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元スレ妹「温もりがほしい笑いかけてほしい受け入れてほしい。寂しい。」
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どれくらい、待ったろう。
怖くて時計は見ていない。
嫌な想像が働いたのは、一度や二度なんてものじゃない。
事故や事件の可能性が頭に浮かんでは消え、消えては浮かんだ。
永遠とも思える時間。
過ぎる感覚の無い時間。
このまま朝が来ずに、私は夜に飲まれていくかもしれない。
そんな錯覚さえ覚えた。
その度、兄さんの布団を握り締めて、心の中で何度も祈り続けた。
……なんてことはない。
ずっと、待ってきたんだ。耐えてきたんだ。
大丈夫だよ、兄さん。私、がんばれるよ。
でも、ほんの少し心配だから……はやく、帰ってきてね―――
―――まどろみの中に在って、ドアが開く音を聞いた。
その数秒後、私はやっと、本物の温もりを感じる事が出来た。
怖くて時計は見ていない。
嫌な想像が働いたのは、一度や二度なんてものじゃない。
事故や事件の可能性が頭に浮かんでは消え、消えては浮かんだ。
永遠とも思える時間。
過ぎる感覚の無い時間。
このまま朝が来ずに、私は夜に飲まれていくかもしれない。
そんな錯覚さえ覚えた。
その度、兄さんの布団を握り締めて、心の中で何度も祈り続けた。
……なんてことはない。
ずっと、待ってきたんだ。耐えてきたんだ。
大丈夫だよ、兄さん。私、がんばれるよ。
でも、ほんの少し心配だから……はやく、帰ってきてね―――
―――まどろみの中に在って、ドアが開く音を聞いた。
その数秒後、私はやっと、本物の温もりを感じる事が出来た。
服を、脱いで、いく。
ゆっくりと、丁寧に、厳かに。
体を覆う布が消えるたび、鼓動が早く強くなっていく。
兄さんの目の前で服を脱いだ事などたくさんあった。
けれど、今は目的が違う。
私も兄さんも、お互いの求めに応えるようにして、生まれた時の姿に帰ろうとしていた。
……あの、無邪気だった頃に、無意識の内に帰ろうとしていた。
せめて、姿だけでも。
兄「綺麗だ」
妹「今さら気づいた?」
兄「いや。ずっと、言いたかった」
妹「……ぅ」
それから兄さんは、私の体中にキスをし始めた。
兄さんの熱いその部分に触れるたび、私の皮膚が悦んでいく。
兄「待たせて、ごめん」
ごめんな、と何度も謝りながら、兄さんはやさしく口付けをしていった。
ゆっくりと、丁寧に、厳かに。
体を覆う布が消えるたび、鼓動が早く強くなっていく。
兄さんの目の前で服を脱いだ事などたくさんあった。
けれど、今は目的が違う。
私も兄さんも、お互いの求めに応えるようにして、生まれた時の姿に帰ろうとしていた。
……あの、無邪気だった頃に、無意識の内に帰ろうとしていた。
せめて、姿だけでも。
兄「綺麗だ」
妹「今さら気づいた?」
兄「いや。ずっと、言いたかった」
妹「……ぅ」
それから兄さんは、私の体中にキスをし始めた。
兄さんの熱いその部分に触れるたび、私の皮膚が悦んでいく。
兄「待たせて、ごめん」
ごめんな、と何度も謝りながら、兄さんはやさしく口付けをしていった。
そうしているうちに、私の体はすっかりとろけてしまった。
恥ずかしさと喜びとが、何度も交互にやってきて、もうどっちがどっちなのか分からなくなった時間だった。
ぼんやりとした意識。
なぜか、友さんの事が頭に浮かんだ。
……友さん、今、何してる?
私は……
妹「にぃ、さん」
兄「ん?」
妹「わたし、からも……」
私は初めて、自分から兄さんにキスをした。
求めるキスも、気持ちがよかった。
あぁ……はやく、兄さんだけしか考えられないようにしてほしい。
妹「……き、て」
そうして、私は初めて兄さんに傷つけられた。
恥ずかしさと喜びとが、何度も交互にやってきて、もうどっちがどっちなのか分からなくなった時間だった。
ぼんやりとした意識。
なぜか、友さんの事が頭に浮かんだ。
……友さん、今、何してる?
