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元スレ唯「あずにゃん、エレベーター動かない…」
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唯「とつぜんですが・・・・平沢唯の天気予報!」テッテレー!
梓「夜中の二時にいきなりなんですか…」
唯「8月15日にちよーび、きょうの天気は唯梓のち律澪、ときどき純梓だよっ」
律「そんな天気あってたまるかーっ!」
紬「わぁ、今日はいい天気になりそうね♪」
唯「13時半ごろからは発達した和ちゃんの影響で唯憂がぴーくとなります。冷たい水を忘れずにもっていこうね!」
憂「わかったお姉ちゃん、たっぷり持っていくね!」
和「私が何するって言うのよ…」
唯「なお、夕方ごろには律澪のおそれがあります! 油断は禁物だよっ」
澪「いや、私たち何に気をつければいいんだ」
唯「でもその後はなだらかな唯梓が続くでしょう、えへへ」
梓「もう好きにしてください!」
唯「以上、平沢唯の天気予報でした~! ばいば~い!」にこっ
律「CMなげーなおい」
澪「ええっと、それでは気を取り直して本編の方をどうぞ」
梓「夜中の二時にいきなりなんですか…」
唯「8月15日にちよーび、きょうの天気は唯梓のち律澪、ときどき純梓だよっ」
律「そんな天気あってたまるかーっ!」
紬「わぁ、今日はいい天気になりそうね♪」
唯「13時半ごろからは発達した和ちゃんの影響で唯憂がぴーくとなります。冷たい水を忘れずにもっていこうね!」
憂「わかったお姉ちゃん、たっぷり持っていくね!」
和「私が何するって言うのよ…」
唯「なお、夕方ごろには律澪のおそれがあります! 油断は禁物だよっ」
澪「いや、私たち何に気をつければいいんだ」
唯「でもその後はなだらかな唯梓が続くでしょう、えへへ」
梓「もう好きにしてください!」
唯「以上、平沢唯の天気予報でした~! ばいば~い!」にこっ
律「CMなげーなおい」
澪「ええっと、それでは気を取り直して本編の方をどうぞ」
けいおんBD買いにニヤニヤしながら歩いてたら警官に職質されたぞ
「こんな夜中にどうしたの?」って訊いてきたから
「けいおんの唯憂を見たいんです」って言ったら
険しい表情から穏やかな表情になって
「唯憂は至高だよな」と言葉を残してそのままどっか行っちまった
マジ唯憂は至高だわ
「こんな夜中にどうしたの?」って訊いてきたから
「けいおんの唯憂を見たいんです」って言ったら
険しい表情から穏やかな表情になって
「唯憂は至高だよな」と言葉を残してそのままどっか行っちまった
マジ唯憂は至高だわ
かえりみち!
律「じゃあ私らこっからバスだから、そろそろなー」
唯「りっちゃん澪ちゃんまたね!」
澪「唯、日曜だからって明日の勉強会は寝坊するなよ?」
唯「だーいじょうぶだって! 憂がちゃんと起こしてくれるもんっ」
梓「そこは自分で起きましょうよ!?」
紬「まぁまぁまぁまぁ。憂ちゃんもいつもうれしそうだったじゃない」
律「そうだぞー? 世話はできるうちにしとかなきゃ、人生なにがあるか…えぐっ、ひっく」
澪「縁起でもないこと感情こめて言うな!」ポカッ
律「いだっ?!」
唯「あはははっ」
律「じゃあ私らこっからバスだから、そろそろなー」
唯「りっちゃん澪ちゃんまたね!」
澪「唯、日曜だからって明日の勉強会は寝坊するなよ?」
唯「だーいじょうぶだって! 憂がちゃんと起こしてくれるもんっ」
梓「そこは自分で起きましょうよ!?」
紬「まぁまぁまぁまぁ。憂ちゃんもいつもうれしそうだったじゃない」
