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元スレ阿良々木「今日は暇だけどさ」
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僕の正面、というか僕が押している自転車の正面という
危ない位置に立って声をかけてきた八九寺。
僕がもう少し深く考え事に耽っていたら自分が轢かれていたという可能性を
八九寺は考えたりしないのだろうか。
うぅむ。……ま、とりあえず。
「あら、って導入はなんか井戸端会議してるおばさんみたいだぞ、
っつーか入れ替えとはまた少し懐かしい手法だし
少しばかり過去を振り返って見たい気分に駆られたけど、
それでも一応言わせて貰うと僕の名前は阿良々木だ八九寺」
「失礼、噛みました」
「違うわざとだ……」
「甘噛みました!」
「いてぇ! 全然甘噛みじゃねぇ! 思い切り歯が食い込んでるから!」
「尼が見ました?」
「知るか! 噛み付きながら喋るという高度なテクを披露する前に
僕の腕から離れろ八九寺! 仕舞いにゃ手をだすぞ!」
「と、とうとう阿良々木さんの口からロリコンの証拠的発言が!」
「そっちの手をだすじゃねえよ馬鹿! 暴力に訴えると言っているんだ!」
「暴力を行った人間こそが訴えられるべきです!」
「ごもっともだーー! ってかわかってるなら噛み付くという最も邪悪な暴力を中断しろってんだ!」
「がぶがぶがぶがぶ!」
「うぎゃー!」
道の真ん中で小学生女子に噛み付かれて
本気で絶叫する男子高校生こと僕。
……もう遠回りな言い方はしないことにした、
どうせ全部僕なんだろ? はいはい、いーよもうそれで。
「良いも悪いも、実際阿良々木さんですからね全て」
「うるせえよ」
僕は先程まで噛み付かれて、八九寺の唾液にまみれた腕を擦りながら答える。
八九寺も僕に殴られた頭を擦っているのでお相子だろう。
……多分。
「というか阿良々木さんは小学生相手に手加減なさすぎです。痛いです」
「僕はきっとその倍は痛かった」
あの後、しばらくは八九寺の甘噛み(?)に耐えていたものの
八九寺に噛み付かれるという行為は若干のトラウマがあるので
結局本当に拳に訴えてその悪属性のかみつく攻撃を中断させたのだが、
その殴った際に頭の真上から拳を降ろすというやり方をしたので
勢いで思い切り歯が突き刺さったのだ。
うん、超痛かった。
「ったく、でてきて早々無茶苦茶だなお前」
言いながら八九寺とのやり取りの最中にぶっ倒れた
自転車を引き起こす。……カゴが歪んでるぞおい。
「いきなり抱きついたり脱がそうとしたりキスしたりする変態さん程ではありません」
「マジか、この街にはそんなハイレベルな変態が居ただなんて……。
僕はまったくこれっぽっちも知らなかったぜ」
「……言い方を変えましょう、
いきなり抱きついたり脱がそうとしたりキスしたりする阿良々木さん程ではありません」
「ん? この街に僕以外に阿良々木なんて苗字の人間が居たのか、
いやはやついぞ知らなかったよ。もしかしたら遠い親戚なのかもな」
「……もういいですよ」
「なにがいいのかさっぱり僕にはわからないけど、八九寺がそういうなら良いということにしておこう」
「はっ」
「鼻で笑われただと!?」
……しかし、先程まで僕が一人でうじうじと引っ張っていた
微妙にシリアスな雰囲気が全て砕かれた。
というか噛み砕かれた、のか?