私は……
妹「にぃ、さん」
兄「ん?」
妹「わたし、からも……」
私は初めて、自分から兄さんにキスをした。
求めるキスも、気持ちがよかった。
あぁ……はやく、兄さんだけしか考えられないようにしてほしい。
妹「……き、て」
そうして、私は初めて兄さんに傷つけられた。
お腹の中に、不思議な感覚が残っている。
傷つけられて、穿たれたにしては、心地がいい。
……ここに、兄さんの想いが残ってるんだ。
妹「ん……」
愛しくなって、兄さんを抱きしめる手に力を入れた。
温かい。
もう、兄さんをずっと待っていた時の様な、寒さはない。
この温かさが幸せの象徴のようにも思える。
妹「ねぇ、兄さん」
妹「さっき、欲しいもの、言っていいっていったよね?」
兄「うん。何か思いついた?」
妹「子供」
妹「……なんちゃって」
傷つけられて、穿たれたにしては、心地がいい。
……ここに、兄さんの想いが残ってるんだ。
妹「ん……」
愛しくなって、兄さんを抱きしめる手に力を入れた。
温かい。
もう、兄さんをずっと待っていた時の様な、寒さはない。
この温かさが幸せの象徴のようにも思える。
妹「ねぇ、兄さん」
妹「さっき、欲しいもの、言っていいっていったよね?」
兄「うん。何か思いついた?」
妹「子供」
妹「……なんちゃって」
兄「なんちゃって?」
妹「ごめん、冗談じゃなくて、冗談じゃないっていうか……」
兄「俺は、欲しいよ」
兄「妹と俺の子供」
妹「……」
昼間に夢想した事を思い出す。
私と、子供と、その隣にいる兄さん。
あの時は夢物語に近い想像だった。
それが今は、とてもリアルを帯びている。
兄「今したのって、さ」
兄「そういう事だろ?」
妹「……うん」
そう。
だから、私も兄さんを求めた。
私と兄さんをつなぐものを手に入れたかった。
妹「ごめん、冗談じゃなくて、冗談じゃないっていうか……」
兄「俺は、欲しいよ」
兄「妹と俺の子供」
妹「……」
昼間に夢想した事を思い出す。
私と、子供と、その隣にいる兄さん。
あの時は夢物語に近い想像だった。
それが今は、とてもリアルを帯びている。
兄「今したのって、さ」
兄「そういう事だろ?」
妹「……うん」
そう。
だから、私も兄さんを求めた。
私と兄さんをつなぐものを手に入れたかった。
妹「兄さんに、欲しいものを言っていい、って言われたとき」
妹「私、そういう事しか思い浮かばなかった」
妹「たぶん、これからも、そんなに欲しいものは出てこないと思う」
兄「そうか……」
妹「もちろん、本当に必要なものは遠慮しないで言おうと思うよ」
妹「でも、そうじゃなくて」
妹「本当の本当に必要なのは……私にとって、『もの』じゃない様な気がして」
ただ、それが具体的になんなのか、漠然としていてうまくつかめない。
けれど、ひとつだけ分かることがある。
独りでいたくない。
もう、無限の夜を独りで待つのは、きっと耐えられないから。
妹「……今日ね、母さんが、言ってた」
兄「会えたんだ。……なんて?」
妹「兄さんは、不器用だって」
兄「なんだそれ」
妹「私、そういう事しか思い浮かばなかった」
妹「たぶん、これからも、そんなに欲しいものは出てこないと思う」
兄「そうか……」
妹「もちろん、本当に必要なものは遠慮しないで言おうと思うよ」
妹「でも、そうじゃなくて」
妹「本当の本当に必要なのは……私にとって、『もの』じゃない様な気がして」
ただ、それが具体的になんなのか、漠然としていてうまくつかめない。
けれど、ひとつだけ分かることがある。
独りでいたくない。
もう、無限の夜を独りで待つのは、きっと耐えられないから。
妹「……今日ね、母さんが、言ってた」
兄「会えたんだ。……なんて?」
妹「兄さんは、不器用だって」
兄「なんだそれ」
妹「決めるまでに、迷うんだって」
兄「……」
妹「私の事も、ずっと迷っててくれたよね」
兄「……その分、待たせて、つらい思いをさせちまった」