律「そうだぞー? 世話はできるうちにしとかなきゃ、人生なにがあるか…えぐっ、ひっく」
澪「縁起でもないこと感情こめて言うな!」ポカッ
律「いだっ?!」
唯「あはははっ」
律「しっかし今日は暑かったなあ…」
唯「うん、もう100度超えてたんじゃないかな?」
律「いやそれ私たち沸騰するだろ!」
唯「あ。そっか、あははは」
澪「…沸騰…炎天下……燃え上がる恋の炎……あ、いけるかもっ」グッ
紬「ふふっ」
律「でも私たちもいつか観客を沸騰させるようなライブがしたいよなあ」
澪「うまいこと言ったつもりか!」
梓「ていうかそれならもっと練習しときましょうよ、もう本番じゃないですか…」
ガチャ
和「みんな、もうそろそろ出番よ? 舞台袖入って」
律「おっそうか! じゃあ私たち放課後ティータイムの底力をみせてやるぜぇっ!」
澪「ううぅ…やっぱステージって慣れない……」
唯「うん、もう100度超えてたんじゃないかな?」
律「いやそれ私たち沸騰するだろ!」
唯「あ。そっか、あははは」
澪「…沸騰…炎天下……燃え上がる恋の炎……あ、いけるかもっ」グッ
紬「ふふっ」
律「でも私たちもいつか観客を沸騰させるようなライブがしたいよなあ」
澪「うまいこと言ったつもりか!」
梓「ていうかそれならもっと練習しときましょうよ、もう本番じゃないですか…」
ガチャ
和「みんな、もうそろそろ出番よ? 舞台袖入って」
律「おっそうか! じゃあ私たち放課後ティータイムの底力をみせてやるぜぇっ!」
澪「ううぅ…やっぱステージって慣れない……」
律「おーしじゃあ円陣くもうぜ! 気合入れよーぜ!」
唯「りょーかいですりっちゃん隊員!」
律「カレーちょっぴり!?」
「「「「ライスたっぷり!!」」」」
梓「でも舞台袖って狭くて暑苦しいですねー…」
澪「それに薄暗くて…なんか、やっぱ苦手だ……」
紬「でも、こういう狭くて暗いところで一緒にいるとなんだかワクワクしてこない?」
唯「あっわかる! 小学校で台風きた時とか、なんかドキドキした!」
律「あの一体感ってなんなんだろうな~」
唯「きっと憂が言ってたつり橋効果ってやつだよ!」
梓「それはなんか違うと思います…」
唯「りょーかいですりっちゃん隊員!」
律「カレーちょっぴり!?」
「「「「ライスたっぷり!!」」」」
梓「でも舞台袖って狭くて暑苦しいですねー…」
澪「それに薄暗くて…なんか、やっぱ苦手だ……」
紬「でも、こういう狭くて暗いところで一緒にいるとなんだかワクワクしてこない?」
唯「あっわかる! 小学校で台風きた時とか、なんかドキドキした!」
律「あの一体感ってなんなんだろうな~」
唯「きっと憂が言ってたつり橋効果ってやつだよ!」
梓「それはなんか違うと思います…」
和「そういえば唯、あんた昔わざと濡れて帰ったりしてなかった?」
唯「ああ~! なつかしいなあ…」
梓「えっ、どういうことですか?」
和「この子ねぇ、傘持ってるのに『シャワーみたい!』なんて言ってずぶぬれになったりしてたのよ」
律「小学生か…ってその頃は本当に小学生だったか」
唯「ええ~でもギー太がお留守番してるときは今でもたまに」
律「やっぱ小学生かっ!!」
梓「私も雨の天気けっこう好きですけど、打たれたいとまでは…」
唯「ええ~? だってこういうあつい日とか、雨のシャワー想像しただけできもちいじゃん!」
梓(うわ…なんとなく唯先輩の感覚がわかるようになってきた自分が怖い……)
唯「ああ~! なつかしいなあ…」
梓「えっ、どういうことですか?」