……とにかく、八九寺の登場によって一気に場面がシリアスパートから
ギャグパートに移行した。台詞がモノローグより多くなってくると大抵ギャグの兆しだな、うん。
「ところで阿良々木さん」
「なんだ八九寺さん」
「制服を着ていますけれど、こんな時間に下校ですか?」
「あぁ、放課後に羽川からテストを出されてさ」
「なるほど、恋人を放置して放課後の教室で羽川さんと二人きりの秘密のお勉強ですか」
「世の中には言い方って物があるよなっ!」
「でも間違ってはないでしょう?」
「確かに間違ってはいないけどさあ……」
でも正しくもないよそれ。
聞こえが悪すぎる、まるで僕が女たらしのような――。
「あれ、違いました?」
「違うよ! 全然違うよ! なに? お前は僕をそんな目で――見てたんだな! わかった!」
「わかっちゃいましたか」
「わからいでか!」
「賄い出た?」
「飲食店のバイトなんかしたことねえよ!」
というかアルバイトそのものをしたことがねえよ。
絶賛学生ニート継続中なのだ僕は、確変持続が長すぎる。
嘆息、しつつ八九寺の登場以降停止していた移動を再開する。
それに八九寺もなにを言うでもなく当たり前のように
僕の隣をぴこぴことツインテールを揺らしながらついて来る。
カラカラと再び小さく聞こえる車輪の音に僕と八九寺の足音が重なる。
「で、阿良々木さん。その羽川さんから出されたテストの結果はどうだったんですか?」
「……本当、お前は脈絡無く話題を変えて唐突に元に戻すよな。
まぁいいけど、テストの出来自体は普通だよ普通。
羽川と、いまは抜けちゃったけど戦場ヶ原の二人に
毎日みっちり教えてもらってたって事を考えたら普通の点数だよ」
「つまりは良い結果だったと言うことですね?」
「ま、そうなるな。少なくとも僕の短い歴史を振り返る限り、
あそこまで丸で埋め尽くされたのはほとんどないよ」
あって精々、大抵の答えに丸をしてくれる小学生時代だろう、
当然そんなものはノーカウントなので、実質初めてだ。
――とか言ったら現役小学生の八九寺は怒るだろうか。
「それにしてはあまり嬉しいとか喜ばしいとか言った感じではありませんけど」
「そう、かな」
「はい、どことなく今日は突込みにキレがありませんし」
突っ込みに切れが無いって、マジかよ。
そんなことを言われたのは初めてだ、
芸人でもないのにそんなことを言われる日が来るとは思わなかった。
「それにどこか上の空ですし」
「上の空、ね」
それはきっと、さっきまで考えてた台詞が尾を引いてるんだろうな。
……八九寺と羽川は、その点では、非常に近しいから。
「つまり八九寺は自分だけを見て欲しいという訳か」
「え? い、いえそうは言ってませんが」
「他の人の事なんて考えないで私だけを見て! と」
「全然違いますけどっ!?」
「仕方ない奴だなお前は、安心しろ! 僕はいつもお前だけを思い続けてる!」
「一歩間違えばストーカーですから!」
「愛とは他人の理解を求めない物なのさ」
「くっ、格好良い台詞言っても誤魔化されませんよ!」
中々に強情な小学生だ。
お小遣いや飴ちゃんなどには簡単に引っかかる癖に。
>>59
どういうこと?
どういうこと?
>>61
7月頃にVIPで書いてた
7月頃にVIPで書いてた
うん、何回か当時書いて落ちるを繰り返したから
今回それをそのまま投下するのも見ててつまらないだろうと思って
今回それをそのまま投下するのも見ててつまらないだろうと思って
ううむ、どうしたものか。
普段ならとっくにどこかの台詞に乗っかって
話を脱線させてるというのに、
こういう時に限って追求してくるとは……。
「関係ないけどさ、上の空って下の空もあるのか?」
「水溜りに映った空の事ですよきっと、俯いてこそ見える空もあるのです」
「……お前、詩人だな」
「死人ですから」
笑えねえよそれ。
「というより先程から話を逸らそうと奮闘していらっしゃるようですけど、
本当どうかなさったんですか? 小学生な私ですが話を聞く位ならできますよ」
八九寺はテテテと僕の前に回りこみ、
後ろ向きに歩きながら僕の顔を見上げて言う。
「そうだな」
僕は一旦足を止め、
普段とは違う表情を見せる八九寺を見下ろした。
自然、お互い見つめあう形になる。
「そのうち、話すよ。
お前がもうちょっと大人になったら、な」
「……阿良々木さんはずるいですね」
