元スレ唯「あずにゃん、エレベーター動かない…」
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103 = 1 :
澪「おい律、状況をまず説明して――」
律「今それどころじゃない!」
ああもう、澪に当たってどうするんだよ私。
梓へのリダイヤルをあきらめて、唯にも掛けてみる。
だが、唯への電話も自動音声に遮られた。
全身の力が抜けた。
携帯を机に放り出して、椅子に身体を投げ出した。
投げつけた衝撃で携帯が、倒れた人のように開く。……縁起でもない。
104 :
時間合わせてリアルタイムで投下していくみたいだから、さるったら大変だな
支援
105 = 1 :
澪「律、落ち着けよ。何があったんだ?」
憂「お姉ちゃんは無事なんですか?」
顔をのぞき込む心配性二人。
だけど、さっきの私はそれ以上に動揺してたと思う。
こんなんじゃ私が落ち着かないでどうする。
深呼吸を一つ。
身体の奥から不安を吐き出すように、念入りなやつを。
そうして、私は二人に電話の内容を告げた。
律「澪、今日の勉強会は中止だ。二人がどっかのビルのエレベーターに閉じ込められてる。場所は分からない」
目を見開き、青ざめた顔が二つ。
みるみる血の気を失っていく。
律「みんな、落ち着こう。とりあえず先生たちに伝えて、唯たちの行きそうな場所探してみようぜ!」
投げ出した携帯電話を右側のポケットに入れて、無理やり明るい声で呼びかけた。
まだ動揺しっぱなしの澪を見たとき、窓の外が目に入る。
灰色の雲を見ているといやでも不安が膨らむから……私は思わず目をそらした。
106 = 1 :
【2010年08月15日 9:43/Nビル構内】
梓「これから場所を説明しますから、助けを呼んでください!」
言い切る間もなく、唯先輩の携帯の電池が切れた。
一瞬、電話が繋がったときには喜んだけれど結局たいしたことを伝えられずに切れてしまった。
もしかしたら、相手が律先輩だったからかもしれない。
あの話をしてから、心の底で先輩に引け目を感じていたから。
唯「どうだった、りっちゃんと話せた?」
梓「はい。でもすぐ切れちゃって、場所が伝えられなくて……」
唯「閉じ込められてるのは伝わったんだよね? じゃあ大丈夫だよ!」
梓「でも、場所がわかんなかったら助けに行きようが…」
唯「それでも、誰かが見つけてくれるよ。だって今日いて座が1位だったもん!」
梓「あはは……」
笑顔で根拠なく言い切ってしまって、思わず力が抜ける。
でも、気持ちが押し潰されそうな密室の中ではそんな唯先輩が頼もしく見えた。
107 = 1 :
唯「まああずにゃんも、のーんびり助けを待ってようよ」
梓「……そうですね」
私が言うなり教科書の入ったカバンを枕にして、床に寝っころがる唯先輩。
いや、それはさすがにリラックスしすぎなんじゃ……
唯「そのぐらいの方がいいんだよ。ってかさっきのあずにゃん、めっちゃ慌ててたもん」
梓「私なりに落ち着いて伝えようとしましたよ!」
唯「地震起きたの、六時だよ?」
あ…そうだっけ。
唯「ほらぁ、あずにゃんパニクってるじゃん」
得意げな顔を向けられた。
この人、事態の深刻さ分かってるのかな……?
梓「ていうか唯先輩はなんでそんなに落ち着いてられるんですか!」
唯「だって、あずにゃんが一緒だもん」
108 :
面白い
110 = 1 :
えへへ、って愛くるしい笑顔を浮かべてそれとなく手を握る唯先輩。
こんな時、いつもどうしていいか分からなくなる。
私の心の奥底に、あまりにもすんなり入ってきてしまうから。
私が「練習しよう」とか「もっと真面目な部活に」って構えてる時だって、気づくといつも唯先輩のペースに乗せられてた。
アイデンティティをかけて必死で立てたバリケードなのに、唯先輩はたやすく隙間をぬって侵入してしまう。
そして気づくとぎゅってされてて――
……いつしかバリケードの中で、唯先輩を待ちわびるようになってたんだと思う。
唯「私もね、一人だったら不安でたまんなかったと思うよ」
私の目をじっと見つめて、唯先輩が話す。なんか、どきどきする。
唯「でもあずにゃんが居るから、大丈夫そうな気がするよ」
私はギー太とアイスとあずにゃん分があれば生きていけるからね!