和「この子ねぇ、傘持ってるのに『シャワーみたい!』なんて言ってずぶぬれになったりしてたのよ」
律「小学生か…ってその頃は本当に小学生だったか」
唯「ええ~でもギー太がお留守番してるときは今でもたまに」
律「やっぱ小学生かっ!!」
梓「私も雨の天気けっこう好きですけど、打たれたいとまでは…」
唯「ええ~? だってこういうあつい日とか、雨のシャワー想像しただけできもちいじゃん!」
梓(うわ…なんとなく唯先輩の感覚がわかるようになってきた自分が怖い……)
澪「まったくもう、バカなこと言ってないでそのカキ氷早く食べなって」
唯「――へ? ええっ、わ、わっ」
律「もしや、話に夢中でカキ氷忘れちゃってた系かあ~?」
唯「そんなことないよ! りっちゃんじゃあるまいし…」ブツブツ
律「なんだとー?!こんにゃろう!」
澪「お、お前ら食べ物持ったまま暴れるな!!」ガッ
律「うぎゃ!? いいいまの強かったよ澪しゃん! 今あたまに火花ちったよ?!」
紬「ねぇそろそろ花火が始まるんじゃない?」
澪「そうだな、行こうか」
唯(あれ、なんか変だな…)
律「どーした、唯?」
唯「あっううん、なんでもないよ」
唯「――へ? ええっ、わ、わっ」
律「もしや、話に夢中でカキ氷忘れちゃってた系かあ~?」
唯「そんなことないよ! りっちゃんじゃあるまいし…」ブツブツ
律「なんだとー?!こんにゃろう!」
澪「お、お前ら食べ物持ったまま暴れるな!!」ガッ
律「うぎゃ!? いいいまの強かったよ澪しゃん! 今あたまに火花ちったよ?!」
紬「ねぇそろそろ花火が始まるんじゃない?」
澪「そうだな、行こうか」
唯(あれ、なんか変だな…)
律「どーした、唯?」
唯「あっううん、なんでもないよ」
唯(まあ考えてもしかたないか!)
梓「あの……」
唯「ほら。さ、いこ?」
梓「……はい!」
タッタッタッ
唯(花火、きれいだな)
梓「あの……」
唯「ほら。さ、いこ?」
梓「……はい!」
タッタッタッ
唯(花火、きれいだな)
唯(来年もみんなで同じ花火見られるかな……)
梓「せんぱい」
唯「?」
梓「……なんでもないです」
梓「――あっあぶない」
唯「へ?」
ドテッ
梓「もう。何もない道で転ぶとか小学生ですかっ」
唯「えへへっ、めんぼくない」
梓「せんぱい」
唯「?」
梓「……なんでもないです」
梓「――あっあぶない」
唯「へ?」
ドテッ
梓「もう。何もない道で転ぶとか小学生ですかっ」
唯「えへへっ、めんぼくない」
梓「はい、このアイス溶けちゃう前に食べちゃってください。夕方とはいえまだまだ暑いですから」
唯「え……うん」
梓「どうしたんですか?」
唯「なんかね、ついさっきまでステージにいたり、お祭りでカキ氷を食べてたような気が…」
梓「ずっとこの川原にいましたよ、もう……暑さで頭がおかしくなったか、夢でも見てたんじゃないですか?」
唯「しっしつれいな! こんな時に居眠りとかするわけないじゃんっ」
梓「憂も家ではひたっすらごろごろしてるって言ってましたよー?」
唯「あずにゃん、なぜそれを?! うぅうう…憂に裏切られたのか…!」
梓「唯先輩見てれば想像つきますよ、なんとなく」
唯「そんなに分かりやすいかな、私…」
梓「めっちゃ分かりやすいじゃないですか。うらやましいぐらいですよ」
唯「え……うん」
梓「どうしたんですか?」
唯「なんかね、ついさっきまでステージにいたり、お祭りでカキ氷を食べてたような気が…」
梓「ずっとこの川原にいましたよ、もう……暑さで頭がおかしくなったか、夢でも見てたんじゃないですか?」
唯「しっしつれいな! こんな時に居眠りとかするわけないじゃんっ」