「覚えときな八九寺。大人はさ、ずるい位でちょうどいいらしいぜ」
ポンと八九寺の頭に手を置いて、
乱暴に撫で付けながら、僕はまた歩き出した。
少しだけ足早に、家に向かって。
―――
「兄ちゃんおかえりー!」
家に着いて自転車を定位置に戻し、
深呼吸の後に玄関を開くと同時に火憐の笑顔と機嫌良さげな大声が
僕に向かって真っ直ぐ飛んできた。
先程は避けたら玄関がどうのこうのとか言ってたけれど、
実際のところそういう問題がなければ避けられるかと問われると微妙だ。
何故なら火憐は玄関の開く音を聞いてダッシュでやってくるタイプの犬ではなく、
ひたすらに玄関の内側で開くのを待ち続けるタイプの犬だからだ。
だから来るとわかっていてもその鍛え上げられた肉体による瞬発力で
玄関を開いた瞬間に僕に向かって思い切り飛んでこられると
正直忍に血を吸わせた直後でも避けれるかどうかは微妙な速度になる。
――勿論、ドアの外側にくっつくように開けば火憐が飛びつく先はただの空間となる訳だが、
足音で聞き分けてるのか、以前やったときは飛び出してこず。
いぶかしんで覗き込んだ瞬間に飛び出して僕の顔面にヘッドパッドをかましてきた事がある。
ぶっちゃけ鼻の骨が折れた。
まさか妹に頭突きを喰らってマジ泣きするとは思わなかった。
「げふがっ!?」
ということで、本日で何度目になるかわからないおかえりタックルを
素直に全身で受け止める羽目になる僕。
色んなパターンを試してこれがダメージ最小限だと学習したのだ。
腹に全体重をかけて飛んできた火憐を受けて、
当然二足歩行を保てる筈も無く。
僕はもはや慣れ親しんだ鞭打ち寸前の急激なすっ転び方をする。
「兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃん今日も遅かったじゃねえか兄ちゃんどうして最近こんなに遅いんだよ
私という可愛い可愛い妹が居るのに家に帰ってこないだなんてもうそれだけで罪作りだぜ兄ちゃん
たまには私にも構ってくれてもいいじゃないか一人で家に居てもつまんねーんだよー」
「句読点入れて喋れよ。呼吸困難になっても知らないぞ」
抱きついてくるなり僕の首と内臓の負担になど目もくれず
立て板に水の如く喋りだす火憐。
本当、ご近所さんに直接見られたら死ぬぞコレ。
既にほぼ周知だけど、まだそれでも近所付き合いが断絶してないのは
実際に目撃した人が居ないからなんだからさ。
今起きましたおはようございます
保守させて申し訳アリマセンでした
飯食ってコンタクト入れて再開します
「むぎゅー」
効果音を口にしながら腕に込める力を増やして
より密着してくる火憐。
本当に玄関じゃなければ、いや玄関であっても
明らかに誤解を招くような密着具合だ。
というか一人って、月火はどうした……。
「そこまでだよ火憐ちゃん! お兄ちゃんも黙って享受してないでさっさと離れなさい!」
と頭に浮かべたと同時に月火が
もう僕の中で定型文として登録できそうな台詞と共に登場した。
――その両手に鉄アレイを持って。
まだ火憐と違って非力な月火だから5kg程度で済んでるが……、
いやいやいや、鉄アレイて持ち上げる物で振りかざす物では無い筈だぞ。
そもそもそんな物が二つも家にあったのか。
「月火ちゃんは本当真面目に無茶言うな。火憐ちゃんが本気で抱きついてきたら
僕の力で抜け出せる訳が無いじゃないか」
「……お兄ちゃんは真面目に情けないこと言うよね」
ほっとけ。かなりほっとけ。
大方火憐が買ったと思われる鉄アレイを
遠心力を最大に活用して振り回す月火に
僕は結構本気で恐怖してる。
なにが怖いってあんなに腕を素早く回して
今にも鉄アレイがすっぽ抜けて飛んできそうなのが怖い。
回転の方向がソフトボールのピッチャーを髣髴させるのだ、
当たったら鼻の骨が折れるじゃ絶対すまねえ。
「ほら火憐ちゃんもいい加減離れてよー!」
「なんだよ、月火ちゃんは私と兄ちゃんの愛の抱擁を邪魔立てするのか~?」
「そりゃするよ! 場所と関係を考えようよ!」
「ここは私と兄ちゃんの愛の巣で兄ちゃんと私は愛し合っているのだ!」
「火憐ちゃんは手遅れだ! 四十五度の角度で殴って戻るかな!?」
「私を鉄アレイで治せると思ったら大間違いだぜ月火ちゃん!」
「その分沢山殴るよ!」
僕の恐怖を他所にやりとりを行う二人の妹達、