妹「だから、母さんこうも言ってた。やり通すことが大事なんだって」
兄「やり通す……」
妹「私は」
妹「兄さんを選んだ事、後悔しないよ」
友さんという存在を捨てた。
兄さんを手に入れるために。
これは、悲しい事だけど、必要なこと。
だから、私はやり通す。
兄「俺は、死ぬまで妹の側にいるよ」
兄「約束だ」
……やり通すんだ。
兄「……」
妹「私の事も、ずっと迷っててくれたよね」
兄「……その分、待たせて、つらい思いをさせちまった」
妹「だから、母さんこうも言ってた。やり通すことが大事なんだって」
兄「やり通す……」
妹「私は」
妹「兄さんを選んだ事、後悔しないよ」
友さんという存在を捨てた。
兄さんを手に入れるために。
これは、悲しい事だけど、必要なこと。
だから、私はやり通す。
兄「俺は、死ぬまで妹の側にいるよ」
兄「約束だ」
……やり通すんだ。
次の日。
兄「じゃあ、行ってくる」
妹「うん」
いつもこの時、頭を撫でてくれる。
でも、今日は違った。
妹「……んっ」
唇が、兄さんの柔らかい唇に優しく触れて、熱を帯びた。
まだ、慣れない。
そのうち、キスひとつするにもドキドキしない日がくるのかな。
兄「妹も学校、がんばって」
妹「うん」
その日。
私は学校へ行かなかった。
兄「じゃあ、行ってくる」
妹「うん」
いつもこの時、頭を撫でてくれる。
でも、今日は違った。
妹「……んっ」
唇が、兄さんの柔らかい唇に優しく触れて、熱を帯びた。
まだ、慣れない。
そのうち、キスひとつするにもドキドキしない日がくるのかな。
兄「妹も学校、がんばって」
妹「うん」
その日。
私は学校へ行かなかった。
制服を着て、お弁当を持って、かばんを下げて。
妹「いってきます」
寝ている母に向かって、小さく挨拶。
扉を開けて、出発。
いつもの朝、いつもの風景。
……ただ、今日は目的地が違った。
歩いて向かうのは、学校ではない。
駅の方角。
妹「いってきます」
寝ている母に向かって、小さく挨拶。
扉を開けて、出発。
いつもの朝、いつもの風景。
……ただ、今日は目的地が違った。
歩いて向かうのは、学校ではない。
駅の方角。
駅前の公園のベンチ。
そこに私は腰掛けた。
小さな公園。
茂みに囲まれている。
その、茂みの向こう。
公園の対面に、コンビニがある。
レジの方を見ると、見覚えのある顔がいた。
妹「……兄さん」
遠くて、よく見えない。
けれど、近くに行ったら兄さんに見つかってしまう。
でも、このままで、よかった。
そこに私は腰掛けた。
小さな公園。
茂みに囲まれている。
その、茂みの向こう。
公園の対面に、コンビニがある。
レジの方を見ると、見覚えのある顔がいた。
妹「……兄さん」
遠くて、よく見えない。
けれど、近くに行ったら兄さんに見つかってしまう。
でも、このままで、よかった。
兄さんがそこにいると分かっているだけで、よかった。
それだけで、十分だった。
妹「……」
じっと、兄さんの動きを見る。
レジが混んできた。
大変そうだな。
あぁ……でも、兄さん笑ってる。
あの笑い方、見たことないな。
接客用のスマイルかな。
あの笑顔で、勘違いする女の人とかいなのかな。
私だったら、一目惚れしちゃうな。
毎日通っちゃうな、このコンビニ。
あ……謝ってる。
お客さんに怒られたのかな。
朝だもんね。イライラしてるお客さん、多いって言ってたもんね。
……えらいなぁ、兄さん。
それだけで、十分だった。
妹「……」
じっと、兄さんの動きを見る。
レジが混んできた。
大変そうだな。
あぁ……でも、兄さん笑ってる。
あの笑い方、見たことないな。
接客用のスマイルかな。
あの笑顔で、勘違いする女の人とかいなのかな。
私だったら、一目惚れしちゃうな。
毎日通っちゃうな、このコンビニ。
あ……謝ってる。
お客さんに怒られたのかな。
朝だもんね。イライラしてるお客さん、多いって言ってたもんね。
