそれも言ってやろう。
ほかに妹にしてやれることはないか、考えた。
何か、あっただろうか。
何か……
普通は、やっぱり、子供は親にせがむんだろうな。
あれがほしい、これがほしい、って……。
ごめんな、妹……我慢、させて…………
視界がぼんやりしてきた。
心地よい誘いが、やってくる。
そうして、どこかでみた風景が、闇の中に投影された。
幸せな記憶。
かつての記憶。
無邪気に生きて、無邪気に甘えた。
理不尽がこの世に存在する事すら知らなかった。
願えば何もかも手に入ると信じていた。
『おにいちゃんは わたしの おうじさま――』
あぁ、そう。これは、たしか、眠り姫に、口付けをした、記憶。
何か、あっただろうか。
何か……
普通は、やっぱり、子供は親にせがむんだろうな。
あれがほしい、これがほしい、って……。
ごめんな、妹……我慢、させて…………
視界がぼんやりしてきた。
心地よい誘いが、やってくる。
そうして、どこかでみた風景が、闇の中に投影された。
幸せな記憶。
かつての記憶。
無邪気に生きて、無邪気に甘えた。
理不尽がこの世に存在する事すら知らなかった。
願えば何もかも手に入ると信じていた。
『おにいちゃんは わたしの おうじさま――』
あぁ、そう。これは、たしか、眠り姫に、口付けをした、記憶。
頬に温もりを感じて、目が開いた。
妹が、いた。
兄「……」
妹「……」
俺を覗いていた妹を、覗き返す。
目が合う。
時間がゆっくりと流れる。
頬の温もりが動いた。
妹の手のひらだった。
子猫になった気分で、その妹の手に甘えた。
皮膚と皮膚が擦れあうと、ほのかに熱を発して、心地良い。
……もう一度、まどろみたい。
妹「疲れてるんだよ」
消えそうなくらい小さい声だった。
ただ、やさしい声だった。
兄「眠いだけだよ」
ありがとうの気持ちを込めて、できるだけ柔らかく答えた。
妹が、いた。
兄「……」
妹「……」
俺を覗いていた妹を、覗き返す。
目が合う。
時間がゆっくりと流れる。
頬の温もりが動いた。
妹の手のひらだった。
子猫になった気分で、その妹の手に甘えた。
皮膚と皮膚が擦れあうと、ほのかに熱を発して、心地良い。
……もう一度、まどろみたい。
妹「疲れてるんだよ」
消えそうなくらい小さい声だった。
ただ、やさしい声だった。
兄「眠いだけだよ」
ありがとうの気持ちを込めて、できるだけ柔らかく答えた。
兄「ごめん、……ご飯」
妹「もう少し、このまま」
兄「……うん」
妹の手のひらは、俺の頬をゆっくりと撫で続ける。
妹「兄さんの寝顔、好きだよ」
兄「寝顔がイケメンでも困るな」
妹「そうじゃないよ。なんか、ね。穏やかなの」
兄「つまり、遠まわしにイケメンではないと」
妹「もう。……兄さんのバカ。せっかく褒めてるのに」
兄「だって、照れるだろ」
妹「そう、だけど……」
妹「もう少し、このまま」
兄「……うん」
妹の手のひらは、俺の頬をゆっくりと撫で続ける。
妹「兄さんの寝顔、好きだよ」
兄「寝顔がイケメンでも困るな」
妹「そうじゃないよ。なんか、ね。穏やかなの」
兄「つまり、遠まわしにイケメンではないと」
妹「もう。……兄さんのバカ。せっかく褒めてるのに」
兄「だって、照れるだろ」
妹「そう、だけど……」
妹「……今、いいムードだった」
兄「兄と妹に、ムードもへったくれもあるのかな」
妹「兄さんが壊さなければね」
兄「そうかい」
妹「そうです。今度からは気をつけてくださいね」
言い終わると、妹がふふっ、と笑みをこぼした。
俺も釣られて、ははっ、と笑った。
兄「夢を見てたんだ」
妹「へぇ、どんな?」
兄「……昔のこと、だったと思う」
兄「兄と妹に、ムードもへったくれもあるのかな」
妹「兄さんが壊さなければね」
兄「そうかい」
妹「そうです。今度からは気をつけてくださいね」
言い終わると、妹がふふっ、と笑みをこぼした。
俺も釣られて、ははっ、と笑った。
兄「夢を見てたんだ」
妹「へぇ、どんな?」
兄「……昔のこと、だったと思う」
兄「父さんも、母さんも、妹も」
兄「みんなが笑っていた頃の夢だった」
妹「楽しかった?」
兄「さぁ……、でも、たまにこうやって夢に見るんだ」