梓「憂も家ではひたっすらごろごろしてるって言ってましたよー?」
唯「あずにゃん、なぜそれを?! うぅうう…憂に裏切られたのか…!」
梓「唯先輩見てれば想像つきますよ、なんとなく」
唯「そんなに分かりやすいかな、私…」
梓「めっちゃ分かりやすいじゃないですか。うらやましいぐらいですよ」
梓「でも、言われてみると文化祭から夏祭りまであっという間でしたねー」
唯「そうだねえ」
梓「…時々思うんですよね」
唯「うん?」
梓「今までの楽しかった日々が、もし夢だったらどうしようって」
唯「ゆっゆめじゃないよ、現実だよ!」
唯(……だってほら、こうやってあずにゃんをぎゅって)
唯(って、あれ? 身体がうまく動かせない…)
唯「そうだねえ」
梓「…時々思うんですよね」
唯「うん?」
梓「今までの楽しかった日々が、もし夢だったらどうしようって」
唯「ゆっゆめじゃないよ、現実だよ!」
唯(……だってほら、こうやってあずにゃんをぎゅって)
唯(って、あれ? 身体がうまく動かせない…)
梓「……ゆいせんぱい」ぎゅっ
唯(わわっ、あずにゃん大胆な子…!)
唯「……あれ。あずにゃん?」
梓「私たち、いま二人っきりなんですよ」
唯「そ、そうだね…」
梓「だったら…私からも、少しぐらいいいじゃないですか」
唯「……うん」
梓「先輩は、ずるいんです」
梓「私だけ、こんなに、いい出せなくて、つらくて…」
唯(どうしよう、あずにゃん泣いてる…)
唯(わわっ、あずにゃん大胆な子…!)
唯「……あれ。あずにゃん?」
梓「私たち、いま二人っきりなんですよ」
唯「そ、そうだね…」
梓「だったら…私からも、少しぐらいいいじゃないですか」
唯「……うん」
梓「先輩は、ずるいんです」
梓「私だけ、こんなに、いい出せなくて、つらくて…」
唯(どうしよう、あずにゃん泣いてる…)
梓「ごめんなさい…ほんとに、ごめんなさい」
唯(えっ…あずにゃん、いきなりどうしたの…?)
梓「私の気持ちが、間違ってるって、分かって“――んぱい! いや、いやですっ!”
唯(あれ、何か聞こえる…って、声が出せない?!)
梓「唯先輩は、私なんかのために、 “――ぃいい!唯っ! しっかりし――” なんて…」
“…ち着け梓、今憂ちゃんが――”
唯(うう…暑い…くらくらする……)
梓「私はこんな…こんな、気持ち悪いのに」
唯(そんなことないじゃん?! ねぇなんでそんなこと言うの…)
梓「私が、唯先輩に持ってる感情は……とても気持ち悪いものなんです」
唯(……言わないでよ、そんなこと…私だって、おんなじなのに)
唯(えっ…あずにゃん、いきなりどうしたの…?)
梓「私の気持ちが、間違ってるって、分かって“――んぱい! いや、いやですっ!”
唯(あれ、何か聞こえる…って、声が出せない?!)
梓「唯先輩は、私なんかのために、 “――ぃいい!唯っ! しっかりし――” なんて…」
“…ち着け梓、今憂ちゃんが――”
唯(うう…暑い…くらくらする……)
梓「私はこんな…こんな、気持ち悪いのに」
唯(そんなことないじゃん?! ねぇなんでそんなこと言うの…)
梓「私が、唯先輩に持ってる感情は……とても気持ち悪いものなんです」
唯(……言わないでよ、そんなこと…私だって、おんなじなのに)
梓「ただの後輩で、いたかったんですよ?」
唯(やだよ、そんなことないよ…そんな顔で笑わないでよ……)
梓「後輩でいたかったけど、もう“……梓、準備はいいか? じゃあちゃんと受け止――”先輩をだますのがいやなんです」
“…やくして!はやく! 救急車はまだ――”
梓「唯先輩、あなたのことを……“――い先輩?!”
