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元スレ妹「温もりがほしい笑いかけてほしい受け入れてほしい。寂しい。」
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友「ねぇ、妹さんの家はどのあたりにあるの?」
友「ここから見える?」
妹「うん」
妹さんは軽くうなづくと、指をさした。
友「……?」
その方向には、工場と海しかない。
妹さんが住んでいるのは、景色のもっと手前……丘の下にある住宅地ではないみたいだった。
友「もしかして、外国……とか?」
妹「まさか」
友「じゃあ、工場の中?」
妹「ううん。……工場の、近く」
友「あのあたり、行ったことないかも」
妹「……あんまり、いいところじゃ、ない」
友「そうなんだ。でも、妹さんの家なら行ってみたいな」
友「ここから見える?」
妹「うん」
妹さんは軽くうなづくと、指をさした。
友「……?」
その方向には、工場と海しかない。
妹さんが住んでいるのは、景色のもっと手前……丘の下にある住宅地ではないみたいだった。
友「もしかして、外国……とか?」
妹「まさか」
友「じゃあ、工場の中?」
妹「ううん。……工場の、近く」
友「あのあたり、行ったことないかも」
妹「……あんまり、いいところじゃ、ない」
友「そうなんだ。でも、妹さんの家なら行ってみたいな」
妹「……」
私の言葉など聴いてなかったかの様に、妹さんは表情を変えずに窓の外を眺めている。
その目線の先にあるのは、海?
それとも妹さんの家?
友「妹さんは」
妹「……」
友「妹さんはいつもあまり自分の事を話してくれないね」
妹「……う、ん」
友「だから、私の話ばっかりになっちゃうけど」
友「いいかな?」
友「聞いて、くれる?」
妹「うん」
妹さんの目線は、ずっと窓の外を向いていた。
私の言葉など聴いてなかったかの様に、妹さんは表情を変えずに窓の外を眺めている。
その目線の先にあるのは、海?
それとも妹さんの家?
友「妹さんは」
妹「……」
友「妹さんはいつもあまり自分の事を話してくれないね」
妹「……う、ん」
友「だから、私の話ばっかりになっちゃうけど」
友「いいかな?」
友「聞いて、くれる?」
妹「うん」
妹さんの目線は、ずっと窓の外を向いていた。
友「私ね、この家好きじゃないの」
妹「……」
友「バカみたいな家でしょ? わざわざレトロな風にしてさ」
友「気取って……自慢したい、って……そういうオーラがすごい出てる」
友「そう思わない?」
妹「……」
友「だから、こういう家を建てたお父さんも、お母さんも、嫌いなんだ」
友「……嫌いになった理由はね、一杯ある」
友「だけどその理由を無視して、反抗期だからって理由を決め付けて、何度も片付けられた」
友「もう、そんな年じゃないのに」
友「でもね、知ってるの」
友「あの人たちは、……お父さんとお母さんは、致命的に、寂しがってる」
友「たった一人の娘にさえ、すがろうとしてる」
妹「……」
友「バカみたいな家でしょ? わざわざレトロな風にしてさ」
友「気取って……自慢したい、って……そういうオーラがすごい出てる」
友「そう思わない?」
妹「……」
友「だから、こういう家を建てたお父さんも、お母さんも、嫌いなんだ」
友「……嫌いになった理由はね、一杯ある」
友「だけどその理由を無視して、反抗期だからって理由を決め付けて、何度も片付けられた」
友「もう、そんな年じゃないのに」
友「でもね、知ってるの」
友「あの人たちは、……お父さんとお母さんは、致命的に、寂しがってる」
友「たった一人の娘にさえ、すがろうとしてる」
友「きっと、私に受け入れて欲しかったんだと思う」
友「でも、私は人柱じゃないから」
父と母は、世間の目からすれば、よくできた夫婦だと思う。
資産は潤沢だし、仲もいい。
私の事も可愛がってくれているのだろう。
それでも、私はずっと「疑問」を抱き続けていた。
妹「わかるよ」
ずっと窓の外を眺めていた妹さんが、私を見据えて、やさしく言った。
吸い込まれる瞳。
そんな、ありふれた言葉が出てきた。
吸い込まれたものは、心。
友「……え」
妹「それ、わかる」
友「でも、私は人柱じゃないから」
父と母は、世間の目からすれば、よくできた夫婦だと思う。
資産は潤沢だし、仲もいい。
私の事も可愛がってくれているのだろう。