兄「だからか分からないけれど、あの頃の記憶は、なかなか忘れられない」
妹「父さんが生きている頃って、あまり覚えてないけど」
妹「私も焼きついてるあの頃の記憶、あるよ」
兄「キスをしたのも、あの頃だったな」
妹「そうだね」
頬を撫でていた妹の手が止まった。
兄「さ、……起きる」
妹「ご飯、よそうね」
妹は立ち上がり、俺は腰を起こした。
つかの間の愉しみだった。
……腹ごしらえをしたら、風呂に入って、また寝よう。
兄「みんなが笑っていた頃の夢だった」
妹「楽しかった?」
兄「さぁ……、でも、たまにこうやって夢に見るんだ」
兄「だからか分からないけれど、あの頃の記憶は、なかなか忘れられない」
妹「父さんが生きている頃って、あまり覚えてないけど」
妹「私も焼きついてるあの頃の記憶、あるよ」
兄「キスをしたのも、あの頃だったな」
妹「そうだね」
頬を撫でていた妹の手が止まった。
兄「さ、……起きる」
妹「ご飯、よそうね」
妹は立ち上がり、俺は腰を起こした。
つかの間の愉しみだった。
……腹ごしらえをしたら、風呂に入って、また寝よう。
それから、ひと月ほどが過ぎた。
相変わらずバイトに勤しみ、妹を見守る毎日だ。
兄「いらっしゃいませー」
夜のコンビニ。
朝と違って客足のペースはまばらで、レジを打つのも急がず丁寧にできる。
今日は遅番に欠勤が出て、俺が朝から延長して入る事になった。
妹に帰りが遅くなると連絡したいが、携帯電話なんかもちろん持たせてないから出来ない。
まぁ、こういう事はたまにあるから、そんなに心配はしないだろう。
女「おはよーございまーす」
兄「おはよう」
夜なのに『おはよう』。
なぜか挨拶は夜だろうが昼だろうが『おはよう』なのが決まりになっている。
女「わ。もしかして朝からずっと居るんですか。うわー」
女「私ならぜったい死んでます」
兄「はは。でも、まぁ、もうすぐ帰れるし」
相変わらずバイトに勤しみ、妹を見守る毎日だ。
兄「いらっしゃいませー」
夜のコンビニ。
朝と違って客足のペースはまばらで、レジを打つのも急がず丁寧にできる。
今日は遅番に欠勤が出て、俺が朝から延長して入る事になった。
妹に帰りが遅くなると連絡したいが、携帯電話なんかもちろん持たせてないから出来ない。
まぁ、こういう事はたまにあるから、そんなに心配はしないだろう。
女「おはよーございまーす」
兄「おはよう」
夜なのに『おはよう』。
なぜか挨拶は夜だろうが昼だろうが『おはよう』なのが決まりになっている。
女「わ。もしかして朝からずっと居るんですか。うわー」
女「私ならぜったい死んでます」
兄「はは。でも、まぁ、もうすぐ帰れるし」
女「あ……欠勤、男さんなんですか」
兄「そうみたいだね」
女「絶対パチンコですよ。あー、スロットでしたっけ?」
女「やめるにやめれなくて、仮病でも使って休んでるんですよきっと」
兄「いやあ、どうだろう」
女「もう、……ほんっと、腹立ちますねー。一回問い詰めてやりたいぐらいです」
兄「……」
仮病だろうがなんだろうが、どうでもよかった。
男さんは男さんなりの生き方があるんだろう。
もし本当に仮病だったとしても、俺はむしろ、仮病を使う甲斐性がある男さんが少しうらやましい。
兄「女さんは、今日は遅番なんだね」
女「あぁ、えぇ。毎週この曜日は大学の授業が朝から昼すぎまでなんで」
女「朝晩に入ってる時は昼からなんですけどね」
兄「そうみたいだね」
女「絶対パチンコですよ。あー、スロットでしたっけ?」
女「やめるにやめれなくて、仮病でも使って休んでるんですよきっと」
兄「いやあ、どうだろう」
女「もう、……ほんっと、腹立ちますねー。一回問い詰めてやりたいぐらいです」
兄「……」
仮病だろうがなんだろうが、どうでもよかった。
男さんは男さんなりの生き方があるんだろう。
もし本当に仮病だったとしても、俺はむしろ、仮病を使う甲斐性がある男さんが少しうらやましい。
兄「女さんは、今日は遅番なんだね」
女「あぁ、えぇ。毎週この曜日は大学の授業が朝から昼すぎまでなんで」
女「朝晩に入ってる時は昼からなんですけどね」
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