……えらいなぁ、兄さん。
ぐー。
……あれ。
妹「お腹の音かな」
ぐー。
妹「お腹の音だ」
時計を見ると、もうすぐ1時になるところだった。
学校だったら、とっくに昼休みが始まっている。
妹「やっぱり、ご飯をいつも食べてる時間に、お腹が空くんだなぁ」
カバンの中から、お弁当を取り出した。
昨日の夜はご飯作らなかったから、朝の残り物だけ詰めた。
卵焼きとか、焼き魚とか。
妹「いただきます」
……あれ。
妹「お腹の音かな」
ぐー。
妹「お腹の音だ」
時計を見ると、もうすぐ1時になるところだった。
学校だったら、とっくに昼休みが始まっている。
妹「やっぱり、ご飯をいつも食べてる時間に、お腹が空くんだなぁ」
カバンの中から、お弁当を取り出した。
昨日の夜はご飯作らなかったから、朝の残り物だけ詰めた。
卵焼きとか、焼き魚とか。
妹「いただきます」
友「今日は、シンプルなんだね」
妹「え……」
そばから、声がした。
友さんだった。
友「座るね」
友さんはベンチの私の隣に座った。
私は返事もしていないのに。
妹「……」
無視して、お弁当を口に入れていく。
……味が、しない。
友「ここから、よく見えるね」
友「妹のお兄さん」
妹「っ?」
妹「え……」
そばから、声がした。
友さんだった。
友「座るね」
友さんはベンチの私の隣に座った。
私は返事もしていないのに。
妹「……」
無視して、お弁当を口に入れていく。
……味が、しない。
友「ここから、よく見えるね」
友「妹のお兄さん」
妹「っ?」
友「なんで、って顔してるね」
妹「……」
意味が分からない。
友さんに、兄さんの事を紹介した覚えが無い。
そもそも、なんで友さんが、ここに。
今日は学校が普通にある日だったはずだ。
友「私もお弁当、食べようかな」
友さんは、カバンの中からお弁当を取り出して、包みを広げた。
……あれ。
いつもの友さんのお弁当の中身は、一見小奇麗だけど、冷凍食品みたいなものが多かった。
けれど、今日のはお弁当は、彩りが悪いし、おかずの包みもろくに出来てない。
友「ふふ、ひどいでしょ」
友「……私もね、お弁当作って見たんだ」
妹「……」
意味が分からない。
友さんに、兄さんの事を紹介した覚えが無い。
そもそも、なんで友さんが、ここに。
今日は学校が普通にある日だったはずだ。
友「私もお弁当、食べようかな」
友さんは、カバンの中からお弁当を取り出して、包みを広げた。
……あれ。
いつもの友さんのお弁当の中身は、一見小奇麗だけど、冷凍食品みたいなものが多かった。
けれど、今日のはお弁当は、彩りが悪いし、おかずの包みもろくに出来てない。
友「ふふ、ひどいでしょ」
友「……私もね、お弁当作って見たんだ」
友「さ、食べよ?」
そう言って、友さんは自分のお弁当を口に入れていく。
……おかしい。こんなの。
これじゃ、いつもと同じ昼休み。
妹「なんなの……?」
妹「どういうつもり?」
友「妹さんと、お弁当が食べたかったの」
妹「もう、関わらないで、って言った」
友「私は頷いてない」
妹「……」
屁理屈だ。
私が、あの言葉を言うのがどれだけ大変だったか。
妹「関わらないで」
妹「……もう、会いたくない」
友「……」
そう言って、友さんは自分のお弁当を口に入れていく。
……おかしい。こんなの。
これじゃ、いつもと同じ昼休み。
妹「なんなの……?」
妹「どういうつもり?」
友「妹さんと、お弁当が食べたかったの」
妹「もう、関わらないで、って言った」
友「私は頷いてない」
妹「……」
屁理屈だ。
私が、あの言葉を言うのがどれだけ大変だったか。
妹「関わらないで」
妹「……もう、会いたくない」
友「……」
友「昨日、ね」
友「お兄さんに、会ったの」
妹「……いつ」
……昨日。
兄さんの、帰りが遅かった。
理由は、まだ、聞いてない。
はぐらかされた。
もしかしたら、友さんが関わってる……?