それでも、私はずっと「疑問」を抱き続けていた。
妹「わかるよ」
ずっと窓の外を眺めていた妹さんが、私を見据えて、やさしく言った。
吸い込まれる瞳。
そんな、ありふれた言葉が出てきた。
吸い込まれたものは、心。
友「……え」
妹「それ、わかる」
OCN規制かかったのでP2導入
ずっと耐えてきたのについにお賽銭……orz
保守ありがとうございます。続けます
ずっと耐えてきたのについにお賽銭……orz
保守ありがとうございます。続けます
妹「お父さんとお母さんを拒むのも、友さんの自由」
妹「受け入れるのも、自由」
妹「友さんには、それだけの権利があるよ」
友「……」
妹「でも」
妹「拒まれるのは、辛いこと」
どんなエゴな愛だとしても、私は親に愛されている事に変わりはなかった。
出かけたいと言えば時間を作ってくれた。
クリスマスや誕生日なんか、いつも盛大にやった。
欲しいものは、大抵手に入れてくれた。
私の喜びは、親の喜びだった。それはまさしく、愛と呼べるものだろう。
……けれど。
友「私ね、高校卒業したら、家を出ようと思うんだ」
妹「……それが、秘密?」
友「そう。 秘密の、ひとつ」
妹「受け入れるのも、自由」
妹「友さんには、それだけの権利があるよ」
友「……」
妹「でも」
妹「拒まれるのは、辛いこと」
どんなエゴな愛だとしても、私は親に愛されている事に変わりはなかった。
出かけたいと言えば時間を作ってくれた。
クリスマスや誕生日なんか、いつも盛大にやった。
欲しいものは、大抵手に入れてくれた。
私の喜びは、親の喜びだった。それはまさしく、愛と呼べるものだろう。
……けれど。
友「私ね、高校卒業したら、家を出ようと思うんだ」
妹「……それが、秘密?」
友「そう。 秘密の、ひとつ」
しえん
スレ立て規制掛かってるとかふざけろ
あとしんすけざまあwwwww
スレ立て規制掛かってるとかふざけろ
あとしんすけざまあwwwww
妹「ほかにも、あるんだ」
友「うん。なんだかミステリアスでしょ?」
妹「……そうかも」
私と妹さんは、にはっ、と笑った。
友「もっと、壁のある人だと思ってたんだ」
妹「……?」
友「妹さん。無口で、人と話すのを嫌ってて」
友「でも、話してみたら、案外面白い人で……」
妹「……えっ」
友「今は、……うぅ、ん」
友「今は……」
妹「……ん?」
友「……ねぇ」
友「私、妹さんと友達くらいにはなれたかな?」
友「うん。なんだかミステリアスでしょ?」
妹「……そうかも」
私と妹さんは、にはっ、と笑った。
友「もっと、壁のある人だと思ってたんだ」
妹「……?」
友「妹さん。無口で、人と話すのを嫌ってて」
友「でも、話してみたら、案外面白い人で……」
妹「……えっ」
友「今は、……うぅ、ん」
友「今は……」
妹「……ん?」
友「……ねぇ」
友「私、妹さんと友達くらいにはなれたかな?」
妹「……ともだち」
友「そんなの、確認するような事じゃないって知ってるけど」
友「でも、私なりに不安なんだ」
友「ねぇ。迷惑じゃない?」
妹「……」
友「妹さんの領域に、ずかずか入って荒らそうとしてるんだって、自覚してるよ」
友「それでも私は、……私は」
妹「迷惑」
友「あ、……」
妹「中途半端は嫌なの」
妹「友達は、いらない」
何かが、崩れて、再構築された。
この瞬間、知った。
彼女が私に何を求めているかを。
彼女は私が思っている以上に、寂しがっている。
友「そんなの、確認するような事じゃないって知ってるけど」
友「でも、私なりに不安なんだ」
友「ねぇ。迷惑じゃない?」
妹「……」
友「妹さんの領域に、ずかずか入って荒らそうとしてるんだって、自覚してるよ」
友「それでも私は、……私は」
妹「迷惑」
友「あ、……」
妹「中途半端は嫌なの」
妹「友達は、いらない」
何かが、崩れて、再構築された。
この瞬間、知った。
彼女が私に何を求めているかを。
彼女は私が思っている以上に、寂しがっている。
友「抱きしめて、いい?」
妹「……」
妹さんに、一歩近づいた。
妹さんは逃げない。
友「ごめん」
小さくつぶやいて、私はゆっくりと妹さんの腰に手を伸ばした。
引き寄せると、妹さんの全身から、ほのかな温もりが伝わってくる。
友「嫌だったら、言ってね」
妹「……別に」
妹「嫌じゃ、ない」
友「良かった」
そっと、頬を寄せた。
……熱い。
妹「……」
妹さんに、一歩近づいた。
妹さんは逃げない。
友「ごめん」