唯(あついよ…あずにゃん、頭が溶けていきそうだよ……)
“…ぇちゃん?! 聞こえる? お姉ちゃん?! 今律先輩が――”
“――ぁぁあああああああアアアアアアアアアア”
唯(り、りっちゃん?!)
唯(やだよ、そんなことないよ…そんな顔で笑わないでよ……)
梓「後輩でいたかったけど、もう“……梓、準備はいいか? じゃあちゃんと受け止――”先輩をだますのがいやなんです」
“…やくして!はやく! 救急車はまだ――”
梓「唯先輩、あなたのことを……“――い先輩?!”
唯(あついよ…あずにゃん、頭が溶けていきそうだよ……)
“…ぇちゃん?! 聞こえる? お姉ちゃん?! 今律先輩が――”
“――ぁぁあああああああアアアアアアアアアア”
唯(り、りっちゃん?!)
“律?! 律、おいどうしたんだよりつうっ”
“澪ちゃん、エレベーターから離れなさい! あんたも危ないわよ!?”
神様、どうかお願いです
“――唯先輩! ……んじゃいやです!”
唯(あずにゃんが夕陽ごと、景色ごと溶けてく……)
“ゆいせんぱい…へんじしてよ……”
“りつ?りつ…りつ?!おい律、りつっ…”
――みんなを、これ以上苦しめないでください
【2010年08月15日 18:07/Nビル構内】
光の雨がこの部屋に降り注いだのは、流れた涙さえも蒸発した頃だった。
停電から一時間近く経った頃、天井裏の物音に気づき顔を上げると強い光が浴びせられた。
こじ開けた通気口から差し込まれた光に一瞬目が眩んで、思わず空いた右手で視界を遮ってしまう。
暗闇の灼熱地獄に射したその光は冷たい雨のようにやわらかく感じた。
懐中電灯の光はふらふらと揺れ、やがて広げた制服の上に横たわる下着姿の私と唯先輩を見つけて降り注ぐ。
その雨はエレベーターの中で十二時間かけて膨れ上がった熱気をほんの少し弱めてくれた。
……少なくとも私にはそう感じた。錯覚だろうか。
だとしても、どうせ思考回路なんか焼け落ちてしまっているから分からないけれど。
差し込んだ救いの光から十数秒遅れて声が響く。
――唯、梓、大丈夫か?
ああ……。
思わず声をもらしてしまう。不安と期待と恐怖と安心とが一度にあふれでる。
けれど熱に溶かされた頭ではうまく言葉を組み立てられず、とっさに出たのは焼け付いたようなうめき声ばかりだった。
起きたことに頭が追いつかない。死にそうな唯先輩がいて、そこに律先輩が来て、
律『やっぱ唯たちここだった!』
澪『そうか! じゃあ二人ともいるんだな?』
律『ああ、早く憂ちゃんに連絡してくれ』
澪『わかった、行ってくる。律も気をつけろよ』
そうだ、服着なきゃ。
今さら恥じらいが降って湧いた。
私は暑さを和らげようと脱いだ服を着なおそうとする。
けれども、どうしても繋いだ左手をほどく気にはなれなかった。
こんなあられもない格好を白日に晒したままでいられる程度には理性も蒸発しきっているらしい。
と。
そこでようやく声の意味が理解できた。
あ。私たち、助かるんだ。
思わず声をもらしてしまう。不安と期待と恐怖と安心とが一度にあふれでる。
けれど熱に溶かされた頭ではうまく言葉を組み立てられず、とっさに出たのは焼け付いたようなうめき声ばかりだった。
起きたことに頭が追いつかない。死にそうな唯先輩がいて、そこに律先輩が来て、
律『やっぱ唯たちここだった!』
澪『そうか! じゃあ二人ともいるんだな?』
律『ああ、早く憂ちゃんに連絡してくれ』
澪『わかった、行ってくる。律も気をつけろよ』
そうだ、服着なきゃ。
今さら恥じらいが降って湧いた。
私は暑さを和らげようと脱いだ服を着なおそうとする。
けれども、どうしても繋いだ左手をほどく気にはなれなかった。
こんなあられもない格好を白日に晒したままでいられる程度には理性も蒸発しきっているらしい。
と。
そこでようやく声の意味が理解できた。
あ。私たち、助かるんだ。
ゆいせんぱい。
ねえっ、ゆいせんぱい。
いい加減おきてください。
ねえ、おきてくださいよ。 ゆいせんぱい!