そう、言い切られてしまって、居心地がわるくなって思わず目をそらす。
梓「……ギターより受験勉強をしてください」
あはは、そうだよね。私、忍耐力ないからさ……弱いもん、うん。
そう言って唯先輩は困ったように笑った。
本当は思ってもいないバリケードを立ててはまた逃げようとしてしまう自分は、確実に唯先輩よりも弱い。
113 = 1 :
五時――じゃなかった、六時の地震で閉じ込められた時は唯先輩もさすがに動揺してた。
ていうか唯先輩、自分を責めまくってた。
ごめんね、私が変なこと言い出したからだよね、ごめんねあずにゃん、って。
思わず私は「唯先輩のせいじゃないです、事故だからしょうがないですよ」なんてなだめていた。
『先輩をこんな危ないところに連れてきたのはあなたでしょ』
聞きたくない自分の声をかき消すために、つい唯先輩は悪くないなんて言い方をしてしまう。
その度に、声を上げるたびに、自分の中に変な熱が溜まっていくのを感じていた。
やがてその熱はこの部屋に充満し、唯先輩を押し潰してしまうのかもしれない。
私のせいで、唯先輩が。
唯『あずにゃん、どしたの? こわい顔してるよ』
そうやって一人で思いつめてたときも、唯先輩が引き戻してくれた。
唯『なんかこうしてると合宿みたいだよね!』
ふきだしてしまう。
いつの間にか、私が助けられる側に回ってた。……いや、最初からかな。
甘えてばっかだ。落ち着きなよ、梓。
自分の心に自分で言葉の刃を向けて、他人から傷つけられる前に先手を打つ。
これも昔からの癖だった。
114 = 35 :
いいね
115 = 1 :
しばらくして私も唯先輩も落ち着いた頃、唯先輩が突然言い出した。
唯『あずにゃん、あずにゃん! あの非常ボタン押してみてもいい?!』
梓『は……はぁ?』
唯『ほら、ああいうボタンってふだん押しちゃいけないじゃん? ねぇ私が押してもいいよね?!』
レストランで注文ボタンを押したがる子供みたいに唯先輩がはしゃぐ。
っていうか、そのものだった……。
梓『いいですよ、押してください』
なんだかほほえましくて自然と口元が緩んでしまう。
唯『終わったら次、あずにゃんの番だよ! 繋がるまで続けるからねっ』
なんていうか……軽音部入ってから私、こんな気持ちになること増えたかも。
116 = 1 :
はじめ唯先輩は非常ボタンを押し続けることを知らず、一回押しては私と交代しようとした。
梓『いや、ここに書いてあるじゃないですか。押し続けるんですよ』
唯『ええー…指疲れそうだなあ』
梓『ギタリストがそれ言いますか…』
それから唯先輩はしばらく押し続けた。
けれど……一向に管理会社に繋がらなかった。
私も心の底ではあの小さな黄色いボタンにすがっていた。
外界に私たちの存在を知らせてくれて、やがて助けを呼んでくれるはずだと。
でも実際は、七時ごろからずっとボタンを押し続けているのに何の音沙汰もなかった。
唯『私たち、見捨てられちゃったのかな…』
肩を落とす唯先輩。
私は心の中で管理会社に逆恨みと八つ当たりをぶつける。
117 = 1 :
そうして外の世界から完全に遮断された私たちは、エレベーターの床に座り込んだ。
ここのエレベーターには足元に赤の薄っぺらいカーペットが敷いてある。
それに気をよくした唯先輩はさっそくカバンを枕に床に寝転がった。
唯『なんかこうしてる家みたいだなぁ…ういー、あいすー。なんちゃって』
梓『憂の苦労がうかがい知れますね…』
言ってはみたものの、私だけ律儀に立ってるのもばからしく思えて、結局自分のカバンの上に座った。
唯『あーあずにゃんジベタリアンだー、お行儀わるーい!』
梓『床で寝てる人に言われたくありません!』
そんな、一瞬いま事故に遭ってるってことを忘れてしまうような。
一緒に居る相手が唯先輩じゃなかったら……こうはならなかったと思う。
118 = 1 :
結局私も根負けして、唯先輩と一緒に寝転がった。
カバンを枕にして、仰向けになる。
カーペットの縫い目を指でなぞったり、太ももに当たるカーペットの感触を押し当ててみたり。
見ると天井はやけに低く感じて、煤けた照明が私たちを押しつぶそうと迫ってくるようで……気持ち悪くなる。
そこで思わず目を逸らすと……唯先輩と目が合った。
唯『えへへ、二人っきりでお泊りみたいだね』
梓『……変なこといわないでください』
変な気分になるじゃないですか。手とかつながないでくださいよ、本当。
梓『そうだ、もう少しだけ携帯つながるか試してみましょうよ』
今にして思うと、自分の気持ちをそらすために言ったんだと思う。
119 = 1 :
結局、電話は律先輩に一瞬繋がったものの――振り出しに戻っただけだった。
いて座が一位だったら、私のさそり座は何位だったんだろう。
唯先輩と一緒にいれてるから五位ぐらいかな?