小さくつぶやいて、私はゆっくりと妹さんの腰に手を伸ばした。
引き寄せると、妹さんの全身から、ほのかな温もりが伝わってくる。
友「嫌だったら、言ってね」
妹「……別に」
妹「嫌じゃ、ない」
友「良かった」
そっと、頬を寄せた。
……熱い。
友「私ね、お父さんのことも、お母さんのことも、好き」
友「でもね、好き、だから……」
妹「うん」
妹「分かる、よ」
耳元で。ささやきあう。
吐息。
くすぐったい。じれったい。
鼓動が。はやい。
火照る。
友「チョビもね、そのうち、いなくなるから」
妹「うん」
友「……かごの鳥の話、覚えてる?」
妹「うん」
友「ずっとね。探してたの」
友「一緒にかごの外に出てくれる人」
妹「そう」
友「しばらく、こうしてて、いい?」
妹「……うん」
友「でもね、好き、だから……」
妹「うん」
妹「分かる、よ」
耳元で。ささやきあう。
吐息。
くすぐったい。じれったい。
鼓動が。はやい。
火照る。
友「チョビもね、そのうち、いなくなるから」
妹「うん」
友「……かごの鳥の話、覚えてる?」
妹「うん」
友「ずっとね。探してたの」
友「一緒にかごの外に出てくれる人」
妹「そう」
友「しばらく、こうしてて、いい?」
妹「……うん」
友「ドキドキ、してる?」
妹「……」
友「私はしてる」
友「誰かにこんなに近づいたのって、チョビくらい」
友「お母さんとお父さんとは、覚えてない」
妹「そう」
友「妹さんは?」
妹「……」
返事はない。
その代わり、私に頭を預けて、ゆっくりこすり付けてくる。
髪と皮膚が擦れる高い音が、私の耳を犯す。
友「……んっ」
妹「私は、寂しい人だった」
妹「友さんと、会って……もっと、寂しくなった」
友「……私もだよ」
妹「ひとりぼっちは、嫌」
友「うん。……嫌」
妹「……」
友「私はしてる」
友「誰かにこんなに近づいたのって、チョビくらい」
友「お母さんとお父さんとは、覚えてない」
妹「そう」
友「妹さんは?」
妹「……」
返事はない。
その代わり、私に頭を預けて、ゆっくりこすり付けてくる。
髪と皮膚が擦れる高い音が、私の耳を犯す。
友「……んっ」
妹「私は、寂しい人だった」
妹「友さんと、会って……もっと、寂しくなった」
友「……私もだよ」
妹「ひとりぼっちは、嫌」
友「うん。……嫌」
妹「はじめてだった」
友「何が?」
妹「友達」
妹「うぅん、……誰かと、帰ったりとか、そういう、の」
友「そうだったんだ」
妹「私、つまらないから。……面白い、って言ってくれたの」
妹「うれし、かった」
友「お世辞じゃないよ」
妹「うん……」
妹さんの手が、私の腰に回った。
私は、私自身を彼女に受け入れられたように感じて、幸せな気持ちになった。
ささいな反応。
でも、それが私の生きる喜びそのものなのかもしれない。
妹「……ごめんね」
妹「そろそろ、時間」
友「……え」
妹「……」
体を解いて初めて見た妹さんは、悲しい目をしていた。
友「何が?」
妹「友達」
妹「うぅん、……誰かと、帰ったりとか、そういう、の」
友「そうだったんだ」
妹「私、つまらないから。……面白い、って言ってくれたの」
妹「うれし、かった」
友「お世辞じゃないよ」
妹「うん……」
妹さんの手が、私の腰に回った。
私は、私自身を彼女に受け入れられたように感じて、幸せな気持ちになった。
ささいな反応。
でも、それが私の生きる喜びそのものなのかもしれない。
妹「……ごめんね」
妹「そろそろ、時間」
友「……え」
妹「……」
体を解いて初めて見た妹さんは、悲しい目をしていた。
妹さんがくれた熱が、あっという間に空気にさらわれていく。
……寒い。
妹「かえる、……ね」
友「待って!」
反射的に叫んで、妹さんの手を掴まえていた。
友「これからも、仲良くしてくれる?」
妹「寂しさを埋めるのは、寂しさしかないから」
妹「きっと、もっと、寂しくなるだけだから」
友「なら、今この時間、妹さんは寂しかったの?」
妹「好きな人が、いるの」
友「……」
妹「ずっとずっと、生まれたときから一緒で、恋かどうかもあやふや」
妹「でも、私の全部を受け入れてくれる人」
……寒い。
妹「かえる、……ね」
友「待って!」
反射的に叫んで、妹さんの手を掴まえていた。
友「これからも、仲良くしてくれる?」
妹「寂しさを埋めるのは、寂しさしかないから」
妹「きっと、もっと、寂しくなるだけだから」
友「なら、今この時間、妹さんは寂しかったの?」