唯先輩の薄れ行く意識をどうにか引き戻そうと、何度も名前を呼んでは彼女の身体を揺さぶった。
熱くなった身体を抱き起こし、指と指を絡ませて皮膚が癒着するほど握りしめていた左手ごと背中に回して。
自分の呼び声で他のすべてが聞こえなくなるほど、何度も。何度も。
左腕で支える唯先輩の背中は少しだけ粘っこい感触がした。
流れ出た汗の水分だけが蒸発して原液のような汗が取り残されたんだ。
光に照らされた唯先輩の顔は熱に浮かされていて、唇をゆるりと広げたまま、薄目で浅い息をしていた。
口元が少しほほえんだ気がした。
私の声は今も自動的に唯先輩の名を呼び続けているのに、また私が離れていくような感覚が――
律「おい、あずさぁ! 聞こえてるのか!」
ねえっ、ゆいせんぱい。
いい加減おきてください。
ねえ、おきてくださいよ。 ゆいせんぱい!
唯先輩の薄れ行く意識をどうにか引き戻そうと、何度も名前を呼んでは彼女の身体を揺さぶった。
熱くなった身体を抱き起こし、指と指を絡ませて皮膚が癒着するほど握りしめていた左手ごと背中に回して。
自分の呼び声で他のすべてが聞こえなくなるほど、何度も。何度も。
左腕で支える唯先輩の背中は少しだけ粘っこい感触がした。
流れ出た汗の水分だけが蒸発して原液のような汗が取り残されたんだ。
光に照らされた唯先輩の顔は熱に浮かされていて、唇をゆるりと広げたまま、薄目で浅い息をしていた。
口元が少しほほえんだ気がした。
私の声は今も自動的に唯先輩の名を呼び続けているのに、また私が離れていくような感覚が――
律「おい、あずさぁ! 聞こえてるのか!」
律先輩の声で我に返った。
……ダメだ。まだまともな頭が戻ってきてない。
律「梓、大丈夫か?」
私の身を案じる太陽のように暖かい声が、少し耐えがたかった。
違う、そんなこと考えてる場合じゃないんだって。
早く唯先輩をここから出してあげなくては。
律「落ち着け梓、今憂ちゃんが救急車呼んでるから。唯の具合はどうだ?」
梓「息はしてます! でもさっきから反応がなくて」
律「おーし大丈夫だからな。生理食塩水も買ってきたし」
梓「なんですかそれ!」
>>3
感動した
感動した
ほら、これだよ。
律先輩が通気口に手を差し込み、何かを投げ込んだ。
それはボコンと音を立てて手すりにぶつかり、太ももの辺りに転がる。あわてて拾う。
冷たい。
500ミリリットル容器のペットボトルだった。
表面の結露で手のひらが濡れる。
私はとっさに唯先輩の額へと押しつけた。唯先輩が少し声を漏らす。
律「ポカリ。澪が買ってきたやつ。もっと飲むか?」
そう言って今度は二リットルペットボトルを照らしてみせた。おどけた声の律先輩。
照らされたペットボトルが半透明の影を作る。
エレベーターの壁に映った巨大な影はわが子をいたわる母親のようにも見えた。
梓「あ、はい! わかりました」
我に返り、少し迷って左指をほどく。
握り合う汗がほどけた時、汗で溶けた皮膚が剥がれたような感じがした。
律先輩が通気口に手を差し込み、何かを投げ込んだ。
それはボコンと音を立てて手すりにぶつかり、太ももの辺りに転がる。あわてて拾う。
冷たい。
500ミリリットル容器のペットボトルだった。
表面の結露で手のひらが濡れる。
私はとっさに唯先輩の額へと押しつけた。唯先輩が少し声を漏らす。
律「ポカリ。澪が買ってきたやつ。もっと飲むか?」
そう言って今度は二リットルペットボトルを照らしてみせた。おどけた声の律先輩。
照らされたペットボトルが半透明の影を作る。
エレベーターの壁に映った巨大な影はわが子をいたわる母親のようにも見えた。
