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元スレ阿良々木「今日は暇だけどさ」
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ところで化物語読んだことないけど地味に面白いね
刀語シリーズはやっとるけど戯言はテレビでやらんのかね
刀語シリーズはやっとるけど戯言はテレビでやらんのかね
「どうしてっ!?」
一体いつまでその不毛なやり取りを繰り返した頃だろうか、
僕の身体よりも先に月火の方が音をあげ、声を荒げた。
「どうしてお兄ちゃんはっ! なんで!?」
「意味が、……わかるように……喋ってくれ。月火ちゃん」
これが満身創痍です。と指差されそうな具合の僕は、
それでもやっぱり身体を引きずりながら
支離滅裂に感情のまま叫ぶ月火に歩み寄る。
後三歩。
「こんな、こんな気持ち悪い私なんか放っておけばいいのに!」
「放って、置ける訳……ないだろ」
あと二歩。
「なんで! なんでいつも!」
「そりゃ、僕が月火ちゃんのお兄ちゃんだからに決まってるじゃないか」
あと、一歩。
最後に一歩、近づいて月火を抱きしめる。
もう、月火は抵抗をしなかった。
そのちっさい身体を丸めるようにして、
臆面も無く涙を流して、嗚咽を上げて。
「そんなにボロボロになって、……馬鹿みたい」
「なんだ知らなかったのか。お前の兄ちゃんはかなりの馬鹿だぞ」
「お兄ちゃんはずるいよ」
「なにがずるいんだよ」
「いつも私の事なんか放って、火憐ちゃんとばっかり仲良しなくせに、
こういう時だけ、格好付けて」
僕の腕に収まりながら、
月火は愚痴るように心に秘めていた言葉を口にする。
僕はただ、それを聞いて、頷いていた。
「もっと、私の事も構ってよ。
こんな時じゃなくても、私を見てよ。
私を除け者にしないでよ。
まるで火憐ちゃんだけのお兄ちゃんみたいで、
ずっとずっと寂しかった。
いつも私だけが蚊帳の外みたいで、独りぼっちで、
でも私が二人を止めなくちゃって、思っちゃって、
それで、それで」
そこから先は、ただの鳴き声だった。
人目も、恥も外聞も気にせず、
腕の中で泣き続ける月火を。
多分この時やっと僕は認識した。
心情の吐露を聞いたからか、
もしくは抱きしめたからかはわからない。
でも、僕は確かにこの瞬間怪異の影響から逃れた。
逃れて、月火に対する感情を取り戻して、
途端に涙が出た。
月火に対する愛しさや、
彼女の口から出た思いに、泣いた。
「ごめん。ごめんな月火ちゃん。
気づいて上げられなくて、ごめん。
不甲斐ない兄で、本当にごめん」
誰も居ない午前中の公園で、
兄と妹が二人抱き合って泣いていた。
ずっと、ずっと。
阿良々々々々々(以下省略されました)さん、
ちっちゃい方の妹さんを俺にください
ちっちゃい方の妹さんを俺にください
「お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんだよね」
そうして、しばらく抱き合って。
お互い落ち着いた頃に、月火は僕を見上げてそういった。
「あぁ。月火ちゃんが産まれる前から、
そして僕が死んだ後になっても、僕は月火ちゃんの妹で、
月火ちゃんは僕の妹だ」
「本当に?」
「当たり前だ。だから、月火ちゃんも一歩引かずに
火憐ちゃんみたいにもっとぶつかってきていいんだ。
甘えたいなら甘えれば良い、構って欲しいならそういえば良い。
見て欲しいなら近づいて来れば良いし、話したいなら話かけてきて良いんだ。
そうしたら僕も、甘えさせてやるし、構ってやる、
穴が開くほど見つめてやるし、耳にたこができるくらい色んな事を話してやる。
僕も、月火ちゃんにそうするから」
「うん、うん」
「約束、破ってごめんな」
「うん」
「今度埋め合わせするから」
「絶対だよ」
>僕は月火ちゃんの妹で
原作未読だから分からんが合ってるのか?
原作未読だから分からんが合ってるのか?
頷いて、そして不覚にも僕が可愛いと思ってしまうような
儚い微笑みを月火は浮かべ、そして眠ってしまった。
心身共に疲れ果て、暴れて、安心して。
それまで張り詰めていた糸が切れたように、
僕に身体を預けて無防備に眠る月火。
「さて、家に帰るか」
まだ回復しきっていない身体に鞭打って、
月火をお姫様抱っこの状態にもっていく。
本人が知ったらなんと言うか。
苦笑をしながら月火を抱えたまま公園を出る。
たまたま居た通行人が訝しげに見られながら、
すぐそこの僕達の家にたっぷりと時間をかけて歩いていく。
歩いて、着いて。
そして月火を抱えたままどうやって玄関を開けようかと思ったところで。
「おかえり、兄ちゃん。月火ちゃん」
待っていたかのように、内側から扉は開いた。
『ただいま、火憐ちゃん』
06.
後日談というか、今回のオチ。
いつも通り火憐に危ない起こし方をして、
それを月火が止めに入って、僕はその騒動で目が覚めす。
余りにもいつも通り過ぎて違和感を覚えるほどに、いつも通りの朝だった。
――あの後、一頻り寝て夕方頃に起きた月火に
火憐と二人で謝って、改めて仲直りを果たした。
その際僕と月火がした公園でのやり取りの話になったが、
どうやら月火はいまいち覚えていないらしく
ただ家出をした自分を僕が探して
口喧嘩になった末にラストの思い返すと恥ずかしいやり取りに繋がったと
そんな感じに認識しているようだった。
「ほら火憐ちゃん! 早く部屋からでていって!」
今もこうして部屋の入り口で火憐を追い出そうと
躍起になっている月火はどこまでも普通で、
昨日の一部始終を覚えているようには見えなかった。
けれど、仮に覚えていたとしても
それはそれで構わないと思う。
むしろ、良い切っ掛けだと思うかもしれない。
もう二度と妹達を巻き込まない為に、
知っていても知らなくても巻き込むならせめて対処できるように、
僕はやっと妹達に全てを話す決意ができたのだから。
「お兄ちゃん」
そんな風に決起する僕に、
とっくに火憐と部屋をでたと思っていた月火が声をかけてきた。
「昨日は、心配かけてごめんね」
月火は少し俯きがちに、
頬を微かに染めながら小さく呟く。
「それに色々と、ありがとう。格好よかった、よ……」
指先を胸元でもじもじさせながら、
微妙に歯切れの悪い台詞を続ける。
「お兄ちゃん。埋め合わせ、期待してるから」
そしてはにかみながらそう言って。
月火は僕の部屋を後にした。
「お前様よ」
いつも通りと思っていたら
全然いつも通りじゃなかった月火に呆然としていると、
いつの間にかでてきていた忍がどこか冷めた声で告げた。
「これで二人の妹を両方攻略し終えた訳じゃが。その感想はいかがかのう?」
「……マジかよ」
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