妹「好きな人が、いるの」
友「……」
妹「ずっとずっと、生まれたときから一緒で、恋かどうかもあやふや」
妹「でも、私の全部を受け入れてくれる人」
妹「友さんは、私の寂しさに気づいてくれた」
妹「気づいてくれた人なら、今まで何人かいたけれど」
妹「私の寂しさを埋めようとしてくれたのは、友さんだけだよ」
友「ずるいよ。……妹さん、好きな人居ないって、言ってた」
妹「嘘ついて、ごめん」
妹「でも、本当言うと好きかどうかもはっきりしない」
妹「恋愛ってしたことないから」
妹「ただ、ずっと、これからも、一緒に居たいってはっきり思える人なの」
友「そう……」
つまりは、こうだ。
……私と一緒にはいられない。
妹「じゃ……。お邪魔、しました」
友「ねぇ! また、遊んでよ!」
友「学校でお昼食べて、放課後は一緒にどこかに行って……」
友「そういうさ、そういう……普通の女の子がするようなこと、一緒にしようよ!!」
友「うぅん、……して。私と、して。……お願い。妹、さん……」
妹「……」
妹「気づいてくれた人なら、今まで何人かいたけれど」
妹「私の寂しさを埋めようとしてくれたのは、友さんだけだよ」
友「ずるいよ。……妹さん、好きな人居ないって、言ってた」
妹「嘘ついて、ごめん」
妹「でも、本当言うと好きかどうかもはっきりしない」
妹「恋愛ってしたことないから」
妹「ただ、ずっと、これからも、一緒に居たいってはっきり思える人なの」
友「そう……」
つまりは、こうだ。
……私と一緒にはいられない。
妹「じゃ……。お邪魔、しました」
友「ねぇ! また、遊んでよ!」
友「学校でお昼食べて、放課後は一緒にどこかに行って……」
友「そういうさ、そういう……普通の女の子がするようなこと、一緒にしようよ!!」
友「うぅん、……して。私と、して。……お願い。妹、さん……」
妹「……」
友「妹さんには、その人が居るかもしれない」
友「でも、私には……妹さんしか居ないんだよ」
妹「友さんは、友達一杯いた」
友「あんなの、100人居たって私の寂しさは埋まらないっ!」
友「私に必要なのは、妹さん一人だけなんだよぅ」
すがるように、妹さんの手を握る。
私が思っている以上に、私は妹さんに依存していた。
また以前のような、お互いに干渉しない日々に戻るなんて、死んでも嫌だった。
妹「……別に」
そうつぶやいて妹さんが部屋のドアノブを捻った瞬間、巨体が飛び出してきた。
犬「バウッ!! バウウウッ!」
妹「きゃっ」
犬「ハッハッハッハッペロペロペロペロ」
妹「ちょ、ちょっと、……あっ、んっ…ぅ」
部屋の前でずっと待っていたであろうチョビは、入ってくるやいなや、妹に飛びついてまたもや顔を舐めだした。
我慢していた分、さっきよりも激しいペロペロ攻撃。
友「……ふっ、あ、ははっ。ふふっ」
妹「わ、笑ってないで助け……ひぅっ、ん、ぁっ!」
友「でも、私には……妹さんしか居ないんだよ」
妹「友さんは、友達一杯いた」
友「あんなの、100人居たって私の寂しさは埋まらないっ!」
友「私に必要なのは、妹さん一人だけなんだよぅ」
すがるように、妹さんの手を握る。
私が思っている以上に、私は妹さんに依存していた。
また以前のような、お互いに干渉しない日々に戻るなんて、死んでも嫌だった。
妹「……別に」
そうつぶやいて妹さんが部屋のドアノブを捻った瞬間、巨体が飛び出してきた。
犬「バウッ!! バウウウッ!」
妹「きゃっ」
犬「ハッハッハッハッペロペロペロペロ」
妹「ちょ、ちょっと、……あっ、んっ…ぅ」
部屋の前でずっと待っていたであろうチョビは、入ってくるやいなや、妹に飛びついてまたもや顔を舐めだした。
我慢していた分、さっきよりも激しいペロペロ攻撃。
友「……ふっ、あ、ははっ。ふふっ」
妹「わ、笑ってないで助け……ひぅっ、ん、ぁっ!」
友「ご、ごめん……でも……でもっ、くっ……ふふっ」
犬「ペロペロペロペロペロペロペロペロ」
妹「いあぁ、……汚され、……んひっ」
友「あはっ、……あははっ、ごめん、でもっ、うれしくって……!」
口元のゆるみがとまらない。
おかしくて、しょうがない。
しあわせで、たまらない。
「別に」と答えてくれた妹さんと、私はまだ関係を深める事ができるのだ。
友「また、うちに来てね。チョビも、そう言ってるよ」
妹「……う、ぅ……またこんな目に……ひぁっ!」
友「待ってるからね」
友「ずっと、待ってるから」
とりかごの中で私が出会った小鳥さん。
