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    元スレ唯「あずにゃん、エレベーター動かない…」

    SS覧 / PC版 /
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    みんなの評価 :
    タグ : - + - アリアンロッド + - エレベーター + - エレベーターあずにゃん + - サトシ + - バイオハザード + - バイハザ + - ポケモン + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    301 :

    親友の病室の前でipodとか律の親はキレるだろww

    302 = 243 :

    ふわっ…ふわっ…

    303 = 226 :


     ちょうど二十四時間ぐらい前、律から電話が掛かってきた。
     そのとき私は今日やるはずだった勉強会ではやれないような、辞書引きとか英作文の確認をしていた。

      『澪。これが、俺たちの最後の電話になると思う。だから…一言だけ、聞いてくれないか』

      『あの映画かよ……で、お前は何して捕まった設定なんだ』

      『――月曜の英文法の練習問題、答え持ってない?』

      『もったいぶって言う台詞か! 切るぞ』

      『あぁん待ってみおー! 答え失くしたのもそうだけどさ、他に話あるんだってば』

      『先にそっちから言えよな…』

      『唯と梓の話なんだけど』

     律の声のトーンが変わって、私もベッドで少し身構えた。

    304 = 226 :


      『ああ……あの二人、なんか進展あったのか?』

      『結局コクるみたいだぜ? 梓の方から』

      『そっか…』

      『たとえ付き合えないとしても想いだけは伝えたい、んだってさ。妬けるねー』

      『……なんかあの映画みたいだな。付き合えない運命とか』

      『超思った』

     私と律はあえて他人事のように、大事な友達と後輩の恋路について語った。
     唯の気持ちははっきりとは分からないけれど……唯だったら受け入れそうな気がする。
     でももし付き合うことにしたらどうなるのか。
     クラスメイトたちの唯に対する見方はどう変わるか。

     小学校のとき、律にくっついてばかりの私がからかわれたのを思い出す。
     あの時のような幼稚ないじめが起きるとは思わない。
     ただ……唯たちが避けられるような予感は、その時もしていた。

    305 = 226 :

     律は二人の未来を一番悲観的な形で語る。

      『唯がうれしくて言いふらすだろ。そしたら二人とも変な目で見られるだろ』

      『うん』

      『そしたら梓辺りが変な風に言われだしてさ』

     小学校の教室。捨てられた上履き。机の落書き。
     嫌な思い出ばかりが頭をよぎる。

      『……唯が「私のせいだから」って別れを切り出す、と』

      『でも絶対受け入れないよな。梓も変に頑固だし』

      『揉めるよな、絶対』

      『そうはしたくないよな…』

     私たちはあくまで唯と梓の未来予想図として話し続けた。
     でも、二人とも「本当は誰の、なんの話をしているか」なんて分かってたんだ。

     だから……あんな話になってしまった。

    307 :

    310 :

    急ぐんだ!

    311 = 226 :

     その時、心の奥で冷たい嫌なものを感じた。
     枕のかどを反対の手で握り締めてみたりして気を紛らわす。

      『……なぁ、律』

      『なんだよ』

      『正直な話、律は女の子同士が付き合うことを……本気で反対してるのか?』

     沈黙。耐えられなくて、つなぎの言葉を探す。
     つかえたものを吐き出すようにして言葉を繋げる。
     そしたら今まで封じてたことまで口から出てきてしまった。

      『……なんでそんなこと聞くんだよ』

      『……例えば…例えばだよ? 私が律のことを好きで――』

      『ああもうやめやめ! ってかそんなんふつー気持ち悪いでしょ、女同士でいちゃつくのなんてさあ!』

    312 = 226 :

     急に大声を上げられて、身体が震えた。
     「気持ち悪い」って律は言った。
     うかつに近づこうとした私を遠ざけるために、「気持ち悪い」とまで言わせてしまった。

      『……ごめん、言い過ぎた。気持ち悪いとか、別に思ってねーし』

      『分かるよそれぐらい…何年の付き合いだと思ってるんだ』

      『…だよな』

      『律、ごめん』

      『なんで澪が謝るんだよ。っていうか、もういいだろこの話』

     このときも、小学校のことを思い出してしまった。
     律が私をからかってた男子たちに蹴りを入れて、手を引いて私と逃げた日のこと。

     昨日のあの時も手を差し伸べていたんだ。
     その手は、問題から逃げるための言い訳だったけれど。

      『あのさ、律』

      『なんだよ。もう寝るから私』

      『私さ、律のこと――』


      『――大事な友達だと思ってるからね。それじゃ』

     私はまた、律の手にすがってしまった。

    313 = 296 :

    なんだろう。胸が苦しい。

    314 = 253 :

    >>277
    「梓って変わったよね」じゃないのか
    通気孔に人通れるなら引っ張り上げてやればよかったのに

    315 :

    かけ太郎っ!