見ている限り滅茶苦茶話が噛み合ってない。
噛み合ってないっつーか……。
「いやいやいや! おいストップ二人とも、
つーか鉄アレイで沢山殴ったら普通は死ぬからな!」
この中で一番人間してるのが火憐だってんだから不思議なもんだしえ
本当、目を離すとすぐに殺傷沙汰になり兼ねない、
原因が僕にあるっぽいから正面きって言えないが困った妹だ。
マジで殺す五秒前とかそんなMK5は勘弁してもらいたい。
「お兄ちゃんは火憐ちゃんがずっと抱きついててもいいの!?」
「それは困るけどっ! だからっていきなり鉄アレイで頭をかち割ろうとするのはどうかと思うな僕は!」
「じゃあなにで殴ればいいのっていうの!?」
「殴るんなっつってんだ!」
いまだに火憐の頭目掛けて両手を振り上げている月火の前に立ちふさがる、
立ちふさがると言ってもまだ火憐は僕の胴体にしがみ付いたままなので
どうにも不恰好な体制になっているけど。
とにかく月火の手(鉄アレイ)の直線状から火憐を外す。
振りかざした手がプルプルして今にも力尽きて鉄アレイを落としそうだしな。
「ほら、月火ちゃん。いいから僕にその鉄アレイを貸すんだ」
「貸したら私の頭を殴るつもりでしょう」
「お前僕をどんな兄だと思ってるんだよ!?」
ひっでえ、マジでひでえぞ今のは。
僕が鉄アレイで、というか物を使って殴るなんて真似をする兄だと
本気でこの妹は思ってんのか。
なんてくだらない軽口の叩きあい。
いや、僕は結構真剣に訴えてる部分もあるけれど、
とにかく今ではこういった丁々発止、三人で普通に会話を行う事ができているが。
実は数日前まで僕等三人は非常にぎくしゃくしていた。
表立って避けてる訳ではないし、
顔を合わせればそれなりには話す。
けれどどこか余所余所しくて、交わす言葉は途中で地面に落ちて転がるボールのようで、
キャッチボールというか同じ壁に向かって一緒にボールを投げてるような
そんななんとも言えない空気が漂っていたのだ。
その理由は火憐にあり、月火にあり、
そして誰より僕自身が原因だった。
詳しく話をするのは恥ずかしいというか、
単に憚られるので細部は想像に任せるとしか言えない。
いや、まぁ先のやり取りを見てればある程度は想像が既についてるかも知れないけれど。
フォックスは今見てるんだが この人の他の作品ってどこにあるの?
>>1乙!めちゃくちゃ面白かった!
>>94
酉で検索かけたら?
酉で検索かけたら?
阿良々木火憐が僕、阿良々木暦に恋慕の情を覚え
それを阿良々木月火は知ってしまった。
だけではなく火憐の奴がそれまで付き合っていた彼氏と別れたり、
過剰なスキンシップや過激なアプローチ――この頃に比べれば玄関タックル
はまだ可愛いほうである――を僕に向けたりして、
それを月火は妨害阻止しようとして火憐と喧嘩になったり。
そして僕自身火憐を受け入れかけていたと自覚し、
それに伴い僕等はそれぞれ距離を置くようになったのだ。
大した長さで無い、むしろ短い部類に入るちょっとした期間。
両親は微妙にいぶかしんでいたけれど、
思春期の兄妹が喧嘩する事位大して気に留めることではないと思ったのか
特になにも触れられる事もなく。
一週間程その冷却期間は置かれ、八日後の朝に
誰がなにを言うでもなく突然時間が戻ったかの様に
三人ともいつもどおりに戻っていた。
バタフライ見てきた あれ?>>1の作品の中にガハラさんが「あ、暦きゅry」って言うやつなかったっけ?
多分、他人なら一度溝ができるとそのまま疎遠になってしまったりするのだろう。
でなくても仲直りして、溝を埋めるのにはきっと喧嘩していた期間よりも
よっぽど長い時間がかかったりするんだと思う。
でも、そこはやっぱり僕達は兄と妹なのだと、
こうしていままでどおりのやり取りを行うたびにしみじみ思ってしまう。
「よいしょっと」
気分を切り替えるためにわざと声を出して、
僕は帰宅してから相当時間が経ってからやっと靴を脱いで家に上がった。
抱きついた火憐はまだ離れず、なにかうめき声みたいなのを
口から発しながらそのまま引きずられている。
「……」
「なんだよ」
「べつに……」
振り上げるのは疲れたからか止めたらしい月火が
けれど目だけは冷ややかに僕と火憐の二人をじっと見据えていた。
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