いつか共に巣立てる日が来ると夢見て、私は寄り添う。
第一章 終わり
犬「ペロペロペロペロペロペロペロペロ」
妹「いあぁ、……汚され、……んひっ」
友「あはっ、……あははっ、ごめん、でもっ、うれしくって……!」
口元のゆるみがとまらない。
おかしくて、しょうがない。
しあわせで、たまらない。
「別に」と答えてくれた妹さんと、私はまだ関係を深める事ができるのだ。
友「また、うちに来てね。チョビも、そう言ってるよ」
妹「……う、ぅ……またこんな目に……ひぁっ!」
友「待ってるからね」
友「ずっと、待ってるから」
とりかごの中で私が出会った小鳥さん。
いつか共に巣立てる日が来ると夢見て、私は寄り添う。
第一章 終わり
第二章
兄「遅かったね」
妹「……うん」
妹が珍しく、日が暮れてから帰ってきた。
いつも学校が終わると真っ直ぐ家に帰る子だ。
なにか、あったのだろうか。
兄「大丈夫か?」
妹「大丈夫」
兄「どうかした?」
妹「少し、寄り道した」
兄「へぇ……」
兄「遅かったね」
妹「……うん」
妹が珍しく、日が暮れてから帰ってきた。
いつも学校が終わると真っ直ぐ家に帰る子だ。
なにか、あったのだろうか。
兄「大丈夫か?」
妹「大丈夫」
兄「どうかした?」
妹「少し、寄り道した」
兄「へぇ……」
兄「どこに行ったの?」
妹「海」
兄「どこの?」
妹「氷川丸がとまってるとこ」
兄「山下公園か」
学校から家とは反対方向だ。
兄「ひとりで?」
妹「……」
兄「友達、できたんだ?」
妹「……ううん」
妹は、怒るとすぐに顔に出る。
いまも、眉の間に皺が寄っている。
兄「もう少し早く、帰ってきなよ。心配した」
兄「このあたりは治安がいいわけじゃないから」
妹「……はい」
妹「海」
兄「どこの?」
妹「氷川丸がとまってるとこ」
兄「山下公園か」
学校から家とは反対方向だ。
兄「ひとりで?」
妹「……」
兄「友達、できたんだ?」
妹「……ううん」
妹は、怒るとすぐに顔に出る。
いまも、眉の間に皺が寄っている。
兄「もう少し早く、帰ってきなよ。心配した」
兄「このあたりは治安がいいわけじゃないから」
妹「……はい」
兄「夕飯どうする?」
妹「リクエストある?」
兄「味はともかく、今は腹いっぱい食べたい」
妹「じゃあ、冷凍したご飯でチャーハン作るね。すぐできるから」
兄「よろしく」
妹は鞄を置いて、制服を脱ぎだした。
衣擦れの音が部屋に反響する。
やがて、妹はブラとショーツ、ハイソックスだけになる。
もう、慣れっこの風景だ。
妹が生まれてからずっと、妹と俺は同じ部屋で育ってきた。
兄妹二人分の部屋が、この家――アパートにはないからだ。
兄「下着のサイズ、大丈夫か?」
妹「……うん」
兄「ちゃんと、言えよ?」
妹「うん」
妹「リクエストある?」
兄「味はともかく、今は腹いっぱい食べたい」
妹「じゃあ、冷凍したご飯でチャーハン作るね。すぐできるから」
兄「よろしく」
妹は鞄を置いて、制服を脱ぎだした。
衣擦れの音が部屋に反響する。
やがて、妹はブラとショーツ、ハイソックスだけになる。
もう、慣れっこの風景だ。
妹が生まれてからずっと、妹と俺は同じ部屋で育ってきた。
兄妹二人分の部屋が、この家――アパートにはないからだ。
兄「下着のサイズ、大丈夫か?」
妹「……うん」
兄「ちゃんと、言えよ?」
妹「うん」
妹は部屋着を身に着けると、台所へと向かった。
玄関前の小さなシンクとガスコンロ。
冷凍庫からパック詰めされたご飯をとりだして、レンジに入れる。
ネギを簡単に洗い流したら、小気味いい包丁の音が鳴りだした。
妹「……」
妹は、料理をしている時、いつもとは違う表情をする。
楽しんでいるのかは分からない。
ただ、嫌がっているようには見えない。
最近は……特に、弁当を作っている時、なんだか嬉しそうな顔をしている。
今日は寄り道をしてきた。
何か、妹に変化がおきているのかもしれない。
兄「うまそうな匂い」
ガスコンロの上でフライパンが踊りだすと、小さな家を香ばしい匂いが満たした。
妹「……っ、……っ」
俺が一杯食べられるようにと、めいっぱいのご飯を使ってくれたのだろう。
フライパンをゆするのに妹は苦労しているように見える。
兄「こぼしそう」
妹「大丈夫。待ってて、兄さん」
玄関前の小さなシンクとガスコンロ。
冷凍庫からパック詰めされたご飯をとりだして、レンジに入れる。
ネギを簡単に洗い流したら、小気味いい包丁の音が鳴りだした。