っていうかその占い、絶対アテになんないな……。
唯「ねーあずにゃん、なんか楽しいことしよ?」
梓「じゃあ……音楽でも聴きますか?」
自分の腰掛けていたカバンからウォークマンを取り出す。
唯「うん! ……って、それって最新機種?」
梓「そうですそうです、ノイズキャンセリング機能もついてるんですよ!」
唯「へー、なにそれ」
梓「自分の聴きたくない騒音とかを消せるんです」
すると唯先輩はうなってしまう。
そこまでして消したい騒音ってどんなのだろう、なんて悩んでしまった。
梓「例えばほら、人の話し声とか電車の音とかいろいろあるじゃないですか」
……言った後で、気づいた。
唯先輩は何でも楽しめるから、騒音なんてないのかもしれない。
雨音にあわせて歌っていたような人だったっけ。うらやましいな。
そう考えると、自分の聞きたくない音をシャットアウトする私が急にみすぼらしく感じた。
120 = 1 :
梓「適当にシャッフルして流れたのでも聞いてみましょうか」
唯「そだね。どんなのだろ」
目をつぶって適当にボタンを押して再生させる。
印象的なディストーションギター、後に入ってくるドラム、はじめは小さくやがてうなりを上げるベース。
ファルセットの利いたボーカルが歌いだす。
唯「おお……なんかカッコイイ! ねえなんて曲?」
しかしよりにもよって、こんなときにこんな曲だなんて。
苦い笑いがこみ上げる。なんて皮肉だろう。
梓「……ミューズの、ストックホルム・シンドロームって曲です」
シャッフル機能はたまにこういうことをしてくれるから困る。
唯「それってどういう意味?」
梓「ストックホルムで銀行強盗があって、人質がしばらく監禁されているうちに犯人のこと好きになっちゃった事件があったんです」
そんな風に、極限状態で人の気持ちが変わっちゃう、っていう心理学の用語をテーマにした歌だと思います。
唯先輩にそう説明した。
……いまここでこの曲はないよ、やっぱ。
121 = 84 :
スネーク「ストックホルム症候群か」
122 = 1 :
唯「あ、それって憂が同じこと言ってたよ! つり橋効果ってやつだよね?」
梓「似てるようで全然違います…」
ストックホルム症候群はもっと悪い意味で使うんですよ、たぶん。
わざと閉じ込めてたりとか、よくない関係だったりとか。
……気持ちを変えることで、身を守ってるだけだから。
自分のことしか考えてないだけだから。
唯「ねぇ、私たちってストックホルム症候群なのかな」
梓「……そんなこと、聞かないでくださいよ」
唯「ごめん、なんでもない! でもこの曲かっこいいね、りっちゃんとか好きそう」
すぐに笑顔に戻った唯先輩。
だけど、その三秒前の表情は忘れられそうもなかった。
昨日まで憂や純のおかげでなんとなく決意できてたはずの気持ちが揺らいで、崩れ落ちそうになる。
せめてこのドアが開いてくれたら……病気じゃない、まっとうな気持ちだって、言い切れるのかもしれないのに。
『まっとうなの? あんたが先輩に向けてる気持ちって、傍から見たら相当気持ち悪いんじゃない?』
うるさいな。静かにしててよ。
律『――気持ちは分かる。けど、これから先に傷つくのは梓だし、唯だと思う。だから……やめといた方がいいって』
数日前に聞いた言葉が耳の奥で揺れる。
傷つけたくない。傷つきたくないから。
……私は気づかれないように、唯先輩の身体に触れないように、そっと距離をとった。
123 = 1 :
いったん休止
124 = 8 :
リアルタイムってことは終わるまで>>1は寝れないのか…
頑張ってくれよ>>1
129 = 33 :
起きた
130 :
エレベーターに閉じ込められたあずにゃんが唯にクチュクチュされるお話とか軽い気持ちで開いてごめんペロ
131 :
唯「ホシュリーナ」
梓「えっ 何が?」
132 = 15 :
>唯「13時半ごろからは発達した和ちゃんの影響で唯憂がぴーくとなります。冷たい水を忘れずにもっていこうね!」
あと20分でどう唯憂に持ってくんだ…