友「気になる?」
妹「はやく答えてよ!」
友「……そんなに、私の事、嫌い?」
妹「兄さんに何したの?」
友「お兄さんの事、好きなんだね」
妹「……っ」
友「お兄さんに、会ったの」
妹「……いつ」
……昨日。
兄さんの、帰りが遅かった。
理由は、まだ、聞いてない。
はぐらかされた。
もしかしたら、友さんが関わってる……?
友「気になる?」
妹「はやく答えてよ!」
友「……そんなに、私の事、嫌い?」
妹「兄さんに何したの?」
友「お兄さんの事、好きなんだね」
妹「……っ」
友「妹さんを探しに行ったの。あれから」
友「前に、うちに来たとき、窓から指さしてくれたでしょ?」
友「その方向だけを頼りに、がむしゃらにさ」
友「見つかりっこないのにね……」
妹「……」
友「……夜になって。それでもムキになって探してた」
友「そしたら、怖い人たちに襲われちゃって」
友「お兄さんにたすけられた」
なるほど。
それで兄さんは帰ってくるのが遅かったんだ。
友さんを、守るために。
妹「友さんなんか」
妹「友さんなんか、居なければよかった」
妹「友さんとなんか、会わなきゃよかった……!」
友「前に、うちに来たとき、窓から指さしてくれたでしょ?」
友「その方向だけを頼りに、がむしゃらにさ」
友「見つかりっこないのにね……」
妹「……」
友「……夜になって。それでもムキになって探してた」
友「そしたら、怖い人たちに襲われちゃって」
友「お兄さんにたすけられた」
なるほど。
それで兄さんは帰ってくるのが遅かったんだ。
友さんを、守るために。
妹「友さんなんか」
妹「友さんなんか、居なければよかった」
妹「友さんとなんか、会わなきゃよかった……!」
友「……ほんと?」
妹「なんで、私と兄さんの、邪魔するのっ!?」
妹「友さんと居るとっ、私、苦しい思いばっかりする……っ」
友さんといることで、ずっと兄さんへの後ろめたい気持ちに苛まれてきた。
そんな友さんが、私の決意を邪魔しようとしている。
許せない。
昨日、あんなに苦しい思いをした。
そのすべてが、友さんのせい。
友「ごめん。……そんなつもりは、なかったんだ」
友「純粋に、妹さんと仲良くなれるのが、嬉しくて……」
分かってる。
私の独りよがりだって。
……でも、それでも。
私はもう決めたから。選んだから。
兄さんを。
妹「もう何も言わないでよ……っ!」
妹「はやく、居なくなって……お願い」
妹「なんで、私と兄さんの、邪魔するのっ!?」
妹「友さんと居るとっ、私、苦しい思いばっかりする……っ」
友さんといることで、ずっと兄さんへの後ろめたい気持ちに苛まれてきた。
そんな友さんが、私の決意を邪魔しようとしている。
許せない。
昨日、あんなに苦しい思いをした。
そのすべてが、友さんのせい。
友「ごめん。……そんなつもりは、なかったんだ」
友「純粋に、妹さんと仲良くなれるのが、嬉しくて……」
分かってる。
私の独りよがりだって。
……でも、それでも。
私はもう決めたから。選んだから。
兄さんを。
妹「もう何も言わないでよ……っ!」
妹「はやく、居なくなって……お願い」
友「うん……でも、学校は、来てほしい」
妹「……」
友さんに、見抜かれていた。
私はもう、学校には行くつもりはなかった。
兄さんと一緒に居ることを選んだ今、もう学校で勉強する意味も見出せない。
早くどこかで働いて、お金を貯めて、いつか兄さんと家庭を築くんだ。
そしてなにより。
……学校には、友さんが居る。
妹「行かないよ」