妹「……」
妹は、料理をしている時、いつもとは違う表情をする。
楽しんでいるのかは分からない。
ただ、嫌がっているようには見えない。
最近は……特に、弁当を作っている時、なんだか嬉しそうな顔をしている。
今日は寄り道をしてきた。
何か、妹に変化がおきているのかもしれない。
兄「うまそうな匂い」
ガスコンロの上でフライパンが踊りだすと、小さな家を香ばしい匂いが満たした。
妹「……っ、……っ」
俺が一杯食べられるようにと、めいっぱいのご飯を使ってくれたのだろう。
フライパンをゆするのに妹は苦労しているように見える。
兄「こぼしそう」
妹「大丈夫。待ってて、兄さん」
兄「いただきます」
湯気の立った山盛り炒飯。
チャーシューは入ってない。
スプーンですくって、空っぽの胃に放り込む。
味はいつもと一緒だ。妹の味。
兄「うん、美味い」
妹「ゆっくり食べてね」
兄「妹は、それだけでいいのか? 俺はもっと少なくても……」
ご飯茶碗に半分もない位に盛られた妹の炒飯を見て、そう言った。
妹「大丈夫。あんまり、おなか空いてないの」
兄「そうか……」
もしかしたら、寄り道した先で何か食べたのかもしれない。
ただ、妹はお金を普段持ち歩かない。
兄「何か、隠してる?」
妹「……」
妹は答えず、無言で炒飯を口に運んでいく。
湯気の立った山盛り炒飯。
チャーシューは入ってない。
スプーンですくって、空っぽの胃に放り込む。
味はいつもと一緒だ。妹の味。
兄「うん、美味い」
妹「ゆっくり食べてね」
兄「妹は、それだけでいいのか? 俺はもっと少なくても……」
ご飯茶碗に半分もない位に盛られた妹の炒飯を見て、そう言った。
妹「大丈夫。あんまり、おなか空いてないの」
兄「そうか……」
もしかしたら、寄り道した先で何か食べたのかもしれない。
ただ、妹はお金を普段持ち歩かない。
兄「何か、隠してる?」
妹「……」
妹は答えず、無言で炒飯を口に運んでいく。
ちょっとペース遅くて申し訳ないです
時間ください
今日はもうちょっと書かせてください
時間ください
今日はもうちょっと書かせてください
兄「まぁ、いいんだ。でも何か辛い事だったら、遠慮なく言ってな」
妹「……うん」
暗い声で妹は答えた。
妹は、一人で何でも抱える癖がある。
理解して、悩みを共有したくても、なかなかできない。
兄「……ほんと、美味いよ」
妹「うん」
兄「いつも、ありがとな」
妹「兄さんこそ……いつも」
兄「そうだったな、言いっこ無し、だったな」
妹「うん」
ボロくて、古い、木造のアパート。
周りには無機物的な工場。ただっ広い道路。汚い海。
俺たち兄妹は、ここで寄り添って暮らしている。
妹「……うん」
暗い声で妹は答えた。
妹は、一人で何でも抱える癖がある。
理解して、悩みを共有したくても、なかなかできない。
兄「……ほんと、美味いよ」
妹「うん」
兄「いつも、ありがとな」
妹「兄さんこそ……いつも」
兄「そうだったな、言いっこ無し、だったな」
妹「うん」
ボロくて、古い、木造のアパート。
周りには無機物的な工場。ただっ広い道路。汚い海。
俺たち兄妹は、ここで寄り添って暮らしている。
ピリリ、と目覚ましが鳴った瞬間、アラームを止めた。
いつもの朝だ。
まだ、日が昇りきっておらず、部屋の中はうす暗い。
兄「ん、ぅ……」
軽く伸びをする。
血圧が徐々に高くなって、意識がはっきりしてくるのが分かる。
妹「おはよ。兄さん」
隣で寝ていた妹が、朝の挨拶とともに微笑んでくれた。
それに応えて、妹の髪をくしゃ、と撫でる。
妹「……ん」
兄「おはよ」
妹「ごはん、作るね」
兄「頼む」
いつもの朝だ。
まだ、日が昇りきっておらず、部屋の中はうす暗い。
兄「ん、ぅ……」
軽く伸びをする。
血圧が徐々に高くなって、意識がはっきりしてくるのが分かる。
妹「おはよ。兄さん」
隣で寝ていた妹が、朝の挨拶とともに微笑んでくれた。
それに応えて、妹の髪をくしゃ、と撫でる。
妹「……ん」
兄「おはよ」
妹「ごはん、作るね」
兄「頼む」
妹が朝ご飯を作っている間、俺は出かける準備をする。
顔を洗って、歯を磨いて、服を着て。
すぐに終わる流れ。
けれど、あとはもう出かけるだけという頃には、朝ごはんはしっかりと出来上がっている。
兄「……」
妹「……」
淡々と、朝食を口に運んでいく。
朝は静かに食べるのが通例だ。
二人が朝ごはんを食べている横には、死んだように眠っている母が居るから。