    316 :

    久しぶりにちゃんとしたものだなこれ

    317 = 252 :

    完成が楽しみ支援

    319 = 226 :

     律先輩と話した日の夜、自分の気持ちを抑え込もうと決めた。
     でも次の日――土手で唯先輩と話したときに一度気持ちが爆発した。
     部活が終わったら会えなくなる。
     卒業したら会えなくなる。
     私は唯先輩の中で思い出の人になって、過去に押し込められて、やがて忘れてゆく人になる。
     そう思ったら……たまらなくなって、思わず逃がさないようにと抱きしめてしまった。
     腕の中に、閉じ込めてしまった。

     あの日の夜は唯先輩が家まで送ってくれた。
     本当はすぐ別れようとしたのに唯先輩は最後まで私のそばから離れてくれなかった。
     やわらかく手を握られて、いとおしさがこみ上げて、私もからめた指を引き剥がせなくて。
     冷え切らない夕方の空気に時々吹く風が心地よくて、
     なんとなくぎゅって握ったら握り返してくれて、
     内緒でほんの少しだけ歩くスピードを落としていたのは、気づかれていたのかな。

     家に着いても、私が玄関を開けて入るまで手を振っていてくれた。
     すぐに自分の部屋から憂にメールで助けを求めたのを覚えてる。

     後にエレベーターの中で先輩は言った。

      『だって…あんな顔されたら、あずにゃんを見捨てられないよ』

      『…私ってもしかして、顔に出やすいですか?』

      『わかるよぉ、あずにゃんのことだもん!』

     昔から「中野さんは考えてることが分からない」って言われてきた私にとって、それはみずみずしい驚きだった。
     前に学校で純から言われた「梓って変わったよね」って言葉も、実際はそういう意味なのかもしれない。

    320 = 226 :

     気づいたら曲の再生が止まっていた。
     昨日のことを思い出しているうちに時間が経ってしまったらしい。
     携帯が光ってるのに気づいて開く。十時四十分。
     ママからのメール。「今日はもう遅いから、そろそろ帰ってきなさい」って。
     十一時過ぎには帰るとメールして、充電の切れそうなiPodをしまった。

     そういえば、この携帯電話も律とおそろいのやつなんだ。
     中学二年の冬の定期試験で二人ともいい成績取ったら携帯とMDプレイヤーを買う。
     ママとそう約束して、二人で勉強がんばったんだっけ。

     私のMDプレイヤーは壊れてしまったけれど、律は未だにあれで音楽を聴いている。
     もう角の塗装がはげて、時々音飛びもする。……律の扱いが悪いからだ。
     次の誕生日プレゼントはiPodにしようって、決めてたのに。

    「律……私、りつのこと、本当に・・・・・」



    「あら、澪ちゃん? ……まだいたの?!」

    321 :

    通気孔開いてるならそっから出ればよかったのに

    322 :

    このSSの唯梓、律澪は俺のイメージに限りなく近い

    323 = 226 :


     いつの間にか病室から出てきた律のママに話しかけられて、少し動揺する。
     化粧もせずに飛び出したらしいその顔はまだ涙で崩れていて、目が真っ赤になっていた。

    「あ……お母さん、あの――律は、律の具合はどうなんですか?」

    「……澪ちゃん。行って顔見せてあげて」

     病室の方を指差した。
     すぐに飛び出そうとしたけれど……ダメだ。足がすくんでしまう。
     もし……もし、律がどうにかなっていたら?
     私の気持ちも、私の声も、何一つ届けられなくなっていたとしたら?

     怖かった。
     怖くて、なにかにすがりたくて、動けなくなりそうになる。

     そんな時。
     数時間前に聞いた梓の声が頭に響いた。

     ――私たちは、大丈夫だから。

    324 = 226 :

     昨日の放課後、梓と別れた時の不安げな声とはまるで違っていた。
     梓はあの時――あの極限状態のなかで、本当に覚悟を決めたんだ。
     唯を助けよう、唯と共に生きのびよう、と。
     あの声は私にも勇気をくれた。

     私だって、律の手に頼り続けてるわけにはいかないんだ。


     行かなくちゃ。
     立ち上がると、さっきまで動けそうもなかった身体がすっかり軽くなっていた。
     少しとまどってふらつきながらも、律の病室へと駆け寄る。


     金属製の冷えたドアノブを握りしめて、深呼吸。
     はやる気持ちを落ち着ける。
     もう、逃げない。
     そしてできることなら……律に、今度こそ誰にも頼らず伝えるんだ。

     ドアノブがすっかり手の熱で温まった頃、私は病室のドアを開けた――。

    325 :

    まとめる側は編集大変だな

    326 = 243 :

    HEY

    327 = 316 :

    うあげ

    328 = 316 :

    あれ?