梓「あ、はい! わかりました」
我に返り、少し迷って左指をほどく。
握り合う汗がほどけた時、汗で溶けた皮膚が剥がれたような感じがした。
私は律先輩に指示された通り、二人の通学カバンを寄せ集め、通気口の真下に持ってくる。
そして自分の制服のシャツを上に広げ、さらに私のスカートを――手にとって、これはやめる。
うわ、まだ湿ってるし。最悪。忘れたい。ごまかすように、自分のシャツになすりつける。
律「……いや、気にしねーから続けろって! 閉じ込められてたんだし、その…しょうがないじゃん!」
だからそんな目で見ないでくださいって。
そして自分の制服のシャツを上に広げ、さらに私のスカートを――手にとって、これはやめる。
うわ、まだ湿ってるし。最悪。忘れたい。ごまかすように、自分のシャツになすりつける。
律「……いや、気にしねーから続けろって! 閉じ込められてたんだし、その…しょうがないじゃん!」
だからそんな目で見ないでくださいって。
ほどなく通気口からリュックサックが投げ込まれ、指示された通り応急処置を始めた。
霧吹きを取り出してミネラルウォーターをそこに注ぐ。少しこぼしてしまった。
慌てなくていいぞ、と律先輩の間延びした声が響く。
律「ってか澪ってひどいと思わねー? 『一番小さいのお前だからお前が入れ』とかって」
澪『そんなこと言ってる場合か!』
律「じゃあ澪が入れば? あっそれとも澪ちゃん暗闇が怖いとか……いだっ!? 足つねんなよー!」
こんな状況ですら律先輩と澪先輩は漫才みたいなやり取りを繰り返している。
まるで部室みたいに軽口を叩く律先輩がどこかまぶしかく見える。
入部したときから律先輩は太陽のような人だった。
律「梓、手が止まってんぞー。うりゃっ」
梓「ちょ…まぶしいですよ。なにすんですかっ」
懐中電灯の光を顔に向けられて思わず目を背ける。
すると一瞬うしろめたい気持ちがした。
冷却剤の冷たさがやけに指にしみる。
私はそれをタオルにくるんで、少し離れた位置から唯先輩の首元に当てた。
自分の体温が伝わらぬようにとなるべく身体を離していたのに、唯先輩は朦朧としたままでも私に手を伸ばそうとする。
やめてください。
私を抱きしめたら死んじゃいます。
そこまで言える勇気は、最後までなかったけれど。
霧吹きを取り出してミネラルウォーターをそこに注ぐ。少しこぼしてしまった。
慌てなくていいぞ、と律先輩の間延びした声が響く。
律「ってか澪ってひどいと思わねー? 『一番小さいのお前だからお前が入れ』とかって」
澪『そんなこと言ってる場合か!』
律「じゃあ澪が入れば? あっそれとも澪ちゃん暗闇が怖いとか……いだっ!? 足つねんなよー!」
こんな状況ですら律先輩と澪先輩は漫才みたいなやり取りを繰り返している。
まるで部室みたいに軽口を叩く律先輩がどこかまぶしかく見える。
入部したときから律先輩は太陽のような人だった。
律「梓、手が止まってんぞー。うりゃっ」
梓「ちょ…まぶしいですよ。なにすんですかっ」
懐中電灯の光を顔に向けられて思わず目を背ける。
すると一瞬うしろめたい気持ちがした。
冷却剤の冷たさがやけに指にしみる。
私はそれをタオルにくるんで、少し離れた位置から唯先輩の首元に当てた。
自分の体温が伝わらぬようにとなるべく身体を離していたのに、唯先輩は朦朧としたままでも私に手を伸ばそうとする。
やめてください。
私を抱きしめたら死んじゃいます。
そこまで言える勇気は、最後までなかったけれど。
>>1は昨日唯梓議論のスレで投下予告したひと?