我が家のアパートの食卓兼居間は、母の寝室でもある。
母は、昼頃仕事に出かけ、夜遅くにひっそり帰ってくる。
近くの工場で働いているらしいが、詳しい事は話してくれない。
そんな母をささやかに気遣って、俺たちは粛々と朝ごはんを済ませるのだ。
兄「それじゃあ、行ってくるから。妹もがんばって」
妹の頭を軽く撫でる。
もはや、儀式みたいなものになっているかもしれない。
その撫でている俺の手を、妹は両手で包む。そうして、挨拶を返してくれる。
妹「行ってらっしゃい」
顔を洗って、歯を磨いて、服を着て。
すぐに終わる流れ。
けれど、あとはもう出かけるだけという頃には、朝ごはんはしっかりと出来上がっている。
兄「……」
妹「……」
淡々と、朝食を口に運んでいく。
朝は静かに食べるのが通例だ。
二人が朝ごはんを食べている横には、死んだように眠っている母が居るから。
我が家のアパートの食卓兼居間は、母の寝室でもある。
母は、昼頃仕事に出かけ、夜遅くにひっそり帰ってくる。
近くの工場で働いているらしいが、詳しい事は話してくれない。
そんな母をささやかに気遣って、俺たちは粛々と朝ごはんを済ませるのだ。
兄「それじゃあ、行ってくるから。妹もがんばって」
妹の頭を軽く撫でる。
もはや、儀式みたいなものになっているかもしれない。
その撫でている俺の手を、妹は両手で包む。そうして、挨拶を返してくれる。
妹「行ってらっしゃい」
我が家の稼ぎ手は、俺と母の二人。
父はもうずっと前に他界した。
父の遺産は、莫大な借金。
母がどんなに働いても、利子を払っていくのがやっとな位だという。
そして、母は相変わらず、その収入の殆どを借金の返済に充てているらしい。
らしい、というのは、母は俺たちに多くを語らないからだ。
自分の事、父の事、借金の事。
ずっと母と暮らしているのに、知らないことばかりで、知ることも出来なかった。
兄「いらっしゃいませー」
スーツ姿の人たちが、入れ替わり立ち替わり出入りしていく。
駅前のコンビニ。
俺の職場だ。
兄「こちらはあたためますか?」
「んー」という返事に、「あたためますね」とつとめて明るく返した。
コンビニの早朝勤務なんて、こんなものだ。
皆死んだような目をして、会社へと向かっていく。
アルバイトは、彼らのはけ口にされたり、冷たくされるのも仕事の一つなのだろう。
中卒の俺には、ぴったりなはずだ。
父はもうずっと前に他界した。
父の遺産は、莫大な借金。
母がどんなに働いても、利子を払っていくのがやっとな位だという。
そして、母は相変わらず、その収入の殆どを借金の返済に充てているらしい。
らしい、というのは、母は俺たちに多くを語らないからだ。
自分の事、父の事、借金の事。
ずっと母と暮らしているのに、知らないことばかりで、知ることも出来なかった。
兄「いらっしゃいませー」
スーツ姿の人たちが、入れ替わり立ち替わり出入りしていく。
駅前のコンビニ。
俺の職場だ。
兄「こちらはあたためますか?」
「んー」という返事に、「あたためますね」とつとめて明るく返した。
コンビニの早朝勤務なんて、こんなものだ。
皆死んだような目をして、会社へと向かっていく。
アルバイトは、彼らのはけ口にされたり、冷たくされるのも仕事の一つなのだろう。
中卒の俺には、ぴったりなはずだ。
そういえば、そろそろ妹が家を出て学校へ向かう時間だ。
ちゃんと出発できただろうか。
そんな妹への思いを馳せる時間も無い位、コンビニの朝は忙しい。
妹が学校へ着いて授業が始まる頃……9時や10時になってはじめて、少し落ち着いてくる。
兄「……ふ、ぅ」
女「やっと客足引きましたね」
兄「だな」
隣でレジを打っていた女さんと、束の間の会話。
女さんとは、週に1~2回くらいシフトがかぶる。
俺と同じで、朝番が多い。
それに、俺と同い年だったはず。
もっとも、俺は中卒。彼女は大学生なのだが。
女「……兄さんって、怒ったりしないんですか?」
兄「なに突然」
女「いえ、ちょっと気になって」
ちゃんと出発できただろうか。
そんな妹への思いを馳せる時間も無い位、コンビニの朝は忙しい。
妹が学校へ着いて授業が始まる頃……9時や10時になってはじめて、少し落ち着いてくる。
兄「……ふ、ぅ」
女「やっと客足引きましたね」
兄「だな」
隣でレジを打っていた女さんと、束の間の会話。
女さんとは、週に1~2回くらいシフトがかぶる。