133 :
成る程、じゃあぼくもあずにゃんを監禁すれば
あずにゃんがぼくのことを好きになる可能性もあるということなのかにゃん
134 = 1 :
【2010年08月15日 13:36/児童公園】
律『さっきムギと合流した。唯たち見つかったか?』
律からのメール。聞くぐらいだから、あっちも進展はないみたいだ。
返信して、ベンチの隣の憂ちゃんに現状を伝える。
憂「あれ、紬さんって避暑に出かけてましたよね?」
澪「それどころじゃないだろ、今は」
そうですよね、と憂ちゃんがか細い声で答える。
私はカバンからチョコレートを取り出して――憂ちゃんに差し出すのはやめた。
律からもらった個別包装のトリュフ、袋を開ける前から型くずれしてしまっていた。
澪「……えっと、食べる? ていうか、飲む?」
憂「もう溶けちゃってるじゃないですか」
少し笑ってくれて、安心する。……なんか律みたいなことしてるな、私。
135 = 1 :
午前中に窓の外を覆っていた分厚い雲は跡形もなく消え、抜けるような青空からは直射日光が遠慮なく降り注いでいる。
夏の日差しは私たちの影すらも奪おうとするほど強い。
憂ちゃんと唯の行きそうな場所を巡っていた私もさすがにダウンして、公園の木陰のベンチに逃げ込んできたところだった。
ふつう、「雨は悪い天気だ」と人は言うけれど。
けれど体中の水分を根こそぎ否定するようなこんな日差しに当たっては、少しぐらい雨が降ってほしいなんてことも思ってしまう。
憂「この公園、小さい頃にお姉ちゃんと和ちゃ……和さんとよく来てたんです」
ほら、あの水飲み場ありますよね? そう言って、公園の隅に設置されたものを憂ちゃんが指さす。
憂「あの蛇口を全開にして、数メートルぐらいの噴水にして水浴びするのが好きだったんですよ。お姉ちゃん」
澪「それって、後で怒られたりしないのか?」
憂「だからお姉ちゃん、公園に行くと怒られてばっかでした」
昨日のことのように語っては、くすくすと微笑む憂ちゃんがかわいらしかった。
……唯、愛されてるなあ。
136 = 133 :
あずにゃんを誘拐して監禁したいにゃん!
桜ヶ丘高校の正門から唯と一緒に出てきた所をこっそり車で付けていって
唯と別れて百メートルぐらいのところで計画を実行するのにゃん
こっそり背後から忍び寄り、あのかわいいちゅいんてーるの片方と
今にも悲鳴をあげそうなおくちを隙間もなく押さえ付ければもう逃げられないのにゃん!
そして次第にくしゃりと恐怖に歪んでいくあずにゃんの顔と目尻に浮かぶ涙
そんなあずにゃんを見て流石のぼくも良心の呵責に駆られて
結局のところ未遂に終わっちゃいそうなのにゃん
でも、これでよかったのにゃん
あずにゃんは唯とにゃんにゃんしてこそなのにゃん
それに、あのあずにゃんの小柄だがゆっくりと成長しつつある丸みを帯びた肢体が、
かわいく揺れるいい香りのちゅいんてーるが、
まるで西洋人形のようなもはや芸術品と言ってもいいあずにゃんのお顔が
一瞬だけでもぼくのものになった
もうそれだけで充分なのにゃん!
あずにゃんにゃん!あずにゃんにゃん!
137 = 1 :
憂「もしかしたら、梓ちゃんの方かも」
公園の入り口の自販機で買ったポカリで喉をうるおしていたら、憂ちゃんがつぶやいた。
澪「どういうこと?」
憂「お姉ちゃんの行きそうな所じゃなくて、って意味です」
なるほど。あれから半日近く唯の行動範囲をかけずり回って、それでも見つからないってことはそっちの線が濃そうだな。
澪「じゃあ、今度は憂ちゃんが知ってる限りで梓の講堂範囲を当たってみるか?」
憂「でも、梓ちゃんが知ってそうなところもほとんど巡ったんですよね」
言われてみれば、そうだろうな……梓、唯か憂ちゃんかジャズ研の鈴木さんと仲良くしてるイメージしかないし。
138 = 133 :
夏、噴水、水浴びという単語だけでぼくのぽこにゃんが反応しちゃったにゃん
ぼくはもう重症なのにゃん
公園の噴水で水浴びする全裸幼女は夏の風物詩なのにゃん!