    329 = 226 :


    「……ん? おぉー澪まだいたんだ」

     ……え?

    「なぁーにそんな変な顔してんだよ! 私がどうかしたか?」

     ベッドの上でカチューシャを外した入院着の律が、変わらない笑顔を向けていた。
     うそ……夢、じゃないよな?

    「あっそだプレイヤーと携帯壊れた! みおー、退院するまでiPodかしt――うわっ」

     駆け寄った。
     抱きしめた。
     腕の中で、身体の感触を確かめる。
     ほんとに律だ……律は、無事だったんだ――。
     たくさん言いたいことがあって、いろいろ責めたくて、
     伝えたいこともあって……だけど、涙声はぜんぜん言葉にならなかった。
     でも……本当にうれしかった。

    「ごめんなー、澪。心配かけちゃってさ」

     どうしようもなく泣きじゃくる私の髪を、律はそっとなでてくれた。

    330 = 226 :

    「りつ…どうして? 体はだいじょうぶなの?」

     いや、それがさあ――。
     そう言って取り出したのは、焦げ跡のついたMDプレイヤーと、おそろいだった携帯電話。

    「ほら私、プレイヤー胸ポケットに入れっぱなしだったじゃん?」

    「いまそんな話はしてないよ…」

    「そしたら携帯とプレイヤーの方に電流が通電して、心臓とかへの直撃が避けられたんだってさ」

    「うそ…」

    「あれで右腕の火傷だけって奇跡の生還だよな! もう私アンビリーバボーとか出れんじゃね? あはっ」

     映画みたいな話だよな、律はそう言って笑ってた。
     私はまだ気持ちが抑えられなくて、ずっと律を抱きしめ続けた。

    「ってかさ、澪のおかげだよ。澪のじゃなかったらプレイヤーとっくに捨ててたもん」

     ありがとうな、澪。
     そう言って律は私の髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。

     律。
     私、律のことだいすきだよ。

    「……目、真っ赤になってるぞ。ティッシュあるから顔拭いとけよな」

     私がそう言ったら、律は照れたように顔をそらした。
     でも、私が泣き止むまでずっと抱きしめた腕は離さずにいてくれた。

    332 = 215 :

    オレの心の汗が漏電した

    334 :

    精液が漏電した

    335 = 226 :


       ◆  ◆  ◆


    またまたかえりみち!

    「じゃあ私らこっからバスだから、そろそろなー」

    「りっちゃん澪ちゃんまたね!」

    「唯、明日の勉強会は遅れるなよ?」

    「だーいじょうぶだって! 憂がちゃんと起こしてくれるもんっ」

    「そこは自分で起きましょうよ!?」

    「まぁまぁまぁまぁ」にこっ

    336 = 226 :

    「唯先輩、みなさんってこれから毎日勉強会なんですか?」

    「そうだよ、だって受験生ですもん!」ふんすっ

    「…わき目もふらず、ギターにもさわらず?」

    「うっ…ギー太は、まあちょっとは夜中にかまってあげたりしてるかなぁ…えへへ」

    「はぁ…そんなことだろうと思いましたよ」くすっ


    「…そうそう唯先輩、ちょっと寄り道していいですか?」

    「いいよ~。どこに?」

    「川の方いきましょうよ。ゆいあず練習したとこです」

    「そうだね! ・・・・ってもうここ土手じゃんっ」

    「いつの間に着いたんでしょうか…」

    337 = 325 :

    さすがに時間がころころ変わりすぎやしないか>>1

    338 = 316 :

    いつの間にユイが復活?

    339 = 226 :

    どて!

    「ずいぶん涼しくなりましたねぇ」

    「昼間はすごかったのにねぇ。私、あまりの暑さにおかしくなっちゃうかと思ったよ」

    「唯先輩、暑いの苦手ですもんね・・・・・あ、おみずのみましょうか」

    「おぉ~ポカリ! やっぱ夏はこれだよねぇ」

    「アクエリより甘くて好きなんでしたよね。はい」

    「ねぇあずにゃんのませてぇ」

    「なっ…はずかしいことさせないでください!」

    「でも、ここ私たちしかいないよ?」

    「もっもう……しょうがないですね、今回だけですよ?」

    340 :

    これでうまくやってるつもりなのか>>1

    341 :

    >>340
    まあ、まあ、まあ、まあ、まあ、まあ

    342 = 226 :

    すまん1時間だけ席外す

    343 = 310 :

    最初訳わかんなくて、読み進めたらすごくおもしろかったけど投下時間までが長いし、またこんがらがった。

    347 :

    りっちゃん無事でよかった

    348 = 300 :

    350 :


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