妹「行ける、はず、ない……っ」
きっと、友さんと会う度、私は苦しむ。
決意が、揺らぐ。
だってそれほど、私にとって友さんは、かけがえの無い人だから……
友「そ、っか……」
妹「……」
友さんに、見抜かれていた。
私はもう、学校には行くつもりはなかった。
兄さんと一緒に居ることを選んだ今、もう学校で勉強する意味も見出せない。
早くどこかで働いて、お金を貯めて、いつか兄さんと家庭を築くんだ。
そしてなにより。
……学校には、友さんが居る。
妹「行かないよ」
妹「行ける、はず、ない……っ」
きっと、友さんと会う度、私は苦しむ。
決意が、揺らぐ。
だってそれほど、私にとって友さんは、かけがえの無い人だから……
友「そ、っか……」
友「朝、学校に居ないのが分かって」
友「もかして、って思って」
友「昨日お兄さんに教えてもらったコンビニに来てみた」
友「でも……おせっかいだったみたい。
友「もう、妹さんにとって」
友「私は、いらないんだね」
最後の一言は、悲しい声だった。
私が拒否の言葉を何度発しても、友さんはあきらめなかった。
それなのに……
友「じゃあ、これが、一緒に食べる最後のお昼かな」
妹「う、……、ぁ、ぁ」
苦しい。
切ない。
……だから、会いたくなかった。
涙が出てきた。
ポタポタ、お弁当の上に粒が落ちていく。
これじゃあ、お別れが嫌だって言ってるみたいじゃないか。
妹「っ……うっ、……ぐすっ」
友「もかして、って思って」
友「昨日お兄さんに教えてもらったコンビニに来てみた」
友「でも……おせっかいだったみたい。
友「もう、妹さんにとって」
友「私は、いらないんだね」
最後の一言は、悲しい声だった。
私が拒否の言葉を何度発しても、友さんはあきらめなかった。
それなのに……
友「じゃあ、これが、一緒に食べる最後のお昼かな」
妹「う、……、ぁ、ぁ」
苦しい。
切ない。
……だから、会いたくなかった。
涙が出てきた。
ポタポタ、お弁当の上に粒が落ちていく。
これじゃあ、お別れが嫌だって言ってるみたいじゃないか。
妹「っ……うっ、……ぐすっ」
妹「ごめんっ、……ごめん、なさっ……」
妹「私、……友さんのこと、」
妹「すきっ……大好きっ」
妹「でも、兄さんが、いる、からっ……だからぁっ……!」
友「……大丈夫、分かってる」
友「分かってる、から」
妹「ずっと、うらやまし、かった」
妹「私と、あまりにも、違って、……全部、ちがってっ」
妹「友さんはっ、私が、もってないもの、全部、持ってて」
妹「一緒にいると……私も、友さんが見ている景色、見ていられるみたい、でっ」
妹「すごく、たのしかっ、たっ!」
妹「でも、やっぱり、違うよ……私と、友さん……違う、よぉっ」
忘れない。
奢ってもらったクレープの事。
一緒に見た、友さんの部屋の窓からの景色。
お弁当を食べた、昼休みの時間。
全部、私ひとりじゃ手に入れられないものばかりだった。
妹「ありがと……、いっぱい、いっぱい、いっぱいくれて、ありがとう……!」
妹「私、……友さんのこと、」
妹「すきっ……大好きっ」
妹「でも、兄さんが、いる、からっ……だからぁっ……!」
友「……大丈夫、分かってる」
友「分かってる、から」
妹「ずっと、うらやまし、かった」
妹「私と、あまりにも、違って、……全部、ちがってっ」
妹「友さんはっ、私が、もってないもの、全部、持ってて」
妹「一緒にいると……私も、友さんが見ている景色、見ていられるみたい、でっ」
妹「すごく、たのしかっ、たっ!」