憂『お姉ちゃん! 大丈夫なの!?』
聞き慣れた、けれど切羽詰まった声がした。
はっと我に返る。
律「あっ憂ちゃん、救急車の方は?!」
律先輩がとたんに真剣な声に戻る。
いけない。油断するとすぐ頭がぼうっとしてしまう。
私は自分の手を床に打ちつけた。鈍痛が染み込む。
憂『停電のせいで事故があったらしくて時間かかるらしいんです、二人はどうですか?』
律「いま梓に介抱してもらってるとこ。大丈夫だって、私たちがなんとかするよ」
憂『すみません……梓ちゃん! 聞こえるー?!』
梓「全部聞こえてる、いま応急処置してるとこ!」
憂『ほんとにだいじょうぶ? ヒヤロンはタオルに巻いて当ててね、あといきなり水飲ませたらショックで――』
梓「律先輩から聞いてる、大丈夫だから」
大丈夫、大丈夫だから。
自分にも言い聞かせる。
憂『で、でも!』
律「憂ちゃん、ここは梓を信じよう。もう夕方だし、これ以上暑くはなんないよ」
憂『そう…です、ね』
憂の涙声は胸の奥で狐の嫁入り雨のようにしとしと流れ込む。
そういえば、唯先輩も雨が好きだって言ってたな。
こんなんじゃダメだ。私が唯先輩を救うんだ!
――梓ちゃん、お姉ちゃんを頼んだよ。
ようやく覚悟を決められたとき、突然真っ白い光が流れ込んできた。
梓「律先輩から聞いてる、大丈夫だから」
大丈夫、大丈夫だから。
自分にも言い聞かせる。
憂『で、でも!』
律「憂ちゃん、ここは梓を信じよう。もう夕方だし、これ以上暑くはなんないよ」
憂『そう…です、ね』
憂の涙声は胸の奥で狐の嫁入り雨のようにしとしと流れ込む。
そういえば、唯先輩も雨が好きだって言ってたな。
こんなんじゃダメだ。私が唯先輩を救うんだ!
――梓ちゃん、お姉ちゃんを頼んだよ。
ようやく覚悟を決められたとき、突然真っ白い光が流れ込んできた。
律「うわっまぶしっ」
澪『停電が直ったみたいだぞ!』
紬『えっ、それじゃありっちゃ…』
憂『じゃあもう少ししたら救急車来るんですよね!』
律「おい聞こえたか? あと少しの辛抱だぞ!」
やった、電気が直った。これで大丈夫だ!
流れ込んできた光は根拠もなく強い希望まで運んできたようだ。
急に室内照明が点いたせいで目がくらんでなにも見えなかったからか、もう助け出されたような気さえした。
よかった。
唯先輩が外に出られる。
律「じゃあ梓、私はいったん澪のもとにもど
その瞬間、律先輩の身体を二百ボルトの電流が貫いた。
時間調整のため休止
15分頃に再開
今後はなるべくリアルタイムで進める
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>>44
読んできたが酷いな
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