139 = 133 :
エレベーターに閉じ込められているうち、喉が乾いてきちゃって
とうとう我慢できなくなっちゃった唯が
あずにゃんのおまたから出るポカリで喉を潤すという展開にも期待しているにゃん!
あずにゃんにゃん!あずにゃんにゃん!
140 :
ああ、そっか。今日は日曜だもんな…
142 = 1 :
憂「私、梓ちゃんから相談受けてたんです」
澪「へぇ、どんな?」
何も知らないみたいに聞き返してしまった。……恐らくあれのことだろうな。
違うことを祈るけど、たぶんそろそろ逃げられない。
憂「――梓ちゃん、お姉ちゃんが好きなんです」
ビンゴ。
返す言葉が浮かばず、そうか、なんてズレたあいづちを返してしまう。
言葉を探せば探すほど見えなくなって、夏の熱気でますます意識のピントがずれていく。
気づくと公園で遊ぶ子供たちは誰一人居なくなっていた。
どこか遠くのスピーカーが、迷子の子供の話をしていた。
ふと思う。律だったらこんなとき、うまく場を切り抜けられるのかな?
いや……無理だったんだろうな。
こないだ、梓から話を聞いたときもそうだったらしいし。
143 = 4 :
本物はもう少し語彙が豊富
144 :
梓きめぇwwww
145 = 133 :
よしきたにゃん!
実はぼく、唯梓好きは唯梓好きでも
唯→梓より、梓→唯の方が好みなのにゃん!
かいつまんで言えばこのシチュエーションはぼくのストライクゾーンド直球なのにゃん!
あずにゃんにゃん!あずにゃんにゃん!
146 = 1 :
憂「……聞かないんですね、どういう“好き”かって」
澪「ごめん、律から聞いたんだ。それは憂ちゃんも知ってる?」
憂「その日に梓ちゃんから聞いたんです」
澪「……そうか」
喉が瞬く間に乾いていく気がして、声もうまく出せそうにない。
手に持ったポカリを口に持っていこうとするけど、それもしてはいけない気がして右手も動かせずにいた。
なんとなく、左のポケットに入れた携帯電話に手を触れる。
ほんの少し――液晶画面がやけに冷たく感じたけれど、すぐ私の汗で分からなくなった。
澪「梓の気持ちは、律から聞いてたよ」
憂「……澪さんも律さんも悪くないですよ」
誰も悪くない。悪いって言う人が悪いんです。
憂ちゃんはそう言い聞かせる。
けど、それだと私たち全員「悪かった」ことにならないかな。
梓が同性を好きになったことも、私たちがそれを止めたのも、憂ちゃんが応援したのも、
唯が梓と同じ気持ちだったことも。
149 = 1 :
憂「それに、梓ちゃんの背中を押すかは私も迷ったんです」
澪「……気の迷い、男との出会いがないから勘違いしてるだけ、そのまま付き合っても世間はまず認めない」
赤の他人は変わったものをすんなりとは受け止めない。
「常識」はこの空の直射日光みたいに、驚くほど間単に異物を焦がしていく。
それでもみんな、たとえば雨よりも晴れた日の方が――変わったものを簡単に焦がしてしまう日差しの方が「普通」だと感じてしまう。
憂「全部考えました。お姉ちゃんと梓ちゃんの将来のこととかも。もしかしたら、私と澪さんの立場が逆だったかもしれないぐらいに」
そう、律や澪が応援して、憂ちゃんが反対してた場合もあったはずだ。
というより、もし建前だけで押し通せたなら私たちの立場は逆になってたと思う。
憂「私は、お姉ちゃんに幸せになって欲しかっただけなんです」
澪「……私も律も、そんなところだよ」
何が二人にとって正しい、正しくないなんて考えてもいなかった。
私たちは二人して、自分の気持ちを否定しただけだ。
梓に「常識」を浴びせて、自分たちだけ日当たりのいい場所に逃げたんだ。
150 = 133 :
え、けいおんの世界って百合がデフォなんじゃないの…
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