俺と同じで、朝番が多い。
それに、俺と同い年だったはず。
もっとも、俺は中卒。彼女は大学生なのだが。
女「……兄さんって、怒ったりしないんですか?」
兄「なに突然」
女「いえ、ちょっと気になって」
女「朝って、不機嫌で失礼な客が多いじゃないですか」
女「そういうのに、兄さんはイライラしないのかな、って」
兄「あぁ、するよ。すげーする」
女「でも、そういうの表に出さないんですね?」
兄「……? まぁ、出す必要ないし」
女「そうなんですか? 私はムカつく客がいたら、誰かに報告したくなっちゃいます」
兄「そういう事もあるけど……そこまでのって、なかなかなくない?」
女「えぇ? ありますよ」
兄「うーん……あ、こちらどーぞ」
どっちのレジに行けばいいのか迷っていた客を先導する。
するとすぐに、女さんのレジも別の客で埋まって、また列ができた。
バーコードを読み込ませながら、また上手く会話が出来なかったと、心の中でため息をついた。
バイト仲間で、女さんとはまだ話せる方だ。
自分で言うのもなんだけど、俺は結構、浮いてると思う。
女「そういうのに、兄さんはイライラしないのかな、って」
兄「あぁ、するよ。すげーする」
女「でも、そういうの表に出さないんですね?」
兄「……? まぁ、出す必要ないし」
女「そうなんですか? 私はムカつく客がいたら、誰かに報告したくなっちゃいます」
兄「そういう事もあるけど……そこまでのって、なかなかなくない?」
女「えぇ? ありますよ」
兄「うーん……あ、こちらどーぞ」
どっちのレジに行けばいいのか迷っていた客を先導する。
するとすぐに、女さんのレジも別の客で埋まって、また列ができた。
バーコードを読み込ませながら、また上手く会話が出来なかったと、心の中でため息をついた。
バイト仲間で、女さんとはまだ話せる方だ。
自分で言うのもなんだけど、俺は結構、浮いてると思う。
コンビニでバイトをしている理由は、いくつかある。
時間に融通が利くから。
中卒でも雇ってくれるから。
仕事が単純だから。
この中でも、時間に融通が利く点が一番でかい。
妹とできるだけ一緒に居られることが、俺の中では最優先事項だから。
妹が作る朝ごはんを食べて出発して、妹が帰ってくる頃に自分も帰宅する。
そういうことが出来るのは、このバイトしかなかった。
男「でな、そっからもう連チャンしまくり。結局ねー4箱出た」
兄「へぇ、すごい」
男さんはフリーターで、趣味はパチンコとスロット。
よく午後から同じシフトになる。
男「おまえもやれよ。ぜってー儲かるから。俺が台選んでやるよ」
兄「いいですよ。俺、運悪いですから」
男「運じゃねーって。あれは。台さえちゃんと選べば勝てるんだって」
男さんだけじゃない。他のバイトは皆、ギャンブルをやってるみたいだった。
男連中でやっていないのは、俺ぐらいなのだそうだ。
時間に融通が利くから。
中卒でも雇ってくれるから。
仕事が単純だから。
この中でも、時間に融通が利く点が一番でかい。
妹とできるだけ一緒に居られることが、俺の中では最優先事項だから。
妹が作る朝ごはんを食べて出発して、妹が帰ってくる頃に自分も帰宅する。
そういうことが出来るのは、このバイトしかなかった。
男「でな、そっからもう連チャンしまくり。結局ねー4箱出た」
兄「へぇ、すごい」
男さんはフリーターで、趣味はパチンコとスロット。
よく午後から同じシフトになる。
男「おまえもやれよ。ぜってー儲かるから。俺が台選んでやるよ」
兄「いいですよ。俺、運悪いですから」
男「運じゃねーって。あれは。台さえちゃんと選べば勝てるんだって」
男さんだけじゃない。他のバイトは皆、ギャンブルをやってるみたいだった。
男連中でやっていないのは、俺ぐらいなのだそうだ。
男「だからな、今度一緒に並ぼうぜ?」
兄「いえ、遠慮しときます」
男「……なぁ」
兄「なんですか」
男「お前、趣味とかあんの?」
兄「……特には」
男「生きてて楽しい?」
兄「……」
男「なんつってー」
男は俺以外の別のバイトを掴まえて、何か話をし始めた。
会話の内容は、なんとなく想像がつく。
時々、中学三年の時の担任が言った言葉を思い出す。
高校には行きなさい。
将来を決めるには、まだ幼すぎる。
違うんだ、先生。
俺の将来を決めたのは、俺だけど、俺じゃないんだ。
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