妹「でも、やっぱり、違うよ……私と、友さん……違う、よぉっ」
忘れない。
奢ってもらったクレープの事。
一緒に見た、友さんの部屋の窓からの景色。
お弁当を食べた、昼休みの時間。
全部、私ひとりじゃ手に入れられないものばかりだった。
妹「ありがと……、いっぱい、いっぱい、いっぱいくれて、ありがとう……!」
友「うれしい……うれしい、よ」
友「ありがと……」
友さんも、静かに涙を流した。
二人して、ベンチに座って。
お弁当にも手をつけないで。
最後の時間を、慈しんでいる。
友「……朝、自分で、お弁当作った」
友「それで、分かった」
友「やっぱり、妹さんって凄いんだな、って」
妹「……ぇ」
友「私も、妹さん、……うらやましかったよ」
友「こんな事いうと、見下してるみたいに思われるかもしれないけど」
友「私は、ずっと……自分が幸せなことに疑問を持ってて」
友「でも、疑問なだけで、戦ってなかった」
友「……私と同い年の妹さんは、もうずっと前から運命みたいなものと戦ってた」
友「だから、ただ……私も、一緒に……」
友「でも、もう」
友「……もう」
友「ありがと……」
友さんも、静かに涙を流した。
二人して、ベンチに座って。
お弁当にも手をつけないで。
最後の時間を、慈しんでいる。
友「……朝、自分で、お弁当作った」
友「それで、分かった」
友「やっぱり、妹さんって凄いんだな、って」
妹「……ぇ」
友「私も、妹さん、……うらやましかったよ」
友「こんな事いうと、見下してるみたいに思われるかもしれないけど」
友「私は、ずっと……自分が幸せなことに疑問を持ってて」
友「でも、疑問なだけで、戦ってなかった」
友「……私と同い年の妹さんは、もうずっと前から運命みたいなものと戦ってた」
友「だから、ただ……私も、一緒に……」
友「でも、もう」
友「……もう」
世界は、多くの理不尽が、当然の様に存在する。
ひとつを選べば、もうひとつが手に入らない。
そんなことは、幾らだって起こっている。
……私たちは、そんな理不尽の犠牲者なのかもしれない。
妹「元気で、ね」
友「……妹さんも」
いつか、そんな理不尽の無い世界が、来る日が。
……いつか。
妹「お弁当、最後に……食べてこうよ」
妹「交換、しない?」
友「いいの?」
友「……いただきます」
お弁当には、私と友さん、それぞれの世界が詰まってる。
そして私たちは、最後にお互いの世界を噛みしめる。
決して上手とは言えない、でも、精一杯作った、友さんのお弁当。
こんなお弁当を作る女の子に、……私はなりたかった。
第3章 おわり
ひとつを選べば、もうひとつが手に入らない。
そんなことは、幾らだって起こっている。
……私たちは、そんな理不尽の犠牲者なのかもしれない。
妹「元気で、ね」
友「……妹さんも」
いつか、そんな理不尽の無い世界が、来る日が。
……いつか。
妹「お弁当、最後に……食べてこうよ」
妹「交換、しない?」
友「いいの?」
友「……いただきます」
お弁当には、私と友さん、それぞれの世界が詰まってる。
そして私たちは、最後にお互いの世界を噛みしめる。
決して上手とは言えない、でも、精一杯作った、友さんのお弁当。
こんなお弁当を作る女の子に、……私はなりたかった。
第3章 おわり
>>599
思っても口に出さんでよろしい
思っても口に出さんでよろしい
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